img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:ジャック・R

初めまして「ジャック・R」

「おい!早く金を出せ!刺すぞ!」
「すぐには用意できません!待ってくだ……」
「うだうだ言うな!警察呼ぶつもりじゃねえだろうな!」
ナイフを持った強盗が叫ぶ。周りの人は震えて青ざめている。
だが一人の少女ーーー星山美夏は好機をうかがっていた。
彼女はまだ小学2年生だ。だが行動力は人一倍ある。このときは無謀でしかなかったが。
まだアニメや特撮が本当にあることだと信じれる年だった。どんな無謀なことでもアニメのようなことが起こると信じている年だった。
だから今強盗を青ざめず見ている。アニメのように強盗を倒してみんなを助けるために。
今思えばなぜそんなことを思っていたのか全く理解できない。いくら小学生でもアニメと現実の区別ぐらいつくだろうと。
だが強盗という子供にとって非現実である事態に、他人のことを人一倍思いやる彼女の思いが合わさり、みんなを助けたいと思ったのかもしれない。
ある種の恐怖から逃れる防衛行動だったのかもしれない。もっと別の理由だったのかもしれない。
だが今となっては過去の思いだ。
そして隙を見つけて少女は突進する。
「やああああああああああああああああああああ!」
「うおっ!何しやがんだこのガキ!」
だが突進を食らった強盗はよろめいただけだった。当たり前だ。ただの小学2年生の少女と大人の男では体力の差は歴然である。
それでも少女は転ばせるくらいはできると思っていた。アニメだとそういう事が起こっていたのだ。自分でも起こせるはずだと。
その思いは無残に壊され
「−−−−−−−−−あ」
左肩あたりにナイフが突き刺さっていた。強盗がイラついていたのもあり反射で刺したらしい。
とっさに避けようとしたこともあり致命傷にはならなかったが
(痛い痛い痛い痛いイタイイタイいたいいたいいたいいたい)
少女が絶望するのには十分だ。強盗はそのままナイフを抜こうとした。が、
「このっ!やめろ!」
「んだてめぇ!邪魔すんな!」
子供が傷つくのを見ていてもたってもいられなくなった青年が強盗にとびかかった。ナイフが床に落ちる。
思いが壊れ痛みに絶望した少女は目の前のもみ合いを見つめる。どうやら青年のほうが不利に見える。
助けなきゃ
少女は落ちたナイフを手に取る。左肩がとても痛いが気にしない。遠くからサイレンの音が聞こえてきたがキニシナイ。

助けなきゃ

それは殺人鬼として刺せるチャンスだと思ったのか

たすけなきゃ


壊れた思いをまだ信じ続けていたのか



たすけなきゃ



絶望しただけなのか




たすけなきゃ





今は思い出せない












ざくっ







「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
そのナイフは強盗に刺したはずだった。だが刺そうとした瞬間に体勢が入れ替わりナイフはそのまま助けてくれた青年に突き立った。
青年はそのまま倒れた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
心の壊れた少女はその青年を警察と救急が来るまで見つめていた。
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青年はそのまま亡くなった。刺さった個所が急所だったのと、警察はかなり早く到着したが救急が少し遅れたのが不運だった。
少女は一時警察に預けられはしたが、心身ともに衰弱しており、まだ子供であったことも含めてすぐに解放され、罪にも問われないことになった。
しかし、一部のパパラッチに情報が洩れ、スクープを得ようと星山家に押し掛けるようになった。
日に日に増えていくしつこいパパラッチ達に母は不満とストレスを募らせていく。その矛先は原因である娘の美夏に向けられた。
「あんたがあの時あんなことしようとしなければこんなことにならなかったのよ!」
「もう警察も来そうだったのよ!?なぜ無意味にあんなことしたの!?」
「もとから殺すつもりだったんでしょ!?でないとあんなこと普通の子供ができるわけがない!」
「あんたは人殺しよ!人殺しの殺人鬼よ!」

(わたしは………殺人鬼………?)
(でもお母さんの言うとおりだ)
(殺人鬼でなければ人を刺そうってこと自体思いつかない)
(でもわたしはあの人を助けたかっただけ)

(わたしは………………)



(わたしはなんなの……………?)
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「……………………」
夢を見ていた。小さい時の夢だ。
魔法少女になってからはや2週間。もうゼノちゃんとの活動にも慣れてきたころだ。
そんなときになってあの時のことを夢に見るのはなぜだろうか。
さっさと答えを見つけろというお告げか何かだろうか。それは考えすぎか。
「………まあいいや、とりあえず起きよう」
私ーーー星山美夏は大学1年生だ。いまは一人暮らしをしている。
母とはパパラッチが来なくなってからは仲は元に戻ったが、今も壁を感じることもある。
父には私のことを慰めながらも母とも話し合ったりしてとても迷惑をかけた。
もう懐かしいようにも思える記憶だ。
すべてはあの時がはじまりだったのかもしれない。
今私がこうして魔法少女となっているのも、その名前が殺人鬼が由来のジャック・Rなのも。
「………学校行こう」
そして今日も一日が始まる。
星山美夏のーーージャック・Rの、答えを探す一日が。

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