img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:イデアール

〜〜〜〜〜


「おっはよー!」

勢いを付けて登校してる友達の背中を叩く

「うわっ!あぶないだろ!」

「あははごめんごめん!」

今日も元気に学校へ向かい、仲のいい友達と前日見たテレビの話題に花を咲かせ、先生がやってくるのをを待つ。

ガラッ
「皆おはよう!今日はいい天気で気持ちいな!よーし体調が悪い人は居るかー?居たら手を挙げて言うんだぞー」

「はーいはーいはいはいはーい!」

「…お前のどこが体調が悪いんだ」

「…てへっ♪」

教室が笑いに包まれる。先生もいい先生だしクラスのみんなもノリがいい良いクラスだ。

「さーて1時間目から体育!張り切っていこー!」

「お前朝からテンションたかいなぁ、あー体育とかめんどくさ…」

「健全な精神は健全な肉体に宿るのです。ホラホラ行くよ!」

「ちょ…ちょっと待てって!まだズボン半分しか履いてない!ぁぁぁ…!!」

「あいかわらず―─さんは元気ねー…」


今日の体育はマラソンだった

「ハァ…ハァ…朝っぱらからなんでこんな事せにゃならんのだ…」

「ホラホラ息上がってるぞ!」

「う…うるさい…ってか前見て走らないと─」

「…あいた!」

盛大にずっこけてしまった。

「ったく何やってんの…ホラ」

「あはは…失敗失敗」

わたしは友達が伸ばしてくれた手をつかもうとして─



その手は空を切った



〜〜〜〜〜

真っ白な天井、いつもと変わらない光景、もう家の天井が思い出せないくらい病院(ここ)に居る期間の方が長い。

「夢…か…そうだよね…あんな風に元気に走り回るのなんてできるわけないよね…ケホッコホッ」

咳と共に少し血の味がする。いつもの事。

─わたしの名前は想々院 豊(そうぞういんゆたか)。9歳の小学3年生…なんだけど学校にはほとんど行ってない、いや行けてない。

生まれた時から体が弱くて激しい運動はもちろん普通に出歩くのも気を付けないといけないってお医者さんが言っていた。

パパもママもお見舞いに来てはくれるけどずっと一緒に居られるわけではないし、仕事が忙しくて来れない時もあるから寂しい。

学校のみんなも時々お見舞いに来てくれて学校で何があったのか聞かせてくれる。

いろんな話が聞けるのはとっても楽しいし嬉しいけど、一緒に体験できるわけじゃないから同時につらくなる。

いつか学校に行けるようになった時の為に勉強も頑張ってる、頑張りすぎてだいぶ先の内容まで身に付けてしまった。

でもいつまで経ってもよくなる気配のない毎日を過ごしているともしかしたら一生学校に通えないんじゃないか、と怖くなる。


誰もいない時は本を読んだりテレビでアニメを見たりする、でも毎日毎日同じ本を読んだりしていると中身も覚えちゃうし、アニメだってもう見飽きていた。

最初は自分に合った本を読んでいたけど、内容を覚えてしまうと少しづつ背伸びした内容の本にも手を出すようになっていた。

背伸びした内容の本にとどまらず色んな本に手を出しているうちに魔法少女になれる都市伝説!?と言うちょっと変わった話題を見つける。

なんでも魔法少女育成計画と言うソーシャルゲームをやっていると本物の魔法少女になれちゃう!らしい。

魔法少女…人を助けたり友達と協力して悪者をやっつけたりそれ以外も色々やっている、全てが不自由なわたしからしたら羨ましくて仕方ない存在。そして最も遠い存在。

スマートフォン自体はもともと友達との連絡やゲームで遊ぶために持っていたので噂を知ってすぐにプレイを始めた、本気で信じていた訳では無かった。

体調が悪化しない程度にゲームをしたり本を読んだりテレビを見たり、本やアニメしか見てなかった時より少し楽しかった。

始めてから数週間が経った頃、ちょっと無理をし過ぎて体調を崩してしまう。

朦朧とする意識の中で夢を見た、学校に元気に通う姿、本で読んだような勇者になって冒険に出る姿、絵本で見たお姫様になって舞踏会に出る姿、推理小説の探偵になる姿、今まで読んだ本の主人公になっていた、そして憧れの魔法少女にも。

わたしも普通に生きたい、色んな事を体験したい、物語の主人公みたいになりたい……目を覚まし、身体が自然と動いた。

わたしを魔法少女にしてほしい─その思は涙となり頬を伝い、液晶に零れ落ちた





─あなたは魔法少女に選ばれました!





夢のような現実が、そこにはあった。











─魔法少女の前日談 イデアール─

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます