img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:プリティー・ハート 美王

右が!左に!二人羽織りでアツアツのお鍋食わせるぽん!
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「ほーらプリハ様あーんしてー」
「きゃーあつーい☆ハートもっとふーふーしてからじゃないと食べられないよぉ><」
「ほらあーん」
「やだぁ☆熱いよぉ♪……いや、本当に熱っ……」
「あーん」
「熱……やめっ……やめろってんだろうがクソ女ァ!!!」

背後で箸を握る魔法少女は、視界を塞がれているとは思えない精密な動作で眼前の煮えたぎる鍋から大根を引き上げ、「プリティー・ハート」の口元に押しつける。
ハートはキャラを作るのも忘れてもがき、罵り、どうにか大根から逃れようとするが叶わない。二人羽織りで体勢を固定されているのだ。
瞼からは自身の魔法である「デバフのハート」を飛ばすことも出来たが、相手の身体は自分の首が回らない真後ろにあり、届かない。
ならばと思い、視界に映る箸を持った手を狙ってみたが、これまた見えているとしか思えない動きでひらひらと躱され、
その度に熱々の大根がハートの頬を撫でた。八方塞がりである。

「大体!なんで私らがこんなことさせられてんだよ!?」
「あはは、天下の魔法少女もゾロ目とダイスには逆らえないってねー」
「はぁ!?意味分かんな……熱い!!」

なぜこのような理不尽に巻き込まれているのか、ハートにはさっぱり理解できない。
しかしながら後ろの魔法少女が、他人をからかって遊びその反応を楽しむという性根の捻くれきった女であることは知っていて、
ハートは彼女の言うダイスの導きとやらを呪った。

「クソッ!何でよりにもよってコイツが後ろなん……あッつッ!!」
「もー好き嫌いしてちゃ大きくなれないよ?……あ、そっか」

「好きにさせちゃえばいいのか」と、後ろの魔法少女が呟くと、箸に刺さった大根が淡く輝きだす。
しまった、と思った時には遅く、ハートはそれに視線を釘漬けにされた。目を離すことが、出来なかった。

「あ……」
「とっても素敵に見えてきたでしょ?これなら食べられるよね♪」

――触れたものに偽りの魅力を付与するこの女の魔法。箸を介しても発動できるのか――!
「羊頭狗肉」という言葉をまさしく体現する嘘吐き魔法少女「美王(メイワン)」の能力を思い出し、ハートは絶望し、魅了された。大根に。
今、彼女の目には、程よくつゆの染みた茶色の大根が、この世のどんな上等な宝石よりも美しく輝いて見えている。
嫌いではないが別段、好きというわけでもないおでんの具が、生まれつきの大好物であるかのように見えている。

――食べたい。食べたい食べたい。口に入れたくて仕方がない。

「だめぇ……そんなにされたら食べたくなっちゃうよぉ……♥」

ハートは大根の形をした魅力の塊に抗えず、ついに大口を開け、

押し付けられるまでもなく顔を近づけ、

熱々のそれを一口で、

がぶりと、







「美味し……熱っっっつぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
「ちゃんと食べられたねー偉い偉い♪」

口内に入った瞬間に魔法の効力は失われ、そこには味もなにもない、ただ口を焼く熱だけが残った。
ハートは悶え、「いやープリハ様はいいリアクションしてくれるなー」という後ろの魔法少女のご機嫌な声をどこか遠くに聞きながら祈った。

――ダイスの神よ、もし本当におられるのでしたら、どうか二度とこの性悪嘘吐きクソ羊女と私を引き合わせないでください――

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