img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:正月の妖精マチカ アーティスティック・リリー




その日は、本当に突然訪れました。
私はある日、アーティスティック・リリーという人と協力して活動していました。
それで、仕事を終えた後に彼女が描いていた絵をたまたま見たんです。

「わあ〜とても絵が上手ですね〜」
「あら、ありがとう。わたし絵にはかなり自信があるのよ」
「そうなんですか〜あ、よかったら正月のものの絵も描いていただけませんか〜?」

もしこの人が正月の絵を描いてくれたらうれしいなぁと思って、私は何気なくそう頼んだんです。
それが、きっかけでした。

「リクエストね?いいわよ!正月のもの…んー、羽子板、振袖、女の子……っと。こんな感じかしら?」

それはまるで今にも飛び出してきそうな、きれいな正月の装いをした女の子でした。
絵に心奪われる、というのはこういうことを言うんでしょうか。

「すごいです〜まるで本物みたいです〜」

それを見た私はあんなに早くこんな素晴らしい絵を描いてくれたと感動しました。
その感動のまま、もう一度絵を見てみると………

「………あれ?この女の子って………」

よく見ると、振袖や髪型が私に似て………いや、そっくりでした。
その絵が鏡であるかと思うくらいです。

「ああ、ごめんね?貴女すごくお正月!って感じするし可愛かったからつい筆が乗っちゃって…嫌だったかしら?」

そう、言われたとき、私はなんだか不思議な気持ちになりました。
この街にはたくさんの魔法少女がいます。だから、着物や和服を着た子も珍しくありません。
だから、私が正月らしさを考えて選んだこの振袖を正月っぽい感じがするなんて言う人はいませんでした。
でも、彼女は、その正月らしさを理解してくれて、しかもかわいいとまで言ってくれた。
そんなことを言われるのは魔法少女になって………いや、人生で初めてのことでした。
だからそう言ってくれた時、なんだか心がきゅっとなって、とくん、とくん、と鼓動が大きくなって………

「………い、いえ〜!全然大丈夫ですよ〜!………あ、あの、この絵貰ってもいいですか……?」

思わず、そう言っていました。
もちろんこの絵は素晴らしいものです。こんな気持ちにならなくても欲しいと言っていたかもしれません。
だけど、なんだか言わなければいけない気がしたのです。
これはとても大切なものだって。

「ええ、勿論!即席の絵でよければ貰ってちょうだい!」

そういって、リリーさんは絵をくれました。
その絵を貰って、もう一度絵の中の女の子を見ました。
私がモデルの女の子。
リリーさんが私の事を理解して書いてくれた子。
つまり、彼女から見た私。
そう、改めて思うとどんどん鼓動が早くなります。
だから私は気づきました。





これが恋なんだ………って





「ありがとうございます〜!大切にしますね〜!…………その、もしよろしければまた今度絵を描いていただけませんか……?」

気付けば、そう言っていました。
また、彼女の絵が見たいと、無意識のうちに思っていました。

「ええ、構わないわよ。本格的に描くってなると時間かかっちゃうけど、軽いリクエストぐらいならいつでも受け付けるわ!」

そう、彼女は言ってくれました。
私からのちょっとしたわがままなのに。
ますます鼓動が早くなります。

「あ、ありがとうございます!……これからも仲良くしましょうね〜!」
「ええ!マチカちゃん、だっけ?こちらこそよろしくね!」

だから、そういって、もう一度会う約束をしてすぐに私たちは別れました。
だって、あと少しでもこの場に居たら、もう彼女に隠し切れないくらい顔が赤くなっていたから。




家に帰って、もらった絵を大切にしまった後。
私は変身を解いてベッドに寝転がりました。
まだ心臓はとくん、とくんと鳴り響いています。

「………何をしているのでしょう私は。女の人に恋だなんて………」

そうだ。
何が恋だ。
女の人同士がそんな思いを抱くわけがない。
真面目な私はそう思って想いを抑え込みました。

「………もう寝ましょう」

今日の想いはさっさと忘れてしまおう。
あんな感情を女の人に抱くなんて今日の私は疲れてるんだ。
真面目な私は女の人同士の恋なんかダメだと自分に言い聞かせながら眠りにつきました。




でも、結局寝てる間もとくん、とくんという想いの鼓動は鳴りやみませんでした。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます