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クイズマジックアカデミー天の学舎
QUIZ MAGIC ACADEMY 天の学舎
稼働日:2014年1月23日
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製品情報2
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天の学舎 Wiki
マジックアカデミーの一生徒である君が、 偉大な魔法使いとなるべく 修練を積んでいたある日のできごと。 寮内の自室に突然飛び込んできた光の球。 それは背に羽を持つ小さな精霊、 『妖精』と呼ばれる種族だった……。
君は魔法学校『マジックアカデミー』の一生徒。 いつか偉大な魔法使いとなるべく 修練の日々を送っている。 |
そんなある日、寮内の自室に 飛び込んでくるものがあった。 |
不思議な輝きを放つ光の球。 その動きには明らかな意思が感じられた。 |
光球は室内をしばらく旋回していると、 君の存在に気づいたかのように 動きが緩やかになる。 |
やがて動きとともに光も弱まってくると、 そこに小さな人影が浮かぶ。 |
それは背に羽を持つ小さな精霊、 『妖精』と呼ばれる種族だった。 |
あなたが出会ったのは、どの妖精? | |
真面目で責任感の強い 女の子妖精。 | |
常に余裕をもった言動の 男の子妖精。 | |
テンション高めでお気楽主義な 女の子妖精。 | |
人見知り気味でやや弱気な 男の子妖精。 |
はじめまして、私はティアルと言います |
妖精はそう名乗った後、 ここは人間の魔法学校かと尋ねてきた。 君が肯定すると、ホッとしたように後を続ける。 |
あなたは『天の学舎』を御存知ですか? |
『天の学舎』はここよりはるか上空にある 妖精達の魔法学校で、そしてティアルは そこで魔法を学ぶ生徒の一人だという。 |
学舎ではお天気の変化は滅多に無いんですけど、 この間突然大きな嵐がやってきたんです。 経験の無いことだったので、みんな大騒ぎでした |
そんな中、私も激しい風に巻き込まれて……、 気づいたらこの付近まで落ちてきてました |
見知らぬ土地の上、学者の位置も分からず、 帰れなくなってしまったんです |
確かに何の目標も無く、高高度を 目指すのは無謀すぎる行為だろう。 |
でも、この神器も一緒に吹き飛ばされてたのは 不幸中の幸いでした |
これは『天の学舎』に縁の深いもので、 おそらく学舎への道標となってくれる筈です |
ただそれには魔力が必要で……、 魔法使いであるあなたに 力を貸してもらえないでしょうか? |
突然の来訪者とその懇願に君はやや当惑する。 しかし彼女が困っているのは事実のようだ。 |
聞けば協力の方法というのも、神器と呼ばれる このマジックアイテムに魔力を注ぐことらしい。 |
それならば、と君は申し出を承諾することにした。 |
ありがとうございます! 宜しくお願いしますね |
真剣だった面持ちを崩して喜ぶティアルを見て、 君はこれも経験の一環だと思うことにした。 |
突然失礼。 以後お見知りおきを |
突然現れた妖精は、そう言って丁寧に一礼した。 |
一つお尋ねしたいのですが、 こちらは人間の魔法学校でしょうか? |
肯定すると、妖精──セレストは何事か 思案した後、君に笑顔を向けた。 |
あなたは『天の学舎』をご存知ですか? |
『天の学舎』はここよりはるか上空にある 妖精達の魔法学校で、セレストはそこで魔法を 学ぶ生徒の一人だという。 |
先日学舎でとても大きな嵐がありましてね。 学舎で天候が変化することは滅多にないため、 皆右往左往の大騒動だったのですが…… |
その混乱の最中、私はその嵐に巻き込まれ、 気が付けばこの近くに落ちてきてしまって おりました |
そのため早く学舎に帰りたいのですが…… 見慣れぬ土地な上、学舎の位置も分からず、 途方にくれていたところでした |
大げさに両手を広げ、肩をすくめて見せる。 |
ただ一つ、不幸中の幸いだったのが、 この神器が一緒に落ちてきていたことです |
これは天の学舎に縁が深い物で、 恐らく学舎への道標となってくれる はずなのですが…… |
この神器が力を発するには、魔力が必要です |
そこで、魔法使いであるあなたの力を 貸してはいただけませんでしょうか |
聞けば、力というのはその神器に魔力を注いで いくことだと言う。 |
それくらいならと、君は力を貸すことにした。 |
有難うございます。 宜しくお願い致しますね |
突然おじゃまします! あたしティアルといいます! |
このたびはお願いがあって参りました! |
キミを魔法使いさんと見込んで、 あたしが『天の学舎』に帰るのを 是非ともお手伝いいただきたい! |
………………………………………… |
突然の闖入者に対し、 事態を飲み込みかねている君の様子に ティアルと名乗った妖精は焦りだす。 |
あ、あれ? やっぱあたし達って こっちじゃ珍しいのかなー |
あーあー落ち着いて、 夢じゃないですよ? ほっぺたつねろうか? |
大丈夫大丈夫、 基本無料ですよ? |
そう言って小さな手を差し出してくる ティアルの提案を君は丁重に辞退した。 |
おおぅ、断られた……。 この上げた両の手はどうすれば |
いひゃい |
違う! こんな事しに来たんじゃない! |
コホン……、お騒がせしました。 じゃ、順を追って説明するね |
頬を少し腫らしたティアルが始めた説明は 要約すると次のようだった。 |
1:ここより遥か上空に 『天の学舎』という 妖精達の魔法学校がある。 |
2:自分もそこで学ぶ生徒である。 |
3:その所在地ゆえ、普段は天候に 左右されない『天の学舎』ですが、 ある時大きな嵐がやってきました。 |
4:これまでにない事態に学舎は大混乱。 いたいけな少女ティアルも 強風に巻き込まれてしまいます。 |
なんということでしょう、 気付いた時には見知らぬ土地。 帰ることもままなりません。 |
5:だけどラッキー!! ティアルさんの元には一緒に 吹き飛ばされてきた神器がありました |
はい、こちら神器さん。 我らが『天の学舎』が誇る マジックアイテムです! |
悲劇の迷い子が帰るための道標に なってくれちゃったりするのですよ! 多分! |
つきましてはこちらに魔力を溜める ご助力いただけませんでしょうか! |
一気にまくしたて、 肩で息をしているティアルを見ながら 君は思案する。 |
神器とやらに魔力を溜めることに、 それほどのリスクは感じられない。 魔法使いとしての修練の一環にもなるだろう。 |
そもそも賢者を目指す身としては、 助けを求める者を見過ごすことなど 出来なかった。 |
君はティアルの申し出を承諾することにした。 |
ほんと!? わーありがとー |
じゃ、じゃ、ちょっといいかな? |
ティアルは君にVサインを作って こちらに向けてくれと願ってきた。 |
はーい交渉成立! びくとりー! |
君の人差し指と中指の先に小さな両手を合わせ、 ハイタッチのような形を作りながら ティアルは満足げにそう叫んだ。 |
あ、あの! ちょっと聞きたいんだけど、 ここは人間の魔法学校……かな? |
肯定しつつ尋ねる。 君は何者なのかと。 |
あ、ご、ごめんね! そうだよね、 いきなり入ってきてこれじゃあ不審者だよね |
ぼ、僕はセレストっていうんだ。 『天の学舎』の生徒なんだけど…… あ、『天の学舎』って知ってる? |
『天の学舎』はここよりはるか上空にある 妖精達の魔法学校で、セレストはそこで 魔法を学ぶ生徒の一人だという。 |
学舎はいっつも晴れててあんまり天気が 変わることってないんだけど、 この前すっごく大きな嵐があったんだ |
滅多にないことだからみんなもう大騒ぎ。 それで僕、嵐に巻き込まれて……気づいたら、 この近くに落ちてきちゃってたんだ…… |
学舎に帰りたいんだけど方向がわからなくて。 どうしようって思ってたんだけど、 これが一緒に落ちてるのを見つけたんだ |
これは『天の学舎』に縁のある物だから、 きっと学舎への道標になってくれると思うんだ。 でも……それには魔力が必要で…… |
そ、その、お願いがあるんだけど…… 君、魔法使いだよね? |
どうか僕に力を貸してください! |
音が鳴りそうな程の勢いでセレストが頭を下げる。 |
その必死そうな様子に、 君は力を貸すことにした。 |
あ、ありがとう! よろしくね! |
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君は机の上に置いた神器の変化を ティアルと共に眺めていた。 |
きっとあなたの魔力の成長に 反応したんだと思います |
積まれた本の段差に腰掛けた ティアルがそう述べる。 |
つまり神器は、図らずも 魔法使いとしての成長の証に なっているようだ。 |
しかし、魔力を持ってこの神器に触れた者は 君だけではなかったはずだ。 |
おっしゃる通り私も魔法を学ぶ 者ですから、多少の魔力は 持ち合わせているつもりですが… |
いくら試してもなぜか反応が無くて、 少し自信をなくしていたところです |
正直にお話ししますと |
あなたに今回の件をお願いしたのも、 確証があったわけでは無いんです |
何故かそうするべきだという気がして…… もしかすると私が切羽詰まっていた だけかもしれません |
けれど、この神器の変化をみると やっぱり正しかったのかな、 という気がします |
神の器……、器というからには 何かが収められているのか、 単に象徴的なものなのか |
それはよくわかりませんが、 非常に大切な物なので、軽々しく 触れてはいけないと教えられました |
ですからこんな風に 持ち歩いたりするのは、 ちょっと気が引けます…… |
いえ、だからこそ、 これを無事に学舎に持ち帰るのが 今の私の務めですよね |
……ちょっと形は変わっちゃってますけど |
ティアルはばつが悪そうにほほ笑んだ。 |
君は机の上に置いた神器の変化を セレストと共に眺めていた。 |
セレストから自分と神器のことは人に言わないで 欲しいと頼まれたため、自然と自室で話をする ようになっていた。 |
恐らく、あなたの魔力の成長に 反応したのでしょう |
積まれた本を邪魔そうに見つつセレストが言う。 どうやら神器は、魔力の蓄積に合わせて 形状を変える代物のようだ。 |
しかし、魔力を持ってこの神器に触れた者は 君だけではなかったはずだ。 セレストだって魔法学校の生徒だったはず。 |
仰る通り私も魔法を学ぶ身のものですので、 多少の魔力は持ち合わせております |
ですが、いかんせん信じがたいことですが、 私がいくら試しても、神器に変化を与える ことはできませんでした |
言いながら、セレストが神器に魔力を込める。 |
だがその光が消えても、神器に魔力が蓄積 された様子はない。 |
セレストは軽く肩をすくめて見せた。 |
ですから、あなたにお願い致しました。 何故あなたを選んだのかは…… 直感、とでも申しましょうか |
ですがその直感、この様子を見ると 間違ってはいなかったようです |
そう言って改めて神器を見る。 |
この神器と同じような物が 天の学舎には複数ありました |
神器がどういった代物なのかは…… 恥ずかしながら私も知りません |
ただ、非常に大切な物であると教えられ、 軽々しく触れることは許されませんでした |
ですのでこのように扱うのは 少々後ろめたいですが、致し方ありません |
形が変わるのは想定外でしたが…… |
ですが失くなったままでいるよりかは、 形が変わっても学舎に戻る方が良いでしょう |
先生方もきっと納得してくれるはずです |
そうしてセレストがこちらに向き直る。 |
というわけですので、 この調子でよろしくお願い致しますね |
にこりと、見慣れてきた笑顔を向けた。 |
ほほう、これはこれは…… |
君は机の上に置いた神器の変化を ティアルと共に眺めていた。 |
うーん、キミの魔力に反応したのかな? |
あたしには無反応だったのに。 えこひいき、良くない |
ティアルは物言わぬ神器に抗議しつつも、 「せっかくだから記念に」と言って ペチペチと触りたおしていた。 |
いやはや、神器さんに こんな仕掛けがあるとはねぇ。 セレストが見たら喜ぶだろうなぁ |
ん? あぁ、セレスト? あたしの弟だよー |
あの子も学舎の生徒でね、 こういうマジックアイテムとか 大好きなんだ |
学舎にはこれを入れて 8つの神器さんがあってね、 学校の真ん中に祭られてるの |
その祭壇の前を通る時に お祈りするのが、あたし達の 習わしなんだけど |
お祈りしつつも獲物を狙うような セレストのあの目……、 あたしは見逃さなかったね |
早く帰ってこの神器さんを あの子にも見せてあげなくちゃね |
てなわけで、これからもよろしくね! |
そう言ってティアルは 初めて出会った時のように ハイタッチを要求してくる。 |
どうやら彼女のお気に入りの行為の様だ。 君が指を差し出すと、 嬉しそうに両手を上げた。 |
はい、ぶーい! |
おおぉぉぉ……! |
目を輝かせるセレストと共に、 君は机の上に置いた神器の変化を眺めていた。 |
セレストから、自分と神器のことは 人に言わないで欲しいと頼まれたため、 自然と自室で話をするようになっていた。 |
多分、君の魔力の成長に反応したんだ。 これは興味深い…… |
神器をまじまじと見ながらセレストが言う。 どうやら神器は、魔力の蓄積に合わせて 形状を変える代物のようだ。 |
しかし、魔力を持ってこの神器に触れた者は 君だけではなかったはずだ。 セレストだって魔法学校の生徒だったはず。 |
もちろん、僕も魔力はある……と思う。 でも、僕がいくら試しても、 全然何にも反応しなくて…… |
僕、魔法の才能ないのかな…… |
俯きながらセレストが言う。 さっきまで目を輝かせていたはずが、 すっかり落ち込んでしまった。 |
あまりにも反応がないから、僕もう学舎に 帰れないんじゃないかって思った時…… たまたま、君を見つけたんだ |
