QMA1 / QMA2 / QMA3 / QMA4 / QMA5 / QMA6 / QMA7 / QMA8 / 賢者の扉 / 天の学舎 / 暁の鐘
トーキョーグリモワール / THE WORLD EVOLVE / MAXIVCORD / 軌跡の交叉
QMADS / QMADS2 / ロストファンタリウム
クイズマジックアカデミー THE WORLD EVOLVE
稼働日:2017年3月15日
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スペシャルサイト
THE WORLD EVOLVE Wiki
―暁の賢者たちは新たな地へ旅立つ― 暁の賢者たちによって平穏を取り戻したかに思われた異世界トーキョー。 しかし再び瘴気が発生し、以前よりも広範囲に蔓延しつつあった……。 再度トーキョーに降り立ち、原因究明のため新たな地へ向かう暁の賢者たち。 そこで待ち受けていたのは、彼らに酷似した銀髪の若者たちだった! 瘴気と共に現れた彼らの正体とは……?公式ストーリーページ
校長 | むううっ! トーキョーに再び瘴気が… 暁の賢者たちよ そなたたちの出番だ! |
---|---|
シャロン | なぜ また瘴気が? |
セリオス | それを確かめるのが 僕らの役目だ |
タイガ | そらそうや |
リエル | みなさん グリモワール お忘れないですか? |
アイコ | おっと! あぶないところだった! |
マヤ | もう 気をつけてよ? |
メディア | コレが無いと 魔法が使えないもんね |
カイル | 久しぶりの トーキョーですね |
ミュー | 少しワクワクです |
ラスク | 前みたいなトラブルが ありませんように |
ルキア | みんな そろそろ着くみたい! |
ヴァニィ | わたくしも お供 させていただきます! |
ハルト | 今回の瘴気は 随分と広域のようだな |
クララ | トーキョーだけじゃ ないんだ? |
ヤンヤン | やれやれ めんどうな話アル |
マラリヤ | 諸国漫遊 れっつごー |
リック | 遊びじゃないんだ 気を引き締めないと |
アロエ | 大丈夫かなぁ |
ユリ | だいじょーぶ だいじょーぶ! |
ユウ | そうだよ みんながいるし |
サンダース | 左様 我らを阻むものなし! |
レオン | そうそう…って なんだよアレ! |
物語 | 舞台 | 登場人物 |
---|---|---|
プロローグ | オーダイヴァ | レオン / セリオス / サンダース / ユウ ルキア / シャロン / メディア / ヴァニィ サツキ / マロン / ガルーダ / アメリア / 校長 |
vs グリム・レオン 1 対戦前対戦後 | アラクラヤマ | レオン / ラスク / ルキア / シャロン / クララ / ヴァニィ グリム・レオン |
vs グリム・サンダース 1 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | セリオス / サンダース / マラリヤ / ヤンヤン / サツキ グリム・サンダース |
vs グリム・メディア 1 対戦前対戦後 | ヒメッチ | カイル / アロエ / ユリ / メディア グリム・レオン / グリム・セリオス グリム・シャロン / グリム・メディア |
vs グリム・サンダース 2 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | サンダース / タイガ / ハルト / アイコ グリム・サンダース |
vs グリム・メディア 2 対戦前対戦後 | ヒメッチ | カイル / アロエ / ユリ / メディア / サツキ グリム・メディア |
vs グリム・リエル 1 対戦前対戦後 | ヨコハマー | リック / シャロン / リエル / メディア / マヤ / ムジナ / イナリ グリム・シャロン / グリム・リエル |
vs グリム・サンダース 3 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | レオン / セリオス / サンダース / ハルト / ルキア / クララ / ミュー グリム・サンダース |
vs グリム・リエル 2 対戦前対戦後 | ヨコハマー | リック / シャロン / リエル / メディア / マヤ / ムジナ / イナリ グリム・シャロン / グリム・リエル |
vs グリム・アイコマヤ 1 対戦前対戦後 | ニャーゴヤ | レオン / アイコ / マヤ グリム・レオン / グリム・セリオス / グリム・カイル グリム・シャロン / グリム・マラリヤ / グリム・ユリ グリム・アイコ / グリム・ミュー / グリム・マヤ |
vs グリム・ユリカイル 1 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | カイル / ユウ / リック / ユリ グリム・カイル / グリム・ユリ |
vs グリム・アイコマヤ 2 対戦前対戦後 | ニャーゴヤ | レオン / セリオス / アイコ / マヤ / ヴァニィ グリム・レオン / グリム・アイコ / グリム・マヤ |
vs グリム・ミュー 1 対戦前対戦後 | オキナー | セリオス / ハルト / クララ / ミュー グリム・レオン / グリム・セリオス / グリム・カイル グリム・ルキア / グリム・シャロン / グリム・マラリヤ グリム・ユリ / グリム・ミュー |
vs グリム・ユリカイル 2 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | カイル / ラスク / シャロン / ユリ グリム・カイル / グリム・ユリ |
vs グリム・ミュー 2 対戦前対戦後 | オキナー | セリオス / ハルト / クララ / ミュー グリム・ルキア / グリム・シャロン / グリム・ミュー |
vs ギガンティック・ヴァニィ | 宇宙 | マラリヤ / ヴァニィ / ヴァネッサ / マロン |
vs グリム・ルキア 1 対戦前対戦後 | センダイン | ルキア / アイコ / メディア / ムジナ / イナリ グリム・ルキア |
vs グリム・アロエマラリヤ 1 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | サンダース / ハルト / アロエ / マラリヤ / ヤンヤン グリム・アロエ / グリム・マラリヤ |
vs グリム・ルキア 2 対戦前対戦後 | センダイン | ルキア / アイコ / メディア / ムジナ / イナリ グリム・レオン / グリム・ルキア / ??? |
vs グリム・ユウ 1 対戦前対戦後 | ホッカイ | ラスク / ユウ / シャロン / サツキ グリム・ユウ / サツキに似た女性 |
vs グリム・アロエマラリヤ 2 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | レオン / アロエ / マラリヤ / ヴァニィ グリム・アロエ / グリム・マラリヤ |
vs グリム・ユウ 2 対戦前対戦後 | ホッカイ | ラスク / ユウ / シャロン / サツキ グリム・レオン / グリム・ユウ / サツキに似た女性 |
vs グリム・タイガリック 1 対戦前対戦後 | カンサイ | タイガ / リック / ルキア / アイコ / ガルーダ グリム・タイガグリム・リック |
vs グリム・セリオス 1 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | セリオス / カイル / ユウ / マヤ グリム・レオン / グリム・セリオス |
vs グリム・タイガリック 2 対戦前対戦後 | カンサイ | タイガ / リック / ルキア / アイコ グリム・タイガグリム・リック |
vs グリム・ヤンヤンラスク 1 対戦前対戦後 | シューキュウ | ラスク / ヤンヤン / マヤ / ヴァニィ / (ヴァネッサ) グリム・ラスク / グリム・ヤンヤン |
vs グリム・セリオス 2 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | レオン / セリオス / ルキア / シャロン / ムジナ / イナリ グリム・レオン / グリム・セリオス / ??? |
vs グリム・ヤンヤンラスク 2 対戦前対戦後 | シューキュウ | ラスク / ヤンヤン / マヤ / ヴァニィ / (ヴァネッサ) グリム・ラスク / グリム・ヤンヤン |
vs グリム・ハルトクララ 1 対戦前対戦後 | カナザウアー | タイガ / ハルト / クララ / アイコ グリム・クララ / グリム・ハルト |
vs グリム・シャロン 1 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | レオン / シャロン / リエル / メディア グリム・レオン / グリム・シャロン |
vs グリム・ハルトクララ 2 対戦前対戦後 | カナザウアー | タイガ / ハルト / クララ / アイコ グリム・クララ / グリム・ハルト |
vs グリム・シャロン 2 対戦前対戦後 | ナナイロブリッジ | レオン / シャロン / リエル / メディア グリム・レオン / グリム・シャロン / アヴェノセイメイ |
vs グリム・レオン 2 対戦前対戦後 | アラクラヤマ | レオン / セリオス / カイル / サンダース / タイガ / ユウ / リック ルキア / シャロン / リエル / アイコ / ミュー / マヤ サツキ / ムジナ / イナリ グリム・レオン |
vs 真・アヴェノセイメイ 対戦前対戦後 | ||
エピローグ |
レオンたちマジックアカデミーの生徒たちは、かつて【暁の賢者】の称号を持つ魔法使いとして、異世界トーキョーで瘴気発生事件を調査していた。
事件は一旦の解決をみたはずだが、再び瘴気の存在が確認されたことで、彼らはトーキョーへの地を再度踏むこととなった。
〜オーダイヴァ〜
ルキア
「んー! なんだか久しぶりだね!」
シャロン
「そうですわね。
まさかこんなに早く戻ってくることになるとは思いませんでしたわ」
ヴァニィ
「おおー! ここがトーキョー!
みなさんが戦っていた場所なんですね!」
メディア
「私たち、いっぱい頑張ったんだよね」
セリオス
「しかし、街並みを見ている限りは、何か起こっているように見えないな」
ヴァニィ
「確かに結構平和そうな感じが……」
サツキ
「いえ、あなたたちがトーキョー世界を去ってから、かなり状況が変化してるわ」
ユウ
「どういうことなの、おね……サツキ先生」
サツキ
「以前、そちらの世界の異常はトーキョーだけだったけど、今は他の場所にも及んでるの。
その原因の排除がみんなの任務です」
サンダース
「任務了解。
我が輩に任せてもらおう」
アメリア
「異常の原因は瘴気を生み出す装置よ。その破壊を優先すること。いいわね?」
ガルーダ
「だが、強大な瘴気の反応がある。守護者……のようなものかもしれん」
マロン
「ちゃーんと注意するんだよ! 怪我したら大変だからね!」
レオン
「おう、俺たちに任せとけ!」
ヴァルアドス
「此度の件、再びそなたたちに任せる。 頼むぞ、暁の賢者たちよ」
▲BACK TO TOP
事件は一旦の解決をみたはずだが、再び瘴気の存在が確認されたことで、彼らはトーキョーへの地を再度踏むこととなった。
〜オーダイヴァ〜
ルキア
「んー! なんだか久しぶりだね!」
シャロン
「そうですわね。
まさかこんなに早く戻ってくることになるとは思いませんでしたわ」
ヴァニィ
「おおー! ここがトーキョー!
みなさんが戦っていた場所なんですね!」
メディア
「私たち、いっぱい頑張ったんだよね」
セリオス
「しかし、街並みを見ている限りは、何か起こっているように見えないな」
ヴァニィ
「確かに結構平和そうな感じが……」
サツキ
「いえ、あなたたちがトーキョー世界を去ってから、かなり状況が変化してるわ」
ユウ
「どういうことなの、おね……サツキ先生」
サツキ
「以前、そちらの世界の異常はトーキョーだけだったけど、今は他の場所にも及んでるの。
その原因の排除がみんなの任務です」
サンダース
「任務了解。
我が輩に任せてもらおう」
アメリア
「異常の原因は瘴気を生み出す装置よ。その破壊を優先すること。いいわね?」
ガルーダ
「だが、強大な瘴気の反応がある。守護者……のようなものかもしれん」
マロン
「ちゃーんと注意するんだよ! 怪我したら大変だからね!」
レオン
「おう、俺たちに任せとけ!」
ヴァルアドス
「此度の件、再びそなたたちに任せる。 頼むぞ、暁の賢者たちよ」
▲BACK TO TOP
ルキア、レオンたち一行は瘴気を生み出す装置があると思しき土地の調査を始める。
〜アラクラヤマ〜
ルキア
「へー、ここがアラクラヤマ。
オーダイヴァとは全然景色が違うね。いい眺めー」
レオン
「おう、あれがフジサンってやつだな!」
ヴァニィ
「大きな山ですね!
新聞部としては、こちらの名所を取材したいところです!」
クララ
「みんな、呑気すぎだよ。もうちょっと真面目に……」
シャロン
「そうですわよ。
向こうに禍々しい瘴気が見えます。あそこに瘴気を生み出すものが……」
ラスク
「ええと、先生からの情報と比較して……うん、間違いないね」
レオン
「よし、だったらさっさとぶっ壊そうぜ!
そしたらちょっとくらい観光してもいいんじゃねぇか?」
ヴァニィ
「それはナイスなアイディアです! 是非そうしましょう!」
行動を起こそうとした途端、ルキアの近くに雷魔法のようなものが落ちる。
ルキア
「な、なに!?」
謎の少年
「なんだよ……魔法の気配がしたと思えば、雑魚の群れじゃねぇか。つまらねぇ」
ルキア
「レオン!?」
レオン
「俺はここにいるぞ!?」
クララ
「でも、凄く似てるわ……
レオンくんを少しワイルドにしたような感じ」
レオン
「なんで納得してんだよ!?俺、あんなじゃねぇだろ!?」
ヴァニィ
「もしかしてドッペルゲンガー!? 世界に同じ顔の人は三人いると言いますし!
これはレオンさんに突撃取材を……!」
ラスク
「ちょっと、落ち着きなよヴァニィ……。それはともかく、どうする!?」
謎の少年
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
ヴァニィ
「ひいっ!」
謎の少年
「あーだこーだ、うるせぇ奴らだな。 俺はそういうのは大っ嫌いなんだ。
戦う気がないなら失せろっ!」
シャロン
「言ってくれますわね
レオンさんそっくりな方がここの守護者……恐らく、そういうことでしょう」
ルキア
「だったら、あの変なレオンを倒せばいいってこと?」
レオン
「よし、それなら話は早いな!
ああだこうだと言われんのも面倒くせえ! さっさとぶっ倒しちまおうぜ!」
謎の少年
「くっくっく……ははははは!!」
レオンに似た謎の少年は魔法の様なもので辺りに無差別攻撃を始める。
謎の少年
「ハッ! 俺を倒す? おもしれぇじゃねぇか!
やれるもんならやってみろよ、三下ぁ! 踏み潰してやるぜッ! うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
謎の少年は雄たけびとともに巨大な怪物に姿を変えた。
それはかつて暁の賢者たちが闘った、瘴気をまとったモンスター【グリム】に似たものだった。
ヴァニィ
「おぉーっとレオンさん、巨大なグリムに変身したぁ!
……ってえええっ!?」
クララ
「そんな! レオンくんがグリムに!?
もしかして、以前のイナリちゃんの時と同じ……なのかな?」
シャロン
「いえ、変身したのは間違いなく、あのレオンさんですわ。
人の姿に化け、会話できるなんて……」
ラスク
「うーん……もしかしたら、レオンのストレスが溜まって起こった突然変異とか?
はははっ!」
レオン
「いや、お前ら!?
俺じゃねぇ! 俺じゃねぇからな!?」
▲BACK TO TOP
〜アラクラヤマ〜
ルキア
「へー、ここがアラクラヤマ。
オーダイヴァとは全然景色が違うね。いい眺めー」
レオン
「おう、あれがフジサンってやつだな!」
ヴァニィ
「大きな山ですね!
新聞部としては、こちらの名所を取材したいところです!」
クララ
「みんな、呑気すぎだよ。もうちょっと真面目に……」
シャロン
「そうですわよ。
向こうに禍々しい瘴気が見えます。あそこに瘴気を生み出すものが……」
ラスク
「ええと、先生からの情報と比較して……うん、間違いないね」
レオン
「よし、だったらさっさとぶっ壊そうぜ!
そしたらちょっとくらい観光してもいいんじゃねぇか?」
ヴァニィ
「それはナイスなアイディアです! 是非そうしましょう!」
行動を起こそうとした途端、ルキアの近くに雷魔法のようなものが落ちる。
ルキア
「な、なに!?」
謎の少年
「なんだよ……魔法の気配がしたと思えば、雑魚の群れじゃねぇか。つまらねぇ」
ルキア
「レオン!?」
レオン
「俺はここにいるぞ!?」
クララ
「でも、凄く似てるわ……
レオンくんを少しワイルドにしたような感じ」
レオン
「なんで納得してんだよ!?俺、あんなじゃねぇだろ!?」
ヴァニィ
「もしかしてドッペルゲンガー!? 世界に同じ顔の人は三人いると言いますし!
これはレオンさんに突撃取材を……!」
ラスク
「ちょっと、落ち着きなよヴァニィ……。それはともかく、どうする!?」
謎の少年
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
ヴァニィ
「ひいっ!」
謎の少年
「あーだこーだ、うるせぇ奴らだな。 俺はそういうのは大っ嫌いなんだ。
戦う気がないなら失せろっ!」
シャロン
「言ってくれますわね
レオンさんそっくりな方がここの守護者……恐らく、そういうことでしょう」
ルキア
「だったら、あの変なレオンを倒せばいいってこと?」
レオン
「よし、それなら話は早いな!
ああだこうだと言われんのも面倒くせえ! さっさとぶっ倒しちまおうぜ!」
謎の少年
「くっくっく……ははははは!!」
レオンに似た謎の少年は魔法の様なもので辺りに無差別攻撃を始める。
謎の少年
「ハッ! 俺を倒す? おもしれぇじゃねぇか!
やれるもんならやってみろよ、三下ぁ! 踏み潰してやるぜッ! うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
謎の少年は雄たけびとともに巨大な怪物に姿を変えた。
それはかつて暁の賢者たちが闘った、瘴気をまとったモンスター【グリム】に似たものだった。
ヴァニィ
「おぉーっとレオンさん、巨大なグリムに変身したぁ!
……ってえええっ!?」
クララ
「そんな! レオンくんがグリムに!?
もしかして、以前のイナリちゃんの時と同じ……なのかな?」
シャロン
「いえ、変身したのは間違いなく、あのレオンさんですわ。
人の姿に化け、会話できるなんて……」
ラスク
「うーん……もしかしたら、レオンのストレスが溜まって起こった突然変異とか?
はははっ!」
レオン
「いや、お前ら!?
俺じゃねぇ! 俺じゃねぇからな!?」
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巨大なグリムに圧倒されながらも、暁の賢者たちは闘いを続ける。
クララ
「つ、強いね!
何とかしのげてはいるけど」
レオン
「ああ! 燃える強敵だぜ! 負けねぇぜ!」
ヴァニィ
「ですが、こちらの攻撃もあまり効いていないようです!
どれだけ戦えばいいのか予想もつきません!」
シャロン
「あのグリム、今までとは明らかに違いますわ。闇雲に戦っても、こちらが不利ですわね……。
一旦退いて、対策を練りましょう!」
レオン
「おい!こいつを放っておいていいのかよ!」
クララ
「あの凄い力……もしかしたら、遠くには動けないんじゃないかな」
ラスク
「あのグリム、瘴気を発生してるやつを守るためにいるんだよね。
なら、間違いないんじゃないかな」
ルキア
「そうと決まれば早く作戦会議しなきゃ!」
レオン
「くっそー、仕方ねぇ! 次は決着つけてやるからな!」
レオンたちは隙を見計らい、その場を去る。
獲物を逃した巨大グリムは再びレオンに似た姿をとった。
謎の少年
「ちっ……逃げやがった。 臆病な奴らだぜ」
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クララ
「つ、強いね!
何とかしのげてはいるけど」
レオン
「ああ! 燃える強敵だぜ! 負けねぇぜ!」
ヴァニィ
「ですが、こちらの攻撃もあまり効いていないようです!
どれだけ戦えばいいのか予想もつきません!」
シャロン
「あのグリム、今までとは明らかに違いますわ。闇雲に戦っても、こちらが不利ですわね……。
一旦退いて、対策を練りましょう!」
レオン
「おい!こいつを放っておいていいのかよ!」
クララ
「あの凄い力……もしかしたら、遠くには動けないんじゃないかな」
ラスク
「あのグリム、瘴気を発生してるやつを守るためにいるんだよね。
なら、間違いないんじゃないかな」
ルキア
「そうと決まれば早く作戦会議しなきゃ!」
レオン
「くっそー、仕方ねぇ! 次は決着つけてやるからな!」
レオンたちは隙を見計らい、その場を去る。
獲物を逃した巨大グリムは再びレオンに似た姿をとった。
謎の少年
「ちっ……逃げやがった。 臆病な奴らだぜ」
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アラクラヤマに向かったレオンたちとは別に、セリオスもまた瘴気の調査に当たっていた。
〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
サツキ
「良かった、繋がった!」
セリオス
「サツキ先生?
急な連絡ですね。何かあったんですか?」
サツキ
「ええ。トーキョーに向かって、高速で接近する瘴気の反応があります」
サツキ
「レオンくんたちから報告のあった、人型のグリムかもしれません。
セリオスくんも向かってもらえますか?」
セリオス
「承知しました。すぐに向かいます」
サツキ
「近くにいる他のみんなにも応援を頼んでいますから」
〜ナナイロブリッジ〜
サツキの指定した箇所に到達したセリオスを待っていたのは、マラリヤをはじめとする仲間たちとサンダースに似た大男だった。
マラリヤ
「……あら、来たのね」
ヤンヤン
「おー、心強いアル!」
サンダース
「戦力としては十分であるな!」
セリオス
「なるほど、これが人型のグリムか。
報告にあったレオンではなく、この個体はサンダースをモデルにしているようだな」
サンダース似の大男
「だっはっは! どんなもんじゃい!!」
大男は豪快に笑うと、魔法の様なものを放ち攻撃をしてきた。
ヤンヤン
「……魔法アル!?」
マラリヤ
「確かに魔法によく似ているわね。 五十歩百歩ってところ?」
セリオス
「意味が違うだろう……。
もしかすると、こいつは僕たちのコピーのようなものなのかもしれない」
サンダース
「なるほどな。しかし、我輩たちをモデルにするとはわかっている相手のようであるな。
強敵に違いない!」
ヤンヤン
「ヤンキーアル! カツアゲしそうアル!」
サンダース似の大男
「どっせいっ!」
大男は掛け声とともに再び強力な攻撃を放つ。
セリオス
「本来こちらの世界はマナが薄く、魔法自体がほとんど使えないはず……。
それにも関わらず、あの魔法のような攻撃……まったくイレギュラーな状況だな。
どうなっているというんだ」
サンダース似の大男
「だっはっはっは!
ここはクサビを打ち込む場所にちょうどエエわい!」
ヤンヤン
「クサビ……それってなにアル?」
セリオス
「クサビは物を固定する杭のような道具だ。
恐らく、各地で瘴気を発生している物体のことだろう」
サンダース似の大男
「おんどれら、ゴチャゴチャうるさいのう!!
文句があったらかかってこんかい!!」
大男は暁の賢者たちの困惑をよそに、なおも攻撃を続ける。
ヤンヤン
「あわわ!無差別攻撃アルヨ!?」
サンダース似の大男
「ワシはこのトーキョーを治めるため、全力を尽くすと決めたんじゃい!
邪魔する奴ァ、容赦せんで!」
マラリヤ
「あらあら、ずいぶん乱暴なのね」
セリオス
「おかしな格好だが、力は本物のようだな。
しかし、僕の前に立ったのが運の尽きだ」
サンダース
「殲滅されるのは我輩か偽物か……
はははははは!面白いではないか!」
サンダース似の大男
「ワシの歴史におんどれらの名前、刻んだるわ!
はあぁぁぁぁぁぁ!!」
大男の気合とともに瘴気が膨れ上がり、彼はその姿を巨大な牡牛へと変えた。
ヤンヤン
「でっかいアルーーーー!?」
セリオス
「溢れ出る瘴気とマナ……レオンたちが倒しきれなかった相手だ。
油断をするなよ!」
マラリヤ
「今までにないタイプのようね。あんな態度を取るだけあるわ」
サンダース
「我輩の姿からグリムに変身するとは!
では、こちらも分析させてもらおうか!」
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〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
サツキ
「良かった、繋がった!」
セリオス
「サツキ先生?
急な連絡ですね。何かあったんですか?」
サツキ
「ええ。トーキョーに向かって、高速で接近する瘴気の反応があります」
サツキ
「レオンくんたちから報告のあった、人型のグリムかもしれません。
セリオスくんも向かってもらえますか?」
セリオス
「承知しました。すぐに向かいます」
サツキ
「近くにいる他のみんなにも応援を頼んでいますから」
〜ナナイロブリッジ〜
サツキの指定した箇所に到達したセリオスを待っていたのは、マラリヤをはじめとする仲間たちとサンダースに似た大男だった。
マラリヤ
「……あら、来たのね」
ヤンヤン
「おー、心強いアル!」
サンダース
「戦力としては十分であるな!」
セリオス
「なるほど、これが人型のグリムか。
報告にあったレオンではなく、この個体はサンダースをモデルにしているようだな」
サンダース似の大男
「だっはっは! どんなもんじゃい!!」
大男は豪快に笑うと、魔法の様なものを放ち攻撃をしてきた。
ヤンヤン
「……魔法アル!?」
マラリヤ
「確かに魔法によく似ているわね。 五十歩百歩ってところ?」
セリオス
「意味が違うだろう……。
もしかすると、こいつは僕たちのコピーのようなものなのかもしれない」
サンダース
「なるほどな。しかし、我輩たちをモデルにするとはわかっている相手のようであるな。
強敵に違いない!」
ヤンヤン
「ヤンキーアル! カツアゲしそうアル!」
サンダース似の大男
「どっせいっ!」
大男は掛け声とともに再び強力な攻撃を放つ。
セリオス
「本来こちらの世界はマナが薄く、魔法自体がほとんど使えないはず……。
それにも関わらず、あの魔法のような攻撃……まったくイレギュラーな状況だな。
どうなっているというんだ」
サンダース似の大男
「だっはっはっは!
ここはクサビを打ち込む場所にちょうどエエわい!」
ヤンヤン
「クサビ……それってなにアル?」
セリオス
「クサビは物を固定する杭のような道具だ。
恐らく、各地で瘴気を発生している物体のことだろう」
サンダース似の大男
「おんどれら、ゴチャゴチャうるさいのう!!
文句があったらかかってこんかい!!」
大男は暁の賢者たちの困惑をよそに、なおも攻撃を続ける。
ヤンヤン
「あわわ!無差別攻撃アルヨ!?」
サンダース似の大男
「ワシはこのトーキョーを治めるため、全力を尽くすと決めたんじゃい!
邪魔する奴ァ、容赦せんで!」
マラリヤ
「あらあら、ずいぶん乱暴なのね」
セリオス
「おかしな格好だが、力は本物のようだな。
しかし、僕の前に立ったのが運の尽きだ」
サンダース
「殲滅されるのは我輩か偽物か……
はははははは!面白いではないか!」
サンダース似の大男
「ワシの歴史におんどれらの名前、刻んだるわ!
はあぁぁぁぁぁぁ!!」
大男の気合とともに瘴気が膨れ上がり、彼はその姿を巨大な牡牛へと変えた。
ヤンヤン
「でっかいアルーーーー!?」
セリオス
「溢れ出る瘴気とマナ……レオンたちが倒しきれなかった相手だ。
油断をするなよ!」
マラリヤ
「今までにないタイプのようね。あんな態度を取るだけあるわ」
サンダース
「我輩の姿からグリムに変身するとは!
では、こちらも分析させてもらおうか!」
▲BACK TO TOP
サンダース似の大男
「だっはっは!なかなかやるやんけ!ワシのライバルと認めたるわ!」
大男は豪快に笑い、この戦いを楽しんでいたが……。
サンダース似の大男
「んあ?なんじゃ、もう時間切れかい!この体にも困ったもんじゃ!」
ヤンヤン
「なんか様子がおかしいアル!」
サンダース似の大男
「だっはっはっはっは!次ン時までせいぜい精進しとけや!」
セリオス
「この機会を逃がすものか!はぁ!!」
セリオスは逃がすまいと魔法を放つものの、大男はそれを軽くはじいて消し去った。
サンダース似の大男
「次や言うとるやろ!もう終わりや、散れボケェッ!」
マラリヤ
「まるでダメージを受けてないみたいね。
消耗もしていないし、一体どれだけのマナがあるのかしら……」
ヤンヤン
「どこかに行っちゃうアルヨ!追いかけるアル!」
サンダース
「深追いは禁物である!
未知の敵に対し、リスクを負うべきではない!」
セリオス
「サンダースの言う通りだ。今回の目的はここを守ることだからな」
サンダース
「あのグリム、偽物とてやはり我輩だな。
先程の乱雑に見えた攻撃。こちらの力量を測るためのものに違いない」
セリオス
「僕もそれに同感だ。
すんなりと退いた理由も説明がつくだろう」
サンダース
「やはり我輩は優秀ということだな!
ぐははははは!!」
ヤンヤン
「そういう問題アル?」
マラリヤ
「……放っておきなさい。
でも、また来そうね。あの変なサンダース」
▲BACK TO TOP
「だっはっは!なかなかやるやんけ!ワシのライバルと認めたるわ!」
大男は豪快に笑い、この戦いを楽しんでいたが……。
サンダース似の大男
「んあ?なんじゃ、もう時間切れかい!この体にも困ったもんじゃ!」
ヤンヤン
「なんか様子がおかしいアル!」
サンダース似の大男
「だっはっはっはっは!次ン時までせいぜい精進しとけや!」
セリオス
「この機会を逃がすものか!はぁ!!」
セリオスは逃がすまいと魔法を放つものの、大男はそれを軽くはじいて消し去った。
サンダース似の大男
「次や言うとるやろ!もう終わりや、散れボケェッ!」
マラリヤ
「まるでダメージを受けてないみたいね。
消耗もしていないし、一体どれだけのマナがあるのかしら……」
ヤンヤン
「どこかに行っちゃうアルヨ!追いかけるアル!」
サンダース
「深追いは禁物である!
未知の敵に対し、リスクを負うべきではない!」
セリオス
「サンダースの言う通りだ。今回の目的はここを守ることだからな」
サンダース
「あのグリム、偽物とてやはり我輩だな。
先程の乱雑に見えた攻撃。こちらの力量を測るためのものに違いない」
セリオス
「僕もそれに同感だ。
すんなりと退いた理由も説明がつくだろう」
サンダース
「やはり我輩は優秀ということだな!
ぐははははは!!」
ヤンヤン
「そういう問題アル?」
マラリヤ
「……放っておきなさい。
でも、また来そうね。あの変なサンダース」
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他方その頃カイル、ユリ、アロエ、メディアたちもまた瘴気の調査に乗り出していた。
〜ヒメッチ〜
メディア
「アロエお姉ちゃん! 見て、お城!
トーキョーにはなかったよね」
アロエ
「うん、すごいね。
あたしも初めて見たよ」
カイル
「あの城はこの世界でもかなり古い建造物のようですね。
歴史を感じます」
ユリ
「なんかショーグン?みたいなのが住んでそう!
すっごく強そうじゃない!?」
アロエ
「ユリちゃん、そういう問題じゃないと
思うんだけど……」
メディア似の少女
「あらぁ、とっても魅力的なヒ・ト・ね♪」
カイル
「えぇ!? ちょ、えぇ!?
困りますよ、メディアさん!?」
アロエ
「め、メディアちゃん!?
いつの間にそんな不良に……!?」
ユリ
「な、なんだってー!? メディアがおかしくなったの!?
ええと、よし! わたしが更生させるよっ!」
メディア
「ちょ、ちょっと待って! 私はここにいるよ!?」
カイル
「え? じゃあ……こちらはいったい……」
メディア似の少女
「どうでもいいじゃなぁい、そんな、コ・ト。
あなたも楽しみたいでしょ? ほぉら……うふっ♪」
カイル
「ななな、なんでしゅか!?」
アロエ
「か、カイルくん落ち着いて!? なんとかしないとっ!?」
メディア
「いい加減にしなさーいっ!!」
メディア似の少女
「…………!?」
一同
「…………!?」
メディア
「私の真似っ子で変なことばっかりして!
あなたはいったいなんなの!」
メディア似の少女
「なんなのって言われてもぉ…… 私はワ・タ・シ・よ?」
メディア
「ううー! 人の話を聞かない悪い子は、私が治療しちゃうからね!」
メディア似の少女
「うふふ……やってみなさいよぉ。 あ・そ・ん・で・あ・げ・る♪」
妖艶な笑みを浮かべた少女の身体から全身を覆い尽くすような瘴気が溢れ出す。
カイル
「な、凄まじい瘴気です!?」
アロエ
「もしかして別の場所に行ったルキアちゃんたちのところにも、出てきてるのかな?」
ユリ
「わっかんないけど、とにかくぶっとばしちゃえばいいんでしょ!
ふふーん、あたしの出番っ!!」
メディア似の少女
「あらぁ、ぶっとばすってどんな感じかしら。
楽しみか・も♪ うふ、うふふふふ……!」
恍惚とした笑い声を響かせて彼女は鋭い爪を持つ巨大でしなやかな豹へとその姿を変えた。
アロエ
「メディアちゃんが、魔物になっちゃった!?」
メディア
「お姉ちゃん!? 違うよっ!」
アロエ
「あ、うん。そうだよね、違うよね……」
カイル
「強大な魔力です! 気を抜かずにいきましょう!」
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〜ヒメッチ〜
メディア
「アロエお姉ちゃん! 見て、お城!
トーキョーにはなかったよね」
アロエ
「うん、すごいね。
あたしも初めて見たよ」
カイル
「あの城はこの世界でもかなり古い建造物のようですね。
歴史を感じます」
ユリ
「なんかショーグン?みたいなのが住んでそう!
すっごく強そうじゃない!?」
アロエ
「ユリちゃん、そういう問題じゃないと
思うんだけど……」
メディア似の少女
「あらぁ、とっても魅力的なヒ・ト・ね♪」
カイル
「えぇ!? ちょ、えぇ!?
困りますよ、メディアさん!?」
アロエ
「め、メディアちゃん!?
いつの間にそんな不良に……!?」
ユリ
「な、なんだってー!? メディアがおかしくなったの!?
ええと、よし! わたしが更生させるよっ!」
メディア
「ちょ、ちょっと待って! 私はここにいるよ!?」
カイル
「え? じゃあ……こちらはいったい……」
メディア似の少女
「どうでもいいじゃなぁい、そんな、コ・ト。
あなたも楽しみたいでしょ? ほぉら……うふっ♪」
カイル
「ななな、なんでしゅか!?」
アロエ
「か、カイルくん落ち着いて!? なんとかしないとっ!?」
メディア
「いい加減にしなさーいっ!!」
メディア似の少女
「…………!?」
一同
「…………!?」
メディア
「私の真似っ子で変なことばっかりして!
あなたはいったいなんなの!」
メディア似の少女
「なんなのって言われてもぉ…… 私はワ・タ・シ・よ?」
メディア
「ううー! 人の話を聞かない悪い子は、私が治療しちゃうからね!」
メディア似の少女
「うふふ……やってみなさいよぉ。 あ・そ・ん・で・あ・げ・る♪」
妖艶な笑みを浮かべた少女の身体から全身を覆い尽くすような瘴気が溢れ出す。
カイル
「な、凄まじい瘴気です!?」
アロエ
「もしかして別の場所に行ったルキアちゃんたちのところにも、出てきてるのかな?」
ユリ
「わっかんないけど、とにかくぶっとばしちゃえばいいんでしょ!
ふふーん、あたしの出番っ!!」
メディア似の少女
「あらぁ、ぶっとばすってどんな感じかしら。
楽しみか・も♪ うふ、うふふふふ……!」
恍惚とした笑い声を響かせて彼女は鋭い爪を持つ巨大でしなやかな豹へとその姿を変えた。
アロエ
「メディアちゃんが、魔物になっちゃった!?」
メディア
「お姉ちゃん!? 違うよっ!」
アロエ
「あ、うん。そうだよね、違うよね……」
カイル
「強大な魔力です! 気を抜かずにいきましょう!」
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メディア似の少女
「あらぁ……あなたたち、結構やるのねぇ。
でも、全然足りないわぁ。うふふ♪」
少女が魔法の様なものを使った瞬間、戦った事実すら無かったかのように全ての傷が癒える。
カイル
「なっ……!?
今まで与えたダメージが全て癒えた……強力な回復魔法です!」
メディア
「嘘!? 私より、ずっと凄い……じゃなくて! グリムが魔法!?」
アロエ
「グリムが魔法……しかも回復魔法を使うなんて、今までなかったよね」
メディア似の少女
「だめだめ、だめだめ、だぁめだめ! ぜぇんぜん感じないわぁ。
もぅ……これならクサビのところで時間を潰してた方がマシね。
帰るわ。 ちょっと遊びに来ただけだしぃ……」
ユリ
「わわっ、逃げちゃうよ!
待ちなさい! やぁーーーーっ!!」
興ざめした様子で帰ろうとする少女に向けてユリが放った渾身の一撃は軽々と弾き返された。
カイル
「ユリさんの渾身の一撃をこんな簡単に止めるなんて!?」
ユリ
「きゅう〜……」
アロエ
「ユリちゃん!?
メディアちゃん、ユリちゃんが大変! お願い、治療してあげて!」
メディア
「う、うん! すぐに治すから!」
メディア似の少女
「うふふふふ。 ばいばぁい、クランケちゃんたち♪」
少女は手を振ると、光に包まれ忽然と姿を消した。
メディア
「え……? 私、消えちゃった?」
カイル
「大丈夫です。 メディアさんは消えてません!」
アロエ
「あはは…… でも、メディアちゃんに そっくりなあのグリム、どこに行っちゃったんだろう?
クサビのところに帰るって言ってたよね? あの瘴気発生の原因を守ってるのかな?」
ユリ
「うー……だったらそのクサビってのを壊しにいけば、また戦えるんだよね!
次は一撃でやっつけてやるんだから!」
アロエ
「でも、あの回復魔法をなんとかしないと、あたしたちの魔法だけじゃ倒せないんじゃ……」
カイル
「はい。どれだけ攻撃しても回復されてしまいます。
ううむ……なにか方法があればいいんですが」
〜不可思議な空間〜
メディア似の少女が移動した先には、以前アラクラヤマに現れたレオン似の少年の他、数人の人影があった。
レオン似の少年
「ハッ! なんだ、次はお前のとこに来たのかよ」
メディア似の少女
「そうなのよぉ。 でも、あんまり刺激的じゃなかったわぁ……」
謎の少女
「あはははは! ならどうして倒さずにおめおめと逃げ帰って来たんですの?
それでは自らの弱さを証明するようなもの!」
謎の少年
「排除こそが最も効率がいい手段であろう!
まったく頭を使わんやつらばかりだな」
レオン似の少年
「あぁ!? てめぇ、俺とここでやろうってか!」
謎の少年
「わたしは無駄なことはしない。
お前は犬のように次の相手が来るのを待っていろ」
レオン似の少年
「先にてめぇから消してやんよッ!」
謎の少年
「ふんっ……無意味なことを!」
言い争う二人がほぼ同時に発動した攻撃は相殺されず周囲に被害を撒き散らして収束した。
メディア似の少女
「ああああああああん! とっても刺激的ぃ♪」
レオン似の少年と謎の少年
「………………………………」
この状況に身悶えしながらメディア似の少女は回復術を発動する。
メディア似の少女
「ああ……満足したわぁ……それじゃ、また行ってくるわね♪」
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「あらぁ……あなたたち、結構やるのねぇ。
でも、全然足りないわぁ。うふふ♪」
少女が魔法の様なものを使った瞬間、戦った事実すら無かったかのように全ての傷が癒える。
カイル
「なっ……!?
今まで与えたダメージが全て癒えた……強力な回復魔法です!」
メディア
「嘘!? 私より、ずっと凄い……じゃなくて! グリムが魔法!?」
アロエ
「グリムが魔法……しかも回復魔法を使うなんて、今までなかったよね」
メディア似の少女
「だめだめ、だめだめ、だぁめだめ! ぜぇんぜん感じないわぁ。
もぅ……これならクサビのところで時間を潰してた方がマシね。
帰るわ。 ちょっと遊びに来ただけだしぃ……」
ユリ
「わわっ、逃げちゃうよ!
待ちなさい! やぁーーーーっ!!」
興ざめした様子で帰ろうとする少女に向けてユリが放った渾身の一撃は軽々と弾き返された。
カイル
「ユリさんの渾身の一撃をこんな簡単に止めるなんて!?」
ユリ
「きゅう〜……」
アロエ
「ユリちゃん!?
メディアちゃん、ユリちゃんが大変! お願い、治療してあげて!」
メディア
「う、うん! すぐに治すから!」
メディア似の少女
「うふふふふ。 ばいばぁい、クランケちゃんたち♪」
少女は手を振ると、光に包まれ忽然と姿を消した。
メディア
「え……? 私、消えちゃった?」
カイル
「大丈夫です。 メディアさんは消えてません!」
アロエ
「あはは…… でも、メディアちゃんに そっくりなあのグリム、どこに行っちゃったんだろう?
クサビのところに帰るって言ってたよね? あの瘴気発生の原因を守ってるのかな?」
ユリ
「うー……だったらそのクサビってのを壊しにいけば、また戦えるんだよね!
次は一撃でやっつけてやるんだから!」
アロエ
「でも、あの回復魔法をなんとかしないと、あたしたちの魔法だけじゃ倒せないんじゃ……」
カイル
「はい。どれだけ攻撃しても回復されてしまいます。
ううむ……なにか方法があればいいんですが」
〜不可思議な空間〜
メディア似の少女が移動した先には、以前アラクラヤマに現れたレオン似の少年の他、数人の人影があった。
レオン似の少年
「ハッ! なんだ、次はお前のとこに来たのかよ」
メディア似の少女
「そうなのよぉ。 でも、あんまり刺激的じゃなかったわぁ……」
謎の少女
「あはははは! ならどうして倒さずにおめおめと逃げ帰って来たんですの?
それでは自らの弱さを証明するようなもの!」
謎の少年
「排除こそが最も効率がいい手段であろう!
まったく頭を使わんやつらばかりだな」
レオン似の少年
「あぁ!? てめぇ、俺とここでやろうってか!」
謎の少年
「わたしは無駄なことはしない。
お前は犬のように次の相手が来るのを待っていろ」
レオン似の少年
「先にてめぇから消してやんよッ!」
謎の少年
「ふんっ……無意味なことを!」
言い争う二人がほぼ同時に発動した攻撃は相殺されず周囲に被害を撒き散らして収束した。
メディア似の少女
「ああああああああん! とっても刺激的ぃ♪」
レオン似の少年と謎の少年
「………………………………」
この状況に身悶えしながらメディア似の少女は回復術を発動する。
メディア似の少女
「ああ……満足したわぁ……それじゃ、また行ってくるわね♪」
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サンダースに似た大男を退けてから数日後、ハルトたちは再びオーダイヴァに訪れていた。
〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
ハルト
「先生方の予測通りか……
来たようだぞ、人型グリムが!」
アイコ
「すっごい速さで空飛んでるよ! はやーい!」
サンダース
「……やはり来たか。
我輩の偽物よ! 待っていたぞ!」
タイガ
「ほんまにそっくりさんやな。 わろうてまいそうや」
サンダース似の大男
「だっはっはっはっは! またおんどれらかぁ!!」
どしん、と重い音を響かせサンダースに良く似た大男が地面へと降り立った。
サンダース似の大男
「前と違う顔触れもおるようやけど、まぁエエわ!
どんな敵じゃろうと、破壊し突き進む! それがワシの行く道よ!」
大男が放つ攻撃が大きな爆裂音を響かせる。
サンダース
「先の襲撃とは違い、最初から全力か!
ふははははっ! 面白い、相手になろう!」
アイコ
「いやいや、全然面白くないからねっ!」
タイガ
「そうや! おもろいのはあいつの格好やで! ぷっ……」
サンダース似の大男
「これはワシの正装じゃい! センスの無いやっちゃのう!!」
ハルト
「正装? グリムのセンスは理解できないな。
だが、この世界の敵にはお似合いの服装だ」
サンダース似の大男
「ぐぬぬぬぬ……ナメくさりおって! 許さんぞ! ボケどもがぁ!!」
アイコ
「何やってんのはるっち!
あのサンダースみたいなの、すっごい怖い顔してるんですけど!?」
ハルト
「それはそうだ。 戦うべき敵としては当然。
ふふっ、俺が倒してしまっても構わないな?」
サンダース
「はっはっは! その意気やよし!
我輩も前回は満足できなかったのでな、今日は攻めさせてもらおうか」
タイガ
「かーっ! こりゃおっかないで!
だが、楽しなってきたわ!」
アイコ
「みんなやる気満々すぎ!?
よーし、わたしも頑張るっ!」
サンダース似の大男
「おおお! おんどれらの気迫にワシも高まってきたわっ!
全力でかかってこんかいっ!」
気持ちの高ぶりに呼応するように瘴気が膨れ上がり、彼はその姿を巨大な牡牛へと変えた。
アイコ
「おっきぃぃぃい!!」
タイガ
「こりゃ簡単にはいかなそうや」
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〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
ハルト
「先生方の予測通りか……
来たようだぞ、人型グリムが!」
アイコ
「すっごい速さで空飛んでるよ! はやーい!」
サンダース
「……やはり来たか。
我輩の偽物よ! 待っていたぞ!」
タイガ
「ほんまにそっくりさんやな。 わろうてまいそうや」
サンダース似の大男
「だっはっはっはっは! またおんどれらかぁ!!」
どしん、と重い音を響かせサンダースに良く似た大男が地面へと降り立った。
サンダース似の大男
「前と違う顔触れもおるようやけど、まぁエエわ!
どんな敵じゃろうと、破壊し突き進む! それがワシの行く道よ!」
大男が放つ攻撃が大きな爆裂音を響かせる。
サンダース
「先の襲撃とは違い、最初から全力か!
ふははははっ! 面白い、相手になろう!」
アイコ
「いやいや、全然面白くないからねっ!」
タイガ
「そうや! おもろいのはあいつの格好やで! ぷっ……」
サンダース似の大男
「これはワシの正装じゃい! センスの無いやっちゃのう!!」
ハルト
「正装? グリムのセンスは理解できないな。
だが、この世界の敵にはお似合いの服装だ」
サンダース似の大男
「ぐぬぬぬぬ……ナメくさりおって! 許さんぞ! ボケどもがぁ!!」
アイコ
「何やってんのはるっち!
あのサンダースみたいなの、すっごい怖い顔してるんですけど!?」
ハルト
「それはそうだ。 戦うべき敵としては当然。
ふふっ、俺が倒してしまっても構わないな?」
サンダース
「はっはっは! その意気やよし!
我輩も前回は満足できなかったのでな、今日は攻めさせてもらおうか」
タイガ
「かーっ! こりゃおっかないで!
だが、楽しなってきたわ!」
アイコ
「みんなやる気満々すぎ!?
よーし、わたしも頑張るっ!」
サンダース似の大男
「おおお! おんどれらの気迫にワシも高まってきたわっ!
全力でかかってこんかいっ!」
気持ちの高ぶりに呼応するように瘴気が膨れ上がり、彼はその姿を巨大な牡牛へと変えた。
アイコ
「おっきぃぃぃい!!」
タイガ
「こりゃ簡単にはいかなそうや」
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サンダース似の大男
「おお!? おお!? おおおおおおお!!
実に愉快や! なんぼでもイケる!
魂のドツき合いっちゅうのが、こんな気分のエエもんやったとはな!」
サンダース
「まだまだぬるい! 我輩はその上を行くぞ!
このままいけば貴様を殲滅するなどたやすい!」
タイガ
「残念ながら、多勢に無勢ってやつや!」
ハルト
「ふっ、全て我の想定通りの展開!
グリムよ、ここで散るがいい!」
サンダース似の大男
「やぁぁぁぁて、みろぉぉぉぉ!! ふぬぅぅぅぅぅ!!」
大男から先ほどよりも強力な攻撃が放たれる。
アイコ
「きゃあっ!
なんか凄いの来たよ!?」
ハルト
「か、火事場の底力というやつか……!」
サンダース似の大男
「再び、ワシは退く!
楽しみをここで終わらせるんは芸が無いからのう!」
連続で放たれた攻撃は大爆撃を起こし、凄まじい爆発音を立てると共に細かな粉塵を宙に舞わせた。
サンダース
「さらに威力を上げたというのか!
凄まじい魔法……我輩の予測を超えるとは! これは……まさに爆撃そのもの!
さすが我輩である! ふはははははは!!」
タイガ
「関心してる場合やあらへん!
……ってか、あのグリム、爆心地におるで!」
アイコ
「ちょ、ちょっと待って。 爆風がこっちくるよ!」
サンダース
「全員伏せろ!」
圧縮した空気の塊のような爆風が轟音を立てて暁の賢者たちの頭上を通り過ぎる。
風が止み顔を上げたそこに大男の姿はなかった。
ハルト
「いない? 逃げたか……ふっ、軟弱者め」
タイガ
「いやいや、結構やばかったやろ」
サンダース
「次なる戦いに向け、戦力を充実させなければな!
ふははははははっ!」
アイコ
「なんか楽しそうだね、サンダース」
タイガ
「サンちゃんらしいなぁ」
サンダース
「よし! 敵は去った! だが、次の襲撃の時こそ、決着である!
我輩も最上の作戦を用意して迎い討つ!」
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「おお!? おお!? おおおおおおお!!
実に愉快や! なんぼでもイケる!
魂のドツき合いっちゅうのが、こんな気分のエエもんやったとはな!」
サンダース
「まだまだぬるい! 我輩はその上を行くぞ!
このままいけば貴様を殲滅するなどたやすい!」
タイガ
「残念ながら、多勢に無勢ってやつや!」
ハルト
「ふっ、全て我の想定通りの展開!
グリムよ、ここで散るがいい!」
サンダース似の大男
「やぁぁぁぁて、みろぉぉぉぉ!! ふぬぅぅぅぅぅ!!」
大男から先ほどよりも強力な攻撃が放たれる。
アイコ
「きゃあっ!
なんか凄いの来たよ!?」
ハルト
「か、火事場の底力というやつか……!」
サンダース似の大男
「再び、ワシは退く!
楽しみをここで終わらせるんは芸が無いからのう!」
連続で放たれた攻撃は大爆撃を起こし、凄まじい爆発音を立てると共に細かな粉塵を宙に舞わせた。
サンダース
「さらに威力を上げたというのか!
凄まじい魔法……我輩の予測を超えるとは! これは……まさに爆撃そのもの!
さすが我輩である! ふはははははは!!」
タイガ
「関心してる場合やあらへん!
……ってか、あのグリム、爆心地におるで!」
アイコ
「ちょ、ちょっと待って。 爆風がこっちくるよ!」
サンダース
「全員伏せろ!」
圧縮した空気の塊のような爆風が轟音を立てて暁の賢者たちの頭上を通り過ぎる。
風が止み顔を上げたそこに大男の姿はなかった。
ハルト
「いない? 逃げたか……ふっ、軟弱者め」
タイガ
「いやいや、結構やばかったやろ」
サンダース
「次なる戦いに向け、戦力を充実させなければな!
ふははははははっ!」
アイコ
「なんか楽しそうだね、サンダース」
タイガ
「サンちゃんらしいなぁ」
サンダース
「よし! 敵は去った! だが、次の襲撃の時こそ、決着である!
我輩も最上の作戦を用意して迎い討つ!」
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メディア似の少女が姿を消した数日後、カイルたちはヒメッチにあるクサビ前へと向かっていた。
サツキ
「どうやら間に合ったようね。
これから、あなたたちのグリモワールをアップデートします」
各々が持つグリモワールに光が走る。
光が収まったグリモワールには今まで存在しなかったアイコンが追加されていた。
カイル
「アップデートされたようですね。
どんな新機能が? あの人型グリムに対抗する手段が見つかったんですか?」
サツキ
「これから説明するわね。
あのグリムは近隣のクサビから、瘴気を取り込むことでほぼ無尽蔵に活動できるみたいなの」
アロエ
「ええと……それならクサビがなくなっても、ある程度は戦えるってこと?」
サツキ
「ええ、そうなるわ。そこで、グリモワールに人型グリムとのパスを繋ぐ機能を追加しました」
ユリ
「うーん? 全然わかんない……」
サツキ
「ようするにグリモワールの中にグリムを一時的に封印できます。
瘴気を得られなくなったグリムはじきに消滅するでしょう」
カイル
「なるほど! それであれば必ずしもグリムを消滅させなくて良いということですね」
アロエ
「クサビを破壊するか、大きく消耗させれば、グリムを倒せるんだね」
カイル
「ええ。しかし、そろそろこの場所も瘴気が強くなってきました。
じきにグリモワールに蓄積されたマナも尽きてしまいます」
メディア
「時間はそう残ってないってことね。私たちで頑張らなくっちゃ!」
ユリ
「だけど、ずっと回復されたら、いつまでも倒せないよ?」
カイル
「ずっと、回復……そうか!
アロエさんも回復魔法は得意ですよね?」
アロエ
「う、うん……一応。
メディアちゃんの方が専門だけど」
カイル
「それなら、勝機は見えます。
あの人型グリムを回復させてあげましょう」
サツキ
「なるほど! クサビが力を増したことで、そのグリムの回復魔法はさらに強くなった。
それを利用するのね」
ユリ・メディア・アロエ
「えぇ〜〜〜〜!?」
道中作戦会議をしながら彼らはようやくクサビ前へと辿り着く。
メディア似の少女
「うふっ、今度はそっちから来たのぉ?
意外に負けず嫌いなのねぇ……ア・ナ・タ」
カイル
「え、ええ。
このまま黙って見ているわけにもいきませんからね!」
メディア似の少女
「何しに来たか……ってクサビを壊しに来たに決まってるわよねぇ」
メディア似の少女
「でもこれ、もう少しで私が守らなくても良くなるんだけど……
待ってく・れ・な・い?うふっ♪」
カイル
「そ、そういわれてもできません!」
アロエ
「……カイルくん、今迷わなかった?」
メディア
「もう、いい加減にして!もうすぐ大変なことになっちゃうんでしょ!
そんなこと、絶対させないから!」
メディア似の少女
「うふっ、そんな悪い子は治療しちゃうわよぉ?」
ユリ
「こっちこそ、どかんとおしおきしちゃうから!」
メディア似の少女
「ご自由にどうぞぉ?
私のこと、もっともぉっと気持ち良くし・て?」
カイル
「頼みました、二人とも!」
アロエ
「うん!やろう、メディアちゃん!」
メディア
「任せて、お姉ちゃん!」
メディア似の少女
「ああん、強烈ぅ。
でも、クサビは絶対壊させないわぁ♪」
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サツキ
「どうやら間に合ったようね。
これから、あなたたちのグリモワールをアップデートします」
各々が持つグリモワールに光が走る。
光が収まったグリモワールには今まで存在しなかったアイコンが追加されていた。
カイル
「アップデートされたようですね。
どんな新機能が? あの人型グリムに対抗する手段が見つかったんですか?」
サツキ
「これから説明するわね。
あのグリムは近隣のクサビから、瘴気を取り込むことでほぼ無尽蔵に活動できるみたいなの」
アロエ
「ええと……それならクサビがなくなっても、ある程度は戦えるってこと?」
サツキ
「ええ、そうなるわ。そこで、グリモワールに人型グリムとのパスを繋ぐ機能を追加しました」
ユリ
「うーん? 全然わかんない……」
サツキ
「ようするにグリモワールの中にグリムを一時的に封印できます。
瘴気を得られなくなったグリムはじきに消滅するでしょう」
カイル
「なるほど! それであれば必ずしもグリムを消滅させなくて良いということですね」
アロエ
「クサビを破壊するか、大きく消耗させれば、グリムを倒せるんだね」
カイル
「ええ。しかし、そろそろこの場所も瘴気が強くなってきました。
じきにグリモワールに蓄積されたマナも尽きてしまいます」
メディア
「時間はそう残ってないってことね。私たちで頑張らなくっちゃ!」
ユリ
「だけど、ずっと回復されたら、いつまでも倒せないよ?」
カイル
「ずっと、回復……そうか!
アロエさんも回復魔法は得意ですよね?」
アロエ
「う、うん……一応。
メディアちゃんの方が専門だけど」
カイル
「それなら、勝機は見えます。
あの人型グリムを回復させてあげましょう」
サツキ
「なるほど! クサビが力を増したことで、そのグリムの回復魔法はさらに強くなった。
それを利用するのね」
ユリ・メディア・アロエ
「えぇ〜〜〜〜!?」
道中作戦会議をしながら彼らはようやくクサビ前へと辿り着く。
メディア似の少女
「うふっ、今度はそっちから来たのぉ?
意外に負けず嫌いなのねぇ……ア・ナ・タ」
カイル
「え、ええ。
このまま黙って見ているわけにもいきませんからね!」
メディア似の少女
「何しに来たか……ってクサビを壊しに来たに決まってるわよねぇ」
メディア似の少女
「でもこれ、もう少しで私が守らなくても良くなるんだけど……
待ってく・れ・な・い?うふっ♪」
カイル
「そ、そういわれてもできません!」
アロエ
「……カイルくん、今迷わなかった?」
メディア
「もう、いい加減にして!もうすぐ大変なことになっちゃうんでしょ!
そんなこと、絶対させないから!」
メディア似の少女
「うふっ、そんな悪い子は治療しちゃうわよぉ?」
ユリ
「こっちこそ、どかんとおしおきしちゃうから!」
メディア似の少女
「ご自由にどうぞぉ?
私のこと、もっともぉっと気持ち良くし・て?」
カイル
「頼みました、二人とも!」
アロエ
「うん!やろう、メディアちゃん!」
メディア
「任せて、お姉ちゃん!」
メディア似の少女
「ああん、強烈ぅ。
でも、クサビは絶対壊させないわぁ♪」
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カイル
「いきますよ! はぁ!」
カイルの放った魔法がメディア似の少女に激突した。
メディア似の少女
「だぁめだめ、き・き・ませーん。
まだわからないのぉ?何度だって回復しちゃうから、ム・ダ♪」
メディア似の少女は周囲の瘴気を集めると魔法を発動しようとする。
カイル
「よし、今です!
アロエさん! メディアさん!」
アロエ・メディア
「うん!!」
魔法が発動したそのタイミングに合わせて、アロエとメディアの回復魔法がメディア似の少女へと降り注いだ。
メディア似の少女
「え、え、えぇ!? ぼ、暴走して……!?
きゃ、きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!?」
カイル
「ユリさん、チャンスです!クサビを破壊してください!」
ユリ
「まっかせなさーいっ!全力でいっくよー!!」
ユリの全力の一撃が直撃したクサビは結晶が割れるような硬質な音を立てて砕ける。
アロエ
「やった! クサビを壊したね!」
カイル
「メディアさん、チャンスです!グリモワールの新機能を!」
メディア
「うん! いくよ、封印!」
メディアが掲げたグリモワールから溢れ出した光の束がメディア似の少女を包み込むように捕えた。
メディア似の少女
「う、嘘……なんか、変……。私、いっ……ちゃう……?
あああぁぁぁぁっ!?」
メディア
「な、なんだか苦しそう……大丈夫かな」
カイル
「メディアさん、そのまま!」
徐々に大きく激しくなった光が一際眩く輝く。
メディア似の少女
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
瞬間、叫び声だけを残してメディア似の少女は消えた。
アロエ
「グリムのメディアちゃん……消えちゃった?」
メディア
「ええっと……やった、のかな?」
カイル
「ええ、封印成功です!
過剰な回復魔法によるマナの暴走に加え、クサビの破壊……条件は達成したようですね」
メディア
「でも、なんだか可哀想だったね……」
アロエ
「うん。なんだか、悲しい感じ……。
実はメディアちゃんがもう少し大人になったら、あんな感じかも……なんて思っちゃってたんだ」
メディア
「むう、ひどい!
でもね……やっぱり私も似てるかなって思ったんだ」
メディア
「もし私がアロエお姉ちゃんじゃなくて、悪い人に出会ってたら、私もあんな風に……」
アロエ
「ごめんね、あたしが変なこと言ったから。
メディアちゃんは絶対大丈夫だよっ!」
メディア
「うん!ありがとう、アロエお姉ちゃん!」
カイル
「なにはともあれ、僕たちはちゃんと指令を達成したんです。
胸を張って戻れますね」
ユリ
「うん。クサビとかいうの、まだまだたくさんあるみたいだしね。
次のクサビを壊しに行こう!」
メディア
「あれ? グリモワールに何か表示されてる。
さっきの私みたいなグリムに似てるような……」
カイル
「これは……形代、ですかね?」
ユリ
「かたしろ? なにそれ? 強いの?」
カイル
「いえ……これはトーキョー古来のマジックアイテムのようなものです。
確か、アヴェノセイメイに関わるもののはず……」
アロエ
「……アヴェノセイメイ?
だったら、ムジナさんとイナリちゃんに聞いてみれば何かわかるかな?」
カイル
「手がかりになるとは思います。これも報告した方が良さそうですね。
早くトーキョーに戻りましょう」
メディア
「うん! 私も久し振りに二人に会いたい!」
アロエ
「そうだね、メディアちゃん。
二人とも、元気にしてるかな?」
「いきますよ! はぁ!」
カイルの放った魔法がメディア似の少女に激突した。
メディア似の少女
「だぁめだめ、き・き・ませーん。
まだわからないのぉ?何度だって回復しちゃうから、ム・ダ♪」
メディア似の少女は周囲の瘴気を集めると魔法を発動しようとする。
カイル
「よし、今です!
アロエさん! メディアさん!」
アロエ・メディア
「うん!!」
魔法が発動したそのタイミングに合わせて、アロエとメディアの回復魔法がメディア似の少女へと降り注いだ。
メディア似の少女
「え、え、えぇ!? ぼ、暴走して……!?
きゃ、きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!?」
カイル
「ユリさん、チャンスです!クサビを破壊してください!」
ユリ
「まっかせなさーいっ!全力でいっくよー!!」
ユリの全力の一撃が直撃したクサビは結晶が割れるような硬質な音を立てて砕ける。
アロエ
「やった! クサビを壊したね!」
カイル
「メディアさん、チャンスです!グリモワールの新機能を!」
メディア
「うん! いくよ、封印!」
メディアが掲げたグリモワールから溢れ出した光の束がメディア似の少女を包み込むように捕えた。
メディア似の少女
「う、嘘……なんか、変……。私、いっ……ちゃう……?
