img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:銀色機構 クレインダンス

初めてその魔法少女を気に掛けるようになったのは何時からだろうか?
一番最初はおそらく複数の魔法少女がそれぞれに徒党を組んで「陣営」を作りチャットルーム内で顔を合わせた時のことだろう。
それぞれが趣向を凝らしたアバターがチャットルーム内にぎゅうぎゅう詰めになっていた光景はなかなか見物だった。
その時自体は気にも留めなかったのだろうが、頭の片隅にでも引っ掛かっていたのだろう。
メルヘンでファンタジーな魔法少女という言葉に似つかわしくない釘バットを持ったアバターが一人いたのを記憶している。
もっとも、似つかわしくないと言うならば趣味で創り上げた自分のアバターも凡そ魔法少女のイメージからは相応しくないものだ。
ライトブルーのラインが入った白銀の装甲を鎧うサイボーグ系魔法少女、クレインダンス。それが私のアバターであり魔法少女となった己自身の姿。
ファンタジーはファンタジーでもスペース・ファンタジー、或いはサイエンス・フィクション、縮めてSFと呼ばれるような世界の方が余程似合っている。
そうして得た力もその姿に違わず、機械を取り込みその能力の行使するといったものだ。
魔法少女となった以上人助けに動くのも吝かではないが、その傍らで一般的な社会に顔向けの出来ない職業の方々の事務所や武器庫を襲撃し
少々拝借して自分の力とさせてもらうのが魔法少女活動開始以来の楽しみになりつつある。

次に見かけたのは「陣営」同士の衝突があった時か。
衝突と言ってもそれほど大袈裟なものではない、ちょっとした小競り合いのようなモノだ。
私の属する陣営はその時はほぼ傍観、機があれば仲裁に徹するような別段いなくとも構わないような立場だった。
そこで初めてアバターではない魔法少女としての彼女をこの目にした。
機械を作り変え兵器を生み出す魔法少女――銀色機構。
衝突はほどなく収まり争っていた陣営も自分達も皆が三々五々に家路についたが、わずかな戦闘の間に彼女が繰り出した兵器は
しっかりと私のカメラアイに焼き付き記録されていた。
変身を解き魔法少女クレインダンスから元の少女城兼 鶴(しろかね つる)に戻った後も私は彼女の事が頭から離れなかった。
恋心?まさか。
確かに気になっているのは事実だが自分も相手も同性同士だ、少なくとも魔法少女である以上は。
それに僅か片手で数えて余るほどの邂逅…どころかお互い口を聞いたことも無い。
憧れ?これも違う。
まだ憧れを抱けるかどうか判断できるほど彼女の人となりを知った訳ではない。
仮に現時点で憧れを抱くならばそれは彼女自身にではなく、彼女の操る魔法兵器にだろう。
…気になっているのが兵器だけではないことも否定しきれないが。
散々に私が銀色機構へと抱いた思いを反芻した結果、「執着」。この言葉が今の私の想いを表すのに一番妥当だと思えた。

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