img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:タイガーソウル パック・ル・バック

この怪文章は、魔法少女育成計画の二次創作である自作魔法少女スレに登場したキャラをお借りした三次創作ぽん。
以下の注意点に留意して目を通して欲しいぽん。
※1 お借りしたキャラの作者さんは一切関わっていないため、実際の設定と、怪文章内の性格や能力が齟齬しているかもしれないぽん。
※2 お借りしたキャラさんと自分とこのでwikiやスレにない人間関係が出来上がっているぽん。








野球を教えて欲しいっちゅうパックちゃんのお願いを聞いて
(うちは観る専なのでルールは教えられても、野球のテクニックや楽しさまで伝えられるか分からへん、という若干の不安もあったが)
さっそくグローブとボールを用意して、近場のスポーツも楽しめるよう整備された河川敷にパックちゃんを連れてやってきたうちであった。
一応一通り説明した上で、うち秘蔵の虎印のルールブックを渡して読んで貰い、ちょっと熱が入ってきてうちがいかに猛虎軍団を愛し応援しているか
身振り手振りを交えて、試合動画を見ながら伝え、ついでに試合動画も見て貰い、あと例の虎のマスコットのミニクッション(布教用)などを
強引に渡して、パックちゃんを洗脳………もとい感化させようと目論んだんやけど上手くいったかは定かではない。
(パックちゃんは頷き、合いの手を入れながら熱心に聞いてくれた。めっちゃええ子やん、うち感激やわあ)
とはいえ、うちの熱い想いをぶつけるだけでは野球を知ったことにはならへんので、軽くキャッチボールでもしよか
というわけで、道具だけ揃えて外出したのであった。

もしパックちゃんが野球に興味を持ち、ついでに、というかこっちが本命ではあるが猛虎軍団のファンになってくれるととても嬉しい。
だって、うち、大学行ってから一緒に試合観に行ける友達おらんもん。
高校時代の友達とは皆別々の大学に別れてしまい、小中高と地元で昔馴染みと一緒に大きくなってきたうちは、初めてのアウェイ――大学生活を始めるにあたり
猛虎軍団の熱心なファンであるという事実を隠して、友達作りに励んだ。というのも、野球ネタってけっこう人選ぶ上に、うちみたいにわっと語りだすタイプは初見
の人には引かれやすいからや。大学デビューでそういうキャラ付けみたいに思われても嫌やもんね。飲んでみて分かったけど、うち、けっこうお酒は強い方みたいやから
飲み会でやらかしたことはないはず。たぶん。
おかげで常に一緒に行動するグループは出来たものの、もう一つ自分を出せずに、なんか三番目くらいに相槌を打つ的なポジションに収まって早一年。うちはけっこう溜まってた。
パックちゃんには素直に野球好きを押し出せたのは自分でもちょっと意外やった。同じ魔法少女同士っちゅー仲間意識というか、安心感みたいなのがあったのかも。
だからこれを機にパックちゃんも野球好きになってくれたらええなあ、と思いながら、適当に15メートルくらい距離を取って、ほないくでー、と何の気なしにパックちゃんに向けてボールを放った。










バシュウッ……(グローブが焼け焦げる音)







「あはは〜……タイガーさんさー、ひょっとして私のこと殺す気かなあ?」




何の気なしに何の手加減もせず放り投げたボールは、優にスピードガンがカウント出来ない程度の球速をたたき出し、咄嗟に顔面の前で構えたパックちゃんのグローブの一部を
吹き飛ばし、摩擦熱で大部分を燃やしながら、かろうじて生身の掌に接触する前に止まった。尚、ボールによって生じた突風により横を歩いていたおばちゃんのスカートが捲れた。
うわあああっ!しもうたああああっ!今魔法少女やってこと完全に忘れてしもてたああああああああっ!
火傷してないかな〜、と燃えカスになったグローブを脱いで掌を確認しているパックちゃんに、えろうすんませんでした!堪忍してください!と猛烈に頭を下げる。
魔法少女の身体能力でもって、しかも無意識に魔法を使って超剛速球の魔球に変えていたらしく、ただただパックちゃんに怪我がなかったことにほっとして、謝るのみである。
下手したらパックちゃんが死んでしもてたかもしれない。そう思うとめっちゃ怖いわあ。



「もーっ!私達魔法少女なんだから気を付けてよ〜。もし私が取り損なって他の人に当たっていたら大惨事だったからね」

「はい、仰る通りです。ほんますいません……」

パックちゃんは予備のグローブに付け替え(もしかしたら必要になるかもしれないから、もう一つ持っていこうよ、と出発前に彼女が提案した。慧眼である)てくてくと歩み寄ってくると
うちのほっぺを指でつついて笑った。

「なんともなかったから気にしなくていいけどね。ま、お互い気を付けよっ」

必要以上に落ち込まないようにとのパックちゃんの気遣いである。大人やなあ。ありがたいわぁと感激しつつも、たはは…と苦笑いで答える。ともかく、気を付けて今度こそ。

「おっ。そうそういい感じ〜〜」

今度は綺麗な放物線を描いてパックちゃんのグローブに収まった。よしっ!加減が分かったでえ。

「私も、こんなもん……かなっ!」

パックちゃんが気持ち高めに放ったボールもおーらいおーらいとうちのグローブに収まった。うん、普通のキャッチボールやな。
ということを3セット、4セットと続け、うちは気づいてしまった。
―――こんだけ手加減してたら練習にならへんやん!
(いや、まあこれはこれで楽しいねんけど……)
パックちゃんの様子をうかがう。どうやら不満はなさそうなので、一抹の申し訳なさを覚えながらもキャッチボールを続ける。
そういえば、うち、キャッチボールすんの初めてかも。記憶を引っ張り出しても、どうも誰かとキャッチボールをした経験はなさそうだった。
だからけっこう楽しいのかもしれへんなあ。子供が出来たら一緒にキャッチボールしたいっていうお父さんの気持ちもちょっと分かるわ。
あ、そういえば―――

「パックちゃんって魔法少女やってけっこう長いん?」

「……それって、私が年増って意味かなあ?」

「いやいや、ちゃうよ!深読みしすぎやから!」

嘘嘘、じょーだんっ!とウィンクしてくれたけど、けっこう目がマジやったで。………うち、ちょっとおしっこ漏らしそうやった。子供の親から連想したことは絶対に黙っていよう。たぶんシバかれる。

「うーん、まぁけっこう長いかなあ。もう何年だろ。覚えてないくらいだから、長いんだろうねー」

「へーっ、そうなんやあ。うち、実はまだぺーぺーやさかい、それじゃパックちゃんは先輩やねー。パック先輩って呼んだ方がええやろか」

「パックでいいよ。同じ魔法少女に先輩呼びとか、敬語使われるのってなんか変な感じだから」


キャッチボールを続けながら、会話のキャッチボールも続ける。意識せずに丁度良い加減でボール放れるようになった気がする。

「せやねえ。じゃあ今まで通りで。……やっぱ、魔法少女歴長いと色々楽しいことも多かったやろねー」

「うーん、まあ、なかったことはないけど。大変だったことの方が多いかなー。魔法少女って決して楽しいもんじゃないからねー」

パックちゃんが放ったボールをキャッチして、次はうちの番やけど、手を止めた。今の言葉はちょっと聞き捨てならへん。

「なにゆうてるの?魔法少女は楽しいもんやで。人助けしたり、こんな風に一緒に遊んだり。魔法少女やないとできへんことはいっぱいあるし、この力で誰か助けられたら自分も嬉しいやん」

うちの言葉にパックちゃんは困ったように苦笑した。

「まあ最初のうちはねー。長く活動していると色々面倒なことも多いんだよ。しがらみとか、色々ね。だから魔法少女が楽しいかって言われると私はやっぱりちょっと考えちゃうなー」

尚もうちが反論しようとすると、不意にパックちゃんが大きく目を見開いた。と思うと、うちの方に猛烈な勢いで走る――いや、跳躍してきた。
何や。いや、うちを見ているんやない。うちの後ろの何か――

