img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:プリズナー ポワン・ルージュ

『竜と拳:01』


「Fus Ro Dah!」

大気は震え、木々はざわめき、遠くに見える街灯の光さえも歪ませてしまいそうな猛々しき咆哮。
私の全身は硬直し、まるで石になったかのように指一本も動かせなかった。
彼女曰く”竜の言葉”なる魔法、それは私の想像を遥かに超えた威力だった。
咆哮をまともに浴びたであろう相対していた者は、よろめき崩れその場で呻き始めた。
そう、咆哮を浴びたのは私ではなく”私達を襲撃してきた者”なのだ。
僅かな隙を突かれた私を庇うために、”パートナーである彼女”が繰り出した切り札である。
その咆哮の主の名前は―――





それはいつものように活動を終え、人目を避けるため少し街から離れた山を帰路に選んだ日だった。
辺りは街灯も人の気配も殆ど無く、月明かりだけが頼りな暗闇に支配されていた。
ふと私は少し開けた場所に佇む奇妙なモノに気が付いた。

「何なのこの人…え、この人も魔法少女…なの?」

それは魔法少女と呼ぶにはあまりにも禍々しい姿。
例えるなら、いかにも男の子に人気がある剣と魔法のファンタジーの漫画に出てきそうな、全身を覆い尽くし黒く鈍い光を放つ竜の意匠の鎧。
私は恐怖と威圧感が入り混じった想いに囚われ思わず足を止めてしまう。私の存在に気付いたのかその人物はこちらに振り向いた。
目を離すことが出来なかった。そもそも言葉が通じるのだろうか、この人は自分の敵なのだろうか。
圧倒的な存在感に精神が押し潰されそうになりながらも、思考をめぐらし相手の様子を伺う。

「我が名はプリズナー…」

プリズナーと名乗った黒い鎧騎士の声から女性と判断は出来たが、頭部を覆う兜のせいか重々しく仄暗くくぐもった声色をしていた。

「…(今あの人プリズナーって言ったよね…?プリズナーってあの囚人のプリズナーって意味なのかな…)」

聞き取れた単語に考えを巡らせていると、鎧騎士は言葉を続けた。

「お前は何者だ。此処はどこだ。」

そう問い掛ける鎧騎士は腰に下げている剣に手を添えていた。

「あ、あーっあのっ…!私っ…ポワン!ポワン・ルージュって言います…!…えーと、貴方も魔法少女…さん…ですか?」

恐ろしい風貌をしているとはいえ、初対面の人に敵対関係を築くほど私は好戦的では無いつもりだ。
恐る恐る尋ねると鎧騎士は――

「…マホウ…ショウジョ…?…今魔法少女と言ったのか…確かに…我はそのような存在らしいな……お前もか?」
「えー、あっ、はい…!このエリアで活動してます…!…ええと、プリズナー…さんもこのエリアを担当されてるんですか…?」

どうやら敵と見做されてはいないようだ。このまま会話を続けてみることにした。

「…担当か…良く分からん。…何せ我には記憶が無い。」
「えぇ!?…それって記憶喪失って奴ですか…?」
「…どうやらそうだな…我が覚えているのは自分の名前と自分が魔法少女ということだけだ。」
「そうだったんですか…あ、そうだ!折角こうしてお会いしたんですから良かったら私とパートナーとか組んでみませんか!?
 もう他の子と組んじゃってるならすいません…!」

我ながら大胆な切り出しだと思った。
そりゃそうだ。仲間や友達は多いに越したことはない。

「……手を組めというのか…出会ったばかりの我と…」
「そんなとこです…!魔法少女同士はコンビで活動するものって聞いてません?」
「…あぁ、胡散臭い妖精がそのような事を言っていたな。」
「そーですかー…じゃあ、どうです?組んでみません?」
「………」

少しの沈黙の後、プリズナーさんは口を開いた。

「…良いだろう…とりあえずは現地の情報を集めたい。共闘を承諾した。」

やった!

「え、本当ですか!ありがとうございます!一緒に魔法少女ッ頑張りましょう!!ポワン・ルージュです!改めてよろしくお願いしますッ!!」
「…プリズナーだ…よろしく頼む。」

後で振り返ると嘘みたいな話だなって……まさか本当にこの鎧騎士さんと共に魔法少女をやっていくことになるなんて…


to be continued...?

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