良くわかんないけど、君に頼むしかないって 思ったんだ。だから、頑張って君に 話しかけたんだけど…… |
神器にこんな風に反応があったってことは、 僕の頑張りは無駄じゃなかったってこと、 かな? |
上目遣いに聞いてくるセレストに、 君は頷きを返す。 |
うん……ありがとう。 あ! で、でも実はね…… |
この神器って天の学舎にいくつかあるんだけど、 軽々しく触っちゃいけないって言われてたんだ ……凄く大切な物だからって |
ど、どうしよう。もし学舎に帰れても、 先生に怒られちゃうかな……。 しかも何か形変わっちゃったし……あぁぁ |
頭を抱えつつ神器をちらと見て、再び頭を抱える。 |
で、でも、緊急事態だし、仕方ないよね。 先生方だって、ちゃんと謝れば 許してくれるよね…… |
君が頷くと、セレストもようやく はにかむように笑った。 |
あの、ごめんね。 君は手伝ってくれてるのに…… |
え、えっと……もうしばらく、よろしくね |
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『天の学舎 護り人たる精霊達が住まう 遥か天空の園』 |
『人よ決して彼の地を求めるなかれ』 |
君が天の学舎について少し調べてみたところ、 古い文献の中に、各地に伝わる伝承のひとつとして その名をみつけることができた。 |
人間さん達の間ではそんな風に 伝わってたんですね |
なんだか仰々しくって可笑しいです。 私達にとっては普通の学校ですよ |
お友達と一緒にお勉強して、おしゃべりしたり。 こちらのアカデミーのみなさんと同じです |
学舎の中心には、 今ここにある物も含めて 8つの神器が祭られていたんです |
私達生徒はその前を通る度に お祈りするのが日課でした |
ティアルは懐かしむように 学舎での生活について話し続けた。 |
学内は嵐で大変なことに なっているはずですから、 私も早く帰らないといけません |
早くみんなとも会いたいな…… |
『天の学舎 護り人たる精霊達が住まう 遥か天空の園』 |
『人よ決して彼の地を求めるなかれ』 |
これはこれは。 天の学舎の風格がそのままに 伝わっておりますね |
と言いたいところですが、 実際はそれほど仰々しい物ではありません |
少なくとも私達生徒は、こちらの皆さんと 同じような学園生活を送っておりました |
それにしても……『護り人たる精霊達』とは いったいどういう意味でしょうか |
確かに学舎の中心には、ここにある物を含めた 8つの神器が祭られておりました |
その前を通る際には祈りを捧げるというのが 私達生徒の風習でした。 それが護り人と何か関係があるのでしょうか |
独り言のようにそう語ると、セレストは何やら 考え込んでいる様子だった。 だがすぐに溜め息と共にこちらに笑顔を向ける。 |
伝承というものは、長い時を経て徐々に変化 するもの。真剣に考えたところでこれが 真実かどうかもわかりませんね |
私が知っている天の学舎は…このアカデミーと そう大差はありません。そう……あなたを 見ていると郷愁を覚える程度には |
皆に会いたいですね |
『天の学舎 護り人たる精霊達が住まう 遥か天空の園』 |
『人よ決して彼の地を求めるなかれ』 |
君が天の学舎について少し調べてみたところ、 古い文献の中に、各地に伝わる伝承のひとつとして その名をみつけることができた。 |
そんでそんで? |
ティアルは続きをせがむが、 文献に残った記述は これがほぼ全てだった。 |
ありゃー。 マイナーなのかしら、 うちの学校…… |
でも、こっちでも一応知られてたんだね。 何となく納得 |
んとね、 学舎の施設の中で古くからあるものは、 あたしたちにはビミョーにでっかかったの |
学舎に居た時はそういうもんだと思って 別に不思議じゃなかったんだけど |
このアカデミーに来て気付いたんだ、 あれって人間さん達に合った サイズだったのかなって |
学舎に人間さんはいないけど、 もしかしたらずっと昔に 何か関係があったのかもしんないね |
帰ったら先生たちに聞いてみよっと。 うん、ちょっと楽しみかも |
普段は飄々とした言動の多いティアルも、 魔法学校の生徒らしい知識欲は 持ち合わせているようだった。 |
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ふぉ、ふぉぉぉ〜〜! おおおおぉぉぉぉぉぉ…… |
何ですこれ!? 美味しい、すごくおいしいです! |
ティアルが驚嘆と歓喜の 入り混じった声を上げる。 |
君が購買部でたまたま買ってきた ジンジャークッキーをいたく気に入ったらしい。 |
妖精の食文化は知らないが、空の生活では あまり口にしない食材なのだろうか。 |
禁断の味です……。 これを食べるためなら私、 どんな障害ものりこえられそう…… |
そう、産卵前のメスカマキリとだって 戦ってみせます……! |
例えはよくわからないが、 どうやら覚悟は強いようだった。 |
はぴねす〜 |
ある日、君はアカデミー内のある噂を耳にした。 |
購買部で時おり、 商品のジンジャークッキーが無くなり、 そのあとには花が置いてあるという。 |
いろいろな説がささやかれていたが、 そのうちの一つ『妖精の仕業』には 苦笑せざるを得なかった。 |
ごめんなさい、自分を見失ってました……。 反省しています……。 |
でも……その…… たまにで良いですから また買ってもらえると、嬉しいです…… |
翌日、君が購買部に寄ってみると、 ジンジャークッキーは品切れになっていた。 |
どうやら話題になったことで 皆の興味をひいてしまったようだ。 |
不条理です! 納得いきません! 私はつつましく好きな物を 求めているだけなのに! |
ははーん、わかりました! メスカマキリと闘えばいいんですよね! |
いいでしょう、連れてきて下さいよ! さぁ! さぁ! |
おや? |
いつものように自室でくつろいでいると、 セレストが突然興味深そうに辺りを 見回し始めた。 |
素敵な音色ですね。心が安らぐ |
それはフランシス先生がよく演奏している曲。 |
そう教えると、セレストはほうと関心した 声を上げ、集中するように瞳を閉じた。 |
人の心を安らかにしたり逆に不安にさせたり。 音楽には人を動かす力がある。 それはまるで魔法のようだと思いませんか? |
にこやかに語るその微笑みは、いつもの微笑みに 比べると、少し幼い感じがした。 |
音楽が好きなのかと問うと、 えぇと小さく頷く。 |
そうだ。あなたに天上の歌を教えましょう。 強大な敵に立ち向かった一人の英雄の歌です。 人々はこの歌から勇気と希望を貰うのです |
そう言ってセレストが口ずさんだ歌は、 子供の頃に遊んだ、とても慣れ親しんだ歌だった。 |
歌詞の意味など考えたことがなかったが、 言われてみればセレストが言ったような内容だ。 |
しかし、どうにもこの歌から 勇気と希望を貰うという気にはならない。 |
セレストにそう告げると、 とても信じられないといった目で君を見つめ、 |
はあ……と大げさに ため息をついた。 |
地上にもこの歌が伝わっていたというのは とても喜ばしいことですが、それがなんと 子供の遊び歌だとは |
この歌はもっと畏怖の念を持って歌うべきもの。 あぁ、何とも嘆かわしい |
セレストはフルフルと首を横に振って 「嘆かわしい」「有り得ない」と繰り返した。 |
うひゃいっ!? |
ななな、なにごと!? |
部屋中にティアルの声が響き渡る。 君が何の気なしにティアルの羽に 触れたためだった。 |
単純に興味本位だったが、 予想外のティアルの驚き方に 君は即座に謝罪する。 |
いや、別にいいんだけどね。 いきなりはちょっと ビックリするので……はい |
君は反省しつつ触れた瞬間を思い出すが、 そこに物理的な感触は無かった。 |
あの羽は、いわば魔力の エネルギー体のようなものだろうか。 |
見た目の形は昆虫のそれと似ているが、 根本的に異なるものらしい。 |
おそらく飛行の原理にしても 同様に異なるのだろう。 |
あたし達にとっては、 生まれたときからあるものだし、 深く考えたことなんてないなぁ |
とりあえずこんなことは 出来るけど…… |
♥️
君は思わず拍手した。 妖精は感情によって、羽の形を ある程度変えられるらしい。 |
「個人差はあれど誰でもできること」と 謙遜していたティアルも、君の感心っぷりに 次第に気を良くしてきたようだ。 |
では誠に僭越ながら…… |
あんぐりー |
し ょ ん ぼ り ー |
び く と り ー |
君からの惜しみない拍手に、 ティアルは更に気を良くする。 |
オーケーオーケー |
ティアルは両手の平を下に向け こちらをなだめるような仕草をした後、 何かリクエストはないかと尋ねてきた。 |
さて、何がいいだろう。 多少複雑な物でも大丈夫だろうか? |
君は思案の末、『天の学舎』と告げる。 |
いっ……? |
ぐぅ…… |
えと……、 今日は品切れ…… |
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うんうん、順調ですね |
……あ |
ティアルは、何かに気付いたのか 君の服に体を隠した。 |
お前か。 ほう、昇格したようだな |
近頃、躍進が目覚ましいと聞く。 結構なことだ |
ん……? いや、気にするな |
慢心せず、これからも精進を続けることだ |
よいしょっと |
先生が立ち去るのを見計らって、 ティアルが顔を出す。 |
ふふ、褒められてましたね。 何だか私も鼻が高いです |
こちらに来てしばらく経ちますけど、 みなさんの魔法はすごく勉強になります |
そういえば妖精たちは『天の学舎』で どんな魔法を学んでいるのだろうか。 君は興味がわいてきた。 |
そうですね、こちらでいう 補助魔法的なものが主ですね |
逆に、直接的に相手を 攻撃するようなものは あまり多くありません |
補助魔法をかけるのはタイミングが 大事なんですが…… |
私、人の動きに合わせて 魔法をかけるのはちょっと得意ですよ |
東に熱い食べ物を食べる人がいれば、 口に運ぶ直前に耐熱魔法をかけ |
西に冷え切った椅子に座る人がいれば、 着席寸前に耐冷魔法をかける |
そういう魔法使いに私はなりたいです |
他の人の魔法効果を高めることもできますよ。 必要な時は言って下さいね。 喜んでお手伝いします |
あ、でも試験とかはダメですよ。 ズルは良くないです |
ふむ、順調ですね |
おや? |
お前か。 ほう、昇格したようだな |
近頃、躍進が目覚ましいと聞く。 結構なことだ |
ん……? いや、気にするな |
慢心せず、これからも精進を続けることだ |
なんと、褒められるとは |
顔を出したセレストがわざとらしく 驚いた顔をする。 |
恐い顔をしないでください。冗談ですよ。 あなたが使う魔法を間近で見ておりますが、 とても勉強になりますよ |
ふと君は、妖精の魔法について あまり聞いたことがなかったことに気がついた。 |
私達の魔法、ですか。 そうですね、あなた方人間の使う 補助魔法のようなものが主でしょうか |
逆に、攻撃魔法のような直接的な魔法は あまり多くはありません |
補助魔法ばかりだと地味だと思いますか? |
しかし、その補助が無かったら 出来なかったことが出来るようになる。 これは凄いことだと思いませんか? |
私にはそのような魔法の方が 魅力的に思えるのです |
実は最近、あなたが魔法を使う際に 密かに魔力を増幅しておりました |
多少の恩返しのつもりでしたが、 先ほど褒められたのはひょっとして…… |
ふふ、冗談ですよ |
おやおや、また変わりなすったねぇ |
っとと……! |
ティアルは、何かに気付いたのか 君の服に体を隠した。 |
お前か。 ほう、昇格したようだな |
近頃、躍進が目覚ましいと聞く。 結構なことだ |
ん……? いや、気にするな |
慢心せず、これからも精進を続けることだ |
ヒュー、かっこいい! |
君を褒めた先生が立ち去るのを見計らい、 顔を出したティアルがはやしたてる。 |
ティアルは神器や自信のことを大っぴらに したくないという理由から、君以外の者からは 姿を隠すのが常となっている。 |
「いよっ、魔法大先生!」 「にくいよ、未来の大賢者!」等々 ティアルからの安い賛辞が飛ぶ中、 |
君は妖精達の魔法について 何も知らないことに気付き、 俄然興味がわいてきた。 |
魔法? あたし達の? |
ふふふー、教えてほしい? |
- 「おねがい」を選択
はいはい、 もぅ仕方ないなぁ |
- 「やっぱりいい」を選択
ちょっと! あぁもう、話すから! 聞こう!? ね! |
そだね、じゃ簡単な魔法使ってくれる? ピカッと光るようなのでいいから |
君は言われた通り、簡単な呪文を唱える。 指先に魔力を集中して軽く光らせる 基礎的な魔法だ。 |
しかし実際に発動した魔法は、 予想外の光量で辺りを照らした。 |
眼前のティアルの表情から、それが 彼女の仕業であることが読み取れる。 |
こっちでいう補助魔法ってやつ? 今のは分かりやすく、キミの魔法を パワーアップさせてみました |
もちろんこれだけじゃないけど、 大体こんな感じのが主かな。 困った時はティアルさんにお任せ! |
そうだ! いざという時のために 何かサイン決めとこう! |
まぁ、これ一択なんですけどね! ぶーい、ぶいぶい、 びくとりぃー♪ |
ティアルがいつものハイタッチポーズを 構えていると、君達のいる廊下が 徐々に騒がしくなってきた。 |
どうやら先ほどの閃光を不審に思った 生徒達が集まって来たようだった。 |
ほほぅ? これは早くも あたしの魔法の出番じゃなくて? |
君の服に身を隠したティアルが、 外をうかがいつつ 小声で提案してくる。 |
さぁ、ここにいるみんなを ズバーンと眠らせちゃおう! |
君はティアルの状況判断能力に 不安を覚えつつ、 そそくさと自室へと戻った。 |
▲BACK TO TOP
コッコッコッ…… コ ケ コッ コ ー! |
ある朝、君は奇声で目を覚ました。 |
あっ、おはようございます |
ティアルがいつものように 笑顔で朝の挨拶をする。 |
今の声の主は彼女だろうか。 |
はい、私の特技 『鳥の鳴きまねで人を起こす』です |
いろんなバリエーションも出来ますよ。 コホン…… |
クックドゥードゥルドゥー、 クィクィレクィ |
クカレクー、 コックェリコ |
オィンクオィンク |
ティアルは頼みもしないのに 誇らしげに鳴きまねを披露した。 |
昔はよくこうして弟を起こしました。 腕は鈍って無かったようですね |
えぇ、同い年の弟がいるんです。 私と同じく学舎の生徒ですよ |
姉の私に敬意を払わない生意気な子です。 成績は、うーん…… |
身内の目を差し引いても優秀ですね。 ……癪ですけど |
いつかご紹介できたらいいですね |
その記録は、君が天の学舎について 調べている時に偶然見つけた。 |
それは、以前セレストが英雄を称える歌だと 教えてくれた歌についての記述。 |
だが時が経つにつれ徐々にその意味は薄れ、 ただの遊び歌として伝わっていったようだ。 |
ふむ、興味深いものですね |
セレストにその話をすると興味を持ったようだ。 |
天上ではずっと変わらずに伝わったものが、 地上ではその意味が薄れ、 ただその存在だけが伝わっている |
それはまるで…… |
いえ、何でもありません |
何かを言いかけたセレストだったが、 すいと窓際に向かって飛んで行くと、 何やら窓の外を見つめ始めた。 |
小さく呟く歌が聞こえる。 |
勇気と希望を貰うという気にはならないが、 君は静かにその歌声に耳を傾けた。 |
お話があります |
ある日、改まった態度で ティアルが話しかけてきた。 その様子に君も思わず居住まいを正す。 |
お気づきで無いかもしれませんが、 この部屋の壁には穴がありまして。 えぇ、寝具の陰ですね |
それは君が初めて知る情報だった。 |
なるほど、体の大きさが違えば 見えるものも変わってくるのだろう。 |
居候させていただいている手前、 あまり図々しいことを 言えた義理ではありませんが |
ぜひ侵入者対策を 施していただきたい! |
……侵入者。 何のことだろうか。 |
何って、あの黒い奴らよ! ピーンとした触角の! 夜中にカサコソとうっとうしい! |
追っかけても、 すんげー逃げ足早くて ムカつくったらありゃしない!! |
おまけにあいつら、 あたしがこっそり集めてきた お菓子とか勝手に食ってるし! |
おっといけない、 今のは聞き流して…… |
ん? あれ? どしたの、真剣な顔しちゃって…… |
え? 何? あいつらヤバいの? |
ひょっとして 知らない方が良かった系? |
えーっとー…… |
侵入者対策会議は夜遅くまで続いた。 |
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神器が魔力に反応し、 またその形を変えた。 |
が、これまでとは異なるその様相に 疑問を感じた君はティアルに呼びかける。 |
……………… |
ティアルは無言で虚空を見つめている。 君が何度か呼びかけると、 ようやくこちらに気づく。 |
……? え、すみません。 ぼーっとしてました |
あ、また神器の形が変わったんですね |
禍々しい? そうですか? 可愛いと思いますけど…… |
私、もうすぐ帰ることができるんですね |
思えばあなたにはご迷惑ばかり おかけしています |
いきなり現れた私の頼みを聞いてくれて、 大ごとにならないよう周りの方にも 内緒にしていてくれて…… |
あなたはとってもいい人です。 お世話になりっぱなしで とても感謝しきれません |
……ですから、 お別れは少しさびしいです |
確かにその時は 近づいているのかもしれない。 |
でもそれは今じゃない、と 君は感傷的になっている ティアルに告げる。 |
……………… |
そうですね。 その通りだと思います |
ではあと少し、よろしくお願いしますね |
▲BACK TO TOP
いよいよ、でしょうかね? | |
……そういえば、 私分かったことがあるんです | |
神器の放つ光が強さを増す中、 ティアルがそうつぶやいた。 | |
前に神器が何なのかよくわからない みたいなお話をしましたけど…… | |
神器はその名の通り器なんですよ、 何かを納めた | |
その何かとは | |
突然、神器より禍々しい気が発せられ ティアルの体を包んだ。 | |
?? | 我だ |
---|---|
邪気を纏ったティアルは 表情と口調が一変していた。 それだけでは無い、魔力の質までが全く異なる。 | |
目の前にいるのが一体何者なのか、 君は全く理解が及ばなかった。 | |
だが危険な存在だということは、 その邪気で痛いほど感じていた。 | |
「そいつ」は身動きの取れない君を一瞥する。 | |
?? | 我を知らぬようだな。 賢者どもめ、念入りなことだ |
?? | 知らぬならその身に刻み込むがよい。 我という存在を。 我と、貴様等人間の在り方というものを |
足元に転がる神器を魔力で浮遊させながら 「そいつ」は言葉を続ける。 | |
?? | 我と貴様等人間は互いに忌むべき存在よ。 理や由など無く、ただそういうものなのだ |
?? | それ故、賢者と名乗る連中が 我をこの器に封じたのは、 その存在の在るべき姿と言えよう |
?? | 連中はこの器を人間の魔力のみで 機能するようにしたようだ。 封ずるのも解くのもな |
?? | そして器を人の世から隔てた彼の地に 置くことで、その小細工を永らえようとした |
?? | 実に小賢しく、実に忌々しい |
?? | だが、その忌々しき封印から 我を解放したのが、貴様が この器に丹念に溜めた魔力よ |
?? | 彼の地の混乱の折、 この精霊の意識に仕向けてみたが、 存外うまくいったようだ |
?? | 久方ぶりの現世だ、礼を言うぞ人間。 ――が、精霊如きの体では心許ない。 我の体が封じられた残る器は、彼の地か |
そんなこと……させない! | |
「そいつ」が『天の学舎』のことを口にした瞬間、 その表情がティアルのものに戻る。 | |
ティアルは神器を君へと投げてよこし、 魔法を詠唱し始める。 | |
これは恐らく転移魔法だ。 | |
?? | ……精霊如きが、抗うか! |
……うぅっ | |
邪念に対し必死に抵抗しているのが、 その苦悶の表情からありありとわかる。 | |
一瞬とも永劫とも判断のつかぬ中、 ティアルは魔法の詠唱を完遂した。 | |
……ごめんなさい、 こんなことになるなんて! | |
でも、こいつを 学舎に行かせちゃダメなんです! | |
お願いです! その神器を守ってください……! | |
自らにかけた移転魔法によって、 ティアルの姿は邪念と共に いずこかへと消えた。 | |
君は茫然自失のまま、幾ばくかの時が過ぎる。 | |
だが、やがて神器を両の手で握りしめ、 そして決意した。 | |
一人で戦っている小さな友人を 救わなければならない。 あの邪悪な意思から解き放たなければならない。 | |
彼女が守れといった、この空っぽの神器が 全ての鍵であると信じて。 | |
今回、お前が無事だったのは 単なる幸運に過ぎん。 二度は無いと思え | |
英雄の間にウィーズ先生の声が響く。 これまでの経緯を報告し終えた君に 向けられた言葉だった。 | |
しかし、『天の学舎』か。 その名を聞くとはな…… | |
我々は動く必要がある。 お前も単なる被害者という立場に 甘んじることは許されんぞ | |
先生の話によれば、『天の学舎』とは 遠い過去に賢者達が、邪神と呼ばれた 強大な魔物を封印した場所だったという。 | |
人間のみが扱える封印を妖精達に委ね、 封印の地の存在を世間から隠すことで、 その確実性を高めたようだ。 | |
それは君が相対した存在、つまり邪神が 語ったこととほぼ一致していた。 | |
封印が解かれたとはいえ、 今の邪神はいわば精神中枢だけの存在。 復活は完全ではない | |
その神器を封印器として再発動させれば、 奴は姿を現さざるを得ないだろう | |
そこが再封印の機会だ。 が、問題は複数ある | |
1つ。 現在、お前の神器は 魔力が枯渇した抜け殻に過ぎん | |
相応の魔力が溜まらぬ限り、 封印器としての機能を果たさない | |
2つ。 その神器を扱えるのは、 封印を解いたお前だけだが、 その術者としてお前は未熟すぎる | |
お前には再び神器を扱えるよう、 さらなる修練を積んでもらうぞ。 以上だ | |
矜持をもって挑むがいい。 このアカデミーの生徒として、 一人の賢者として | |
そして妖精の友人としてな |
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君は鍛錬を重ね、やがて神器に魔力が満ちた。 | |
また、神器を扱うに足ると認められたことで、 待ち望んだ再封印に挑む時が いよいよやって来た。 | |
君の周りにはこの封印のために 各地より招集された 多くの賢者達が立ち並ぶ。 | |
平時であればこの上なく心強いが、 邪神と組するのに十分であるかは分からない。 | |
お前が戦いの鍵だ。 時機は任せる | |
神器の発動に呼応するかのように 空が歪み、邪神が姿を現す。 | |
邪神 | しばらくぶりだな、人間。 器を使い、我を犬のように呼びよせたつもりか。 小賢しく、腹立たしく……実に忌々しい |
---|---|
怒気を孕んだその口調に、 以前にも増した魔力をひしひしと感じる。 | |
君が大賢者への成長に要した時間は 邪神にも等しく働き、その中枢としての 覚醒を推し進めたようだ。 | |
その場の誰もが、眼前の小さな体躯から 発せられる「邪悪」に畏怖した。 | |
本能が危機を察し、これまで得た知識が それを確信だと教える。 | |
解かれた封印は数あるうちの一つであったが、 そんな事実は気休めにならないことは明白だった。 | |
ティアルの意識がまだ残っているか確信はない。 だが今を逃せば、彼女を救い出す 機会は無いだろう。 | |
…………。 いや、違う。 | |
救い出す機会? 何を悠長な。 | |
今を逃せば、全てが無くなるのだ。 | |
邪神 | 賢者とやらの頭数を揃えたようだが……。 我を封ずる算段は万全か? |
邪神 | ではせいぜい足掻くが良い、人間共! |
邪神の魔力が膨れ上がり、 攻撃の意思が魔法という形で君に迫った。 | |
だがその攻撃魔法は、 君の体を傷つけることなく霧散する。 周りの賢者達による防御魔法だ。 | |
同時に、他の賢者達により 邪神への攻撃と捕縛が行われる。 が、それらも同じく効果を表すことはなかった。 | |
こちらの目的は、君が神器を完全に発動させ、 封印を完成させること。 | |
邪神の目的は、封印を阻止すべく 君か神器のどちらかを壊すこと。 | |
これは封印が完成するまでの総力戦だ。 君が再び神器へ魔力を注ぎ込み始めたのを合図に 双方が行動を開始した。 | |
邪神と賢者達の一進一退の攻防が続く中、 君は神器の完全発動に専念していた。 | |
呪文でマナの流れを制御、 魔法粒子の抽出により形成された 力場にて各種ルーンを紡ぐ。 | |
これらを幾度も繰り返し 古代の魔導具に要求される 複雑な術式を次々に重ねていく。 | |
かつてウィーズ先生に告げられた通り、 神器の封印を解いてしまった頃では 到底出来なかった技能だ。 | |
全てはこの時のために積み重ねた 修練の成果だった。 | |
発動に要する時間を計算し、 成功の可能性を確信した瞬間、 傍らに爆発的な魔力の増幅を感じる。 | |
発動を継続しつつそちらを見やると、 防御役である賢者達の大半が 吹き飛ばされている光景が目に入った。 | |
邪神は、彼らがいる限り 君を傷つけるに至らないと悟るや、 圧倒的な魔力で排除に当たったのだった。 | |
邪神 | 時間とは面白い。 人間共も成長するものだな |
邪神 | 時が時なら楽しみたいところだが、 此度はさほど悠長に構えてるわけには いかんのでな |
防御が手薄になった君をめがけて、 邪神の魔法弾が次々と放たれる。 | |
残った賢者達が魔法障壁を生成するが、 全てを防ぐには叶わず、 君の手元から神器が弾き飛ばされた。 | |
術者の手から離れた神器から 光が失われ始める。 | |
失敗か? いや、まだだ。 すぐに再開すれば間に合うだろう。 | |
君が神器の元へと走ろうとする刹那、 足元の地面が爆ぜ、君は脚に感じた 強い痛みに顔をゆがめる。 | |
幸い深刻な負傷では無さそうだが、 すぐに動けるほど軽くもない。 | |
邪神 | そろそろ仕舞いの時だ |
自らの足止めが功を奏したことに 満足しつつ、邪神が近付いてくる。 | |
絶望と焦燥に襲われた君の口から ティアルの名がこぼれる。 | |
このまま救えないかもしれない 小さな妖精の名。 | |
邪神 | 貴様、まだこの精霊を 救うつもりだったのか? |
邪神 | こ奴の意識が我に抗わなくなって久しい。 おそらくは我に呑まれ芥となって消えたか |
邪神の言葉は今度こそ君を絶望の淵に誘った。 本当に万策尽きたのだろうか。 | |
ティアルは学舎に帰りたがっていた。 いつも真面目で、責任感が強い 小さな女の子だった。 | |
こんな結果が彼女の本意のはずが無い。 こんなことが許されるはずが無い。 こんなことが。 | |
あなたはとってもいい人です。 こんなに傷ついてまで 私を助けようとしてくれて | |
とても感謝しきれません。 ふふ、私ってこんなことばかり 言ってますか? | |
でも私、少し怒ってます。 だって忘れてるでしょう? | |
言ったじゃないですか、 必要な時は喜んで お手伝いするって | |
邪神 | では貴様も精霊の後を追え |
君に止めをさすべく、 邪神が目の前に迫る。 | |
君は邪神を見据え、 今度こそ力強くティアルの名を叫んだ。 | |
はい! | |
あなたはそのまま詠唱を! タイミングは私が合わせます! | |
