img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:ドリクラ ジェネラル・グレイシー


ドリームメモリーズショート 麗しき人形師との出会い


「よっ、はっ、えいっ」
三つのカラーボールが空中を滑る
昼時の公園で一人、少女が曲芸の練習に励んでいた

ジャグリング

複数の物を、常時一つ以上空中に浮いている状態を維持して
投げたり取ったりを繰り返す技術を指す事が多いと思う
歴史的に大道芸やサーカスで見世物として行われてきた経緯のある芸で
最近はスポーツとしても愛好者が増えていて競技会も活発に行われているとか

道化師を夢見る私としては、こう、細かい芸のひとつでも覚えておきたいと
細々と練習中でして……最近ようやく少しだけ上達してきた気がする
うん、そろそろ数を増やしてもいいかもしれない

「よいしょ!これでキャッチ! っとと、あれー」

と調子に乗ったらこれだ、最後の1個を取りこぼしてしまった
軽い音をたてながら弾むボールを追いかけた先には
なにやらズラリと小さな兵士の人形がぴっしりと整列していた

「お人形さんがこんなにいっぱい、しかもちょー綺麗に並んでるんですけど〜」

その整然とした美しいフォーメーションにボールを追いかけるのを忘れて見とれる
もしかしたら路上の操り人形みたいなパフォーマンスかもしれない
初めて見かけた時、かじりつくように見ていた事を思い出す

「いいなー、かわいくて好きなんだよねー」

転がるボールが石に躓き、跳ね上がる
先頭に居た人形にあわや直撃! するかに思えたが突如揃って動き出した人形が
陣形を組みなおして華麗に受け止めた
隊長格であろう人形が指示を出すような所作をすると、部下人形達が協力してボールを運んでくる

「わー! ありがと〜」

受け取ったのを確認すると、寸分の狂いもなく揃ってお辞儀
思わず拍手。 こんなに大勢の人形達がここまで動きを揃えて操られているのは初めて見たかも
一切無駄が無いかと思いきや、所々愛嬌のある動きを見せる人形達にすっかり魅了されていた

「ええと、こんにちは。 楽しんで貰えたでしょうか……?」
「あっ、こんにちはー! この間会ったよね! えーと、グレイシーちゃん! グレちゃんだね!」
「Wow! あの、覚えてくれていたんですか?」

どうやらこの素敵なショウを見せてくれた人形師の正体は、同じ組に配属された新人さん
ジェネラル・グレイシーちゃんだったみたい
凛々しい軍服姿に綺麗な長い金髪、スラリとしたスタイルのいい身体つき
留学生みたいなんだけど、日本語もとっても上手とくれば誰もが記憶に焼き付けるんじゃないかな

「もちろんだよー、すっごい綺麗な娘が居るーって思ってたから!」
「そんな、そんな事ないです。 ドリー……さんも、とてもカワイイですよ」
「もー! やだなー、照れちゃうよー。 それよりさー、グレちゃんのお人形さんだったんだねこの子達」

照れ隠しに話題をそらす

「そうです、これが私の魔法。 皆いい子達なんですよ」
「ちょーかわいかったよ〜、いいなーあたしもお人形さん動かしたいなー」

バラバラになる魔法も、それはそれでイリュージョンに使えたり
子供達の受けが良かったり、悪い事はないけれど
こういった一つの芸として完成している魔法にも憧れる

「人形だけじゃなく、大砲や戦車、飛行機なども呼べますよ」
「ほんと!? 見たーい」
「OK、いいですよ。 It's Show Time、です」

グレイシーが意識を集中する、人形達が手を取り合って一礼すると光の粒となって消えていき
魔力の渦からその分に応じた大砲や戦車などの機械人形達が姿を見せる
踊るように地を駆け、空を翔る人形達の姿は何だかとても神秘的な光景で、興奮してしまった

「すごい! すごいよー! グレちゃんの魔法!」
「ありがとう、そんなに褒められたのは初めてです」
「うーん、あがってきた! グレちゃんの大砲に花火とかいれてー
 飛行機も曲芸飛行とか出来そうだし……戦車の砲弾でジャグリングとか!?」

興奮のままグレイシーの手を取り、空想上でステージの構想を繰り広げる
彼女の魔法にも大きな可能性と夢が詰まっているのを感じた

「ドリーさん、とっても楽しそうですね」
「うん! だってこんな楽しい魔法を見せて貰えたんだもん!
 ねえねえ、あたしグレちゃんにお願いがあります」
「What? 何でしょうか」
「一緒にサーカスしてください! 魔法少女が集まってサーカスしたら
 絶対すごいショーが出来るって思うんだよねー、グレちゃんもその一人だよ!」

自分がどれだけ魔法少女で居続ける事が出来るかは解らないけど
それが私の唯一の我儘だから、せめてこの姿の時だけは大切な友達と追いかけたく思う

「私は……」

グレイシーが少しだけ困った顔を見せる。
そうか、留学生って言ってた……ずっとここに居られるわけじゃないのかも

「そっかー……グレちゃんもう少ししたら帰っちゃうのかー、うーん」
「ドリーさん……」
「でもでも、まだ時間はあるんだよねー? なら帰国するまでいっぱい遊びに行こう!
 あたしもグレちゃんと友達になりたいもん! それに絶対会えなくなるわけじゃないもんね!」

顔を伏せて申し訳なさそうなグレイシーに笑顔で答える

ある魔法少女が言ってくれた、私の笑顔が好きだと
だから私は自信と勇気を持つ事が出来た、悲しい事があっても笑顔で居れば前を向く力が湧いてくる
今は出来ない事もいつか出来るって希望を持てる
今回も同じだ、こうして知り合えた事が喜ばしい、いずれ彼女が帰国してしまったとしても絶対再会出来るって信じて笑うんだ

「ドリーさん、ありがとう」
「あははー、あたしこそ急にごめんね! ちょっと興奮しちゃって」
「いいえ、気にしないで下さい」
「あたしこそありがとうだよー。 んー! よーし! 決めた、今日はグレちゃんと遊びます!」
「Wow!」

握った手を引っ張って駆けだす
多少強引でお騒がせなのも、道化師ならではのご愛敬ということで一つ

「グレちゃんの事も、もっと聞かせてね!」
「はい……!of course! もちろんです」

また一つの出会いを重ねた、道化師を夢見る少女が織り成す思い出の舞台は
晴れやかに彩られていく事であろう
絆と希望を胸に秘めて幕は上がる、これからもきっと


ドリームメモリーズショート 麗しき人形師との出会い おわり

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