「危ないっ!」

振り向くと子供らがふざけていたのか、一人の男の子が橋の欄干を乗り越えて、宙に片足を放り出している。片手で欄干を掴んでいるが、見るからに危うげ…と思った瞬間、手が欄干から離れた。
くそっ!間に合えよ!うちは握ったままだったボールを素早く投球フォームから投げた。
タイガーボウル3号、竜巻魔球!
外角高めのムービングストレートはバッターボックス直前で竜巻を巻き起こす台風の目となる。今回は規模を絞って、今まさに落下する子供を空に舞いあげ、落下するまでの時間を稼ぐ役割を果たすためだけのもの。
続いて、うちも走る。水嵩は浅い。川底は岩肌でとがった石がごろごろしとる。こんなもん落ちたら死んでまう!あかん、子供の身体に配慮して竜巻の勢いを弱くし過ぎた。高さが足りん。落ちる―――












「………ふぅ。ぎりぎり……セーフかな」


いや、大丈夫や。うちよりも早く駆けていたパックちゃんが空中で子供をキャッチして、そのまま体を反転し自分が下になるようにして川に落ちた。どぼんと激しく水しぶきが上がる。
いや、大丈夫ちゃう!あんなん子供が無事でもパックちゃんが―――
そう思い、慌てて川に飛び込もうとすると、柔らかい藁のような植物が幾重にも折り重なって出来たクッションが浮かび上がり、その上にパックちゃんと子供はいた。
二人ともずぶぬれやけど、怪我もなさそうや。

「はぁ……ほんま、良かった………」






その後、度胸試しをしたと嘯く子供をうちがどついてびーびー泣かせ、今度あんな危ないことしたら、あんたの家になまはげ放り込むからな
(うちの家では伏見のお稲荷さんの鳥居に縛り付けるか、なまはげ放り込む、が子供を叱る常套句やったので)と散々脅して帰し
パックちゃんはたき火で濡れた服を乾かした。
うーん、まだちょっと生乾きだなあ、とぶるるっと犬か猫のように体をふるうパックちゃんにうちはおずおずと声をかけた。

「あの…さっきはえろうすんません……」

「ん?何が?」

「なんも知らんと、生意気なこと言うてもて………」
そうなのだ。パックちゃんはうちよりも先に危険に気づき、身を挺して子供をかばった。うちはてっきり魔法少女ちょっと舐めてる子やとさっきの発言で勘違いしたけど、
ほんとうにそうならあんなに直ぐに体が動くはずがない。手段も適切だった。うちよりも遥かに場数を踏んで、心得と志のある人の動きやった。

「あー、そのこと。いいよいいよ。まー本音っちゃ本音だしねー」

「すんません……うち、何も知らんと、なに舐めたこと言うてるねんこの鹿女。しけった鹿せんべえ食わすぞ、とか思うてもて……」

「………へぇ〜〜〜〜」

あ、ちょっとまた目が怖い。違うんです!と首を振る。

「うちの勝手な勘違いやったんです。パックちゃんはすごい人です。だから虫のいい話とは思うんですけど、さっきの発言流してもらえるとありがたいなあ…って」

「うん、もちろんいいよ。私も生意気なエセ関西弁女だなあ、とか思わなかったりもしないでもないから。お互い様ってことで。じゃあ、改めて、よろしく」

と手を差し出してくれたパックちゃんに感激して、しゅばっと詰め寄り、じゃあ改めて――




































「師匠って呼ばせてください!」




















「え?いや普通にパックでいいんだけど…………」
「師匠!」
「いやだからね、普通にパックでいいって」
「師匠!」
「……………」
「あぁあー!………師匠っ!槌の柄でほっぺぐりぐりすんのはやめてぇなぁ!ちょっやめて…堪忍してぇ!」













                                                                      おわり








































「いい加減にしないと私だって叱っちゃうよ?鹿だけに」
「ぶはっ!今のギャグちょー面白い!めっちゃウケるぅ〜〜!かなり大爆笑!」
「………………」
「あぁあー!……嘘っ!嘘つきましたぁ!ちょっとクスっときただけ!やめてぇ!ほっぺぐりぐりすんの堪忍してぇ!」

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