君の呪文の再開で神器に再び光が戻る。 ティアルの魔力が徐々にシンクロし、 やがてマナの螺旋を描き出していく。 | |
その調和の 頂点を見極めるかのように、 ティアルが呪文を唱えた。 |
- アルティメット
- 清き光の
- あなたに届け
激しい閃光に、君は思わず目を閉じた。 うって変わった静寂が耳につく。 封印は成功したのだろうか。 |
視界が戻ると、倒れているティアルを見つけた。 慌てて駆け寄ると、意識はないが呼吸はしている。 先程までの圧倒的な邪気も感じられない。 |
傍らには神器が転がっており、 その形は、初めて見た時と同じものだった。 |
君は封印の成功を確信した。 |
この度は不出来な妹が 大変ご迷惑をおかけいたしました |
そう言って深々と頭を下げる少年へ、 「私は姉です!」と ティアルが抗議の声を上げる。 |
少し黙っていて下さい |
私はセレスト、このティアルの兄です |
そう名乗った少年の背には、 ティアルと同じく羽が生えている。 彼女がいつか話していた姉弟の妖精だった。 |
彼はティアルを迎えに来た 『天の学舎』の使者としてここに居る。 |
ここからは良く見えないが、 上空には『天の学舎』が 浮かんでいるはずだ。 |
『天の学舎』が失われた神器と ティアルの行方を特定できたのは つい先頃のことだそうだ。 |
それが邪神の封印成功と一致するのは おそらく偶然では無いのだろう。 |
人間達との簡単な状況確認を終えたセレストは、 ティアルに学舎へ戻るよう指示するが、 当のティアルはそれをためらっていた。 |
彼の居丈高な物言いが気に入らなさそうなのは 一目瞭然だが、それは普段からの光景らしく、 セレストも真意を掴みかねているようだった。 |
何を渋っているんですか? 学舎への帰還、 それが最も優先すべき事項でしょう |
神器を戻さなければなりませんし、 先生方への報告義務もあります |
セレストはその後も「すべきこと」を 並べ立てて帰還を促す。 |
どれも正論だけに反論は有効では無いと 判断したのか、ティアルは視線をそらし 無言を貫いていた。 |
そんな様子にセレストは大きくため息をつく。 |
いい加減にしてくれませんか |
これでは私が先生方から仰せつかった 使命が果たせないでしょう |
それに…… |
……まだ何かあるの? |
あなたの体が心配だ |
………… |
セレストのその言葉に意を決したのか、 ティアルは真剣な面持ちで君の前に立った。 |
あの、私、学舎に戻ります |
私、みなさんに大変なご迷惑を おかけしてしまいました |
だから……、 自分がすぐに学舎に戻ってしまうのは 何か無責任な気がして…… |
でもセレストの言う通りです |
私がここにいたところで事態が 進展するわけでないのなら、 私は学舎で自分のなすべきことをします |
あの、もし御迷惑でなかったら……、 全部済んだら……、 また遊びに来てもいいですか? |
君がうなずくのを見届け、 ティアルは神器を抱える。 |
君は空に消えていく2つの光球を見送った。 |
あれから少し時が流れた。 |
『天の学舎』とアカデミーの間で事実確認や 情報交換が行われ、事態が一応の終息を見ると、 両者の今後について協議がなされた。 |
幾度かの議論の末、天の学舎の成り立ちから鑑み 「互いの接触は慎重であるべき」というのが 双方一致した見解であり、 |
協力関係は保ちつつも、一定の距離を置くことが 最良であるとの結論に至った。 |
結果、今では天と地の2つの魔法学校は 事が起こる前と同様の位置に存在している。 |
君の生活も、賢者としての責務は増えたものの、 平穏と呼んで差し支えないものに戻った。 |
今では、あの小さな妖精と過ごした 修練の日々が少し懐かしく感じる。 |
そんな思いにふけっていると、 軽くガラスをたたく音に意識を戻された。 |
窓のそばに立つ小さな人影がささやく。 |
どうも、こんにちは |
えへへ……、 今お邪魔じゃなかったですか? |
ジンジャークッキーの買い置きは万全だった。 |
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これは……噂に違わぬ規模ね |
眼前に広がるえぐり取られた大地を眺め エリーザ先生がつぶやいた。 |
近頃、各地で大きな魔力爆発が 観測されており、賢者たちにより その調査が行われていた。 |
君もアカデミーで編成された 調査班の一人としてこの場に居る。 |
森全体が消滅した土地もあると聞くわ。 幸い人的被害は出ていないけれど、 このままでは時間の問題ね |
でも、それ以上に気になるのは 私達がこの魔力に覚えがあるということ |
エリーザ先生は君に視線を向ける。 |
特に貴方はそうではなくて? |
考えるまでもなかった。 |
この地に着いた時から、 辺りに漂う残留魔力が 君の全身を粟立たせている。 |
強風のように圧倒的でありながら、 刺さるような鋭さを併せ持つこの感覚。 |
そう、あのとき感じたものと同じ―― |
突如鳴り響いた音が 君の意識を現実に引き戻す。 |
音の主はエリーザ先生の持つ アカデミーとの連絡用デバイスだった。 |
はい、エリーザです。 ……えぇ、はい。 分かりました、戻ります |
通話を終えたエリーザ先生は 改めて君に向き直る。 |
『天の学舎』から来訪要請よ。 どうやら間違いないみたいね |
: : |
天の学舎 〜広間〜 |
ここは妖精達の魔法学校『天の学舎』。 |
君はマジックアカデミーの教師陣を はじめとする数名の賢者達と共に その中心部にある広間に通された。 |
広間の中央には祭壇があり、 いつか(妖精名)が言っていたように 8つの神器が祭られていた。 |
カエルム | 御足労痛み入る、地上の賢者の方々。 初めてお目にかかる者もいるようなので、 名乗らせていただこう |
---|---|
カエルム | 私はカエルム。 この封印の地を預かる者 |
祭壇に据えられた石像が語りだす。 | |
彼は『天の学舎』創設の折に、 その管理と維持、そして古代の賢者達の 知識の伝承のためにつくられたという。 | |
共に封印を護る妖精たちの世代が 時を経て移り変わっていく中、 彼は変わらずそこに在り続けた。 | |
そのため今では 魔法学校『天の学舎』における 校長的存在であるらしい。 | |
カエルム | 今回皆様をお呼びしたのは 他でもない |
カエルム | 既に感じておられよう、 邪神の魔力を |
邪神。 古代に神器に封じられた魔物。 | |
奴はかつて(妖精名)と君を利用して 自らの復活を企んだ。 | |
しかし皆の協力をもって 君が再び神器へと封印することで、 復活は阻止されたはずだった。 | |
君は無意識のうちに 祭壇の神器に視線を移す。 | |
カエルム | 疑問に感じておられよう |
---|---|
そんな気配を察したのか、 カエルム先生が続ける。 | |
カエルム | 確かに邪神はあなた方の手によって ここにある神器に封印された。 あれから変わりなく封印状態は続いている |
カエルム | が、近づきつつある魔力もまた 封印から放たれた彼奴のそれなのだ |
その時、広間に鈍い音が響き渡った。 | |
それは『天の学舎』に張られた 魔法障壁を揺るがす音だった。 | |
どうやら、考えるよりも先に この目で確かめることになりそうですな | |
カエルム | そのようだ。 申し訳ないが、ご対応願えるかな |
カエルム先生の言う通り、 神器に異常は無いんだ……。 君が僕を助けてくれた時のままだよ |
でも、なぜか邪神は来てる。 ……よくわからないけど、戦うしかない |
もう、傷付くみんなの姿なんて 見たくないから |
セレストは力強く呟いた。 |
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カエルム殿にお聞きしたい | |
彼奴は邪神に 相違なかったろうか | |
以前君達が邪神を封じた際、 その姿は(妖精名)のものだった。 | |
太古の邪神の姿を知り得る者は 今この場にはカエルム先生 以外に居ない。 | |
カエルム | あの姿、私に記録された 通りの姿であった |
---|---|
カエルム | 先の封印の折に、対峙した方々は 分かっているだろうが、魔力もまた然り |
カエルム | あれは邪神に他ならない |
そう、同じだった。 | |
あの時感じた魔力、 圧倒的な攻撃力。 | |
そして、その内に取り込んだ 存在の気配までもが。 |
やっぱり、あなたも 感じていましたか……? | |
傍にいたティアルが 真剣な表情で君を見つめていた。 | |
君が頷くことで確信を得たティアルは、 その場にいる皆に向かって声を上げた。 | |
カエルム先生、そしてみなさん。 聞いて下さい | |
あの邪神の中には『私』がいます。 そしてセレストも | |
そうですね、 言葉では説明しづらいのが 何とも歯がゆいのですが…… | |
ティアルの言葉を受けて セレストが続ける。 | |
『邪神の中に我々が存在している』 それだけは確実です | |
カエルム | …………。 ティアル、セレスト |
---|---|
本当なんです、カエルム先生 | |
カエルム | 落ち着くのだ。 お前達の言うことを 疑うわけではない |
あなたも気付かれましたか? | |
いつの間にか傍にいたセレストが 君に尋ねる。 | |
君が頷くのを確認すると、セレストは その場にいる皆に向かって声を上げた。 | |
カエルム先生、そしてみなさん。 聞いて下さいますか | |
あの邪神の中には 『私』とティアルがいます | |
奇妙なこととお思いでしょう。 実際おかしな話です | |
しかし確かに、あの邪神に 私達二人の存在を感じるのです | |
カエルム | …………。 ティアル、セレスト |
---|---|
私も同じ意見です、カエルム先生。 なんて説明していいのか よくわからないんですけど…… | |
カエルム | 落ち着くのだ。 お前達の言うことを 疑うわけではない |
あのさ、ヘンなこと 聞くかもしれないけど…… | |
傍にいたティアルが 真剣な表情で君を見つめていた。 | |
あの邪神の中にいるの、 『あたし』だよね? | |
確かに奇妙な質問だったが、 理解はできた。 | |
君は確信をもって頷いた。 | |
君も感じているのなら間違いないのかな。 多分、『僕』もいるよね | |
妖精の姉弟は頷きあった。 | |
カエルム先生! | |
あの邪神の中に『あたし』と セレストがいるの! | |
ティアルの言うことは いつも突拍子が無いけど、 僕もそう思うんです! | |
にゃにおぅ!? | |
カエルム | 二人とも落ち着くのだ。 お前達の言うことを 疑うわけではない |
---|
その存在の気配とは――。 | |
あ、あの…… カ、カエルム先生! | |
広間に切羽詰まったセレストの声が響く。 | |
あの邪神の中に 『僕』とティアルがいるんだ! | |
え、えーっと……、 ヘンなこと言ってるかな、僕…… | |
でも、本当なんだ! あの邪神の中に僕達の存在……? みたいな物を感じて…… | |
はいはーい! あたしもなんかいる、って思ってた! | |
カエルム | 落ち着くのだ。 お前達の言うことを 疑うわけではない |
---|
カエルム | 先ほど皆が退かせた邪神、 そしてこの場にある神器に 封じられた邪神 |
---|---|
カエルム | これらは一方が真、他方が偽、 といったものでは無い |
カエルム | 状態は違えど、どちらも紛れもなく 邪神と呼ばれた存在だ |
カエルム | 等しい存在の、異なる状態が 存在し得る理由。 それはおそらく―― |
クイス | 分岐した可能性の収束、 ですかな? |
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クイス | おやおや。この『天の学舎』に これだけ人間がいるというのは なかなか新鮮な光景ですな |
---|---|
カエルム | お前は…… |
クイス | ご無沙汰しております、Mr.カエルム。 今はクイスと名乗っております |
カエルム | そうか。 ではクイス、何故ここへ |
クイス | クックック。 何やら穏やかでない事態ゆえ、 私も何かお役に立てればと…… |
クイス | しかし一時的とはいえ 『あれ』を撃退するとは。 あぁ、皆さまの言うところの邪神です |
クイス | さすがはアカデミーの賢者の方々、 といったところですなぁ |
見え透いた世辞なぞ時間の無駄だ。 お前には色々と 言いたいこともあるが…… | |
それよりも先ほどの話だ。 続けてもらおうか | |
クイス | ふうむ、簡単に言えばですな |
クイス | あなた方は以前、 邪神の復活を阻止しましたね |
クイス | しかし、復活を阻むことができなかった もう一つの世界が存在した |
クイス | そちらで復活した邪神が こちらの世界を目指してやって来た |
クイス | 両者のズレを直すために……。 そんなところでしょうか、 Mr.カエルム? |
カエルム | 大意はその通りだ |
もう一つの世界、ですか? | |
クイス | 一つだけとは限りませんがね |
---|---|
カエルム | 異なる世界の存在は、 古くより唱えられている |
カエルム | 通常認識できるものではない故、 確証があるとは言い難いが…… |
カエルム | 異なる世界同士は大小の違いはあれど、 ほぼ同様の歴史をたどっていく |
カエルム | 付かず離れず同じ方向へと延びる 複数の螺旋のように |
カエルム | しかし、時には各々の向かう先が 大きく異なってしまいかねない 差異が発生することがある |
カエルム | その際、互いの行先が 再び似たものとなるべく、 差異を正す超自然の力が働く |
カエルム | 多分に推測を含んではいるが、 そう考えられる |
えーと……今回の場合は、 邪神の復活の有無が その『差異』で…… | |
『正す力』によって 邪神が現れた、ってことだね。 仮面君が言うことにゃ | |
あの邪神を倒さなければ、やがて こちらも邪神が復活した世界となり | |
逆に邪神を倒すことができれば、 あちらでも復活が一時的なものだった、 ということになるのかしらね | |
なんというか、 その超自然さんの修正作業は ずいぶんと直接的ですねぇ | |
確かに、我々が知覚できないくらいに 自然に行われて欲しいものだがね | |
カエルム | それだけ邪神という存在が 大きな影響を及ぼし得るもの なのだろう |
大ごとですね……。 私達にできるでしょうか? | |
クイス | クックック。 出来なければ世界の危機ですぞ |
これまで魔龍をけしかけていた 貴方が言うことかしら | |
クイス | それはそうですな。 では此度はこの方も 力をお貸しするということで |
ちび魔龍 | がう! |
あら、この子は 魔龍……の幼生? | |
本当に私たちを 手助けしてくれるの? | |
キミは『世界を混沌へと導く者』と 名乗っていなかったかい? | |
クイス | 覚えていただけているとは 光栄ですな |
クイス | 邪神の復活……、なんとも 心躍る響きではありますが、 いささか度が過ぎます |
クイス | 過ぎた混乱は、その収束も早いもの。 それは私の望むところではありませぬ |
クイス | 適度な均衡のズレ、 私はそれを保ちたいのですよ |
一応、筋は通ってる……かしら | |
これまでのことがあるのに 信用しろってーの? ちょっと虫良すぎー | |
まぁ、戦力の補強は 有難いけれどね | |
カエルム | その者が自らの利のために 働くのならば、約束は違えまい。 このカエルムが保証しよう。 |
クイス | これはどうも |
さて、色々と複雑な話ではあるが すべきことはただ一つだ | |
皆で力を合わせ、邪神に勝つ。 それで世界の危機が去る | |
その通りだな | |
いいか、邪神は再び現れる。 各自、備えにかかれ | |
ウィーズ先生の号令で皆が動く中、 (妖精名)が君のもとに近づいてきた。 |
あの……私、 今でも思い出すと怖いんです |
邪神に体を乗っ取られていた時の 心も体も黒いうねりに 翻弄され続けるあの感覚 |
もう一人の私達が今もあんな思いを させられていると思うと 私、とても耐えられません |
お願いします。 もう一度力を貸して下さい 『私達』を助けるために……! |
やれやれ、『異なる世界』とは なんとも突拍子の無い話です |
ですが、あの邪神の復活とあっては 荒唐無稽と切り捨てるわけにも 参りません |
何より、もう一人の私達が囚われている という事態が許し難い |
あなたにはこれまで色々と お世話になってきましたが…… |
もう一度力を貸していただけませんか? 邪神を倒すために |
なんだか難しいことに なっちゃってるね |
邪神が来てるってだけで 大変なのは間違いないんだけど |
それより、あたしは もう一人のあたし達が心配なんだ |
邪神に体を乗っ取られている時の すっごく気持ち悪い感じ、 あんなのあっちゃいけない |
だから、もう一度力を貸してくれると 嬉しいな |
『あたし達』を助けるために……! |
もう一つの世界とか、 もう一人の僕達とか、 なんだか不思議だよね |
すっごく興味深いけど、今は そんなこと言ってられないよね |
邪神をなんとかして、 もう一人の僕達も助けなくちゃ |
君にはまた迷惑をかけちゃうけど…… |
お願い! もう一度力を貸して! 邪神を……倒すために |
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止めの一撃を受けた邪神が、 悲鳴とも怒号ともつかない 咆哮を上げる。 |
もはやこちらの世界で存在を 維持出来ないのか、徐々に その巨躯は霧散していった。 |
立ちこめていた瘴気が 晴れていくと、そこに現れたのは 取り込まれていた二体の妖精だった。 |
もう一人の私達…… | |
これはなんとも 不思議な気分ですね…… | |
ティアルは意識を失っている もう一人の自分に恐る恐る声をかけた。 | |
あの私…… じゃ、ヘンかな | |
えーと、ティアル……さん? | |
はい、何でしょう! | |
うわ、あたしが居る! | |
: : | |
……と、いうことらしいです | |
取り込まれていた妖精達が 落ち着くのを見計らい、君達は これまでの経緯を説明した。 | |
ふんむー、もう一つの世界とは 不思議な話もあったもんだねぇ | |
でもとにかくあたしたち 助かったんだよね。 オーケーオーケー! | |
我が弟になんかあっちゃ 姉の沽券にかかわるからねぇ | |
ティアルだって助けられた だけじゃないか…… | |
あ、あの、 こっちの僕もありがとう | |
皆で戦った結果ですから、 私個人への礼は不要です | |
それにしても『僕』ですか | |
ご、ごめん…… | |
何故謝るのですか | |
ん、あれ? | |
わわっ、何これ? | |
突然、あちらの世界の二人の体が 希薄になりはじめた。 | |
先生、これは どういうことですか!? | |
カエルム | 慌てずともよい。 彼らは自分達の世界に戻るだけだ |
---|---|
カエルム | この世界において異質の存在だと 己が認識したことによって、 あるべき形へと帰ろうとしているのだ |
そんな! | |
え、えっと、あの! もっとお話ししたかったけど、 お別れみたいです! | |
あちらの皆さんにもよろしく! | |
ありがとー! そんじゃ元気でね、あたし! | |
既に姿はほとんど見えないまま 別れを告げて、妖精達は 自分の世界へと帰って行った。 | |
いっちゃいました……。 凄く元気だったな、あっちの私 | |
実に不思議な体験でした | |
我々の性格があそこまで違ったとしても、世界にとっては 許容範囲内なのですね | |
しかしあちらの世界でもあなたは 姉だと言い張っているのですね。 困ったものです | |
だって姉ですから | |
ほほう? | |
カエルム | ティアル、セレスト、 やめぬか |
カエルム | お前達は同じ時に生まれた者。 どちらが年長かを問うなど 詮無きことではないか |
重要なんです! | |
重要なのです | |
カエルム | ……やれやれ |
これはなんとも 不思議な気分ですね…… | |
もう一人の私達…… | |
セレストは彼らに息があることを確認すると もう一人の自分に話しかけた。 | |
もし、私の声が聞こえますか? | |
う……ん…… | |
あれ……僕がもう一人? | |
: : | |
と、まぁそんなところです | |
取り込まれていた妖精達が 落ち着くのを見計らい、君達は これまでの経緯を説明した。 | |
あ、ありがとう…… | |
……………… | |
何ですか? | |
えぇと、まだ信じられなくて……。 ここは学舎でカエルム先生も居るのに 違う世界だなんて | |
でも、こんだけ性格の違う あんたを見たとあっちゃ、 信じるほかござんせんよ | |
私も未だに信じられません。 私自身の違いもそうですが、 あなたがティアルだなんて | |
ちなみに我が妹は…… | |
ど、どうも…… | |
ハーィ♪ ナイス トゥーミート ミー | |
ん、あれ? | |
わわっ、何これ? | |
突然、あちらの世界の二人の体が 希薄になりはじめた。 | |
先生、これは何事ですか? | |
カエルム | 慌てずともよい。 彼らは自分達の世界に戻るだけだ |
---|---|
カエルム | この世界において異質の存在だと 己が認識したことによって、 あるべき形へと帰ろうとしているのだ |
これも超自然の作用の 一つということですか | |
では手短に。 良いですか、お二人 | |
あなた方の世界の邪神は撃退され、 おそらく今は休眠状態です。 二度と復活させないよう頼みましたよ | |
う、うん! 分かったよ、僕! | |
あの、お元気で! | |
センキュー♪ ハバナイスデー! | |
既に姿はほとんど見えないまま 別れを告げて、妖精達は 自分の世界へと帰って行った。 | |
いっちゃいました……。 凄く元気だったな、あっちの私 | |
彼らを見る限り、世界というのは 差異に寛容としか思えないのですが | |
ところでセレスト。 私は妹じゃなく、姉ですからね | |
やれやれ、性懲りもなく その話ですか | |
性懲りもなくって……! | |
もう! あっちのセレストは 素直そうで、いかにも 弟って感じだったのに | |
向こうがどうであろうと、 あなたはこの世界の住人。 現実を見るべきですね | |
むーぅ! | |
カエルム | ティアル、セレスト、 やめぬか |
カエルム | お前達は同じ時に生まれた者。 どちらが年長かを問うなど 詮無きことではないか |
重要なんです! | |
重要なのです | |
カエルム | ……やれやれ |
おぉー、ホントに もう一人のあたしだー | |
もう一人の僕だ…… | |
ティアルは意識を失っている もう一人の自分に恐る恐る声をかけた。 | |
あーあー、ゴホン | |
ティアルさーん? ティアルちゃん? ティアルっちー? | |
どれがいいかな | |
どれでもいいよ | |
う……ん | |
あ、起きた! この子、ティアルっちだ! | |
違うと思うよ | |
: : | |
てな感じです | |
取り込まれていた妖精達が 落ち着くのを見計らい、君達は これまでの経緯を説明した。 | |
不思議なお話ですけど…… | |
こうして目の前に 私達がもう一人いるんですから 本当なんですよね | |
自分になんて滅多に会えるもんじゃないし ラッキーだよね! | |
そ、そうですね。 でもまさかこんな風に助かるなんて、 それこそ幸運なんだと思います | |
あの時……、邪神に取り込まれてからは もうダメかと思ってましたから | |
うんうん、 あたしも体験したことあるけど、 アレ嫌だよね! | |
嫌、ですか。 シンプルですが的確な表現です。 私も嫌でしたよ | |
僕は分かんないけど、 二人とも元気そうでよかったね | |
ちょっとみなさん聞きまして? あの子、邪神に乗っ取られたこと 無いんですって | |
ちょっと! そんな特殊な 仲間外れやめてよ! | |
ふふっ | |
え……? | |
……これは? | |
突然、あちらの世界の二人の体が 希薄になりはじめた。 | |
あれ!? なんか透けてるよ! | |
カエルム | 慌てずともよい。 彼らは自分達の世界に戻るだけだ |
---|---|
カエルム | この世界において異質の存在だと 己が認識したことによって、 あるべき形へと帰ろうとしているのだ |
ええっ!? なにその引っ掛け! あーもう時間が無いんだよね!? | |
大好き! みんな愛してるー!! | |
え、何言ってるの!? あ、あの、二人とも元気で! | |
はい、ありがとうございます | |
ごきげんよう | |
既に姿はほとんど見えないまま 別れを告げて、妖精達は 自分の世界へと帰って行った。 | |
はー、行っちゃったー | |
それにしても、あっちのティアルは ずいぶんと品行方正だったね | |
ふふーん、お姉ちゃんの 新たな一面を見た感想はどうだい? | |
あれはティアルじゃないじゃないか。 いや、ティアルだけど…… | |
あぁもう、ややこしいなぁ。 あと、お姉ちゃんぶるのも いい加減に…… | |
まーた言ってる、困った子だこと。 ねぇ、先生からも言ってやって下さいな | |
カエルム | お前達は同じ時に生まれた者。 どちらが年長かを問うなど 詮無きことだ |
先生は、ああいってるけど…… | |
良いかセレスト、この世の中、 姉だと思った方が姉なのだ! | |
え、それじゃあ僕も思えば 兄ってことじゃ…… | |
ふはは、残念ながら姉限定だ! | |
ず、ずるい! | |
カエルム | ……やれやれ |
もう一人の僕…… | |
もう一人のあたしだー | |
セレストは意識を失っている もう一人の自分に恐る恐る声をかけた。 | |
あの僕……、大丈夫? | |
う……、これは……? | |
私がもう一人? | |
: : | |
って、ことらしいんだけど…… | |
取り込まれていた妖精達が 落ち着くのを見計らい、君達は これまでの経緯を説明した。 | |
にわかには信じがたいことですが…… | |
私達がこうして助かっていることが 何よりの証拠、ということでしょうか | |
まずはお礼を申し上げねばなりませんね | |
あの、本当にありがとうございました | |
あ、どうも…… | |
(ねぇ、ティアル。なんというか あっちの僕達は随分と礼儀正しいね) | |
(…………) | |
(ティアル?) | |
(ちょっと……、今こらえてる! 『私』って! セレストが『私』って!) | |
どうかされましたか? | |
いや、何でもないよ! | |
あの、もしよかったら話を聞きたいな。 僕達と君達の世界がどういう風に 違っているのかとかさ | |
それは私にとっても興味深い 話題ではありますが……、 残念ながらその余裕はなさそうです | |
え? | |
突然、あちらの世界の二人の体が 希薄になりはじめた。 | |
カエルム先生、どういうこと!? | |
カエルム | 慌てずともよい。 彼らは自分達の世界に戻るだけだ |
---|---|
カエルム | この世界において異質の存在だと 己が認識したことによって、 あるべき形へと帰ろうとしているのだ |
ええっ!じゃあ説明しなかったら もっと一緒にいられたの!? | |
カエルム | 同一の存在が同じ世界に 在り続けることはできないのだ |
カエルム | 長く続けばやがて 一方は変質せざるを得ない |
そんな! 僕達、まだ全然話せてないよ! | |
え、えーっと! えーっと……! | |
風呂入れよ! 歯磨けよ! 顔洗えよ! 宿題やれよ! 風邪ひくなよ! | |
え、何言ってるの!? あ、あの、二人とも元気で! | |
はい、ありがとうございます | |
ごきげんよう | |
既に姿はほとんど見えないまま 別れを告げて、妖精達は 自分の世界へと帰って行った。 | |
はぁ……、全然話せなかった | |
残念だったねぇ | |
しかしあっちのあたし……、 あの方向性もアリかな | |
僕もあっちの僕くらい 毅然としてれば、ティアルに 振り回されずに済むのかな…… | |
ほうほう、セレストは デキる弟路線を御所望か | |
よろしい、お姉ちゃんも応援しよう | |
いや、兄としてだよ…… | |
カエルム | お前達は同じ時に生まれた者。 どちらが年長かを問うなど 詮無きことだ |
ほら、カエルム先生も 考えるだけ無駄だって | |
カエルム | いや、そういうことでは |
…………はぁ、頑張ろう |
クイス | いやはや、お見事。 この世界は守られ、正されましたな |
---|---|
お前の望む方に、か? | |
クイス | 世界の混沌、均衡のズレ……。 不安定であることは 良くないとお思いですか? |
クイス | なるほど、一点において それは正しいかもしれない |
クイス | しかし視点を引いてみるとどうです? それは安定していることと 変わらないのでは |
クイス | 詭弁とお思いならそれで結構。 けれど、私もこの世界を 愛しているのですよ |
クイス | 私なりに、ね。 それでは、またいつか |
ちび魔龍 | がう! |
魔龍の幼生を抱え上げると、 クイスは姿を消した。 |
あの、今回も 色々とありがとうございました |
ふぅっ…… |
こことは違う世界の存在、 もう一人の私。 なんだか今でも頭が追い付きません |
でも、カエルム先生の おっしゃっている通りなら…… |
私がこうしてあなたのそばに居られることは 正しい行く末なんですよね |
ふふっ、勝手な解釈かもしれませんけど そう考えられるのはとっても嬉しいです |
きっとあの子も今頃は、向こうの あなたに再会できてると思います |
ところで今度こそ 学舎を案内したいんです |
さぁ、いきましょう |
お疲れさまでした |
お願いした私が言うのも何ですが…… |
このような短期間で邪神というものに 何度も立ち向かった方など、 そうはいないと思いますよ |
ここは隔離された土地。 そのうえ今回は、異なる世界などという 常識の枠を超えるような話です |
苦労に見合うだけの称賛は 得られないかもしれませんが…… |
いや、案外世界というのは、 このように人知れず救われている ものなのかもしれませんね |
そう言ってほほ笑むと セレストは静かに口ずさみだした。 |
それは彼が以前より彼が好んでいる 『英雄を称える歌』だった。 |
……さて。 せっかく我が学舎に お越しいただいたのです |
宜しければ学内を案内して 差し上げたいのですが |
いかがでしょうか |
もう一人のあたし達を助けてくれて ありがとね |
邪神に乗っ取られてる時はね、 時間の感覚も無くて ずーっと暗い気持ちが続くの |
楽しいことなんて 何も考えられなくなっちゃう |
もし邪神があのまま復活してたら、 いろんな人たちが あんな思いをするのかなって |
世界を救うとか、そんな大それた ことじゃないけど、キミと一緒に それを防げたのはとっても嬉しいな |
……おっと、そういえば 忘れるところでしたよ |
あたし達はやっぱりこれで締めなくちゃね。 せーの…… |
びくとりー!! |
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……………… |
……………… |
先ほどからティアルが 厳しい顔でこちらを窺っている。 |
このままでは落ち着かないので、 何事かと尋ねてみる。 |
……! 来ましたね! 言葉選びは慎重にした方がいいですよ |
知ってますよ、 今日が嘘をついてもいい日だって! 私、簡単には騙されませんから! |
なーんて、嘘です。 ふふ、こちらにはユニークな 風習があるんですね |
エイプリルフール、ですか。 ふむ……天上でも 似たような日がありましたよ |
ただ、こちらとは全く逆ですね。 いかなる虚偽も許されない 重苦しい雰囲気の日でした |
まぁ、嘘ですが |
いやはや、申し訳ありません。 そうですね、習慣と申しますか |
天上では、歳の数だけ嘘をつかなければ ならないという決まりでして。 つい必死に嘘をついてしまいました |
まぁ、嘘ですが |
アイム ユア マザー!! |
うーん、やはりイマイチ……? |
嘘をついてもいい日、ってのは面白いけど 人を傷つけない微笑ましい嘘というのは なかなかに難しいね |
よし、明日! 明日とっておきの嘘を 披露するから! |
ハッハハ イッツ ジョーク |
あ、あのさ、今日は嘘をついてもいい日だって 話を耳にしたんだけど…… |
それこそ嘘だよね? だってそんなことになったら みんな大騒ぎだよ |
あれ? 嘘をついてもいい日っていうのが嘘? だったらやっぱり嘘はついちゃいけないの? |
待って! ホントに嘘をついていい日なら 君の答えも正しいとは限らないって ことだよね? |
何だかよくわからなくなってきた…… うぅ、地上って 怖いところだなぁ…… |
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これは……? 柏餅? |
わぁ、いただけるんですか。 ありがとうございます |
へぇ、こどもの日? 子供…… |
私、やっぱり子供っぽいでしょうか。 自分では立派な大人でありたいと 思っているんですけど |
……え? あ、なんだ。 てっきり子供だけが食べるもの かと思ってしまいました |
うん! おいしいですね、柏餅! |
学内に小さな鎧が飾られていましたが、 あれはなんでしょう? |
ほぅ、こどもの日……。 なるほど、男児の強い成長を願う 偶像というわけですか |
理解はしましたが、効用というか 必要性は少々疑問ですね |
何せこの学校では もっと立派な金色の鎧が 闊歩しているわけですから |
今日は、えーっと……こどもの日? 何やら、背を比べて高い方が お菓子をもらえるとか |
地上は無情な競争社会ですなぁ。 おや、違う? |
じゃあ背の低い方が!? やったね、あたし超有利!! |
えー、それも違うの!? |
んもー! どうすりゃお菓子もらえるの!? |
鯉のぼり……だっけ? 魚を空に上げるなんて、最初は 変わった風習だなぁと思ったけど |
試練を乗り越えた鯉が龍になった、 っていう言い伝えが 元になってるんだってね |
努力はきっと報われるよね。 うん、いつかは僕も……! |
あれ、ちょっと待って? まだ龍になってない鯉を 空に上げちゃダメなんじゃ…… |
うーん……。 やっぱり地上って変わってるなぁ…… |
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雨、よく降りますねぇ…… |
雨が大切なものと分かってはいますけど、 こう長く続くと、ちょっと 気が滅入っちゃいます |
同じ降るなら、もっと 楽しいものがいいですよね |
えっと、例えば…… |
飴とか? |
わーっ、わーーっっ! ごめんなさい! 今の忘れて下さい! |
おや、また雨ですね |
天上では常に天候が安定していましたから、 地上のこうした頻繁な変化は実に新鮮です |
この雨音も最初は騒音にしか 聞こえませんでしたが、 慣れてくると中々に趣深いものです |
あなたとの生活も同じ…… |
おっと、少々言葉が過ぎました |
水に流していただけると幸いです |
はー、圧巻 |
雨が降りしきる窓の外を眺めながら、 ティアルが感嘆の声を上げる。 |
学舎にいた頃は、雨と言ったら 地表へ落ちていくものだったからね |
こうやって下から眺めるのは 新鮮極まりないのです |
ね、ちょっと外出ちゃダメかな? |
この天候なら人目に付くことも無いだろうか? |
気をつけるように、と君が窓を少し開けると ティアルは意気揚々と飛び出していった。 |
〜数分後〜 |
あー、うん。 雨ってただの水だわ |
本で読んだから知ってはいたけど、 この時季の地上は本当に 雨がよく降るんだね |
そうそう、雨について調べたときに 気になる言葉があったんだ |
ファフロツキーズ……だったかな? |
簡単に言うと、魚やカエルみたいな 空とは関係ない物が降ってくる 原因不明の現象らしいんだけど |
ふと、僕らの学舎や 君達のアカデミーの一つは 空を飛んでるな、って思っちゃって |
………………………… ……考え過ぎだよね? |
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今日は星見の日でしたよね |
とはいえ、お天気が心配です。 せっかくなんですから 晴れてほしいですね |
……はい? えぇ、 学舎からだと雲が邪魔になることは あまりないですね |
でも、天候で左右されるというのも 情緒があって私は好きですよ |
そうだ、いつか学舎で 一緒に星を見ましょう。 はい、約束しましたよ |
この一年に一度しか会えない 牽牛織女という男女の話、 拝見しましたよ |
一時の感情にかまけては 全てをふいにする……。 寓話としてはよくあるテーマかと |
おや、違うのですか? |
悲恋のおとぎ話? これがですか? |
私には働いてるふりすらしない 彼らの要領の悪さしか 目につかないのですが…… |
こちらの文化は難しいですね |
廊下に紙がぶら下がった草が あったけど、アレなに? |
ふんふん、おまじないね。 ほー、これに願い事を書くんだ? |
んー……じゃあ 『みんなが楽しく過ごせる日が 続きますように』……っと |
ちょっと? なんでそんな意外そうな 顔をしますかね |
いーのいーの。 あたしの一番のお願いは キミに任せちゃったから、ね? |
天の川………… |
あっ、なるほど! 星の集まりを川の流れに 見立ててるんだね |
そうすると、僕らの『天の学舎』は 川に浮かぶ船かな? |
でも本当に星の世界を旅できたら すごいだろうなぁ…… |
もし、いつかその時が来たら 一緒に行こう! 約束だよ! |
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御先祖様の霊魂が帰ってくるのを お迎えする習わしがあると聞きました |
短期間とはいえ、共に過ごして 亡くなられた方を尊重する。 素敵な発想だと思います |
でも、そうですね。 どちらかと言えば私は…… |
大切だった人には いつもそばで見守っていて もらえる方が嬉しいかな |
それは生きている方でも 同じですよ |
文献で読みましたが、この時季には 鎮魂の踊りが行われるのですか? |
ふむ、今では娯楽行事なのですか。 なるほど、時を経て形骸化するのは ままあることですね |
あなたと私では 体の大きさが異なりますが、 よければ御教示いただけませんか |
…………なるほど、 個性的でした |
ふむぅ、この時季は 先祖の霊が帰ってくるとですか |
言われてみれば、最近 霊気が強く感じられるような |
今も……段々と…… 近づいてきてる…… そう…………………… |
お前の後ろだーっ!! |
……ダメか。 来るのが御先祖様じゃ あまり怖くならないね |
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今日は月見の日なんですね。 少し前にも星見がありましたよね |
星見も月見も色々意味が あるみたいですけど、一番の理由は 時季的に綺麗に見えるからですよね |
学舎だと星や月は夜になれば 当たり前に見えるものですから、 あまり特別な感じはしないんです |
常に満たされていないからこそ 生まれる発想もあるんですね。 それが情緒というものでしょうか |
ちょっと難しく考えすぎました。 お月様が綺麗で、お団子が美味しければ それでいいですよね |
本日は月見の日なのですか。 なるほど、月には魔力があると言われますね |
他の星々よりも近くにあるが故、 我々はそのさまざまな表情を知っていますが…… |
やはり手の届かぬ存在であることに 変わりありません |
そのような距離感が、逆に 神秘性を生んでいるのでしょうね |
それはタヌキもつられて 出てくるというものです |
なんでしょう? おかしなことを言いましたか? |
ふぅむ、そのような歌があると 文献で見たのですがね…… |
月にウサギ!? ないない! |
そんな作り話はいいからさ、 お団子とやらをくださいな! |
おー、きたきた。 ふんふん、ボーノボーノ |
ん? あー、さっきのウサギ? へぇー、月でお餅をねぇ。 ハハハ、ユニークですこと |
え? あれ? このお団子もまさか? |
……マジ? |
月見? へぇ、月を見る行事なんだ |
少し前に星見もあったよね。 じゃ太陽を見る行事は? |
あれ、無いんだ。 普段見えているものには 特別感が薄いのかな |
じゃあ、夜型生活の人用に 『お陽見』を考えてみようか |
夜明かしのテンション。 さんさんと照りつける太陽。 目を瞬かせながらそれを眺めるみんな…… |
…………。 うん、やめとこう |
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今日は何かお祭りなんですか? |
あ、カボチャだ。 へぇ、ランタンになってるんですね |
そうだ! これに私が隠れて 街に行く事ってできませんか? |
いいんですか!? わぁ、楽しみです |
……楽しみですけど、その、 内側がぬるぬるしてたりとか ないですよね? |
トリックオアトリート、 お菓子をくれなきゃいたずらするぞ |
明らかな脅迫ですが……、 大丈夫なのですか、これは |
あぁ、誤解無きよう。 私はこの文化を否定している わけではないのです |
お菓子をいただける事に 微塵も異論はございませんよ |
それとも…… いたずらを御所望ですか? |
さぁさぁやってきました、 ハッピーハロウィン!! |
予習も万事抜かりなし! ふふ言っちゃうよ、 言っちゃうからね、あの言葉! |
トリック オア |
トリィィーーーーッック!!!! |
フゥーハハハハハ!! 眠れぬ夜を覚悟しやがれーい!! |
ティアルは不敵に笑いながら姿を消した……。 |
き、今日はいろんなモンスターが 外を徘徊してるんでしょ? |
地上のアカデミーほどの場所が、 簡単に侵入を許すだなんて…… |
もっと早く知ってれば、 色々と対策を立てられたのに…… |
よし、このマジックトーチは目くらましに、 マジッククラウドは煙幕代わりになるかも |
うーん……ちょっと心許ないけど、 今用意できるのはこんなところかな |
要らない? なぜ? え、それはお菓子? ……わけがわからないよ |
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勤労感謝? なるほど、働いている方に 感謝する日ですね! |
日頃の皆さんのお仕事を尊ぶ。 うんうん、素敵なことです |
あれ、でも感謝すべき私たちが お休みしてていいんでしょうか? |
これはいけません! 働いている方達には是が非でも 休んでいただきませんと! |
私、眠りの魔法ならいけますよ! あなたも手伝っていただけますか!? |
勤労感謝ですか? |
ふむ、この場合の『勤労』とは 別段、労働に限定していないようですね |
学生の身である私達は 一方的に感謝する立場なのかと 思ってしまいました |
とはいえ具体的に何をするでもなく、 率直に申し上げまして よくわからない日ですね |
まぁここは与えられた余暇を 享受致しましょう |
きん……ろう? |
それはアレですか。 『働かざる者食うべからず』 ってやつですか |
ふむ……一宿一飯の恩義、 忘れたとあっちゃあ 女がすたります |
よござんしょ。 働きますとも、 明日から! |
その英気を養うためにも まずはご飯をいただけませんかね!? |
勤労……、働くことだよね |
そういえば将来のこと あまり考えたこと無かったなぁ。 キミはどう? |
アカデミーの先生の中には ここの卒業生もいるんでしょ? そういう道もあるよね |
僕は魔法のアイテムとか そっちの研究を 続けたいかな……? |
僕らが学んだ魔法、 やっぱり世の中の役に立てたいよね |
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気づけば今年もあと少し。 早いものです |
そろそろ新年を迎えるにあたって お掃除をしないと、ですね。 細かいところは任せて下さい |
それとあとは……、 あ、お世話になった方への お手紙ですね |
ちょっと時期的には ギリギリでしょうか |
……私個人としては、 一番お世話になった方へは 十分間に合いそうですけど |
近頃、何やら賑やかしいですね。 学内ばかりか庭園の木々まで 飾り付けられている |
ほう、あれは知恵の樹が モチーフなのですか。 我々魔法使いになんとも相応しい |
なるほど、色々と意味のある 行事なのですね。 そして家族と共に過ごす日でもあると |
家族と言うには語弊がありますが……、 こういった日をあなたと過ごすのも 悪くないかもしれません |
あたくし、空飛ぶ赤い爺ちゃんが 見たいですよ |
有名なんでしょ? デカい鹿を何頭も引き連れて |
そんなに特徴的なんだから 学舎でも目撃報告があっても よさそうなんだけどな |
え! 子供たちにプレゼントまで? すごい! ファンキーすぎる! |
ぜひ一度お会いして 人生観を聞いてみたい…… |
うぅ〜、寒い。 雪が降ってきたんだね |
実際に雪が降ってるのを見るのは初めてだよ。 学舎からだと一面の厚い雲しか 見えなかったから |
ただその雲が晴れると、 地上が突然真っ白になってて まるで魔法みたいだったよ |
地上だと降ってる時は 音が無くなったみたいに 静かになるんだね |
元は雨と同じ水っていうのが また不思議だよね。 本当に魔法みたいだ |
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成人の日ですか? あぁ、春にこどもの日があって 今度は大人の番というわけですね |
……………… |
あ、すみません。 以前、弟に子供っぽいと言われたことを 思い出してしまって |
弟が言うには 容姿や性格とからしいですけど…… |
違うんです! 私が子供っぽいんじゃなくて、 あの子が過剰に大人びているんです! |
精神的成熟を指して大人というのなら、 あの子はもうとっくにおじいさんですよ! |
うん、そうですそうです。 今度言われたらそう言い返してやります! |
……ああぁ、ダメだ。 絶対『同い年でしょう』って 反論されちゃう…… |
うーん、こういう時、 姉弟ってやっかいですね。 どうしたものでしょう…… |
成人の日……、ふむ。 成人という定義は いかなるものでしょう? |
明らかに幼い頃はともかくとして、 己の考えを持ち個を主張でき得るならば、 それはすでに成人という気もしますが |
なるほど、こちらでは年齢なのですか。 便宜上、そういった画一的な区分も 一つの方法ではありますね |
ただ、それを理由に責任を問われない というのは喜ばしいことではありませんね。 一人前として認められていないわけですから |
ましてや、それを特権などと考える 愚かな価値観が蔓延しないことを 個人的には願いたいものです |
成人の日? なるほど、少年少女たちが 人生の階段を上る日ですか |
で、どんな試練をクリアーすれば 大人って認められるの? |
え、年齢で自動的? そんなお手軽な! |
ほら、あるじゃん! 例えば高いところから 飛び降りるとか! |
…………高いところ |
そうだ! 今度学舎に帰った時に 先生に使用許可取っとくね! |
いやいや、 お礼は結構ですってば! |
へぇ、成人の日? 成人って大人のことだよね |
うーん、一人前が大人という意味なら 僕はまだまだ子供かなぁ |
僕一人じゃ何もできないし……、 実際、君にも迷惑かけちゃってるから |
…………でも |
今は頼っちゃってばかりだけど、 いつかは君と協力できるくらいに なりたいと思ってる |
だからあらためて これからもよろしく、って 言っていいかな……? |
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サンダース | む、御主か |
---|---|
サンダース | 今日は4月4日……。 然り、我が輩の誕生日であるようだな |
サンダース | いずれは戦場にて散るこの身、 生まれの日など些末なことと 思っていたが…… |
サンダース | 他者の記憶に残ってこその 人の生、かもしれぬな |
サンダース | 礼を言おう |
アロエ | メディアちゃん! 今日、お誕生日だったよね。 おめでとう! |
---|---|
メディア | あっ!アロエお姉ちゃん! うふっ、ありがと! |
メディア | わたしまだまだ大きくなるからね! |
アロエ | え! あっ…… が、がんばってね! |
リディア | 誕生日……、私の? |
---|---|
リディア | 本当! すっかり忘れてたわ。 あなたすごいわ |
リディア | 難しい問題はよく間違えるのに、 一年に一度しかない 私の誕生日を覚えているなんて! |
リディア | でも嬉しいわ、 どうもありがとう |
リエル | ♪ふんふふふ〜ん♪ 今日はサツキちゃんの お祝いをしませんとね |
---|---|
リエル | と、噂をすれば! あのー、サツ…… |
ユウ | お姉ちゃん、 お誕生日おめでとう! |
サツキ | ユウ。 学校では私のこと なんて呼ぶんだっけ? |
ユウ | あっ、ごめん……なさい。 先生…… |
サツキ | なんてね。 ありがとう、とっても嬉しいわ |
ユウ | えへへ。 あのね、プレゼントがあるんだ。 部屋に帰ったら渡すね |
リエル | (こ、これは…… 入り込めません!) |
ラスク | さっきウィーズ先生に 今日は僕の誕生日だ、 って言ったらさ |
---|---|
ウィーズ | 『成長とは可能性の獲得だ。 だが、徒に歳を重ねるだけでは それもたかが知れている』 |
ウィーズ | 『万事に興味を向け、見聞を広めよ。 経験を重ね、惟ることが やがてお前に多くの道を開くだろう』 |
ラスク | なんて難しいこと言われちゃった。 あれは一応、 お祝いしてくれたんだよね? |
ラスク | とりあえず、先生の金の鎧には すっごく興味があるけどね! |
アイコ | やっほー! 今日は何の日か知ってるかな? |
---|---|
アイコ | じゃじゃーん! なななんと! マヤちんの誕生日なのです! |
マヤ | あの、アイコ、 そうやって触れまわられるのは、 すごく恥ずかしいんだけど…… |
マヤ | でも、その…… ……ありがとう |
クララ | あれ? シャロン、 ビスケット嫌いだった? |
---|---|
シャロン | いえ…… |
シャロン | なぜ『お誕生日おめでとう』と声をかけた 私の方がお菓子をもらっているのか、 不思議なだけですわ |
クララ | お礼のつもりだったんだけど、 ……ヘンかな? |
シャロン | ふぅ……、いただきますわ。 あなたは、いつもお菓子を 持ち歩いてるのね |
クララ | あはは、いつの間にかお菓子作りが 日課になっちゃってるから |
クララ | 下手の横好きなんだけどね |
シャロン | そう謙遜するものではありませんわ。 あなたが努力家なのは 皆の知るところですし、 |
シャロン | 単に好きなだけで終わってはいないと この味が証明してますわよ |
クララ | そう言ってもらえると嬉しいな。 改めてありがとう、シャロン |
ミュー | はい、今日は わたしの誕生日であっています |
---|---|
ミュー | ありがとうです。 お祝いされるのはとてもぽかぽかです |
ミュー | 大きくなれば魔法も安定するって聞きました。 はやくお父さん達を安心させてあげられたら うれしいです |
ミュー | ……でもその時、トンちゃんは どうなっちゃうのかな…… |
ミュー | ごめんなさい、今のはひとりごとです。 気にしないでほしいのです |
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アイコ | グモーニン、マヤちん! |
---|---|
マヤ | あらアイコ、おはよう |
アイコ | 今日は何の日かご存知かな? |
アイコ | ダラララララララララ ララララララララララ ……ジャン! |
アイコ | なんと! 私の! 誕生日でーす♪ |
アイコ | マヤちんに遅れることひと月半、 年下に甘んじる日々も これにて終了〜 |
アイコ | フフフン、 もうお姉さんヅラはさせないよ! |
マヤ | そうね、誕生日おめでとう |
アイコ | おぉっと、こいつはクールな反応だぜぃ! ありがとう、そして今年もよろしく! |
マラリヤ | あらどうも |
---|---|
マラリヤ | 誕生日……? 誰のかしら |
マラリヤ | ほう、私の? |
マラリヤ | ……………… ……………… |
マラリヤ | あぁ思い出した、思い出した。 確かそんな設定だったわね |
マラリヤ | お礼は言っておくわ。 うふふ |
タイガ | なぁ、サンちゃん。 その恰好、暑ないんか? |
---|---|
サンダース | 御主こそ、冬でもその服で 寒くはないのか? |
タイガ | このスタイルは、いわば ポリシーっちゅーやつ? |
タイガ | 熱い寒い程度では譲れませんわ |
サンダース | うむ。 我輩も同様だ |
タイガ | オレら、案外気が合うな |
サンダース | フッ |
タイガ | ちなみに今日な、 オレの誕生日やねん |
サンダース | そうか、それはめでたいな |
タイガ | おおきに |
ガルーダ | 学ぶべきは知識のみに非ず! |
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ガルーダ | 魔法使いを魔法使いたらしめるのは、 豊かな知識と魔力。 それは間違いない |
ガルーダ | しかし、知識の蓄えも魔力の行使も、 健康な身体あってこそだ |
ガルーダ | 平たく言えば あまり本の虫になるなよ、 ということだ |
ガルーダ | これからも暑い日が続く。 体調に注意を払いながら、 学び、そして励めよ! |
カイル | こんにちは、暑いですね |
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カイル | え? あ、はい。 今日は僕の誕生日です |
カイル | ありがとうございます。自分ではあまり 気にはしていませんでしたが、 人から言われると嬉しいものですね |
カイル | そうだ、お祝い代わり…… と言っては何ですが、 少々お願いしていいですか? |
カイル | 実はこの好天気で夏野菜が 採れ過ぎてしまって……。 少し貰っていただけると助かります |
カイル | おいしい食べ方を お教えしますので、是非 |
レオン | なぁ、ガルーダ先生とウィーズ先生が 着けてるあの腕輪な |
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レオン | なんでも強すぎる魔力を 抑え込むものらしいぜ |
セリオス | ほう |
レオン | ただでさえ規格外だってのに、 あれがセーブした状態なんて シャレになってねぇよな |
セリオス | そうだな |
レオン | 俺の親父も同じものを着けてた……。 それって、そんだけ強かったってコトだよな |
レオン | 俺も成長してるつもりだったけど、 今はそんなもん付ける必要ねぇ……。 ちくしょう、悔しいぜ! |
レオン | いつか絶対に追いついて……、 いや、追い抜いてやるぜ! |
セリオス | なるほど |