あああぁぁぁぁっ!?」
メディア
「な、なんだか苦しそう……大丈夫かな」
カイル
「メディアさん、そのまま!」
徐々に大きく激しくなった光が一際眩く輝く。
メディア似の少女
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
瞬間、叫び声だけを残してメディア似の少女は消えた。
アロエ
「グリムのメディアちゃん……消えちゃった?」
メディア
「ええっと……やった、のかな?」
カイル
「ええ、封印成功です!
過剰な回復魔法によるマナの暴走に加え、クサビの破壊……条件は達成したようですね」
メディア
「でも、なんだか可哀想だったね……」
アロエ
「うん。なんだか、悲しい感じ……。
実はメディアちゃんがもう少し大人になったら、あんな感じかも……なんて思っちゃってたんだ」
メディア
「むう、ひどい!
でもね……やっぱり私も似てるかなって思ったんだ」
メディア
「もし私がアロエお姉ちゃんじゃなくて、悪い人に出会ってたら、私もあんな風に……」
アロエ
「ごめんね、あたしが変なこと言ったから。
メディアちゃんは絶対大丈夫だよっ!」
メディア
「うん!ありがとう、アロエお姉ちゃん!」
カイル
「なにはともあれ、僕たちはちゃんと指令を達成したんです。
胸を張って戻れますね」
ユリ
「うん。クサビとかいうの、まだまだたくさんあるみたいだしね。
次のクサビを壊しに行こう!」
メディア
「あれ? グリモワールに何か表示されてる。
さっきの私みたいなグリムに似てるような……」
カイル
「これは……形代、ですかね?」
ユリ
「かたしろ? なにそれ? 強いの?」
カイル
「いえ……これはトーキョー古来のマジックアイテムのようなものです。
確か、アヴェノセイメイに関わるもののはず……」
アロエ
「……アヴェノセイメイ?
だったら、ムジナさんとイナリちゃんに聞いてみれば何かわかるかな?」
カイル
「手がかりになるとは思います。これも報告した方が良さそうですね。
早くトーキョーに戻りましょう」
メディア
「うん! 私も久し振りに二人に会いたい!」
アロエ
「そうだね、メディアちゃん。
二人とも、元気にしてるかな?」
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メディア似の少女を封印したグリモワールに表示された形代の謎を追って、マヤたちはヨコハマーを訪れていた。
マヤ
「ヨコハマー……ここが集合場所なのよね?」
リック
「ああ、ムジナとイナリはこの近辺で生活しているらしい」
メディア
「わー、見て見て! 海! それに船!」
リエル
「メ、メディアさん!
あんまりはしゃぎすぎては駄目ですよ!」
リック
「リエルの言うとおりだ、メディア。
まもなく時間になる。二人が来るはずだ」
集合時間が近づき、暁の賢者たちの前に約束の相手が姿を現す。
ムジナ
「集合時間よりずいぶんと早いですね。
さすがはマジックアカデミーの魔法使い」
イナリ
「ふっふーん。やっほー、魔法使いたち。
こんなに早くトーキョーに戻ってくるなんてねー。
元気してた? 今日は用があるんでしょ?」
ムジナとイナリ、かつてトーキョー世界に存在していた瘴気を源とする術「陰陽」を使う従兄妹術師である。
以前にトーキョーで起きた瘴気発生事件は、陰陽の研究を進めるうちに瘴気に精神を侵されたムジナによるものだった。
暴走したムジナをアカデミー生徒たちが打ち破ったことにより事態は収束し、
正気を取り戻したムジナは現在ではイナリと共にアカデミーの協力者となっている。
メディア
「わーイナリちゃんだー。
二人こそ元気だったー?」
リック
「早速で申し訳ないが、専門家であるお前たちに意見を聞きたい」
ムジナ
「簡単な概要は聞いています。
この世界を蝕む瘴気に新たなグリムの出現。それが陰陽に関わるものだと」
リエル
「そうなんです。メディアさんに良く似たグリムをグリモワールに封じることに成功したんです。
その時に表示されたのが……」
メディア
「うん、これなんだけど……」
イナリ
「形代……っぽい?
瘴気の残り香みたいなのを感じるかも」
ムジナ
「確かにこれは形代に見えます。
イナリの言うことも気になりますし、少し借りて詳しく……これは!?」
マヤ
「何かわか――っ!?」
不意に走った地響きと覚えのある気配に暁の賢者たちは息を呑む。
メディア
「この気配、知ってる!
もしかして近くにクサビがあるの!?」
リック
「こんな近くでクサビの設置に気付かないとは……っ!」
歯噛みするリックたちの近くにいくつもの雷撃が降り注いだ。
シャロン似の少女
「おーっほっほっほ!
まあーったく、ひとりやられたからと出てきて見れば、しょーもないおバカさんばかりですのね!」
リエル
「え……? シャロンさん?
別のクサビの調査に向かったはずでは……」
メディア
「違うよ! あれがグリムなの!」
シャロン似の少女
「クサビを守るだけなんて退屈だと思っていましたの。
ですから……わたくしと遊んでくださいます?
少しばかりの退屈しのぎにしかならないでしょうけど」
シャロンに似た少女は再びいくつもの雷撃を浴びせかける。
シャロン似の少女
「おーっほっほっほ!」
ムジナ
「あの魔法のような攻撃……陰陽の力か?
ということはあの形代……」
イナリ
「兄様! ぼーっとしてたら危ないです!」
ムジナ
「……すまない、イナリ。僕たちは少し下がろう」
リエル
「シャロンさんの姿をしているなんて……絶対に許せません!」
憤慨したリエルが攻撃魔法を放つが、少女は軽く跳躍してそれをかわした。
シャロン似の少女
「当たりませんわ! とぉ!」
「まったく手応えがありま――きゃうん!?」
メディア
「あれ、転んじゃったけど……チャンス?」
シャロン似の少女
「……っつ……や、やらかしましたわ……」
リック
「いくぞ! はぁっ!!」
体勢を大きく崩しているその隙を狙ってリックは魔法を発動させる。
???
「まったく、困ったマスターですね」
転んでいる少女に到達する前に、発動した魔法は打ち消されてしまった。
メディア
「あれ……メイドさん?」
リエル
「……もしかして私、ですか?」
リエル似の少女
「油断大敵ですよ、マスター。ただでさえ隙だらけなのですから」
シャロン似の少女
「やかましいですわよ!
それなら最初からサポートするのが、従者の役目ではありませんのっ!?」
リエル似の少女
「……ああ、そうでした。
ですが、わたくしに任せなさいと豪語していましたので」
「今のは自業自得というところでしょうか」
シャロン似の少女
「……あ、あなたねぇ……」
リエル似の少女
「早く体勢を立て直していただけますか。
そうですね……時間稼ぎくらいは任されましょう」
淡々と話すリエル似の少女は静かに瘴気を纏って巨大なドーベルマンへと姿を変える。
イナリ
「あのグリム、私たちに瘴気が憑依していた時とは全然違う……
なんていうか、とても恐い感じがする!」
巨大ドーベルマン型グリム
「私が守るべきはクサビだけではありません。
残念ながらこのマスターも含まれている……」
「ですから、あなた方を処理します」
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マヤ
「ヨコハマー……ここが集合場所なのよね?」
リック
「ああ、ムジナとイナリはこの近辺で生活しているらしい」
メディア
「わー、見て見て! 海! それに船!」
リエル
「メ、メディアさん!
あんまりはしゃぎすぎては駄目ですよ!」
リック
「リエルの言うとおりだ、メディア。
まもなく時間になる。二人が来るはずだ」
集合時間が近づき、暁の賢者たちの前に約束の相手が姿を現す。
ムジナ
「集合時間よりずいぶんと早いですね。
さすがはマジックアカデミーの魔法使い」
イナリ
「ふっふーん。やっほー、魔法使いたち。
こんなに早くトーキョーに戻ってくるなんてねー。
元気してた? 今日は用があるんでしょ?」
ムジナとイナリ、かつてトーキョー世界に存在していた瘴気を源とする術「陰陽」を使う従兄妹術師である。
以前にトーキョーで起きた瘴気発生事件は、陰陽の研究を進めるうちに瘴気に精神を侵されたムジナによるものだった。
暴走したムジナをアカデミー生徒たちが打ち破ったことにより事態は収束し、
正気を取り戻したムジナは現在ではイナリと共にアカデミーの協力者となっている。
メディア
「わーイナリちゃんだー。
二人こそ元気だったー?」
リック
「早速で申し訳ないが、専門家であるお前たちに意見を聞きたい」
ムジナ
「簡単な概要は聞いています。
この世界を蝕む瘴気に新たなグリムの出現。それが陰陽に関わるものだと」
リエル
「そうなんです。メディアさんに良く似たグリムをグリモワールに封じることに成功したんです。
その時に表示されたのが……」
メディア
「うん、これなんだけど……」
イナリ
「形代……っぽい?
瘴気の残り香みたいなのを感じるかも」
ムジナ
「確かにこれは形代に見えます。
イナリの言うことも気になりますし、少し借りて詳しく……これは!?」
マヤ
「何かわか――っ!?」
不意に走った地響きと覚えのある気配に暁の賢者たちは息を呑む。
メディア
「この気配、知ってる!
もしかして近くにクサビがあるの!?」
リック
「こんな近くでクサビの設置に気付かないとは……っ!」
歯噛みするリックたちの近くにいくつもの雷撃が降り注いだ。
シャロン似の少女
「おーっほっほっほ!
まあーったく、ひとりやられたからと出てきて見れば、しょーもないおバカさんばかりですのね!」
リエル
「え……? シャロンさん?
別のクサビの調査に向かったはずでは……」
メディア
「違うよ! あれがグリムなの!」
シャロン似の少女
「クサビを守るだけなんて退屈だと思っていましたの。
ですから……わたくしと遊んでくださいます?
少しばかりの退屈しのぎにしかならないでしょうけど」
シャロンに似た少女は再びいくつもの雷撃を浴びせかける。
シャロン似の少女
「おーっほっほっほ!」
ムジナ
「あの魔法のような攻撃……陰陽の力か?
ということはあの形代……」
イナリ
「兄様! ぼーっとしてたら危ないです!」
ムジナ
「……すまない、イナリ。僕たちは少し下がろう」
リエル
「シャロンさんの姿をしているなんて……絶対に許せません!」
憤慨したリエルが攻撃魔法を放つが、少女は軽く跳躍してそれをかわした。
シャロン似の少女
「当たりませんわ! とぉ!」
「まったく手応えがありま――きゃうん!?」
メディア
「あれ、転んじゃったけど……チャンス?」
シャロン似の少女
「……っつ……や、やらかしましたわ……」
リック
「いくぞ! はぁっ!!」
体勢を大きく崩しているその隙を狙ってリックは魔法を発動させる。
???
「まったく、困ったマスターですね」
転んでいる少女に到達する前に、発動した魔法は打ち消されてしまった。
メディア
「あれ……メイドさん?」
リエル
「……もしかして私、ですか?」
リエル似の少女
「油断大敵ですよ、マスター。ただでさえ隙だらけなのですから」
シャロン似の少女
「やかましいですわよ!
それなら最初からサポートするのが、従者の役目ではありませんのっ!?」
リエル似の少女
「……ああ、そうでした。
ですが、わたくしに任せなさいと豪語していましたので」
「今のは自業自得というところでしょうか」
シャロン似の少女
「……あ、あなたねぇ……」
リエル似の少女
「早く体勢を立て直していただけますか。
そうですね……時間稼ぎくらいは任されましょう」
淡々と話すリエル似の少女は静かに瘴気を纏って巨大なドーベルマンへと姿を変える。
イナリ
「あのグリム、私たちに瘴気が憑依していた時とは全然違う……
なんていうか、とても恐い感じがする!」
巨大ドーベルマン型グリム
「私が守るべきはクサビだけではありません。
残念ながらこのマスターも含まれている……」
「ですから、あなた方を処理します」
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シャロン似の少女
「おーっほっほ!
それでは、ここからがわたくしの華々しい出番ということですわね!」
マヤ
「ただでさえ手一杯なのに……!?」
リエル
「いけません……このままじゃ……!」
シャロン似の少女の手元で雷撃が弾けるような音を立てる。
シャロン
「させませんわよ!」
放たれた魔法の気配に今にも発動せんとばかりに膨れ上がっていた雷撃が霧散し、シャロン似の少女は飛び退った。
にもかかわらずシャロンの放った魔法が少女をかすめる。
シャロン似の少女
「……っ!?」
シャロン
「あら、間一髪でしたわね。あなた、本当にわたくしですの?
さすがにボンクラすぎるのではなくて」
リエル似の少女
「それがマスターらしさですので。だからこそ尽くしがいもあります」
シャロン似の少女
「うぐぅっ!!
おちょくってますわよね!おちょくってますわよね!?」
リエル似の少女
「はい」
シャロン似の少女
「きぃーーーーーー!!」
リエル似の少女
「それはともかく、設置したクサビも確認しなければいけません。
ここは一度退きましょう、マスター」
シャロン似の少女
「わ、わたくしはまだまだ……!」
リエル似の少女
「じー…………」
シャロン似の少女
「わわわ、わかりましたわよ!
幸運でしたわね、あなた方!今回は見逃して差し上げますわ!」
「ふふっ、ふふふふふっ……
おーっほっほっほっほっほっほ!!」
高笑いするシャロン似の少女はリエル似の少女を従えて飛び去った。
マヤ
「行ったみたいね……」
リック
「ああ。シャロン、助かった」
シャロン
「礼には及びませんわ。
まさか二体同時に出現するとは予想外ですわね。怪我は大丈夫ですの?」
メディア
「私が治しちゃったから平気!」
リエル
「お嬢様、来てくれたんですね!」
シャロン
「例の形代の件、わたくしも早めに情報を聞いておきたいと思いまして。
でも、ベストタイミングでしたわね」
リエル
「はい……あのままグリム二体と戦うことに
なっていたら、今頃どうなっていたか……」
ムジナ
「申し訳ありません。
魔道書を持たない僕たちでは、戦いに協力することができず……」
イナリ
「私たちも何かできれば良かったんだけど……」
シャロン
「いえ、適材適所という言葉がありますもの。
それより、形代というマジックアイテムの件、何かわかりまして?」
ムジナ
「ええ。あの先程の戦いを見て確信しました。
あれは形代を使い、あなた方の姿を写し取ったものでしょう」
「そして知性を持ち、力をコントロールできるよう進化している」
イナリ
「人型に見えるけど、中身は瘴気そのものだと思うな。
すごく真っ黒な気配がするの」
シャロン
「なるほど、進化したグリム……
名前がなくては呼びづらいですし、エボルグリムと仮称しましょう」
リック
「形代を使って進化したと言うが、形代は自然に発生するマジックアイテムではないだろう?」
ムジナ
「あなたの言う通り。
あの新たなグリム――エボルグリムは、人為的に生み出された存在です」
▲BACK TO TOP
「おーっほっほ!
それでは、ここからがわたくしの華々しい出番ということですわね!」
マヤ
「ただでさえ手一杯なのに……!?」
リエル
「いけません……このままじゃ……!」
シャロン似の少女の手元で雷撃が弾けるような音を立てる。
シャロン
「させませんわよ!」
放たれた魔法の気配に今にも発動せんとばかりに膨れ上がっていた雷撃が霧散し、シャロン似の少女は飛び退った。
にもかかわらずシャロンの放った魔法が少女をかすめる。
シャロン似の少女
「……っ!?」
シャロン
「あら、間一髪でしたわね。あなた、本当にわたくしですの?
さすがにボンクラすぎるのではなくて」
リエル似の少女
「それがマスターらしさですので。だからこそ尽くしがいもあります」
シャロン似の少女
「うぐぅっ!!
おちょくってますわよね!おちょくってますわよね!?」
リエル似の少女
「はい」
シャロン似の少女
「きぃーーーーーー!!」
リエル似の少女
「それはともかく、設置したクサビも確認しなければいけません。
ここは一度退きましょう、マスター」
シャロン似の少女
「わ、わたくしはまだまだ……!」
リエル似の少女
「じー…………」
シャロン似の少女
「わわわ、わかりましたわよ!
幸運でしたわね、あなた方!今回は見逃して差し上げますわ!」
「ふふっ、ふふふふふっ……
おーっほっほっほっほっほっほ!!」
高笑いするシャロン似の少女はリエル似の少女を従えて飛び去った。
マヤ
「行ったみたいね……」
リック
「ああ。シャロン、助かった」
シャロン
「礼には及びませんわ。
まさか二体同時に出現するとは予想外ですわね。怪我は大丈夫ですの?」
メディア
「私が治しちゃったから平気!」
リエル
「お嬢様、来てくれたんですね!」
シャロン
「例の形代の件、わたくしも早めに情報を聞いておきたいと思いまして。
でも、ベストタイミングでしたわね」
リエル
「はい……あのままグリム二体と戦うことに
なっていたら、今頃どうなっていたか……」
ムジナ
「申し訳ありません。
魔道書を持たない僕たちでは、戦いに協力することができず……」
イナリ
「私たちも何かできれば良かったんだけど……」
シャロン
「いえ、適材適所という言葉がありますもの。
それより、形代というマジックアイテムの件、何かわかりまして?」
ムジナ
「ええ。あの先程の戦いを見て確信しました。
あれは形代を使い、あなた方の姿を写し取ったものでしょう」
「そして知性を持ち、力をコントロールできるよう進化している」
イナリ
「人型に見えるけど、中身は瘴気そのものだと思うな。
すごく真っ黒な気配がするの」
シャロン
「なるほど、進化したグリム……
名前がなくては呼びづらいですし、エボルグリムと仮称しましょう」
リック
「形代を使って進化したと言うが、形代は自然に発生するマジックアイテムではないだろう?」
ムジナ
「あなたの言う通り。
あの新たなグリム――エボルグリムは、人為的に生み出された存在です」
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瘴気の調査の為、オーダイヴァを訪れていたミューたちは近づいてくる気配に足を止める。
〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
ミュー
「高速で向かってくる物体あり、です……」
ハルト
「再び相まみえるときが来たようだな、サンダース!」
サンダース
「うむ、見えた!
ふっはっは!待っていたぞ、エボルグリムよ!」
サンダース似の大男、グリム・サンダースの姿を認めると同時、彼のその身なりにルキアは噴出した。
ルキア
「あははっ! なにあれ!
本当にサンダース?レオンよりよっぽど変なの!」
グリム・サンダース
「変ではないわぁーーーーっ!!」
腹の底から吠えるような怒鳴り声に合わせて地面が揺れて大きな地響きを立てる。
ルキア
「おわっ!?
いきなりなにするのよ!」
グリム・サンダース
「油断大敵じゃ!このバチあたりモンがぁ!」
ミュー
「……パチモンからバチモン扱いされてるのです」
クララ
「ぷっ……って冗談言ってる場合じゃないよ。
作戦があるんだよね?」
サンダース
「うむ。敵を全力で叩き潰し、アップデートされたグリモワールへと封じる!」
セリオス
「それは結局、力技でどうにかすると……そういうことじゃないのか?」
レオン
「へへっ、だけどこうやってみんな揃って戦うってのもいいもんじゃねぇか。
俺たちが力を合わせたら、絶対に負けねぇ!」
グリム・サンダース
「何人増えようと、ワシの敵やあらへん!
圧倒的な力の前に敗北を教えたるわいっ!!」
ハルト
「我らはどんな敵にも決して怯みはしない!
この瞳に映るのは、完全なる勝利のみ!」
グリム・サンダース
「がっはっはっは!! かかってこんかいっ!
おんどれらの命運もここまでじゃい!!」
豪快に笑うグリム・サンダースを中心に瘴気が膨れ上がり、巨大な雄牛へと彼の姿を変えた。
ミュー
「エボルグリム、大型グリムに変異したです」
クララ
「凄い力を感じる……以前のデータよりも、より強くなっているみたい!」
サンダース
「構わぬ! 全員準備はいいな!殲滅戦を始めようではないか!
ふはははははっ!!」
▲BACK TO TOP
〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
ミュー
「高速で向かってくる物体あり、です……」
ハルト
「再び相まみえるときが来たようだな、サンダース!」
サンダース
「うむ、見えた!
ふっはっは!待っていたぞ、エボルグリムよ!」
サンダース似の大男、グリム・サンダースの姿を認めると同時、彼のその身なりにルキアは噴出した。
ルキア
「あははっ! なにあれ!
本当にサンダース?レオンよりよっぽど変なの!」
グリム・サンダース
「変ではないわぁーーーーっ!!」
腹の底から吠えるような怒鳴り声に合わせて地面が揺れて大きな地響きを立てる。
ルキア
「おわっ!?
いきなりなにするのよ!」
グリム・サンダース
「油断大敵じゃ!このバチあたりモンがぁ!」
ミュー
「……パチモンからバチモン扱いされてるのです」
クララ
「ぷっ……って冗談言ってる場合じゃないよ。
作戦があるんだよね?」
サンダース
「うむ。敵を全力で叩き潰し、アップデートされたグリモワールへと封じる!」
セリオス
「それは結局、力技でどうにかすると……そういうことじゃないのか?」
レオン
「へへっ、だけどこうやってみんな揃って戦うってのもいいもんじゃねぇか。
俺たちが力を合わせたら、絶対に負けねぇ!」
グリム・サンダース
「何人増えようと、ワシの敵やあらへん!
圧倒的な力の前に敗北を教えたるわいっ!!」
ハルト
「我らはどんな敵にも決して怯みはしない!
この瞳に映るのは、完全なる勝利のみ!」
グリム・サンダース
「がっはっはっは!! かかってこんかいっ!
おんどれらの命運もここまでじゃい!!」
豪快に笑うグリム・サンダースを中心に瘴気が膨れ上がり、巨大な雄牛へと彼の姿を変えた。
ミュー
「エボルグリム、大型グリムに変異したです」
クララ
「凄い力を感じる……以前のデータよりも、より強くなっているみたい!」
サンダース
「構わぬ! 全員準備はいいな!殲滅戦を始めようではないか!
ふはははははっ!!」
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グリム・サンダース
「ぐ……ぐ……ぐ……だはぁっ!?」
7人の魔法使いの総力に、これまで幾度となく攻撃を受け止めてきたグリム・サンダースも膝をついた。
サンダース
「どうだ、我輩達はまさに獅子奮迅!
貴様のようなまがい物に膝を折るなどありえん!」
グリム・サンダース
「このワシがこんな無様な姿になるとはのう。負けた……負けたで! だがあっぱれじゃ!
仲間の力とは、こんなにも強いもンか……ふふ……ふっはっはっはっはっは!」
レオン
「俺たちを甘く見すぎだぜ!
戦えば戦うほど、強くなるからな」
グリム・サンダース
「そうか! そうなのか!
ワシは……ワシはなにも知らなんだ……!」
ミュー
「なんだか……すごく楽しそうです」
クララ
「本当だ。なんか意外な感じ」
セリオス
「油断するな。
まだ倒しきったわけではないからな」
サンダース
「貴様を認めよう。間違いなく、強者であった!
来い、我輩のグリモワールへと!」
グリム・サンダース
「まさかこんな晴れやかな気分で消えることになろうとはのう……
いつかまた相まみえたいもンじゃ!」
サンダースが掲げるグリモワールから溢れた光が、晴れやかな表情を浮かべるグリム・サンダースを呑みこむ。
光の消えたグリモワールの中に、グリム・サンダースにどこか似た形代が封じられていた。
ルキア
「よし、任務完了だね!」
レオン
「ああ、守りきったぜ!」
セリオス
「確かに今回はエボルグリムを封印できた。
だが、安心してはいられない。敵はこのトーキョーをまた狙うだろう」
ハルト
「何の問題もないだろう。
我の力があれば、この程度の敵造作もない」
クララ
「その自信はどこから来るんだろう……」
サンダース
「ふん。何度来ようが、我輩が完璧な作戦で殲滅してやろう。
だが、そうだな……なかなかに良い戦場であった」
▲BACK TO TOP
「ぐ……ぐ……ぐ……だはぁっ!?」
7人の魔法使いの総力に、これまで幾度となく攻撃を受け止めてきたグリム・サンダースも膝をついた。
サンダース
「どうだ、我輩達はまさに獅子奮迅!
貴様のようなまがい物に膝を折るなどありえん!」
グリム・サンダース
「このワシがこんな無様な姿になるとはのう。負けた……負けたで! だがあっぱれじゃ!
仲間の力とは、こんなにも強いもンか……ふふ……ふっはっはっはっはっは!」
レオン
「俺たちを甘く見すぎだぜ!
戦えば戦うほど、強くなるからな」
グリム・サンダース
「そうか! そうなのか!
ワシは……ワシはなにも知らなんだ……!」
ミュー
「なんだか……すごく楽しそうです」
クララ
「本当だ。なんか意外な感じ」
セリオス
「油断するな。
まだ倒しきったわけではないからな」
サンダース
「貴様を認めよう。間違いなく、強者であった!
来い、我輩のグリモワールへと!」
グリム・サンダース
「まさかこんな晴れやかな気分で消えることになろうとはのう……
いつかまた相まみえたいもンじゃ!」
サンダースが掲げるグリモワールから溢れた光が、晴れやかな表情を浮かべるグリム・サンダースを呑みこむ。
光の消えたグリモワールの中に、グリム・サンダースにどこか似た形代が封じられていた。
ルキア
「よし、任務完了だね!」
レオン
「ああ、守りきったぜ!」
セリオス
「確かに今回はエボルグリムを封印できた。
だが、安心してはいられない。敵はこのトーキョーをまた狙うだろう」
ハルト
「何の問題もないだろう。
我の力があれば、この程度の敵造作もない」
クララ
「その自信はどこから来るんだろう……」
サンダース
「ふん。何度来ようが、我輩が完璧な作戦で殲滅してやろう。
だが、そうだな……なかなかに良い戦場であった」
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グリム・シャロンを退けた後のヨコハマーにて、リックたちは彼らエボルグリムについて頭を捻っていた。
リック
「人為的に進化させられたグリム……エボルグリムか。
しかし陰陽の力が関係しているというなら、何か対策はないのか?」
ムジナ
「あれから少し陰陽について研究を続けていました。
今回のようなことがないとも限りませんでしたから」
メディア
「それじゃあ、もしかして……!」
イナリ
「兄様、あれはまだ完成してないって……」
ムジナ
「いや、大丈夫だよイナリ」
「これは呪符と呼ばれるマジックアイテム。
瘴気をマナに変換する効力を持ちます」
リエル
「エボルグリムたちが使ってくる攻撃と似た機能を持っているということですか?」
ムジナ
「はい。しかし実用に耐えるのはまだこの一枚のみ。
そして、長時間は使えないでしょう」
シャロン
「なら、それはわたくしがいただきますわ」
リエル
「シャロンさん……!そのマジックアイテム、危険なのでは……」
シャロン
「大丈夫ですわ。
わたくしの偽物を押さえるには、グリモワールのマナだけでは少々心もとないと考えていたところでしたの」
リック
「確かに大型に変化したエボルグリムの攻撃能力は高くないように見えた」
マヤ
「シャロンさんのエボルグリムが攻撃、リエルさんのエボルグリムが防御……
そんな風に役割分担しているのかも」
リエル
「ですけど、シャロンさんひとりでは危険です!
イナリさんたちの警護だって……」
メディア
「イナリちゃんたちは私が守るから安心して!」
シャロン
「そう思うのでしたら、早くグリムを倒してわたくしを助けに来てくださいな。
では、まいりましょうか」
シャロンたちが瘴気を追いクサビ前へと向かっているその頃、クサビ前ではグリム・シャロンがクサビが生み出した瘴気を満足そうに眺めていた。
グリム・シャロン
「ふむふむ、いい感じですわねぇ……
なんでしょう、こうみなぎってくるような……」
グリム・リエル
「知性を感じられない感想ですね」
グリム・シャロン
「とことん主人を敬う姿勢がないメイドですわねっ!?」
グリム・リエル
「敬ってもマスターが調子づくだけで、
メリットが皆無ですので」
グリム・シャロン
「あーなーたーはーーーーーっ!!」
グリム・リエル
「ストップです。お客様のようですよ」
グリム・シャロン
「お客様? もしや――」
自身らに向けて放たれた魔法を認めて、二人のエボルグリムは軽やかに左右に飛び退る。
誰もいなくなったその場所へ魔法は着弾し、弾けた。
シャロン
「わたくしの株が下がるような行動は謹んでいただけますか?」
グリム・シャロン
「ふん、口だけは達者なんですのね。
先程は一杯食わされましたが、今度こそ叩き潰して差し上げますわっ!
「おーっほっほ!!」
シャロン
「その挑戦、受けて立ちましょう。
みなさん、頼みましたわよ!」
リック
「任された!
俺たちは自分の仕事を果たす!」
グリム・リエル
「……そういう作戦ですか。
ならばあなたたちを早くすり潰してしまわなくては」
リエル
「……あなたと私は、同じような気持ちを抱いているのかもしれません。
だからこそ……絶対に負けられないんです!」
グリム・リエル
「私とマスターの関係をあなたのような俗物に例えられるとは心外です。
それは侮辱といえましょう……!」
能面のようなグリム・リエルが発した感情の乗らない声にわずかながら不愉快さがにじむ。
静かに瘴気を纏ったグリム・リエルはその姿を巨大なドーベルマンへと変えてリックたちと対峙した。
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リック
「人為的に進化させられたグリム……エボルグリムか。
しかし陰陽の力が関係しているというなら、何か対策はないのか?」
ムジナ
「あれから少し陰陽について研究を続けていました。
今回のようなことがないとも限りませんでしたから」
メディア
「それじゃあ、もしかして……!」
イナリ
「兄様、あれはまだ完成してないって……」
ムジナ
「いや、大丈夫だよイナリ」
「これは呪符と呼ばれるマジックアイテム。
瘴気をマナに変換する効力を持ちます」
リエル
「エボルグリムたちが使ってくる攻撃と似た機能を持っているということですか?」
ムジナ
「はい。しかし実用に耐えるのはまだこの一枚のみ。
そして、長時間は使えないでしょう」
シャロン
「なら、それはわたくしがいただきますわ」
リエル
「シャロンさん……!そのマジックアイテム、危険なのでは……」
シャロン
「大丈夫ですわ。
わたくしの偽物を押さえるには、グリモワールのマナだけでは少々心もとないと考えていたところでしたの」
リック
「確かに大型に変化したエボルグリムの攻撃能力は高くないように見えた」
マヤ
「シャロンさんのエボルグリムが攻撃、リエルさんのエボルグリムが防御……
そんな風に役割分担しているのかも」
リエル
「ですけど、シャロンさんひとりでは危険です!
イナリさんたちの警護だって……」
メディア
「イナリちゃんたちは私が守るから安心して!」
シャロン
「そう思うのでしたら、早くグリムを倒してわたくしを助けに来てくださいな。
では、まいりましょうか」
シャロンたちが瘴気を追いクサビ前へと向かっているその頃、クサビ前ではグリム・シャロンがクサビが生み出した瘴気を満足そうに眺めていた。
グリム・シャロン
「ふむふむ、いい感じですわねぇ……
なんでしょう、こうみなぎってくるような……」
グリム・リエル
「知性を感じられない感想ですね」
グリム・シャロン
「とことん主人を敬う姿勢がないメイドですわねっ!?」
グリム・リエル
「敬ってもマスターが調子づくだけで、
メリットが皆無ですので」
グリム・シャロン
「あーなーたーはーーーーーっ!!」
グリム・リエル
「ストップです。お客様のようですよ」
グリム・シャロン
「お客様? もしや――」
自身らに向けて放たれた魔法を認めて、二人のエボルグリムは軽やかに左右に飛び退る。
誰もいなくなったその場所へ魔法は着弾し、弾けた。
シャロン
「わたくしの株が下がるような行動は謹んでいただけますか?」
グリム・シャロン
「ふん、口だけは達者なんですのね。
先程は一杯食わされましたが、今度こそ叩き潰して差し上げますわっ!
「おーっほっほ!!」
シャロン
「その挑戦、受けて立ちましょう。
みなさん、頼みましたわよ!」
リック
「任された!
俺たちは自分の仕事を果たす!」
グリム・リエル
「……そういう作戦ですか。
ならばあなたたちを早くすり潰してしまわなくては」
リエル
「……あなたと私は、同じような気持ちを抱いているのかもしれません。
だからこそ……絶対に負けられないんです!」
グリム・リエル
「私とマスターの関係をあなたのような俗物に例えられるとは心外です。
それは侮辱といえましょう……!」
能面のようなグリム・リエルが発した感情の乗らない声にわずかながら不愉快さがにじむ。
静かに瘴気を纏ったグリム・リエルはその姿を巨大なドーベルマンへと変えてリックたちと対峙した。
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幾度も炸裂した魔法により、纏った瘴気を散らされたグリム・リエルはドーベルマンから人間態へと姿を戻す。
グリム・リエル
「きゃああああああっ!!」
マヤ
「人間態に戻ったみたい!あとは封印できれば……」
リック
「チャンスだ。クサビを破壊するぞ!」
力をそがれ憔悴したグリム・リエルの隙を付き、放たれた魔法は寸分違わずクサビを直撃した。
結晶がひび割れるような硬質な音を立てて、クサビが砕け散る。
グリム・リエル
「やってくださいましたね……。
この、私が……このままでは、マスターを、守れ……ない……」
一方その頃、シャロンと対峙し魔法を放ちあっているグリム・シャロンもまた疲弊していた。
グリム・シャロン
「ぐぅ……はぁ、はぁ……随分としぶといです……わねっ!」
肩で息を切らしながらグリム・シャロンは魔法を放つが、シャロンは軽々と避ける。
シャロン
「ふふっ……その程度ですの?
わたくしはまだまだいけますわよ!」
グリム・シャロン
「本当にいけすかない方ですわね……!
はぁっ! てぁっ!」
苛立たし気にグリム・シャロンは連続で攻撃魔法を放った。
シャロン
「その程度、全て撃ち落としてみせますわ!」
連続で放たれた魔法に、シャロンが放った魔法がぶつかり合い爆発する。
グリム・シャロン
「ふん、何度でも放てばいいのですわ。
先に力尽きるのは間違いなくあなたですもの!」
シャロン
「その自分が優位にいるという思い上がりが、油断を生むんですのよ!」
互角かと思われた魔法弾合戦も、徐々にシャロンの魔法がグリム・シャロンを圧倒し始める。
グリム・シャロン
「ぐ……ぐ……あああああああ!?
このままでは……止めきれない……っ!?」
シャロン
「もうこの呪符ももたないようですわね……であれば、今ここで全ての力を使わせていただきます。
チェックメイト、ですわ!」
呪符の状態に長引く事は不利と捉えたシャロンが、全ての力を込めて巨大な魔法を放つ。
グリム・シャロン
「まずいですわ、まずいですわ。
ああ、ああ、あ――きゃあっ!?」
逃げ切れない状況にうろたえるグリム・シャロンは、飛び込んできたグリム・リエルに勢いのまま突き飛ばされた。
グリム・リエル
「まったく、これだから無能のマスターは困ります」
グリム・シャロン
「まったく、わたくしを突き飛ばすなど……え?」
グリム・リエル
「何を不思議そうな顔をしているのですか?
ふふ……どうであれ、マスターをお守りするのが、メイドの役目ですから……かはっ!?」
リエル
「お嬢様、お待たせしましたっ!!お手伝いします!」
シャロン
「少々遅いですわよ、リエルさん。
封印をお願いします。わたくしはあちらの偽者を抑えるのが仕事ですから」
グリム・リエル
「行かせ、ませんよ……!
この身に代えたとしても、マスターの……障害は、消さな、ければ……!」
息も絶え絶えとなったグリム・リエルが残りの力を振り絞って放った魔法は、避けようと飛び退いたシャロンを打つ。
シャロン
「……っ!?やられ、ましたわね……ですが!
リエルさん、封印を!!」
リエル
「はいっ! 絶対に封印します!
はぁっ!!」
リエルが掲げたグリモワールから光が溢れグリム・リエルへと降り注いだ。
グリム・リエル
「ああぁぁぁぁぁっ!?」
グリム・リエルは光と共に消え、形代だけがグリモワール内に残される。
グリム・シャロン
「あ……あ……ああああ、あああああああ!
わたくしは……わたくしは……何をして……」
眼前での喪失に愕然とし、取り乱したグリム・シャロンは無差別に攻撃魔法を放つ。
マヤ
「無差別に攻撃してる……暴走!?
危険よ、シャロンさん! リエルさん!」
リック
「クサビは破壊した。
瘴気が尽きればすぐに収まるとは思うが……」
リエル
「お嬢様……! お嬢様!!大丈夫ですか!?」
シャロン
「ふ、ふふ……
封印は無事に成功したようですわね」
リエル
「はい……お嬢様のおかげです」
シャロン
「わたくしたちは今は学友ですわ。
お嬢様では……ありません」
リエル
「はい、そうですね!」
シャロンの姿と言葉に安堵と喜色を浮かべたリエルの頬を涙が伝い落ちた。
シャロン
「こうしている場合ではありませんわ。
あちらも早く封印しなくては……」
グリム・シャロン
「許しません、許しませんわ……絶対に、許しませんわぁぁぁぁぁぁ!!」
グリム・シャロンの激昂に呼応するように雷鳴が鳴り響く。
グリム・シャロン
「あなた方は……あなた方は絶対にやってはならないことをしました。
わたくしの所有物を勝手に壊したんですもの!!」
「覚えていなさい! このわたくしを!
あなた方を倒すのは……このわたくしですわっ!!」
地面を揺るがすような大きな雷が落ちると同時にグリム・シャロンは姿を忽然と消した。
マヤ
「消え、た……?」
リック
「逃げられたようだな。
だが一体は封印し、クサビも破壊できた。十分すぎるほどだろう」
リエル
「……なんだか、少し悲しい感じがしますね」
シャロン
「気に病む必要はありません。
あれはグリムであり、わたくしたちの贋作ですわ。同じ人間ではありませんもの」
リエル
「だけど、私に似た彼女が主人を守ろうとした思い……それは、きっと本物だったと思うんです」
シャロン
「そうかも……しれませんわね。
一個人としての人格を持つエボルグリム……まだわからないことが多すぎますわ」
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グリム・リエル
「きゃああああああっ!!」
マヤ
「人間態に戻ったみたい!あとは封印できれば……」
リック
「チャンスだ。クサビを破壊するぞ!」
力をそがれ憔悴したグリム・リエルの隙を付き、放たれた魔法は寸分違わずクサビを直撃した。
結晶がひび割れるような硬質な音を立てて、クサビが砕け散る。
グリム・リエル
「やってくださいましたね……。
この、私が……このままでは、マスターを、守れ……ない……」
一方その頃、シャロンと対峙し魔法を放ちあっているグリム・シャロンもまた疲弊していた。
グリム・シャロン
「ぐぅ……はぁ、はぁ……随分としぶといです……わねっ!」
肩で息を切らしながらグリム・シャロンは魔法を放つが、シャロンは軽々と避ける。
シャロン
「ふふっ……その程度ですの?
わたくしはまだまだいけますわよ!」
グリム・シャロン
「本当にいけすかない方ですわね……!
はぁっ! てぁっ!」
苛立たし気にグリム・シャロンは連続で攻撃魔法を放った。
シャロン
「その程度、全て撃ち落としてみせますわ!」
連続で放たれた魔法に、シャロンが放った魔法がぶつかり合い爆発する。
グリム・シャロン
「ふん、何度でも放てばいいのですわ。
先に力尽きるのは間違いなくあなたですもの!」
シャロン
「その自分が優位にいるという思い上がりが、油断を生むんですのよ!」
互角かと思われた魔法弾合戦も、徐々にシャロンの魔法がグリム・シャロンを圧倒し始める。
グリム・シャロン
「ぐ……ぐ……あああああああ!?
このままでは……止めきれない……っ!?」
シャロン
「もうこの呪符ももたないようですわね……であれば、今ここで全ての力を使わせていただきます。
チェックメイト、ですわ!」
呪符の状態に長引く事は不利と捉えたシャロンが、全ての力を込めて巨大な魔法を放つ。
グリム・シャロン
「まずいですわ、まずいですわ。
ああ、ああ、あ――きゃあっ!?」
逃げ切れない状況にうろたえるグリム・シャロンは、飛び込んできたグリム・リエルに勢いのまま突き飛ばされた。
グリム・リエル
「まったく、これだから無能のマスターは困ります」
グリム・シャロン
「まったく、わたくしを突き飛ばすなど……え?」
グリム・リエル
「何を不思議そうな顔をしているのですか?
ふふ……どうであれ、マスターをお守りするのが、メイドの役目ですから……かはっ!?」
リエル
「お嬢様、お待たせしましたっ!!お手伝いします!」
シャロン
「少々遅いですわよ、リエルさん。
封印をお願いします。わたくしはあちらの偽者を抑えるのが仕事ですから」
グリム・リエル
「行かせ、ませんよ……!
この身に代えたとしても、マスターの……障害は、消さな、ければ……!」
息も絶え絶えとなったグリム・リエルが残りの力を振り絞って放った魔法は、避けようと飛び退いたシャロンを打つ。
シャロン
「……っ!?やられ、ましたわね……ですが!
リエルさん、封印を!!」
リエル
「はいっ! 絶対に封印します!
はぁっ!!」
リエルが掲げたグリモワールから光が溢れグリム・リエルへと降り注いだ。
グリム・リエル
「ああぁぁぁぁぁっ!?」
グリム・リエルは光と共に消え、形代だけがグリモワール内に残される。
グリム・シャロン
「あ……あ……ああああ、あああああああ!
わたくしは……わたくしは……何をして……」
眼前での喪失に愕然とし、取り乱したグリム・シャロンは無差別に攻撃魔法を放つ。
マヤ
「無差別に攻撃してる……暴走!?
危険よ、シャロンさん! リエルさん!」
リック
「クサビは破壊した。
瘴気が尽きればすぐに収まるとは思うが……」
リエル
「お嬢様……! お嬢様!!大丈夫ですか!?」
シャロン
「ふ、ふふ……
封印は無事に成功したようですわね」
リエル
「はい……お嬢様のおかげです」
シャロン
「わたくしたちは今は学友ですわ。
お嬢様では……ありません」
リエル
「はい、そうですね!」
シャロンの姿と言葉に安堵と喜色を浮かべたリエルの頬を涙が伝い落ちた。
シャロン
「こうしている場合ではありませんわ。
あちらも早く封印しなくては……」
グリム・シャロン
「許しません、許しませんわ……絶対に、許しませんわぁぁぁぁぁぁ!!」
グリム・シャロンの激昂に呼応するように雷鳴が鳴り響く。
グリム・シャロン
「あなた方は……あなた方は絶対にやってはならないことをしました。
わたくしの所有物を勝手に壊したんですもの!!」
「覚えていなさい! このわたくしを!
あなた方を倒すのは……このわたくしですわっ!!」
地面を揺るがすような大きな雷が落ちると同時にグリム・シャロンは姿を忽然と消した。
マヤ
「消え、た……?」
リック
「逃げられたようだな。
だが一体は封印し、クサビも破壊できた。十分すぎるほどだろう」
リエル
「……なんだか、少し悲しい感じがしますね」
シャロン
「気に病む必要はありません。
あれはグリムであり、わたくしたちの贋作ですわ。同じ人間ではありませんもの」
リエル
「だけど、私に似た彼女が主人を守ろうとした思い……それは、きっと本物だったと思うんです」
シャロン
「そうかも……しれませんわね。
一個人としての人格を持つエボルグリム……まだわからないことが多すぎますわ」
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〜不可思議な空間〜
グリム・シャロンが消えた先には、以前アラクラヤマに現れたグリム・レオンの他、数人の影があった。
グリム・セリオス
「なんだシャロン、無様に負けて帰ってきたのか?」
グリム・シャロン
「………………」
グリム・マラリヤ
「……あの、リエルさんは……?」
グリム・シャロン
「…………もう、いませんわ」
グリム・マラリヤ
「あ、あ、あ……ごめん、なさい……。
でも、あの御方の命令をまた守れなかったんだ……」
グリム・ミュー
「正々堂々戦って負けたなら、仕方ないんじゃないかなー!」
グリム・カイル
「戦いとは、勝利してこそ意味がある。
相手の無様にひれ伏す姿を見ることになァッ!」
グリム・ユリ
「少し、同感。敗北すれば何も残らない」
グリム・シャロン
「ええ、そうですわ……そうですわね……
ふふっ……ふふふふっ……」
グリム・レオン
「ハッ! クサビを守るだけってのは暇で仕方ねぇ……。
そういやアイコとマヤはどうした?」
グリム・ユリ
「アイコとマヤはニャーゴヤのクサビを守ってる。
そして奇襲をかけるのは、私と……」
グリム・カイル
「あの御方の命ならば仕方がない……我の力を見せてやろう。
足手まといになるなよ、ユリ?」
グリム・ユリ
「……笑止。あの御方の命令は必ず果たす」
瘴気を生み出すクサビの情報を追い、アイコたちはニャーゴヤの調査を行っていた。
アイコ
「マヤちん、すごかったねー!
しゃちほこだよ! しゃちほこ!」
レオン
「おう、すっげぇよな!
あんなのが城にくっついてるなんて!」
マヤ
「確かにすごいし珍しかったけど……。
私たちがここに任務で来てること忘れてない?
あんまりはしゃぎすぎないでよ。レオン君もね」
アイコ&レオン
「はーい」「ういー」
マヤ
「この二人の組み合わせ……前途多難ね」
そんな三人の近くに、一人の少女が立ちつくしていた。
少女
「あれー? どっちだっけー……?
うー、面倒くさい……」
マヤ
「あれ? あの子……迷子かな?」
アイコ
「そうっぽいね。よし、行ってみよー!」
マヤ
「ちょっと!
一人で行かないで、アイコ!」
少女
「ん? ……今呼ばれたような?」
アイコ
「ねぇねぇ、もしかして……迷子?」
レオン
「俺たちで良かったら、協力するぜ?」
少女
「えー……別に……てか鬱陶しいし……」
アイコ&レオン
「!?」
アイコ
「う、鬱陶しい……!?」
少女
「あー、話すの面倒くさ……」
マヤ
「その、ごめんなさい。驚かせちゃったよね」
少女
「え……マヤちん?」
マヤ
「ん? 私の名前……?
どこかで会ったことある?」
少女
「あー……いやさ、そうというか、そうじゃないというか……」
???
「何してんだてめえらッ!」
微妙にすれ違った会話を続ける一行に向けて激しい喝を飛ばす者があった。
少女
「おー、マヤちん来たんだー」
???
「来たんだ、じゃねぇノロマ!迷惑ばっかかけやがって」
アイコ
「マヤちん!?
あのスケバンみたいなのがマヤちん!?」
レオン
「マジかよ!?
あの二人、アイコとマヤのエボルグリムなのか!?」
グリム・マヤ
「ごちゃごちゃうるせぇ!
お前らがメディアやリエルをやったヤツらか……。
あたしたちは簡単にゃやられねぇぞ!」
グリム・アイコ
「えー……あたしもやるのー?」
グリム・マヤ
「クサビを守るのもあたしらの仕事だぞ!
終わったらパフェ食わしてやるから!」
グリム・アイコ
「んー、しょーがないなー。ちょっとだけねー」
緩い会話をしながらエボルグリムたちは、熊の背に烏の胴体が繋がった二体のグリムが重なり合った合成獣のような巨大なグリムへと姿を変える。
▲BACK TO TOP
グリム・シャロンが消えた先には、以前アラクラヤマに現れたグリム・レオンの他、数人の影があった。
グリム・セリオス
「なんだシャロン、無様に負けて帰ってきたのか?」
グリム・シャロン
「………………」
グリム・マラリヤ
「……あの、リエルさんは……?」
グリム・シャロン
「…………もう、いませんわ」
グリム・マラリヤ
「あ、あ、あ……ごめん、なさい……。
でも、あの御方の命令をまた守れなかったんだ……」
グリム・ミュー
「正々堂々戦って負けたなら、仕方ないんじゃないかなー!」
グリム・カイル
「戦いとは、勝利してこそ意味がある。
相手の無様にひれ伏す姿を見ることになァッ!」
グリム・ユリ
「少し、同感。敗北すれば何も残らない」
グリム・シャロン
「ええ、そうですわ……そうですわね……
ふふっ……ふふふふっ……」
グリム・レオン
「ハッ! クサビを守るだけってのは暇で仕方ねぇ……。
そういやアイコとマヤはどうした?」
グリム・ユリ
「アイコとマヤはニャーゴヤのクサビを守ってる。
そして奇襲をかけるのは、私と……」
グリム・カイル
「あの御方の命ならば仕方がない……我の力を見せてやろう。
足手まといになるなよ、ユリ?」
グリム・ユリ
「……笑止。あの御方の命令は必ず果たす」
瘴気を生み出すクサビの情報を追い、アイコたちはニャーゴヤの調査を行っていた。
アイコ
「マヤちん、すごかったねー!
しゃちほこだよ! しゃちほこ!」
レオン
「おう、すっげぇよな!
あんなのが城にくっついてるなんて!」
マヤ
「確かにすごいし珍しかったけど……。
私たちがここに任務で来てること忘れてない?
あんまりはしゃぎすぎないでよ。レオン君もね」
アイコ&レオン
「はーい」「ういー」
マヤ
「この二人の組み合わせ……前途多難ね」
そんな三人の近くに、一人の少女が立ちつくしていた。
少女
「あれー? どっちだっけー……?
うー、面倒くさい……」
マヤ
「あれ? あの子……迷子かな?」
アイコ
「そうっぽいね。よし、行ってみよー!」
マヤ
「ちょっと!
一人で行かないで、アイコ!」
少女
「ん? ……今呼ばれたような?」
アイコ
「ねぇねぇ、もしかして……迷子?」
レオン
「俺たちで良かったら、協力するぜ?」
少女
「えー……別に……てか鬱陶しいし……」
アイコ&レオン
「!?」
アイコ
「う、鬱陶しい……!?」
少女
「あー、話すの面倒くさ……」
マヤ
「その、ごめんなさい。驚かせちゃったよね」
少女
「え……マヤちん?」
マヤ
「ん? 私の名前……?
どこかで会ったことある?」
少女
「あー……いやさ、そうというか、そうじゃないというか……」
???
「何してんだてめえらッ!」
微妙にすれ違った会話を続ける一行に向けて激しい喝を飛ばす者があった。
少女
「おー、マヤちん来たんだー」
???
「来たんだ、じゃねぇノロマ!迷惑ばっかかけやがって」
アイコ
「マヤちん!?
あのスケバンみたいなのがマヤちん!?」
レオン
「マジかよ!?
あの二人、アイコとマヤのエボルグリムなのか!?」
グリム・マヤ
「ごちゃごちゃうるせぇ!
お前らがメディアやリエルをやったヤツらか……。
あたしたちは簡単にゃやられねぇぞ!」
グリム・アイコ
「えー……あたしもやるのー?」
グリム・マヤ
「クサビを守るのもあたしらの仕事だぞ!
終わったらパフェ食わしてやるから!」
グリム・アイコ
「んー、しょーがないなー。ちょっとだけねー」
緩い会話をしながらエボルグリムたちは、熊の背に烏の胴体が繋がった二体のグリムが重なり合った合成獣のような巨大なグリムへと姿を変える。
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合体したエボルグリムにアイコたちは応戦を続ける。
アイコ
「合体なんて聞いてないよっ!?
もしかして、二人分のパワーがあるの!?」
マヤ
「これが、新しいエボルグリム……私たちだけで本当に勝てるの?」
レオン
「弱気になるな!大丈夫だ、俺たちなら!」
アイコ
「うん、そうだよね!
あたしとマヤちんは無敵のコンビだし!」
マヤ
「……そうね、アイコの言う通り。
諦めてなんかいられない!私たちには使命があるもの!」
アイコ
「えー、そこは無敵のコンビってのにのって欲しかったんだけど……」
レオン
「俺は入れてくれないのかよ……」
不意に瘴気の密度が薄れ、合体していた二体のグリムはそれぞれが少女の姿をとる。
グリム・アイコ
「……疲れた〜。もう帰ろうよマヤちん」
グリム・マヤ
「な……ッ!?
チッ、仕方ねぇな……。行くぞ、アイコ」
グリム・アイコ
「マヤちん、動くのめんどい〜。かたぐるま〜」
グリム・マヤ
「……ふん、乗りな」
グリム・アイコ
「お〜、らくちん〜。それじゃ、ばいば〜い」
気の抜けた別れの言葉を残してエボルグリムの二人は去って行った。
レオン
「い、行っちまった……」
アイコ
「せっかくここから大逆転!……ってとこだったのになー」
マヤ
「こら、馬鹿言わないの」
大口をたたくアイコをたしなめるようにマヤが軽く小突いた。
アイコ
「あいたっち! ……はーい」
レオン
「なんか、似てるな」
マヤ
「似てるって……何のこと?」
レオン
「いや、さっきのグリムと」
アイコ
「ちょっとレオン!
わたしあんなに、だらけてないじゃん!」
マヤ
「……確かに手のかかるところは同じかもね」
アイコ
「マヤちんまでー!!」
アイコ
「合体なんて聞いてないよっ!?
もしかして、二人分のパワーがあるの!?」
マヤ
「これが、新しいエボルグリム……私たちだけで本当に勝てるの?」
レオン
「弱気になるな!大丈夫だ、俺たちなら!」
アイコ
「うん、そうだよね!
あたしとマヤちんは無敵のコンビだし!」
マヤ
「……そうね、アイコの言う通り。
諦めてなんかいられない!私たちには使命があるもの!」
アイコ
「えー、そこは無敵のコンビってのにのって欲しかったんだけど……」
レオン
「俺は入れてくれないのかよ……」
不意に瘴気の密度が薄れ、合体していた二体のグリムはそれぞれが少女の姿をとる。
グリム・アイコ
「……疲れた〜。もう帰ろうよマヤちん」
グリム・マヤ
「な……ッ!?
チッ、仕方ねぇな……。行くぞ、アイコ」
グリム・アイコ
「マヤちん、動くのめんどい〜。かたぐるま〜」
グリム・マヤ
「……ふん、乗りな」
グリム・アイコ
「お〜、らくちん〜。それじゃ、ばいば〜い」
気の抜けた別れの言葉を残してエボルグリムの二人は去って行った。
レオン
「い、行っちまった……」
アイコ
「せっかくここから大逆転!……ってとこだったのになー」
マヤ
「こら、馬鹿言わないの」
大口をたたくアイコをたしなめるようにマヤが軽く小突いた。
アイコ
「あいたっち! ……はーい」
レオン
「なんか、似てるな」
マヤ
「似てるって……何のこと?」
レオン
「いや、さっきのグリムと」
アイコ
「ちょっとレオン!
わたしあんなに、だらけてないじゃん!」
マヤ
「……確かに手のかかるところは同じかもね」
アイコ
「マヤちんまでー!!」
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グリム・サンダースを封印しトーキョーに平穏が訪れたのもつかの間、新たなグリム出現の報告を受けユリたちはナナイロブリッジ付近を訪れていた。
ユリ
「また新しいエボルグリムが来てるらしいよ!」
カイル
「サンダースさんのエボルグリムを封印してから、まだあまり経っていないというのに……」
リック
「逆に考えよう。
他の場所に引きこもられるよりは、ずっと対応しやすいはずだ」
カイル
「確かにそれは一理ありますが……」
ユウ
「そんなこと言ってる場合じゃないよ!
どんどん近くに迫ってきてる!」
迫り来るエボルグリムの姿を捉えるよりも先に、魔法のようなものがユリたちの近くへと叩きこまれた。
重い衝撃音が響くと同時に地面が揺れ、細やかな砂塵が舞う。
着弾した魔法から少し遅れて二人の男女が音も立てずに降り立った。
グリム・カイル
「なんだ、大したことなさそうな連中ばかりだな。
実につまらないッ!」
グリム・ユリ
「……それならカイル、あなたは下がっていて。
別に二人でやる必要はないでしょう」
グリム・カイル
「ユリよ……手柄を独り占めする気とは笑止千万!」
我もやるぞ。負けたときに我のせいにされては敵わんしな」
グリム・ユリ
「勝手にして。私の疾風に、付いてこられるならば」
ユウ
「あれがユリさんとカイルさん……?
なんかイメージが……」
カイル
「あれが……僕、なのか?」
ユリ
「言われてみれば似ているような……」
リック
「そんなことは今はどうでもいい!
やつらが来るぞ!」
グリム・カイル
「あれがあの御方のいうオリジナルか……。
なんとも矮小な……我への侮辱に値する!」
グリム・ユリ
「……言っても仕方ないわ。
私のオリジナルだって、能天気なようだし」
グリム・カイル
「ならば我らこそ正しき存在だと刻ませてもらおう。
さぁ、始めようかッ!」
グリム・ユリ
「ええ、そうね。それがもっとも早い。
ユリ、参ります……!」
グリム・カイルは嘲笑を浮かべながらいくつもの魔法をカイルたちに向けて放つ。
グリム・カイル
「ほらほらほら、どうしたァ!」
放たれた魔法はカイルたちが周囲に張ったバリアを破る事は出来ず消滅した。
カイル
「その程度では、僕たちの魔法は打ち砕けませんよ!」
リック
「ああ、必ず守り抜く!」
カイルたちの攻防を尻目に、グリム・ユリもまたユリたちに向けて攻撃を仕掛ける。
グリム・ユリ
「防げるものならッ!」
ユリ
「へへっ、絶対負けないから!」
グリム・ユリの素早い攻撃をユリが打撃でいなした。
グリム・ユリ
「私の動きについてくるなんて……やるッ!」
ユウ
「当然だよ!
ちゃんとアシストしてるからね!」
グリム・カイル
「我々の消耗を狙っているのか。
埒が明かないな……、ユリ!」
グリム・ユリ
「手段を選んではいられないか……いいでしょう」
二人の身体を濃い瘴気が包み、腕と鮫の胴体が繋がっている巨大な合成獣のような龍へと姿を変えた。
ユウ
「グリムになっただけじゃなくて、合体した!?
どういうことなの!?」
カイル
「初めてのパターンですが……引き下がれません!
ここで食い止めましょう!」
ユリ
「任せておいて!
どーんと追い返しちゃおう!」
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ユリ
「また新しいエボルグリムが来てるらしいよ!」
カイル
「サンダースさんのエボルグリムを封印してから、まだあまり経っていないというのに……」
リック
「逆に考えよう。
他の場所に引きこもられるよりは、ずっと対応しやすいはずだ」
カイル
「確かにそれは一理ありますが……」
ユウ
「そんなこと言ってる場合じゃないよ!
どんどん近くに迫ってきてる!」
迫り来るエボルグリムの姿を捉えるよりも先に、魔法のようなものがユリたちの近くへと叩きこまれた。
重い衝撃音が響くと同時に地面が揺れ、細やかな砂塵が舞う。
着弾した魔法から少し遅れて二人の男女が音も立てずに降り立った。
グリム・カイル
「なんだ、大したことなさそうな連中ばかりだな。
実につまらないッ!」
グリム・ユリ
「……それならカイル、あなたは下がっていて。
別に二人でやる必要はないでしょう」
グリム・カイル
「ユリよ……手柄を独り占めする気とは笑止千万!」
我もやるぞ。負けたときに我のせいにされては敵わんしな」
グリム・ユリ
「勝手にして。私の疾風に、付いてこられるならば」
ユウ
「あれがユリさんとカイルさん……?
なんかイメージが……」
カイル
「あれが……僕、なのか?」
ユリ
「言われてみれば似ているような……」
リック
「そんなことは今はどうでもいい!
やつらが来るぞ!」
グリム・カイル
「あれがあの御方のいうオリジナルか……。
なんとも矮小な……我への侮辱に値する!」
グリム・ユリ
「……言っても仕方ないわ。
私のオリジナルだって、能天気なようだし」
グリム・カイル
「ならば我らこそ正しき存在だと刻ませてもらおう。
さぁ、始めようかッ!」
グリム・ユリ
「ええ、そうね。それがもっとも早い。
ユリ、参ります……!」
グリム・カイルは嘲笑を浮かべながらいくつもの魔法をカイルたちに向けて放つ。
グリム・カイル
「ほらほらほら、どうしたァ!」
放たれた魔法はカイルたちが周囲に張ったバリアを破る事は出来ず消滅した。
カイル
「その程度では、僕たちの魔法は打ち砕けませんよ!」
リック
「ああ、必ず守り抜く!」
カイルたちの攻防を尻目に、グリム・ユリもまたユリたちに向けて攻撃を仕掛ける。
グリム・ユリ
「防げるものならッ!」
ユリ
「へへっ、絶対負けないから!」
グリム・ユリの素早い攻撃をユリが打撃でいなした。
グリム・ユリ
「私の動きについてくるなんて……やるッ!」
ユウ
「当然だよ!
ちゃんとアシストしてるからね!」
グリム・カイル
「我々の消耗を狙っているのか。
埒が明かないな……、ユリ!」
グリム・ユリ
「手段を選んではいられないか……いいでしょう」
二人の身体を濃い瘴気が包み、腕と鮫の胴体が繋がっている巨大な合成獣のような龍へと姿を変えた。
ユウ
「グリムになっただけじゃなくて、合体した!?
どういうことなの!?」
カイル
「初めてのパターンですが……引き下がれません!
ここで食い止めましょう!」
ユリ
「任せておいて!
どーんと追い返しちゃおう!」
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巨大なグリムの猛攻に防戦一方となりつつあった暁の賢者たちは焦りを覚えていた。
カイル
「ぐっ!? 抑えきれない!」
絶対的に有利な立場にたっていたグリムの瘴気が唐突に薄れ、巨大な龍は元のエボルグリム2人へと姿を変える。
ユリ
「元に戻った!? なんで!?」
グリム・ユリ
「……ッ!?カイル……ッ!?」
グリム・カイル
「貴様の力などいらぬ!
