俺ロワ・トキワ荘にて行われている二次創作リレー小説企画の一つ。Perfect World Battle RoyaleのまとめWikiです。

山を登れば、そこでは猿と猿が喧嘩していた。
いや、正確に言えば片方は人間なのだが。
2メートルを優に越える巨体、褐色の肌。
ぱっと見はゴリラにしか見えない。
……流石にそれは失礼か。

それはさておき、もう片方は完全に"猿"だった。
つぶらな瞳、出っ張った口、そして全身から生える毛。
まごうことない、猿だった。
但し、只の猿ではない。
その身につけている数々の道具。
頭には羽のついた赤い兜。
体には赤のロングコートを纏い。
足には白のロングブーツを履いている。
そして、手には黄色い蛇腹剣。
誰しもが一度は見たことがあるであろう存在、聖堂騎士の装備だ。
では、なぜそれを"猿"が持っているのか。
「くっ……」
そこまで考えたとき、対峙していた男の体勢が崩れる。
猿とはいえ、さすがは新人類と言ったところか。
このまま見ていて男が殺されるのは忍びない。
「はぁっ!!」
勢いよく足を蹴り上げ、烈風を迸らせていく。
猿の真後ろ、完全に虚をつく形で襲いかかる。
「グギャッ!!」
何とも獣らしい醜い声を上げ、猿が悶絶する。
と、同時に猿も男も自分の存在に気がついたようで、両者共に自分を見つめる。
そして、猿はさらにもう一つのことに気がつく。
自分が、挟まれているということに。
「グルゥ……」
さすがに劣勢だということに気がついたのか、猿はその場から逃げだそうとする。
もちろん、アーデルハイドはそれを見逃すことはしない、だが。
「やめておけ」
そんな彼の行く手を遮るのは、対峙していた男だった。
不可解な行動に、アーデルハイドは思わず睨んでしまう。
「……何故だ?」
「無益な殺戮は好まん、動物など放っておけばよいのだ」
「しかし」
もちろん、アーデルハイドが反論する。
だが、男は落ち着いた目つきで言葉を返す。
「分かっている、分かっているからこそ奴は逃がした方がいい」
そして、頬を歪めながら言う。
「ヤツは、初めて味わうだろうからな」
アーデルハイドはその言葉の意味を少しおいてから、理解した。
ああ……そういうことか、と。



逃げる、逃げる、逃げる。
まさか新手が来るとは思っていなかった。
油断していた、心に綻びがあった。
猿になろうが、旧人類ごときに負けるわけがないと、そうタカを括っていたからだ。
どれだけ束になろうと、敵ではない。
常日頃から、そう思っていたのだから。
だがどうだ、先ほどの自分は何の力も持たない男一人すら倒せなかったではないか。
挙げ句、別の男に奇襲を許し。
無様にも逃げ続けることになった。
苛々する。
この体では空が飛べないことも、今まで当然のように虐げてきた旧人類に見下されることも。
なぜ、こうも上手く行かないのか。
旧人類など、ただ我らに虐げられていればよい存在だというのに。
なぜ、なぜ、なぜ――――

足を止める。
目の前に男が現れたから。
聖堂騎士は再び剣を構え、男へ襲いかかろうとする。
相手が一人ならば、大丈夫。
旧人類一人ならば、この姿でも戦える。
先ほどのようなヘマは、もうしない。

「こりゃあ……いい話のネタが出来た」

出くわしたサングラスの男が、くつくつと笑う。
本当に可笑しいものを見ているように、くつくつと笑う。

「逃げな、俺は動物虐待の趣味はないぜ」

男が吐いた台詞、それは二度目の出来事。
新人類たる聖堂騎士にとって、二度目の"見下される"感覚。
牙をむき、獣独特の唸り声を上げながら男に切りかかっていく。
だが、怒りにまかせた攻撃は当然読まれている。
ひょいと避けられ、さらにすれ違いざまに"視"られる。
べちゃっ、と肉が地面に落ちるような音が重く響く。
その瞬間、聖堂騎士の獣の体が鉛のように重くなる。
体が思うように動かない、というべきか。

「まぁ、そう焦りなさんな」

自由の利かない体に困惑すると同時に、男は笑いながら聖堂騎士の側へと近寄る。
そして鋭い蹴りを叩き込み、聖堂騎士の体をふわりと浮かしていく。
そして、ぴったりはまっていたはずの兜が脱げ、手から蛇腹剣をこぼしてしまう。
さらに、あろうことか用意された道具袋まで落としてしまった。
吹き飛んだ先からあわてて装備を取り戻そうとするものの、体が重くて上手く動かない。

「これは、預かっておくとするかねぇ」

そうこうしているうちに、男が剣と兜と袋を拾う。
ニヤニヤと笑いながらその兜を頭に填め、剣を片手に携えていく。
その姿を、聖堂騎士はただ見つめることしかできない。

「じゃあ、せいぜい人間以下の暮らしを頑張りなよ」

最後まで笑いながら、男はその場を立ち去っていく。
聖堂騎士は、ゆっくりながらもそれを追いかけようとする。
が、速度が段違い。
聖堂騎士が一歩歩く頃には、男は十歩ほど歩いている。
そうして、だんだんと距離を離され。

ついには、見えなくなってしまった。

怒りをぶつけんと、猿はその場で地団太を踏んだ。

まるで、人間のように。

【E-5/中央部/1日目・昼】
【バーナード・ホワイト@アウトフォクシーズ】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、「ヨシダくん」、「サトウくん」
[思考・状況]
基本:ミュカレを殺す
1:アーデルハイドと情報交換

【アーデルハイド・バーンシュタイン@THE KING OF FIGHTERS】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ローズ人形、不明支給品(0〜2)
[思考・状況]
基本:殺し合いとルガールの抑止、殺し合いに参加しない人間を募る
1:バーナードと情報交換
[備考]
※ローズ人形は手放すつもりはありません
※アーデルハイドの行き先は後続にお任せします。

【E-4/東部/1日目・昼】
【塞@エヌアイン完全世界】
[状態]:左腕重傷
[装備]:ヘビィ・D!のサングラス
[道具]:基本支給品、不明支給品2〜6
[思考・状況]
基本:自らが受けた任務を果たす
[備考]
※自前のグラサンは割れました

【テンペルリッター(一番部隊隊長)@エヌアイン完全世界】
[状態]:猿化、移動低下、ダメージ(小)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:旧人を狩りつつ、草薙京を探して決着をつける。京の他に自分と戦える相手がいるならば会いたいが、そんな相手はいないとも思っている。
1:激おこぷんぷん丸
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051
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050:リバースカードをオープン
時系列順
052:アホウドリを捕獲しました
投下順
039:おさるのカーニバル
テンペルリッター(一番部隊隊長)
066:リ・スタート
バーナード・ホワイト
065:見えない目覚めの刻
036:ばいばい
037:空白の選択肢
アーデルハイド・バーンシュタイン

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