なでなで、なでなで。
僕のひざの上でうつぶせに寝転ぶネロを、きるだけ、優しくなでる。
ふわふわとした髪の毛が、手のひらに心地よく感じられる。
「ふわ……むふー……」
リラックスした様子で身をよじる。なで方なんて良く分からなかったけど、これで良いみたいだ。
「きもちいいー……」
心底気持ちよさそうに、そうつぶやくネロを見て、僕も自然と頬が綻ぶのを感じる。
「そんなに気持ちいいかい?」
「うん……すっごくきもちいいよぉー、こばやしぃ……」
気だるく答える。ぽかぽかとした陽光が差し込む部屋は、程よい暖かさと静けさに包まれており、のんびりするには絶好だ。
「ごめんね、こばやしぃ……急に、変なお願いして……」
少し照れた様子で、ネロは言った。
今より数刻前、コーヒーを飲みながらくつろいでいたところ、突然ネロが来て、僕に「変なお願い」をした。
――頭、なでて欲しい。
(まあ、ちょっと驚いたけど――)
「僕は別にかまわないよ。これくらい、お安い御用さ」
軽く微笑みかけて、話しかけられて一旦とめていたなでなでを再開する。
僕の手の動きに合わせて、ネロがもぞもぞと反応するのを、しばらく手のひらとひざ上で楽しんだ。
ひどく穏やかな、落ち着く行為。
「ねえ、こばやしぃ……もういっこだけ、お願い、いいかな?」
「ん、なんだい?」
「その……トイズでさ、こばやしのこと、触ってもいい?」
彼女のトイズ、「トライアセンド」。その能力は電子機器の制御で、応用すると――。
「別に構わないよ」
「……んっ」
ごろんっ。
寝返りをうって、ちょうど僕がネロに膝枕をしているような体勢になる。
向き直ったネロの、熱っぽい、潤んだ瞳が、僕を見つめている。
すっ。
僕の頬に向かって両手を伸ばす。
潤んだ瞳に異能の光が灯り、電子の手のひらが、僕の心に触れる。
「……んー、んんー」
そのまま、ネロは僕の頬の感触を確かめるように、むにむにとなでさすった。
「どうかしたかい、ネロ?」
「ううん、ただ、落ち着くなぁって思って」
「落ち着く?」
むくり。
起き上がり、僕のひざの上にちょこんと座って、真正面から僕を見据える。
「小林の心を感じると、すごく落ち着くんだ」
ぎゅうっ。
「!」
言いながら、ネロは僕にもたれかかるように抱きついてきた。
「お願い、ちょっとだけ、このままで……」
「ネ、ネロ、ちょっと……」
触れていいとは言ったが、身体を密着させていいとは言ってない。
ネロの細い身体を全身で感じてしまい、さすがに慌てる。
「だいじょーぶだよ、僕のトイズじゃ、人間の思考までは読めないから」
「そういう問題じゃ……」
「だから、ちょっとくらいならえっちなこと考えてもいーよ」
「え、ええぇ!!?」
え、えっちなことって!!
「……んんー?なんだか、小林の心が『ざわざわ』してきたよー?ひょっとして、今えっちなこと考えてる?」
「も、もうおしまい!離れなさい、ネロ!」
「んふふー、へーきへーき、僕は気にしないからさ〜」
ぎゅうぅ。
僕の願いとは逆に、ネロは腕の力をさらに強めた。
「ぼ、僕が気にするんだー!」
それでも、力ずくで引き剥がすことは多分できるけど……今は、僕自身このままでいたかった。
時もゆるく流れる、このあたたかな空間を、少しでも長く味わいたかったから。
僕のひざの上でうつぶせに寝転ぶネロを、きるだけ、優しくなでる。
ふわふわとした髪の毛が、手のひらに心地よく感じられる。
「ふわ……むふー……」
リラックスした様子で身をよじる。なで方なんて良く分からなかったけど、これで良いみたいだ。
「きもちいいー……」
心底気持ちよさそうに、そうつぶやくネロを見て、僕も自然と頬が綻ぶのを感じる。
「そんなに気持ちいいかい?」
「うん……すっごくきもちいいよぉー、こばやしぃ……」
気だるく答える。ぽかぽかとした陽光が差し込む部屋は、程よい暖かさと静けさに包まれており、のんびりするには絶好だ。
「ごめんね、こばやしぃ……急に、変なお願いして……」
少し照れた様子で、ネロは言った。
今より数刻前、コーヒーを飲みながらくつろいでいたところ、突然ネロが来て、僕に「変なお願い」をした。
――頭、なでて欲しい。
(まあ、ちょっと驚いたけど――)
「僕は別にかまわないよ。これくらい、お安い御用さ」
軽く微笑みかけて、話しかけられて一旦とめていたなでなでを再開する。
僕の手の動きに合わせて、ネロがもぞもぞと反応するのを、しばらく手のひらとひざ上で楽しんだ。
ひどく穏やかな、落ち着く行為。
「ねえ、こばやしぃ……もういっこだけ、お願い、いいかな?」
「ん、なんだい?」
「その……トイズでさ、こばやしのこと、触ってもいい?」
彼女のトイズ、「トライアセンド」。その能力は電子機器の制御で、応用すると――。
「別に構わないよ」
「……んっ」
ごろんっ。
寝返りをうって、ちょうど僕がネロに膝枕をしているような体勢になる。
向き直ったネロの、熱っぽい、潤んだ瞳が、僕を見つめている。
すっ。
僕の頬に向かって両手を伸ばす。
潤んだ瞳に異能の光が灯り、電子の手のひらが、僕の心に触れる。
「……んー、んんー」
そのまま、ネロは僕の頬の感触を確かめるように、むにむにとなでさすった。
「どうかしたかい、ネロ?」
「ううん、ただ、落ち着くなぁって思って」
「落ち着く?」
むくり。
起き上がり、僕のひざの上にちょこんと座って、真正面から僕を見据える。
「小林の心を感じると、すごく落ち着くんだ」
ぎゅうっ。
「!」
言いながら、ネロは僕にもたれかかるように抱きついてきた。
「お願い、ちょっとだけ、このままで……」
「ネ、ネロ、ちょっと……」
触れていいとは言ったが、身体を密着させていいとは言ってない。
ネロの細い身体を全身で感じてしまい、さすがに慌てる。
「だいじょーぶだよ、僕のトイズじゃ、人間の思考までは読めないから」
「そういう問題じゃ……」
「だから、ちょっとくらいならえっちなこと考えてもいーよ」
「え、ええぇ!!?」
え、えっちなことって!!
「……んんー?なんだか、小林の心が『ざわざわ』してきたよー?ひょっとして、今えっちなこと考えてる?」
「も、もうおしまい!離れなさい、ネロ!」
「んふふー、へーきへーき、僕は気にしないからさ〜」
ぎゅうぅ。
僕の願いとは逆に、ネロは腕の力をさらに強めた。
「ぼ、僕が気にするんだー!」
それでも、力ずくで引き剥がすことは多分できるけど……今は、僕自身このままでいたかった。
時もゆるく流れる、このあたたかな空間を、少しでも長く味わいたかったから。
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