セリオス | つまり、お前は腕輪がしたいんだな |
レオン | おい |
フランシス | やぁ、君か |
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フランシス | ん? 私の誕生日かい? おぉ、覚えてくれていたとは嬉しいね |
フランシス | この時期はまだまだ暑いけれど、 私はそれが好きでね |
フランシス | そう、なかなかあきがこない |
フランシス | (決まった……! フフ、言葉も出ないか) |
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アメリア | あら、おはよう |
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アメリア | ん? そうね、確かに今日は 私の誕生日だけど……。 え、やだ、お祝いしてくれるの? |
アメリア | キャーーーーーーーーー! なんて可愛いこと言ってくれるの! どうもありがとーうー! |
アメリア | あぁっ、ごめんなさい! ちょっとはしゃぎすぎちゃった!? |
アメリア | でもね、生徒のみんながくれる言葉は 私たち教師にとって とても嬉しいものなの |
アメリア | あなた達が思ってるより、 ずっとね |
ルキア | うぅ、またこんな点数……。 賢者への道は厳しいなぁ |
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ルキア | 憧れの大賢者様を目指して 勢いでアカデミーに入ったものの、 もしかして私向いてないんじゃ…… |
マロン | ルキアちゃん、どしたー? |
ルキア | あ、マロン先生…… |
マロン | 甘い! 甘いよ! キミは本当に全力で挑んでると 大きな胸を張って言えるのかい!? |
ルキア | う、それは…… |
マロン | 勢い結構! 憧れ結構! むしろそれに勝る原動力などあろうか? いや、無い! |
ルキア | さ、さすが憧れを職業にした人の言葉は 重みが違う! |
マロン | そう、私が初志貫徹できたのも 憧れのリアル魔法少女がいたからさね |
ルキア | へぇ、初耳ー |
ルキア | (……マロン先生以外にも 魔法少女って実在したんだ) |
マロン | もし本当に向いてなかったとしても、 全力で挑んでいるうちに 別の道が見えてくるもんだよ |
マロン | 迷うのはその時でいいんじゃないかな |
ルキア | そっか、そうだよね。 ありがとうマロン先生! |
ユリ | たのもー! バースデー組み手の お届けにあがりました! |
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リック | ユリ? バ、バースデー組手って……? |
ユリ | 誕生日の人に贈るスパーリングさぁ! リック、今日誕生日でしょ? いざ手合わせ願おう! |
リック | お、押忍! |
リック | (第一アカデミーの格闘学科では そういうものなのか……?) |
ユリ | ふぅ、こんなとこかな。 うん、さすがにやるね! |
リック | いや、ユリこそ……。 そ、その……どうもありがとう |
ユリ | 礼はいいってことよ! それじゃまた! |
リック | ……鋭い拳だったな。 仕掛けてくるフェイントにも 一切迷いが無かった |
リック | 俺はまだまだ頭で考え過ぎてるのか。 よし、これからも精進あるのみだ! |
エリーザ | ミランダ、誕生日おめでとう |
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ミランダ | えっ! あら、エリーザ。 どうもありがとう |
エリーザ | 慌ててる? ふうん、さしづめ 愛しの旦那様との誕生パーティに 気もそぞろってとこかしら |
ミランダ | そんなことは…… まぁ、あるけどね |
エリーザ | はいはい、ごちそうさま |
エリーザ | ふふ、けれど人って変わるものね。 あんなに男勝りだったあなたがねぇ |
ミランダ | それはお互いさま。 あなただって昔は魔法少…… |
エリーザ | 悪かったわ。 やめましょうか、昔の話は |
シャロン | (家から届いた誕生祝いの手紙……。 お父様の名義となっていますけど、) |
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シャロン | (どうせ代わりの者に書かせたものでしょうね。 ふぅ、どうしたものかしら……) |
ラスク | あれ、シャロン。 それってシャロンのお父さんの手紙? |
シャロン | え? えぇ、そうですけど……、 なぜあなたが御存知ですの? |
ラスク | だってその封蝋は当主直筆の証でしょ? 前に僕の父さんから 教えてもらったことがあるよ |
シャロン | そ、そうですの!? ……コホン、そうでしたわね |
シャロン | そういえば私、用事を思い出しましたわ。 それではごきげんよう |
リエル | ラスク君、どうもありがとうございます。 助かりました |
ラスク | 僕は別にいいけどさ、 これってリエルが直接言えば 済むことじゃないのかなぁ? |
リエル | 私では伝わらないこともあるんですよ |
ラスク | ふぅん? なんだかよくわからないけど、 めんどくさいね |
リエル | ふふ、そうですね。 困ったものです |
ユリ | うへぇ、またこんな点数……。 ぶんぶりょーどーへの道は厳しいなぁ |
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ユリ | よし! こうなったら トレーニングやめて勉強に専念するしか! |
ガルーダ | このバカモンがぁぁぁぁッ!! |
ユリ | はっ、ガルーダ先生!! |
ガルーダ | 知力を付けるは大いに結構! だがそのことで己が目指すものを 見失っては愚の骨頂! |
ガルーダ | 問おう! ユリ! お前が欲したのは屁理屈をかたる口か! |
ユリ | 違います! |
ガルーダ | 敵の一撃を受け切らぬ小賢しさか! |
ユリ | 違います! |
ガルーダ | よぉぉぉし! ならば オマエにこの言葉を贈ろう! |
ガルーダ | 『拳に勝る雄弁なし!』 |
ユリ | うぉぉぉぉぉ、 ガルーダ先生!!! |
ガルーダ | ユリィィィィ!!! |
ユリ | せんせぇぇい!! |
ガルーダ | 一応言っておくが、 勉強しなくていいという ことではないからな |
ユリ | ですよねー |
ヤンヤン | 今日は私の誕生日アル |
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ハルト | ほう、いきなり贈答物の催促か? |
ハルト | フン、懇願するならば 祝福の言葉くらいやらんこともない |
ヤンヤン | お前も大概けちアルね |
ヤンヤン | いいからついてこいアル。 私のおごりで飯食わせてやるアル |
ハルト | なっ!? 何を言っている? 今日は貴様の誕生日なのだろう? |
ヤンヤン | お前こそ何言ってるアル? 今日は私の誕生日だからアル |
ハルト | (なん……だと? こいつ、金銭には人一倍 うるさいはずではなかったか?) |
ヤンヤン | 何ブツブツ言ってるネ!? 皆を待たせてるアル、 さっさとするヨロシ! |
ハルト | フ……フフ、良いだろう! 真実を見極めてやろうじゃないか。 この眼と舌でな! |
ヤンヤン | (いきなりテンション上がったアルな? そんなに腹減ってたアルか?) |
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ミュー | アロエさん、あけまして お誕生日おめでとうございます |
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アロエ | あけましてありがとう、 ミューちゃん |
ミュー | わーい |
アロエ | わーい! |
ミュー | ハッピーバースデー、 今年もよろしくです |
アロエ | ハッピーニューイヤー、 えへへ、今年もよろしくね |
ミュー | わーい |
アロエ | わーい! |
ルキア | (な、何……? この小さな生き物たちは……) |
ハルト | 1月4日。 そう、世界がその真実を 暴かれることとなった日だ |
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ハルト | この俺が生まれたと いうことによってな! |
セリオス | それは聞き捨てならないな |
セリオス | 世界の真理にたどり着く者は この僕をおいて他にない |
ハルト | ……セリオスか。 どうやら貴様とこの俺には 通ずるところがあるらしい |
ハルト | しかし到達者は一人で十分だ。 違うか? |
セリオス | 同感だ。 僕はいつでも構わないが? |
ハルト | フン |
マヤ | えっと、上は洪水、 下は大火事ってなーんだ? |
ハルト | 神話における世界創造の場面にも 似た描写だが…… |
ハルト | 海底火山? 違うな、それではあまりにも 直接的すぎる |
セリオス | 何かの比喩であるのは 間違いなさそうだ。 ふむ、上と下か…… |
セリオス | ……! 人間関係か!? ……待てセリオス、結論を急ぐな |
マヤ | (私なんでこんなことに 巻き込まれてるんだろう……) |
アメリア | エリーザ先生、 お誕生日おめでとうございます |
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エリーザ | あらアメリア先生、 どうもありがとう |
エリーザ | それにしても、もう誕生日……。 一年があっという間だわ |
アメリア | ですよねぇ。 私も生徒だった頃よりも 時間が経つのが随分早く感じます |
エリーザ | ふぅ |
アメリア | はぁ…… |
エリーザ | 良くないわね。 そう思ってしまうのは 時間に追われてる証拠だわ |
エリーザ | むしろこっちが時間を 追ってやるくらいの 意気込みでいきましょう |
アメリア | はいっ、そうですね! |
セリオス | 僕の誕生日? |
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セリオス | そうか、そんな時期なのか! マズイな…… |
セリオス | あぁ、すまない。 礼はいっておこう |
セリオス | いや、昨年タイガの奴が 一日早い誕生日プレゼントと言って 持ってきた食べ物がちょっとな |
セリオス | まるで巻物のような形をしていて これが結構な大きさだったんだ |
セリオス | すぐ食え、喋るな、一気にいけとか、 正直苦しかった記憶しかない |
セリオス | なんでも彼の故郷の風習らしいが、 おそらく善意からのことだろうし あまり強くも言えず…… |
??? | セリオスー、おるかー? |
セリオス | ……! 僕はこれで失礼する! |
マロン | こちとら当年とって17歳だというのに なぜか皆には全然 信じてもらえないんですニャー |
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エリーザ | なぜそれを私に相談しに来るのか よくわからないのだけれど |
エリーザ | あとその語尾は何 |
マロン | 今日は猫の日だからですニャー |
エリーザ | 人の信頼を得るためには 日頃の立ち振る舞いが重要だと 改めて実感したわ |
エリーザ | あ、そういえば言ってなかったわね。 誕生日おめでとう |
マロン | 師匠、あざーっす |
エリーザ | ……今のあなたと私は 職場の同僚です |
エリーザ | もし、皆の前でそう呼ぶような ことがあったら覚悟なさい |
マロン | すみませんっした、 エリーザ先生 |
レオン | おう、ユウ。 お前今日誕生日なんだって? おめでとうな |
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シャロン | あら、そうでしたの? 言葉だけで申し訳ないですけど、 お祝いを言わせていただきますわ |
ユウ | あっ、レオンさん、シャロンさん。 どうもありがとう! |
ユウ | えへへ、さっきお姉ちゃんにも 言ってもらえたし嬉しいなぁ |
レオン | あー……なんつーか、 お前ってサツキ先生に ベッタリだよなぁ |
ユウ | うん、お姉ちゃんのこと 大好きだよ! |
シャロン | ここまで言い切られると 潔さすら感じますわね |
ユウ | うん? おかしいかな? だって大事な家族だよ |
レオン | いや、おかしいってわけじゃ…… そうだな、家族だもんな |
シャロン | えぇ、家族は大事…… ですわね |
ユウ | うん! 二人ともじゃあね! |
レオン | (今度親父に会ったら、 まずは色々聞いてみるかな) |
シャロン | (たまには家に連絡を 入れましょうか……) |
マラリヤ | ちょいと、おかみさん |
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リエル | マラリヤさん、 いらっしゃいませ |
マラリヤ | 聞いたわ。 貴女、今日誕生日なんですってね。 ハピバー。パチパチパチ |
リエル | わぁ、どうもありがとうございます。 嬉しいです |
マラリヤ | それにしても3月14日……、 フフ、感心するわ |
リエル | ……? どういうことでしょう? |
マラリヤ | ひと月前に義理チョコをばら撒いておけば 誕生日には男たちから合法的に 贈り物がもらえるのでしょう? |
マラリヤ | 実に良くできたシステムだわ。 あっぱれ |
リエル | そんな、ものすごく寂しい人みたいに 言わないでくださいよう |
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