img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:玉藻 常夜


「ほうほう、ここがあやつが経営しとるという古道具屋か」
玉藻は「無間堂」という看板が付いた店の前に来ていた。知り合いである常夜が経営している小道具屋である。
知り合いとはいっても、もう数十年くらい顔を合わせていないが。
ここを見つけた理由は、他の魔法少女が常夜の事を話していたのを見た玉藻がその少女に聞いたところ、店に招かれたことがある、と答えたからだ。
気になった玉藻は早速その店に来てみることにしたのだった。
「確か、蒐集が趣味だったあやつが蒐集の旅に出かけて以来かの。店主は今不在のようじゃが」
そういって玉藻は店の中に入っていった。

「うーむ、相変わらず妖(あやかし)である儂が見ても悪趣味な品々じゃのう」
と、店内を見て回りながら玉藻はつぶやいた。
蒐集が趣味なのはいいのだが、そのセンスがどこかずれているのが常夜だ。
「稀代の策士鈴狐」と妖怪界で謳われた玉藻でもそのセンスは理解できない。
店にはマニアであっても買いそうにない珍品やよくわからない芸術品などが並べられている。
どれも購買意欲がかけらもわいてこないようなものばかりだ。
実際、玉藻と店主らしき人物以外に誰かが来た形跡はあまり残っていないようだ。
「む、この絵は珍しく良い品じゃの。値段も書いておらぬしただで貰うとしよう……」
「何をしているのですか?」
「変わった店を見かけたのでどんな店なのかなと思いまして」
突然別人のような声で話す玉藻。
いつの間にか店主ーーー常夜が戻ってきていたようだ。
「で、女狐がこのような古道具店に何の用があるのですか」
「ありゃ、わざわざ魔法少女の姿できて演技したのにばれたか」
「あなたが店に入ったあたりで戻ってきてとりあえず様子を見てましたから」
「むむっ、これは詰めが甘かったのう。独り言が出やすい癖だけはどうにも直らぬ」
「そんな癖もありましたね。それで?」
「うむ、実はな…………」
そういえば、この二人の関係を説明していなかった。
この二人は昔は……………




「魔法少女になれたから、おぬしに一番に儂の魔法を見せたかったのでな」





玉藻が常夜によくちょっかいをかけたり悪戯をしたりする関係だった。
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「おうおう、焼き討ちのごとく燃えておるのう」
離れた場所で玉藻は燃え盛る無間堂を見物していた。
あの後、魔法で炎を出した玉藻は出した炎をひょいっと床に落として逃げ出した。
今頃常夜がどんな顔をしているのか想像するだけでも面白い。
とはいえ、あくまで悪戯だ。火加減はしてあるのに気づけば炎はすぐに消せるだろう。
まあ気付かなければすべてが灰燼に帰すが、常夜がそこまで衰えたとは玉藻も思っていない。
「ふふふ、魔法少女とやらになって正解じゃったな。ここまで楽しい時間はいつ振りであろうか」
と、また独り言をつぶやく玉藻。
「ま、あやつがおるならば退屈するときなどないであろうな。これはどんなことよりも大きな成果よ。ははははは」
うれしそうに笑いながら玉藻は山奥に消えていったのであった。

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