img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

夜も日付が変わろうかという時間

いつもどおり変身して、いつもどおり待ち合わせの場所に向かう

いつもと少しだけ違うのは、今日は手荷物が多い日だった

手作りのチョコレート、といっても音符型に型を取って固めただけだけど

それでも、頑張って気持ちを込めて作ったものだ

いくつか、数箱に分けて袋で持って行った中で、一つだけ特別に包んだ箱を用意した

中身は……ハート型チョコに音符を描き込んだ特別なやつを

待ち合わせ場所が近づくにつれ、心臓の鼓動をはっきり感じる

一人だけ違うのを渡して変に思われないだろうか?

しっかりと受け取ってもらえるのか?

考えるだけで胸が張り裂けそうになってきた……


そんなことを考えているうちに目的地に着いてしまった

パッとあたりを見渡すものの、早すぎたのかまだ一人しかいなかった

けどそれは、僕にとって千載一遇のチャンスを表していた

水色の髪の毛に、軍服ワンピース、厚い服からでも主張する豊かなお胸

そう、まさかの本命相手と一対一の場面になってしまった!

どうしよう、今渡すのがいいのかな?けど心の準備が……

心臓がドクン、ドクンと、本当に飛び出してしまうのではないかと思うくらい早くなっている

顔の方から熱くなるのを感じて、赤くなっているのがわかった

そして、それを見られているんじゃと考えたら、さらに心臓が早くなり、顔の熱も上がった

ここを逃したら渡す機会があるのかはわからない、ならもう腹をくくるしかない!


「ひぃ、ヒトミちゃん!?」

声をかけてみると、あの子が振り返ってきた

一体どうしたのか、と思うが如くゆでだこのようになった僕を見ている

心臓の響きは最高潮を迎えて、もう爆発してしまうのかと思った

けれど、あとは勢いで押し切ってしまえ!

袋の中から例の特別な箱を取り出して、間違えないかしっかり目で確認した

……思えば変な感じだ

初めて身内以外の異性に渡すチョコレートが、女の子の姿をしているのだから

そう思うとなんだか少しおかしくて……なんて考えていたら少し落ち着いた

よし、これならいける

優しくて思いやりがあって、ぶっきらぼうで乗り物に弱いけど、僕にとって大切な人

今、全身全霊の感謝と思いをこめて、この言葉をおくろう

「ハッピーバレンタイン!ヒトミちゃん!」

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