img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:デッドカンパニー りりか

りりかさんは可愛い。りりかさんはいい子だ。りりかさんは魅力的だ。
魔法少女というやつは見た目で年齢を判断することはできないが、彼女の場合、精神年齢は見た目相応に幼い。同じ組にいるだけで、然程深い間柄にはまだなれていないけれど、少し接しただけでもわかる。
新雪のように純粋無垢。まっさらなキャンバス。知りたい盛りの女の子で、見ているだけで微笑ましくなる。察するに、優しい家庭で大切に育てられているのだろう。
きっと、未来は希望に満ち溢れているんだと疑いを持たないでいる。明日の宿題に頭を悩ませはすれど、将来の自分に懊悩を持ったりせず。
たぶん、何がなくとも彼女は毎日が輝いているに違いない。箸が転がっても笑って、笑う門には福があって、幸福に満ちていて。

無論、人として生きる以上、世界には幸せだけが満ちていて順風満帆に生を謳歌する、とはいかないだろう。彼女もゆくゆくは、辛さ苦しさ悲しさ現実を知り、そして成長していくのだろう。もしかしたら、彼女自身の持つ超常の魔法で、その時期がずれ込むことはあるかもしれないが。
彼女は経験に乏しい。特に、マイナスの経験に対して。私が思うに、推察される彼女の年齢を鑑みるに、身近な者の死を経験したことさえないのでは(これは私の願望交じりの推考ではある)。
もし、仮にそうであるとするなら。私がその初めての人になりたいな、と私は切に願うのだ。



大人が思っているよりも意外と、子供は物事を深く考えているという。ただ、その思いを上手く大人に伝えることができなかったり、どう考えればよいかの経験がないから変な方向へ思考が飛んで行ったりするだけだ。
りりかさんが仲間を喪って、どんな表情をするのか。どんな思考へ至るのか。どう行動するのか。初めて経験する身近な「死」に対して、どう受け止めるのか。
昨日まで普通に話していた相手がもう起きなくなって、言いようのない不快感が芽生えたりするのだろうか。自らにもいずれ死がやってくることを悟って、漠然とした不安に包まれたりするのかな。彼女の様子を草葉の陰から見守りたく思う。
そうして、彼女が私の死を心に刻んで、一つ大人になってくれたら、成長の糧になれるなら。そんなに幸せなことはない。願わくば、私の割れた眼鏡は遺品として持っていて欲しいな。

「? りりかの顔、なにかついてるー?」
「あ、いえ、すみません。お弁当ついてますよ」

絶対に言えないけど……絶対に……。
私は、寿司を頬張るりりかさんの頬にくっつくご飯粒を摘み、口に運ぶ。酢飯なのに、妙に甘い味がした。

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