img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:クライム・PF

「おつかれさまでした」
今日もいつもと同じように挨拶を済ませ仕事先から帰路につく

──俺の名は紙谷 匠折(かみやこうせつ)、34歳のフリーターだ。
別に社会に適合できずフリーターになったのではない、元々はとある会社の社長だった…がちょっとした事件でその座から蹴落とされることになった。
元々貧乏な家庭に生まれ、親父は俺が幼い頃に死に、お袋が女手一つで育ててくれた。
そんなお袋に恩を返すために必死で勉強をし、そこそこの所に就職、更に金を稼ぐ為に起業した。
…まあそのお袋も俺が起業して少し経った頃に病気で死んでしまったのだが、何のために金を稼ぐのかわからなくなってしまったから蹴落とされたのはむしろ良かったのかもしれない。

「ふぅ…」
こじんまりとしたボロアパートに帰り一息つく
こんなものしか用意できなくてすみません、と社長時代の秘書が言っていたが今の俺にはこの程度でいい。
狭くも無く広くも無くどことなく昔を思い出す感じ、むしろ気に入っているくらいだ。
今の俺には何もない、守る家庭も親族も、生きる意味も目標も無い、ただ何となく死なない為だけに最低限の金を稼ぎ生きている。
この状態を生きていると言っていいのだろうか、そう思う時も多い。
「…今日のデイリーこなしておくか」
腐した思考はほどほどにして毎日やっているアプリゲームを立ち上げる、人気無料ソーシャルゲーム「魔法少女育成計画」。
いい歳したおっさんの俺がこう言うのをやるのはいささかよろしくないが、今の課金を強いられるゲームが多い中完全無料という部分が気に入った。
プレイしていると本当に魔法少女になれるという都市伝説も気に入っている、夢があって大変よろしいじゃないか、このクソッタレな現実によりずっと良い。
小さい頃俺もこういう正義の味方に憧れたもんだったな、と思いつつ今日もプレイを─

─あなたは魔法少女に選ばれました!

こうしてとある男の不幸な日常は唐突に終わりを告げたのであった。


─魔法少女の前日談 クライム・PF─

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