ふははっ!トドメは我がもらったぞっ!」
グリム・ユリ
「勝手なことを……ッ!」
グリム・カイル
「これで終わりだ!」
勝利を確信したグリム・カイルが強大な魔法をカイルに向けて放った。
放たれた魔法が到達するよりも先に、リックが張ったバリアによってその攻撃はかき消される。
リック
「油断したな。
単体ならば、対処はできる!」
カイル
「ありがとうございます!助かりました!」
グリム・カイル
「くっ……ならばもう一度……」
グリム・ユリ
「止めた方がいい」
グリム・カイル
「我の邪魔をする気か!?」
グリム・ユリ
「私たちも消耗しているわ。このままでは目的を果たせない。
無様な姿を晒す気?」
グリム・カイル
「……ちぃッ!覚えておくんだな、小物ども!」
カイル
「小物らしい台詞をどうも」
グリム・カイル
「首を洗って待っていろ!次は我の力の前に跪かせてやる!
絶望を抱くがいいわ! ハハハッ!」
グリム・ユリ
「次は、倒します」
消耗の激しい暁の賢者たちは、エボルグリムたちが立ち去るのを何も出来ずに見送る。
ユウ
「あそこで人型に戻ってくれなかったら、危なかったかもね……」
リック
「自信過剰の相手で助かった。
あれがカイルとはな……」
カイル
「似ても似つかないですね……。
まぁ、ユリさんの方もですが」
ユリ
「こっちこそ、次は倒してあげるからー!」
ユリが彼らが消えた先へと叫ぶように言い返した。
ユウ
「確かに、こんなに元気じゃないね」
リック
「ふっ。
ああ、そうかもしれないな」
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カイル
「ぐっ!? 抑えきれない!」
絶対的に有利な立場にたっていたグリムの瘴気が唐突に薄れ、巨大な龍は元のエボルグリム2人へと姿を変える。
ユリ
「元に戻った!? なんで!?」
グリム・ユリ
「……ッ!?カイル……ッ!?」
グリム・カイル
「貴様の力などいらぬ!
ふははっ!トドメは我がもらったぞっ!」
グリム・ユリ
「勝手なことを……ッ!」
グリム・カイル
「これで終わりだ!」
勝利を確信したグリム・カイルが強大な魔法をカイルに向けて放った。
放たれた魔法が到達するよりも先に、リックが張ったバリアによってその攻撃はかき消される。
リック
「油断したな。
単体ならば、対処はできる!」
カイル
「ありがとうございます!助かりました!」
グリム・カイル
「くっ……ならばもう一度……」
グリム・ユリ
「止めた方がいい」
グリム・カイル
「我の邪魔をする気か!?」
グリム・ユリ
「私たちも消耗しているわ。このままでは目的を果たせない。
無様な姿を晒す気?」
グリム・カイル
「……ちぃッ!覚えておくんだな、小物ども!」
カイル
「小物らしい台詞をどうも」
グリム・カイル
「首を洗って待っていろ!次は我の力の前に跪かせてやる!
絶望を抱くがいいわ! ハハハッ!」
グリム・ユリ
「次は、倒します」
消耗の激しい暁の賢者たちは、エボルグリムたちが立ち去るのを何も出来ずに見送る。
ユウ
「あそこで人型に戻ってくれなかったら、危なかったかもね……」
リック
「自信過剰の相手で助かった。
あれがカイルとはな……」
カイル
「似ても似つかないですね……。
まぁ、ユリさんの方もですが」
ユリ
「こっちこそ、次は倒してあげるからー!」
ユリが彼らが消えた先へと叫ぶように言い返した。
ユウ
「確かに、こんなに元気じゃないね」
リック
「ふっ。
ああ、そうかもしれないな」
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ニャーゴヤにてグリム・アイコたちが去った後、合体グリムの対策にレオンたちは頭を悩ませる。
レオン
「しっかし、クサビを壊すにしたって、あの合体グリムを倒さないといけないわけだろ?」
マヤ
「そうね……
でも、私たち三人だけじゃ……」
アイコ
「向こうが合体するなら、こっちも合体技とかどうどう?」
レオン
「合体技か……いいんじゃねぇかそれ!」
マヤ
「いや、良くないから。
こういうときってどうしたら……」
アイコ
「何言ってるの、マヤちん。
簡単でしょ? 仲間は増やせばいいんだよ!」
マヤ
「え? どういうこと?」
その頃、クサビ前では幸せそうな表情をしたグリム・アイコが座り込んで約束のパフェを食べていた。
グリム・アイコ
「はむはむ……はむはむ……ん〜♪」
グリム・マヤ
「なんだい、締まりのない顔して」
グリム・アイコ
「あま〜いよ?マヤちんも食べる?」
グリム・マヤ
「あ、あたしは……ん……ひとくち」
グリム・アイコ
「じゃあ特別にあげよう。あ〜ん」
グリム・マヤ
「あ〜……はむ」
グリム・アイコ
「……ぷぷ」
グリム・マヤ
「ななな、なんだ!?」
グリム・アイコ
「マヤちん、クリームつけてカッコわる〜」
グリム・マヤ
「うるさいッ!
……ったく、これだから面倒なんだよ」
エボルグリムたちがのんきなやり取りを行っていた頃、アイコたちのもとに救助連絡を受けた仲間が姿を現した。
アイコ
「よし、きたきたきたー!救援成功!」
ヴァニィ
「突然の連絡で驚きましたが、びゅんと飛んできましたよ!」
セリオス
「ちょうど転移のマジックアイテムを試作していたのが幸いしたな。
手を貸そう」
レオン
「ヴァニィにセリオス!?すっげぇ、新しい魔法か!?」
セリオス
「ああ、グリモワールの位置を座標指定し、そこへ高速で移動する魔法が込められている」
マヤ
「一瞬でトーキョーから来たってこと!?これからは移動が楽になりそうね」
ヴァニィ
「画期的な魔法なのですが、なにぶん使用魔力が膨大過ぎまして!
みなさんのご協力をいただき、私たち二人が代表で参りました!」
セリオス
「そういうわけだ。
残念ながらこれ以上の救援は期待するな」
アイコ
「だいじょーぶ!
二人も増えたら百人力……いや、二百人力だよ!」
マヤ
「またおかしなことを……ふふっ、でもアイコらしいわ」
アイコ
「でしょでしょー。よーし、絶対勝つよ!」
ヴァニィ
「はいっ! スクープを取りましょう!」
救援に訪れたヴァニィたちを引き連れて、アイコたちはクサビ前へと乗り込む。
アイコ
「たのもー!!」
グリム・アイコ
「あ、さっきのめんどい人たち……」
グリム・マヤ
「ほう、あたしたちに喧嘩売ろうってわけかい」
レオン
「ああ! 今度は負けないぜ!」
グリム・マヤ
「威勢だけのヤツは黙ってな!
行くよ、アイコ!」
グリム・アイコ
「えー、さっきご褒美貰ったし……アフターサービス嫌なんだけど」
威勢良く立ち上がったグリム・マヤは、乗り気でないグリム・アイコの言動に気勢をそがれ前のめりになった。
緊迫感の欠片もないグリム・アイコのこめかみにグリム・マヤが拳を宛がう。
グリム・マヤ
「アーイーコー!!」
グリム・アイコ
「わかった……!
わかったからグリグリしないでぇ……」
セリオス
「なんとも気の抜ける連中だな……。
とはいえ、油断も容赦も一切しないが」
しぶしぶ了承したグリム・アイコと、彼女を説得したグリム・マヤは濃い瘴気を纏って巨大な一体のグリムへと変貌した。
ヴァニィ
「おーッと、これが噂の合体変身!凸凹タッグは臨戦態勢だ!!」
みなさん、準備はよろしいでしょうか!?バトルスタートです!」
マヤ
「実況してる場合じゃないから!」
▲BACK TO TOP
レオン
「しっかし、クサビを壊すにしたって、あの合体グリムを倒さないといけないわけだろ?」
マヤ
「そうね……
でも、私たち三人だけじゃ……」
アイコ
「向こうが合体するなら、こっちも合体技とかどうどう?」
レオン
「合体技か……いいんじゃねぇかそれ!」
マヤ
「いや、良くないから。
こういうときってどうしたら……」
アイコ
「何言ってるの、マヤちん。
簡単でしょ? 仲間は増やせばいいんだよ!」
マヤ
「え? どういうこと?」
その頃、クサビ前では幸せそうな表情をしたグリム・アイコが座り込んで約束のパフェを食べていた。
グリム・アイコ
「はむはむ……はむはむ……ん〜♪」
グリム・マヤ
「なんだい、締まりのない顔して」
グリム・アイコ
「あま〜いよ?マヤちんも食べる?」
グリム・マヤ
「あ、あたしは……ん……ひとくち」
グリム・アイコ
「じゃあ特別にあげよう。あ〜ん」
グリム・マヤ
「あ〜……はむ」
グリム・アイコ
「……ぷぷ」
グリム・マヤ
「ななな、なんだ!?」
グリム・アイコ
「マヤちん、クリームつけてカッコわる〜」
グリム・マヤ
「うるさいッ!
……ったく、これだから面倒なんだよ」
エボルグリムたちがのんきなやり取りを行っていた頃、アイコたちのもとに救助連絡を受けた仲間が姿を現した。
アイコ
「よし、きたきたきたー!救援成功!」
ヴァニィ
「突然の連絡で驚きましたが、びゅんと飛んできましたよ!」
セリオス
「ちょうど転移のマジックアイテムを試作していたのが幸いしたな。
手を貸そう」
レオン
「ヴァニィにセリオス!?すっげぇ、新しい魔法か!?」
セリオス
「ああ、グリモワールの位置を座標指定し、そこへ高速で移動する魔法が込められている」
マヤ
「一瞬でトーキョーから来たってこと!?これからは移動が楽になりそうね」
ヴァニィ
「画期的な魔法なのですが、なにぶん使用魔力が膨大過ぎまして!
みなさんのご協力をいただき、私たち二人が代表で参りました!」
セリオス
「そういうわけだ。
残念ながらこれ以上の救援は期待するな」
アイコ
「だいじょーぶ!
二人も増えたら百人力……いや、二百人力だよ!」
マヤ
「またおかしなことを……ふふっ、でもアイコらしいわ」
アイコ
「でしょでしょー。よーし、絶対勝つよ!」
ヴァニィ
「はいっ! スクープを取りましょう!」
救援に訪れたヴァニィたちを引き連れて、アイコたちはクサビ前へと乗り込む。
アイコ
「たのもー!!」
グリム・アイコ
「あ、さっきのめんどい人たち……」
グリム・マヤ
「ほう、あたしたちに喧嘩売ろうってわけかい」
レオン
「ああ! 今度は負けないぜ!」
グリム・マヤ
「威勢だけのヤツは黙ってな!
行くよ、アイコ!」
グリム・アイコ
「えー、さっきご褒美貰ったし……アフターサービス嫌なんだけど」
威勢良く立ち上がったグリム・マヤは、乗り気でないグリム・アイコの言動に気勢をそがれ前のめりになった。
緊迫感の欠片もないグリム・アイコのこめかみにグリム・マヤが拳を宛がう。
グリム・マヤ
「アーイーコー!!」
グリム・アイコ
「わかった……!
わかったからグリグリしないでぇ……」
セリオス
「なんとも気の抜ける連中だな……。
とはいえ、油断も容赦も一切しないが」
しぶしぶ了承したグリム・アイコと、彼女を説得したグリム・マヤは濃い瘴気を纏って巨大な一体のグリムへと変貌した。
ヴァニィ
「おーッと、これが噂の合体変身!凸凹タッグは臨戦態勢だ!!」
みなさん、準備はよろしいでしょうか!?バトルスタートです!」
マヤ
「実況してる場合じゃないから!」
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セリオス
「レオン、いけるか!」
レオン
「ああ、まだまだ余裕だぜ!」
レオンとセリオスがほぼ同時に放った魔法が巨大グリムに着弾する。
アイコ
「いっくよー、マヤちん!」
マヤ
「ええ、任せて!」
先の二人と同様に放ったアイコとマヤの魔法は、的確に目標へとダメージを与えた。
巨大なグリムはその姿を維持出来なくなり、再び人間態へとその姿を変えた。
グリム・マヤ
「や、やるじゃねぇか……」
グリム・アイコ
「きゅう〜…………」
ヴァニィ
「アイコさん、マヤさん!封印のチャンスですよ!」
アイコ
「よーし! やっちゃおう!」
マヤ
「ええ、やってみせる!みんなだってできたんだから!」
グリム・マヤ
「あたしは……アイコを……守らないと……」
マヤ
「ごめんなさい。
でも私もアイコを守りたいの!」
グリム・マヤ
「ああ……あたしはおま――」
マヤの掲げたグリモワールから光が溢れてグリム・マヤを包み込むように捕えた。
光の消失と共に彼女の姿はグリモワールの中へと消える。
その直後、アイコたちの近くに電撃が走った。
アイコ
「わわわっ!? なになに!?」
グリム・レオン
「ハッ! なんだ、簡単に負けやがって」
グリム・アイコ
「レオン……遅いよ……。
うぅ……マヤちん……」
グリム・レオン
「てめえらの都合など知ったこっちゃねぇ。
他人に頼った時点で負けてんだよ、雑魚が」
レオン
「お前、アラクラヤマの俺の偽者野郎!」
グリム・レオン
「ハハハハハ!
誰かと思えばオレの前から逃げた臆病者か!」
レオン
「なんだと!?今ならお前なんかに――」
セリオス
「――やめろレオン!
相手は万全の状態だぞ!」
グリム・レオン
「ハッ! 戦う気がねぇならそこで見てろ!
ほらアイコ、さっさとどっかいっちまえ」
グリム・アイコ
「……やだ」
グリム・レオン
「あ?お前、正気か?」
グリム・アイコ
「あたし……マヤちんと一緒の方が楽しいし。
一人で戻ってもつまんないし」
グリム・アイコからの予期せぬ返答に、グリム・レオンは苛立ち紛れに誰にともなく電撃魔法を放つ。
グリム・レオン
「なんだよ……つまらねぇ……。
つまらねぇつまらねぇつまらねぇ!!」
グリム・アイコ
「ごめんね、レオン……ありがと」
グリム・レオン
「知るか……勝手にしろ」
現れた時同様にグリム・レオンは忽然とその姿を消した。
レオン
「あいつ、行っちまった……」
グリム・アイコ
「ねぇ、あたしもそっちに行かせてよ」
アイコ
「え? ええ? いいの?」
グリム・アイコ
「えっとさー……友達とは、一緒がいいじゃん?」
グリム・アイコは口角を上げて笑う。
アイコ
「それ、わかるかも。
あたしたち、意外と友達になれそうじゃん?」
グリム・アイコ
「……ないない、めんどいし。……早くして」
アイコ
「……うん、わかった!」
アイコの掲げたグリモワールから溢れ出る光の中へとグリム・アイコは姿を投じて消えた。
マヤ
「これで、ちゃんと封印できたのよね」
セリオス
「ああ、問題ないだろう。
あとはクサビを破壊すれば任務完了だな」
アイコ
「……この子たちってさ、そんなに悪い子なのかな?」
セリオス
「エボルグリムは人と変わらない自我を持っている。
だからこそ、その可能性はないとはいえない」
アイコ
「えっと、難しいことはあんまりわかんないけどさ、
友達になれるかもしれないよ?」
マヤ
「アイコが言うなら、そうなのかもね」
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「レオン、いけるか!」
レオン
「ああ、まだまだ余裕だぜ!」
レオンとセリオスがほぼ同時に放った魔法が巨大グリムに着弾する。
アイコ
「いっくよー、マヤちん!」
マヤ
「ええ、任せて!」
先の二人と同様に放ったアイコとマヤの魔法は、的確に目標へとダメージを与えた。
巨大なグリムはその姿を維持出来なくなり、再び人間態へとその姿を変えた。
グリム・マヤ
「や、やるじゃねぇか……」
グリム・アイコ
「きゅう〜…………」
ヴァニィ
「アイコさん、マヤさん!封印のチャンスですよ!」
アイコ
「よーし! やっちゃおう!」
マヤ
「ええ、やってみせる!みんなだってできたんだから!」
グリム・マヤ
「あたしは……アイコを……守らないと……」
マヤ
「ごめんなさい。
でも私もアイコを守りたいの!」
グリム・マヤ
「ああ……あたしはおま――」
マヤの掲げたグリモワールから光が溢れてグリム・マヤを包み込むように捕えた。
光の消失と共に彼女の姿はグリモワールの中へと消える。
その直後、アイコたちの近くに電撃が走った。
アイコ
「わわわっ!? なになに!?」
グリム・レオン
「ハッ! なんだ、簡単に負けやがって」
グリム・アイコ
「レオン……遅いよ……。
うぅ……マヤちん……」
グリム・レオン
「てめえらの都合など知ったこっちゃねぇ。
他人に頼った時点で負けてんだよ、雑魚が」
レオン
「お前、アラクラヤマの俺の偽者野郎!」
グリム・レオン
「ハハハハハ!
誰かと思えばオレの前から逃げた臆病者か!」
レオン
「なんだと!?今ならお前なんかに――」
セリオス
「――やめろレオン!
相手は万全の状態だぞ!」
グリム・レオン
「ハッ! 戦う気がねぇならそこで見てろ!
ほらアイコ、さっさとどっかいっちまえ」
グリム・アイコ
「……やだ」
グリム・レオン
「あ?お前、正気か?」
グリム・アイコ
「あたし……マヤちんと一緒の方が楽しいし。
一人で戻ってもつまんないし」
グリム・アイコからの予期せぬ返答に、グリム・レオンは苛立ち紛れに誰にともなく電撃魔法を放つ。
グリム・レオン
「なんだよ……つまらねぇ……。
つまらねぇつまらねぇつまらねぇ!!」
グリム・アイコ
「ごめんね、レオン……ありがと」
グリム・レオン
「知るか……勝手にしろ」
現れた時同様にグリム・レオンは忽然とその姿を消した。
レオン
「あいつ、行っちまった……」
グリム・アイコ
「ねぇ、あたしもそっちに行かせてよ」
アイコ
「え? ええ? いいの?」
グリム・アイコ
「えっとさー……友達とは、一緒がいいじゃん?」
グリム・アイコは口角を上げて笑う。
アイコ
「それ、わかるかも。
あたしたち、意外と友達になれそうじゃん?」
グリム・アイコ
「……ないない、めんどいし。……早くして」
アイコ
「……うん、わかった!」
アイコの掲げたグリモワールから溢れ出る光の中へとグリム・アイコは姿を投じて消えた。
マヤ
「これで、ちゃんと封印できたのよね」
セリオス
「ああ、問題ないだろう。
あとはクサビを破壊すれば任務完了だな」
アイコ
「……この子たちってさ、そんなに悪い子なのかな?」
セリオス
「エボルグリムは人と変わらない自我を持っている。
だからこそ、その可能性はないとはいえない」
アイコ
「えっと、難しいことはあんまりわかんないけどさ、
友達になれるかもしれないよ?」
マヤ
「アイコが言うなら、そうなのかもね」
▲BACK TO TOP
〜不可思議な空間〜
エボルグリムたちが集う不可思議な空間で、グリム・ルキアは辺りを見渡した。
グリム・ルキア
「だんだんと顔ぶれも減ってきたね」
グリム・ユリ
「……それだけの数が倒されたということ」
グリム・シャロン
「………………ッ…………」
グリム・セリオス
「クク……あまりにも貧弱ッ!
力が足りぬものは生まれた価値すらないッ!」
グリム・カイル
「クサビの強大な瘴気がある我らに比べればオリジナルなど取るに足らぬ。
そうだろう?」
グリム・レオン
「さぁてな。そのクサビがあっても負けたヤツもいるじゃねぇか。
まぁ、オレは楽しい戦いができりゃ、それでいい」
グリム・ルキア
「まったく、まとまりのないやつらだよ……。
ところでミューのヤツは一人で行っちまったのかい?」
グリム・マラリヤ
「多分……そうだと思います……。
ずいぶん楽しそうでしたけど」
グリム・ルキア
「お役目もあの子にとっちゃ遊びみたいなもんか。
とはいえ……なんだか嫌な予感がするねぇ」
クサビの情報を元にセリオスたちはオキナーを訪れていた。
〜オキナー〜
セリオス
「それにしても日差しが強いな……」
ミュー
「ここは最南端ですから、そういう気候なのです」
クララ
「なんだか、溶けちゃいそうかも……」
ハルト
「ふん、灼熱の太陽など我が獄炎には、まったくの無力……」
クララ
「……って言いつつ、汗拭いてるよね」
ハルト
「う、うるさい……っ!」
セリオス
「こんな暑い場所にクサビがあるとはな……考えたものだ」
ハルト
「ふっ、我らの体力を削る目的か……浅はかなり!」
クララ
「……それで、クサビはどこにあるのかな?」
セリオス
「海の近くで水着の幽霊が現れるらしい。
だが、おそらくは……」
ミュー
「それがグリム、ですね」
セリオス
「ああ。まだ被害は出ていないようだが、早めに片付けた方がいいだろう」
クララ
「うん……何があるかわからないもんね」
黒い影のような物が音もなく横切るのを見やって、ミューが足を止めた。
ミュー
「幽霊さん……ですか?」
クララ
「どうしたの、ミューちゃん?」
ミュー
「今、なにかが向こうを通ったです」
ハルト
「貴様の魔力の暴走……というわけではないのか?」
ミュー
「ぶんぶん。違うのです」
セリオス
「ならばグリムの仕業か?どっちにいった?」
ミュー
「……あっちです」
クララ
「うん、行ってみよう」
影を追いかけた先にはクサビがあり、その下ではミューに似た女の子が楽しそうにはしゃいでいた。
女の子
「あっはっはー! たーのしーいのだー!」
ミュー
「さっきのは……あれなのです」
女の子
「んー? みゅうにちょうせんしゃかー?」
ハルト
「なるほど……あの見た目、ミューのエボルグリムということだな。
ふっ、他愛もない」
クララ
「そんなこと言って、油断しちゃダメだよ。
すごい力を持ってるかも……」
グリム・ミュー
「おー! よくわかったなー!
みゅうはどんなあいてもばばーんって、ぶっとばしちゃうのだー!!」
セリオス
「こちらのミューとはまるで違うようだな」
クララ
「でも、可愛らしいところはそっくり」
ミュー
「む……似てないのです」
グリム・ミュー
「あーだこーだいってないで、しょうぶ、はじめよー!!」
「ぐーるぐーるどーん!!」
無邪気な歓声を上げて、少女は巨大なイルカへとその姿を変えた。
グリム・ミュー
「さー、みゅうについてくるのだー!」
▲BACK TO TOP
エボルグリムたちが集う不可思議な空間で、グリム・ルキアは辺りを見渡した。
グリム・ルキア
「だんだんと顔ぶれも減ってきたね」
グリム・ユリ
「……それだけの数が倒されたということ」
グリム・シャロン
「………………ッ…………」
グリム・セリオス
「クク……あまりにも貧弱ッ!
力が足りぬものは生まれた価値すらないッ!」
グリム・カイル
「クサビの強大な瘴気がある我らに比べればオリジナルなど取るに足らぬ。
そうだろう?」
グリム・レオン
「さぁてな。そのクサビがあっても負けたヤツもいるじゃねぇか。
まぁ、オレは楽しい戦いができりゃ、それでいい」
グリム・ルキア
「まったく、まとまりのないやつらだよ……。
ところでミューのヤツは一人で行っちまったのかい?」
グリム・マラリヤ
「多分……そうだと思います……。
ずいぶん楽しそうでしたけど」
グリム・ルキア
「お役目もあの子にとっちゃ遊びみたいなもんか。
とはいえ……なんだか嫌な予感がするねぇ」
クサビの情報を元にセリオスたちはオキナーを訪れていた。
〜オキナー〜
セリオス
「それにしても日差しが強いな……」
ミュー
「ここは最南端ですから、そういう気候なのです」
クララ
「なんだか、溶けちゃいそうかも……」
ハルト
「ふん、灼熱の太陽など我が獄炎には、まったくの無力……」
クララ
「……って言いつつ、汗拭いてるよね」
ハルト
「う、うるさい……っ!」
セリオス
「こんな暑い場所にクサビがあるとはな……考えたものだ」
ハルト
「ふっ、我らの体力を削る目的か……浅はかなり!」
クララ
「……それで、クサビはどこにあるのかな?」
セリオス
「海の近くで水着の幽霊が現れるらしい。
だが、おそらくは……」
ミュー
「それがグリム、ですね」
セリオス
「ああ。まだ被害は出ていないようだが、早めに片付けた方がいいだろう」
クララ
「うん……何があるかわからないもんね」
黒い影のような物が音もなく横切るのを見やって、ミューが足を止めた。
ミュー
「幽霊さん……ですか?」
クララ
「どうしたの、ミューちゃん?」
ミュー
「今、なにかが向こうを通ったです」
ハルト
「貴様の魔力の暴走……というわけではないのか?」
ミュー
「ぶんぶん。違うのです」
セリオス
「ならばグリムの仕業か?どっちにいった?」
ミュー
「……あっちです」
クララ
「うん、行ってみよう」
影を追いかけた先にはクサビがあり、その下ではミューに似た女の子が楽しそうにはしゃいでいた。
女の子
「あっはっはー! たーのしーいのだー!」
ミュー
「さっきのは……あれなのです」
女の子
「んー? みゅうにちょうせんしゃかー?」
ハルト
「なるほど……あの見た目、ミューのエボルグリムということだな。
ふっ、他愛もない」
クララ
「そんなこと言って、油断しちゃダメだよ。
すごい力を持ってるかも……」
グリム・ミュー
「おー! よくわかったなー!
みゅうはどんなあいてもばばーんって、ぶっとばしちゃうのだー!!」
セリオス
「こちらのミューとはまるで違うようだな」
クララ
「でも、可愛らしいところはそっくり」
ミュー
「む……似てないのです」
グリム・ミュー
「あーだこーだいってないで、しょうぶ、はじめよー!!」
「ぐーるぐーるどーん!!」
無邪気な歓声を上げて、少女は巨大なイルカへとその姿を変えた。
グリム・ミュー
「さー、みゅうについてくるのだー!」
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ハルト
「……ぐぅ!?
なんという強大なパワー……!」
グリム・ミュー
「よーし! それじゃ、そろそろおともだちをしょうかいするねー!!」
人間態に戻ったグリム・ミューの周りに明確な姿を持たないぼんやりとした影のような何かが現れる。
セリオス
「なんだあれは……グリム、なのか?」
クララ
「もしかして、魔力が暴走しているの?」
ミュー
「はい……あれは幻覚みたいなものです」
ハルト
「なるほど、同質のものか。
ならばミュー、あれに対抗できるのは貴様しかおるまい!」
ミュー
「……やってみるのです」
ミューの周りにもグリム・ミューが召喚した影に似たものが現れた。
グリム・ミュー
「おおー! すごーい!!
あなたがみゅうのおりじなる!?」
ミュー
「……おりじなる?どうなんでしょう?」
グリム・ミュー
「『あのおかた』からきいたもん!
ばーんとたおさないとだめなんだよ!」
ミュー
「……わたしたちも同じです。あなたたちを倒さないと」
グリム・ミュー
「よーし、それじゃどんどんだしちゃおー!!
えいえーい!!」
ミュー
「……えいえい」
グリム・ミュー
「どんどーん!」
ミュー
「……どんどん」
掛け声をあげる度に何と断定できない形容しがたい何かが周囲に生まれ、ゆらり舞い踊る。
その光景にミュー似の少女は目を輝かせて飛び跳ねた。
グリム・ミュー
「すっごーーい!!」
ミュー
「……同じことをしてるだけです」
ハルト
「ふん、二人のミューが生み出した怪物たちが、共に踊り狂う……まさに百鬼夜行だな」
セリオス
「よし、ミューが注意を引いている今のうちに、僕はクサビを破壊する。
クララ、ハルト、ミューを頼む」
クララ
「う、うん! わかった!
……って、どうすればいいの?」
ハルト
「ハッ、この我に任せておけ!
あの百鬼夜行、我の力で従えてみせよう!」
クララ
「ええと、本気なの?」
ハルト
「そうだな……
とりあえずは、見守るしかない」
クララ
「えぇ〜……」
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「……ぐぅ!?
なんという強大なパワー……!」
グリム・ミュー
「よーし! それじゃ、そろそろおともだちをしょうかいするねー!!」
人間態に戻ったグリム・ミューの周りに明確な姿を持たないぼんやりとした影のような何かが現れる。
セリオス
「なんだあれは……グリム、なのか?」
クララ
「もしかして、魔力が暴走しているの?」
ミュー
「はい……あれは幻覚みたいなものです」
ハルト
「なるほど、同質のものか。
ならばミュー、あれに対抗できるのは貴様しかおるまい!」
ミュー
「……やってみるのです」
ミューの周りにもグリム・ミューが召喚した影に似たものが現れた。
グリム・ミュー
「おおー! すごーい!!
あなたがみゅうのおりじなる!?」
ミュー
「……おりじなる?どうなんでしょう?」
グリム・ミュー
「『あのおかた』からきいたもん!
ばーんとたおさないとだめなんだよ!」
ミュー
「……わたしたちも同じです。あなたたちを倒さないと」
グリム・ミュー
「よーし、それじゃどんどんだしちゃおー!!
えいえーい!!」
ミュー
「……えいえい」
グリム・ミュー
「どんどーん!」
ミュー
「……どんどん」
掛け声をあげる度に何と断定できない形容しがたい何かが周囲に生まれ、ゆらり舞い踊る。
その光景にミュー似の少女は目を輝かせて飛び跳ねた。
グリム・ミュー
「すっごーーい!!」
ミュー
「……同じことをしてるだけです」
ハルト
「ふん、二人のミューが生み出した怪物たちが、共に踊り狂う……まさに百鬼夜行だな」
セリオス
「よし、ミューが注意を引いている今のうちに、僕はクサビを破壊する。
クララ、ハルト、ミューを頼む」
クララ
「う、うん! わかった!
……って、どうすればいいの?」
ハルト
「ハッ、この我に任せておけ!
あの百鬼夜行、我の力で従えてみせよう!」
クララ
「ええと、本気なの?」
ハルト
「そうだな……
とりあえずは、見守るしかない」
クララ
「えぇ〜……」
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グリム・ユリたちとの邂逅から数日後、オーダイヴァにて調査を行うユリたちの元へと覚えのある気配が近づいてきていた。
ユリ
「ねぇカイル、本当にこの前のわたしのグリム、来るんだよね?」
カイル
「ええ、この前と同じ反応が近づいてきているようです。
間違いないでしょう」
ユリ
「よーし、今度こそたお――」
カイル
「ユリさん! 上から来ます!」
ラスク
「おわ! 危ないって!」
意気込むユリの近くへと空からグリム・カイルとグリム・ユリが降ってくる。
慌てて飛び退くラスクたちの前に二人は大きな音を立てて着地した。
グリム・カイル
「ふん! 今度こそ我が
貴様らを地獄に葬ってやろう」
グリム・ユリ
「……必ずあなたたちを倒して帰ります」
シャロン
「なるほど。苦戦したのも頷けます。
この溢れ出る力……強敵ですわ」
ユリ
「よーし、今度こそ
がっつり一撃入れてやるから!」
シャロン
「どうしてそう猪突猛進なんですの……。
あちらのユリさんをもう少し見習っては……」
ユリ
「がーん!
あたしってグリムよりダメ……」
ラスク
「あー、そうかもね……」
ユリ
「う……」
カイル
「ちょ、ラスクくん!?」
ラスク
「いや、悪気はなかったんだよ」
グリム・カイル
「ぐ、ぐぐぐぐ……
貴様ら、やる気はあるのか!?」
グリム・ユリ
「…………ぷっ」
ユリ
「あれ……?」
シャロン
「エボルグリムが、笑いましたの?」
グリム・ユリ
「――っ!?
……行きますよ、カイル!」
グリム・カイル
「前回のことは我の責任だ。
ならば、ひとつになりて最期まで相手をしよう!」
グリム・ユリ
「……少々驚きました。
あなたが自分から私の手を借りるなどと」
グリム・カイル
「ふん……勝利のために最も適した手段を選んだまでだ」
グリム・ユリ
「……そうですか」
「では、全力で――参ります!」
濃い瘴気に包まれた二人は、一体の巨大なグリムへと姿を変えた。
ラスク
「あれ、話に聞いてたより強そうじゃない?」
カイル
「前回はエボルグリムたちの意思が通っていませんでした。
だが、あの様子だと……」
シャロン
「ええ、恐らく比べ物にならないでしょうね」
ユリ
「いいじゃん!
あたし、真正面から戦うよ!」
ラスク
「どうせそれしかないし、ユリに賛成」
カイル
「ええ。
もうひとりの自分のような敵を相手に、
逃げ出すわけにはいきませんからね」
シャロン
「では行きますわよ、みなさん!
ユリさん、先陣は任せます!」
ユリ
「うんっ! 任された!」
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ユリ
「ねぇカイル、本当にこの前のわたしのグリム、来るんだよね?」
カイル
「ええ、この前と同じ反応が近づいてきているようです。
間違いないでしょう」
ユリ
「よーし、今度こそたお――」
カイル
「ユリさん! 上から来ます!」
ラスク
「おわ! 危ないって!」
意気込むユリの近くへと空からグリム・カイルとグリム・ユリが降ってくる。
慌てて飛び退くラスクたちの前に二人は大きな音を立てて着地した。
グリム・カイル
「ふん! 今度こそ我が
貴様らを地獄に葬ってやろう」
グリム・ユリ
「……必ずあなたたちを倒して帰ります」
シャロン
「なるほど。苦戦したのも頷けます。
この溢れ出る力……強敵ですわ」
ユリ
「よーし、今度こそ
がっつり一撃入れてやるから!」
シャロン
「どうしてそう猪突猛進なんですの……。
あちらのユリさんをもう少し見習っては……」
ユリ
「がーん!
あたしってグリムよりダメ……」
ラスク
「あー、そうかもね……」
ユリ
「う……」
カイル
「ちょ、ラスクくん!?」
ラスク
「いや、悪気はなかったんだよ」
グリム・カイル
「ぐ、ぐぐぐぐ……
貴様ら、やる気はあるのか!?」
グリム・ユリ
「…………ぷっ」
ユリ
「あれ……?」
シャロン
「エボルグリムが、笑いましたの?」
グリム・ユリ
「――っ!?
……行きますよ、カイル!」
グリム・カイル
「前回のことは我の責任だ。
ならば、ひとつになりて最期まで相手をしよう!」
グリム・ユリ
「……少々驚きました。
あなたが自分から私の手を借りるなどと」
グリム・カイル
「ふん……勝利のために最も適した手段を選んだまでだ」
グリム・ユリ
「……そうですか」
「では、全力で――参ります!」
濃い瘴気に包まれた二人は、一体の巨大なグリムへと姿を変えた。
ラスク
「あれ、話に聞いてたより強そうじゃない?」
カイル
「前回はエボルグリムたちの意思が通っていませんでした。
だが、あの様子だと……」
シャロン
「ええ、恐らく比べ物にならないでしょうね」
ユリ
「いいじゃん!
あたし、真正面から戦うよ!」
ラスク
「どうせそれしかないし、ユリに賛成」
カイル
「ええ。
もうひとりの自分のような敵を相手に、
逃げ出すわけにはいきませんからね」
シャロン
「では行きますわよ、みなさん!
ユリさん、先陣は任せます!」
ユリ
「うんっ! 任された!」
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ユリ
「よーし、ここだあっ!」
ユリの渾身の一撃がグリムを撃つ。
大きな光が巨大なグリムを覆い、光が収まる頃には二人のグリムは人間態に戻っていた。
シャロン
「グリム化が解けましたわ!
ユリさん、一度下がって!」
ユリ
「へ? ――きゃあ!?」
グリム・ユリ
「はぁはぁ……
捕まえ、ました」
ラスク
「しまった!? ユリっ!!」
グリム・ユリ
「こうなれば、あの御方の
障害になるあなたたちを……
ひとりでも倒すしか道はない」
ユリ
「う、動けない……」
グリム・ユリ
「はぁ、はぁ……
カイル、今です!」
グリム・カイル
「我の最期の力、全てぶつけさせてもらう!」
グリム・カイルの両手の上で雷の塊のような大きな魔法弾が二つパチパチと弾ける。
シャロン
「ここからでは間に合わない……っ!
カイルさん! 封印を!」
カイル
「やっています!
く……間に合ってください!」
ラスク
「ダメだ、このままじゃ!?」
グリム・ユリ
「これで、お役に――」
グリム・カイルの魔法弾が放たれるには十分過ぎる時を経て、カイルのグリモワールから溢れ出た光がグリム・カイルを捉えた。
ユリ
「あ……あれ?」
グリム・ユリ
「な……どう、して……?」
グリム・カイル
「……我も、まだまだ甘かった……
そういうことだな……」
ラスク
「封印が間に合ったんだ!」
シャロン
「いえ、恐らく……」
カイル
「攻撃を、しなかったんですね」
グリム・カイル
「は、はは! はっはっはっは!!
我も焼きが回ったようだ……
こんな場所で志半ばに消えるとはな」
グリム・ユリ
「あなたは……
私を疎ましく思っていたのでは……」
グリム・カイル
「無論だ。
だが……似た顔に
影響を受けたのかもしれん」
カイル
「……………………」
グリム・カイル
「聞け、我の原物たる魔法使いよ。
我はこれよりお前の中に巣食うのみ。
いつかその体を食い破ってくれようぞ」
尊大な態度を崩さぬまま、グリム・カイルはグリモワールへと封じられる。
カイル
「封印、完了しました」
ラスク
「ユリ、そっちも封印して!」
ユリ
「うん、わかった!」
グリム・ユリ
「無様だな……私は……」
ユリ
「どうして?」
グリム・ユリ
「どう、して……?
戦いに敗れた私は、
ただただ愚かなだけだろう」
ユリ
「違うよ、こういうときは――」
グリム・ユリ
「……?」
ユリ
「――ナイスファイト! っていうんだよ」
グリム・ユリ
「なるほど……覚えておこう」
ユリのグリモワールからグリム・ユリを包み込むように溢れた光が彼女を呑み込み封じた。
カイル
「彼らは本当にただのグリムなのでしょうか」
ユリ
「どういう意味?」
シャロン
「エボルグリムたちは、
可能性なのかもしれません」
「わたくしたちには、
あんな未来があったのかも……」
ユリ
「どうかな?
あたしはあたしじゃない?」
ユリの明快な答えにカイルは笑う。
カイル
「なるほど。ユリさんらしいですね」
ユリ
「えへへ、あんまり難しく考えないで行こう!」
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「よーし、ここだあっ!」
ユリの渾身の一撃がグリムを撃つ。
大きな光が巨大なグリムを覆い、光が収まる頃には二人のグリムは人間態に戻っていた。
シャロン
「グリム化が解けましたわ!
ユリさん、一度下がって!」
ユリ
「へ? ――きゃあ!?」
グリム・ユリ
「はぁはぁ……
捕まえ、ました」
ラスク
「しまった!? ユリっ!!」
グリム・ユリ
「こうなれば、あの御方の
障害になるあなたたちを……
ひとりでも倒すしか道はない」
ユリ
「う、動けない……」
グリム・ユリ
「はぁ、はぁ……
カイル、今です!」
グリム・カイル
「我の最期の力、全てぶつけさせてもらう!」
グリム・カイルの両手の上で雷の塊のような大きな魔法弾が二つパチパチと弾ける。
シャロン
「ここからでは間に合わない……っ!
カイルさん! 封印を!」
カイル
「やっています!
く……間に合ってください!」
ラスク
「ダメだ、このままじゃ!?」
グリム・ユリ
「これで、お役に――」
グリム・カイルの魔法弾が放たれるには十分過ぎる時を経て、カイルのグリモワールから溢れ出た光がグリム・カイルを捉えた。
ユリ
「あ……あれ?」
グリム・ユリ
「な……どう、して……?」
グリム・カイル
「……我も、まだまだ甘かった……
そういうことだな……」
ラスク
「封印が間に合ったんだ!」
シャロン
「いえ、恐らく……」
カイル
「攻撃を、しなかったんですね」
グリム・カイル
「は、はは! はっはっはっは!!
我も焼きが回ったようだ……
こんな場所で志半ばに消えるとはな」
グリム・ユリ
「あなたは……
私を疎ましく思っていたのでは……」
グリム・カイル
「無論だ。
だが……似た顔に
影響を受けたのかもしれん」
カイル
「……………………」
グリム・カイル
「聞け、我の原物たる魔法使いよ。
我はこれよりお前の中に巣食うのみ。
いつかその体を食い破ってくれようぞ」
尊大な態度を崩さぬまま、グリム・カイルはグリモワールへと封じられる。
カイル
「封印、完了しました」
ラスク
「ユリ、そっちも封印して!」
ユリ
「うん、わかった!」
グリム・ユリ
「無様だな……私は……」
ユリ
「どうして?」
グリム・ユリ
「どう、して……?
戦いに敗れた私は、
ただただ愚かなだけだろう」
ユリ
「違うよ、こういうときは――」
グリム・ユリ
「……?」
ユリ
「――ナイスファイト! っていうんだよ」
グリム・ユリ
「なるほど……覚えておこう」
ユリのグリモワールからグリム・ユリを包み込むように溢れた光が彼女を呑み込み封じた。
カイル
「彼らは本当にただのグリムなのでしょうか」
ユリ
「どういう意味?」
シャロン
「エボルグリムたちは、
可能性なのかもしれません」
「わたくしたちには、
あんな未来があったのかも……」
ユリ
「どうかな?
あたしはあたしじゃない?」
ユリの明快な答えにカイルは笑う。
カイル
「なるほど。ユリさんらしいですね」
ユリ
「えへへ、あんまり難しく考えないで行こう!」
▲BACK TO TOP
クララたちが見守る中、ミューとグリム・ミューが生み出す百鬼夜行は増えてゆく。
ミュー
「……どんどん」
ミューの掛け声とともにミューの周りにぼんやりとした何かが現れる。
グリム・ミュー
「どんどーん!」
グリム・ミューの掛け声とともにぼんやりとした何かが増えた。
グリム・ミュー
「うーん、そろそろまねっこあきたー」
ミュー
「……勝手ですね」
唐突にグリム・ミューは生み出した百鬼夜行を消し、次いでミューの生み出した百鬼夜行も消える。
グリム・ミュー
「じゃあねじゃあねー、
さっきよりもーっとすごいことしちゃおー!」
クララ
「いけない!
またグリムになる気かも!」
ハルト
「させん!」
ハルトが放った魔法をグリム・ミューは軽やかに避けて笑う。
グリム・ミュー
「あっはっはー!
ぜんぜんあたんなーい」
ハルト
「ちいっ! ちょこまかと!」
ハルトが放ついくつもの魔法は、遊びに興じるようないかにも楽しそうな様子の彼女に全て軽々とかわされた。
グリム・ミュー
「じゃあ、一回どっかーんってやっちゃおー!
へーんーしーーーーーん!!」
「ぐーるぐーるどーん!!」
グリム・ミューの掛け声とともに瘴気が溢れ、彼女は巨大なグリムへと変身する。
ミュー
「時間稼ぎ、失敗してしまいました……」
ハルト
「これだけ稼げれば問題ないだろう。
セリオスはまもなくクサビを破壊するはずだ」
クララ
「なんとか、わたしたちだけで
食い止めよう!」
ミュー
「……はい、頑張るのです……!」
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ミュー
「……どんどん」
ミューの掛け声とともにミューの周りにぼんやりとした何かが現れる。
グリム・ミュー
「どんどーん!」
グリム・ミューの掛け声とともにぼんやりとした何かが増えた。
グリム・ミュー
「うーん、そろそろまねっこあきたー」
ミュー
「……勝手ですね」
唐突にグリム・ミューは生み出した百鬼夜行を消し、次いでミューの生み出した百鬼夜行も消える。
グリム・ミュー
「じゃあねじゃあねー、
さっきよりもーっとすごいことしちゃおー!」
クララ
「いけない!
またグリムになる気かも!」
ハルト
「させん!」
ハルトが放った魔法をグリム・ミューは軽やかに避けて笑う。
グリム・ミュー
「あっはっはー!
ぜんぜんあたんなーい」
ハルト
「ちいっ! ちょこまかと!」
ハルトが放ついくつもの魔法は、遊びに興じるようないかにも楽しそうな様子の彼女に全て軽々とかわされた。
グリム・ミュー
「じゃあ、一回どっかーんってやっちゃおー!
へーんーしーーーーーん!!」
「ぐーるぐーるどーん!!」
グリム・ミューの掛け声とともに瘴気が溢れ、彼女は巨大なグリムへと変身する。
ミュー
「時間稼ぎ、失敗してしまいました……」
ハルト
「これだけ稼げれば問題ないだろう。
セリオスはまもなくクサビを破壊するはずだ」
クララ
「なんとか、わたしたちだけで
食い止めよう!」
ミュー
「……はい、頑張るのです……!」
▲BACK TO TOP
ミュー
「さぁ、いくですよ……!」
ミューの放った必殺魔法がグリムに直撃し、たまらずグリム・ミューは人間態に戻った。
グリム・ミュー
「あわわわ……ばたんきゅー……」
クララ
「やった……のかな?」
セリオス
「クサビは完璧に破壊した。
あのエボルグリムは
もう瘴気を取り込めないはずだ」
ハルト
「セ、セリオス!?
いつの間に……!?」
ミュー
「……封印、するです」
グリム・ミュー
「う〜ん、あたまぐるぐる〜。
でもでも、すっごくたのしかったねー」
ミュー
「……わたしも、楽しかった」
グリム・ミュー
「それじゃそれじゃ! こんどまたあそぼー!
ね! ね!?」
ミュー
「……わかりました」
グリム・ミュー
「やったー! やくそく、ねっ!」
ミューの掲げたグリモワールから溢れた光が無邪気に喜ぶグリム・ミューを捕まえ封じ込める。
ハルト
「よくやった、ミュー!
それでこそ我の仲間として認めただけある!」
クララ
「なんだか、すごく明るい子だったね」
セリオス
「それでも倒すべきグリムに変わりはないさ」
ミュー
「そう、ですね……」
クララ
「なんだか妹ができたみたいに見えたよ?」
ミュー
「妹、ですか……なるほど。」
ほんの少し思案したミューが頬を緩めた。
「あんな妹がいたら……大変です」
〜不可思議な空間〜
ルキア似の少女
「またひとり、やられたんだね」
シャロン似の少女
「……ええ、そのようですわね。
このままでは……あの御方の目的を
果たせなくなるかも知れません」
ルキア似の少女
「そうだねぇ……
だけど、それも面白いかも知れないよ?」
シャロン似の少女
「冗談が過ぎますわよ……!
そうなったら、何のためにリエルは……」
ルキア似の少女
「そうだね。こうなりゃあたしも黙ってられない。
次はあたしに任せてもらおうかね」
シャロン似の少女
「おひとりで行くつもりですの?」
ルキア似の少女の人影はどこか含みのある笑い声を響かせた。
ルキア似の少女
「当然だろう?
身内の仇は、あたしがとるのが筋ってもんだ」
「さぁ、いくですよ……!」
ミューの放った必殺魔法がグリムに直撃し、たまらずグリム・ミューは人間態に戻った。
グリム・ミュー
「あわわわ……ばたんきゅー……」
クララ
「やった……のかな?」
セリオス
「クサビは完璧に破壊した。
あのエボルグリムは
もう瘴気を取り込めないはずだ」
ハルト
「セ、セリオス!?
いつの間に……!?」
ミュー
「……封印、するです」
グリム・ミュー
「う〜ん、あたまぐるぐる〜。
でもでも、すっごくたのしかったねー」
ミュー
「……わたしも、楽しかった」
グリム・ミュー
「それじゃそれじゃ! こんどまたあそぼー!
ね! ね!?」
ミュー
「……わかりました」
グリム・ミュー
「やったー! やくそく、ねっ!」
ミューの掲げたグリモワールから溢れた光が無邪気に喜ぶグリム・ミューを捕まえ封じ込める。
ハルト
「よくやった、ミュー!
それでこそ我の仲間として認めただけある!」
クララ
「なんだか、すごく明るい子だったね」
セリオス
「それでも倒すべきグリムに変わりはないさ」
ミュー
「そう、ですね……」
クララ
「なんだか妹ができたみたいに見えたよ?」
ミュー
「妹、ですか……なるほど。」
ほんの少し思案したミューが頬を緩めた。
「あんな妹がいたら……大変です」
〜不可思議な空間〜
ルキア似の少女
「またひとり、やられたんだね」
シャロン似の少女
「……ええ、そのようですわね。
このままでは……あの御方の目的を
果たせなくなるかも知れません」
ルキア似の少女
「そうだねぇ……
だけど、それも面白いかも知れないよ?」
シャロン似の少女
「冗談が過ぎますわよ……!
そうなったら、何のためにリエルは……」
ルキア似の少女
「そうだね。こうなりゃあたしも黙ってられない。
次はあたしに任せてもらおうかね」
シャロン似の少女
「おひとりで行くつもりですの?」
ルキア似の少女の人影はどこか含みのある笑い声を響かせた。
ルキア似の少女
「当然だろう?
身内の仇は、あたしがとるのが筋ってもんだ」
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ルキア、アイコたち一行はクサビがあると思しき土地の調査をしていた。
ルキア
「なんか夏のわりに涼しいねー」
アイコ
「あー、確かにそーかも!」
メディア
「でも、水分補給は忘れちゃダメよ?
はい、お水」
ルキア
「ありがと、メディア」
ムジナ
「気を抜かないでくださいね。
この場所のクサビは今までより、
放置されていた時間が長いですから」
イナリ
「その調査もあって、
兄様がわざわざ一緒に来てるんだから、
しっかりしてよね」
アイコ
「はいはーい。
でも、逆に見つかりやすくて良かったね」
ムジナ
「…………」
イナリ
「どうかされたんですか、兄様?」
ムジナ
「簡単に見つかり過ぎな気がして。
隠すわけでもなく、こんな街中に
クサビを置くなんて」
メディア
「じゃあ、罠だって言うの?
……そういえば、グリムは
いないみたいだけど」
ルキア
「どっちでもいいじゃん。
罠でもなんでも
壊さなきゃいけないんだしさ!」
アイコ
「あっ! ちょっと、ルキア!」
ルキア似の少女
「はあああぁっ!」
クサビに近づくルキアは突如放たれた攻撃に慌てて飛び退いた。
ルキア
「うわぁっ!?」
メディア
「ルキアちゃん!」
ルキア
「ぎ、ギリギリセーフ!
もう、あっぶないな!
いきなりなにするの!」
ルキア似の少女
「あーあー、外れたか。
仕留めたと思ったんだけどねぇ」
ルキア
「うわっ!?
あれ、もしかして……わたし!?」
ルキア似の少女
「ほう、随分勘がいいじゃないか。
オリジナルとあたしたちは
通じるところがあるのかもね」
ルキア
「通じるって……そんなに似てる?」
ルキア似の少女
「はっ、たるんだ顔しくさって。
あたしはあんたみたいな
甘ちゃんじゃあないけどね」
アイコ
「これって、ルキアのエボルグリムが
クサビを守ってるってことで
いいんだよね?」
ルキア似の少女
「ああ、そうだよ。建前はそうだ。
あの御方のため、あたしたちは戦う」
ルキア
「あの御方って、誰なの?」
ルキア似の少女
「あんたたちが知らなくていいことさ。
どうせ会うことなんてない」
メディア
「えぇ!?
それってどういうこと!?」
ルキア似の少女
「あんたたちはここで負ける。
だからクサビを守るのはついでみたいなもんさ。
あんたたちと戦う、ついでだよ」
ルキア
「わたしたちと……戦う?」
ルキア似の少女
「ああ、あんたらは身内の仇だ。
あたしの手でケジメをつけなきゃいけない!」
ムジナ
「身内……
エボルグリムたちも
そんな風に考えるのか?」
イナリ
「本当に、私たちの知ってるグリムとは
違うみたい……」
アイコ
「わたしたちだって倒したくて
倒したわけじゃないし!
そんなの逆恨みじゃん!」
ルキア似の少女
「黙りな!
そっちの都合なんて聞いちゃいないよ!」
ルキア
「……っ!?」
ルキア似の少女
「これ以上、好き勝手にはさせないよ!
覚悟しなっ!」
啖呵を切るルキア似の少女から瘴気が膨れ上がり、彼女は巨大な牝牛へとその姿を変えた。
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ルキア
「なんか夏のわりに涼しいねー」
アイコ
「あー、確かにそーかも!」
メディア
「でも、水分補給は忘れちゃダメよ?
はい、お水」
ルキア
「ありがと、メディア」
ムジナ
「気を抜かないでくださいね。
この場所のクサビは今までより、
放置されていた時間が長いですから」
イナリ
「その調査もあって、
兄様がわざわざ一緒に来てるんだから、
しっかりしてよね」
アイコ
「はいはーい。
でも、逆に見つかりやすくて良かったね」
ムジナ
「…………」
イナリ
「どうかされたんですか、兄様?」
ムジナ
「簡単に見つかり過ぎな気がして。
隠すわけでもなく、こんな街中に
クサビを置くなんて」
メディア
「じゃあ、罠だって言うの?
……そういえば、グリムは
いないみたいだけど」
ルキア
「どっちでもいいじゃん。
罠でもなんでも
壊さなきゃいけないんだしさ!」
アイコ
「あっ! ちょっと、ルキア!」
ルキア似の少女
「はあああぁっ!」
クサビに近づくルキアは突如放たれた攻撃に慌てて飛び退いた。
ルキア
「うわぁっ!?」
メディア
「ルキアちゃん!」
ルキア
「ぎ、ギリギリセーフ!
もう、あっぶないな!
いきなりなにするの!」
ルキア似の少女
「あーあー、外れたか。
仕留めたと思ったんだけどねぇ」
ルキア
「うわっ!?
あれ、もしかして……わたし!?」
ルキア似の少女
「ほう、随分勘がいいじゃないか。
オリジナルとあたしたちは
通じるところがあるのかもね」
ルキア
「通じるって……そんなに似てる?」
ルキア似の少女
「はっ、たるんだ顔しくさって。
あたしはあんたみたいな
甘ちゃんじゃあないけどね」
アイコ
「これって、ルキアのエボルグリムが
クサビを守ってるってことで
いいんだよね?」
ルキア似の少女
「ああ、そうだよ。建前はそうだ。
あの御方のため、あたしたちは戦う」
ルキア
「あの御方って、誰なの?」
ルキア似の少女
「あんたたちが知らなくていいことさ。
どうせ会うことなんてない」
メディア
「えぇ!?
それってどういうこと!?」
ルキア似の少女
「あんたたちはここで負ける。
だからクサビを守るのはついでみたいなもんさ。
あんたたちと戦う、ついでだよ」
ルキア
「わたしたちと……戦う?」
ルキア似の少女
「ああ、あんたらは身内の仇だ。
あたしの手でケジメをつけなきゃいけない!」
ムジナ
「身内……
エボルグリムたちも
そんな風に考えるのか?」
イナリ
「本当に、私たちの知ってるグリムとは
違うみたい……」
アイコ
「わたしたちだって倒したくて
倒したわけじゃないし!
そんなの逆恨みじゃん!」
ルキア似の少女
「黙りな!
そっちの都合なんて聞いちゃいないよ!」
ルキア
「……っ!?」
ルキア似の少女
「これ以上、好き勝手にはさせないよ!
覚悟しなっ!」
啖呵を切るルキア似の少女から瘴気が膨れ上がり、彼女は巨大な牝牛へとその姿を変えた。
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グリム・ルキア
「ほらほらほら!
どうしたんだい?」
人間態に戻ったグリム・ルキアが放った連弾は避けようとするルキアを捉えた。
ルキア
「ううっ!?」
アイコ
「ルキア!
こいつ、これでもくらえっ!」
アイコが放った魔法がグリム・ルキアに直撃したが、彼女はなんでもないような顔をして立っている。
グリム・ルキア
「その程度じゃ全然足りないね!」
アイコ
「嘘、効いてない!?
あたしたちだって
強くなってるはずなのに!?」
グリム・ルキア
「はん、修行が足りてないねぇ!
こんなに簡単なんて拍子抜けだよ!」
暁の賢者たちは言葉とは裏腹に緩まないグリム・ルキアの攻撃を凌いだが、決め手に欠けたまま時間だけが過ぎた。
メディア
「こうやって防いでいるだけじゃ……
こっちの攻撃も効いてない
わけじゃないと思うけど……」
アイコ
「いったい何回当てればいいのー!?」
ムジナ
「根本的にマナが足りていません……
このままでは撃退すら難しいでしょう」
ルキア
「それなら、どうしたらいいの!」
ムジナ
「危険かもしれませんが、方法があります」
イナリ
「本当、兄様!?」
ムジナ
「ああ。だけど、これには時間が……」
アイコ
「なるほど!
だったらわたし頑張ってみるよ!」
ルキア
「わたしも!」
メディア
「わたしだって!」
ムジナ
「それならば時間を稼いで下さい、ルキアさん」
ルキア
「え、わたしだけ!?」
ムジナ
「メディアさんとアイコさんの
グリモワールが必要なんです。
イナリ、サポートを頼んでいいかい?」
イナリ
「もちろんです、兄様!」
「頑張ろう、ルキア!」
ルキア
「うん! やれるだけやってみる!」
グリム・ルキア
「……んー、なんだ?
なにかするつもりかい?」
何事かを察知してグリム・ルキアは暁の賢者たちに向けて魔法を放つ。
ルキア
「はぁぁぁぁぁ!!」
ルキアがそれに魔法をぶつけて相殺させ、ひとり飛び出した。
グリム・ルキア
「ふん、ひとりで飛び出して
何ができるんだい!」
ルキア
「わたしたちはそう簡単に負けないから!
ね、イナリ!」
イナリ
「うん!
わたしも兄様を助けてみせる!」
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「ほらほらほら!
どうしたんだい?」
人間態に戻ったグリム・ルキアが放った連弾は避けようとするルキアを捉えた。
ルキア
「ううっ!?」
アイコ
「ルキア!
こいつ、これでもくらえっ!」
アイコが放った魔法がグリム・ルキアに直撃したが、彼女はなんでもないような顔をして立っている。
グリム・ルキア
「その程度じゃ全然足りないね!」
アイコ
「嘘、効いてない!?
あたしたちだって
強くなってるはずなのに!?」
グリム・ルキア
「はん、修行が足りてないねぇ!
こんなに簡単なんて拍子抜けだよ!」
暁の賢者たちは言葉とは裏腹に緩まないグリム・ルキアの攻撃を凌いだが、決め手に欠けたまま時間だけが過ぎた。
メディア
「こうやって防いでいるだけじゃ……
こっちの攻撃も効いてない
わけじゃないと思うけど……」
アイコ
「いったい何回当てればいいのー!?」
ムジナ
「根本的にマナが足りていません……
このままでは撃退すら難しいでしょう」
ルキア
「それなら、どうしたらいいの!」
ムジナ
「危険かもしれませんが、方法があります」
イナリ
「本当、兄様!?」
ムジナ
「ああ。だけど、これには時間が……」
アイコ
「なるほど!
だったらわたし頑張ってみるよ!」
ルキア
「わたしも!」
メディア
「わたしだって!」
ムジナ
「それならば時間を稼いで下さい、ルキアさん」
ルキア
「え、わたしだけ!?」
ムジナ
「メディアさんとアイコさんの
グリモワールが必要なんです。
イナリ、サポートを頼んでいいかい?」
イナリ
「もちろんです、兄様!」
「頑張ろう、ルキア!」
ルキア
「うん! やれるだけやってみる!」
グリム・ルキア
「……んー、なんだ?
なにかするつもりかい?」
何事かを察知してグリム・ルキアは暁の賢者たちに向けて魔法を放つ。
ルキア
「はぁぁぁぁぁ!!」
ルキアがそれに魔法をぶつけて相殺させ、ひとり飛び出した。
グリム・ルキア
「ふん、ひとりで飛び出して
何ができるんだい!」
ルキア
「わたしたちはそう簡単に負けないから!
ね、イナリ!」
イナリ
「うん!
わたしも兄様を助けてみせる!」
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サンダースたちは、グリムたちを退け落ち着いたトーキョー近郊の見回りを行っていた。
サンダース
「うむ、この辺りは問題ないようだな!
次の場所へ向かうとしよう」
ヤンヤン
「ちょっと待つアル。
いつまで見回りするつもりアルか」
アロエ
「もう2時間も歩きっぱなしだよ。
一回、戻ったほうがいいんじゃないかな」
マラリヤ
「これは敵が来たら疲労困憊で
負けるパターンね」
サンダース
「ふはははっ!
鍛え方が足りんようだな……ん?」
マラリヤ
「……なにかが来てるわね。
やれやれ、めんどくさい」
瘴気の気配を追ってナナイロブリッジへと辿り着いたサンダースたちを待っていたのは、不機嫌そうなアロエに似た少女とおどおどと謝るマラリヤ似の少女だった。
アロエ似の少女
「あーあ、退屈ー。
せっかく遊びに来たのにつまんなーい」
マラリヤ似の少女
「ご、ごめんなさい……アロエ……」
ハルト
「あれは……少し変わっているが、
アロエのエボルグリムか? 隣は……」
アロエ
「もしかして、マラリヤちゃん?」
マラリヤ
「なんだか陰鬱そうな子だこと」
ヤンヤン
「……マラリヤがいうアルか?」
アロエ似の少女
「あれー? オリジナルたちー?
まぁいるのはわかってたけどねー」
マラリヤ似の少女
「あんまり挑発しちゃダメだよ……」
アロエ似の少女
「挑発? 違うよ、マラリヤちゃん。
あたし、あんまり戦うつもりないし」
アロエ
「ええっ!? どういうこと!?」
サンダース
「倒すべき敵を前にして、戦わないだと!?」
アロエ似の少女
「だって遊びに来ただけだし。
ねー?」
マラリヤ
「……罠?」
アロエ似の少女は擦り寄るようにハルトに近づくと上目遣いで甘えるような猫撫で声で誘う。
アロエ似の少女
「もしかして、そこのお兄ちゃんが
あたしと遊んでくれの……?♪」
ハルト
「な、なぁ!?
おおお、俺はお兄ちゃんではない!」
マラリヤ
「素に戻ってるわよ」
ハルト
「……ッ!? ゴホン!
い、いいか貴様、それ以上
我に近づくな!!」
アロエ似の少女
「もうっ、いいでしょ、ちょっとく・ら・い。
どうせだから遊んでこうよ」
マラリヤ似の少女
「ア……アロエぇ……」
アロエ
「え、え、えー!?
ちょっと、なにしてるの!」
アロエ似の少女
「なにって……お・ね・が・い?」
ハルト
「はぅ!?」
アロエ
「あたしに似た姿でそんなことしないでー!」
マラリヤ
「ふふ……面白い」
マラリヤ似の少女
「可愛いです……」
アロエ
「なんでそこ息ぴったりなの!?」
アロエ似の少女
「なんかぐだぐだうるさーい。
だったら、アナタも一緒に
遊んであげる♪」
アロエ
「うぅ、なんだか、前のメディアちゃんに
ちょっとだけ似てるような……」
アロエ似の少女
「んー? メディアちゃんは、
遠くに行っちゃったあたしのお友達……。
なんで知ってるの?」
アロエ
「なんでって……あたしたちが、
封印したんだし……」
アロエ似の少女
「そっかそっか!
だったら戦う理由、できちゃったね!」
アロエ
「やっぱりあなたもメディアちゃんと
仲良しだったの?」
アロエ似の少女
「教えなーい! あはっ!」
ハルト
「よし……この我も粛清に手を貸そう!」
アロエ
「あの子たち、あたしとマラリヤちゃんに
あんまり似てないよね?」
マラリヤ
「そうね。あっちのあなたは
ずいぶんと自己主張が激しいし」
アロエ
「マラリヤちゃんもあんなに
おとなしい感じじゃないもんね」
マラリヤ
「おとなしい?
私も騒がしいつもりはないのだけど」
マラリヤ似の少女
「……というか、その……、
少し変わっているというか……」
アロエ似の少女
「変人ってはっきり言っちゃえばー?」
マラリヤ
「ハリセンボン、飲ますわよ」
マラリヤ似の少女
「ひぃぃっ……!」
ヤンヤン
「なんだか呑気な相手アルね……」
サンダース
「だが、倒さねばならぬ!
我輩たちの敵であるからな!」
アロエ似の少女
「ああもう、盛り下がっちゃう。
早くあーそびーましょ!
それじゃマラリヤちゃん、いっくよー!」
マラリヤ似の少女
「は……はい!」
強引なアロエ似の少女に引きずられるように瘴気を纏ったマラリヤ似の少女は、首に蛇を巻いた蝙蝠のような巨大なグリムへと変身した。
マラリヤ
「恨みはらさでおくべきか。
容赦はしない」
アロエ
「あ、あはは……
頑張ろうね、マラリヤちゃん!」
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サンダース
「うむ、この辺りは問題ないようだな!
次の場所へ向かうとしよう」
ヤンヤン
「ちょっと待つアル。
いつまで見回りするつもりアルか」
アロエ
「もう2時間も歩きっぱなしだよ。
一回、戻ったほうがいいんじゃないかな」
マラリヤ
「これは敵が来たら疲労困憊で
負けるパターンね」
サンダース
「ふはははっ!
鍛え方が足りんようだな……ん?」
マラリヤ
「……なにかが来てるわね。
やれやれ、めんどくさい」
瘴気の気配を追ってナナイロブリッジへと辿り着いたサンダースたちを待っていたのは、不機嫌そうなアロエに似た少女とおどおどと謝るマラリヤ似の少女だった。
アロエ似の少女
「あーあ、退屈ー。
せっかく遊びに来たのにつまんなーい」
マラリヤ似の少女
「ご、ごめんなさい……アロエ……」
ハルト
「あれは……少し変わっているが、
アロエのエボルグリムか? 隣は……」
アロエ
「もしかして、マラリヤちゃん?」
マラリヤ
「なんだか陰鬱そうな子だこと」
ヤンヤン
「……マラリヤがいうアルか?」
アロエ似の少女
「あれー? オリジナルたちー?
まぁいるのはわかってたけどねー」
マラリヤ似の少女
「あんまり挑発しちゃダメだよ……」
アロエ似の少女
「挑発? 違うよ、マラリヤちゃん。
あたし、あんまり戦うつもりないし」
アロエ
「ええっ!? どういうこと!?」
サンダース
「倒すべき敵を前にして、戦わないだと!?」
アロエ似の少女
「だって遊びに来ただけだし。
ねー?」
マラリヤ
「……罠?」
アロエ似の少女は擦り寄るようにハルトに近づくと上目遣いで甘えるような猫撫で声で誘う。
アロエ似の少女
「もしかして、そこのお兄ちゃんが
あたしと遊んでくれの……?♪」
ハルト
「な、なぁ!?
おおお、俺はお兄ちゃんではない!」
マラリヤ
「素に戻ってるわよ」
ハルト
「……ッ!? ゴホン!
い、いいか貴様、それ以上
我に近づくな!!」
アロエ似の少女
「もうっ、いいでしょ、ちょっとく・ら・い。
どうせだから遊んでこうよ」
マラリヤ似の少女
「ア……アロエぇ……」
アロエ
「え、え、えー!?
ちょっと、なにしてるの!」
アロエ似の少女
「なにって……お・ね・が・い?」
ハルト
「はぅ!?」
アロエ
「あたしに似た姿でそんなことしないでー!」
マラリヤ
「ふふ……面白い」
マラリヤ似の少女
「可愛いです……」
アロエ
「なんでそこ息ぴったりなの!?」
アロエ似の少女
「なんかぐだぐだうるさーい。
だったら、アナタも一緒に
遊んであげる♪」
アロエ
「うぅ、なんだか、前のメディアちゃんに
ちょっとだけ似てるような……」
アロエ似の少女
「んー? メディアちゃんは、
遠くに行っちゃったあたしのお友達……。
なんで知ってるの?」
アロエ
「なんでって……あたしたちが、
封印したんだし……」
アロエ似の少女
「そっかそっか!
だったら戦う理由、できちゃったね!」
アロエ
「やっぱりあなたもメディアちゃんと
仲良しだったの?」
アロエ似の少女
「教えなーい! あはっ!」
ハルト
「よし……この我も粛清に手を貸そう!」
アロエ
「あの子たち、あたしとマラリヤちゃんに
あんまり似てないよね?」
マラリヤ
「そうね。あっちのあなたは
ずいぶんと自己主張が激しいし」
アロエ
「マラリヤちゃんもあんなに
おとなしい感じじゃないもんね」
マラリヤ
「おとなしい?
私も騒がしいつもりはないのだけど」
マラリヤ似の少女
「……というか、その……、
少し変わっているというか……」
アロエ似の少女
「変人ってはっきり言っちゃえばー?」
マラリヤ
「ハリセンボン、飲ますわよ」
マラリヤ似の少女
「ひぃぃっ……!」
ヤンヤン
「なんだか呑気な相手アルね……」
サンダース
「だが、倒さねばならぬ!
我輩たちの敵であるからな!」
アロエ似の少女
「ああもう、盛り下がっちゃう。
早くあーそびーましょ!
それじゃマラリヤちゃん、いっくよー!」
マラリヤ似の少女
「は……はい!」
強引なアロエ似の少女に引きずられるように瘴気を纏ったマラリヤ似の少女は、首に蛇を巻いた蝙蝠のような巨大なグリムへと変身した。
マラリヤ
「恨みはらさでおくべきか。
容赦はしない」
アロエ
「あ、あはは……
頑張ろうね、マラリヤちゃん!」
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グリム・アロエ
「あーあ、ぜんっぜん相手に
ならないみたい。
疲れたし、そろそろ帰ろっか」
グリム・マラリヤ
「……う、うん」
サンダース
「ふん! のがさん!」
人間態に戻りつまらなさそうに踵を返そうとするグリムたちはサンダースが放った魔法を軽々と避けた。
グリム・アロエ
「はいはい、当たんなーい」
ヤンヤン
「全然ダメアル!」
グリム・アロエ
「あーあ。オリジナルがいるから、
少しは楽しめると思ったのになー。
ぜーんぜん面白くなかった」
アロエ
「勝手に遊ぶとか言ってきたのは、
そっちでしょ!」
ハルト
「お、落ち着け、アロエ……」
アロエ
「でも……むぅ」
グリム・アロエ
「ふーん。
オリジナルは女の子、失格ね♪」
グリム・マラリヤ
「あ、アロエ……!?」
グリム・アロエ
「あたしたち可愛いんだから、
ちゃーんと可愛くしないと♪」
アロエ
「それってどういう意味!」
グリム・アロエ
「ひゃあん、怖いよぉ……
たすけてぇ、おにいちゃぁん……」
ハルト
「うぐっ!?」
アロエ
「ハルトくん!?
なにやってるの、もうっ!!」
マラリヤ
「……飛んで火に入る夏の虫」
グリム・マラリヤ
「……ち、違うと思いますけど」
マラリヤ
「……いらっ」
グリム・マラリヤ
「に、睨まないでくださぁい……」
グリム・アロエ
「あはは……あははははっ!
楽しー!!
ね、マラリヤちゃん?」
グリム・マラリヤ
「やりすぎだよぉ……アロエぇ……」
アロエ
「もう、おちょくるだけおちょくって……!
逃がさないから!」
グリム・アロエ
「無理だよーっと。 ばーん!」
グリム・アロエが揶揄するように放った魔法はまっすぐにアロエに向かう。
アロエ
「きゃあああっ!?」
マラリヤ
「……アロエ!?
くっ…………」
グリム・アロエ
「じゃ、まったねー♪」
グリム・マラリヤ
「わわっ、置いてかないでぇ〜」
楽しそうに消えたグリム・アロエを追いかけるようにしてグリム・マラリヤもその場から慌てて姿を消した。
ヤンヤン
「……帰ったみたいアルな。
まるで嵐のような連中だったアル……」
マラリヤ
「……もうあんな遠くに行ったのね。
まるで台風とその目」
アロエ
「助けてくれてありがとう、
マラリヤちゃん」
マラリヤ
「たいしたことないわ。
次は完膚なきまでに勝利しましょう」
アロエ
「うん! そうだね!
悔しさをバネにもっともっと
強くならなきゃ!」
▲BACK TO TOP
「あーあ、ぜんっぜん相手に
ならないみたい。
疲れたし、そろそろ帰ろっか」
グリム・マラリヤ
「……う、うん」
サンダース
「ふん! のがさん!」
人間態に戻りつまらなさそうに踵を返そうとするグリムたちはサンダースが放った魔法を軽々と避けた。
グリム・アロエ
「はいはい、当たんなーい」
ヤンヤン
「全然ダメアル!」
グリム・アロエ
「あーあ。オリジナルがいるから、
少しは楽しめると思ったのになー。
ぜーんぜん面白くなかった」
アロエ
「勝手に遊ぶとか言ってきたのは、
そっちでしょ!」
ハルト
「お、落ち着け、アロエ……」
アロエ
「でも……むぅ」
グリム・アロエ
「ふーん。
オリジナルは女の子、失格ね♪」
グリム・マラリヤ
「あ、アロエ……!?」
グリム・アロエ
「あたしたち可愛いんだから、
ちゃーんと可愛くしないと♪」
アロエ
「それってどういう意味!」
グリム・アロエ
「ひゃあん、怖いよぉ……
たすけてぇ、おにいちゃぁん……」
ハルト
「うぐっ!?」
アロエ
「ハルトくん!?
なにやってるの、もうっ!!」
マラリヤ
「……飛んで火に入る夏の虫」
グリム・マラリヤ
「……ち、違うと思いますけど」
マラリヤ
「……いらっ」
グリム・マラリヤ
「に、睨まないでくださぁい……」
グリム・アロエ
「あはは……あははははっ!
楽しー!!
ね、マラリヤちゃん?」
グリム・マラリヤ
「やりすぎだよぉ……アロエぇ……」
アロエ
「もう、おちょくるだけおちょくって……!
逃がさないから!」
グリム・アロエ
「無理だよーっと。 ばーん!」
グリム・アロエが揶揄するように放った魔法はまっすぐにアロエに向かう。
アロエ
「きゃあああっ!?」
マラリヤ
「……アロエ!?
くっ…………」
グリム・アロエ
「じゃ、まったねー♪」
グリム・マラリヤ
「わわっ、置いてかないでぇ〜」
楽しそうに消えたグリム・アロエを追いかけるようにしてグリム・マラリヤもその場から慌てて姿を消した。
ヤンヤン
「……帰ったみたいアルな。
まるで嵐のような連中だったアル……」
マラリヤ
「……もうあんな遠くに行ったのね。
まるで台風とその目」
アロエ
「助けてくれてありがとう、
マラリヤちゃん」
マラリヤ
「たいしたことないわ。
次は完膚なきまでに勝利しましょう」
アロエ
「うん! そうだね!
悔しさをバネにもっともっと
強くならなきゃ!」
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時間稼ぎを任されたルキアはグリム・ルキアと対峙した。
グリム・ルキア
「タイマンなら、あの姿になる必要もないね!
ハァッ!!」
グリム・ルキアの放つ衝撃波がルキアに向かう。
ルキア
「あなたはひとり!
でもわたしにはみんながいる!
だから絶対負けない!」
ルキアの魔法が横からグリム・ルキアの攻撃を弾いた。
ルキア
「……うわっと!」
イナリ
「ちょっと、大丈夫!?」
ルキア
「ありがとう、助かった!」
イナリ
「兄様! まだですか!?」
ムジナ
「……時は、満ちた!」
唐突にアイコとメディアの持つグリモワールが光を発する。
アイコ
「のわっ!
これ、なんなのなんなの……!?」
メディア
「グリモワールが輝いて……!?」
グリモワールから強い光が放たれて、アイコとメディアの体を包み込んだ。
グリム・ルキア
「あれは……アイコに、
メディア……なのかい?」
ルキア
「……え?」
ムジナ
「お二人のグリモワールに残された形代を使い、
エボルグリムと同じように
瘴気をマナに変換したんです」
アイコ
「なにそれ!? すっごーい!!」
イナリ
「でしょでしょ!
兄様はあなたたちのために寝る間も
惜しんで研究してたんだから!」
メディア
「なんだか、不思議……暖かい感じがする。
もしかして、あの子を感じるのかな?」
アイコ
「……メディアの言うとおりかも。
ちょっと、元気を貰えるみたいな……」
ムジナ
「そうだといいですね。
一度でうまくいったのは彼女たちが
貸してくれているのかもしれません」
「……さて、いきますよルキアさん!」
ルキア
「え、え?
ど、どういうこと!?」
ムジナ
「今からあなたのグリモワールへパスを繋げます!
その力を使ってください!」
ルキア
「ええっと……うん。
よくわかんないけど、わかったよ!」
ムジナ
「ふたりとも、グリモワールを
ルキアさんに向けてください!」
アイコ
「よーし、いっくよー!!」
メディア
「よろしくね、ルキアちゃん!」
二人が掲げたグリモワールから発せられた光の奔流がルキアを包み込んでいく。
ルキア
「二人のマナを感じる……
とっても力強い!!」
グリム・ルキア
「そうやって、あたしの仲間を
また侮辱するのかっ!!」
ルキア
「違う! わたしたちは
たくさんの人を守るんだ!」
グリム・ルキア
「お前たちの都合なんて、知ったことか!!」
ルキア
「だったら、真正面から打ち破る!」
グリム・ルキア
「やってみろッ! オリジナルッ!!」
膨れ上がった瘴気を纏ったグリム・ルキアは巨大な牝牛に変身して襲い掛かった。
アイコ
「あとは任せたよ、ルキア!」
メディア
「お願いね、ルキアちゃん!」
ルキア
「うん! 絶対に負けないから!!」
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グリム・ルキア
「タイマンなら、あの姿になる必要もないね!
ハァッ!!」
グリム・ルキアの放つ衝撃波がルキアに向かう。
ルキア
「あなたはひとり!
でもわたしにはみんながいる!
だから絶対負けない!」
ルキアの魔法が横からグリム・ルキアの攻撃を弾いた。
ルキア
「……うわっと!」
イナリ
「ちょっと、大丈夫!?」
ルキア
「ありがとう、助かった!」
イナリ
「兄様! まだですか!?」
ムジナ
「……時は、満ちた!」
唐突にアイコとメディアの持つグリモワールが光を発する。
アイコ
「のわっ!
これ、なんなのなんなの……!?」
メディア
「グリモワールが輝いて……!?」
グリモワールから強い光が放たれて、アイコとメディアの体を包み込んだ。
グリム・ルキア
「あれは……アイコに、
メディア……なのかい?」
ルキア
「……え?」
ムジナ
「お二人のグリモワールに残された形代を使い、
エボルグリムと同じように
瘴気をマナに変換したんです」
アイコ
「なにそれ!? すっごーい!!」
イナリ
「でしょでしょ!
兄様はあなたたちのために寝る間も
惜しんで研究してたんだから!」
メディア
「なんだか、不思議……暖かい感じがする。
もしかして、あの子を感じるのかな?」
アイコ
「……メディアの言うとおりかも。
ちょっと、元気を貰えるみたいな……」
ムジナ
「そうだといいですね。
一度でうまくいったのは彼女たちが
貸してくれているのかもしれません」
「……さて、いきますよルキアさん!」
ルキア
「え、え?
ど、どういうこと!?」
ムジナ
「今からあなたのグリモワールへパスを繋げます!
その力を使ってください!」
ルキア
「ええっと……うん。
よくわかんないけど、わかったよ!」
ムジナ
「ふたりとも、グリモワールを
ルキアさんに向けてください!」
アイコ
「よーし、いっくよー!!」
メディア
「よろしくね、ルキアちゃん!」
二人が掲げたグリモワールから発せられた光の奔流がルキアを包み込んでいく。
ルキア
「二人のマナを感じる……
とっても力強い!!」
グリム・ルキア
「そうやって、あたしの仲間を
また侮辱するのかっ!!」
ルキア
「違う! わたしたちは
たくさんの人を守るんだ!」
グリム・ルキア
「お前たちの都合なんて、知ったことか!!」
ルキア
「だったら、真正面から打ち破る!」
グリム・ルキア
「やってみろッ! オリジナルッ!!」
膨れ上がった瘴気を纏ったグリム・ルキアは巨大な牝牛に変身して襲い掛かった。
アイコ
「あとは任せたよ、ルキア!」
メディア
「お願いね、ルキアちゃん!」
ルキア
「うん! 絶対に負けないから!!」
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グリム・ルキア
「は、ははは……なんだい……。
自分の身内の力で……
負けるとはね……」
ルキア
「はぁはぁ……
ちょうど、パス切れちゃったみたい」
ルキアの体から光が放たれ収まった。
グリム・ルキア
「仇を取るつもりで来たのに……
あたしのひとりよがりだったのかねぇ……」
ルキア
「……誰かのためって気持ち、
わたしわかるよ」
グリム・ルキア
「……ふん、そうかい」
ルキア
「自分と話してるのって、なんか変な感じ。
ふふっ……」
グリム・ルキア
「確かに、あんたの言う通りだ。
ははっ……」
ルキア
「――封印、するよ」
グリム・ルキア
「好きにしな。
あたしは手なんて貸さないよ。
徹底的に邪魔してやる」
憎まれ口を叩きながらグリム・ルキアは微笑う。
ルキア
「のぞむところ」
ルキアが笑顔で返しグリモワールを掲げると、
そのグリモワールから溢れた光がグリム・ルキアを包み込む。
メディア
「封印……できたみたい」
ムジナ
「ええ。なんとか上手くいって良かったです」
イナリ
「さすが兄様だね!」
ムジナ
「僕の力じゃないよ、イナリ。
戦ってくれたルキアさんや形代――
もう一人の生徒さんのおかげだ」
ルキア
「…………」
メディア
「どうしたの?
まさか力の使い過ぎで身体が変とか!?」
ルキア
「ち、違う違う!
くたくただけど、元気いっぱいだよ!」
アイコ
「確かに大丈夫そうだねー」
ルキア
「ちょっとだけ、考えごと」
アイコ
「へー、ルキアなのにめずらしー!」
ルキア
「ちょっとぉ!?」
イナリ
「ちょっとちょっと、
まだクサビは壊してないんだよ!」
アイコ
「あ、そうだった!
このままゴーゴー!!」
ルキア
「ちょ、ちょっと休ませて〜!」
メディア
「あらあら〜。うふふ」
ルキア
「あーん!」
エボルグリムたちが集う不可思議な空間でグリム・レオンはグリム・ルキアの敗北を感じ取っていた。
グリム・レオン
「ルキア……あいつも負けたか」
???
「……………………」
グリム・レオン
「頭の中でごちゃごちゃうるせぇ!!
仕方ないことだ!? あぁ!?」
???
「……………………」
グリム・レオン
「ハッ……オレは好きなようにやらせてもらう。
他のヤツらみたいに、あの御方なんて言って、
テメェを崇めるつもりはねぇよ」
足音を立ててグリム・レオンは不可思議な空間から遠ざかっていく。
グリム・レオン
「オレはオレの思い描く戦いをしたいだけだ。
テメェの目的なんざ、知ったことかよ……!」
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「は、ははは……なんだい……。
自分の身内の力で……
負けるとはね……」
ルキア
「はぁはぁ……
ちょうど、パス切れちゃったみたい」
ルキアの体から光が放たれ収まった。
グリム・ルキア
「仇を取るつもりで来たのに……
あたしのひとりよがりだったのかねぇ……」
ルキア
「……誰かのためって気持ち、
わたしわかるよ」
グリム・ルキア
「……ふん、そうかい」
ルキア
「自分と話してるのって、なんか変な感じ。
ふふっ……」
グリム・ルキア
「確かに、あんたの言う通りだ。
ははっ……」
ルキア
「――封印、するよ」
グリム・ルキア
「好きにしな。
あたしは手なんて貸さないよ。
徹底的に邪魔してやる」
憎まれ口を叩きながらグリム・ルキアは微笑う。
ルキア
「のぞむところ」
ルキアが笑顔で返しグリモワールを掲げると、
そのグリモワールから溢れた光がグリム・ルキアを包み込む。
メディア
「封印……できたみたい」
ムジナ
「ええ。なんとか上手くいって良かったです」
イナリ
「さすが兄様だね!」
ムジナ
「僕の力じゃないよ、イナリ。
戦ってくれたルキアさんや形代――
もう一人の生徒さんのおかげだ」
ルキア
「…………」
メディア
「どうしたの?
まさか力の使い過ぎで身体が変とか!?」
ルキア
「ち、違う違う!
くたくただけど、元気いっぱいだよ!」
アイコ
「確かに大丈夫そうだねー」
ルキア
「ちょっとだけ、考えごと」
アイコ
「へー、ルキアなのにめずらしー!」
ルキア
「ちょっとぉ!?」
イナリ
「ちょっとちょっと、
まだクサビは壊してないんだよ!」
アイコ
「あ、そうだった!
このままゴーゴー!!」
ルキア
「ちょ、ちょっと休ませて〜!」
メディア
「あらあら〜。うふふ」
ルキア
「あーん!」
エボルグリムたちが集う不可思議な空間でグリム・レオンはグリム・ルキアの敗北を感じ取っていた。
グリム・レオン
「ルキア……あいつも負けたか」
???
「……………………」
グリム・レオン
「頭の中でごちゃごちゃうるせぇ!!
仕方ないことだ!? あぁ!?」
???
「……………………」
グリム・レオン
「ハッ……オレは好きなようにやらせてもらう。
他のヤツらみたいに、あの御方なんて言って、
テメェを崇めるつもりはねぇよ」
足音を立ててグリム・レオンは不可思議な空間から遠ざかっていく。
グリム・レオン
「オレはオレの思い描く戦いをしたいだけだ。
テメェの目的なんざ、知ったことかよ……!」
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クサビを追ってホッカイに辿り着いたラスクたち。
ライトアップされた氷の城と熊の像が彼らを出迎える。
ラスク
「へぇ……ここがホッカイなんだ。
過ごしやすい気候みたい」
シャロン
「ええ、そのようですわね。
空気が心地良く感じますわ」
アカデミーと通信状態のグリモワールから、サツキの声が響く。
サツキ
「ねえユウ?
ホッカイはジャガイモとカレーが
有名らしいの」
ユウ
「サツキ先生……
それ、遠回しにお土産を要求してる?」
サツキ
「いいじゃない。
そっちの名産品、興味あるんだもの」
ユウ
「もう……わかったよ」
ラスク
「なんかふたりともあんまり
緊張感ない感じ?」
シャロン
「まったくですわ。
クサビの近くですし、エボルグリムも……」
ユウ似の少女
「あー! 見つけたよ、ニセモノさん!」
ユウ
「ニセモノ……って、え?」
サツキ
「ユウをモデルにした
エボルグリムみたいね……」
「でもちょっと待って。
あのすぐ横に浮いてるのって」
サツキに似た女性
『うふふ……
あっちのユウもとぉっても可愛いわ』
シャロン
「もしかしてサツキ先生の
エボルグリムですの?」
ユウ
「でも、あっちのお姉ちゃんは
なんか幽霊みたいだよね」
サツキ
(ユウはあの姿の私を、
どこかで覚えているのかも。
それがエボルグリムに影響しているのね)
ラスク
「グリムのユウは完全に女の子って感じ。
性格だけじゃなくて性別も反対っぽいよ」
シャロン
「確かにユウさんは
可愛らしい方ですが……」
サツキ
「そうよね、ユウは可愛いわよね」
ユウ
「お姉ちゃん!」
サツキ
「あはは……ごめんなさい」
「でも、あのグリムの私も
倒せる方法はあるはず。
私もなにか考えて――」
ユウ
「大丈夫だよ。
本当の『ニセモノ』は、
僕がやっつけるから」
サツキ
「そ、そう? でも……
あの幽霊みたいな私は……」
サツキに似た女性
『幽霊だなんて失礼だわ。
この姿なら、いくらだって
ユウの側にいられるのよ?』
ユウ似の少女
「そうだよそうだよ! さすがお姉様!
だからお姉様って大好き!」
サツキに似た女性
『でも私、オトコノコのユウも気になるの。
ごめんね』
ユウ似の少女
「……ん?
なにか変なこと言わなかった、お姉様?」
サツキに似た女性
『ねぇ、少しでいいから
こっちのユウとそっちのユウ、
取り替えっこしないかしら?』
ユウ似の少女
「えぇっ!」
ユウ
「えぇっ!?」
シャロン
「あのグリム、自由過ぎませんこと?」
サツキ
「本当に私なのかしら……
解せないわ」
ラスク
「二人セットって感じじゃないんだね……」
ユウ似の少女
「許さない……許さない許さない許さないッ!
お姉様の愛を受けるのはわたし!
私だけなんだから!」
ユウ似の少女は突如激昂し、魔法のようなものでユウに攻撃を放つ。
その表情は先ほどとはまるで違うほど恐ろしい形相であった。
ユウ
「いきなり何するのさ!?」
ユウ似の少女
「だって、お姉様の一番はわたしだよ?
それがわたしと取り替えっこ?
絶対絶対絶対絶対許せないッ!」
ユウ
「……そんな風に依存してたら、
いつまでも自分のことを自分で
決められないままだよ?」
ユウ似の少女
「知ったことじゃないわ!!」
ユウ
「お姉様お姉様って、それじゃキミは
お姉ちゃんのおもちゃみたいじゃないか!
それでいいの!?」
ユウ似の少女
「お姉様は私の全て。私のいる理由。
それをあなたは馬鹿に馬鹿に馬鹿に
馬鹿にしてぇ!!」
サツキに似た女性
『あら、これって兄妹喧嘩かしら?』
サツキ
「よく考えればわたし……あんまり
ユウとこういう喧嘩したことないかも」
シャロン
「冷静に言っている場合じゃありませんわよ。
二対一ではユウさんが不利ですわ。
ラスクさん、助けに行きますわよ!」
ラスク
「うん、行こっか。放っておけないしね」
ユウ似の少女
「あなたが許しを乞うまで、更生してやる!
私の……愛で!」
ユウ似の少女は瘴気を纏って巨大な半透明な体をした流氷の天使のような姿に変貌をとげる。
ユウ
「押し付けがましい愛なんて
ごめんだから!」
ユウ似の少女
「そう言っていられるのも今のうちだけ……
すぐにお姉様がいかに素晴らしいか
わからせてあげる!」
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ライトアップされた氷の城と熊の像が彼らを出迎える。
ラスク
「へぇ……ここがホッカイなんだ。
過ごしやすい気候みたい」
シャロン
「ええ、そのようですわね。
空気が心地良く感じますわ」
アカデミーと通信状態のグリモワールから、サツキの声が響く。
サツキ
「ねえユウ?
ホッカイはジャガイモとカレーが
有名らしいの」
ユウ
「サツキ先生……
それ、遠回しにお土産を要求してる?」
サツキ
「いいじゃない。
そっちの名産品、興味あるんだもの」
ユウ
「もう……わかったよ」
ラスク
「なんかふたりともあんまり
緊張感ない感じ?」
シャロン
「まったくですわ。
クサビの近くですし、エボルグリムも……」
ユウ似の少女
「あー! 見つけたよ、ニセモノさん!」
ユウ
「ニセモノ……って、え?」
サツキ
「ユウをモデルにした
エボルグリムみたいね……」
「でもちょっと待って。
あのすぐ横に浮いてるのって」
サツキに似た女性
『うふふ……
あっちのユウもとぉっても可愛いわ』
シャロン
「もしかしてサツキ先生の
エボルグリムですの?」
ユウ
「でも、あっちのお姉ちゃんは
なんか幽霊みたいだよね」
サツキ
(ユウはあの姿の私を、
どこかで覚えているのかも。
それがエボルグリムに影響しているのね)
ラスク
「グリムのユウは完全に女の子って感じ。
性格だけじゃなくて性別も反対っぽいよ」
シャロン
「確かにユウさんは
可愛らしい方ですが……」
サツキ
「そうよね、ユウは可愛いわよね」
ユウ
「お姉ちゃん!」
サツキ
「あはは……ごめんなさい」
「でも、あのグリムの私も
倒せる方法はあるはず。
私もなにか考えて――」
ユウ
「大丈夫だよ。
本当の『ニセモノ』は、
僕がやっつけるから」
サツキ
「そ、そう? でも……
あの幽霊みたいな私は……」
サツキに似た女性
『幽霊だなんて失礼だわ。
この姿なら、いくらだって
ユウの側にいられるのよ?』
ユウ似の少女
「そうだよそうだよ! さすがお姉様!
だからお姉様って大好き!」
サツキに似た女性
『でも私、オトコノコのユウも気になるの。
ごめんね』
ユウ似の少女
「……ん?
なにか変なこと言わなかった、お姉様?」
サツキに似た女性
『ねぇ、少しでいいから
こっちのユウとそっちのユウ、
取り替えっこしないかしら?』
ユウ似の少女
「えぇっ!」
ユウ
「えぇっ!?」
シャロン
「あのグリム、自由過ぎませんこと?」
サツキ
「本当に私なのかしら……
解せないわ」
ラスク
「二人セットって感じじゃないんだね……」
ユウ似の少女
「許さない……許さない許さない許さないッ!
お姉様の愛を受けるのはわたし!
私だけなんだから!」
ユウ似の少女は突如激昂し、魔法のようなものでユウに攻撃を放つ。
その表情は先ほどとはまるで違うほど恐ろしい形相であった。
ユウ
「いきなり何するのさ!?」
ユウ似の少女
「だって、お姉様の一番はわたしだよ?
それがわたしと取り替えっこ?
絶対絶対絶対絶対許せないッ!」
ユウ
「……そんな風に依存してたら、
いつまでも自分のことを自分で
決められないままだよ?」
ユウ似の少女
「知ったことじゃないわ!!」
ユウ
「お姉様お姉様って、それじゃキミは
お姉ちゃんのおもちゃみたいじゃないか!
それでいいの!?」
ユウ似の少女
「お姉様は私の全て。私のいる理由。
それをあなたは馬鹿に馬鹿に馬鹿に
馬鹿にしてぇ!!」
サツキに似た女性
『あら、これって兄妹喧嘩かしら?』
サツキ
「よく考えればわたし……あんまり
ユウとこういう喧嘩したことないかも」
シャロン
「冷静に言っている場合じゃありませんわよ。
二対一ではユウさんが不利ですわ。
ラスクさん、助けに行きますわよ!」
ラスク
「うん、行こっか。放っておけないしね」
ユウ似の少女
「あなたが許しを乞うまで、更生してやる!
私の……愛で!」
ユウ似の少女は瘴気を纏って巨大な半透明な体をした流氷の天使のような姿に変貌をとげる。
ユウ
「押し付けがましい愛なんて
ごめんだから!」
ユウ似の少女
「そう言っていられるのも今のうちだけ……
すぐにお姉様がいかに素晴らしいか
わからせてあげる!」
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グリム・ユウと対峙する3人。
しかし圧倒的な力を前に形勢は次第に押されていく。
ユウ
「あの子、強い……」
シャロン
「さすがに断言するだけありますわね。
凄まじい力ですわ」
ラスク
「これ、三人がかりでも
かなり危なくない!?」
サツキ
「みんな、態勢を立て直して!」
ユウ
「でも……!」
サツキ
「お姉ちゃんの言うことを聞いて!」
ユウ
「嫌だ! このまま放ってなんて
おけないよ……!」
サツキ
「……え、ユウ?」
突如グリム・ユウはもとの少女の姿に戻る。
サツキに似た女性
『あらあら、嫌われちゃったわねぇ。
だったら、あなたも
こっちのコになってくれる?』
グリム・ユウ
「お姉様っ!?」
ユウ
「それもごめんだよ!」
サツキに似た女性
『なんですって……?
どうして……?』
グリム・ユウ
「そうよ! 足掻くのが精一杯なのに、
お姉様の言うことを聞かないなんて!」
ラスク
「いやいや、そうなるのが
許せなかったんじゃ……」
グリム・ユウ
「……ッ! それはそれ!
これはこれっ!」
シャロン
「論理がめちゃくちゃですわね……でも、
グリムの姿でなくなった今がチャンス。
一度退きましょう!」
ラスク
「そうだね。はぁ!」
ラスクが撤退の隙を生み出すための呪文を詠唱。周りに魔法陣が広がり空間がゆがみ始める。
シャロン
「行きますわよ、ユウさん!」
ユウ
「あ、うん!」
グリム・ユウ
「あぁ!? 逃がさないっ!」
あわててグリム・ユウが攻撃を放つ。しかし・・・
シャロン
「させませんわ!」
シャロンが唱えたシールドが攻撃を弾き、その瞬間3人の姿が消えた。
グリム・ユウ
「ごめんなさい、お姉様……
逃げられました」
サツキに似た女性
『ふふ……うふふふふ』
グリム・ユウ
「お、お姉様?」
サツキに似た女性
『あっちのユウがますます
欲しくなっちゃった……。 ねぇユウ、
お姉ちゃんに協力してくれるわよね?』
グリム・ユウ
「……お姉様が、そう望むなら……」
間一髪、危機を逃れた3人はサツキと今後のことについて話し合っていた。
サツキ
「状況を多少整理した方が良さそうね」
シャロン
「ええ、サツキ先生に同意しますわ。
そもそもエボルグリムとは、
なんなのでしょう」
サツキ
「ムジナくんにも意見を聞いてみたんだけど、
何かのテストなんじゃないかって
話になったの」
ラスク
「テスト? それってなんのさ?」
サツキ
「エボルグリムの攻撃は魔法と同質のもの。
であればマナを瘴気に変換するクサビとは、
逆の性質を持っていることになる」
シャロン
「なるほど。クサビはあくまで
エボルグリムの動力の確保が目的であり、
それを運用することが真の目的と?」
サツキ
「可能性のひとつだけどね。
だけど、そうだとしたら
一体誰が何のために……」
ユウ
「なんだろうと関係ないよ。
エボルグリムを作ったやつは
絶対許せない!」
ラスク
「……ユウ?」
ユウ
「他人の目的のために勝手に生み出されて、
しかも悪いことに利用されてる。
こんなのおかしいよ……」
サツキ
「……ユウは、優しいわね」
▲BACK TO TOP
しかし圧倒的な力を前に形勢は次第に押されていく。
ユウ
「あの子、強い……」
シャロン
「さすがに断言するだけありますわね。
凄まじい力ですわ」
ラスク
「これ、三人がかりでも
かなり危なくない!?」
サツキ
「みんな、態勢を立て直して!」
ユウ
「でも……!」
サツキ
「お姉ちゃんの言うことを聞いて!」
ユウ
「嫌だ! このまま放ってなんて
おけないよ……!」
サツキ
「……え、ユウ?」
突如グリム・ユウはもとの少女の姿に戻る。
サツキに似た女性
『あらあら、嫌われちゃったわねぇ。
だったら、あなたも
こっちのコになってくれる?』
グリム・ユウ
「お姉様っ!?」
ユウ
「それもごめんだよ!」
サツキに似た女性
『なんですって……?
どうして……?』
グリム・ユウ
「そうよ! 足掻くのが精一杯なのに、
お姉様の言うことを聞かないなんて!」
ラスク
「いやいや、そうなるのが
許せなかったんじゃ……」
グリム・ユウ
「……ッ! それはそれ!
これはこれっ!」
シャロン
「論理がめちゃくちゃですわね……でも、
グリムの姿でなくなった今がチャンス。
一度退きましょう!」
ラスク
「そうだね。はぁ!」
ラスクが撤退の隙を生み出すための呪文を詠唱。周りに魔法陣が広がり空間がゆがみ始める。
シャロン
「行きますわよ、ユウさん!」
ユウ
「あ、うん!」
グリム・ユウ
「あぁ!? 逃がさないっ!」
あわててグリム・ユウが攻撃を放つ。しかし・・・
シャロン
「させませんわ!」
シャロンが唱えたシールドが攻撃を弾き、その瞬間3人の姿が消えた。
グリム・ユウ
「ごめんなさい、お姉様……
逃げられました」
サツキに似た女性
『ふふ……うふふふふ』
グリム・ユウ
「お、お姉様?」
サツキに似た女性
『あっちのユウがますます
欲しくなっちゃった……。 ねぇユウ、
お姉ちゃんに協力してくれるわよね?』
グリム・ユウ
「……お姉様が、そう望むなら……」
間一髪、危機を逃れた3人はサツキと今後のことについて話し合っていた。
サツキ
「状況を多少整理した方が良さそうね」
シャロン
「ええ、サツキ先生に同意しますわ。
そもそもエボルグリムとは、
なんなのでしょう」
サツキ
「ムジナくんにも意見を聞いてみたんだけど、
何かのテストなんじゃないかって
話になったの」
ラスク
「テスト? それってなんのさ?」
サツキ
「エボルグリムの攻撃は魔法と同質のもの。
であればマナを瘴気に変換するクサビとは、
逆の性質を持っていることになる」
シャロン
「なるほど。クサビはあくまで
エボルグリムの動力の確保が目的であり、
それを運用することが真の目的と?」
サツキ
「可能性のひとつだけどね。
だけど、そうだとしたら
一体誰が何のために……」
ユウ
「なんだろうと関係ないよ。
エボルグリムを作ったやつは
絶対許せない!」
ラスク
「……ユウ?」
ユウ
「他人の目的のために勝手に生み出されて、
しかも悪いことに利用されてる。
こんなのおかしいよ……」
サツキ
「……ユウは、優しいわね」
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トーキョー近郊を調査するヴァニィたちのもとへと瘴気を纏った気配が近づいてくる。
ヴァニィ
「来た来たーッ、来ましたよ!
グリムのアロエさんとマラリヤさんが接近中です!」
マラリヤ
「ふ……飛んで火に入る夏の虫。
かかってくるがいいわ」
アロエ
「あたしたちも今までのあたしたちじゃないもん!
今度はちゃんと封印できるよ!」
マラリヤ
「もちのろんろん」
レオン
「なんかあっちのマラリヤはおとなしいんだってな。
ちょっと面白そうだぜ」
アロエ
「レオンくん……そういう問題じゃないから」
マラリヤ
「反省しなさい」
ヴァニィ
「確かにデリカシーに欠ける発言でしたね!」
レオン
「えぇ!? 俺が悪いのかよ!?」
大きな音を立ててグリム・アロエが、次いでグリム・マラリヤが地面へと降りたった。
グリム・アロエ
「やっほー、オリジナル! 久しぶりだね♪」
グリム・マラリヤ
「お、お久しぶり……です」
レオン
「おお、本当になんか雰囲気違うな!」
アロエ
「レオンくん……」
マラリヤ
「空気読みなさい」
グリム・アロエ
「なぁんだ、今日はレオンおにいちゃんかー。
あたしと遊んでくれる?」
レオン
「おう! 一発ぶちかましてやるよ!」
グリム・アロエ
「あははっ!
それ、こっちのレオンおにいちゃんとそっくり!」
ヴァニィ
「こっちのというと、以前アラクラヤマで戦った、長髪のレオンさんですね」
レオン
「似てる似てないなんて関係ないぜ!
俺たちはトーキョーを守るんだ。
な、みんな!」
アロエ
「うん! 好き勝手に暴れさせたりしない!」
マラリヤ
「言われなくとも」
グリム・アロエ
「またそんな殺気立っちゃってぇ。
怖いよー。ねー、マラリヤちゃん」
グリム・マラリヤ
「そ、そんなに怖くないと思うけど……」
グリム・アロエ
「こ・わ・い・よ・ねー?」
グリム・マラリヤ
「ひぃ……!?
こ、怖いです……」
グリム・アロエ
「よしよし。
それじゃあ、こーんな可愛いあたしたちを怖がらせる人たちには、お仕置きするよ!」
ヴァニィ
「おーっと、グリム側からの宣戦布告!
これは熱いバトルスタートの合図かぁ!?」
アロエ
「実況してる場合じゃないよ、ヴァニィちゃん!
一緒に頑張ろう!」
ヴァニィ
「これは申し訳ありません!
承知いたしました!」
マラリヤ
「獅子は我が子を千尋の谷にドロップキック……
私を元にしているなら、それなりの試練を覚悟なさい」
レオン
「覚悟しやがれ!
遊びだって舐めてかかると、あっという間だぜ!」
グリム・アロエ
「本当、戦うことばっかしか頭にないのね……
ざーんねんなひと」
グリム・マラリヤ
「い、言い過ぎだと思うけど……でも、強そうだね」
グリム・アロエ
「あたしたちならだいじょーぶだいじょーぶ♪
さ、あたしたちがオリジナルになっちゃお!」
グリム・マラリヤ
「……うん!」
アロエ
「そんなこと、絶対にさせないんだから!」
グリム・アロエ
「強情だなぁ♪」
濃い瘴気をまとったグリム・アロエとグリム・マラリヤは巨大なグリムへとその身を変える。
羽ばたく蝙蝠の首に絡みついた蛇がちろちろと赤い舌をのぞかせた。
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ヴァニィ
「来た来たーッ、来ましたよ!
グリムのアロエさんとマラリヤさんが接近中です!」
マラリヤ
「ふ……飛んで火に入る夏の虫。
かかってくるがいいわ」
アロエ
「あたしたちも今までのあたしたちじゃないもん!
今度はちゃんと封印できるよ!」
マラリヤ
「もちのろんろん」
レオン
「なんかあっちのマラリヤはおとなしいんだってな。
ちょっと面白そうだぜ」
アロエ
「レオンくん……そういう問題じゃないから」
マラリヤ
「反省しなさい」
ヴァニィ
「確かにデリカシーに欠ける発言でしたね!」
レオン
「えぇ!? 俺が悪いのかよ!?」
大きな音を立ててグリム・アロエが、次いでグリム・マラリヤが地面へと降りたった。
グリム・アロエ
「やっほー、オリジナル! 久しぶりだね♪」
グリム・マラリヤ
「お、お久しぶり……です」
レオン
「おお、本当になんか雰囲気違うな!」
アロエ
「レオンくん……」
マラリヤ
「空気読みなさい」
グリム・アロエ
「なぁんだ、今日はレオンおにいちゃんかー。
あたしと遊んでくれる?」
レオン
「おう! 一発ぶちかましてやるよ!」
グリム・アロエ
「あははっ!
それ、こっちのレオンおにいちゃんとそっくり!」
ヴァニィ
「こっちのというと、以前アラクラヤマで戦った、長髪のレオンさんですね」
レオン
「似てる似てないなんて関係ないぜ!
俺たちはトーキョーを守るんだ。
な、みんな!」
アロエ
「うん! 好き勝手に暴れさせたりしない!」
マラリヤ
「言われなくとも」
グリム・アロエ
「またそんな殺気立っちゃってぇ。
怖いよー。ねー、マラリヤちゃん」
グリム・マラリヤ
「そ、そんなに怖くないと思うけど……」
グリム・アロエ
「こ・わ・い・よ・ねー?」
グリム・マラリヤ
「ひぃ……!?
こ、怖いです……」
グリム・アロエ
「よしよし。
それじゃあ、こーんな可愛いあたしたちを怖がらせる人たちには、お仕置きするよ!」
ヴァニィ
「おーっと、グリム側からの宣戦布告!
これは熱いバトルスタートの合図かぁ!?」
アロエ
「実況してる場合じゃないよ、ヴァニィちゃん!
一緒に頑張ろう!」
ヴァニィ
「これは申し訳ありません!
承知いたしました!」
マラリヤ
「獅子は我が子を千尋の谷にドロップキック……
私を元にしているなら、それなりの試練を覚悟なさい」
レオン
「覚悟しやがれ!
遊びだって舐めてかかると、あっという間だぜ!」
グリム・アロエ
「本当、戦うことばっかしか頭にないのね……
ざーんねんなひと」
グリム・マラリヤ
「い、言い過ぎだと思うけど……でも、強そうだね」
グリム・アロエ
「あたしたちならだいじょーぶだいじょーぶ♪
さ、あたしたちがオリジナルになっちゃお!」
グリム・マラリヤ
「……うん!」
アロエ
「そんなこと、絶対にさせないんだから!」
グリム・アロエ
「強情だなぁ♪」
濃い瘴気をまとったグリム・アロエとグリム・マラリヤは巨大なグリムへとその身を変える。
羽ばたく蝙蝠の首に絡みついた蛇がちろちろと赤い舌をのぞかせた。
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ヴァニイ
「やりましたレオンさん!
クリティカルヒットです!」
レオン
「よっしゃ、よろめいた!
アロエ! マラリヤ! そっちは頼むぜ!」
アロエ
「うん! いくよ、マラリヤちゃん!」
マラリヤ
「わかったわ。 ほーい」
アロエとマラリヤがほぼ同時に放った魔法は光の奔流となって、グリムへと直撃した。
グリム・アロエ&グリム・マラリヤ
「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴と共にグリムは人間態へと姿を戻す。
グリム・アロエ
「これが本当のオリジナルの実力だっていうの?
……冗談、でしょ?」
グリム・マラリヤ
「……認めようよ、アロエ……オリジナルは、私たちより強いよ……」
グリム・アロエ
「いやっ! いやっ! いやっ!!
だってあたしたちはいっぱい遊ぶんだもん。
ぜーんぶ好き勝手にしていいんだもん!」
アロエ
「それって、違うと思う」
グリム・アロエ
「なによっ! オリジナルに何がわかるの!!
あたしたちはニセモノ……なんだから!」
アロエ
「……それは…………」
「………………」
言いよどみ考え込んでしまったアロエを勇気付けるようにレオンは彼女の側で足を止める。
レオン
「アロエ、なんかあっても俺たちが助けてやる。
だから、ちゃんと聞こえるところで伝えてやれよ。
おまえの気持ちをさ」
アロエ
「……うん! ありがとうレオンくん」
スカートの裾を翻してグリム・アロエの元へと走り寄るアロエを見守りながらヴァニィが口を開く。
ヴァニイ
「レオンさんの優しいお気遣い!
わたくし、なんだか感動してきました……!」
マラリヤ
「ふ……たまにはいいことするのね」
レオン
「たまにはって言われると、あんま褒められてる気しなくねぇか?」
一方、人間態へと戻ったグリム・アロエはすっかり意気消沈していた。
グリム・アロエ
「……やだ。このまま消えちゃうの……あたし。
メディアちゃんみたいになっちゃう?
やだ……やだよぉ……」
グリム・マラリヤ
「アロエ……。
大丈夫、大丈夫だよ。 私、側にいるよ……」
グリム・アロエ
「マラリヤちゃん……」
アロエ
「聞いて! もうひとりのあたし!」
グリム・アロエ
「……っ!? な、なによっ!?」
アロエ
「あたしと、遊ぼう」
グリム・アロエ
「え?」
アロエ
「あたしもこのトーキョーで、
見てみたいところも遊びたいところも、たくさんあるんだ」
グリム・アロエ
「そんなの……勝手にいけばいいじゃない」
アロエ
「あたしがわがまま言ったら、みんなに迷惑かけちゃうから……
我慢してたの」
「でも、あなたを見てたら、あたしももっと素直になれたらなって思って。
だから、あなたと一緒がいいな」
グリム・アロエ
「……………………」
「……オリジナルのあたしって、
すっごくお人好しで、すっごく子供だね」
アロエ
「あなたが言うなら……そうかも」
グリム・アロエ
「それ約束してよね。今じゃなくて、いつか。
絶対守ってよ?」
アロエ
「うん、ゆびきり」
マラリヤ
「それじゃあ、もし破ったら針千本飲ますわね」
アロエ
「マラリヤちゃん!?」
グリム・マラリヤ
「……じゃ、じゃあこっちもそれで
……計二千本」
グリム・アロエ
「こっちまで!?」
マラリヤ
「じゃあ、大人しく封印されてくれるってことね」
グリム・マラリヤ
「……はい。お騒がせしました」
レオン
「マラリヤはこっちのマラリヤと代わった方が……」
マラリヤ
「――黙らっしゃい」
マラリヤが投げつけた何かは風を切り、標的を違わずレオンへと直撃する。
レオン
「ぐほっ……」
ヴァニイ
「それではレオンさんはさておいて、ゆびきりの掛け声とまいりましょう!」
「ゆーびきりげんまん、うーそついたら――」
マラリヤ&グリム・マラリヤ
「針二千本のーます」
アロエ&グリム・アロエ
「ゆびきった!」
グリモワールから溢れた光が微笑むグリム・マラリヤと晴れ晴れとした笑顔で指を切ったグリム・アロエを包み込みグリモワールへと封じ込めた。
アロエ
「なんか、寂しい。
でも、これがあたしたちのお仕事だもんね」
レオン
「だけどよ、こうやって守ったり、クサビを壊したりしてるだけで、
トーキョーの問題って解決するのか?」
マラリヤ
「……ツンツン頭にしては中々鋭いことを。
あと、『あの御方』というワードも、何回か聞いたけどいまだ不明」
アロエ
「まだまだ、わからないことだらけ……」
ヴァニィ
「では決まりましたね!
次回は、『あの御方』の謎に迫るしかありませんっ!」
レオン
「よっしゃ、俺たちでやってやろうぜ!」
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「やりましたレオンさん!
クリティカルヒットです!」
レオン
「よっしゃ、よろめいた!
アロエ! マラリヤ! そっちは頼むぜ!」
アロエ
「うん! いくよ、マラリヤちゃん!」
マラリヤ
「わかったわ。 ほーい」
アロエとマラリヤがほぼ同時に放った魔法は光の奔流となって、グリムへと直撃した。
グリム・アロエ&グリム・マラリヤ
「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴と共にグリムは人間態へと姿を戻す。
グリム・アロエ
「これが本当のオリジナルの実力だっていうの?
……冗談、でしょ?」
グリム・マラリヤ
「……認めようよ、アロエ……オリジナルは、私たちより強いよ……」
グリム・アロエ
「いやっ! いやっ! いやっ!!
だってあたしたちはいっぱい遊ぶんだもん。
ぜーんぶ好き勝手にしていいんだもん!」
アロエ
「それって、違うと思う」
グリム・アロエ
「なによっ! オリジナルに何がわかるの!!
あたしたちはニセモノ……なんだから!」
アロエ
「……それは…………」
「………………」
言いよどみ考え込んでしまったアロエを勇気付けるようにレオンは彼女の側で足を止める。
レオン
「アロエ、なんかあっても俺たちが助けてやる。
だから、ちゃんと聞こえるところで伝えてやれよ。
おまえの気持ちをさ」
アロエ
「……うん! ありがとうレオンくん」
スカートの裾を翻してグリム・アロエの元へと走り寄るアロエを見守りながらヴァニィが口を開く。
ヴァニイ
「レオンさんの優しいお気遣い!
わたくし、なんだか感動してきました……!」
マラリヤ
「ふ……たまにはいいことするのね」
レオン
「たまにはって言われると、あんま褒められてる気しなくねぇか?」
一方、人間態へと戻ったグリム・アロエはすっかり意気消沈していた。
グリム・アロエ
「……やだ。このまま消えちゃうの……あたし。
メディアちゃんみたいになっちゃう?
やだ……やだよぉ……」
グリム・マラリヤ
「アロエ……。
大丈夫、大丈夫だよ。 私、側にいるよ……」
グリム・アロエ
「マラリヤちゃん……」
アロエ
「聞いて! もうひとりのあたし!」
グリム・アロエ
「……っ!? な、なによっ!?」
アロエ
「あたしと、遊ぼう」
グリム・アロエ
「え?」
アロエ
「あたしもこのトーキョーで、
見てみたいところも遊びたいところも、たくさんあるんだ」
グリム・アロエ
「そんなの……勝手にいけばいいじゃない」
アロエ
「あたしがわがまま言ったら、みんなに迷惑かけちゃうから……
我慢してたの」
「でも、あなたを見てたら、あたしももっと素直になれたらなって思って。
だから、あなたと一緒がいいな」
グリム・アロエ
「……………………」
「……オリジナルのあたしって、
すっごくお人好しで、すっごく子供だね」
アロエ
「あなたが言うなら……そうかも」
グリム・アロエ
「それ約束してよね。今じゃなくて、いつか。
絶対守ってよ?」
アロエ
「うん、ゆびきり」
マラリヤ
「それじゃあ、もし破ったら針千本飲ますわね」
アロエ
「マラリヤちゃん!?」
グリム・マラリヤ
「……じゃ、じゃあこっちもそれで
……計二千本」
グリム・アロエ
「こっちまで!?」
マラリヤ
「じゃあ、大人しく封印されてくれるってことね」
グリム・マラリヤ
「……はい。お騒がせしました」
レオン
「マラリヤはこっちのマラリヤと代わった方が……」
マラリヤ
「――黙らっしゃい」
マラリヤが投げつけた何かは風を切り、標的を違わずレオンへと直撃する。
レオン
「ぐほっ……」
ヴァニイ
「それではレオンさんはさておいて、ゆびきりの掛け声とまいりましょう!」
「ゆーびきりげんまん、うーそついたら――」
マラリヤ&グリム・マラリヤ
「針二千本のーます」
アロエ&グリム・アロエ
「ゆびきった!」
グリモワールから溢れた光が微笑むグリム・マラリヤと晴れ晴れとした笑顔で指を切ったグリム・アロエを包み込みグリモワールへと封じ込めた。
アロエ
「なんか、寂しい。
でも、これがあたしたちのお仕事だもんね」
レオン
「だけどよ、こうやって守ったり、クサビを壊したりしてるだけで、
トーキョーの問題って解決するのか?」
マラリヤ
「……ツンツン頭にしては中々鋭いことを。
あと、『あの御方』というワードも、何回か聞いたけどいまだ不明」
アロエ
「まだまだ、わからないことだらけ……」
ヴァニィ
「では決まりましたね!
次回は、『あの御方』の謎に迫るしかありませんっ!」
レオン
「よっしゃ、俺たちでやってやろうぜ!」
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〜不可思議な空間〜
エボルグリムたちが集う不可思議な空間でグリム・ユウは物憂げな様子で考え込んでいる。
グリム・ユウ
「……………………」
グリム・レオン
「なんだお前、姉貴はどうした?」
グリム・ユウ
「……おやすみ中。
あなたこそクサビのところに
いなくていいの?」
グリム・レオン
「知ったことかよ。
オレは自分の意思で動く」
グリム・ユウ
「……自分の意思か……」
グリム・レオン
「はん、辛気臭い顔しやがって。
いっちょ前に人間のふりかよ」
グリム・ユウ
「わたしだって悩むもん!
だってお姉様が……お姉様が……ッ!
でもクサビだって守らなきゃだし……」
グリム・レオン
「誰かに決められた道なんてつまんねぇ。
お前のしたいようにしろよ。
じゃあな」
グリム・ユウ
「え? ちょ、ちょっと!
どういうこと!?」
踵を返すグリム・レオンは背中にかけられた驚愕と困惑の声を無視して立ち去った。
グリム・レオン
「……チッ、らしくねぇことしちまった」
一方クサビの元へと向かうユウが不意に口を開いた。
ユウ
「あのエボルグリム……このままでいいのかな?」
ラスク
「このまま、って?」
ユウ
「お姉ちゃんのいうことが全てって、僕は違う気がするんだ」
シャロン
「なるほど。ユウさんはあのエボルグリムを助けたいんですのね」
ラスク
「はい? それってどういうことさ?」
サツキ
「つまり、あの女の子――ユウちゃんに、姉離れをさせてあげようってことね」
ユウ
「そういうわけじゃないけど……
『あの御方』っていうのとお姉ちゃん、
二人に縛られてるのは窮屈じゃないかな」
シャロン
「でも、本人が幸せならいいんではなくて?
それに相手はグリムですわよ?」
サツキ
「ユウの好きにさせてあげられないかしら」
ユウ
「お姉ちゃん……」
サツキ
「ユウは優しいから。
もう一人のあなたを助けてあげたいのよね」
ユウ
「……うん。だから、僕に話をさせて欲しい。
ダメかな?」
ラスク
「そんなこと言うわけないじゃん。
ユウは大事な仲間なんだからさ」
シャロン
「わたくしたちは直接クサビの方に向かいますわ。
あの子のことは、あなたに任せます」
ユウ
「うん!」
直接クサビの方に向かうラスクたちと別れグリム・ユウの元へとおもむいたユウを待っていたのは、
まなじりをつり上げ毛を逆立てた猫のように怒るグリム・ユウと、対照的に満面に喜色を湛えたサツキに似た女性だった。
グリム・ユウ
「あなた、また性懲りもなくッ!」
サツキに似た女性
『待ってたわ!
しかもひとりだなんて、決心がついたのね!』
ユウ
「僕は話をしに来たんだ!」
グリム・ユウ
「話すことなんてない!
お姉様のものになるか、ここで消えるかどちらかだもの!」
ユウ
「キミは本当にそれでいいの?」
グリム・ユウ
「うるさい! おんなじような顔で話しかけないで!
お姉様がわたしの全てだっていったでしょ!!」
サツキに似た女性
『……………………』
ユウ
「なにもかも他人が決めた道で、本当にキミはいいと思ってるの!」
グリム・ユウ
「思ってる! 思ってるに決まってる!」
ユウ
「僕もお姉ちゃんがずっと側にいればいい……
そんな風に思ってた。言うことを聞いてれば、そうできると思ってた」
グリム・ユウ
「……え?」
ユウ
「でも、大切なことは自分で決めないといけない」
「アカデミーのみんなと一緒にいるうちに、僕はそう気づいたんだ!」
サツキ
「ユウ、あなた……!」
グリム・ユウ
「……うるさい」
ユウ
「ユウ!」
グリム・ユウ
「……うるさいうるさいうるさいうるさい
うるさいうるさいうるさいうるさいッ!!」
サツキに似た女性
『ユウ……大丈夫?
あのユウは私のものにするんだから、怪我させちゃダメなんだからね?』
グリム・ユウ
「お姉様も黙ってて……
ユウユウユウユウユウユウ!
その名前を呼ばないでぇぇぇぇぇ!!」
悲鳴のような叫び声を上げたグリム・ユウは巨大なグリムへとその姿を変えた。
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エボルグリムたちが集う不可思議な空間でグリム・ユウは物憂げな様子で考え込んでいる。
グリム・ユウ
「……………………」
グリム・レオン
「なんだお前、姉貴はどうした?」
グリム・ユウ
「……おやすみ中。
あなたこそクサビのところに
いなくていいの?」
グリム・レオン
「知ったことかよ。
オレは自分の意思で動く」
グリム・ユウ
「……自分の意思か……」
グリム・レオン
「はん、辛気臭い顔しやがって。
いっちょ前に人間のふりかよ」
グリム・ユウ
「わたしだって悩むもん!
だってお姉様が……お姉様が……ッ!
でもクサビだって守らなきゃだし……」
グリム・レオン
「誰かに決められた道なんてつまんねぇ。
お前のしたいようにしろよ。
じゃあな」
グリム・ユウ
「え? ちょ、ちょっと!
どういうこと!?」
踵を返すグリム・レオンは背中にかけられた驚愕と困惑の声を無視して立ち去った。
グリム・レオン
「……チッ、らしくねぇことしちまった」
一方クサビの元へと向かうユウが不意に口を開いた。
ユウ
「あのエボルグリム……このままでいいのかな?」
ラスク
「このまま、って?」
ユウ
「お姉ちゃんのいうことが全てって、僕は違う気がするんだ」
シャロン
「なるほど。ユウさんはあのエボルグリムを助けたいんですのね」
ラスク
「はい? それってどういうことさ?」
サツキ
「つまり、あの女の子――ユウちゃんに、姉離れをさせてあげようってことね」
ユウ
「そういうわけじゃないけど……
『あの御方』っていうのとお姉ちゃん、
二人に縛られてるのは窮屈じゃないかな」
シャロン
「でも、本人が幸せならいいんではなくて?
それに相手はグリムですわよ?」
サツキ
「ユウの好きにさせてあげられないかしら」
ユウ
「お姉ちゃん……」
サツキ
「ユウは優しいから。
もう一人のあなたを助けてあげたいのよね」
ユウ
「……うん。だから、僕に話をさせて欲しい。
ダメかな?」
ラスク
「そんなこと言うわけないじゃん。
ユウは大事な仲間なんだからさ」
シャロン
「わたくしたちは直接クサビの方に向かいますわ。
あの子のことは、あなたに任せます」
ユウ
「うん!」
直接クサビの方に向かうラスクたちと別れグリム・ユウの元へとおもむいたユウを待っていたのは、
まなじりをつり上げ毛を逆立てた猫のように怒るグリム・ユウと、対照的に満面に喜色を湛えたサツキに似た女性だった。
グリム・ユウ
「あなた、また性懲りもなくッ!」
サツキに似た女性
『待ってたわ!
しかもひとりだなんて、決心がついたのね!』
ユウ
「僕は話をしに来たんだ!」
グリム・ユウ
「話すことなんてない!
お姉様のものになるか、ここで消えるかどちらかだもの!」
ユウ
「キミは本当にそれでいいの?」
グリム・ユウ
「うるさい! おんなじような顔で話しかけないで!
お姉様がわたしの全てだっていったでしょ!!」
サツキに似た女性
『……………………』
ユウ
「なにもかも他人が決めた道で、本当にキミはいいと思ってるの!」
グリム・ユウ
「思ってる! 思ってるに決まってる!」
ユウ
「僕もお姉ちゃんがずっと側にいればいい……
そんな風に思ってた。言うことを聞いてれば、そうできると思ってた」
グリム・ユウ
「……え?」
ユウ
「でも、大切なことは自分で決めないといけない」
「アカデミーのみんなと一緒にいるうちに、僕はそう気づいたんだ!」
サツキ
「ユウ、あなた……!」
グリム・ユウ
「……うるさい」
ユウ
「ユウ!」
グリム・ユウ
「……うるさいうるさいうるさいうるさい
うるさいうるさいうるさいうるさいッ!!」
サツキに似た女性
『ユウ……大丈夫?
あのユウは私のものにするんだから、怪我させちゃダメなんだからね?』
グリム・ユウ
「お姉様も黙ってて……
ユウユウユウユウユウユウ!
その名前を呼ばないでぇぇぇぇぇ!!」
悲鳴のような叫び声を上げたグリム・ユウは巨大なグリムへとその姿を変えた。
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シャロン
「はぁ!」
ラスク
「えい!」
ユウとグリム・ユウが戦っているその間に、別行動をしていたシャロンとラスクは無防備なクサビへと魔法を放つ。
魔法が直撃したクサビは硬質な音を立てて砕け散った。
グリム・ユウ
「きゃああああ!!」
サツキに似た女性
『あぁ……!?』
ユウ
「ふたりとも!」
ラスク
「ユウの時間稼ぎのおかげで任務達成だよ」
シャロン
「無事にクサビは破壊しましたわ」
サツキに似た女性
『そういう……作戦だったのね……
さすが、私の……ユウ……』
ユウ
「……!?
違うよ! そういうわけじゃない!」
グリム・ユウ
「お、お姉様……お姉様……
お姉様っ! い、行かないで……
私を一人にしないで……!?」
サツキに似た女性
『あ、ああ……消える……わたし、
ずっと……ユウの……そばに……』
クサビからの瘴気の供給が無くなり、徐々に姿が薄れたサツキに似た女性は最後に光になって消えた。
しばしの沈黙を挟んで、グリム・ユウは悲壮に満ちた声を絞り出す。
グリム・ユウ
「あ、ああ、あ……」
ユウ
「……ねぇ、キミはなにか、したいことないの?」
グリム・ユウ
「したい……こと?」
ユウ
「そう。しなきゃいけないことじゃなくて、したいこと」
グリム・ユウ
「お姉様がいなくなったら……私、何もできない。
ううん、何をしたらいいかわからない……」
シャロン
「だったら、探せばいいではありませんの」
グリム・ユウ
「……え?」
ラスク
「ま、そのために僕らも勉強しているところあるしね」
ユウ
「僕もまだまだ探し中なんだ。
僕とキミはそっくりみたいだし、良かったら一緒に探さない?」
グリム・ユウ
「ふふ……ふふふ……」
ユウ
「あ、その……ちょっとくさかったかな」
グリム・ユウ
「いいえ……素敵でした、お兄様」
ラスク
「お兄!?」
シャロン
「様……!?」
ユウ
「……あ、いやそれはその……」
サツキ
「いいじゃない、ユウ。
あなたがちゃんと責任持ちなさい」
グリム・ユウ
「……私もすぐ側で、お兄様と一緒に探してみます。
自分の、したいこと」
ユウ
「……うん。またね」
心酔しきったような微笑みを浮かべるグリム・ユウをユウのグリモワールから溢れ出た光が捉えて飲み込んだ。
グリモワールの中に形代が封じ込められる。
ラスク
「なんだか、ちょっと悲しいよね」
シャロン
「これも世界の平和のためですわ」
不意にうっとりと微笑んだグリム・ユウの甘えたような声がユウの耳に届く。
グリム・ユウ
「これでずっと一緒にいられますね、お兄様♪」
ユウ
「う……なんか、変な声が聞こえた気がする」
ラスク
「ユウ、なにしてんの。 帰ろ!」
ユウ
「あ、まってよラスくん!」
ユウたちが去ってからしばらく経った後、嘗てクサビがあった場所にグリム・レオンが姿を現した。
グリム・レオン
「はっ……雑魚が。
簡単にやられやがって……」
グリム・レオン
「けどよ、与えられたもんと違う道を歩くって決めたのは、
なかなかイカしてたと思うぜ、ユウ」
「はぁ!」
ラスク
「えい!」
ユウとグリム・ユウが戦っているその間に、別行動をしていたシャロンとラスクは無防備なクサビへと魔法を放つ。
魔法が直撃したクサビは硬質な音を立てて砕け散った。
グリム・ユウ
「きゃああああ!!」
サツキに似た女性
『あぁ……!?』
ユウ
「ふたりとも!」
ラスク
「ユウの時間稼ぎのおかげで任務達成だよ」
シャロン
「無事にクサビは破壊しましたわ」
サツキに似た女性
『そういう……作戦だったのね……
さすが、私の……ユウ……』
ユウ
「……!?
違うよ! そういうわけじゃない!」
グリム・ユウ
「お、お姉様……お姉様……
お姉様っ! い、行かないで……
私を一人にしないで……!?」
サツキに似た女性
『あ、ああ……消える……わたし、
ずっと……ユウの……そばに……』
クサビからの瘴気の供給が無くなり、徐々に姿が薄れたサツキに似た女性は最後に光になって消えた。
しばしの沈黙を挟んで、グリム・ユウは悲壮に満ちた声を絞り出す。
グリム・ユウ
「あ、ああ、あ……」
ユウ
「……ねぇ、キミはなにか、したいことないの?」
グリム・ユウ
「したい……こと?」
ユウ
「そう。しなきゃいけないことじゃなくて、したいこと」
グリム・ユウ
「お姉様がいなくなったら……私、何もできない。
ううん、何をしたらいいかわからない……」
シャロン
「だったら、探せばいいではありませんの」
グリム・ユウ
「……え?」
ラスク
「ま、そのために僕らも勉強しているところあるしね」
ユウ
「僕もまだまだ探し中なんだ。
僕とキミはそっくりみたいだし、良かったら一緒に探さない?」
グリム・ユウ
「ふふ……ふふふ……」
ユウ
「あ、その……ちょっとくさかったかな」
グリム・ユウ
「いいえ……素敵でした、お兄様」
ラスク
「お兄!?」
シャロン
「様……!?」
ユウ
「……あ、いやそれはその……」
サツキ
「いいじゃない、ユウ。
あなたがちゃんと責任持ちなさい」
グリム・ユウ
「……私もすぐ側で、お兄様と一緒に探してみます。
自分の、したいこと」
ユウ
「……うん。またね」
心酔しきったような微笑みを浮かべるグリム・ユウをユウのグリモワールから溢れ出た光が捉えて飲み込んだ。
グリモワールの中に形代が封じ込められる。
ラスク
「なんだか、ちょっと悲しいよね」
シャロン
「これも世界の平和のためですわ」
不意にうっとりと微笑んだグリム・ユウの甘えたような声がユウの耳に届く。
グリム・ユウ
「これでずっと一緒にいられますね、お兄様♪」
ユウ
「う……なんか、変な声が聞こえた気がする」
ラスク
「ユウ、なにしてんの。 帰ろ!」
ユウ
「あ、まってよラスくん!」
ユウたちが去ってからしばらく経った後、嘗てクサビがあった場所にグリム・レオンが姿を現した。
グリム・レオン
「はっ……雑魚が。
簡単にやられやがって……」
グリム・レオン
「けどよ、与えられたもんと違う道を歩くって決めたのは、
なかなかイカしてたと思うぜ、ユウ」
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もたらされたクサビの情報を追って、アイコたちはカンサイの街中を調査していた。
アイコ
「天下の台所って言うだけあってうまいもんばっかやなぁ。
このたこ焼きなんて、もー最高やー」
ルキア
「ホンマやね。
ついつい食べすぎて、お腹パンパンになってまうわ」
タイガ
「お前らええ加減にせえよ!
何をけったいな話し方しとんねん!」
リック
「タイガの喋り方となにも変わらないが」
タイガ
「真似するんやったら、ちゃんと真似せんかい!」
「こっちはクサビが見つからんでただでさえ、イライラしとんのに」
リック
「この近くで反応があると聞いたが。
まったく見当たらないな」
アイコ
「だから、こうやって街の中を歩いて探してるんじゃん」
タイガ
「探しとるようには見えへんけどな。
こんなんでホンマに見つけ――」
地響きを立てて揺れる地面に、暁の賢者たちは慌てて周りを見渡す。
リック
「な、なんだ、この揺れは!?
それにこの気配は!」
唐突に周囲を濃い瘴気が漂い始め、先ほどまでは確かに何も無かった空間にクサビが出現した。
タイガ
「どないなっとんねん!
今まであないなところにクサビなんかなかったで!」
困惑するタイガたちの耳にアカデミーと繋がっているグリモワールからガルーダの声が響く。
ガルーダ
「おい、なにがあった。
お前たちの周辺に今までにない力の反応を感知したぞ!」
リック
「それが急にクサビが出現しました。
まったく見えていなかったのに……」
ガルーダ
「消したものを見せたということは、お前たちの存在に気付いている可能性が高い」
タイガ
「罠かもしれんっちゅうことですか。
せやけど、それがなんやって話や。
どうせ罠でも行かなあかんからな」
ガルーダ
「ふっ、そうだったな。
俺がお前たちにできることは少ない。
だが、あえて言わせてもらおう!」
ガルーダ
「お前たちは俺の生徒だ。
簡単に倒れるようなことは決してない。
罠など、全力でぶち抜いてやれ!」
リック
「任せてください。
必ず、相手を仕留めてきます!」
ガルーダ
「頼んだぞ!」
ガルーダとの通信を終え、リックたちは細やかな砂礫の舞うクサビの元へと歩を進めていた。
タイガ
「しっかし、改めて見るとえらいデカイな。
どうせ誰かが守っとるんやろ、とっととぶっ飛ばして、アレもぶち壊すで」
グリム・タイガ
「品がないな。
こんな野蛮人が僕のオリジナルなんてまったく嘆かわしい」
タイガ
「お前か、ここ守っと――って、俺かい!
なんや、そのけったくそ悪い喋り方は」
グリム・タイガ
「ふっ、キミと僕は頭の作りが違うんだ。
一緒にしないでくれ」
タイガ
「なんやと、こら!
そこで待っとけや、今すぐぶっ飛ばし……」
グリム・タイガに近づこうとしたタイガたちは自らの身体に異変を覚える。
タイガ
「ぐっ……
な、なんや、身体が重い……」
ルキア
「わ、わたしもなんか変だよ……
どうなってるの……」
グリム・リック
「はっ、やっと効きやがったか。
いつまで待たせんだよ、ダボが!」
リック
「くっ、もうひとりいたのか……!
これはお前がやったのか」
グリム・リック
「正解だぜ、オリジナル。
オレ様特製の痺れ薬の味はどうだぁ!」
リック
「痺れ薬だと!?
卑怯な、正々堂々と戦えないのか!」
グリム・リック
「正々堂々とか、反吐が出るぜ!
戦いはな、勝ちゃいいんだよ、勝ちゃ!
あはははっ!」
リック
「なんて非道な。
勝つために手段を選ばないとは……」
アイコ
「とにかく、毒を治さないと!
わたし、ちょっとだけ治癒魔法使えるから、みんな早く!」
グリム・リック
「んなことさせるわけねぇだろぉ!
今からボコボコにしてやんだからよォ!」
タイガ
「あれがお前の相方か。
えらい正反対のやつと組んどるな」
グリム・タイガ
「あの方の命令でなければ、あんなクズと僕が組むわけがない」
グリム・リック
「あ? チョーシ乗んなよ、白メガネ。
こいつらと一緒にテメェも始末されてぇのか!」
アイコ
「うわっ、仲悪っ!?」
タイガ
「こっちにとっては好都合や。
完全に身体が動かんようなる前に終わらせるで!」
グリム・リック
「チッ、テメェはあとだ白メガネ。
こいつら先にぶちのめしてやんぞォ!」
グリム・タイガ
「勝敗は決しているが、僕が自らこの手で終わらせてやろう。
行くぞ」
グリム・リック
「足引っ張んじゃねぇぞ!」
グリム・タイガ
「君こそな」
悪態を付き合うグリム・リックとグリム・タイガは瘴気をまとい、狼と虎の双頭を持つ巨大なグリムへとその身を変えた。
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アイコ
「天下の台所って言うだけあってうまいもんばっかやなぁ。
このたこ焼きなんて、もー最高やー」
ルキア
「ホンマやね。
ついつい食べすぎて、お腹パンパンになってまうわ」
タイガ
「お前らええ加減にせえよ!
何をけったいな話し方しとんねん!」
リック
「タイガの喋り方となにも変わらないが」
タイガ
「真似するんやったら、ちゃんと真似せんかい!」
「こっちはクサビが見つからんでただでさえ、イライラしとんのに」
リック
「この近くで反応があると聞いたが。
まったく見当たらないな」
アイコ
「だから、こうやって街の中を歩いて探してるんじゃん」
タイガ
「探しとるようには見えへんけどな。
こんなんでホンマに見つけ――」
地響きを立てて揺れる地面に、暁の賢者たちは慌てて周りを見渡す。
リック
「な、なんだ、この揺れは!?
それにこの気配は!」
唐突に周囲を濃い瘴気が漂い始め、先ほどまでは確かに何も無かった空間にクサビが出現した。
タイガ
「どないなっとんねん!
今まであないなところにクサビなんかなかったで!」
困惑するタイガたちの耳にアカデミーと繋がっているグリモワールからガルーダの声が響く。
ガルーダ
「おい、なにがあった。
お前たちの周辺に今までにない力の反応を感知したぞ!」
リック
「それが急にクサビが出現しました。
まったく見えていなかったのに……」
ガルーダ
「消したものを見せたということは、お前たちの存在に気付いている可能性が高い」
タイガ
「罠かもしれんっちゅうことですか。
せやけど、それがなんやって話や。
どうせ罠でも行かなあかんからな」
ガルーダ
「ふっ、そうだったな。
俺がお前たちにできることは少ない。
だが、あえて言わせてもらおう!」
ガルーダ
「お前たちは俺の生徒だ。
簡単に倒れるようなことは決してない。
罠など、全力でぶち抜いてやれ!」
リック
「任せてください。
必ず、相手を仕留めてきます!」
ガルーダ
「頼んだぞ!」
ガルーダとの通信を終え、リックたちは細やかな砂礫の舞うクサビの元へと歩を進めていた。
タイガ
「しっかし、改めて見るとえらいデカイな。
どうせ誰かが守っとるんやろ、とっととぶっ飛ばして、アレもぶち壊すで」
グリム・タイガ
「品がないな。
こんな野蛮人が僕のオリジナルなんてまったく嘆かわしい」
タイガ
「お前か、ここ守っと――って、俺かい!
なんや、そのけったくそ悪い喋り方は」
グリム・タイガ
「ふっ、キミと僕は頭の作りが違うんだ。
一緒にしないでくれ」
タイガ
「なんやと、こら!
そこで待っとけや、今すぐぶっ飛ばし……」
グリム・タイガに近づこうとしたタイガたちは自らの身体に異変を覚える。
タイガ
「ぐっ……
な、なんや、身体が重い……」
ルキア
「わ、わたしもなんか変だよ……
どうなってるの……」
グリム・リック
「はっ、やっと効きやがったか。
いつまで待たせんだよ、ダボが!」
リック
「くっ、もうひとりいたのか……!
これはお前がやったのか」
グリム・リック
「正解だぜ、オリジナル。
オレ様特製の痺れ薬の味はどうだぁ!」
リック
「痺れ薬だと!?
卑怯な、正々堂々と戦えないのか!」
グリム・リック
「正々堂々とか、反吐が出るぜ!
戦いはな、勝ちゃいいんだよ、勝ちゃ!
あはははっ!」
リック
「なんて非道な。
勝つために手段を選ばないとは……」
アイコ
「とにかく、毒を治さないと!
わたし、ちょっとだけ治癒魔法使えるから、みんな早く!」
グリム・リック
「んなことさせるわけねぇだろぉ!
今からボコボコにしてやんだからよォ!」
タイガ
「あれがお前の相方か。
えらい正反対のやつと組んどるな」
グリム・タイガ
「あの方の命令でなければ、あんなクズと僕が組むわけがない」
グリム・リック
「あ? チョーシ乗んなよ、白メガネ。
こいつらと一緒にテメェも始末されてぇのか!」
アイコ
「うわっ、仲悪っ!?」
タイガ
「こっちにとっては好都合や。
完全に身体が動かんようなる前に終わらせるで!」
グリム・リック
「チッ、テメェはあとだ白メガネ。
こいつら先にぶちのめしてやんぞォ!」
グリム・タイガ
「勝敗は決しているが、僕が自らこの手で終わらせてやろう。
行くぞ」
グリム・リック
「足引っ張んじゃねぇぞ!」
グリム・タイガ
「君こそな」
悪態を付き合うグリム・リックとグリム・タイガは瘴気をまとい、狼と虎の双頭を持つ巨大なグリムへとその身を変えた。
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グリム・リック
「ひき肉になれやぁ!」
グリム・リックから無差別に放たれた魔法を、暁の賢者たちとグリム・タイガが飛び退いて避ける。
グリム・タイガ
「ぐっ……キミはなにを考えている。
僕に当たったらどうするんだ」
グリム・リック
「当たるテメェがトロいんだよぉ。
イヤなら避けろやぁ!」
タイガ
「無茶苦茶やな、こいつら!
味方にも当たるちゅうのに関係なく魔法撃ち込んで来よる!」
リック
「動きが読めない!
連携を考えていないことが、動きに制限をなくしているのか!」
アイコ
「ていうかいつの間にか戻ってるし!
でもわたしたちも毒がちゃんと治ってないし、そんなに長く戦えないよ!?」
ルキア
「だったら、口喧嘩してるうちに攻撃しちゃったほうが――」
体勢を立て直したルキアの足元の地面が不意にぼんやりと光を発した。
ルキア
「あ、あれ? なんか踏んじゃった!?」
タイガ
「ぐあっ!? 地面から鎖が!?
魔法陣か! クソッ、動かれへんやんけ!」
グリム・タイガ
「計算通りだ」
グリム・リック
「ダボがッ! そいつはオレ様の魔法だ。
動けねぇだろ? 動けねぇよな!」
リック
「またお前か!
いったい、何度卑怯なことをすれば気が済むんだ!」
グリム・タイガ
「キミは勘違いをしている。
確実な勝利を掴むために策を講ずる。 それのなにが悪い?」
「卑怯がなんだというんだ。
この世は結果が全てなのだから。 過程は問題ではない」
タイガ
「なんちゅうやっちゃ。
涼しい顔して言うことかい!」
グリム・リック
「あははっ! さぁて、トドメを刺すかぁ。
感謝しろよぉ、白メガネ。 これはぜぇんぶ、オレ様のおかげだぜぇ!」
グリム・タイガ
「バカか、この作戦を立てたのは僕だ。
キミはなにも考えていないだろう」
タイガ
「……ああ、違いないわ。
そっちのリックは、かしこな作戦とかようせんやろしなぁ」
グリム・リック
「んだと、こらぁ!
この状況でなに言ってんだ、ダボがッ!」
タイガ
「お前もそう思わへんか、リック?」
リック
「……ふっ、そういうことか」
リック
「あぁ、確かにその通りだがひとつ違うぞ。
向こうのタイガは理論だけで力は弱い」
リック
「頭だけで繰り広げる空想に実態を持たせたのは、
力のある俺のエボルグリムの方だと思うぞ」
グリム・リック
「あははっ、そうだよなぁ。
頭でっかちにはできねぇことだぜぇ!」
グリム・タイガ
「なんだと?
僕無しではキミに勝算などないだろう」
グリム・リック
「あ? オレ様の魔法がなけりゃテメェの作戦もなにも成功してねぇだろ」
グリム・タイガ
「キミは僕なしで作戦を立てられたか?
立てられるわけがない、キミはバカだからだ」
グリム・リック
「バカバカ言いやがって、クソがっ!
その脳みそぶちまけてやらぁ!」
グリム・リックは怒りに任せてグリム・タイガへと魔法を放つ。
グリム・タイガ
「とうとう僕に向けて攻撃したな。
キミはこの僕が断罪する!」
グリム・リックの魔法を避け、グリム・タイガは魔法を放ち返す。
同時に暁の賢者たちを拘束していた魔方陣が消えた。
アイコ
「やったぁ!
今の攻撃で魔法陣が消えたよ!
これで自由に動けるね!」
グリム・タイガ
「なにっ!? あ、ありえん!
僕の完璧な作戦が!」
ルキア
「へへんっ、こっちの作戦勝ちだもんね。
簡単に乗っかっちゃってさ!」
グリム・タイガ
「キミが無闇に魔法を撃つからだぞ」
グリム・リック
「このスカがぁ!
テメェの魔法のせいだろうぉ!」
リック
「お前たちの魔法のおかげだ。
これは礼だ、受け取れ!」
リックの攻撃を避け切れなかったグリム・リックが苦悶の声を上げた。
グリム・リック
「ぐあっ、このぉ……!」
タイガ
「お前のあっさい作戦はしまいや。
この拳でそのデッカイだけの頭、グワングワンいわせたるからな!」
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「ひき肉になれやぁ!」
グリム・リックから無差別に放たれた魔法を、暁の賢者たちとグリム・タイガが飛び退いて避ける。
グリム・タイガ
「ぐっ……キミはなにを考えている。
僕に当たったらどうするんだ」
グリム・リック
「当たるテメェがトロいんだよぉ。
イヤなら避けろやぁ!」
タイガ
「無茶苦茶やな、こいつら!
味方にも当たるちゅうのに関係なく魔法撃ち込んで来よる!」
リック
「動きが読めない!
連携を考えていないことが、動きに制限をなくしているのか!」
アイコ
「ていうかいつの間にか戻ってるし!
でもわたしたちも毒がちゃんと治ってないし、そんなに長く戦えないよ!?」
ルキア
「だったら、口喧嘩してるうちに攻撃しちゃったほうが――」
体勢を立て直したルキアの足元の地面が不意にぼんやりと光を発した。
ルキア
「あ、あれ? なんか踏んじゃった!?」
タイガ
「ぐあっ!? 地面から鎖が!?
魔法陣か! クソッ、動かれへんやんけ!」
グリム・タイガ
「計算通りだ」
グリム・リック
「ダボがッ! そいつはオレ様の魔法だ。
動けねぇだろ? 動けねぇよな!」
リック
「またお前か!
いったい、何度卑怯なことをすれば気が済むんだ!」
グリム・タイガ
「キミは勘違いをしている。
確実な勝利を掴むために策を講ずる。 それのなにが悪い?」
「卑怯がなんだというんだ。
この世は結果が全てなのだから。 過程は問題ではない」
タイガ
「なんちゅうやっちゃ。
涼しい顔して言うことかい!」
グリム・リック
「あははっ! さぁて、トドメを刺すかぁ。
感謝しろよぉ、白メガネ。 これはぜぇんぶ、オレ様のおかげだぜぇ!」
グリム・タイガ
「バカか、この作戦を立てたのは僕だ。
キミはなにも考えていないだろう」
タイガ
「……ああ、違いないわ。
そっちのリックは、かしこな作戦とかようせんやろしなぁ」
グリム・リック
「んだと、こらぁ!
この状況でなに言ってんだ、ダボがッ!」
タイガ
「お前もそう思わへんか、リック?」
リック
「……ふっ、そういうことか」
リック
「あぁ、確かにその通りだがひとつ違うぞ。
向こうのタイガは理論だけで力は弱い」
リック
「頭だけで繰り広げる空想に実態を持たせたのは、
力のある俺のエボルグリムの方だと思うぞ」
グリム・リック
「あははっ、そうだよなぁ。
頭でっかちにはできねぇことだぜぇ!」
グリム・タイガ
「なんだと?
僕無しではキミに勝算などないだろう」
グリム・リック
「あ? オレ様の魔法がなけりゃテメェの作戦もなにも成功してねぇだろ」
グリム・タイガ
「キミは僕なしで作戦を立てられたか?
立てられるわけがない、キミはバカだからだ」
グリム・リック
「バカバカ言いやがって、クソがっ!
その脳みそぶちまけてやらぁ!」
グリム・リックは怒りに任せてグリム・タイガへと魔法を放つ。
グリム・タイガ
「とうとう僕に向けて攻撃したな。
キミはこの僕が断罪する!」
グリム・リックの魔法を避け、グリム・タイガは魔法を放ち返す。
同時に暁の賢者たちを拘束していた魔方陣が消えた。
アイコ
「やったぁ!
今の攻撃で魔法陣が消えたよ!
これで自由に動けるね!」
グリム・タイガ
「なにっ!? あ、ありえん!
僕の完璧な作戦が!」
ルキア
「へへんっ、こっちの作戦勝ちだもんね。
簡単に乗っかっちゃってさ!」
グリム・タイガ
「キミが無闇に魔法を撃つからだぞ」
グリム・リック
「このスカがぁ!
テメェの魔法のせいだろうぉ!」
リック
「お前たちの魔法のおかげだ。
これは礼だ、受け取れ!」
リックの攻撃を避け切れなかったグリム・リックが苦悶の声を上げた。
グリム・リック
「ぐあっ、このぉ……!」
タイガ
「お前のあっさい作戦はしまいや。
この拳でそのデッカイだけの頭、グワングワンいわせたるからな!」
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〜不可思議な空間〜
エボルグリムたちが集う不可思議な空間に一人の声が響き渡った。
グリム・セリオス
「ふん……まったく口だけのヤツらばかりだな。
成果を上げられたのはレオンのみ……。
それも一番槍だったからに過ぎない」
グリム・セリオス
「あの御方の求める結果を残さなくては、
私たちの存在する価値などあるか――皆無であるッ!!」
グリム・レオン
「ハッ、独りでぶつぶつとやかましい野郎だぜ」
グリム・セリオス
「貴様にそれを言われるとはな、レオン。
貴様の独り言……気づいていないとでも思っているのか?」
グリム・レオン
「あ? 独り言だと……?
…………そういうことか。 チッ、知らねぇな!」
グリム・セリオス
「おやおやなんだ、自覚がないのか?
これは傑作! 傑作だぞ! ハハハっ!」
グリム・レオン
「てめぇ、いい加減にしておけよ!
ここで消されたいらしいなッ!」
グリム・セリオス
「おっと、戦うことに異議はないが、今日このタイミングではないな」
グリム・レオン
「てめぇこそ口だけか?
こっちはいつだって付き合ってやるぞッ!!」
グリム・セリオス
「吼えるな、今ではないと言っている。
そう、今夜は私が成果を見せつける日なのだからなッ!」
グリム・レオン
「ハッ! なるほどな。
だったら、オレの出番はなさそうだな」
グリム・セリオス
「私が負ける、とでも言いたいのか? ないな……断じてないッ!!
何故ならば、私が、私こそが、あの御方の意思を示す存在であるからだッ!!」
トーキョー近郊を見回っていたユウたち。
周辺を照らしていた建物の灯りや街灯が突然消え失せ、暗闇に沈む。
ユウ
「そろそろ見回り終わりそうだったのに、急な停電なんて……」
マヤ
「発電所に影響はないみたい。
もしかしたら、これもグリムの攻撃?」
ユウ
「その可能性は高いよね」
カイル
「今までのように力任せではないということですね。
エボルグリムにも切れ者がいるということでしょうか」
月を背にしたグリム・セリオスの声が突如響いた。
グリム・セリオス
「ようこそ。私の世界へ」
マヤ
「エボルグリム!」
グリム・セリオス
「この暗闇の世界……
貴様たちが塵となって闇に溶けていく姿を存分に楽しませてもらおう」
ユウ
「もしかして……セリオスさんなの?」
カイル
「少々傲慢ですが、確かに特徴を捉えた姿ですね」
グリム・セリオス
「貴様たちにこの私を止めることは――できんさ!」
「ひれ伏せッ!!」
グリム・セリオスの掛け声とともに、暁の賢者たちの周囲の闇は徐々に濃さと重苦しさを増していく。
マヤ
「なにこれ……
周りがどんどん暗くなって……動け……ない……」
カイル
「この暗闇をなんらかの魔法で支配している?
そんなことが可能なんですか……!?」
ユウ
「分析してる場合じゃないよ!
これって、まずいんじゃ……」
グリム・セリオス
「他愛もない! 実につまらんヤツらだぁ!
ハッハッハッハ!!」
「セイクリッドライト!!」
セリオスの声と共に鋭い光が一閃。グリム・セリオスの嘲笑と闇の魔法を切り裂いた。
セリオス
「三文芝居はやめてもらおうか」
グリム・セリオス
「ぐ――なにをした!」
セリオス
「何を、と言うほどでもない。 ただの僕の個人魔法だ」
「とうとう僕のエボルグリムのお出ましか。
贋作に大きな顔をされるのは、あまりいい気分じゃあないな」
グリム・セリオス
「オリジナルか……!?
ふははっ! 力の差もわからぬ、貧弱な存在がァ!!」
セリオス
「自分に有利な状況を作っている奴が良く言う。
だから贋作でしかない。 怖いのか、僕たちが?」
グリム・セリオス
「貴様ァァァァァァァ!!」
激昂したグリム・セリオスが放つ攻撃は、防御魔法に簡単に弾かれた。
マヤ
「こんなわかりやすい攻撃なら防げる……!
セリオス君、ありがとう!」
カイル
「すみません! 助かりました!」
セリオス
「こんなもの一時凌ぎにすぎない。
エボルグリムを撃退するぞ」
ユウ
「うん! セリオスさんもあいつの攻撃に気をつけて」
セリオス
「カラクリはわからないが……とにかく光には弱いようだ。
影の深いところには注意しろ」
グリム・セリオス
「勝機を見出したつもりか?
やれやれ……、ならばその身をもって思い知るのだな」
「完璧にして完全な私を相手にするということをォッ!!」
濃い瘴気を纏ったグリム・セリオスはその姿を巨大な鷲へと姿を変えた。
グリム・セリオス
「暗闇に飲まれ、永遠に私の前から消えろォォォッ!」
▲BACK TO TOP
エボルグリムたちが集う不可思議な空間に一人の声が響き渡った。
グリム・セリオス
「ふん……まったく口だけのヤツらばかりだな。
成果を上げられたのはレオンのみ……。
それも一番槍だったからに過ぎない」
グリム・セリオス
「あの御方の求める結果を残さなくては、
私たちの存在する価値などあるか――皆無であるッ!!」
グリム・レオン
「ハッ、独りでぶつぶつとやかましい野郎だぜ」
グリム・セリオス
「貴様にそれを言われるとはな、レオン。
貴様の独り言……気づいていないとでも思っているのか?」
グリム・レオン
「あ? 独り言だと……?
…………そういうことか。 チッ、知らねぇな!」
グリム・セリオス
「おやおやなんだ、自覚がないのか?
これは傑作! 傑作だぞ! ハハハっ!」
グリム・レオン
「てめぇ、いい加減にしておけよ!
ここで消されたいらしいなッ!」
グリム・セリオス
「おっと、戦うことに異議はないが、今日このタイミングではないな」
グリム・レオン
「てめぇこそ口だけか?
こっちはいつだって付き合ってやるぞッ!!」
グリム・セリオス
「吼えるな、今ではないと言っている。
そう、今夜は私が成果を見せつける日なのだからなッ!」
グリム・レオン
「ハッ! なるほどな。
だったら、オレの出番はなさそうだな」
グリム・セリオス
「私が負ける、とでも言いたいのか? ないな……断じてないッ!!
何故ならば、私が、私こそが、あの御方の意思を示す存在であるからだッ!!」
トーキョー近郊を見回っていたユウたち。
周辺を照らしていた建物の灯りや街灯が突然消え失せ、暗闇に沈む。
ユウ
「そろそろ見回り終わりそうだったのに、急な停電なんて……」
マヤ
「発電所に影響はないみたい。
もしかしたら、これもグリムの攻撃?」
ユウ
「その可能性は高いよね」
カイル
「今までのように力任せではないということですね。
エボルグリムにも切れ者がいるということでしょうか」
月を背にしたグリム・セリオスの声が突如響いた。
グリム・セリオス
「ようこそ。私の世界へ」
マヤ
「エボルグリム!」
グリム・セリオス
「この暗闇の世界……
貴様たちが塵となって闇に溶けていく姿を存分に楽しませてもらおう」
ユウ
「もしかして……セリオスさんなの?」
カイル
「少々傲慢ですが、確かに特徴を捉えた姿ですね」
グリム・セリオス
「貴様たちにこの私を止めることは――できんさ!」
「ひれ伏せッ!!」
グリム・セリオスの掛け声とともに、暁の賢者たちの周囲の闇は徐々に濃さと重苦しさを増していく。
マヤ
「なにこれ……
周りがどんどん暗くなって……動け……ない……」
カイル
「この暗闇をなんらかの魔法で支配している?
そんなことが可能なんですか……!?」
ユウ
「分析してる場合じゃないよ!
これって、まずいんじゃ……」
グリム・セリオス
「他愛もない! 実につまらんヤツらだぁ!
ハッハッハッハ!!」
「セイクリッドライト!!」
セリオスの声と共に鋭い光が一閃。グリム・セリオスの嘲笑と闇の魔法を切り裂いた。
セリオス
「三文芝居はやめてもらおうか」
グリム・セリオス
「ぐ――なにをした!」
セリオス
「何を、と言うほどでもない。 ただの僕の個人魔法だ」
「とうとう僕のエボルグリムのお出ましか。
贋作に大きな顔をされるのは、あまりいい気分じゃあないな」
グリム・セリオス
「オリジナルか……!?
ふははっ! 力の差もわからぬ、貧弱な存在がァ!!」
セリオス
「自分に有利な状況を作っている奴が良く言う。
だから贋作でしかない。 怖いのか、僕たちが?」
グリム・セリオス
「貴様ァァァァァァァ!!」
激昂したグリム・セリオスが放つ攻撃は、防御魔法に簡単に弾かれた。
マヤ
「こんなわかりやすい攻撃なら防げる……!
セリオス君、ありがとう!」
カイル
「すみません! 助かりました!」
セリオス
「こんなもの一時凌ぎにすぎない。
エボルグリムを撃退するぞ」
ユウ
「うん! セリオスさんもあいつの攻撃に気をつけて」
セリオス
「カラクリはわからないが……とにかく光には弱いようだ。
影の深いところには注意しろ」
グリム・セリオス
「勝機を見出したつもりか?
やれやれ……、ならばその身をもって思い知るのだな」
「完璧にして完全な私を相手にするということをォッ!!」
濃い瘴気を纏ったグリム・セリオスはその姿を巨大な鷲へと姿を変えた。
グリム・セリオス
「暗闇に飲まれ、永遠に私の前から消えろォォォッ!」
▲BACK TO TOP
グリム・セリオスの猛攻に暁の賢者たちは苦戦する。
マヤ
「なんなのこれ、めちゃくちゃじゃない!」
カイル
「僕たちの魔法では、かなり苦しいですね……」
セリオス
「セイクリッドライト……いや、これだ!」
セリオスが放った眩い閃光が周囲を真っ白に染め上げて闇を打ち消す。
グリム・セリオス
「……ぐ……なんだこれはァァァァァ!?」
強い光が収まる頃にはグリム・セリオスは人間態へと姿を変えていた。
夜空に煌々と輝く光の球体が浮かんでいる。
セリオス
「……なんとかなったようだな」
グリム・セリオス
「なんだ……なんなんだ、その魔法はァ!?」
マヤ
「あの光の玉、凄い……全然輝きが衰えないわ」
カイル
「これだけの光を維持するなんて……
どんな精密なマナ操作が必要なのか……」
ユウ
「……まるで、太陽だね」
グリム・セリオス
「太陽……太陽だとォ!?
この私の暗黒の世界に、そのような輝きなど――
不要ォォォォォォォ!!」
グリム・セリオスが光を排除すべく攻撃魔法を放った。
マヤ
「させないわ!」
マヤの作り出した障壁が硬質な音を立ててそれを弾く。
ユウ
「弱点、見つけたりだね!」
カイル
「セリオス君、この魔法、まだもちますか?」
セリオス
「はぁ……はぁ……僕を誰だと思っているんだ。
必ず、もたせる……!」
グリム・セリオス
「まさかこのような技で対抗してくるとは……
さすがだなぁオリジナルッ!!」
セリオス
「贋作程度が僕に敵うと思うな。
クサビのこと、お前たちのこと、洗いざらい吐いてもらおう!」
グリム・セリオス
「なんだ、貴様はまだ理解していないのか?
ハハッ、ハハハハハッ! 実に愉快!!」
「ならば、ひとつだけ教えてやろう。
もはや貴様たちの行動に意味はない……!」
セリオス
「意味は……ない?」
グリム・セリオス
「せいぜい考えて考えて考え尽くせ!
その顔に免じて今は退くとしよう」
マヤ
「逃がさない!」
グリム・セリオス
「ふんっ!」
グリム・セリオスはその場から忽然とその姿を消した。
セリオス
「……追わなくていい」
ユウ
「どうして? 弱ってる今がチャンスじゃないの?」
セリオス
「僕たちも消耗している。
それに、あれが僕の贋作だというなら、まだ策を講じている可能性がある」
カイル
「確かに言う通りですね。
防衛はできたんです。 傷を癒すことを考えましょう」
マヤ
「そうね……みんな消耗してるし。
セリオス君だってあんな魔法を使ったんだから……」
ユウ
「あ、停電も復旧してたみたいだね。
とりあえず一件落着かな……」
セリオス
「あの忌々しいエボルグリムは、僕たちの行動に意味がないと言った……
いったいどういうことだ?」
「敵はこのトーキョーに対して、既に何かの策を講じている……?
だとしても、僕らのやることは変わらない」
「トーキョーを守るために戦う。 それだけだ」
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マヤ
「なんなのこれ、めちゃくちゃじゃない!」
カイル
「僕たちの魔法では、かなり苦しいですね……」
セリオス
「セイクリッドライト……いや、これだ!」
セリオスが放った眩い閃光が周囲を真っ白に染め上げて闇を打ち消す。
グリム・セリオス
「……ぐ……なんだこれはァァァァァ!?」
強い光が収まる頃にはグリム・セリオスは人間態へと姿を変えていた。
夜空に煌々と輝く光の球体が浮かんでいる。
セリオス
「……なんとかなったようだな」
グリム・セリオス
「なんだ……なんなんだ、その魔法はァ!?」
マヤ
「あの光の玉、凄い……全然輝きが衰えないわ」
カイル
「これだけの光を維持するなんて……
どんな精密なマナ操作が必要なのか……」
ユウ
「……まるで、太陽だね」
グリム・セリオス
「太陽……太陽だとォ!?
この私の暗黒の世界に、そのような輝きなど――
不要ォォォォォォォ!!」
グリム・セリオスが光を排除すべく攻撃魔法を放った。
マヤ
「させないわ!」
マヤの作り出した障壁が硬質な音を立ててそれを弾く。
ユウ
「弱点、見つけたりだね!」
カイル
「セリオス君、この魔法、まだもちますか?」
セリオス
「はぁ……はぁ……僕を誰だと思っているんだ。
必ず、もたせる……!」
グリム・セリオス
「まさかこのような技で対抗してくるとは……
さすがだなぁオリジナルッ!!」
セリオス
「贋作程度が僕に敵うと思うな。
クサビのこと、お前たちのこと、洗いざらい吐いてもらおう!」
グリム・セリオス
「なんだ、貴様はまだ理解していないのか?
ハハッ、ハハハハハッ! 実に愉快!!」
「ならば、ひとつだけ教えてやろう。
もはや貴様たちの行動に意味はない……!」
セリオス
「意味は……ない?」
グリム・セリオス
「せいぜい考えて考えて考え尽くせ!
その顔に免じて今は退くとしよう」
マヤ
「逃がさない!」
グリム・セリオス
「ふんっ!」
グリム・セリオスはその場から忽然とその姿を消した。
セリオス
「……追わなくていい」
ユウ
「どうして? 弱ってる今がチャンスじゃないの?」
セリオス
「僕たちも消耗している。
それに、あれが僕の贋作だというなら、まだ策を講じている可能性がある」
カイル
「確かに言う通りですね。
防衛はできたんです。 傷を癒すことを考えましょう」
マヤ
「そうね……みんな消耗してるし。
セリオス君だってあんな魔法を使ったんだから……」
ユウ
「あ、停電も復旧してたみたいだね。
とりあえず一件落着かな……」
セリオス
「あの忌々しいエボルグリムは、僕たちの行動に意味がないと言った……
いったいどういうことだ?」
「敵はこのトーキョーに対して、既に何かの策を講じている……?
だとしても、僕らのやることは変わらない」
「トーキョーを守るために戦う。 それだけだ」
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リックとタイガにそそのかされ罠を解除してしまったエボルグリムたちは、
有利な立ち位置から一転、不利な状況へと追い込まれていた。
タイガ
「はっ、ホンマに総崩れやな。
グダグダやないか、お前ら」
グリム・タイガ
「僕が組み立てた作戦が、
こんな野蛮で単純な手で崩されるなんて」
ルキア
「罠にかけようなんて卑怯なことするからだよ。
普通に強いのにもったいないな」
アイコ
「相手を褒めてどうするの!
あと普通って言うのよくないよ、普通って!」
リック
「やつらの動きはもう見切った。
このまま押し切るぞ!」
グリム・リック
「見切った、だとぉ……?
勝つってのか、オレ様によぉ……」
ルキア
「降参するなら今のうちだよ、とか言っちゃってもいいかな」
逆転劇に狼狽していたエボルグリムたちは、
ルキアの挑発によって逆に落ち着きを取り戻したのか、
静かに瘴気のオーラを立ち上らせた。
グリム・リック
「あー、許せねぇ……
こんな勝ちのねぇクソッタレな戦いなんてよ!」
グリム・タイガ
「確かに許せないな。
こんな手を使わざるを得ない状況に、この僕が追い込まれるなんて」
タイガ
「な、なんや!?
あいつらの雰囲気が変わりよった!」
グリム・リック
「来いやぁ、白メガネ!
もう小細工なんていらねぇよ!」
グリム・タイガ
「ああ、この方法しか残されていないか。
ならば、甘んじて受けよう」
禍々しい瘴気と共に巨大な双頭のグリムへと姿を変えたグリム・リックの嘲笑が響く。
グリム・リック
「これで終わりダァ!
オレ様がひき肉にしてやるゼェ!
アハハヒャハハギャッ!」
アイコ
「よ、よくわかんないこと言ってるけど!?」
グリム・タイガ
「降参しろ、オリジナル。
力量が測れないわけではないだろう。
キミたちの勝ち目はもうない」
グリム・タイガ
「無駄な抵抗はキズを増やす。
降参するのならば、痛みなく死ぬことを選ばせてやろう」
タイガ
「確かにそれは正論や。
お前らは強いし、抵抗せんほうが痛い思いせんでええわ」
タイガ
「せやけどな、そない簡単に
諦められるほど俺らは人間できてへんねん!」
リック
「タイガの言うとおりだ。
例え、勝機の薄い戦いだろうと、この拳を握る力がある限り、俺は戦う!」
グリム・リック
「このダボがッ!
勝利のない戦いに意味なんてねぇんだよォ!
無意味無意味無意味無意味!」
グリム・タイガ
「本当に愚かな。
全ては計算によって結果は導き出される。
奇跡など起きはしない」
リック
「戦いは計算が全てではない。
それをお前たちに見せてやる!」
タイガ
「ああ、やったろやないか。
お前らに勝つんが奇跡っちゅーなら、俺たちが起こしたるわ!」
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有利な立ち位置から一転、不利な状況へと追い込まれていた。
タイガ
「はっ、ホンマに総崩れやな。
グダグダやないか、お前ら」
グリム・タイガ
「僕が組み立てた作戦が、
こんな野蛮で単純な手で崩されるなんて」
ルキア
「罠にかけようなんて卑怯なことするからだよ。
普通に強いのにもったいないな」
アイコ
「相手を褒めてどうするの!
あと普通って言うのよくないよ、普通って!」
リック
「やつらの動きはもう見切った。
このまま押し切るぞ!」
グリム・リック
「見切った、だとぉ……?
勝つってのか、オレ様によぉ……」
ルキア
「降参するなら今のうちだよ、とか言っちゃってもいいかな」
逆転劇に狼狽していたエボルグリムたちは、
ルキアの挑発によって逆に落ち着きを取り戻したのか、
静かに瘴気のオーラを立ち上らせた。
グリム・リック
「あー、許せねぇ……
こんな勝ちのねぇクソッタレな戦いなんてよ!」
グリム・タイガ
「確かに許せないな。
こんな手を使わざるを得ない状況に、この僕が追い込まれるなんて」
タイガ
「な、なんや!?
あいつらの雰囲気が変わりよった!」
グリム・リック
「来いやぁ、白メガネ!
もう小細工なんていらねぇよ!」
グリム・タイガ
「ああ、この方法しか残されていないか。
ならば、甘んじて受けよう」
禍々しい瘴気と共に巨大な双頭のグリムへと姿を変えたグリム・リックの嘲笑が響く。
グリム・リック
「これで終わりダァ!
オレ様がひき肉にしてやるゼェ!
アハハヒャハハギャッ!」
アイコ
「よ、よくわかんないこと言ってるけど!?」
グリム・タイガ
「降参しろ、オリジナル。
力量が測れないわけではないだろう。
キミたちの勝ち目はもうない」
グリム・タイガ
「無駄な抵抗はキズを増やす。
降参するのならば、痛みなく死ぬことを選ばせてやろう」
タイガ
「確かにそれは正論や。
お前らは強いし、抵抗せんほうが痛い思いせんでええわ」
タイガ
「せやけどな、そない簡単に
諦められるほど俺らは人間できてへんねん!」
リック
「タイガの言うとおりだ。
例え、勝機の薄い戦いだろうと、この拳を握る力がある限り、俺は戦う!」
グリム・リック
「このダボがッ!
勝利のない戦いに意味なんてねぇんだよォ!
無意味無意味無意味無意味!」
グリム・タイガ
「本当に愚かな。
全ては計算によって結果は導き出される。
奇跡など起きはしない」
リック
「戦いは計算が全てではない。
それをお前たちに見せてやる!」
タイガ
「ああ、やったろやないか。
お前らに勝つんが奇跡っちゅーなら、俺たちが起こしたるわ!」
▲BACK TO TOP
タイガ
「これでしまいや!
避けられるもんなら、得意の計算で避けてみぃ!」
リック
「お前に叩きつけてやる。
戦う者の武の心得を拳に込めて!」
タイガ&リック
「はあああああああああああっ!!!」
タイガとリックは渾身の力を込めた一撃をグリムに叩き込んだ。
グリム・タイガ&グリム・リック
「ぐああああああああああっ!!?」
苦悶に満ちた呻き声を上げるグリムの瘴気は霧散し、人間態へとその姿を変えた。
グリム・リック
「クソッ、クソッ、クソがァッ!
このオレ様が負けるなんてぁ!」
リック
「勝利に執着することを、俺は悪いとは思わない。
だが、お前は方法を間違えた。
もしも、叶うのならば、正々堂々と正面からお前と戦ってみたかった」
グリム・リック
「ダボが、ふざけんなよぉ……誰がんなことやるか……。
言ってんだろうがぁ……勝ちのねぇ戦いはやらねぇってよ」
リックの掲げたグリモワールから溢れた光が、グリム・リックを捕らえて封じる。
グリム・タイガ
「リックのせいで作戦が台無しだ。
負けの結果は導き出されていなかったのに」
タイガ
「約束通り、見せたったで。
奇跡っちゅうもんをな」
グリム・タイガ
「なにが奇跡だ……
そんな不確かなものにすがるなど愚の骨頂……」
タイガ
「そうかもしれへんな。
俺かていつも奇跡が起きてくれるて、都合良く思とるわけやない。
でもな、頼りになる仲間がおったら、奇跡くらい簡単に引き寄せられるんや」
グリム・タイガ
「ありえない……そんなもの……僕は絶対に……」
グリム・タイガもまた、タイガの掲げたグリモワールから溢れた光に捕らわれ封じられた。
アイコ
「やったね、タイガ!
ふたりのエボルグリムを封印できたよ!」
ルキア
「あとはクサビをなんとかするだけだね」
タイガ
「ああ、そうやな……」
リック
「どうした、タイガ。
俺たちは勝ったんだ、喜んでいいんだぞ」
タイガ
「……なあ、リック。
あっちの俺が言うとるように、奇跡に頼った戦いってのはあかんのかな」
「お前はよう戦っとるからわかるやろ。
自分の持っとる実力同士のぶつかり合いがホンマの戦いやっちゅうこと」
リック
「グリムのタイガが言ったことは正しい。
勝負で自分以外のなにかに頼るのはあまりにも都合がよすぎる」
「だが、それは一対一での戦いだ。
仲間と共に戦うのなら、奇跡くらい望んでもいいんじゃないか」
タイガ
「そうか……そうやな! 俺たちはこれでええんや。
この先も仲間と一緒になんぼでも奇跡起こしたらあ!」
アイコ
「いいから、クサビのとこいこうよ!」
タイガ
「ちょ!?
せっかく決めとったのに!?」
ルキア
「あはははは、おっかしー」
リック
「まったくお前らは……」
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「これでしまいや!
避けられるもんなら、得意の計算で避けてみぃ!」
リック
「お前に叩きつけてやる。
戦う者の武の心得を拳に込めて!」
タイガ&リック
「はあああああああああああっ!!!」
タイガとリックは渾身の力を込めた一撃をグリムに叩き込んだ。
グリム・タイガ&グリム・リック
「ぐああああああああああっ!!?」
苦悶に満ちた呻き声を上げるグリムの瘴気は霧散し、人間態へとその姿を変えた。
グリム・リック
「クソッ、クソッ、クソがァッ!
このオレ様が負けるなんてぁ!」
リック
「勝利に執着することを、俺は悪いとは思わない。
だが、お前は方法を間違えた。
もしも、叶うのならば、正々堂々と正面からお前と戦ってみたかった」
グリム・リック
「ダボが、ふざけんなよぉ……誰がんなことやるか……。
言ってんだろうがぁ……勝ちのねぇ戦いはやらねぇってよ」
リックの掲げたグリモワールから溢れた光が、グリム・リックを捕らえて封じる。
グリム・タイガ
「リックのせいで作戦が台無しだ。
負けの結果は導き出されていなかったのに」
タイガ
「約束通り、見せたったで。
奇跡っちゅうもんをな」
グリム・タイガ
「なにが奇跡だ……
そんな不確かなものにすがるなど愚の骨頂……」
タイガ
「そうかもしれへんな。
俺かていつも奇跡が起きてくれるて、都合良く思とるわけやない。
でもな、頼りになる仲間がおったら、奇跡くらい簡単に引き寄せられるんや」
グリム・タイガ
「ありえない……そんなもの……僕は絶対に……」
グリム・タイガもまた、タイガの掲げたグリモワールから溢れた光に捕らわれ封じられた。
アイコ
「やったね、タイガ!
ふたりのエボルグリムを封印できたよ!」
ルキア
「あとはクサビをなんとかするだけだね」
タイガ
「ああ、そうやな……」
リック
「どうした、タイガ。
俺たちは勝ったんだ、喜んでいいんだぞ」
タイガ
「……なあ、リック。
あっちの俺が言うとるように、奇跡に頼った戦いってのはあかんのかな」
「お前はよう戦っとるからわかるやろ。
自分の持っとる実力同士のぶつかり合いがホンマの戦いやっちゅうこと」
リック
「グリムのタイガが言ったことは正しい。
勝負で自分以外のなにかに頼るのはあまりにも都合がよすぎる」
「だが、それは一対一での戦いだ。
仲間と共に戦うのなら、奇跡くらい望んでもいいんじゃないか」
タイガ
「そうか……そうやな! 俺たちはこれでええんや。
この先も仲間と一緒になんぼでも奇跡起こしたらあ!」
アイコ
「いいから、クサビのとこいこうよ!」
タイガ
「ちょ!?
せっかく決めとったのに!?」
ルキア
「あはははは、おっかしー」
リック
「まったくお前らは……」
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とあるシューキュウの街の路地。
そこには息を整えているヤンヤンとラスクの姿があった。
ヤンヤン
「はぁはぁ……ど、どうなってるアルか!
シューキュウに入った途端、警察に追われるなんて聞いてないアル!」
ラスク
「僕たち、なにもしてないよね?
追われる理由なんてないよ!」
マヤ
「ここにいたのね、ふたりとも。
やっと見つけた!」
ヤンヤン
「マヤ!?
もしやお前もわたしたちを捕まえに来たアルか!」
マヤ
「もう、違うわよ。
わたしたちはふたりを助けに来たの」
ヴァニィ
「わたくしが集めた情報によりますと……、
まずはこちらの号外をご覧ください!」
ラスク
「どれどれ……あれ?
なんかこのふたり、僕たちに似てる?
というか、これ僕じゃないか!?」
ヤンヤン
「ちょっ、こっちはわたしアル!
なにアルか、これー!?」
ヴァニィ
「どうやら、この怪盗Xという二人組が、最近この界隈を騒がしているようです!」
ヤンヤン
「違うアル! 濡れ衣アルよ!」
ラスク
「もしかして、僕たちが追いかけられたのってこれのせい!?」
マヤ
「ええ、たぶんそうだと思う。
正確にはふたりによく似た誰か、ということになるのかしら」
ヤンヤン
「エボルグリムアルか!
よくもわたしたちに罪をなすりつけたアルね!」
ラスク
「こんなの許せない。
僕たちで捕まえよう!」
マヤ
「でも、捕まえるってどうやって?
相手は神出鬼没の怪盗って話らしいわよ」
ヤンヤン
「怪盗っていうくらいだから予告状とかないアル?」
ヴァニィ
「こんなこともあろうかと!
このわたくしが、なんと怪盗Xからの予告状を入手いたしました!」
ヤンヤン
「どこから手に入れたかは聞かないアル。
……この美術館に行けばいいアルね」
ラスク
「行こう、ヤンヤン!
怪盗は僕たちで絶対に捕まえるんだ!」
マヤ
「あぁ、ふたりとも待って! もうっ!
ヴァニィさん、追いかけましょう」
ヴァニィ
「承知いたしました!
わたくしも密着取材いたします!」
ヤンヤンたち一行は予告状にあった場所に身を潜め、
怪盗Xを名乗る自分たちのエボルグリムの出現を待っていた。
ラスク
「ここで待っていればグリムたちが現れるんだね」
ヤンヤン
「こういうのは力技でなんとかなるアル。
ヤツラが現れたらとっ捕まえるアルよ!」
マヤ
「そんな方法でいいの!?
もう少し考えたほうが……」
ヤンヤン
「静かにするアル。
誰かが来たみたいアルよ……」
グリム・ヤンヤン
「んふふっ、いいネ。
貴重な品物ばかりアルよ」
グリム・ラスク
「いいね、最高じゃねぇか。
誰も持ってねぇ一品ばかりだぜ」
ヴァニィ
(ここでエボルグリムたちの登場!
マジックアカデミーの生徒はどう動く!)
マヤ
(ひそひそ解説してる場合じゃないでしょ!)
ヤンヤン
「そこまでアル!
美術品には指一本触れさせないアルよ!」
グリム・ヤンヤン
「あらあら、オリジナルの登場アルか。
意外と遅かったアルな」
ラスク
「まるで僕たちが来ることを、知ってたみたいな言い方だね」
グリム・ヤンヤン
「この顔で騒ぎを起こせば、本人が気づかないわけないアルからな」
ヤンヤン
「うっ……そ、それは……」
ヴァニィ
「おおっと、ヤンヤンさん謎の口ごもり!
まさか気付いていなかったなんて口が裂けても言えないかー!」
ヤンヤン
「なに全部バラしてるアルか!
ええい、とにかくお前たちの悪事はここまでアル!」
グリム・ヤンヤン
「悪事? なに言ってるアルか?
ワタシは自分のものを取りに来ただけアル」
グリム・ラスク
「そういうこった。
お前らに邪魔される筋合いはねぇんだ」
ヤンヤン
「どういうことアル。
ここにお前たちの物なんてひとつもないアルよ」
グリム・ラスク
「ばっかじゃねぇの!
この世界でオレが持ってねぇもんはオレのもんなんだ」
ラスク
「は? 何言ってんの?」
グリム・ラスク
「オレが持ってないものを奪って手に入れる。
それがオレのコレクションの集め方だ!」
ラスク
「な、なんてやつ!
そんな理屈が通るわけないだろ!」
グリム・ヤンヤン
「通る通らないじゃないアル。
それを通すのがワタシたちの流儀アルよ」
ヤンヤン
「イヤな金持ちの考え方アル!」
ラスク
「ヤンヤンはお金、僕はコレクション……。
好きなものは同じっぽいけど、考え方が根本的に違うみたいだね」
マヤ
「その結果が泥棒だなんて、とんでもないわ!」
ヴァニィ
「悪いお金持ちと路地裏のワルの強欲コンビ!
これは手強そうな相手だーーー!!」
グリム・ヤンヤン
「ぐだぐだうるさい連中ネ。
お宝ついでに返り討ちにしてやろうと思てたけど、
あんまり得にならなさそうネ」
「そうだ、その魔法を使う端末もワタシが奪ってあげるアル。
手を貸すアルよ、ラスク!」
グリム・ラスク
「おもしれぇ、いいぜ!」
瘴気に包まれ、グリム・ヤンヤンとグリム・ラスクは巨大なグリムへとその身を変えた。
豪壮なパンダの左手と化しているカマキリの鎌が怪しくうごめく。
グリム・ラスク
「お前らの大事なもん、全部奪い取ってやるぜ!」
グリム・ヤンヤン
「搾り取るアルよ〜♪」
▲BACK TO TOP
そこには息を整えているヤンヤンとラスクの姿があった。
ヤンヤン
「はぁはぁ……ど、どうなってるアルか!
シューキュウに入った途端、警察に追われるなんて聞いてないアル!」
ラスク
「僕たち、なにもしてないよね?
追われる理由なんてないよ!」
マヤ
「ここにいたのね、ふたりとも。
やっと見つけた!」
ヤンヤン
「マヤ!?
もしやお前もわたしたちを捕まえに来たアルか!」
マヤ
「もう、違うわよ。
わたしたちはふたりを助けに来たの」
ヴァニィ
「わたくしが集めた情報によりますと……、
まずはこちらの号外をご覧ください!」
ラスク
「どれどれ……あれ?
なんかこのふたり、僕たちに似てる?
というか、これ僕じゃないか!?」
ヤンヤン
「ちょっ、こっちはわたしアル!
なにアルか、これー!?」
ヴァニィ
「どうやら、この怪盗Xという二人組が、最近この界隈を騒がしているようです!」
ヤンヤン
「違うアル! 濡れ衣アルよ!」
ラスク
「もしかして、僕たちが追いかけられたのってこれのせい!?」
マヤ
「ええ、たぶんそうだと思う。
正確にはふたりによく似た誰か、ということになるのかしら」
ヤンヤン
「エボルグリムアルか!
よくもわたしたちに罪をなすりつけたアルね!」
ラスク
「こんなの許せない。
僕たちで捕まえよう!」
マヤ
「でも、捕まえるってどうやって?
相手は神出鬼没の怪盗って話らしいわよ」
ヤンヤン
「怪盗っていうくらいだから予告状とかないアル?」
ヴァニィ
「こんなこともあろうかと!
このわたくしが、なんと怪盗Xからの予告状を入手いたしました!」
ヤンヤン
「どこから手に入れたかは聞かないアル。
……この美術館に行けばいいアルね」
ラスク
「行こう、ヤンヤン!
怪盗は僕たちで絶対に捕まえるんだ!」
マヤ
「あぁ、ふたりとも待って! もうっ!
ヴァニィさん、追いかけましょう」
ヴァニィ
「承知いたしました!
わたくしも密着取材いたします!」
ヤンヤンたち一行は予告状にあった場所に身を潜め、
怪盗Xを名乗る自分たちのエボルグリムの出現を待っていた。
ラスク
「ここで待っていればグリムたちが現れるんだね」
ヤンヤン
「こういうのは力技でなんとかなるアル。
ヤツラが現れたらとっ捕まえるアルよ!」
マヤ
「そんな方法でいいの!?
もう少し考えたほうが……」
ヤンヤン
「静かにするアル。
誰かが来たみたいアルよ……」
グリム・ヤンヤン
「んふふっ、いいネ。
貴重な品物ばかりアルよ」
グリム・ラスク
「いいね、最高じゃねぇか。
誰も持ってねぇ一品ばかりだぜ」
ヴァニィ
(ここでエボルグリムたちの登場!
マジックアカデミーの生徒はどう動く!)
マヤ
(ひそひそ解説してる場合じゃないでしょ!)
ヤンヤン
「そこまでアル!
美術品には指一本触れさせないアルよ!」
グリム・ヤンヤン
「あらあら、オリジナルの登場アルか。
意外と遅かったアルな」
ラスク
「まるで僕たちが来ることを、知ってたみたいな言い方だね」
グリム・ヤンヤン
「この顔で騒ぎを起こせば、本人が気づかないわけないアルからな」
ヤンヤン
「うっ……そ、それは……」
ヴァニィ
「おおっと、ヤンヤンさん謎の口ごもり!
まさか気付いていなかったなんて口が裂けても言えないかー!」
ヤンヤン
「なに全部バラしてるアルか!
ええい、とにかくお前たちの悪事はここまでアル!」
グリム・ヤンヤン
「悪事? なに言ってるアルか?
ワタシは自分のものを取りに来ただけアル」
グリム・ラスク
「そういうこった。
お前らに邪魔される筋合いはねぇんだ」
ヤンヤン
「どういうことアル。
ここにお前たちの物なんてひとつもないアルよ」
グリム・ラスク
「ばっかじゃねぇの!
この世界でオレが持ってねぇもんはオレのもんなんだ」
ラスク
「は? 何言ってんの?」
グリム・ラスク
「オレが持ってないものを奪って手に入れる。
それがオレのコレクションの集め方だ!」
ラスク
「な、なんてやつ!
そんな理屈が通るわけないだろ!」
グリム・ヤンヤン
「通る通らないじゃないアル。
それを通すのがワタシたちの流儀アルよ」
ヤンヤン
「イヤな金持ちの考え方アル!」
ラスク
「ヤンヤンはお金、僕はコレクション……。
好きなものは同じっぽいけど、考え方が根本的に違うみたいだね」
マヤ
「その結果が泥棒だなんて、とんでもないわ!」
ヴァニィ
「悪いお金持ちと路地裏のワルの強欲コンビ!
これは手強そうな相手だーーー!!」
グリム・ヤンヤン
「ぐだぐだうるさい連中ネ。
お宝ついでに返り討ちにしてやろうと思てたけど、
あんまり得にならなさそうネ」
「そうだ、その魔法を使う端末もワタシが奪ってあげるアル。
手を貸すアルよ、ラスク!」
グリム・ラスク
「おもしれぇ、いいぜ!」
瘴気に包まれ、グリム・ヤンヤンとグリム・ラスクは巨大なグリムへとその身を変えた。
豪壮なパンダの左手と化しているカマキリの鎌が怪しくうごめく。
グリム・ラスク
「お前らの大事なもん、全部奪い取ってやるぜ!」
グリム・ヤンヤン
「搾り取るアルよ〜♪」
▲BACK TO TOP
グリム・ヤンヤン
「アハハハハッ!
その程度では止められないアルよ!」
ヤンヤン
「うぅ……盗人のくせになかなかやるアル!」
ヴァニィ
「これは激しい攻防戦!
実況を行うわたくしもその余波に飛ばされそうです!」
ラスク
「ヴァニィ、その根性はスゴイと思うけど状況考えて!」
ヴァニィ
「お心遣い感謝いたします!
ですが、放送部といたしましては、このマイクを手放すわけには参りません!」
グリム・ラスク
「へへっ、そいつがそんなに大事か。
じゃあ、いただきだ!」
グリム・ラスクはにやりと笑うと、目にも留まらぬ速さでヴァニィからマイクを奪い取る。
ヴァニィ
「きゃあっ!? な、なにするんです!?
わたしのマイクがっ!?」
グリム・ヤンヤン
「うるさいアルね。
大人しくしてないと食べちゃうアルよ」
マイクを失い狼狽するヴァニィを、グリム・ヤンヤンが後ろ手にひねり上げ拘束する。
ヴァニィ
「うぅ……」
マヤ
「ヴァニィさん!」
グリム・ヤンヤン
「あー、動いちゃダメアルよ。
変なことしたらヤッちゃうアルからね♪」
ヤンヤン
「どうするアルか、ラスク。
これじゃ、手が出せないアルよ」
ラスク
「人質を取られてるんだから、どうすることもできないじゃないか」
グリム・ラスク
「ほら、さっきの魔法を出すやつ、大切なんだろ?
そいつを寄越しな。 そしたら、こいつを返してやる」
ヴァニィ
「ま、待ってください!
グリモワールを渡してしまっては、みなさんが魔法を使えなくなってしまいます!」
グリム・ヤンヤン
「ふふん、それだけだったらいいアルね。
さぁさぁ、どうするアル?」
ヤンヤン
「……これを渡せば本当にヴァニィを返すアルか?」
グリム・ヤンヤン
「ええ、約束するネ。
地獄の沙汰も金次第って言うアルからな」
ヴァニィ
「だ、ダメです!
みなさん、わたしに構わずこの方たちを!」
ヤンヤン
「……グリモワールは他にもあるけど、ヴァニィの命はひとつだけアル」
ラスク
「命より大事なものなんてないよ。
ほら、僕たちのグリモワールだ。 持っていきなよ」
マヤ
「仕方がないわね……これも持っていって」
ヴァニィ
「みなさん……」
グリム・ラスク
「おおっ、すっげーじゃん。 本物だぜ、本物!」
グリム・ヤンヤン
「いやぁ、感謝するアルよ。
お前のおかげでいいものが手に入ったアル♪
ちょちょいと調べさせてもらうアルね」
グリム・ラスク
「ま、こんだけありゃ十分だろ。 ほら、返してやるよ」
グリモワールを入手し満足げなエボルグリムたちは、ヴァニィを乱暴に開放した。
ヴァニィ
「きゃぁ!!」
ヤンヤン
「ヴァニィ、大丈夫アルか?」
ヴァニィ
「あの、その……ごめんなさい」
ヤンヤン
「いいアルよ。 無事でよかったアル。
でもマイクを取られちゃったアルな……」
グリム・ヤンヤン
「ああっと、忘れてたアル。
すぐに追いかけられても面倒だから、少しそこで寝てるアルよ」
そう言って放たれたグリム・ヤンヤンの攻撃魔法が、
ヤンヤンとラスクたちの近くで炸裂する。
ラスク
「うわぁっ!」
ヤンヤン
「ひうっ!?」
マヤ
「ヤンヤンさん、ラスク君!」
グリム・ヤンヤン
「ひとつ言っとくアル。
命より大事なものなんて、いくらでも存在してるアル」
グリム・ラスク
「金やコレクションだ。
まっ、お前たちにはわからねぇだろうがな」
足止めが功を奏したと見ると、
エボルグリムたちは不敵な笑みを浮かべ姿を消した。
ラスク
「いたた……
なんてことするんだ、あいつら」
マヤ
「ふたりとも、大丈夫?」
ヤンヤン
「な、なんとか平気アル。
それより、これからどうするアルか……。
グリモワールなしでは戦えないアル」
ラスク
「なんとか連絡を取って他のみんなを呼ぶしかないかなぁ」
ヴァニィ
「わ……、わたしがなんとかします。
今グリモワールを持っているのはわたしだけですから……!」
ヴァニィはマイクとともに実況時のハイテンションさを失いながらも、
責任を感じて決意の声を上げる。
マヤ
「ちょ、ちょっと待って。
ヴァニィさんひとりで戦うなんて無茶よ!」
ラスク
「……って、なんでグリモワール持ってるの!?」
ヤンヤン
「もしかしてマイクをグリモワールと勘違いしたアル……?」
ヤンヤン&ラスク&マヤ
「……………………」
ヴァニィ
「みなさんのグリモワールはわたしが取り返します……。
待っていてください!」
マヤ
「ダメよ。少し休みなさい」
ヴァニィ
「え?」
マヤ
「あなただって疲れてるんだから。
エボルグリムはクサビのところにいるはずだし」
ヴァニィ
「……マヤさんの言うとおりですね。
すみません、わかりました」
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「アハハハハッ!
その程度では止められないアルよ!」
ヤンヤン
「うぅ……盗人のくせになかなかやるアル!」
ヴァニィ
「これは激しい攻防戦!
実況を行うわたくしもその余波に飛ばされそうです!」
ラスク
「ヴァニィ、その根性はスゴイと思うけど状況考えて!」
ヴァニィ
「お心遣い感謝いたします!
ですが、放送部といたしましては、このマイクを手放すわけには参りません!」
グリム・ラスク
「へへっ、そいつがそんなに大事か。
じゃあ、いただきだ!」
グリム・ラスクはにやりと笑うと、目にも留まらぬ速さでヴァニィからマイクを奪い取る。
ヴァニィ
「きゃあっ!? な、なにするんです!?
わたしのマイクがっ!?」
グリム・ヤンヤン
「うるさいアルね。
大人しくしてないと食べちゃうアルよ」
マイクを失い狼狽するヴァニィを、グリム・ヤンヤンが後ろ手にひねり上げ拘束する。
ヴァニィ
「うぅ……」
マヤ
「ヴァニィさん!」
グリム・ヤンヤン
「あー、動いちゃダメアルよ。
変なことしたらヤッちゃうアルからね♪」
ヤンヤン
「どうするアルか、ラスク。
これじゃ、手が出せないアルよ」
ラスク
「人質を取られてるんだから、どうすることもできないじゃないか」
グリム・ラスク
「ほら、さっきの魔法を出すやつ、大切なんだろ?
そいつを寄越しな。 そしたら、こいつを返してやる」
ヴァニィ
「ま、待ってください!
グリモワールを渡してしまっては、みなさんが魔法を使えなくなってしまいます!」
グリム・ヤンヤン
「ふふん、それだけだったらいいアルね。
さぁさぁ、どうするアル?」
ヤンヤン
「……これを渡せば本当にヴァニィを返すアルか?」
グリム・ヤンヤン
「ええ、約束するネ。
地獄の沙汰も金次第って言うアルからな」
ヴァニィ
「だ、ダメです!
みなさん、わたしに構わずこの方たちを!」
ヤンヤン
「……グリモワールは他にもあるけど、ヴァニィの命はひとつだけアル」
ラスク
「命より大事なものなんてないよ。
ほら、僕たちのグリモワールだ。 持っていきなよ」
マヤ
「仕方がないわね……これも持っていって」
ヴァニィ
「みなさん……」
グリム・ラスク
「おおっ、すっげーじゃん。 本物だぜ、本物!」
グリム・ヤンヤン
「いやぁ、感謝するアルよ。
お前のおかげでいいものが手に入ったアル♪
ちょちょいと調べさせてもらうアルね」
グリム・ラスク
「ま、こんだけありゃ十分だろ。 ほら、返してやるよ」
グリモワールを入手し満足げなエボルグリムたちは、ヴァニィを乱暴に開放した。
ヴァニィ
「きゃぁ!!」
ヤンヤン
「ヴァニィ、大丈夫アルか?」
ヴァニィ
「あの、その……ごめんなさい」
ヤンヤン
「いいアルよ。 無事でよかったアル。
でもマイクを取られちゃったアルな……」
グリム・ヤンヤン
「ああっと、忘れてたアル。
すぐに追いかけられても面倒だから、少しそこで寝てるアルよ」
そう言って放たれたグリム・ヤンヤンの攻撃魔法が、
ヤンヤンとラスクたちの近くで炸裂する。
ラスク
「うわぁっ!」
ヤンヤン
「ひうっ!?」
マヤ
「ヤンヤンさん、ラスク君!」
グリム・ヤンヤン
「ひとつ言っとくアル。
命より大事なものなんて、いくらでも存在してるアル」
グリム・ラスク
「金やコレクションだ。
まっ、お前たちにはわからねぇだろうがな」
足止めが功を奏したと見ると、
エボルグリムたちは不敵な笑みを浮かべ姿を消した。
ラスク
「いたた……
なんてことするんだ、あいつら」
マヤ
「ふたりとも、大丈夫?」
ヤンヤン
「な、なんとか平気アル。
それより、これからどうするアルか……。
グリモワールなしでは戦えないアル」
ラスク
「なんとか連絡を取って他のみんなを呼ぶしかないかなぁ」
ヴァニィ
「わ……、わたしがなんとかします。
今グリモワールを持っているのはわたしだけですから……!」
ヴァニィはマイクとともに実況時のハイテンションさを失いながらも、
責任を感じて決意の声を上げる。
マヤ
「ちょ、ちょっと待って。
ヴァニィさんひとりで戦うなんて無茶よ!」
ラスク
「……って、なんでグリモワール持ってるの!?」
ヤンヤン
「もしかしてマイクをグリモワールと勘違いしたアル……?」
ヤンヤン&ラスク&マヤ
「……………………」
ヴァニィ
「みなさんのグリモワールはわたしが取り返します……。
待っていてください!」
マヤ
「ダメよ。少し休みなさい」
ヴァニィ
「え?」
マヤ
「あなただって疲れてるんだから。
エボルグリムはクサビのところにいるはずだし」
ヴァニィ
「……マヤさんの言うとおりですね。
すみません、わかりました」
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〜不可思議な空間〜
グリム・セリオス
「ふふ……くははははははッ!!
そう、これで全ての準備は整った!」
「これはこの私こそが絶対なる忠誠者であるという証。
唯一絶対である方法!」
???
「……素晴らしいね、セリオス」
グリム・セリオス
「はっ! ありがたきお言葉」
???
「ようやく、瘴気で世界は満たされる。
長きに渡る宿願が叶えられようとしているのだね」
グリム・セリオス
「全てはそのために」
〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
幾度と無くエボルグリムたちが襲撃をかけた場所を、レオンたちは警戒してまわっていた。
レオン
「しっかし、月のない夜っていうのは、なんかこう違うよな」
ルキア
「あ、なんかわかるかも。
ちょっと不思議な感じするよね」
シャロン
「お二人とも、気を抜きすぎですわよ。
前回襲撃してきたというエボルグリムなら、この新月に現れる可能性が高いですわ」
レオン
「なるほどな。 そういうもんか」
ルキア
「確かに暗い方が強いなら、こういうときを狙ってくるよね」
シャロンの推測を証明するかのように、攻撃魔法が一行を襲う。
シャロン
「――ッ!? 来ましたわね!」
グリム・セリオス
「待たせたなぁ、諸君!
今日この時を待ち侘びたぞッ!!」
レオン
「いけすかねぇな!
俺たちがぶっとばしてやるぜ!」
グリム・セリオス
「顔が同じなら言葉も同じか。
実につまらん!!」
レオンを一瞥し、グリム・セリオスは吐き捨てるように呟いた。
ルキア
「今のってエボルグリムの方のレオンのことかな?」
シャロン
「でしょうね。
まだあちらのレオンさんは封印できていませんから」
グリム・セリオス
「オリジナルの姿が見えんな。
先日の借りを返せないのは残念だが、まぁいい。
ふんっ!!」
ルキア
「そんなの当たんないよ!」
グリム・セリオスの攻撃を難なく避けたルキアだが、
その背後をめがけ襲い掛かるものがあった。
シャロン
「ルキアさん、後ろからなにか来ますわよ!」
ルキア
「えぇ!?」
シャロンの警告に、ルキアはとっさに回避行動をとる。
そこにはグリム・レオンの姿があった。
グリム・レオン
「ハッ! どうやらそこそこやるみてぇだなぁ!」
グリム・セリオス
「遅いぞ、レオン。
あの御方を侮辱するつもりか!?」
グリム・レオン
「知ったことかよ!
オレはオレだ。 誰かの指図なんて受けねぇ!!」
グリム・セリオス
「相も変わらず、よく吼える。
まぁよかろう、来たからには少しくらいは役に立ってみせてみろ!」
軽い口論の後、エボルグリムたちは二手に別れ襲い掛かってきた。
レオン
「久しぶりだな、もう一人の俺!」
グリム・レオン
「オレを同列に語るなよ、人間風情がッ!」
シャロン
「三人でこの二体を相手にするというのは、かなりまずい状況ですわよ!」
グリム・セリオスは巨大な鷲へと姿を変え、
強力な攻撃を続けざまに周囲へと撒き散らした。
ルキア
「やばいよ!
これじゃトーキョーを守ってる結界が!」
グリム・セリオス
「全て壊れてしまえぇぇぇぇぇぇ!!」
止めとばかりにグリム・セリオスが一撃を放つと、
砕けるような音が辺りに轟く。
レオン
「結界に穴が空いちまった!?」
グリム・レオン
「余所見してる場合じゃないだろうがッ!!」
レオン
「ぐっ!?」
???
「セイクリッドライト!」
混乱した事態に突如、攻撃魔法の掛け声が響き渡った。
グリム・レオンは自分を狙ったそれをかわし、
レオンも相手からいったん距離をとった。
セリオス
「何をしているんだ、君たちは」
ルキア
「セリオス!」
セリオス
「ムジナ、イナリ。
想定通りだ、修復を頼む」
ムジナ
「はい。任せてください」
イナリ
「ふっふーん。
私と兄様ならちょちょいのちょいだよ!」
セリオスは同行したムジナとイナリに指示を出すと、
苦戦していた仲間たちに向き直った。
セリオス
「レオンは引き続きエボルグリムの相手を。
出来るな?」
レオン
「へへっ! 当然だ!」
セリオス
「ふっ、任せたぞ。
ルキア、シャロン、僕のサポートを頼む」
ルキア
「りょーかい!」
シャロン
「こちらも承知しましたわ」
セリオス
「では、行こう。 準備は完璧だ。
あの贋作は、僕が倒す――」
セリオスの姿を認めると大鷲は、歓喜にも似た声を上げ襲い掛かってきた。
グリム・セリオス
「はははははは!! いいだろう、オリジナル!
ここに、あの御方の宿願は果たされるゥゥゥ!!」
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グリム・セリオス
「ふふ……くははははははッ!!
そう、これで全ての準備は整った!」
「これはこの私こそが絶対なる忠誠者であるという証。
唯一絶対である方法!」
???
「……素晴らしいね、セリオス」
グリム・セリオス
「はっ! ありがたきお言葉」
???
「ようやく、瘴気で世界は満たされる。
長きに渡る宿願が叶えられようとしているのだね」
グリム・セリオス
「全てはそのために」
〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
幾度と無くエボルグリムたちが襲撃をかけた場所を、レオンたちは警戒してまわっていた。
レオン
「しっかし、月のない夜っていうのは、なんかこう違うよな」
ルキア
「あ、なんかわかるかも。
ちょっと不思議な感じするよね」
シャロン
「お二人とも、気を抜きすぎですわよ。
前回襲撃してきたというエボルグリムなら、この新月に現れる可能性が高いですわ」
レオン
「なるほどな。 そういうもんか」
ルキア
「確かに暗い方が強いなら、こういうときを狙ってくるよね」
シャロンの推測を証明するかのように、攻撃魔法が一行を襲う。
シャロン
「――ッ!? 来ましたわね!」
グリム・セリオス
「待たせたなぁ、諸君!
今日この時を待ち侘びたぞッ!!」
レオン
「いけすかねぇな!
俺たちがぶっとばしてやるぜ!」
グリム・セリオス
「顔が同じなら言葉も同じか。
実につまらん!!」
レオンを一瞥し、グリム・セリオスは吐き捨てるように呟いた。
ルキア
「今のってエボルグリムの方のレオンのことかな?」
シャロン
「でしょうね。
まだあちらのレオンさんは封印できていませんから」
グリム・セリオス
「オリジナルの姿が見えんな。
先日の借りを返せないのは残念だが、まぁいい。
ふんっ!!」
ルキア
「そんなの当たんないよ!」
グリム・セリオスの攻撃を難なく避けたルキアだが、
その背後をめがけ襲い掛かるものがあった。
シャロン
「ルキアさん、後ろからなにか来ますわよ!」
ルキア
「えぇ!?」
シャロンの警告に、ルキアはとっさに回避行動をとる。
そこにはグリム・レオンの姿があった。
グリム・レオン
「ハッ! どうやらそこそこやるみてぇだなぁ!」
グリム・セリオス
「遅いぞ、レオン。
あの御方を侮辱するつもりか!?」
グリム・レオン
「知ったことかよ!
オレはオレだ。 誰かの指図なんて受けねぇ!!」
グリム・セリオス
「相も変わらず、よく吼える。
まぁよかろう、来たからには少しくらいは役に立ってみせてみろ!」
軽い口論の後、エボルグリムたちは二手に別れ襲い掛かってきた。
レオン
「久しぶりだな、もう一人の俺!」
グリム・レオン
「オレを同列に語るなよ、人間風情がッ!」
シャロン
「三人でこの二体を相手にするというのは、かなりまずい状況ですわよ!」
グリム・セリオスは巨大な鷲へと姿を変え、
強力な攻撃を続けざまに周囲へと撒き散らした。
ルキア
「やばいよ!
これじゃトーキョーを守ってる結界が!」
グリム・セリオス
「全て壊れてしまえぇぇぇぇぇぇ!!」
止めとばかりにグリム・セリオスが一撃を放つと、
砕けるような音が辺りに轟く。
レオン
「結界に穴が空いちまった!?」
グリム・レオン
「余所見してる場合じゃないだろうがッ!!」
レオン
「ぐっ!?」
???
「セイクリッドライト!」
混乱した事態に突如、攻撃魔法の掛け声が響き渡った。
グリム・レオンは自分を狙ったそれをかわし、
レオンも相手からいったん距離をとった。
セリオス
「何をしているんだ、君たちは」
ルキア
「セリオス!」
セリオス
「ムジナ、イナリ。
想定通りだ、修復を頼む」
ムジナ
「はい。任せてください」
イナリ
「ふっふーん。
私と兄様ならちょちょいのちょいだよ!」
セリオスは同行したムジナとイナリに指示を出すと、
苦戦していた仲間たちに向き直った。
セリオス
「レオンは引き続きエボルグリムの相手を。
出来るな?」
レオン
「へへっ! 当然だ!」
セリオス
「ふっ、任せたぞ。
ルキア、シャロン、僕のサポートを頼む」
ルキア
「りょーかい!」
シャロン
「こちらも承知しましたわ」
セリオス
「では、行こう。 準備は完璧だ。
あの贋作は、僕が倒す――」
セリオスの姿を認めると大鷲は、歓喜にも似た声を上げ襲い掛かってきた。
グリム・セリオス
「はははははは!! いいだろう、オリジナル!
ここに、あの御方の宿願は果たされるゥゥゥ!!」
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レオン
「ハァハァ…さすが俺のエボルグリムだな。
結構、きついぜ……」
グリム・レオン
「どうした? また逃げ帰るかァ!?」
レオン
「冗談!」
ルキア
「あとは任せたよ、セリオス!」
シャロン
「わたくしたちのマナも使ってください!」
ルキアとシャロンのグリモワールから発せられた光の奔流がセリオスを包む。
体に満ちる力強いマナを感じたセリオスは、
以前闇を晴らすために使った光の球を出現させた。
セリオス
「これで終わりにさせてもらう!」
以前は光球を維持するだけで精一杯だったが、
仲間から受けたマナにより、あのときの疲労は全く感じられない。
出来る、と確信したセリオスは、強大な光球を大鷲へと直撃させる。
グリム・セリオス
「うがァァァァァァァ!!」
大鷲を飲み込んだ光球は膨れ上がり、そして弾け飛んだ。
辺りを包んだ光が収まると、そこには息も絶え絶えに立つ
人間態へと戻ったグリム・セリオスの姿があった。
グリム・セリオス
「フハハ……ハハハハハ……!
まさか、あの魔法を攻撃に転用するとは……」
ルキア
「嘘っ! まだ倒れてないの!?」
シャロン
「凄まじい執念ですわね……」
セリオス
「レオンのサポートをしなければいけない。
情報を得られないのは残念だが、退場してもらおう!」
「セイクリッドライト!」
セリオスの放った攻撃魔法は確実に目標を捉える。
グリム・セリオス
「ぐおぉぉぉぉぉぉ!!
……ば、ばかな……この、私が…………」
セリオス
「贋物らしく、消え去れ!」
セリオスは己のエボルグリムにグリモワールを向け、封印を開始する。
溢れる光に包まれグリモワールへと吸収されていくグリム・セリオス。
が、突如歪んだ笑顔を浮かべる。
グリム・セリオス
「……これだ、このタイミングゥ!!」
実体の維持も怪しいグリム・セリオスから、
二人のレオン目掛けて魔法が放たれる。
レオン
「ぐあぁぁぁ!?」
グリム・レオン
「ぐおぉぉぉ!?」
ルキア
「レオン!?」
シャロン
「味方ごと攻撃しましたの!?」
グリム・レオン
「てめぇ……やりやがったなッ!?」
グリム・セリオス
「……ハハ、ハハハ……果たされる!
これで全てが果たされる!!」
セリオス
「お前たちの真の目的はなんだ!」
グリム・セリオス
「察しが悪いなァ、オリジナル……
ハハハ……ハハハハハハ!!」
「……………………」
封印が完了し光が収まったグリモワールを、
セリオスは苦々しげに見つめる。
セリオス
「……気に食わないな」
グリム・レオン
「あの野郎、まんまとやられやがった上に、オレを巻き込みやがって……!」
「クソッ! 勝負はおあずけだ、オリジナル!」
グリム・セリオスへの怒りの言葉を吐き、グリム・レオンは姿を消した。
ルキア
「行っちゃった……。
大丈夫? レオン」
レオン
「……ああ。
あんまりダメージは無いみたいだ」
シャロン
「セリオスさんのエボルグリム、気になることを言ってましたわね」
セリオス
「そうだな。
最後の行動、明らかになんらかの意図があってのことだ」
シャロン
「もしかしたらレオンさんの体に、何か起きている可能性もありますわ。
何にせよ調査は必要ですわね」
ルキア
「気になることはあるけど、ここも守れたし、とりあえず一件落着かな!」
事態の収まりを喜び、ルキアはレオンの背中を叩く。
レオン
「いって!? 何すんだよルキア!」
ルキア
「あ、あははは……ごめーん」
ムジナ
「………………」
イナリ
「兄様……どうしたんですか?」
ムジナ
「シャロンさんとセリオスさんの言うように、少し調べてみる必要があると思います。
グリモワールに異常が起きているかもしれない」
一応の勝利を収め、一行は帰途に着く。
が、レオンのグリモワールに瘴気めいたものが静かに浮かび上がった事に気づく者は居なかった。
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「ハァハァ…さすが俺のエボルグリムだな。
結構、きついぜ……」
グリム・レオン
「どうした? また逃げ帰るかァ!?」
レオン
「冗談!」
ルキア
「あとは任せたよ、セリオス!」
シャロン
「わたくしたちのマナも使ってください!」
ルキアとシャロンのグリモワールから発せられた光の奔流がセリオスを包む。
体に満ちる力強いマナを感じたセリオスは、
以前闇を晴らすために使った光の球を出現させた。
セリオス
「これで終わりにさせてもらう!」
以前は光球を維持するだけで精一杯だったが、
仲間から受けたマナにより、あのときの疲労は全く感じられない。
出来る、と確信したセリオスは、強大な光球を大鷲へと直撃させる。
グリム・セリオス
「うがァァァァァァァ!!」
大鷲を飲み込んだ光球は膨れ上がり、そして弾け飛んだ。
辺りを包んだ光が収まると、そこには息も絶え絶えに立つ
人間態へと戻ったグリム・セリオスの姿があった。
グリム・セリオス
「フハハ……ハハハハハ……!
まさか、あの魔法を攻撃に転用するとは……」
ルキア
「嘘っ! まだ倒れてないの!?」
シャロン
「凄まじい執念ですわね……」
セリオス
「レオンのサポートをしなければいけない。
情報を得られないのは残念だが、退場してもらおう!」
「セイクリッドライト!」
セリオスの放った攻撃魔法は確実に目標を捉える。
グリム・セリオス
「ぐおぉぉぉぉぉぉ!!
……ば、ばかな……この、私が…………」
セリオス
「贋物らしく、消え去れ!」
セリオスは己のエボルグリムにグリモワールを向け、封印を開始する。
溢れる光に包まれグリモワールへと吸収されていくグリム・セリオス。
が、突如歪んだ笑顔を浮かべる。
グリム・セリオス
「……これだ、このタイミングゥ!!」
実体の維持も怪しいグリム・セリオスから、
二人のレオン目掛けて魔法が放たれる。
レオン
「ぐあぁぁぁ!?」
グリム・レオン
「ぐおぉぉぉ!?」
ルキア
「レオン!?」
シャロン
「味方ごと攻撃しましたの!?」
グリム・レオン
「てめぇ……やりやがったなッ!?」
グリム・セリオス
「……ハハ、ハハハ……果たされる!
これで全てが果たされる!!」
セリオス
「お前たちの真の目的はなんだ!」
グリム・セリオス
「察しが悪いなァ、オリジナル……
ハハハ……ハハハハハハ!!」
「……………………」
封印が完了し光が収まったグリモワールを、
セリオスは苦々しげに見つめる。
セリオス
「……気に食わないな」
グリム・レオン
「あの野郎、まんまとやられやがった上に、オレを巻き込みやがって……!」
「クソッ! 勝負はおあずけだ、オリジナル!」
グリム・セリオスへの怒りの言葉を吐き、グリム・レオンは姿を消した。
ルキア
「行っちゃった……。
大丈夫? レオン」
レオン
「……ああ。
あんまりダメージは無いみたいだ」
シャロン
「セリオスさんのエボルグリム、気になることを言ってましたわね」
セリオス
「そうだな。
最後の行動、明らかになんらかの意図があってのことだ」
シャロン
「もしかしたらレオンさんの体に、何か起きている可能性もありますわ。
何にせよ調査は必要ですわね」
ルキア
「気になることはあるけど、ここも守れたし、とりあえず一件落着かな!」
事態の収まりを喜び、ルキアはレオンの背中を叩く。
レオン
「いって!? 何すんだよルキア!」
ルキア
「あ、あははは……ごめーん」
ムジナ
「………………」
イナリ
「兄様……どうしたんですか?」
ムジナ
「シャロンさんとセリオスさんの言うように、少し調べてみる必要があると思います。
グリモワールに異常が起きているかもしれない」
一応の勝利を収め、一行は帰途に着く。
が、レオンのグリモワールに瘴気めいたものが静かに浮かび上がった事に気づく者は居なかった。
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シューキュウのクサビの下で、グリム・ヤンヤンとグリム・ラスクは
満足そうにくつろいでいた。
グリム・ヤンヤン
「……ふふ。
グリモワール、なかなか楽しいアイテムアルね」
グリム・ラスク
「ま、あの御方が褒めてくれたし?
手に入れた甲斐はあったな」
グリム・ヤンヤン
「おや、お客様のようアルよ?」
ヴァニィ
「み、見つけました、そこのふたり!」
グリム・ラスク
「なんだ、お前か。
また捕まりに来たのか?」
ヴァニィ
「ヤンヤンさんとラスクさん、マヤさんのグリモワールを返してください!」
グリム・ヤンヤン
「……ワタシたちから、宝物を奪い取ろうなんていい度胸アル」
グリム・ラスク
「しかもひとりで来るなんてな。
いいぜ、相手してやるぜ!」
グリム・ヤンヤン
「ワタシたちから奪うか、お前が奪われるか。
これは楽しい戦いになりそうアルな♪」
ヴァニィ
「ちょ、ちょっと待ってください」
グリム・ラスク
「ん? なんかまだ言い足りないのか?」
ヴァニィ
「わ、わたしは一人で、そっちは二人。
そのハンデとして、グリモワールを最初に渡してくれませんか?」
グリム・ヤンヤン
「オマエもなかなか欲張りアルな!
気に入ったネ! いいアルよ、もう、こいつの用は済んだアル」
グリム・ラスク
「ほらよ」
ヴァニィ
「ありがとうございます!
確かにいただきました!」
グリム・ラスクからグリモワールとマイクを受け取り、深呼吸をするヴァニィ。
その瞳には、ハイテンションな輝きが戻っていた。
ヴァニィ
「では、はじめましょう!
わたくし、一世一代の大勝負!
さようなら!」
そう言うや否や、ヴァニィはエボルグリムたちに背を向け全力疾走を始めた。
グリム・ヤンヤン
「な!? どこにいくアルか!?」
ヴァニィ
「もちろん、逃げるんです!」
グリム・ヤンヤン
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
グリム・ラスク
「まちやがれぇぇぇぇぇ!!」
ヴァニィ
「ひぃ……!
追いつかないでいただけると助かりますー!」
追跡するもなかなか縮まらない距離に、エボルグリムたちは業を煮やす。
グリム・ヤンヤン
「そろそろ面倒臭くなってきたアル。
派手なので決めるアルよ!」
ヴァニィ
「おっと、これは大技の予感!
一か八かの賭けにでたのかー!?」
グリム・ラスク
「は? そんなわけ――」
ヴァニィ
「どうぞ!」
グリム・ラスクの一瞬の動揺を突いて、ヴァニィがグリモワールを放り投げる。
それは程なく仲間たちの手に収まった。
ヤンヤン
「ナイスアル!」
ラスク
「戦略的勝利だね!
それっ!」
グリモワールを受け取ったヤンヤンとラスクが、反撃を開始する。
グリム・ラスク
「ぐあっ!? な、なんだと!?」
グリム・ヤンヤン
「い、いつの間にきてたアル……」
ヤンヤン
「ふふんっ、鍛え方が違うアル。
ちょっと休めばこれくらい余裕アルよ!」
ラスク
「そっちが慢心しすぎなんだよね!」
グリム・ラスク
「うるせぇよ!
何度だって奪い返してやるからな!」
マヤ
「元々はわたしたちのものよ。
それを取り返しただけだもの」
ヤンヤン
「濡れ衣は晴らさせてもらうアルよ」
グリム・ラスク
「やっちまうぞ、ヤンヤン!
今度は全部奪ってやるぞ!」
グリム・ヤンヤン
「ふっふっふ。その身体に教えてやるアル。
お前たちが搾取されるだけの貧乏人ってことを!」
暁の賢者たちに出し抜かれたエボルグリムたちは、
雪辱とばかりに再び合体グリムへと身を変える。
グリム・ヤンヤン
「今度はそう簡単に許さないアル。
その身体で返してもらうアルよ!」
ヤンヤン
「なら、身体で返してやるアルよ!
お前たちが受け取りきれるかどうか試してやるアル!」
ラスク
「僕のものは僕のものだからね。
お前たちに渡すものなんてなにひとつないよ!」
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満足そうにくつろいでいた。
グリム・ヤンヤン
「……ふふ。
グリモワール、なかなか楽しいアイテムアルね」
グリム・ラスク
「ま、あの御方が褒めてくれたし?
手に入れた甲斐はあったな」
グリム・ヤンヤン
「おや、お客様のようアルよ?」
ヴァニィ
「み、見つけました、そこのふたり!」
グリム・ラスク
「なんだ、お前か。
また捕まりに来たのか?」
ヴァニィ
「ヤンヤンさんとラスクさん、マヤさんのグリモワールを返してください!」
グリム・ヤンヤン
「……ワタシたちから、宝物を奪い取ろうなんていい度胸アル」
グリム・ラスク
「しかもひとりで来るなんてな。
いいぜ、相手してやるぜ!」
グリム・ヤンヤン
「ワタシたちから奪うか、お前が奪われるか。
これは楽しい戦いになりそうアルな♪」
ヴァニィ
「ちょ、ちょっと待ってください」
グリム・ラスク
「ん? なんかまだ言い足りないのか?」
ヴァニィ
「わ、わたしは一人で、そっちは二人。
そのハンデとして、グリモワールを最初に渡してくれませんか?」
グリム・ヤンヤン
「オマエもなかなか欲張りアルな!
気に入ったネ! いいアルよ、もう、こいつの用は済んだアル」
グリム・ラスク
「ほらよ」
ヴァニィ
「ありがとうございます!
確かにいただきました!」
グリム・ラスクからグリモワールとマイクを受け取り、深呼吸をするヴァニィ。
その瞳には、ハイテンションな輝きが戻っていた。
ヴァニィ
「では、はじめましょう!
わたくし、一世一代の大勝負!
さようなら!」
そう言うや否や、ヴァニィはエボルグリムたちに背を向け全力疾走を始めた。
グリム・ヤンヤン
「な!? どこにいくアルか!?」
ヴァニィ
「もちろん、逃げるんです!」
グリム・ヤンヤン
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
グリム・ラスク
「まちやがれぇぇぇぇぇ!!」
ヴァニィ
「ひぃ……!
追いつかないでいただけると助かりますー!」
追跡するもなかなか縮まらない距離に、エボルグリムたちは業を煮やす。
グリム・ヤンヤン
「そろそろ面倒臭くなってきたアル。
派手なので決めるアルよ!」
ヴァニィ
「おっと、これは大技の予感!
一か八かの賭けにでたのかー!?」
グリム・ラスク
「は? そんなわけ――」
ヴァニィ
「どうぞ!」
グリム・ラスクの一瞬の動揺を突いて、ヴァニィがグリモワールを放り投げる。
それは程なく仲間たちの手に収まった。
ヤンヤン
「ナイスアル!」
ラスク
「戦略的勝利だね!
それっ!」
グリモワールを受け取ったヤンヤンとラスクが、反撃を開始する。
グリム・ラスク
「ぐあっ!? な、なんだと!?」
グリム・ヤンヤン
「い、いつの間にきてたアル……」
ヤンヤン
「ふふんっ、鍛え方が違うアル。
ちょっと休めばこれくらい余裕アルよ!」
ラスク
「そっちが慢心しすぎなんだよね!」
グリム・ラスク
「うるせぇよ!
何度だって奪い返してやるからな!」
マヤ
「元々はわたしたちのものよ。
それを取り返しただけだもの」
ヤンヤン
「濡れ衣は晴らさせてもらうアルよ」
グリム・ラスク
「やっちまうぞ、ヤンヤン!
今度は全部奪ってやるぞ!」
グリム・ヤンヤン
「ふっふっふ。その身体に教えてやるアル。
お前たちが搾取されるだけの貧乏人ってことを!」
暁の賢者たちに出し抜かれたエボルグリムたちは、
雪辱とばかりに再び合体グリムへと身を変える。
グリム・ヤンヤン
「今度はそう簡単に許さないアル。
その身体で返してもらうアルよ!」
ヤンヤン
「なら、身体で返してやるアルよ!
お前たちが受け取りきれるかどうか試してやるアル!」
ラスク
「僕のものは僕のものだからね。
お前たちに渡すものなんてなにひとつないよ!」
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ヤンヤン
「さあ、持っていくアル!
お釣りはいらないアルよ!」
グリム・ラスク
「ぐあああ!!」
グリム・ヤンヤン
「アイヤー!!」
連携攻撃の末に放たれたヤンヤンの魔法攻撃のダメージにより、
エボルグリムたちは巨大グリムから人間態へとその姿を戻した。
ラスク
「悪いことすると罰を受けるのは当然だよね。
大体、コレクションっていうのは、苦労して集めるものなんだから!」
グリム・ラスク
「バカじゃねぇの……
それこそ、奪ったほうが楽じゃねぇか。
無駄な時間がかかっちまう」
ラスク
「それを心から言ってるんだとしたら、コレクターの資格はないよ。
やっぱりニセモノはニセモノってことだね」
グリム・ラスク
「キレイ事言いやがって……」
ラスク
「コレクションは自己満足かもしれないけど
そんなものじゃ自分も満足させられないよ」
グリム・ラスク
「ははは……お前もいつかわかるぜ……。
人から大切なものを奪うっていう快感がな……」
ラスク
「バカじゃないの。 そんなの一生、わかりたくない。
僕は、コレクターだからね」
ラスクのグリモワールを掲げると、溢れ出した光がグリム・ラスクを包み込む。
仲間が封印される様を見たグリム・ヤンヤンが、ヤンヤンを睨み付ける。
グリム・ヤンヤン
「……ハッ、オマエも説教するつもりアルか」
ヤンヤン
「お金や物を手に入れるのはすーっごく大変アルよ!
わたしがどれだけ苦労して稼いでると思ってるアルか!」
グリム・ヤンヤン
「なに言ってるアル。
お前も楽して稼ごうとしたことくらい一回や二回は……」
ヤンヤン
「当然あるアル!
でも楽な方法は失敗する確率が高いアル。
それは今のオマエならよーくわかるはずアルよ」
グリム・ヤンヤン
「……そうアルな。
そのツケが来たってことアルか」
ヤンヤン
「ところで盗品はどこアル?
わたしにだけ教えるアル」
マヤ
「あなたね……」
ヤンヤン
「ち、違うアル。 横取りしようとか考えてないアルよ。
持ち主たちに返そうと思っただけアル!」
グリム・ヤンヤン
「自分たちで探すといいアル。
似たような顔なんだから、ついでにお縄につくと傑作アルな!」
憎まれ口をききつつ、グリム・ヤンヤンはヤンヤンのグリモワールの光に包まれていった。
ヤンヤン
「ばいばいアル。
まあ、おおよその場所は予想できてるアル」
ラスク
「ま、コレクションって呼んでたし、すぐ見られるように身近な場所に隠すはずだからね」
マヤ
「クサビの近くってことね。
早く見つけて返しましょう」
ヴァニィ
「ついに決着ですね!
オリジナルが偽物を倒した瞬間!
これはいい記事が書けそうです!」
ヤンヤン
「その記事にわたしたちのことをちゃーんと書くアルよ。
いつまでも怪盗扱いはごめんアル」
ヴァニィ
「もちろんです!
マイクも取り戻せましたし、ご迷惑をおかけした分、働きますよ!」
ラスク
「あいつらの自慢のコレクションを見に行こうよ。
実はどんなものがあるのか、ちょっと楽しみなんだよね」
ヤンヤン
「ホント、楽しみアルな〜。
わたしたちのイメージアップアルよ!」
マヤ
「あのね……あなたたち、
クサビを壊すっていう大事な目的を忘れてない?」
ラスク
「あ……」
ヤンヤン
「う……」
ヴァニィ
「おっと、的確な指摘におふたりも思わず青くなる!」
マヤ
「ヴァニィさん……あなたも反省しなさい」
ヴァニィ
「も、申し訳ありません!」
ヤンヤン
「しかし、まさか今回はエボルグリムの悪事で
風評被害を受けるとは、思ってもみなかったアル!」
マヤ
「これまでもそうだったけど、自分たちに似た姿を倒すだなんて、
あまり気分のいいものではないわよね」
ラスク
「この借りは、やつらのボスに返してやろうよ。
あの御方ってやつにね!」
ヤンヤン
「その通りアル!
悪は滅びる運命アルからな!」
ヴァニィ
「善因善果と申します!
我々が正義を貫けば勝利は訪れるはず!
力を合わせて頑張りましょう!」
マヤ
「もう……みんな調子いいんだから」
「さあ、持っていくアル!
お釣りはいらないアルよ!」
グリム・ラスク
「ぐあああ!!」
グリム・ヤンヤン
「アイヤー!!」
連携攻撃の末に放たれたヤンヤンの魔法攻撃のダメージにより、
エボルグリムたちは巨大グリムから人間態へとその姿を戻した。
ラスク
「悪いことすると罰を受けるのは当然だよね。
大体、コレクションっていうのは、苦労して集めるものなんだから!」
グリム・ラスク
「バカじゃねぇの……
それこそ、奪ったほうが楽じゃねぇか。
無駄な時間がかかっちまう」
ラスク
「それを心から言ってるんだとしたら、コレクターの資格はないよ。
やっぱりニセモノはニセモノってことだね」
グリム・ラスク
「キレイ事言いやがって……」
ラスク
「コレクションは自己満足かもしれないけど
そんなものじゃ自分も満足させられないよ」
グリム・ラスク
「ははは……お前もいつかわかるぜ……。
人から大切なものを奪うっていう快感がな……」
ラスク
「バカじゃないの。 そんなの一生、わかりたくない。
僕は、コレクターだからね」
ラスクのグリモワールを掲げると、溢れ出した光がグリム・ラスクを包み込む。
仲間が封印される様を見たグリム・ヤンヤンが、ヤンヤンを睨み付ける。
グリム・ヤンヤン
「……ハッ、オマエも説教するつもりアルか」
ヤンヤン
「お金や物を手に入れるのはすーっごく大変アルよ!
わたしがどれだけ苦労して稼いでると思ってるアルか!」
グリム・ヤンヤン
「なに言ってるアル。
お前も楽して稼ごうとしたことくらい一回や二回は……」
ヤンヤン
「当然あるアル!
でも楽な方法は失敗する確率が高いアル。
それは今のオマエならよーくわかるはずアルよ」
グリム・ヤンヤン
「……そうアルな。
そのツケが来たってことアルか」
ヤンヤン
「ところで盗品はどこアル?
わたしにだけ教えるアル」
マヤ
「あなたね……」
ヤンヤン
「ち、違うアル。 横取りしようとか考えてないアルよ。
持ち主たちに返そうと思っただけアル!」
グリム・ヤンヤン
「自分たちで探すといいアル。
似たような顔なんだから、ついでにお縄につくと傑作アルな!」
憎まれ口をききつつ、グリム・ヤンヤンはヤンヤンのグリモワールの光に包まれていった。
ヤンヤン
「ばいばいアル。
まあ、おおよその場所は予想できてるアル」
ラスク
「ま、コレクションって呼んでたし、すぐ見られるように身近な場所に隠すはずだからね」
マヤ
「クサビの近くってことね。
早く見つけて返しましょう」
ヴァニィ
「ついに決着ですね!
オリジナルが偽物を倒した瞬間!
これはいい記事が書けそうです!」
ヤンヤン
「その記事にわたしたちのことをちゃーんと書くアルよ。
いつまでも怪盗扱いはごめんアル」
ヴァニィ
「もちろんです!
マイクも取り戻せましたし、ご迷惑をおかけした分、働きますよ!」
ラスク
「あいつらの自慢のコレクションを見に行こうよ。
実はどんなものがあるのか、ちょっと楽しみなんだよね」
ヤンヤン
「ホント、楽しみアルな〜。
わたしたちのイメージアップアルよ!」
マヤ
「あのね……あなたたち、
クサビを壊すっていう大事な目的を忘れてない?」
ラスク
「あ……」
ヤンヤン
「う……」
ヴァニィ
「おっと、的確な指摘におふたりも思わず青くなる!」
マヤ
「ヴァニィさん……あなたも反省しなさい」
ヴァニィ
「も、申し訳ありません!」
ヤンヤン
「しかし、まさか今回はエボルグリムの悪事で
風評被害を受けるとは、思ってもみなかったアル!」
マヤ
「これまでもそうだったけど、自分たちに似た姿を倒すだなんて、
あまり気分のいいものではないわよね」
ラスク
「この借りは、やつらのボスに返してやろうよ。
あの御方ってやつにね!」
ヤンヤン
「その通りアル!
悪は滅びる運命アルからな!」
ヴァニィ
「善因善果と申します!
我々が正義を貫けば勝利は訪れるはず!
力を合わせて頑張りましょう!」
マヤ
「もう……みんな調子いいんだから」
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ハルト、タイガ、クララ、アイコの4人は調査のためにカナザウアーに居た。
クララ
「カナザウアーに入ったのはいいけど、クサビ、見当たらないね……」
ハルト
「暗き闇の中に潜み、我々を嘲笑っているのかもしれない」
クララ
「このままみんなで固まって探すより、手分けして探したほうがいいかも」
タイガ
「ほなら、一時間後に集合っちゅうことで。
アイコ、お前は俺と一緒に来ぃや。
油売らんように、俺がしっかり監視したるさかいな」
アイコ
「えぇ!? 遊ぶなんてそんなことしないよ!
状況が状況なんだから」
タイガ
「おもっくそ目ぇ泳いどるやんけ!
ほれ、つべこべ言わんとさっさと行くでー」
クララ
「ハルト君……やっぱり、わたしたちも一緒にいく?」
ハルト
「その必要はあるまい。
貴様ならば俺の手を貸すまでもなかろう」
クララ
「そ、そう? じゃあ、ハルト君も気をつけて」
クララは仲間たちと別れ調査を開始するが、クサビは依然として見つからない。
クララ
「……ひとりはちょっぴり寂しいなぁ。
やっぱり誰かと一緒の方が――」
???
「ちょっとちょっと〜。
そんなとこに立たれると邪魔なんだけど〜」
立ち止まって思いにふけっていたクララに、派手な格好をした少女が咎めるような言葉をかける。
クララ
「ご、ごめんなさい!」
派手な格好の少女
「……あれ? あれれ?
もしかして、クララちんだったり〜?」
クララ
「えっ? は、はい、そうですけど。
どこかでお会いしまし――」
派手な格好の少女
「うっそ! マジでクラくらじゃん!
こんなところで会えるとか奇跡じゃね?」
「ってか、なにその格好。地味すぎだし。
もっとオシャレしなきゃ!!」
クララ
「じ、地味!?
こ、これは制服で……それよりもあなた――」
派手な格好の少女
「クラりん、元が超かわいいのにもったいないじゃん!」
クララ
「か、可愛い!?
そ、そうでしょうか……そうかなぁ……」
派手な格好の少女
「よし☆ あーしがコーデしよっか!
おすすめのお店があるんだよね。 ほら、こっちこっち!」
クララ
「ちょ、ちょっと待って。
引っ張らないでくださーい!」
繁華街にたどり着く二人。
少女は手近なアパレルショップにクララを引き込み、見立てを始めた。
派手な格好の少女
「クラたす、いーよいーよ!
こっちの服とか似合うんじゃね?」
クララ
「う、うわぁ……まるで下着じゃないですか。
こんなの私に似合うかな……」
派手な格好の少女
「大丈夫だって、よゆーよゆー。
ほらほら、試着してきなって!」
クララ
「じゃ、じゃあ、少しだけ……」
派手な格好の少女
「あ〜、やっぱいいな〜。
一緒にショッピングできる相手がいるって♪」
クララ
「え? いつもひとりなんですか?
お友達とか……」
派手な格好の少女
「えぇ、それ聞いちゃう感じ?
まるであたしが友達いないみたいじゃん」
クララ
「ち、違います、そういう意味じゃなくて!」
派手な格好の少女
「まあ、ぶっちゃけそうなんだけどね。
ひとりだけ、いるのはいるけど一緒に行こうと思わないし。
だから、今めっちゃ楽しい♪」
クララ
「……あ、あの!
私でよければまたお付き合い――」
タイガ
「人を30分以上も待たせといて、自分は楽しゅうショッピングかいな。
ええご身分やな、クララ」
クララ
「た、タイガくん!? ……あっ!
こ、これは違うの、この人に勧められて!
私が選んだんじゃないの!」
タイガ
「あほ!
その服は別に良ぉ似合うとるけど、
俺は待ち合わせに来んかった事をツっこんどるんや!」
アイコ
「そうだよ、クララだけ遊んでるなんてずるーい!」
クララ
「あっ……それは、その……」
派手な格好の少女
「ちょっと、邪魔しちゃダメじゃん。
クラらん、せっかく乗り気になってきたのに」
アイコ
「さっきから気になってたけど、そちらさんは誰?」
クララ
「そ、そうでした!
まだ名前も聞いてませんでしたね」
派手な格好の少女
「えー、うっそ。
あーしのこと、誰かわからずに付いてきてたの?」
「まっいいや。
あーし、クララ。 よろしく〜♪」
クララ
「へぇ、あなたもクララって……ええっ!?
も、もしかして、エボルグリムなの!」
グリム・クララ
「てか、今の今まで気付かなかったとか、
逆にびっくりなんですけどー」
クララ
「ま、まったく気付きませんでした……」
グリム・クララ
「うんうん、あるよね、そういうこと。
……ないかな?」
「ま、いいんじゃない? 襲うわけでもないし」
グリム・クララは敵対者であるはずの4人を前にしても、あっけらかんとしていた。
ハルト
「ふむ、どうやら貴様に戦いの意思はないようだが、
我々に大人しく封印される気はあるのか」
グリム・クララ
「えー、それはイヤ。
封印されちゃったら遊べなくなるじゃん」
グリム・ハルト
「お、お前、ここでなにやってんだよ」
陰鬱な雰囲気の少年が現れ、グリム・クララに声をかける。
グリム・クララ
「おっ、はるるん。おつー。
もしかして、あーしのこと探してたとか」
グリム・ハルト
「お、お前が呼び出したんだろ……!
ふざけるな……ふざけるなよ……っ!」
ハルト
「なっ! 貴様……
も、もしや俺を模したグリムか……?」
グリム・ハルト
「うわぁ、オリジナルキタコレ!?
ていうかエンカウント済みとか!?
ど、どうするんだよ、戦うの!?」
クララ
「どうやらそうみたいだよ、
ハルト君……」
グリム・クララ
「はるるん、うっさいしー。
てかさー、戦うとかダルいよね。
やるんならひとりでやってくんない?」
グリム・ハルト
「む、無理に決まってるだろう!?
どどど、どうしたら僕ひとりで勝てるんだよ!
ありえないでしょそんなの!」
余裕無く非難の言葉をまくし立てるグリム・ハルトの様子に、ハルトは愕然とする。
ハルト
「俺のエボルグリム……なんと脆弱な……」
グリム・クララ
「えー、まーはるるんがそういうなら、
ちょっとだけやってあげてもいいかなー。
貸しだよ?」
グリム・ハルト
「てかそれが僕らの仕事でしょ……乙」
グリム・クララ
「はいはい、しゃーなし。
んじゃ、ひと暴れしちゃいますかー!
ちょちょっと遊んであげるから♪」
クララ
「わわ、結局戦うの!?」
エボルグリムたちは瘴気に包まれると、
フクロウとクモが合体した姿の巨大なグリムへと姿を変えた。
グリム・クララ
「ちょっとだけ、本気だしちゃおっかな♪」
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クララ
「カナザウアーに入ったのはいいけど、クサビ、見当たらないね……」
ハルト
「暗き闇の中に潜み、我々を嘲笑っているのかもしれない」
クララ
「このままみんなで固まって探すより、手分けして探したほうがいいかも」
タイガ
「ほなら、一時間後に集合っちゅうことで。
アイコ、お前は俺と一緒に来ぃや。
油売らんように、俺がしっかり監視したるさかいな」
アイコ
「えぇ!? 遊ぶなんてそんなことしないよ!
状況が状況なんだから」
タイガ
「おもっくそ目ぇ泳いどるやんけ!
ほれ、つべこべ言わんとさっさと行くでー」
クララ
「ハルト君……やっぱり、わたしたちも一緒にいく?」
ハルト
「その必要はあるまい。
貴様ならば俺の手を貸すまでもなかろう」
クララ
「そ、そう? じゃあ、ハルト君も気をつけて」
クララは仲間たちと別れ調査を開始するが、クサビは依然として見つからない。
クララ
「……ひとりはちょっぴり寂しいなぁ。
やっぱり誰かと一緒の方が――」
???
「ちょっとちょっと〜。
そんなとこに立たれると邪魔なんだけど〜」
立ち止まって思いにふけっていたクララに、派手な格好をした少女が咎めるような言葉をかける。
クララ
「ご、ごめんなさい!」
派手な格好の少女
「……あれ? あれれ?
もしかして、クララちんだったり〜?」
クララ
「えっ? は、はい、そうですけど。
どこかでお会いしまし――」
派手な格好の少女
「うっそ! マジでクラくらじゃん!
こんなところで会えるとか奇跡じゃね?」
「ってか、なにその格好。地味すぎだし。
もっとオシャレしなきゃ!!」
クララ
「じ、地味!?
こ、これは制服で……それよりもあなた――」
派手な格好の少女
「クラりん、元が超かわいいのにもったいないじゃん!」
クララ
「か、可愛い!?
そ、そうでしょうか……そうかなぁ……」
派手な格好の少女
「よし☆ あーしがコーデしよっか!
おすすめのお店があるんだよね。 ほら、こっちこっち!」
クララ
「ちょ、ちょっと待って。
引っ張らないでくださーい!」
繁華街にたどり着く二人。
少女は手近なアパレルショップにクララを引き込み、見立てを始めた。
派手な格好の少女
「クラたす、いーよいーよ!
こっちの服とか似合うんじゃね?」
クララ
「う、うわぁ……まるで下着じゃないですか。
こんなの私に似合うかな……」
派手な格好の少女
「大丈夫だって、よゆーよゆー。
ほらほら、試着してきなって!」
クララ
「じゃ、じゃあ、少しだけ……」
派手な格好の少女
「あ〜、やっぱいいな〜。
一緒にショッピングできる相手がいるって♪」
クララ
「え? いつもひとりなんですか?
お友達とか……」
派手な格好の少女
「えぇ、それ聞いちゃう感じ?
まるであたしが友達いないみたいじゃん」
クララ
「ち、違います、そういう意味じゃなくて!」
派手な格好の少女
「まあ、ぶっちゃけそうなんだけどね。
ひとりだけ、いるのはいるけど一緒に行こうと思わないし。
だから、今めっちゃ楽しい♪」
クララ
「……あ、あの!
私でよければまたお付き合い――」
タイガ
「人を30分以上も待たせといて、自分は楽しゅうショッピングかいな。
ええご身分やな、クララ」
クララ
「た、タイガくん!? ……あっ!
こ、これは違うの、この人に勧められて!
私が選んだんじゃないの!」
タイガ
「あほ!
その服は別に良ぉ似合うとるけど、
俺は待ち合わせに来んかった事をツっこんどるんや!」
アイコ
「そうだよ、クララだけ遊んでるなんてずるーい!」
クララ
「あっ……それは、その……」
派手な格好の少女
「ちょっと、邪魔しちゃダメじゃん。
クラらん、せっかく乗り気になってきたのに」
アイコ
「さっきから気になってたけど、そちらさんは誰?」
クララ
「そ、そうでした!
まだ名前も聞いてませんでしたね」
派手な格好の少女
「えー、うっそ。
あーしのこと、誰かわからずに付いてきてたの?」
「まっいいや。
あーし、クララ。 よろしく〜♪」
クララ
「へぇ、あなたもクララって……ええっ!?
も、もしかして、エボルグリムなの!」
グリム・クララ
「てか、今の今まで気付かなかったとか、
逆にびっくりなんですけどー」
クララ
「ま、まったく気付きませんでした……」
グリム・クララ
「うんうん、あるよね、そういうこと。
……ないかな?」
「ま、いいんじゃない? 襲うわけでもないし」
グリム・クララは敵対者であるはずの4人を前にしても、あっけらかんとしていた。
ハルト
「ふむ、どうやら貴様に戦いの意思はないようだが、
我々に大人しく封印される気はあるのか」
グリム・クララ
「えー、それはイヤ。
封印されちゃったら遊べなくなるじゃん」
グリム・ハルト
「お、お前、ここでなにやってんだよ」
陰鬱な雰囲気の少年が現れ、グリム・クララに声をかける。
グリム・クララ
「おっ、はるるん。おつー。
もしかして、あーしのこと探してたとか」
グリム・ハルト
「お、お前が呼び出したんだろ……!
ふざけるな……ふざけるなよ……っ!」
ハルト
「なっ! 貴様……
も、もしや俺を模したグリムか……?」
グリム・ハルト
「うわぁ、オリジナルキタコレ!?
ていうかエンカウント済みとか!?
ど、どうするんだよ、戦うの!?」
クララ
「どうやらそうみたいだよ、
ハルト君……」
グリム・クララ
「はるるん、うっさいしー。
てかさー、戦うとかダルいよね。
やるんならひとりでやってくんない?」
グリム・ハルト
「む、無理に決まってるだろう!?
どどど、どうしたら僕ひとりで勝てるんだよ!
ありえないでしょそんなの!」
余裕無く非難の言葉をまくし立てるグリム・ハルトの様子に、ハルトは愕然とする。
ハルト
「俺のエボルグリム……なんと脆弱な……」
グリム・クララ
「えー、まーはるるんがそういうなら、
ちょっとだけやってあげてもいいかなー。
貸しだよ?」
グリム・ハルト
「てかそれが僕らの仕事でしょ……乙」
グリム・クララ
「はいはい、しゃーなし。
んじゃ、ひと暴れしちゃいますかー!
ちょちょっと遊んであげるから♪」
クララ
「わわ、結局戦うの!?」
エボルグリムたちは瘴気に包まれると、
フクロウとクモが合体した姿の巨大なグリムへと姿を変えた。
グリム・クララ
「ちょっとだけ、本気だしちゃおっかな♪」
▲BACK TO TOP
クララ
「はあっ!」
クララの攻撃魔法をその身に受けた巨大グリムは、早々に人間態に姿を戻した。
グリム・クララ
「いった〜! もうなにすんの!
終わり終わり、はい、終了〜!」
グリム・ハルト
「えっ、えっ? や、やめるの、ホントに?
僕ほとんどなんもしてないけど……」
グリム・クララ
「だって、怯え過ぎだし。
そういうの、ホントめいわくー」
グリム・ハルト
「勝手なことばかり……これだからリアルの女は……」
エボルグリムたちは、合体を解くなり口論を始めた。
ハルト
「あのグリムども……相性が悪いのでは?」
クララ
「そ、そうかもね……」
グリム・クララ
「ほら、さっさと帰るよ。
マジ疲れたし、リフレッシュしたーい」
タイガ
「逃がすわけないやろ!」
アイコ
「そうそう!
クサビだってまだ壊してないし」
グリム・クララ
「えー、うっそ。まだやる気とか。
どうする、はるるん……あれ? どこいったし?」
ハルト
「奴ならば遥か彼方だ。
貴様が我々に気を取られている隙にな」
グリム・クララ
「うわっ、マジ信じらんない!
女の子ほっぽっていくとか最低すぎるし!」
クララ
「……それにはちょっと同意しちゃうけど、あなたを封印させてもらうから!」
グリム・クララ
「あー、これピンチってやつ?
……って、なんだ、はるるんいるじゃん!!」
ハルト
「なに!? まさか、不意打ちを!」
タイガ
「アカン、みんな注意せえ!
……って、なんも起こらんのかい!
しかもその隙にまんまと逃げられとるし!」
タイガの言葉どおり、グリム・クララは忽然と姿を消していた。
アイコ
「こ、こんな古典的な手に引っかかるなんて」
クララ
「ま、まだ遠くには行ってないはず!
探さないと!」
ハルト
「……いや、その必要はない。
彼の者の居城は目と鼻の先のようだ」
クララ
「居城って――あ、あれは!?」
ハルトの言葉に振り返ったクララは、これまで探していたクサビを目にする。
タイガ
「えらい近いところにあったな。
しっかし、なんで急に見えるようになったんや」
アイコ
「力の補充とか?」
クララ
「だとしたら、回復される前に封印しないと。
行こう!」
クララたちはクサビの方向へ走り出した。
一方、グリム・クララはグリム・ハルトと合流していた。
グリム・クララ
「ちょっとー、こんなの出したらソッコー見つかっちゃうじゃん」
グリム・ハルト
「だ、だってさ、あいつらチートみたいに強いんだよ。
こっちだって本気出さないと……」
グリム・クララ
「本気出してないのはあんただし。
あーしの足引っ張りすぎ、マジ足手まとい」
グリム・ハルト
「だ、だって、怖いじゃないか。
リアルはゲームと違って、痛いし……」
グリム・クララ
「そんなの知らないから。
あんたのせいであーしが痛い思いするとかマジありえない。
ホント、なんでこんな使えないのと組まされてんの」
「あーあ、他の人と組んでたらもっと遊べてたのに」
グリム・ハルト
「僕だって……僕だって、
お前となんて組みたくなかったんだ!」
グリム・クララ
「はぁ!? あんたなんもしてねーじゃん。
ほーんと、役に立たないし」
グリム・ハルト
「ううう、うるさいうるさいうるさいうるさい!
い、言っていいことの判断もできないのか、ビッチ!」
グリム・クララ
「はぁぁぁぁぁぁ!? 何言っちゃってくれてんの!?
マジいらつくんですけど!?」
グリム・ハルト
「僕はネトゲなら誰からも信頼される勇者なんだよ。
お前そんな僕に生意気な口聞きやがって」
グリム・クララ
「はぁ? ちょっとなに言ってんのか
わかんないんだけど」
グリム・ハルト
「勝手にお前のペースで進めんなよ!
僕はスロースターターなんだよっ!」
口論に激昂したグリム・ハルトは、グリム・クララに向け魔法を放つ。
グリム・クララ
「えっ? な、なにこれ!?
身体の力が抜けて……あんた、なにを……」
同じころ、クサビの下へ向かっていたクララたちは、騒音に気づき足を止める。
クララ
「な、なに!?
向こうのほうが騒がしいみたいだけど」
ハルト
「いや、待て。
なにかが……黒い何かがこちらへ向かってくる!」
一行の前に、轟音と共に巨大グリムが姿を現す。
強大な瘴気に包まれたその姿は、先程の戦闘時よりも遥かに禍々しくなっていた。
グリム・ハルト
「み、見せてやるんだ。
僕の力を、僕の本気ってやつを!」
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「はあっ!」
クララの攻撃魔法をその身に受けた巨大グリムは、早々に人間態に姿を戻した。
グリム・クララ
「いった〜! もうなにすんの!
終わり終わり、はい、終了〜!」
グリム・ハルト
「えっ、えっ? や、やめるの、ホントに?
僕ほとんどなんもしてないけど……」
グリム・クララ
「だって、怯え過ぎだし。
そういうの、ホントめいわくー」
グリム・ハルト
「勝手なことばかり……これだからリアルの女は……」
エボルグリムたちは、合体を解くなり口論を始めた。
ハルト
「あのグリムども……相性が悪いのでは?」
クララ
「そ、そうかもね……」
グリム・クララ
「ほら、さっさと帰るよ。
マジ疲れたし、リフレッシュしたーい」
タイガ
「逃がすわけないやろ!」
アイコ
「そうそう!
クサビだってまだ壊してないし」
グリム・クララ
「えー、うっそ。まだやる気とか。
どうする、はるるん……あれ? どこいったし?」
ハルト
「奴ならば遥か彼方だ。
貴様が我々に気を取られている隙にな」
グリム・クララ
「うわっ、マジ信じらんない!
女の子ほっぽっていくとか最低すぎるし!」
クララ
「……それにはちょっと同意しちゃうけど、あなたを封印させてもらうから!」
グリム・クララ
「あー、これピンチってやつ?
……って、なんだ、はるるんいるじゃん!!」
ハルト
「なに!? まさか、不意打ちを!」
タイガ
「アカン、みんな注意せえ!
……って、なんも起こらんのかい!
しかもその隙にまんまと逃げられとるし!」
タイガの言葉どおり、グリム・クララは忽然と姿を消していた。
アイコ
「こ、こんな古典的な手に引っかかるなんて」
クララ
「ま、まだ遠くには行ってないはず!
探さないと!」
ハルト
「……いや、その必要はない。
彼の者の居城は目と鼻の先のようだ」
クララ
「居城って――あ、あれは!?」
ハルトの言葉に振り返ったクララは、これまで探していたクサビを目にする。
タイガ
「えらい近いところにあったな。
しっかし、なんで急に見えるようになったんや」
アイコ
「力の補充とか?」
クララ
「だとしたら、回復される前に封印しないと。
行こう!」
クララたちはクサビの方向へ走り出した。
一方、グリム・クララはグリム・ハルトと合流していた。
グリム・クララ
「ちょっとー、こんなの出したらソッコー見つかっちゃうじゃん」
グリム・ハルト
「だ、だってさ、あいつらチートみたいに強いんだよ。
こっちだって本気出さないと……」
グリム・クララ
「本気出してないのはあんただし。
あーしの足引っ張りすぎ、マジ足手まとい」
グリム・ハルト
「だ、だって、怖いじゃないか。
リアルはゲームと違って、痛いし……」
グリム・クララ
「そんなの知らないから。
あんたのせいであーしが痛い思いするとかマジありえない。
ホント、なんでこんな使えないのと組まされてんの」
「あーあ、他の人と組んでたらもっと遊べてたのに」
グリム・ハルト
「僕だって……僕だって、
お前となんて組みたくなかったんだ!」
グリム・クララ
「はぁ!? あんたなんもしてねーじゃん。
ほーんと、役に立たないし」
グリム・ハルト
「ううう、うるさいうるさいうるさいうるさい!
い、言っていいことの判断もできないのか、ビッチ!」
グリム・クララ
「はぁぁぁぁぁぁ!? 何言っちゃってくれてんの!?
マジいらつくんですけど!?」
グリム・ハルト
「僕はネトゲなら誰からも信頼される勇者なんだよ。
お前そんな僕に生意気な口聞きやがって」
グリム・クララ
「はぁ? ちょっとなに言ってんのか
わかんないんだけど」
グリム・ハルト
「勝手にお前のペースで進めんなよ!
僕はスロースターターなんだよっ!」
口論に激昂したグリム・ハルトは、グリム・クララに向け魔法を放つ。
グリム・クララ
「えっ? な、なにこれ!?
身体の力が抜けて……あんた、なにを……」
同じころ、クサビの下へ向かっていたクララたちは、騒音に気づき足を止める。
クララ
「な、なに!?
向こうのほうが騒がしいみたいだけど」
ハルト
「いや、待て。
なにかが……黒い何かがこちらへ向かってくる!」
一行の前に、轟音と共に巨大グリムが姿を現す。
強大な瘴気に包まれたその姿は、先程の戦闘時よりも遥かに禍々しくなっていた。
グリム・ハルト
「み、見せてやるんだ。
僕の力を、僕の本気ってやつを!」
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エボルグリムたちが集う不可思議な空間。
今この場に立つのはグリム・シャロンとグリム・レオンの二人だけとなっていた。
グリム・シャロン
「ここも随分と静かになりましたわね」
グリム・レオン
「ハッ! その方がせいせいする。
お前はそうでもねぇみたいだな」
グリム・シャロン
「さてどうでしょうね?」
グリム・レオン
「なんだ? しょげるのはやめたのか」
グリム・シャロン
「ええ! わたくしには、果たさねばならないことがありますから。
オーッホッホッホ!!」
グリム・レオン
「やかましい……だったらさっさと行って来い」
グリム・シャロン
「……行くに決まってますわ。
目的はただ一つ――仇敵を打ち倒す。
ただそれだけ!」
〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
恒常的に続けられるトーキョーのパトロール。
今夜の担当はシャロンたちだった。
リエル
「シャロンさん、寒い中ご苦労様です。
温かいお茶ですよ」
シャロン
「ありがとうございます、リエルさん。
わざわざすみません」
リエル
「いえいえ。
それよりシャロンさんこそ、連日の調査でお疲れではありませんか?」
シャロン
「多少は……でも、問題ありませんわ。
今日は胸騒ぎがするんですの」
リエル
「胸騒ぎ、ですか……?」
レオン
「グリモワールに瘴気の反応は……ありゃ?
んー、最近なんかコイツの調子が悪いんだよな……」
シャロン
「それは、この前のエボルグリムとの戦闘から――」
突如グリモワールから警告音が鳴り響く。
シャロン
「――やはり……!」
警告音から間を置かず、地響きが起こる。
暁の賢者たちにとってはすでに何度か経験しているクサビ出現時の地響きだが、
今回はこれまでよりも明らかに規模が大きかった。
レオン
「な、なんだぁ!?」
メディア
「なんなの!?」
リエル
「あそこ、見てください!
海上に突然クサビが!」
レオン
「マジだ! どうなってんだ?」
シャロン
「エボルグリムがわたくしたちと同じ数いるならば、残りは二人。
そしてわたくしに因縁があるのは――」
グリム・シャロン
「おーっほっほっほっほっほ!
ご名答ですわよ、オリジナル!!」
リエル
「あれは、シャロンさんの……」
シャロン
「ええ、間違いありませんわ」
グリム・シャロン
「お久しぶりですわね、皆々様。
素敵なパーティにご招待いたしますわ」
そう言ってグリム・シャロンは、軽く手をかざし攻撃を放つ。
シャロン
「随分な招待状ですわね!」
シャロンは事も無げに防御魔法で防ぐと、仲間たちに声をかける。
シャロン
「みなさんは下がっていてください。
わたくしが相手をします!」
グリム・シャロン
「傲らないでくださいますッ!!」
シャロンの言葉に苛立ちを隠さず、
グリム・シャロンは高速の一撃を撃ち放った。
シャロン
「この攻撃、あの時とは……比べ物にならないッ!」
レオン
「当たったら洒落にならねぇぞ!?」
メディア
「治療……どころの話じゃないかも!」
グリム・シャロン
「ほらほら、受け取ってくれません、のッ!」
グリム・シャロンは暁の賢者たちに更なる一撃を放つ。
その軌道の先に位置するリエルが身をすくめる。
リエル
「さ、避けられません……っ!」
シャロン
「リエルさんッ!」
グリム・シャロン
「……ッ!?」
リエルを直撃するかに思えた攻撃魔法は、
直前で軌道が逸れ、あらぬところに着弾した。
リエル
「あ、当たらなかった?
か、間一髪でした……」
シャロン
(違う……今のは、明らかに軌道が……)
グリム・シャロン
「わたくしとしたことがついつい……
ここからは本気で行かせていただきますわ!」
グリム・シャロンが高濃度の瘴気に包まれると、
高貴さすら漂わせる巨大な蜂型のグリムへと姿を変えた。
その圧倒的な魔力に、シャロンたちは気圧される。
レオン
「なんなんだ、この力……!」
シャロン
「クサビが結界を変質させ、マナの供給スピードを上昇させているんですわ」
メディア
「よ、よくわからないけど……とにかくすごいってことよね」
グリム・シャロン
「あああああああああああ!!」
リエル
「……………………」
シャロン
「リエルさん、大丈夫ですの?」
リエル
「あ、いえ……なんだかあのグリムが、泣いているような気がして」
シャロン
「……そうかも、しれませんわね。
ですが、わたくしたちが戦わなくては」
リエル
「はい。わかっています、お嬢様!」
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今この場に立つのはグリム・シャロンとグリム・レオンの二人だけとなっていた。
グリム・シャロン
「ここも随分と静かになりましたわね」
グリム・レオン
「ハッ! その方がせいせいする。
お前はそうでもねぇみたいだな」
グリム・シャロン
「さてどうでしょうね?」
グリム・レオン
「なんだ? しょげるのはやめたのか」
グリム・シャロン
「ええ! わたくしには、果たさねばならないことがありますから。
オーッホッホッホ!!」
グリム・レオン
「やかましい……だったらさっさと行って来い」
グリム・シャロン
「……行くに決まってますわ。
目的はただ一つ――仇敵を打ち倒す。
ただそれだけ!」
〜トーキョー、ナナイロブリッジ付近〜
恒常的に続けられるトーキョーのパトロール。
今夜の担当はシャロンたちだった。
リエル
「シャロンさん、寒い中ご苦労様です。
温かいお茶ですよ」
シャロン
「ありがとうございます、リエルさん。
わざわざすみません」
リエル
「いえいえ。
それよりシャロンさんこそ、連日の調査でお疲れではありませんか?」
シャロン
「多少は……でも、問題ありませんわ。
今日は胸騒ぎがするんですの」
リエル
「胸騒ぎ、ですか……?」
レオン
「グリモワールに瘴気の反応は……ありゃ?
んー、最近なんかコイツの調子が悪いんだよな……」
シャロン
「それは、この前のエボルグリムとの戦闘から――」
突如グリモワールから警告音が鳴り響く。
シャロン
「――やはり……!」
警告音から間を置かず、地響きが起こる。
暁の賢者たちにとってはすでに何度か経験しているクサビ出現時の地響きだが、
今回はこれまでよりも明らかに規模が大きかった。
レオン
「な、なんだぁ!?」
メディア
「なんなの!?」
リエル
「あそこ、見てください!
海上に突然クサビが!」
レオン
「マジだ! どうなってんだ?」
シャロン
「エボルグリムがわたくしたちと同じ数いるならば、残りは二人。
そしてわたくしに因縁があるのは――」
グリム・シャロン
「おーっほっほっほっほっほ!
ご名答ですわよ、オリジナル!!」
リエル
「あれは、シャロンさんの……」
シャロン
「ええ、間違いありませんわ」
グリム・シャロン
「お久しぶりですわね、皆々様。
素敵なパーティにご招待いたしますわ」
そう言ってグリム・シャロンは、軽く手をかざし攻撃を放つ。
シャロン
「随分な招待状ですわね!」
シャロンは事も無げに防御魔法で防ぐと、仲間たちに声をかける。
シャロン
「みなさんは下がっていてください。
わたくしが相手をします!」
グリム・シャロン
「傲らないでくださいますッ!!」
シャロンの言葉に苛立ちを隠さず、
グリム・シャロンは高速の一撃を撃ち放った。
シャロン
「この攻撃、あの時とは……比べ物にならないッ!」
レオン
「当たったら洒落にならねぇぞ!?」
メディア
「治療……どころの話じゃないかも!」
グリム・シャロン
「ほらほら、受け取ってくれません、のッ!」
グリム・シャロンは暁の賢者たちに更なる一撃を放つ。
その軌道の先に位置するリエルが身をすくめる。
リエル
「さ、避けられません……っ!」
シャロン
「リエルさんッ!」
グリム・シャロン
「……ッ!?」
リエルを直撃するかに思えた攻撃魔法は、
直前で軌道が逸れ、あらぬところに着弾した。
リエル
「あ、当たらなかった?
か、間一髪でした……」
シャロン
(違う……今のは、明らかに軌道が……)
グリム・シャロン
「わたくしとしたことがついつい……
ここからは本気で行かせていただきますわ!」
グリム・シャロンが高濃度の瘴気に包まれると、
高貴さすら漂わせる巨大な蜂型のグリムへと姿を変えた。
その圧倒的な魔力に、シャロンたちは気圧される。
レオン
「なんなんだ、この力……!」
シャロン
「クサビが結界を変質させ、マナの供給スピードを上昇させているんですわ」
メディア
「よ、よくわからないけど……とにかくすごいってことよね」
グリム・シャロン
「あああああああああああ!!」
リエル
「……………………」
シャロン
「リエルさん、大丈夫ですの?」
リエル
「あ、いえ……なんだかあのグリムが、泣いているような気がして」
シャロン
「……そうかも、しれませんわね。
ですが、わたくしたちが戦わなくては」
リエル
「はい。わかっています、お嬢様!」
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グリム・シャロンの猛攻に圧倒されるシャロンたち。
シャロン
「みなさん、大丈夫ですの!?」
レオン
「な、なんとかな…………」
メディア
「きゅう〜〜〜〜」
リエル
「は、早く手当しませんと……」
シャロン
「万事休す……ですわね」
グリム・シャロンは巨大な蜂から人間態に姿を戻す。
もはや勝負は決したとみたか、暁の賢者たちとは正反対に余裕の表情を浮かべていた。
グリム・シャロン
「あは……あははは……あははははは!!
こんなもの……こんなものですの!?」
グリム・シャロン
「こんな弱者のために、わたくしの……
わたくしの従者はぁ!!」
高笑いから一転、苛立ちをぶつけるかのように攻撃を放つ。
レオン
「……ぐぁっっ!?」
メディア
「……きゃあ!?」
グリム・シャロン
「さあ、消えて償いなさい!」
とどめとばかりに、シャロンにも一撃を加える。
シャロン
「きゃああああ!?」
グリム・シャロン
「呆気ない……
本当に、呆気ないですわ……」
リエル
「ごめん、なさい……」
シャロン
「リエル、さん……?」
リエル
「わたしが……わたしが全部悪いんです。
あなたの大事な人を奪った原因は、わたしで……」
グリム・シャロン
「だ……黙りなさいッ!!」
リエル
「わたしはどうなっても構いません。
だから……だから、みなさんのことは……っ!」
グリム・シャロン
「黙れと言っているでしょうッ!!??」
グリム・シャロンは、リエルの謝罪の言葉を遮らんと攻撃を放つ。
しかし、それの威力は動揺を表しているかのように弱々しいものだった。
リエル
「……ッ!?
それでも……わたしはっ!」
グリム・シャロン
「あなたはどうだろうと変わりない……
そう、そういうことでしたのね……」
シャロン
「様子がおかしい……?」
グリム・シャロン
「わたくしたちの感情も、関係も……全てオリジナルを模したもの。
……とすれば、この感情さえも本物ではない。
そういうこと、ですの……?」
リエル
「あの……」
グリム・シャロン
「あなたの声が心地良く感じます……
これも、わたくしでは……ない」
リエルはうつろな表情で語るグリム・シャロンに手を差し伸べようとするが、
魔法障壁のようなものに弾かれてしまう。
リエル
「きゃあ!?」
グリム・シャロン
「わたくしは、わたくしは……なに?
わからない……わかりませんわ……」
「ははっ……あははっ……あはははははっ!!」
自嘲めいた高笑いを上げるグリム・シャロンを魔法とも瘴気ともつかないオーラが包む。
その異常とも呼べるほどの量にシャロンが声を上げる。
シャロン
「グリム化していない状態で、あの力……もしや暴走ですの!?」
リエル
「そ、その……しっかりしてください!」
グリム・シャロン
「……ふふ……ふふふ…………」
シャロン
「リエルさん、そこからすぐに離れなさい!
なにが起こるかわかりません!」
リエル
「わ……わかりましたっ!」
グリム・シャロンのまとうオーラに呼応し、海上のクサビも鈍い輝きを増す。
が、その輝きと反比例するかのように、グリム・シャロンの動きは緩慢となり、
やがて立ったまま意識を失っているかのように動きを止めた。
グリム・シャロン
「……………………」
シャロン
「くっ、瘴気が溢れかえって……ですが好機ともとれます。
今のうちに一度治療を」
リエル
「はいっ! すぐに!」
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シャロン
「みなさん、大丈夫ですの!?」
レオン
「な、なんとかな…………」
メディア
「きゅう〜〜〜〜」
リエル
「は、早く手当しませんと……」
シャロン
「万事休す……ですわね」
グリム・シャロンは巨大な蜂から人間態に姿を戻す。
もはや勝負は決したとみたか、暁の賢者たちとは正反対に余裕の表情を浮かべていた。
グリム・シャロン
「あは……あははは……あははははは!!
こんなもの……こんなものですの!?」
グリム・シャロン
「こんな弱者のために、わたくしの……
わたくしの従者はぁ!!」
高笑いから一転、苛立ちをぶつけるかのように攻撃を放つ。
レオン
「……ぐぁっっ!?」
メディア
「……きゃあ!?」
グリム・シャロン
「さあ、消えて償いなさい!」
とどめとばかりに、シャロンにも一撃を加える。
シャロン
「きゃああああ!?」
グリム・シャロン
「呆気ない……
本当に、呆気ないですわ……」
リエル
「ごめん、なさい……」
シャロン
「リエル、さん……?」
リエル
「わたしが……わたしが全部悪いんです。
あなたの大事な人を奪った原因は、わたしで……」
グリム・シャロン
「だ……黙りなさいッ!!」
リエル
「わたしはどうなっても構いません。
だから……だから、みなさんのことは……っ!」
グリム・シャロン
「黙れと言っているでしょうッ!!??」
グリム・シャロンは、リエルの謝罪の言葉を遮らんと攻撃を放つ。
しかし、それの威力は動揺を表しているかのように弱々しいものだった。
リエル
「……ッ!?
それでも……わたしはっ!」
グリム・シャロン
「あなたはどうだろうと変わりない……
そう、そういうことでしたのね……」
シャロン
「様子がおかしい……?」
グリム・シャロン
「わたくしたちの感情も、関係も……全てオリジナルを模したもの。
……とすれば、この感情さえも本物ではない。
そういうこと、ですの……?」
リエル
「あの……」
グリム・シャロン
「あなたの声が心地良く感じます……
これも、わたくしでは……ない」
リエルはうつろな表情で語るグリム・シャロンに手を差し伸べようとするが、
魔法障壁のようなものに弾かれてしまう。
リエル
「きゃあ!?」
グリム・シャロン
「わたくしは、わたくしは……なに?
わからない……わかりませんわ……」
「ははっ……あははっ……あはははははっ!!」
自嘲めいた高笑いを上げるグリム・シャロンを魔法とも瘴気ともつかないオーラが包む。
その異常とも呼べるほどの量にシャロンが声を上げる。
シャロン
「グリム化していない状態で、あの力……もしや暴走ですの!?」
リエル
「そ、その……しっかりしてください!」
グリム・シャロン
「……ふふ……ふふふ…………」
シャロン
「リエルさん、そこからすぐに離れなさい!
なにが起こるかわかりません!」
リエル
「わ……わかりましたっ!」
グリム・シャロンのまとうオーラに呼応し、海上のクサビも鈍い輝きを増す。
が、その輝きと反比例するかのように、グリム・シャロンの動きは緩慢となり、
やがて立ったまま意識を失っているかのように動きを止めた。
グリム・シャロン
「……………………」
シャロン
「くっ、瘴気が溢れかえって……ですが好機ともとれます。
今のうちに一度治療を」
リエル
「はいっ! すぐに!」
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強大な瘴気を放つ巨大グリムに、クララたちは圧倒されていた。
ハルト
「ぐっ、なんという力だ。
先程とは比べ物にならない……!」
グリム・ハルト
「ど、どうだみたかぁ!
リアルでも僕が最強! 最強なんだぁ!」
高揚したグリム・ハルトが歓喜の声を上げる。
タイガ
「な、なんや、あれ!
雰囲気変わりすぎなんとちゃうか!?」
グリム・ハルト
「これこれこれ! これだよこの爽快感!
わかる!? 気持ちいいんだよこれがぁ!」
グリム・クララ
「ちょ、勝手に動かないでよ!
今まで通りでいいじゃん!」
グリム・ハルト
「僕のほうが力をうまく使えるんだから
僕が動くのが当然じゃないか!」
巨大グリムは依然として攻撃を続けながらも、
エボルグリムたちの口論があたりに響く。
クララ
「……え、喧嘩してる?
なにかあったのかな?」
タイガ
「あのモメとる感じからして、ハルトが一方的にクララの力を使っとるみたいやな」
ハルト
「一心同体ならぬ、二心同体。
身体は同じでありながらその心の有り様は違うようだ」
グリム・ハルト
「まだ僕の方が凄いって理解できないの!?
だったら、たくさんのギャラリーに判断してもらわなきゃねぇぇ!!」
ハルト
「まさか街へ向かうつもりか!?」
クララ
「そんな……、ダメ!
止まってください!」
クララはグリム・クララに必死に呼びかける。
グリム・クララ
「ああ、ゴメン、それ無理。
はるるんキレちゃってるし、もうどうにでもなれーって感じ」
クララ
「このままだと、街が壊れちゃうよ!
いいの、それで!?」
グリム・クララ
「ま、好きな街だったけどねー。
こうなっちゃったら仕方ないじゃん?」
クララ
「私は嫌!
また……あなたと一緒にお買い物したいから!!」
グリム・クララ
「クラっち……」
クララ
「あんなに笑ってたじゃない!」
グリム・クララ
「………………」
「……いいわけないじゃん。
でも、もうあーしじゃ止められないし。
どうにもできないの!」
クララ
「……わかりました。
私たちが絶対に止めてみせるから!」
ハルト
「クララの言うとおりだ。
我々に任せよ!」
タイガ
「自分ら簡単に言ってくれるで。
せやけど、バカ正直に正面からかまして、うまいこといく保障は無いんやで!?」
クララ
「自分たちを信じてみんなで力を合わせれば、なんとでもなるよ!」
アイコ
「まさかの精神論!?
嫌いじゃないけど!」
クララ
「だ、だって、それしかないよ!
作戦を立てる時間もないし」
ハルト
「俺は乗ったぞ。
戦う前に敗北を考えるなど、愚者の所業だからな」
アイコ
「なんかそれっぽいこと言ってるけど、つまりどういうこと?」
クララ
「当たって砕けろってことです!」
タイガ
「砕けたらアカン砕けたらアカン!」
「でもまあ、それが一番俺ららしいやり方かもやな。
よっしゃ、その泥船俺も乗ったるわ!!」
グリム・クララ
「んじゃ、クラぴっぴ、頼んだから……」
グリム・ハルト
「ははは! ふはははははは!!」
ハルト
「俺の複製ともあろう者が愚かしい。
貴様は一度、自らの姿を鏡で見てみるがいい。
身体も精神も汚れた、醜悪な魔物が映るだろう!」
グリム・ハルト
「な、なんだと!
僕の、僕のどこが醜いっていうんだ!」
ハルト
「ならば、今、証明してやろう。
魔物を支配するのが、魔王たる我の役目だ!」
クララ
「街の人には指一本触れさせません。
必ず、ここで封印します!」
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ハルト
「ぐっ、なんという力だ。
先程とは比べ物にならない……!」
グリム・ハルト
「ど、どうだみたかぁ!
リアルでも僕が最強! 最強なんだぁ!」
高揚したグリム・ハルトが歓喜の声を上げる。
タイガ
「な、なんや、あれ!
雰囲気変わりすぎなんとちゃうか!?」
グリム・ハルト
「これこれこれ! これだよこの爽快感!
わかる!? 気持ちいいんだよこれがぁ!」
グリム・クララ
「ちょ、勝手に動かないでよ!
今まで通りでいいじゃん!」
グリム・ハルト
「僕のほうが力をうまく使えるんだから
僕が動くのが当然じゃないか!」
巨大グリムは依然として攻撃を続けながらも、
エボルグリムたちの口論があたりに響く。
クララ
「……え、喧嘩してる?
なにかあったのかな?」
タイガ
「あのモメとる感じからして、ハルトが一方的にクララの力を使っとるみたいやな」
ハルト
「一心同体ならぬ、二心同体。
身体は同じでありながらその心の有り様は違うようだ」
グリム・ハルト
「まだ僕の方が凄いって理解できないの!?
だったら、たくさんのギャラリーに判断してもらわなきゃねぇぇ!!」
ハルト
「まさか街へ向かうつもりか!?」
クララ
「そんな……、ダメ!
止まってください!」
クララはグリム・クララに必死に呼びかける。
グリム・クララ
「ああ、ゴメン、それ無理。
はるるんキレちゃってるし、もうどうにでもなれーって感じ」
クララ
「このままだと、街が壊れちゃうよ!
いいの、それで!?」
グリム・クララ
「ま、好きな街だったけどねー。
こうなっちゃったら仕方ないじゃん?」
クララ
「私は嫌!
また……あなたと一緒にお買い物したいから!!」
グリム・クララ
「クラっち……」
クララ
「あんなに笑ってたじゃない!」
グリム・クララ
「………………」
「……いいわけないじゃん。
でも、もうあーしじゃ止められないし。
どうにもできないの!」
クララ
「……わかりました。
私たちが絶対に止めてみせるから!」
ハルト
「クララの言うとおりだ。
我々に任せよ!」
タイガ
「自分ら簡単に言ってくれるで。
せやけど、バカ正直に正面からかまして、うまいこといく保障は無いんやで!?」
クララ
「自分たちを信じてみんなで力を合わせれば、なんとでもなるよ!」
アイコ
「まさかの精神論!?
嫌いじゃないけど!」
クララ
「だ、だって、それしかないよ!
作戦を立てる時間もないし」
ハルト
「俺は乗ったぞ。
戦う前に敗北を考えるなど、愚者の所業だからな」
アイコ
「なんかそれっぽいこと言ってるけど、つまりどういうこと?」
クララ
「当たって砕けろってことです!」
タイガ
「砕けたらアカン砕けたらアカン!」
「でもまあ、それが一番俺ららしいやり方かもやな。
よっしゃ、その泥船俺も乗ったるわ!!」
グリム・クララ
「んじゃ、クラぴっぴ、頼んだから……」
グリム・ハルト
「ははは! ふはははははは!!」
ハルト
「俺の複製ともあろう者が愚かしい。
貴様は一度、自らの姿を鏡で見てみるがいい。
身体も精神も汚れた、醜悪な魔物が映るだろう!」
グリム・ハルト
「な、なんだと!
僕の、僕のどこが醜いっていうんだ!」
ハルト
「ならば、今、証明してやろう。
魔物を支配するのが、魔王たる我の役目だ!」
クララ
「街の人には指一本触れさせません。
必ず、ここで封印します!」
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クララ
「これで決めます、ハルト君!」
ハルト
「この一撃で永劫の闇に沈むがいい!
喰らえ、我らが力を!」
クララとハルトは連携して攻撃魔法を巨大グリムに打ち込む。
グリム・ハルト
「う、嘘だぁ!?
誰か、嘘だって言えよぉぉぉぉぉぉぉ!!??」
二人の魔法をまともにくらった巨大グリムが轟音を立てて倒れる。
辺りに舞い上がった煙が晴れると、人間態でうずくまるエボルグリムたちの姿があった。
グリム・ハルト
「ぐっ……うぅ……」
グリム・クララ
「……あいたたたた」
アイコ
「か、勝てたぁ……」
タイガ
「やっぱ俺らはやればできる子なんやな!
まぁ、もう一歩も動かれへんくらいヘトヘトやけどな……」
グリム・クララ
「もー! 女の子は丁重に扱ってよね!」
クララ
「無茶言わないで。
こっちだって……いっぱいいっぱい」
グリム・クララ
「まぁ、助かったしいいんだけどね。 ありがと、クラりーの」
「……さてと」
グリム・ハルト
「な、な……また僕をバカにする気か?
どうせ、どうせ僕は負け犬だけど……」
グリム・クララ
「ま、それなりに頑張ったんじゃん?」
グリム・ハルト
「あ……え?」
グリム・クララ
「やればできんじゃん。
そーいうの、あーし結構好きだよ」
グリム・ハルト
「あっ……いや、なにこれ……ちょ、わかんね……その、はい……」
ハルトがグリム・ハルトに声をかける。
ハルト
「力を欲し、力を示すには理由がある。
貴様は誰かに認めて欲しかったのではないか」
グリム・ハルト
「は、はは……おっしゃる通りで……。
なんだよ、結局僕は脇役かよ……」
ハルト
「むしろ悪役だ……
だが、それも主演には違いなかろう?」
グリム・ハルト
「き、詭弁……?
でも、そんな悪い気分じゃないな……」
グリム・ハルトは皮肉な笑いを浮かべながらも落ち着いた様子で、
ハルトのグリモワールへと封印された。
グリム・クララ
「あっちは済んだみたいし、今度はあーしの番かー」
クララ
「その、その前に買い物くらいなら……」
グリム・クララ
「いーのいーの。 クサビの処理しなきゃでしょ?」
「まー、確かに?
はるるんと一緒にこの街に行けって言われてから、
けっこー長いこと楽しませてもらったけど」
クララ
「じゃあやっぱり、最後に思い出を……」
グリム・クララ
「だから、いいって。 こういう空気、あんま好きじゃないし」
「ま、いつかね。
そのときは、あーしが考えたとびっきりのコーデしてあげちゃうから♪」
クララ
「うん……わかった。 楽しみに、してるから」
グリム・クララ
「んじゃ、約束ってことで。 じゃあね、クララ!」
グリム・クララは屈託の無い笑顔を浮かべ、グリモワールの光に身を任せた。
クララ
「……終わり、ました」
ハルト
「いつかの未来を誓う約束は、
その胸にいつまでも刻まれるだろう……」
クララ
「ハルト君……」
アイコ
「あ、ハルトがいいこと言ったつもりになってる」
タイガ
「おもっくそ自分に酔うとるなー」
ハルト
「な、何を言うか!
俺は消え行く者との叙情をだな!?」
アイコ
「ねー、そんなことよりクサビ壊しに行こうよ」
タイガ
「照れとる暇あったら、ちゃっちゃと動かんかい。
置いてくでー」
ハルト
「貴様らぁッ!!」
クララ
「あは……あはははは」
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「これで決めます、ハルト君!」
ハルト
「この一撃で永劫の闇に沈むがいい!
喰らえ、我らが力を!」
クララとハルトは連携して攻撃魔法を巨大グリムに打ち込む。
グリム・ハルト
「う、嘘だぁ!?
誰か、嘘だって言えよぉぉぉぉぉぉぉ!!??」
二人の魔法をまともにくらった巨大グリムが轟音を立てて倒れる。
辺りに舞い上がった煙が晴れると、人間態でうずくまるエボルグリムたちの姿があった。
グリム・ハルト
「ぐっ……うぅ……」
グリム・クララ
「……あいたたたた」
アイコ
「か、勝てたぁ……」
タイガ
「やっぱ俺らはやればできる子なんやな!
まぁ、もう一歩も動かれへんくらいヘトヘトやけどな……」
グリム・クララ
「もー! 女の子は丁重に扱ってよね!」
クララ
「無茶言わないで。
こっちだって……いっぱいいっぱい」
グリム・クララ
「まぁ、助かったしいいんだけどね。 ありがと、クラりーの」
「……さてと」
グリム・ハルト
「な、な……また僕をバカにする気か?
どうせ、どうせ僕は負け犬だけど……」
グリム・クララ
「ま、それなりに頑張ったんじゃん?」
グリム・ハルト
「あ……え?」
グリム・クララ
「やればできんじゃん。
そーいうの、あーし結構好きだよ」
グリム・ハルト
「あっ……いや、なにこれ……ちょ、わかんね……その、はい……」
ハルトがグリム・ハルトに声をかける。
ハルト
「力を欲し、力を示すには理由がある。
貴様は誰かに認めて欲しかったのではないか」
グリム・ハルト
「は、はは……おっしゃる通りで……。
なんだよ、結局僕は脇役かよ……」
ハルト
「むしろ悪役だ……
だが、それも主演には違いなかろう?」
グリム・ハルト
「き、詭弁……?
でも、そんな悪い気分じゃないな……」
グリム・ハルトは皮肉な笑いを浮かべながらも落ち着いた様子で、
ハルトのグリモワールへと封印された。
グリム・クララ
「あっちは済んだみたいし、今度はあーしの番かー」
クララ
「その、その前に買い物くらいなら……」
グリム・クララ
「いーのいーの。 クサビの処理しなきゃでしょ?」
「まー、確かに?
はるるんと一緒にこの街に行けって言われてから、
けっこー長いこと楽しませてもらったけど」
クララ
「じゃあやっぱり、最後に思い出を……」
グリム・クララ
「だから、いいって。 こういう空気、あんま好きじゃないし」
「ま、いつかね。
そのときは、あーしが考えたとびっきりのコーデしてあげちゃうから♪」
クララ
「うん……わかった。 楽しみに、してるから」
グリム・クララ
「んじゃ、約束ってことで。 じゃあね、クララ!」
グリム・クララは屈託の無い笑顔を浮かべ、グリモワールの光に身を任せた。
クララ
「……終わり、ました」
ハルト
「いつかの未来を誓う約束は、
その胸にいつまでも刻まれるだろう……」
クララ
「ハルト君……」
アイコ
「あ、ハルトがいいこと言ったつもりになってる」
タイガ
「おもっくそ自分に酔うとるなー」
ハルト
「な、何を言うか!
俺は消え行く者との叙情をだな!?」
アイコ
「ねー、そんなことよりクサビ壊しに行こうよ」
タイガ
「照れとる暇あったら、ちゃっちゃと動かんかい。
置いてくでー」
ハルト
「貴様らぁッ!!」
クララ
「あは……あはははは」
▲BACK TO TOP
不可思議な空間。
グリム・レオン
「こいつは、嫌な空気が流れてきやがったな……」
「全部てめぇの目論見通りってことかよ、セイメイ」
グリム・レオンは同じ空間に存在する、実体すら曖昧な存在に呼びかけた。
???
「わらわはなにもしていません。
あなたたちは自分の意思で動いていますよ」
「それは決して、わらわの意思ではありません」
グリム・レオン
「それなら、オレがどう動こうが、テメェには関係ないってことだよな?」
???
「好きにして構いませんよ。
これで、あなたの願いもようやく叶うでしょう」
トーキョー、ナナイロブリッジ付近で、シャロンたちは
鈍く輝くクサビと動きを止めたグリム・シャロンを見守っていた。
シャロン
「もはや猶予はあまりなさそうですわね……」
リエル
「レオンさん、メディアさん、大丈夫ですか?」
レオン
「ああ、メディアのおかげでバッチリだぜ!」
メディア
「もう! リエルちゃんだって頑張ったんだからね」
リエル
「いいんですよ、メディアさん。
わたしがメディアさんを治療して、メディアさんがレオンさんを治療したんですから」
メディア
「そうだけど……ねぇ?」
レオン
「あーっと……ありがとな、リエル」
リエル
「いえ、どういたしまして」
シャロン
「ではみなさん、そろそろ戦闘の準備を」
メディア
「はーい。
それにしても、あのシャロンちゃんの悪いグリム、
前にクサビが光ってから全然動かないねぇ」
リエル
「そうですね。 おかげで私たちは回復する時間が稼げましたが……」
レオン
「なら、今のうちにぶっ飛ばしちまえばいいんじゃねぇか?」
シャロン
「そんな簡単な話ではありませんわ。
どうやら今のエボルグリムはクサビ、そして結界と密接に繋がっていますの」
リエル
「もし迂闊に攻撃して、結界のマナが暴走したら、街は一瞬で壊滅するそうです」
メディア
「えぇ!?」
レオン
「マジかよ!?」
シャロン
「わたくしたちができるのは、正攻法であのエボルグリムを打倒すること。
わかりましたか?」
レオン
「オーケー、小細工は無しってことだな。
じゃあ全力で行かせてもらうぜ!」
メディア
「ケガしちゃっても、わたしがすぐ治すから!」
シャロン
「心強いですわね、仲間というのは……。
だからこそ、彼女の悲しみもわかります」
リエル
「はい……あの方の一番大切な友人を、わたしは……」
シャロン
「でも、そこにいるのでしょう?
ちゃんと教えてあげませんと」
リエル
「……はいっ! ちゃんと伝えます!」
リエルは決意とともにグリモワールを握り締めると、
それに呼応するかのように、クサビの下のグリム・シャロンがゆっくりと動き出す。
そして巨大な蜂に姿を変え、周囲に咆哮を轟かせる。
グリム・シャロン
「Aaaaaaaaaaaaaaaah!!」
シャロン
「目覚めましたわね……
なんとしても止めますわよッ!」
▲BACK TO TOP
グリム・レオン
「こいつは、嫌な空気が流れてきやがったな……」
「全部てめぇの目論見通りってことかよ、セイメイ」
グリム・レオンは同じ空間に存在する、実体すら曖昧な存在に呼びかけた。
???
「わらわはなにもしていません。
あなたたちは自分の意思で動いていますよ」
「それは決して、わらわの意思ではありません」
グリム・レオン
「それなら、オレがどう動こうが、テメェには関係ないってことだよな?」
???
「好きにして構いませんよ。
これで、あなたの願いもようやく叶うでしょう」
トーキョー、ナナイロブリッジ付近で、シャロンたちは
鈍く輝くクサビと動きを止めたグリム・シャロンを見守っていた。
シャロン
「もはや猶予はあまりなさそうですわね……」
リエル
「レオンさん、メディアさん、大丈夫ですか?」
レオン
「ああ、メディアのおかげでバッチリだぜ!」
メディア
「もう! リエルちゃんだって頑張ったんだからね」
リエル
「いいんですよ、メディアさん。
わたしがメディアさんを治療して、メディアさんがレオンさんを治療したんですから」
メディア
「そうだけど……ねぇ?」
レオン
「あーっと……ありがとな、リエル」
リエル
「いえ、どういたしまして」
シャロン
「ではみなさん、そろそろ戦闘の準備を」
メディア
「はーい。
それにしても、あのシャロンちゃんの悪いグリム、
前にクサビが光ってから全然動かないねぇ」
リエル
「そうですね。 おかげで私たちは回復する時間が稼げましたが……」
レオン
「なら、今のうちにぶっ飛ばしちまえばいいんじゃねぇか?」
シャロン
「そんな簡単な話ではありませんわ。
どうやら今のエボルグリムはクサビ、そして結界と密接に繋がっていますの」
リエル
「もし迂闊に攻撃して、結界のマナが暴走したら、街は一瞬で壊滅するそうです」
メディア
「えぇ!?」
レオン
「マジかよ!?」
シャロン
「わたくしたちができるのは、正攻法であのエボルグリムを打倒すること。
わかりましたか?」
レオン
「オーケー、小細工は無しってことだな。
じゃあ全力で行かせてもらうぜ!」
メディア
「ケガしちゃっても、わたしがすぐ治すから!」
シャロン
「心強いですわね、仲間というのは……。
だからこそ、彼女の悲しみもわかります」
リエル
「はい……あの方の一番大切な友人を、わたしは……」
シャロン
「でも、そこにいるのでしょう?
ちゃんと教えてあげませんと」
リエル
「……はいっ! ちゃんと伝えます!」
リエルは決意とともにグリモワールを握り締めると、
それに呼応するかのように、クサビの下のグリム・シャロンがゆっくりと動き出す。
そして巨大な蜂に姿を変え、周囲に咆哮を轟かせる。
グリム・シャロン
「Aaaaaaaaaaaaaaaah!!」
シャロン
「目覚めましたわね……
なんとしても止めますわよッ!」
▲BACK TO TOP
グリム・シャロン
「Aaaaaaaaaaaーー!!」
レオン
「おりゃあああああ!!」
雄たけびを上げる巨大な女王蜂と相対する一行。
レオンが攻撃を仕掛けるが、ダメージを通った様子は見られない。
グリム・シャロン
「Uuuuuuuuuuuーー!?」
シャロン
「……ッ!?
やはり、倒しきれるものでは……!」
リエル
(わたしに……今、わたしにできること。 絶対にある!
もっともっと考えるんだ……)
リエルが必死に思考をめぐらせていると、ポケットのグリモワールが輝き始めた。
リエル
「これは……?
もしかして、封印したグリムの……」
グリム・シャロン
「……あ、れ? どう……し……?」
シャロン
「リエルさんのグリモワールの輝き……あれはマナではなく、瘴気?」
レオン
「アイツの動きが止まったぞ!」
メディア
「チャンスってこと? 攻撃、しちゃっていいの!?」
シャロン
「――いえ。 あとのことは、わたくしとリエルさんに任せてもらえますか?」
レオン
「おう、わかった」
メディア
「お願いね!」
シャロン
「ええ!」
シャロンとリエルがグリム・シャロンに近づく。
グリム・シャロンは巨大な蜂から人間態へと姿を変えた。
リエル
「戻った……? もしかして、あなたのおかげ?」
リエルの問いかけに応えるようにグリモワールが光を発すると、
それに気づいたグリム・シャロンが顔を向ける。
グリム・シャロン
「ああ……あなたは、そこに……いるんですの?」
リエル
「います……! ここに、いますよ!」
グリム・シャロン
「あ、あぁ……懐かしい……」
グリム・シャロンはリエルの言葉には応えず、
グリモワールの光を見つめ虚ろにつぶやくだけだった。
リエル
「聞こえて……ない?」
シャロン
「暴走が原因で精神が不安定になっているのかもしれません」
リエル
「だったら、どうすれば!」
シャロン
「方法はひとつ――
封印するしかありませんわね」
リエル
「でも、もう一度……もう一度だけ、
会わせてあげられないですか?」
シャロン
「リエルさん……それは……」
リエル
「わたしだったら会いたいです!
シャロンさんは……お嬢様はどうなんですか!」
シャロン
「そんなの……そんなのわたくしだって、
同じに決まってるではありませんの!」
グリム・シャロン
「……………………」
シャロン
「でも、グリムを復活させることはできません。
結局できるのは……近くにいさせてあげることですわ」
リエル
「わかり……ました……。
せめて、わたしのグリモワールを近くに……」
シャロン
「ええ……そうさせてもらいます」
グリム・シャロン
「いますのね……そこに」
シャロン
「封印する前に……あなたに謝らせてください。
わたくしはあなたたちエボルグリムを、ただの敵だと思っていました」
シャロン
「でも……わたくしたちと同じでしたのね。
だから、約束します。仲間を――リエルさんをもっと、ずっと、大切にする……と」
シャロンは約束の言葉を口に、自らのグリモワールを掲げる。
グリム・シャロンは柔らかな光に包まれ、静かに封印されていった。
リエル
「うぅ……」
シャロン
「行きましょう、ここは危険ですわ。
クサビが崩れてきています」
暁の賢者たちがその場を後にしたとき、
崩壊したクサビがあった場所を静かに見つめる者があった。
グリム・レオン
「ハッ……なんだ、簡単に行っちまいやがって」
「これで残るはオレひとり……
あいつがおっ始める前に、決着をつけてやるか!」
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「Aaaaaaaaaaaーー!!」
レオン
「おりゃあああああ!!」
雄たけびを上げる巨大な女王蜂と相対する一行。
レオンが攻撃を仕掛けるが、ダメージを通った様子は見られない。
グリム・シャロン
「Uuuuuuuuuuuーー!?」
シャロン
「……ッ!?
やはり、倒しきれるものでは……!」
リエル
(わたしに……今、わたしにできること。 絶対にある!
もっともっと考えるんだ……)
リエルが必死に思考をめぐらせていると、ポケットのグリモワールが輝き始めた。
リエル
「これは……?
もしかして、封印したグリムの……」
グリム・シャロン
「……あ、れ? どう……し……?」
シャロン
「リエルさんのグリモワールの輝き……あれはマナではなく、瘴気?」
レオン
「アイツの動きが止まったぞ!」
メディア
「チャンスってこと? 攻撃、しちゃっていいの!?」
シャロン
「――いえ。 あとのことは、わたくしとリエルさんに任せてもらえますか?」
レオン
「おう、わかった」
メディア
「お願いね!」
シャロン
「ええ!」
シャロンとリエルがグリム・シャロンに近づく。
グリム・シャロンは巨大な蜂から人間態へと姿を変えた。
リエル
「戻った……? もしかして、あなたのおかげ?」
リエルの問いかけに応えるようにグリモワールが光を発すると、
それに気づいたグリム・シャロンが顔を向ける。
グリム・シャロン
「ああ……あなたは、そこに……いるんですの?」
リエル
「います……! ここに、いますよ!」
グリム・シャロン
「あ、あぁ……懐かしい……」
グリム・シャロンはリエルの言葉には応えず、
グリモワールの光を見つめ虚ろにつぶやくだけだった。
リエル
「聞こえて……ない?」
シャロン
「暴走が原因で精神が不安定になっているのかもしれません」
リエル
「だったら、どうすれば!」
シャロン
「方法はひとつ――
封印するしかありませんわね」
リエル
「でも、もう一度……もう一度だけ、
会わせてあげられないですか?」
シャロン
「リエルさん……それは……」
リエル
「わたしだったら会いたいです!
シャロンさんは……お嬢様はどうなんですか!」
シャロン
「そんなの……そんなのわたくしだって、
同じに決まってるではありませんの!」
グリム・シャロン
「……………………」
シャロン
「でも、グリムを復活させることはできません。
結局できるのは……近くにいさせてあげることですわ」
リエル
「わかり……ました……。
せめて、わたしのグリモワールを近くに……」
シャロン
「ええ……そうさせてもらいます」
グリム・シャロン
「いますのね……そこに」
シャロン
「封印する前に……あなたに謝らせてください。
わたくしはあなたたちエボルグリムを、ただの敵だと思っていました」
シャロン
「でも……わたくしたちと同じでしたのね。
だから、約束します。仲間を――リエルさんをもっと、ずっと、大切にする……と」
シャロンは約束の言葉を口に、自らのグリモワールを掲げる。
グリム・シャロンは柔らかな光に包まれ、静かに封印されていった。
リエル
「うぅ……」
シャロン
「行きましょう、ここは危険ですわ。
クサビが崩れてきています」
暁の賢者たちがその場を後にしたとき、
崩壊したクサビがあった場所を静かに見つめる者があった。
グリム・レオン
「ハッ……なんだ、簡単に行っちまいやがって」
「これで残るはオレひとり……
あいつがおっ始める前に、決着をつけてやるか!」
▲BACK TO TOP
シャロンたちがグリム・シャロンを封印した少し後のこと。
シャロン
「レオンさん、これを」
レオン
「ん? なんだこれ?
達筆過ぎて全然読めねぇ……」
シャロン
「この前エボルグリムの襲撃があったあと、リエルさんと被害の確認をしていたんです」
リエル
「はい。 そこで見つけたのが、その果たし状なんですよ」
レオン
「果たし状? そんなもんを残していくやつ……
まさか!?」
シャロン
「わたくしたちが最初に出会ったエボルグリム……
あなたのエボルグリムですわ」
レオン
「なるほどな。 アイツとはちょくちょくやりあってるけど、結局決着はついてねぇしな」
「いいぜ、受けてやる!」
シャロン
「でも、題字が読めなかったのですから、中身もわかりませんわよね……」
レオン
「ぐぉっ!? 仕方ねぇだろ!」
リエル
「始まりの場所で待つ、って書いてありますね。
つまり、その場所は……」
レオン
「――アラクラヤマ、だな!」
レオンたちは果たし状に従い、かつてグリム・レオンと初めて邂逅した場所・アラクラヤマに着く。
周囲の様子は以前訪れた時よりも禍々しいものに変化していた。
レオン
「なんだこりゃ……すげぇことになってるな」
ルキア
「前に来た時より、明らかにやばそう……」
セリオス
「瘴気の濃度が高い……ここのクサビは、今まで長く放置されてきたから当然か」
レオン
「へへっ! 盛り上がってきたな!」
ルキア
「レオン、本当にひとりで戦う気?」
レオン
「あっちからそう言われてるんだ。 卑怯なことできるかよ」
セリオス
「まったくおまえは……これを受け取れ」
レオン
「ん? ブレスレットか?」
セリオス
「ムジナから預かった。
おまえが勝つために必要なものだ」
ルキア
「それと、こっちはイナリから。
『ゴフ』って言うらしいんだけど、瘴気の影響がちょっと減るんだって」
レオン
「ありがとな、ふたりとも……いや、みんな!
絶対勝ってみせるぜ!」
戦意に満ちたレオンの前に、グリム・レオンが姿を現す。
グリム・レオン
「ハハッ! 来たかよ、オリジナル!」
レオン
「おう! まさかそっちから果たし状を寄越すとは思わなかったぜ」
グリム・レオン
「どうやら、オレにもあまり時間がないようでなァ!」
レオン
「何だってかまわねぇよ。
一対一、本気でやらせてもらうぜ!」
グリム・レオン
「おら、行くぞォッ!!」
レオン
「来いっ!!」
レオン&グリム・レオン
「うぉぉぉぉぉぉッ!!」
二人の戦闘が始まるや否や、激しい衝突が繰り返される。
ルキア
「凄い……互角!?」
セリオス
「いや、レオンが押している……ッ!」
レオン
「おりゃああああああ!!」
レオンの攻撃がグリム・レオンを捉える。
グリム・レオン
「ぐぉぉぉぉ!?」
レオン
「どうした、まだやれるだろ!?」
グリム・レオン
「ああ……まだ、まだだ……!
ははっ! はははははっ!! 楽しい……楽しいぜぇ!!」
攻撃を受けたグリム・レオンはダメージなどまるで意に解さず、戦いを楽しんでいる様相だった。
レオン
「……へっ」
ルキア
「ふたりとも、笑ってる……」
セリオス
「拳を通してわかりあっている……のかもしれないな」
グリム・レオン
「ハッ!! こりゃ、本気を出さねぇとなぁッ!!」
レオン
「どんなもんだって、受けてたつぜッ!!」
グリム・レオン
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
グリム・レオンが絶叫すると、瘴気が稲妻のようにほとばしり、巨大な獅子へと姿を変えた。
以前対峙したときとは異なり漆黒に染まったその姿は、あふれる力を誇示するかのようだった。
ルキア
「うわぁ、強そう!
セリオス!?」
セリオス
「そうだな、頃合だろう。
おい、レオン!」
レオン
「……ッ! なんだ!?」
セリオス
「グリモワールを掲げろ!」
レオン
「……わかった!」
ルキア
「わたしたちのマナを……受け取って!」
レオン
「ブレスレットから……ふたりのマナが……」
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ルキアとセリオスが送ったマナは、レオンのグリモワールとブレスレットに注がれ、強力な光を放つ。
光は渦を巻きオーラとなってレオンの体を包んだ。
が、グリモワールが軋み細かなヒビが走ったことにレオンは気づかなかった
グリム・レオン
「GRYaaaaaaaaaaaaaa!!」
レオン
「さぁ、始めようぜ!
全てをかけて……かかってこいッ!!」
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シャロン
「レオンさん、これを」
レオン
「ん? なんだこれ?
達筆過ぎて全然読めねぇ……」
シャロン
「この前エボルグリムの襲撃があったあと、リエルさんと被害の確認をしていたんです」
リエル
「はい。 そこで見つけたのが、その果たし状なんですよ」
レオン
「果たし状? そんなもんを残していくやつ……
まさか!?」
シャロン
「わたくしたちが最初に出会ったエボルグリム……
あなたのエボルグリムですわ」
レオン
「なるほどな。 アイツとはちょくちょくやりあってるけど、結局決着はついてねぇしな」
「いいぜ、受けてやる!」
シャロン
「でも、題字が読めなかったのですから、中身もわかりませんわよね……」
レオン
「ぐぉっ!? 仕方ねぇだろ!」
リエル
「始まりの場所で待つ、って書いてありますね。
つまり、その場所は……」
レオン
「――アラクラヤマ、だな!」
レオンたちは果たし状に従い、かつてグリム・レオンと初めて邂逅した場所・アラクラヤマに着く。
周囲の様子は以前訪れた時よりも禍々しいものに変化していた。
レオン
「なんだこりゃ……すげぇことになってるな」
ルキア
「前に来た時より、明らかにやばそう……」
セリオス
「瘴気の濃度が高い……ここのクサビは、今まで長く放置されてきたから当然か」
レオン
「へへっ! 盛り上がってきたな!」
ルキア
「レオン、本当にひとりで戦う気?」
レオン
「あっちからそう言われてるんだ。 卑怯なことできるかよ」
セリオス
「まったくおまえは……これを受け取れ」
レオン
「ん? ブレスレットか?」
セリオス
「ムジナから預かった。
おまえが勝つために必要なものだ」
ルキア
「それと、こっちはイナリから。
『ゴフ』って言うらしいんだけど、瘴気の影響がちょっと減るんだって」
レオン
「ありがとな、ふたりとも……いや、みんな!
絶対勝ってみせるぜ!」
戦意に満ちたレオンの前に、グリム・レオンが姿を現す。
グリム・レオン
「ハハッ! 来たかよ、オリジナル!」
レオン
「おう! まさかそっちから果たし状を寄越すとは思わなかったぜ」
グリム・レオン
「どうやら、オレにもあまり時間がないようでなァ!」
レオン
「何だってかまわねぇよ。
一対一、本気でやらせてもらうぜ!」
グリム・レオン
「おら、行くぞォッ!!」
レオン
「来いっ!!」
レオン&グリム・レオン
「うぉぉぉぉぉぉッ!!」
二人の戦闘が始まるや否や、激しい衝突が繰り返される。
ルキア
「凄い……互角!?」
セリオス
「いや、レオンが押している……ッ!」
レオン
「おりゃああああああ!!」
レオンの攻撃がグリム・レオンを捉える。
グリム・レオン
「ぐぉぉぉぉ!?」
レオン
「どうした、まだやれるだろ!?」
グリム・レオン
「ああ……まだ、まだだ……!
ははっ! はははははっ!! 楽しい……楽しいぜぇ!!」
攻撃を受けたグリム・レオンはダメージなどまるで意に解さず、戦いを楽しんでいる様相だった。
レオン
「……へっ」
ルキア
「ふたりとも、笑ってる……」
セリオス
「拳を通してわかりあっている……のかもしれないな」
グリム・レオン
「ハッ!! こりゃ、本気を出さねぇとなぁッ!!」
レオン
「どんなもんだって、受けてたつぜッ!!」
グリム・レオン
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
グリム・レオンが絶叫すると、瘴気が稲妻のようにほとばしり、巨大な獅子へと姿を変えた。
以前対峙したときとは異なり漆黒に染まったその姿は、あふれる力を誇示するかのようだった。
ルキア
「うわぁ、強そう!
セリオス!?」
セリオス
「そうだな、頃合だろう。
おい、レオン!」
レオン
「……ッ! なんだ!?」
セリオス
「グリモワールを掲げろ!」
レオン
「……わかった!」
ルキア
「わたしたちのマナを……受け取って!」
レオン
「ブレスレットから……ふたりのマナが……」
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ルキアとセリオスが送ったマナは、レオンのグリモワールとブレスレットに注がれ、強力な光を放つ。
光は渦を巻きオーラとなってレオンの体を包んだ。
が、グリモワールが軋み細かなヒビが走ったことにレオンは気づかなかった
グリム・レオン
「GRYaaaaaaaaaaaaaa!!」
レオン
「さぁ、始めようぜ!
全てをかけて……かかってこいッ!!」
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グリム・レオン
「……ごはっ!?」
レオン
「…………っ…………」
互いに全力をかけた戦闘の末、両者は相当なダメージを受けた。
グリム・レオンは人間態へと戻り、レオンの体からもマナのオーラが消滅していた。
ルキア
「レオン!!」
セリオス
「行くなルキア。 あいつなら大丈夫だ」
一見互角に見えた勝負だが、本人たちは勝敗を自覚していた。
勝負を制したのはレオンであった。
レオン
「……俺の勝ちだな、俺!」
グリム・レオン
「ハッ……お前じゃねぇよ、オレは……」
レオン
「確かに……そうだな。 お前はどっちかっていうと、ライバルだよな!」
グリム・レオン
「ライバルか……は、ははははは!!
満足だ……満足、したぞ……!」
レオン
「ああ……俺も満足だ! 燃える勝負だったな!」
グリム・レオン
「……まったく、気楽すぎるぜ……オリジナル。
オレは、敵だぞ……」
レオン
「いいんだよ。 お前はそんな悪い奴でもない……。
戦っててわかったからな。 はははっ……!」
グリム・レオン
「ははははは……っ!」
戦いを経て互いを認め合うレオンとグリム・レオン。
そのときクサビが怪しく光る。
グリム・レオン
「ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁ!?」
レオン
「おい……おい! 大丈夫か!?」
グリム・レオン
「がはっ!?
さっさと始末しようってことか、セイメイ……ッ!」
セリオス
(……! セイメイだと?)
グリム・レオン
「力を出し切ったんだ。 消えるのはかまわねぇ。 ……でもよ」
「あんなもんに取り込まれて、アイツに利用されて終わるなんざ、我慢ならねぇ」
グリム・レオンはレオンに向き直る。
グリム・レオン
「おい、力を貸せよオリジナル!
あのクサビをぶっ壊すぞッ!」
レオン
「おうよ!
へへっ、ライバルが認めあって共闘するのは、熱い展開だよな!」
レオン&グリム・レオン
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
二人のレオンによる渾身の一撃を受け、クサビは崩壊していった。
だが、ダメージを追ったうえ瘴気の供給源であるクサビを失ったグリム・レオンは、もはや限界だった。
グリム・レオン
「これで、終わりだ……オレも、な」
レオン
「かっこよかったぜ、ライバル」
グリム・レオン
「ハッ……ほざけよ、ライバル」
好敵手の意を汲み取り、レオンはグリモワールを掲げ封印を完了させた。
レオンの下にセリオスとルキアが駆け寄る。
セリオス
「よくやったな、レオン」
レオン
「ふぁーーーーっ、しんどかった!
でも、約束通り勝ったぜ!」
ルキア
「うん! これで全部終わったんだよね!
みんなのところに戻ろう!」
セリオス
「そうだな。
早々に確認したいことがある」
アラクラヤマでの任務を追えたレオンたちは、他の皆が待つオーダイヴァ付近に帰還した。
ミュー
「おかえりなさい。
みなさん、お疲れさまです」
レオン
「おう、ただいま!
ムジナにイナリ、ありがとな。 あのアイテム、役に立ったぜ!」
イナリ
「そうでしょそうでしょ! 無事で良かったね」
セリオス
「ムジナ、レオンのエボルグリムが気になる名を口にしていた。 セイメイ、と」
ムジナ
「セイメイ……アヴェノセイメイですか!?」
レオン
「……ん? なんかグリモワールが……」
レオンは不意に違和感を覚え、自身のグリモワールを取り出す。
同時にセリオスのグリモワールの通信音が鳴り響いた。
セリオス
「――サツキ先生?」
サツキ
「セリオスくん! レオンくんに変な反応があるの!
結界に入る前に、一度調べてもらって――」
サツキが捲し立てる中、突如レオンのグリモワールから瘴気の奔流があふれ出す。
レオン
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
セリオス
「くっ――残念ながら、手遅れのようです」
瘴気の奔流の中、レオンのグリモワールが数度激しい輝きを放つと、
何かが破壊されたような轟音が響き渡る。
瘴気の奔流に弾き飛ばされたレオンが体勢を立て直す。
次の瞬間、上空に現れた異質なものに目を奪われた。
レオン
「……ってて。
うぉぉ、なんだありゃ!!!」
イナリ
「巨大な……樹?」
ムジナ
「あれが……魔法樹……」
マヤ
「魔法樹って、わたしたちの世界にあるマナを発生させる樹よね。
こっちの世界にもあったの!?」
ムジナ
「ええ、遥か昔には存在していたのですが、
ある時、ヒトに害をなす瘴気を生み出すようになってしまい……、
それを見かねた人物−アヴェノセイメイが自身ごと封印した、
と文献にはありました」
カイル
「なるほど、トーキョーがマナの薄い世界だったのはそれが原因だったのですね」
タイガ
「感心しとる場合ちゃうやろ! どー見ても、封印解けて瘴気出とるやないか!
さっきのレオンのグリモワールの仕業かいな!?」
サツキ
「レオンくんのグリモワールが操られて、瘴気と共鳴したことで
結界が内側から崩壊させられてしまったんだわ」
ユウ
「でも、前にレオンさんのグリモワールを調べた時は、
ちょっと調子悪いだけで特に変なことはなかったんじゃ?」
セリオス
「レオンのグリモワールに何か仕込んだのは、僕のエボルグリムだ。
狡猾なヤツめ、表面化しないよう巧妙に隠していたのか」
シャロン
「おそらくヤンヤンさんたちから奪った時に、グリモワールを解析したんですわね」
「そして今、グリモワールを操った人物こそが『あの御方』……」
レオン
「セリオスのときと今回といい、俺とライバルのバトルを二度も利用したってのか!
バカにしやがって!」
ムジナ
「それだけではありません。 おそらく、ですが……
今までエボルグリムがクサビを守ったのは、全てカモフラージュだったのでは」
サンダース
「カモフラージュ、だと?」
ムジナ
「クサビは設置された段階で、その役目を終えていた。
むしろその破壊こそが鍵だったんでしょう」
アイコ
「え? ちょっと待って?
わけわかんないんだけど!」
イナリ
「私もあの樹から何かを感じる……。 誰かの想い……。
クサビは世界の有り様を変えようとするもの」
「瘴気が世界にあってもいいように……生ける者が瘴気を受け入れるように……。
破壊されると、その術式が発動するんだって」
リック
「それがエボルグリムを裏で操っていた者、『あの御方』とやらの目的ということか」
「くそっ、まんまと躍らされたな」
ルキア
「あの御方……え、あれ?
レオンのエボルグリムが言ってたのは……」
ムジナ
「はい、そうなるでしょう。
あの魔法樹から感じられる気配は僕とイナリの先祖……」
「瘴気を利用した独自の術『陰陽』の始祖にして、
この世界の魔法樹を封印した人物、アヴェノセイメイです」
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「……ごはっ!?」
レオン
「…………っ…………」
互いに全力をかけた戦闘の末、両者は相当なダメージを受けた。
グリム・レオンは人間態へと戻り、レオンの体からもマナのオーラが消滅していた。
ルキア
「レオン!!」
セリオス
「行くなルキア。 あいつなら大丈夫だ」
一見互角に見えた勝負だが、本人たちは勝敗を自覚していた。
勝負を制したのはレオンであった。
レオン
「……俺の勝ちだな、俺!」
グリム・レオン
「ハッ……お前じゃねぇよ、オレは……」
レオン
「確かに……そうだな。 お前はどっちかっていうと、ライバルだよな!」
グリム・レオン
「ライバルか……は、ははははは!!
満足だ……満足、したぞ……!」
レオン
「ああ……俺も満足だ! 燃える勝負だったな!」
グリム・レオン
「……まったく、気楽すぎるぜ……オリジナル。
オレは、敵だぞ……」
レオン
「いいんだよ。 お前はそんな悪い奴でもない……。
戦っててわかったからな。 はははっ……!」
グリム・レオン
「ははははは……っ!」
戦いを経て互いを認め合うレオンとグリム・レオン。
そのときクサビが怪しく光る。
グリム・レオン
「ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁ!?」
レオン
「おい……おい! 大丈夫か!?」
グリム・レオン
「がはっ!?
さっさと始末しようってことか、セイメイ……ッ!」
セリオス
(……! セイメイだと?)
グリム・レオン
「力を出し切ったんだ。 消えるのはかまわねぇ。 ……でもよ」
「あんなもんに取り込まれて、アイツに利用されて終わるなんざ、我慢ならねぇ」
グリム・レオンはレオンに向き直る。
グリム・レオン
「おい、力を貸せよオリジナル!
あのクサビをぶっ壊すぞッ!」
レオン
「おうよ!
へへっ、ライバルが認めあって共闘するのは、熱い展開だよな!」
レオン&グリム・レオン
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
二人のレオンによる渾身の一撃を受け、クサビは崩壊していった。
だが、ダメージを追ったうえ瘴気の供給源であるクサビを失ったグリム・レオンは、もはや限界だった。
グリム・レオン
「これで、終わりだ……オレも、な」
レオン
「かっこよかったぜ、ライバル」
グリム・レオン
「ハッ……ほざけよ、ライバル」
好敵手の意を汲み取り、レオンはグリモワールを掲げ封印を完了させた。
レオンの下にセリオスとルキアが駆け寄る。
セリオス
「よくやったな、レオン」
レオン
「ふぁーーーーっ、しんどかった!
でも、約束通り勝ったぜ!」
ルキア
「うん! これで全部終わったんだよね!
みんなのところに戻ろう!」
セリオス
「そうだな。
早々に確認したいことがある」
アラクラヤマでの任務を追えたレオンたちは、他の皆が待つオーダイヴァ付近に帰還した。
ミュー
「おかえりなさい。
みなさん、お疲れさまです」
レオン
「おう、ただいま!
ムジナにイナリ、ありがとな。 あのアイテム、役に立ったぜ!」
イナリ
「そうでしょそうでしょ! 無事で良かったね」
セリオス
「ムジナ、レオンのエボルグリムが気になる名を口にしていた。 セイメイ、と」
ムジナ
「セイメイ……アヴェノセイメイですか!?」
レオン
「……ん? なんかグリモワールが……」
レオンは不意に違和感を覚え、自身のグリモワールを取り出す。
同時にセリオスのグリモワールの通信音が鳴り響いた。
セリオス
「――サツキ先生?」
サツキ
「セリオスくん! レオンくんに変な反応があるの!
結界に入る前に、一度調べてもらって――」
サツキが捲し立てる中、突如レオンのグリモワールから瘴気の奔流があふれ出す。
レオン
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
セリオス
「くっ――残念ながら、手遅れのようです」
瘴気の奔流の中、レオンのグリモワールが数度激しい輝きを放つと、
何かが破壊されたような轟音が響き渡る。
瘴気の奔流に弾き飛ばされたレオンが体勢を立て直す。
次の瞬間、上空に現れた異質なものに目を奪われた。
レオン
「……ってて。
うぉぉ、なんだありゃ!!!」
イナリ
「巨大な……樹?」
ムジナ
「あれが……魔法樹……」
マヤ
「魔法樹って、わたしたちの世界にあるマナを発生させる樹よね。
こっちの世界にもあったの!?」
ムジナ
「ええ、遥か昔には存在していたのですが、
ある時、ヒトに害をなす瘴気を生み出すようになってしまい……、
それを見かねた人物−アヴェノセイメイが自身ごと封印した、
と文献にはありました」
カイル
「なるほど、トーキョーがマナの薄い世界だったのはそれが原因だったのですね」
タイガ
「感心しとる場合ちゃうやろ! どー見ても、封印解けて瘴気出とるやないか!
さっきのレオンのグリモワールの仕業かいな!?」
サツキ
「レオンくんのグリモワールが操られて、瘴気と共鳴したことで
結界が内側から崩壊させられてしまったんだわ」
ユウ
「でも、前にレオンさんのグリモワールを調べた時は、
ちょっと調子悪いだけで特に変なことはなかったんじゃ?」
セリオス
「レオンのグリモワールに何か仕込んだのは、僕のエボルグリムだ。
狡猾なヤツめ、表面化しないよう巧妙に隠していたのか」
シャロン
「おそらくヤンヤンさんたちから奪った時に、グリモワールを解析したんですわね」
「そして今、グリモワールを操った人物こそが『あの御方』……」
レオン
「セリオスのときと今回といい、俺とライバルのバトルを二度も利用したってのか!
バカにしやがって!」
ムジナ
「それだけではありません。 おそらく、ですが……
今までエボルグリムがクサビを守ったのは、全てカモフラージュだったのでは」
サンダース
「カモフラージュ、だと?」
ムジナ
「クサビは設置された段階で、その役目を終えていた。
むしろその破壊こそが鍵だったんでしょう」
アイコ
「え? ちょっと待って?
わけわかんないんだけど!」
イナリ
「私もあの樹から何かを感じる……。 誰かの想い……。
クサビは世界の有り様を変えようとするもの」
「瘴気が世界にあってもいいように……生ける者が瘴気を受け入れるように……。
破壊されると、その術式が発動するんだって」
リック
「それがエボルグリムを裏で操っていた者、『あの御方』とやらの目的ということか」
「くそっ、まんまと躍らされたな」
ルキア
「あの御方……え、あれ?
レオンのエボルグリムが言ってたのは……」
ムジナ
「はい、そうなるでしょう。
あの魔法樹から感じられる気配は僕とイナリの先祖……」
「瘴気を利用した独自の術『陰陽』の始祖にして、
この世界の魔法樹を封印した人物、アヴェノセイメイです」
▲BACK TO TOP
強大な瘴気の元凶である魔法樹。
その傍らには、黒い衣に身を包んだ長身の女性の姿があった。
エボルグリムを生み出し、この世界を瘴気で満たそうとした者、アヴェノセイメイ。
セイメイ
「わらわはこれを待っていました。
自らの身体で封じた瘴気に病んだ魔法樹。
その解放される時を」
「ようやく……、ようやく世界が変わる時がきたのです」
イナリ
「あの人が、ご先祖様……
瘴気で世界を満たそうとしてるの……?」
ムジナ
「みなさん、気をつけてください!」
セイメイ
「わらわの血を継ぐ子孫……」
「愛しましょう。 わらわは全てを愛します。
たとえわらわの邪魔をしたとしても……」
アヴェノセイメイの佇まいは、その目的とは裏腹に実にたおやかだった。
ルキア
「ねぇ!
あの人、悪者なんだよね!?」
アロエ
「あんまりそんな風には見えないけど……」
タイガ
「なんや、まるで女神様みたいな雰囲気やん……」
セイメイ
「女神ですか……褒められると照れてしまいますね」
「わらわは賢族――アヴェノセイメイ。
この世界の管理者のようなものです」
サンダース
「賢族……? 聞かん言葉だが、管理者とは大層なことだ。
だから世界を自分の自由にしようというのか!」
アイコ
「そうだよ! 許せないぞー!」
セイメイ
「違います。わらわが行う全ては、あくまで人の幸せのため……
誰もが苦しまない世界のためなのです」
ユウ
「よくわかんないけど、こんな風に瘴気を広めるなんて、絶対駄目なことだと思う!」
セイメイ
「わらわはかつて、狂ってしまった世界樹を抑えようと、
瘴気を利用した術式『陰陽』を造りあげました」
「しかし、徐々に魔法樹が放つ瘴気の量は増え、やがて陰陽による消費もかなわなくなり、
わが身ごと封印せざるを得ませんでした」
「永き封印の間にわらわは思い至りました。
瘴気を消し去ることが適わぬのなら、瘴気と共に在れるようになればよいのです」
ラスク
「何で、そう考えちゃうのさ!
瘴気は人にとって害じゃないか!」
リエル
「瘴気に影響を受けてしまったのでしょうか……
以前のムジナさんとイナリさんのように」
セイメイ
「おかしなことを言うのですね、あなたたちは。
この瘴気は次第に人の体に馴染みます。 わらわや、わらわの子孫たちのように」
「魔法使いたち……そなたらも同じです。
人形たちと戦う最中、瘴気に適応する力を得ているのではないですか?」
シャロン
「確かにあなたの言うことも一理ありますわね……。
わたくしたちは形代を使い、瘴気をマナに転用しました」
マヤ
「でもそれだけじゃ、根本的な解決には……」
セイメイ
「うふふ。言っているではありませんか。 馴染む、と。
わらわもそうして慣れました」
リック
「それが簡単であるわけがない……!」
カイル
「そもそもです、何故あなたはエボルグリムを作り出したのですか!?」
セイメイ
「己の施した封印を解くためには駒が必要でした」
「年月により効力が弱まりつつあったとはいえ、
封印の内側より外界に干渉するのには限界がありますからね。
そして何より……」
「瘴気によって生まれたわらわの子が、人と成れるのか。
それを確かめたかったのです」
「瘴気に立ち向かう手段を持つあなたたち魔法使いは、良き参考となりましたよ」
ヤンヤン
「そんな勝手な理屈でやつらを作ったアルか! 迷惑千万アル!」
シャロン
「グリムといえど、彼らは意思を持つ人でした。
良い者も悪い者も……その性質は違いましたが、どちらにせよ命に変わりはありません」
セイメイ
「本当に不可思議ですね。あれは偽りの命。
重要なのは未来に種を……世界を存続させること。
どちらが人にとっての幸福か、わかるでしょう?」
メディア
「全然わからないってば!」
アロエ
「うん、メディアちゃんに賛成! あの人、悪い人だよっ!」
セイメイ
「ああ、ああ……なんと嘆かわしい。
この世界の者でない方々には、理解してはもらえませんか」
「ですが、わらわは許します」
ハルト
「貴様に許されるいわれはないっ! 我は覇道を行く故に!」
クララ
「覇道はちょっと意味が違うような……」
ユリ
「難しいことはともかく、ぶっ飛ばしちゃっていいってことでしょ!」
ミュー
「……はい。 それで、この世界を救うです」
マラリヤ
「緊褌一番。 そろそろ本気を出すころかしらね」
ヴァニィ
「これがラスボス戦ですねっ!
全身全霊をかけた戦いの果てに何が待つのか!」
セリオス
「まったく、緊張感がない……。
だが、僕たち暁の賢者らしいのかもしれないな」
レオン
「ああ、辛気臭いのはごめんだ!
俺たちの手で終わらせてやろうぜ!」
セイメイ
「ああ、ああ……なんということでしょう。
それが答えであるというならば、少し静かにしてもらうしかありませんね」
アヴェノセイメイは笑みをたたえたまま、暁の賢者たちに瘴気による攻撃を放つ。
セイメイ
「思い知りなさい。 わらわがどれだけこの世界を考えているか……
そして、どれだけ愛しているかを」
▲BACK TO TOP
その傍らには、黒い衣に身を包んだ長身の女性の姿があった。
エボルグリムを生み出し、この世界を瘴気で満たそうとした者、アヴェノセイメイ。
セイメイ
「わらわはこれを待っていました。
自らの身体で封じた瘴気に病んだ魔法樹。
その解放される時を」
「ようやく……、ようやく世界が変わる時がきたのです」
イナリ
「あの人が、ご先祖様……
瘴気で世界を満たそうとしてるの……?」
ムジナ
「みなさん、気をつけてください!」
セイメイ
「わらわの血を継ぐ子孫……」
「愛しましょう。 わらわは全てを愛します。
たとえわらわの邪魔をしたとしても……」
アヴェノセイメイの佇まいは、その目的とは裏腹に実にたおやかだった。
ルキア
「ねぇ!
あの人、悪者なんだよね!?」
アロエ
「あんまりそんな風には見えないけど……」
タイガ
「なんや、まるで女神様みたいな雰囲気やん……」
セイメイ
「女神ですか……褒められると照れてしまいますね」
「わらわは賢族――アヴェノセイメイ。
この世界の管理者のようなものです」
サンダース
「賢族……? 聞かん言葉だが、管理者とは大層なことだ。
だから世界を自分の自由にしようというのか!」
アイコ
「そうだよ! 許せないぞー!」
セイメイ
「違います。わらわが行う全ては、あくまで人の幸せのため……
誰もが苦しまない世界のためなのです」
ユウ
「よくわかんないけど、こんな風に瘴気を広めるなんて、絶対駄目なことだと思う!」
セイメイ
「わらわはかつて、狂ってしまった世界樹を抑えようと、
瘴気を利用した術式『陰陽』を造りあげました」
「しかし、徐々に魔法樹が放つ瘴気の量は増え、やがて陰陽による消費もかなわなくなり、
わが身ごと封印せざるを得ませんでした」
「永き封印の間にわらわは思い至りました。
瘴気を消し去ることが適わぬのなら、瘴気と共に在れるようになればよいのです」
ラスク
「何で、そう考えちゃうのさ!
瘴気は人にとって害じゃないか!」
リエル
「瘴気に影響を受けてしまったのでしょうか……
以前のムジナさんとイナリさんのように」
セイメイ
「おかしなことを言うのですね、あなたたちは。
この瘴気は次第に人の体に馴染みます。 わらわや、わらわの子孫たちのように」
「魔法使いたち……そなたらも同じです。
人形たちと戦う最中、瘴気に適応する力を得ているのではないですか?」
シャロン
「確かにあなたの言うことも一理ありますわね……。
わたくしたちは形代を使い、瘴気をマナに転用しました」
マヤ
「でもそれだけじゃ、根本的な解決には……」
セイメイ
「うふふ。言っているではありませんか。 馴染む、と。
わらわもそうして慣れました」
リック
「それが簡単であるわけがない……!」
カイル
「そもそもです、何故あなたはエボルグリムを作り出したのですか!?」
セイメイ
「己の施した封印を解くためには駒が必要でした」
「年月により効力が弱まりつつあったとはいえ、
封印の内側より外界に干渉するのには限界がありますからね。
そして何より……」
「瘴気によって生まれたわらわの子が、人と成れるのか。
それを確かめたかったのです」
「瘴気に立ち向かう手段を持つあなたたち魔法使いは、良き参考となりましたよ」
ヤンヤン
「そんな勝手な理屈でやつらを作ったアルか! 迷惑千万アル!」
シャロン
「グリムといえど、彼らは意思を持つ人でした。
良い者も悪い者も……その性質は違いましたが、どちらにせよ命に変わりはありません」
セイメイ
「本当に不可思議ですね。あれは偽りの命。
重要なのは未来に種を……世界を存続させること。
どちらが人にとっての幸福か、わかるでしょう?」
メディア
「全然わからないってば!」
アロエ
「うん、メディアちゃんに賛成! あの人、悪い人だよっ!」
セイメイ
「ああ、ああ……なんと嘆かわしい。
この世界の者でない方々には、理解してはもらえませんか」
「ですが、わらわは許します」
ハルト
「貴様に許されるいわれはないっ! 我は覇道を行く故に!」
クララ
「覇道はちょっと意味が違うような……」
ユリ
「難しいことはともかく、ぶっ飛ばしちゃっていいってことでしょ!」
ミュー
「……はい。 それで、この世界を救うです」
マラリヤ
「緊褌一番。 そろそろ本気を出すころかしらね」
ヴァニィ
「これがラスボス戦ですねっ!
全身全霊をかけた戦いの果てに何が待つのか!」
セリオス
「まったく、緊張感がない……。
だが、僕たち暁の賢者らしいのかもしれないな」
レオン
「ああ、辛気臭いのはごめんだ!
俺たちの手で終わらせてやろうぜ!」
セイメイ
「ああ、ああ……なんということでしょう。
それが答えであるというならば、少し静かにしてもらうしかありませんね」
アヴェノセイメイは笑みをたたえたまま、暁の賢者たちに瘴気による攻撃を放つ。
セイメイ
「思い知りなさい。 わらわがどれだけこの世界を考えているか……
そして、どれだけ愛しているかを」
▲BACK TO TOP
暁の賢者たちと、アヴェノセイメイの間で繰り広げられる最後の戦闘。
数では圧倒的に勝る暁の賢者たちだが、アヴェノセイメイの力の前には劣勢を強いられていた。
レオン
「うぉりゃッ! どうだ!!」
セイメイ
「……よくやりました。 褒めてあげましょう」
必死のレオンの一撃も、アヴェノセイメイは幼子をあやすように受け止める。
攻撃を受けた箇所も瞬く間に元に戻り、ダメージを負った様子は見られない。
シャロン
「瘴気が傷を癒やしている!? これでは埒が明きませんわよ!」
ヤンヤン
「なら、何度でもやるしかないネ! コツコツやるのは慣れてるアル!」
サンダース
「死地など幾度も経験してきたわ!!」
イナリ
「みんな、兄様が少し時間を稼いでほしいって! 出来る?」
レオン
「またなんか、秘密兵器があるのか? よっしゃ、まかせとけ!」
リック
「破ッ!!」
リックが攻撃魔法を連続して放つも、魔法自体が無効化される。
リック
「くっ、今度は瘴気で掻き消した!?」
マラリヤ
「瘴気と言っておけば、何でもアリなのかしらね。 便利なものだわ」
ミュー
「なら、みんなの攻撃を一点に集中させましょう」
タイガ
「任しとき!」
ユリ
「どっかーんっていくよ!」
セイメイ
「――全ては無為」
複数人による同時攻撃も、やはり同様にかき消されてしまう。
アヴェノセイメイは諭すようにつぶやく。
セイメイ
「大丈夫、諦めて良いのです。
どのような悪い子であれ、わらわは優しく抱きとめましょう」
アヴェノセイメイは降伏を勧めながら、瘴気による攻撃を放つ。
アロエとメディアがそれを必死に防御する。
アロエ
「あなたにそう言われたって嬉しくない!」
メディア
「そうよ! アロエお姉ちゃんに賛成!」
セイメイ
「これはわらわの怒りではありません。 単なる仕置きですよ?」
ラスク
「そういうのを押し付けられても困るよ!
僕らは悪い子じゃなくて、どっちかと言うと正義の味方だからね!」
ハルト
「その通りだ! 貴様の主義は所詮は独善。
そんなものに敗北する我らではない!」
レオン
「うおっしゃ! まだまだ行くぜぇぇ!」
劣勢の中、暁の賢者たちは不屈の言葉を叫ぶ。
すると、それに呼応するかのようにレオンのグリモワールに声が響いた。
≪ハッ……諦めが悪いのも似てんのかもな。
手が足りねぇか? ライバル≫
レオン
「この声は……、なっ!? グリモワールが光って……!」
レオンのグリモワールから溢れ出る凄まじい光はやがて人の形を成し、レオンの前に立つ。
その姿は以前、消滅しかけているところをグリモワールに封印した好敵手、グリム・レオンだった。
セイメイ
「あなたは……、礎になったはずの人形が何故?」
レオン
「……お前!? 消えたんじゃ……!」
グリム・レオン
「ハッ、オレたちを作った馬鹿野郎の最後の善意ってとこだ」
グリム・レオンの言葉を契機に、暁の賢者たちのグリモワールが次々と光を放ち始め、やがて多くの姿が立ち並ぶ。
シャロン
「あなたたちは……!!」
リエル
「エボルグリムのみなさん……!?」
暁の賢者たちの前に姿を現したエボルグリムたち。
彼らの姿は封印されたときのままだが、そこにかつての敵意は感じられなかった。
グリム・シャロン
「まったく不出来で困りますわねぇ、オリジナルは。
さぁ行きますわよ、リエル!」
グリム・リエル
「マスターよりはいささかマシかとは思いますが。
でも……はい、最後までしっかりとお世話させていただきます」
グリム・カイル
「はははははっ! ずいぶんと圧されているではないか!
仕方無い、我の力を貸してやろうッ!」
グリム・ユリ
「私のオリジナルはがさつで少々頼りないですからね」
カイル
「僕たちのグリモワールの形代が、瘴気を取り込んで彼らを形作ったんでしょうか!?」
ユリ
「うぉぉ、よく分かんないけど、すごい!」
グリム・タイガ
「キミたちだけでは勝つ確率はほぼゼロだ。
しかし、僕たちが力を貸すことによって……」
グリム・リック
「100%の勝利にしてやるぜ!
なぁ、オリジナル。 オレ様は勝つのも、ダチに勝たせるのも好きなんだぜ!」
リック
「お前……ッ」
タイガ
「あんな仲悪うしとったのに……どえらいことになってきよったわ!」
シャロン
「これはまるで、神の御業ですわね。 ……イナリさん?」
イナリ
「わたし、感じた……ご先祖様の力」
ルキア
「え? それってどういうこと?」
ムジナ
「ご先祖様は自分がいつか瘴気に堕ちてしまったときのため、
何らかの力を封じていたのでしょう」
イナリ
「これがご先祖様……セイメイ様の本当の願いなんだね」
アイコ
「まさか……敵ってことはないよね?」
マヤ
「それは無いみたいよ。 だって、ほら!」
グリム・マヤ
「アイコ! 最後のケンカだ! 気合入れていくよ!」
グリム・アイコ
「はぁーい。面倒だけどやるしかないよねー。
まぁ、マヤちんと一緒だし、たまには本気出すのもいいかもね」
グリム・クララ
「はいはーい、また会えたね〜(^▽^)
さぁ、はるるん、あーしたちも出遅れてらんないよー?」
グリム・ハルト
「次は絶対に力をコントロールしてみせる……
……って、ちょちょちょ、待ってよクララ!」
ハルト
「く……あの様子で大丈夫なのか? 俺のエボルグリムは」
クララ
「大丈夫だよ、きっと!」
ユウ
「えっと、力を貸してくれるんだよね?」
グリム・ユウ
「もちろんです! また会えて嬉しいです、お兄様♪」
ヤンヤン
「お前たちも助けてくれるアルか!?」
グリム・ヤンヤン
「報酬は高くついても構わないアルね?」
グリム・ラスク
「ま、ちょっとくらいはまけてやんなくもないけどな」
ラスク
「言ってくれるなぁ」
グリム・メディア
「さぁ、行きましょうか♪
私たちの力であのヒトを天国へ連れてってあ・げ・ま・しょ♪」
グリム・アロエ
「小悪魔カワイイあたしとメディアちゃんとマラリヤちゃんの力、
ありがたーく受け取ってねー☆」
グリム・マラリヤ
「ひぇ!? わ、わたし……このくくりなんですかぁ〜?」
メディア
「すごい……本当にすごいよ、お姉ちゃん!」
アロエ
「うん……あたしもなんだか嬉しくなってきちゃった!」
マラリヤ
「ベタな王道的展開。 まぁ悪いものではないわね」
セイメイ
「何故……何故……?
あなたたちは、わらわが創りし仮初の存在のはず……
それが自らの意思を持ったまま……」
グリム・サンダース
「ワシはワシじゃい!
それ以外の何モンでもないわぁぁッ!!」
グリム・ミュー
「そのとーりだー!
みゅうはいつでもぜんかいぱわー!」
ミュー
「わたしたちもどかーん、です」
サンダース
「確固たる自我の前には、小難しい理屈も霞むか。
フフ、頼もしいな」
セイメイ
「……意思を持ったのであれば、何故わらわに逆らうのです?
母なるこのわらわに……」
グリム・レオン
「わからねぇなら教えてやる。
アンタが正しくねぇからだよ、セイメイ」
セリオス
「心酔していた『あの御方』に、反旗を翻していいのか?」
グリム・セリオス
「笑止!
今のあの御方の行いが真なる願いでないと知ったからには、こうするのが私の忠義ッ!!」
「貴様に力を貸すというのはいささか思うところはあるがな!」
セリオス
「フッ、お互い様だ」
ルキア
「手なんて貸さないんじゃなかったっけ?」
グリム・ルキア
「忘れたねぇ。
つまらない事にこだわるのは、良い女じゃあないだろ?」
グリム・ルキア
「あたしらが一切合切のケリをつけてやろうじゃないか!
さぁいくよ、お前たちッ!」
レオン
「へへっ、こいつらが味方なのが、こんなに心強いなんてな」
イナリ
「レオン、これっ!」
レオンに向かってイナリが球状の物質を投げる。
レオン
「うぉっ! なんだ、これ……」
ムジナ
「体内の瘴気を変換させる術式を封じた珠です!
それをセイメイの身体に打ち込んでください!」
セリオス
「こちらは任せろ、レオン!」
グリム・セリオス
「そうだ、あの御方の役に立ってみせろ!」
シャロン
「サポートは万全ですわよ!」
グリム・シャロン
「しくじるんじゃありませんことよ!」
ルキア
「頼んだからねっ!」
グリム・ルキア
「やっちまいな、レオン!」
ヴァニィ
「わたくしたちの想いをのせてください!」
レオン
「よっしゃ! やろうぜ、ライバル!」
グリム・レオン
「ハッ! いいだろうライバルッ!!」
皆からのマナを受け、レオンとグリム・レオンは顔を見合わせる。
そして『反極珠』を打ち込むべくアヴェノセイメイへと、全ての力を込めて向かっていった。
レオン&グリム・レオン
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
セイメイ
「眩しい……眩しい……。 そんなものは、わらわには必要ない……
だから、止まれ……止まりなさい!」
レオン&グリム・レオン
「止まってたまるかよぉぉぉぉぉ!!」
『反極珠』をその身に受けたアヴェノセイメイは、瘴気がマナへと反転する際の光の奔流に飲まれていた。
セイメイ
「ああ……ああ……わらわが、溶けていく。
深く濁った心と身体が水流に飲み込まれたよう」
アヴェノセイメイにもう一人セイメイが寄り添う。
それは瘴気に蝕まれる前の、善なる心を持つかつてのセイメイだった。
善なるセイメイ
「あなたは消えるでしょう、もう一人のわらわ。
ですが、この世界が美しく保っていたことは、わらわだからこそ知っています」
消えかかるアヴェノセイメイの目に、地平線から姿を現す太陽と、その光に照らされ輝く街並が映る。
セイメイ
「美しい…愛しい……世界」
「そうですか……わらわが耐えてきた意味は……ちゃんと、あったのですね……」
善なるセイメイ
「……ありました。だから眠りなさい、わらわよ。
いつか、あなたの力が必要になるまで」
セイメイ
「ああ、そうですね……。
これは、あの時と違う……心地良いねむ――」
マナの光にアヴェノセイメイは消えた。
同時に先ほどまで禍々しい瘴気をまとっていた魔法樹にマナの光が灯る。
ムジナ
「魔法樹が輝きを……!
瘴気がマナに変換されたことで、本来の姿に戻ったのか……」
イナリ
「世界は救われたんだね、兄様!」
二人のレオンは瘴気が晴れ世界が輝きを取り戻していく様を眺めていた。
レオン
「へ……へっ、大勝利だぜ!」
グリム・レオン
「ハッ、ボロボロじゃねぇか」
レオン
「いいんだよ。
みんな笑顔で終われればな」
グリム・レオン
「……知ったことかよ」
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数では圧倒的に勝る暁の賢者たちだが、アヴェノセイメイの力の前には劣勢を強いられていた。
レオン
「うぉりゃッ! どうだ!!」
セイメイ
「……よくやりました。 褒めてあげましょう」
必死のレオンの一撃も、アヴェノセイメイは幼子をあやすように受け止める。
攻撃を受けた箇所も瞬く間に元に戻り、ダメージを負った様子は見られない。
シャロン
「瘴気が傷を癒やしている!? これでは埒が明きませんわよ!」
ヤンヤン
「なら、何度でもやるしかないネ! コツコツやるのは慣れてるアル!」
サンダース
「死地など幾度も経験してきたわ!!」
イナリ
「みんな、兄様が少し時間を稼いでほしいって! 出来る?」
レオン
「またなんか、秘密兵器があるのか? よっしゃ、まかせとけ!」
リック
「破ッ!!」
リックが攻撃魔法を連続して放つも、魔法自体が無効化される。
リック
「くっ、今度は瘴気で掻き消した!?」
マラリヤ
「瘴気と言っておけば、何でもアリなのかしらね。 便利なものだわ」
ミュー
「なら、みんなの攻撃を一点に集中させましょう」
タイガ
「任しとき!」
ユリ
「どっかーんっていくよ!」
セイメイ
「――全ては無為」
複数人による同時攻撃も、やはり同様にかき消されてしまう。
アヴェノセイメイは諭すようにつぶやく。
セイメイ
「大丈夫、諦めて良いのです。
どのような悪い子であれ、わらわは優しく抱きとめましょう」
アヴェノセイメイは降伏を勧めながら、瘴気による攻撃を放つ。
アロエとメディアがそれを必死に防御する。
アロエ
「あなたにそう言われたって嬉しくない!」
メディア
「そうよ! アロエお姉ちゃんに賛成!」
セイメイ
「これはわらわの怒りではありません。 単なる仕置きですよ?」
ラスク
「そういうのを押し付けられても困るよ!
僕らは悪い子じゃなくて、どっちかと言うと正義の味方だからね!」
ハルト
「その通りだ! 貴様の主義は所詮は独善。
そんなものに敗北する我らではない!」
レオン
「うおっしゃ! まだまだ行くぜぇぇ!」
劣勢の中、暁の賢者たちは不屈の言葉を叫ぶ。
すると、それに呼応するかのようにレオンのグリモワールに声が響いた。
≪ハッ……諦めが悪いのも似てんのかもな。
手が足りねぇか? ライバル≫
レオン
「この声は……、なっ!? グリモワールが光って……!」
レオンのグリモワールから溢れ出る凄まじい光はやがて人の形を成し、レオンの前に立つ。
その姿は以前、消滅しかけているところをグリモワールに封印した好敵手、グリム・レオンだった。
セイメイ
「あなたは……、礎になったはずの人形が何故?」
レオン
「……お前!? 消えたんじゃ……!」
グリム・レオン
「ハッ、オレたちを作った馬鹿野郎の最後の善意ってとこだ」
グリム・レオンの言葉を契機に、暁の賢者たちのグリモワールが次々と光を放ち始め、やがて多くの姿が立ち並ぶ。
シャロン
「あなたたちは……!!」
リエル
「エボルグリムのみなさん……!?」
暁の賢者たちの前に姿を現したエボルグリムたち。
彼らの姿は封印されたときのままだが、そこにかつての敵意は感じられなかった。
グリム・シャロン
「まったく不出来で困りますわねぇ、オリジナルは。
さぁ行きますわよ、リエル!」
グリム・リエル
「マスターよりはいささかマシかとは思いますが。
でも……はい、最後までしっかりとお世話させていただきます」
グリム・カイル
「はははははっ! ずいぶんと圧されているではないか!
仕方無い、我の力を貸してやろうッ!」
グリム・ユリ
「私のオリジナルはがさつで少々頼りないですからね」
カイル
「僕たちのグリモワールの形代が、瘴気を取り込んで彼らを形作ったんでしょうか!?」
ユリ
「うぉぉ、よく分かんないけど、すごい!」
グリム・タイガ
「キミたちだけでは勝つ確率はほぼゼロだ。
しかし、僕たちが力を貸すことによって……」
グリム・リック
「100%の勝利にしてやるぜ!
なぁ、オリジナル。 オレ様は勝つのも、ダチに勝たせるのも好きなんだぜ!」
リック
「お前……ッ」
タイガ
「あんな仲悪うしとったのに……どえらいことになってきよったわ!」
シャロン
「これはまるで、神の御業ですわね。 ……イナリさん?」
イナリ
「わたし、感じた……ご先祖様の力」
ルキア
「え? それってどういうこと?」
ムジナ
「ご先祖様は自分がいつか瘴気に堕ちてしまったときのため、
何らかの力を封じていたのでしょう」
イナリ
「これがご先祖様……セイメイ様の本当の願いなんだね」
アイコ
「まさか……敵ってことはないよね?」
マヤ
「それは無いみたいよ。 だって、ほら!」
グリム・マヤ
「アイコ! 最後のケンカだ! 気合入れていくよ!」
グリム・アイコ
「はぁーい。面倒だけどやるしかないよねー。
まぁ、マヤちんと一緒だし、たまには本気出すのもいいかもね」
グリム・クララ
「はいはーい、また会えたね〜(^▽^)
さぁ、はるるん、あーしたちも出遅れてらんないよー?」
グリム・ハルト
「次は絶対に力をコントロールしてみせる……
……って、ちょちょちょ、待ってよクララ!」
ハルト
「く……あの様子で大丈夫なのか? 俺のエボルグリムは」
クララ
「大丈夫だよ、きっと!」
ユウ
「えっと、力を貸してくれるんだよね?」
グリム・ユウ
「もちろんです! また会えて嬉しいです、お兄様♪」
ヤンヤン
「お前たちも助けてくれるアルか!?」
グリム・ヤンヤン
「報酬は高くついても構わないアルね?」
グリム・ラスク
「ま、ちょっとくらいはまけてやんなくもないけどな」
ラスク
「言ってくれるなぁ」
グリム・メディア
「さぁ、行きましょうか♪
私たちの力であのヒトを天国へ連れてってあ・げ・ま・しょ♪」
グリム・アロエ
「小悪魔カワイイあたしとメディアちゃんとマラリヤちゃんの力、
ありがたーく受け取ってねー☆」
グリム・マラリヤ
「ひぇ!? わ、わたし……このくくりなんですかぁ〜?」
メディア
「すごい……本当にすごいよ、お姉ちゃん!」
アロエ
「うん……あたしもなんだか嬉しくなってきちゃった!」
マラリヤ
「ベタな王道的展開。 まぁ悪いものではないわね」
セイメイ
「何故……何故……?
あなたたちは、わらわが創りし仮初の存在のはず……
それが自らの意思を持ったまま……」
グリム・サンダース
「ワシはワシじゃい!
それ以外の何モンでもないわぁぁッ!!」
グリム・ミュー
「そのとーりだー!
みゅうはいつでもぜんかいぱわー!」
ミュー
「わたしたちもどかーん、です」
サンダース
「確固たる自我の前には、小難しい理屈も霞むか。
フフ、頼もしいな」
セイメイ
「……意思を持ったのであれば、何故わらわに逆らうのです?
母なるこのわらわに……」
グリム・レオン
「わからねぇなら教えてやる。
アンタが正しくねぇからだよ、セイメイ」
セリオス
「心酔していた『あの御方』に、反旗を翻していいのか?」
グリム・セリオス
「笑止!
今のあの御方の行いが真なる願いでないと知ったからには、こうするのが私の忠義ッ!!」
「貴様に力を貸すというのはいささか思うところはあるがな!」
セリオス
「フッ、お互い様だ」
ルキア
「手なんて貸さないんじゃなかったっけ?」
グリム・ルキア
「忘れたねぇ。
つまらない事にこだわるのは、良い女じゃあないだろ?」
グリム・ルキア
「あたしらが一切合切のケリをつけてやろうじゃないか!
さぁいくよ、お前たちッ!」
レオン
「へへっ、こいつらが味方なのが、こんなに心強いなんてな」
イナリ
「レオン、これっ!」
レオンに向かってイナリが球状の物質を投げる。
レオン
「うぉっ! なんだ、これ……」
ムジナ
「体内の瘴気を変換させる術式を封じた珠です!
それをセイメイの身体に打ち込んでください!」
セリオス
「こちらは任せろ、レオン!」
グリム・セリオス
「そうだ、あの御方の役に立ってみせろ!」
シャロン
「サポートは万全ですわよ!」
グリム・シャロン
「しくじるんじゃありませんことよ!」
ルキア
「頼んだからねっ!」
グリム・ルキア
「やっちまいな、レオン!」
ヴァニィ
「わたくしたちの想いをのせてください!」
レオン
「よっしゃ! やろうぜ、ライバル!」
グリム・レオン
「ハッ! いいだろうライバルッ!!」
皆からのマナを受け、レオンとグリム・レオンは顔を見合わせる。
そして『反極珠』を打ち込むべくアヴェノセイメイへと、全ての力を込めて向かっていった。
レオン&グリム・レオン
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
セイメイ
「眩しい……眩しい……。 そんなものは、わらわには必要ない……
だから、止まれ……止まりなさい!」
レオン&グリム・レオン
「止まってたまるかよぉぉぉぉぉ!!」
『反極珠』をその身に受けたアヴェノセイメイは、瘴気がマナへと反転する際の光の奔流に飲まれていた。
セイメイ
「ああ……ああ……わらわが、溶けていく。
深く濁った心と身体が水流に飲み込まれたよう」
アヴェノセイメイにもう一人セイメイが寄り添う。
それは瘴気に蝕まれる前の、善なる心を持つかつてのセイメイだった。
善なるセイメイ
「あなたは消えるでしょう、もう一人のわらわ。
ですが、この世界が美しく保っていたことは、わらわだからこそ知っています」
消えかかるアヴェノセイメイの目に、地平線から姿を現す太陽と、その光に照らされ輝く街並が映る。
セイメイ
「美しい…愛しい……世界」
「そうですか……わらわが耐えてきた意味は……ちゃんと、あったのですね……」
善なるセイメイ
「……ありました。だから眠りなさい、わらわよ。
いつか、あなたの力が必要になるまで」
セイメイ
「ああ、そうですね……。
これは、あの時と違う……心地良いねむ――」
マナの光にアヴェノセイメイは消えた。
同時に先ほどまで禍々しい瘴気をまとっていた魔法樹にマナの光が灯る。
ムジナ
「魔法樹が輝きを……!
瘴気がマナに変換されたことで、本来の姿に戻ったのか……」
イナリ
「世界は救われたんだね、兄様!」
二人のレオンは瘴気が晴れ世界が輝きを取り戻していく様を眺めていた。
レオン
「へ……へっ、大勝利だぜ!」
グリム・レオン
「ハッ、ボロボロじゃねぇか」
レオン
「いいんだよ。
みんな笑顔で終われればな」
グリム・レオン
「……知ったことかよ」
▲BACK TO TOP
イナリ
「むぎゅう……」
本来の善の心に戻り、再びこの世界に顕現したアヴェノセイメイ。
先ほどから彼女に抱擁され続けていたイナリの小さなうめき声が響く。
イナリ
「あの、セイメイ様、そろそろ……」
セイメイ
「ふふ、良いではありませんか。
可愛い子孫を抱きしめるに勝る喜びなど無いのですよ」
グリム・レオン
「おい、セイメイ。 いい加減にしとけよ」
セイメイ
「あら、ごめんなさい」
グリム・レオンの制止に、アヴェノセイメイはようやくイナリを開放する。
セイメイ
「あなたもわが子には違いありませんものね。
さ、いらっしゃい」
グリム・レオン
「ちげぇよ。
オレらやオリジナルどもを呼びつけといて、何かあんならさっさと始めろってんだ」
セイメイ
「あらあら、そうでした」
その様子を見ていたルキアがムジナに小声で問いかける。
ルキア
「セイメイってあんな感じなんだ……?」
ムジナ
「正直なところ、僕も少々戸惑っています……」
セイメイ
「こほん、それでは……」
「あなたたちの力でこの世界は救われ、
わらわはもう一度、愛するこの世界に生まれることができました」
「色々と迷惑をかけましたね。
本当に感謝の念に耐えません。」
セリオス
「礼には及びません。
それが僕たちの任務です」
レオン
「まー確かにすげー大変だったけどな!」
セリオス
「レオン!」
セイメイ
「世界は再びマナで満ち、魔法が使えるようになりました」
「しかし、わらわが魔法樹を封じて以来、
人々は魔法も陰陽も無くこの世界を育んできました」
「それは、とても永き時。
もはや、それがこの世界の自然の有り様です」
「ゆえに、今ではむしろそれらが心無きことに使われぬよう、
我らはその守人となるべきと考えます」
グリム・レオン
「我らってのは……?」
セイメイ
「我が子孫のムジナ、イナリ……そして、あなたたちですよ」
笑顔で問いに答えるアヴェノセイメイに、グリム・レオンは半ば呆れ顔で返す。
グリム・レオン
「ハッ……クサビの次は世界の守人ねぇ」
「ついこないだまで瘴気バラ撒いてたようなオレらにそんなんつとまんのかよ?」
セイメイ
「少し話をしましょう。
永き封印の中で、わらわが瘴気に堕ちたとき……」
「全て染まり切る前に、我が子らにその善の意思を分割したのです」
シャロン
「エボルグリムの感情の根本は、その善の意思……ということですの?」
セイメイ
「その通りです。
わらわの意思は我が子らの人格を形作るきっかけとなりました」
「しかし、瘴気の身体では確かな善とはならなかった」
ムジナ
「エボルグリムの善悪にも個人差がかなりあったのは、それが原因でした。
戦ったみなさんならわかると思います」
リエル
「だから、エボルグリムのみなさんは……ああして苦しんでいたんですね」
イナリ
「その中でも、セイメイ様の意思が強く出ていたのが
レオンのエボルグリムだったんだって」
レオン
「なるほどな。 つまりこいつはいいヤツってことだな!」
グリム・レオン
「……知ったことかよ」
セイメイ
「もちろん他のみなも、わらわの大事な善き子らに異なりませんよ……
と、少し話が逸れてしまいましたね」
「この子らはマナを使った術はまだ不慣れ。
そこで、若き魔法使いのあなたたちにご助力いただきたいのです」
セリオス
「個人的には構いませんが、僕らはアカデミーの任で動いて……」
セリオスの懸念をさえぎるように、突然グリモワールへ連絡が入る。
ヴァルアドス校長
「結構!
魔法の先輩として、彼らを導きそなたらも共に学ぶが良い!」
セイメイ
「と、実はすでにヴァルアドス殿にも許可はいただいております」
シャロン
「よ、用意周到ですわね……。
校長先生がそうおっしゃるならば、わたくしたちに断る理由はありませんわ」
セイメイ
「感謝します。 よろしくお願いしますね」
ルキア
「みんなで魔法の勉強……それってなんかアカデミーみたいだね!」
イナリ
「ふふ、魔法学校かぁ……」
レオン
「へっ、面白いことになってきたな」
レオンはこれから共に魔法を学んでいく一同を見渡した。
レオン
「ライバル! 俺たちについてこれるか?」
エボルグリムたちの意思を代表するように、グリム・レオンがその問いかけに応える。
グリム・レオン
「ハッ……せいぜい追い越されないよう気をつけろよ!」
「むぎゅう……」
本来の善の心に戻り、再びこの世界に顕現したアヴェノセイメイ。
先ほどから彼女に抱擁され続けていたイナリの小さなうめき声が響く。
イナリ
「あの、セイメイ様、そろそろ……」
セイメイ
「ふふ、良いではありませんか。
可愛い子孫を抱きしめるに勝る喜びなど無いのですよ」
グリム・レオン
「おい、セイメイ。 いい加減にしとけよ」
セイメイ
「あら、ごめんなさい」
グリム・レオンの制止に、アヴェノセイメイはようやくイナリを開放する。
セイメイ
「あなたもわが子には違いありませんものね。
さ、いらっしゃい」
グリム・レオン
「ちげぇよ。
オレらやオリジナルどもを呼びつけといて、何かあんならさっさと始めろってんだ」
セイメイ
「あらあら、そうでした」
その様子を見ていたルキアがムジナに小声で問いかける。
ルキア
「セイメイってあんな感じなんだ……?」
ムジナ
「正直なところ、僕も少々戸惑っています……」
セイメイ
「こほん、それでは……」
「あなたたちの力でこの世界は救われ、
わらわはもう一度、愛するこの世界に生まれることができました」
「色々と迷惑をかけましたね。
本当に感謝の念に耐えません。」
セリオス
「礼には及びません。
それが僕たちの任務です」
レオン
「まー確かにすげー大変だったけどな!」
セリオス
「レオン!」
セイメイ
「世界は再びマナで満ち、魔法が使えるようになりました」
「しかし、わらわが魔法樹を封じて以来、
人々は魔法も陰陽も無くこの世界を育んできました」
「それは、とても永き時。
もはや、それがこの世界の自然の有り様です」
「ゆえに、今ではむしろそれらが心無きことに使われぬよう、
我らはその守人となるべきと考えます」
グリム・レオン
「我らってのは……?」
セイメイ
「我が子孫のムジナ、イナリ……そして、あなたたちですよ」
笑顔で問いに答えるアヴェノセイメイに、グリム・レオンは半ば呆れ顔で返す。
グリム・レオン
「ハッ……クサビの次は世界の守人ねぇ」
「ついこないだまで瘴気バラ撒いてたようなオレらにそんなんつとまんのかよ?」
セイメイ
「少し話をしましょう。
永き封印の中で、わらわが瘴気に堕ちたとき……」
「全て染まり切る前に、我が子らにその善の意思を分割したのです」
シャロン
「エボルグリムの感情の根本は、その善の意思……ということですの?」
セイメイ
「その通りです。
わらわの意思は我が子らの人格を形作るきっかけとなりました」
「しかし、瘴気の身体では確かな善とはならなかった」
ムジナ
「エボルグリムの善悪にも個人差がかなりあったのは、それが原因でした。
戦ったみなさんならわかると思います」
リエル
「だから、エボルグリムのみなさんは……ああして苦しんでいたんですね」
イナリ
「その中でも、セイメイ様の意思が強く出ていたのが
レオンのエボルグリムだったんだって」
レオン
「なるほどな。 つまりこいつはいいヤツってことだな!」
グリム・レオン
「……知ったことかよ」
セイメイ
「もちろん他のみなも、わらわの大事な善き子らに異なりませんよ……
と、少し話が逸れてしまいましたね」
「この子らはマナを使った術はまだ不慣れ。
そこで、若き魔法使いのあなたたちにご助力いただきたいのです」
セリオス
「個人的には構いませんが、僕らはアカデミーの任で動いて……」
セリオスの懸念をさえぎるように、突然グリモワールへ連絡が入る。
ヴァルアドス校長
「結構!
魔法の先輩として、彼らを導きそなたらも共に学ぶが良い!」
セイメイ
「と、実はすでにヴァルアドス殿にも許可はいただいております」
シャロン
「よ、用意周到ですわね……。
校長先生がそうおっしゃるならば、わたくしたちに断る理由はありませんわ」
セイメイ
「感謝します。 よろしくお願いしますね」
ルキア
「みんなで魔法の勉強……それってなんかアカデミーみたいだね!」
イナリ
「ふふ、魔法学校かぁ……」
レオン
「へっ、面白いことになってきたな」
レオンはこれから共に魔法を学んでいく一同を見渡した。
レオン
「ライバル! 俺たちについてこれるか?」
エボルグリムたちの意思を代表するように、グリム・レオンがその問いかけに応える。
グリム・レオン
「ハッ……せいぜい追い越されないよう気をつけろよ!」
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ヴァニィ | ふーむ、エボルグリム……! 私たちが初めてクサビを調査した時には 既にレオンさんのグリムが存在していました |
---|---|
ヴァニィ | すると、みなさんの姿が写し取られたのは わたしがこちらの世界に来られなかった 以前の騒動のときでしょうか……? |
マラリヤ | 話は聞かせてもらったわ |
ヴァニィ | わぁっ、マラリヤさん! |
マラリヤ | あなた、自分のエボルグリムがいないのが 気になっているのね |
ヴァニィ | あ、えと……はい、そうです。 いえ、別にいてほしいとか そういうわけではなく! |
マロン | 話は聞かせてもらったよ! |
ヴァニィ | ま、マロン先生!? どうしてこちらに!? |
マロン | それでは『第一回・ヴァニィちゃんの エボルグリムを考えよう』 はじまりはじまり〜!! |
マラリヤ | わーパチパチ。はい、あなたも拍手 |
ヴァニィ | え、あぁ失礼しました! パチパチパチ……………………って、 この会は何なのでしょうか!? |
マロン | さっき言った通りだよ。 さっそく、私の考えたグリム・ヴァニィちゃんを! はい、ドン! |
マラリヤ | あらあら、際どい恰好 |
マロン | ウサギはエロいからね |
ヴァニィ | ちょっとー! |
マラリヤ | 先生、気になることが |
マロン | はい、マラリヤちゃん |
マラリヤ | 今まで私たちが出会ったエボルグリムは 大体元の人物と反対の性格だったのだけれど |
ヴァニィ | 怖そうなマヤさん、カイルさん、 非常に活発なミューさんなどですね! |
マロン | 言いたいことはわかるよ、マラリヤちゃん。 なぜこのグリ・ヴァニは 騒がしそうなままなのかってことだね |
ヴァニィ | 騒がしい…… |
マロン | 聞いたところによると、そこのヴァニすけは 実況時とそうじゃない時で、 いろいろ違ったりするらしいじゃん? |
マラリヤ | そうね、言わばひとりエボルグリム |
ヴァニィ | ひどい! |
マロン | 違う性格にそれぞれ反対があるって もうわけわかんないよね |
マロン | となると、単に『悪ヴァニィ』の方が シンプルでよろしい |
マラリヤ | 成程、承知 |
マロン | てなわけで、大人しい方もこんな感じ |
マラリヤ | 際どい恰好は変わらないのね |
マロン | ウサギはエロいからね |
ヴァニィ | もしもーし! |
マラリヤ | 変身後の姿はどうなのかしら? 今までのは概ね動物型だったけど |
マロン | よくぞ聞いてくれた! |
マロン | ここはいっそロボ! |
ヴァニィ | ロボ! |
マロン | そして舞台は宇宙だ! |
ヴァニィ | 宇宙! |
マロン | ふうぅ、ざっとこんなところですわ |
ヴァニィ | あの、考えていただいたのは ありがたいのですが……なんというか、 実にカオスと申しましょうか…… |
マラリヤ | すごいでしょ、このひと。 日がな一日こんなことを考えて お給料もらってるのよ |
マロン | 照れるねぇ |
マラリヤ | まぁ冗談はさておき、 自分のエボルグリムなんて 居ないにこしたことないわ |
ヴァニィ | そうですね……! あんなのが襲ってきたら たまったものではありません! |
マロン | あんなのって言うなー! とはいえ、自分で考えておいて何だけど まぁ無いよね! |
マラリヤ | そうね……ふふふ |
ヴァニィ | ふわあぁぁぁっっ!! |
---|---|
マラリヤ | あら、おはよう |
ヴァニィ | え、えっと……! 私に! グリムで! 宇宙が! ロボの! |
マラリヤ | 落ち着きなさい。 はいメガネ。落ちてたわよ |
ヴァニィ | これはどうも……。 少々失礼いたします |
ヴァネッサ | ふう……。 あの…… メガネありがとうございました |
マラリヤ | どうしたのかしら、 随分うなされてたようだけど |
ヴァネッサ | えっと、みなさんが わたしのエボルグリムと戦って…… |
マラリヤ | あなたのエボルグリムなんていたかしら |
ヴァネッサ | いないんですけど……、あの、 それがこないだマロン先生が ここで考えてたのとおんなじで…… |
マラリヤ | おかしなことを言うわね。 マロン先生がこっちに いるはずないでしょう |
ヴァネッサ | あ……そうですね。 そうなんです……けど………… |
マラリヤ | 夢よ。ぜんぶ夢。 うふふふふ……………… |
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サンダース | また、この日が来たようだな |
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サンダース | その祝辞、ありがたく受け取ろう。 我輩はまた一つ、戦場にその証を 残したのである |
サンダース | なに、オーダイヴァで パーティをするだと? |
サンダース | 確かに我輩はオーダイヴァを 気に入っている |
サンダース | 特にあの女神の石像。 あれはなかなかに良いものだ |
サンダース | そういえばじっくりと見たことは なかったな…… |
サンダース | 良い機会だ。 ともに向かうとしよう! |
メディア | ねぇねぇ、今日が何の日か知ってる? |
---|---|
メディア | うふっ、正解! わたしの誕生日でしたっ! |
メディア | ごほうびに、この医療科謹製マスクを プレゼントするね |
メディア | え? わたしからプレゼントを 貰ったらダメ? |
メディア | あ、そっか! そうだったよね…… あら、好きなものを買ってくれるの? |
メディア | わぁ……! それじゃ、早速お買い物に行きましょ |
メディア | 何を買ってもらおっかなあ…… うふっ♪ |
リディア | あら、どうかしたの? |
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リディア | 誕生日……! そうだったわ。 あなた、覚えていてくれたのね |
リディア | とても嬉しいわ。 あ、そうだ……せっかくだから、 特別授業はどうかしら? |
リディア | 今日はいつもより、 もっと優しく教えてあげるわね |
リディア | え? 貰うなんて悪い? |
リディア | 大丈夫、お礼だから。 これであなたが優秀な教え子だったら、 もっと嬉しいんだけどね |
サツキ | 問題です。5月1日と言えば? |
---|---|
サツキ | ふふ、やっぱりわかるよね。 そう、私の誕生日でした |
サツキ | いきなりの連絡だから、少し驚いたわ |
サツキ | でも、わざわざありがとう。 お祝いしてくれて嬉しいわ |
サツキ | トーキョーで何かプレゼント? そうね…… |
サツキ | 映画館に興味があるかな。 こっちにはないものね |
サツキ | そうだ……落ち着いたら、 今度連れてってくれる? |
サツキ | ふふふ、冗談よ |
サツキ | 今回もたくさん大変なことが 起きるかもしれないけど頑張って。 応援してるから♪ |
校長 | わざわざ我の誕生日に連絡を 寄越すとは……殊勝な心掛けじゃな |
---|---|
校長 | なに、この歳になると一年なぞ あっという間に過ぎていく |
校長 | そういえば、この度は新聞部の者も ともにそちらへ向かったのだったな |
校長 | ふむ……どうだ? 役に立っておるかな? |
校長 | そなたたちとは違い、 別の場所に慣れんこともあるじゃろう。 よければ助けてやってほしい |
校長 | ……いや、過ぎたことを言ったな。 そなたたちからの吉報を待っておる |
ラスク | え? どこかに連れてってくれる? |
---|---|
ラスク | 突然どうしたのさ……ってそっか。 今日僕の誕生日じゃん! |
ラスク | そうとわかったら遠慮いらないよね。 どこにしようかなー…… よし、決めた! |
ラスク | ゲームセンターに行こう! |
ラスク | なんでゲームセンターかって? ふふーん、よくぞ聞いてくれました! |
ラスク | ゲームセンターってさ、 すっごくいっぱい硬貨があるんだよ! |
ラスク | 僕にとってのベストスポット…… なんだけど、一人で行くのは 禁止って言われて…… |
ラスク | でも、一緒なら大丈夫だよね! よーし、思いっきり楽しむぞ! |
マヤ | ええと……どうしたの? |
---|---|
マヤ | あ、今日ってわたしの誕生日…… |
マヤ | 今はトーキョーに来てるんだし、 無理に祝ってくれなくてもいいのよ? |
マヤ | でも、気持ちは嬉しい……かな |
マヤ | こういう時だからこそ、 小さな安らぎが必要なのかも…… |
マヤ | あ、その……なんでもないわ。 ……ありがとう |
クララ | 素敵なティーセット…… うれしい、 わたしの誕生日、覚えててくれたんだ |
---|---|
クララ | お祝いしてくれて、本当にありがとう。 今年はね、自分へのお祝いに いろいろ作ってみたの |
クララ | クッキーでしょ、プリンでしょ…… それから、パウンドケーキ! |
クララ | お菓子に囲まれてると、 なんだか幸せを感じるよね |
クララ | そうだ、あなたも一緒に食べない? |
クララ | 笑顔で食べている人を見てると、 私も笑顔になれるから |
ミュー | ……おー? どうしたの、トンちゃん? |
---|---|
ミュー | 誰か来てる……? あ……あなたでしたか |
ミュー | 買い物に行こう……ですか? 突然ですね。 そっちを見てほしい? はい |
ミュー | カレンダー……ですか? なるほど。私の誕生日でしたか |
ミュー | 特別な日のプレゼント、ですね。 ……わかりました、いきましょう |
ミュー | ふふ……なにを買ってもらおうか、 トンちゃん |
ウィーズ | なに? 私の誕生日を祝いに来た? また無駄なことに時間を割きおって…… |
---|---|
ウィーズ | いや……そうだな。 そこからでは満足に祝えまい |
ウィーズ | 約束するのだ。 無事に戻るとな |
ウィーズ | 祝いの言葉よりも、 その方がずっと良い |
ウィーズ | ではな、健闘を祈る |
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アイコ | にま〜〜…… ……って、わぁ!? |
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アイコ | 突然話かけないでよ…… びっくりしたぁ |
アイコ | ……ってなに、その箱? なんだか甘〜い匂いがするような…… |
アイコ | わぁ! チョコケーキ! わたし大好きなんだよね! |
アイコ | 誕生日って役得! でも今日はマヤちんも作ってくれてて…… |
アイコ | そうだ、イイコト考えた! はんぶんこしようよ! |
アイコ | 我ながらナイスアイディア! ウィンウィンってやつだよね! |
マラリヤ | よく来たわね。 私の誕生日を祝いに来たのでしょう。 知ってる知ってる |
---|---|
マラリヤ | 誕生日イベントといえば お出掛けなわけで。 早速、イーヴァラキ某所へ行きましょう |
ロケ地:イーヴァラキ | |
マラリヤ | はい、移動描写は省略 |
マラリヤ | ここいらで一番のバンジージャンプとやらを 試してみたかったのよ。 アカデミーにはそんな施設はなかったから |
マラリヤ | それじゃ、あなたが何回もつか 観察させてもらうわ。 ふふ……うふふふふ…… |
マラリヤ | あら、不服そう。 そうね、私も鬼でなし。 タダとは言わないわ |
チャットスタンプ:うれしー(マラリヤ) | |
マラリヤ | 御礼にこのチャットスタンプをあげるわ。 はい、3、2、1、バンジー |
マラリヤ | あら、ちょっと訂正。 さっきのチャットスタンプ、 無条件配布じゃなかったみたい |
マラリヤ | まぁ、このあとトーナメント・NEOか、 グリバス・EVOを頑張ってちょうだい |
タイガ | あーっちゃっちゃー! 今日はホンマあっついなー! |
---|---|
タイガ | こういうときはえーと、 せや、風を感じるんや! |
タイガ | こっちの世界の乗り物…… よっしゃあれや! バイク! |
タイガ | かなり気持ちええんやろなぁ…… |
タイガ | な、なんやて!? 誕生日プレゼントにくれるんか!? |
タイガ | ええんか!? あないな高いもん…… お古でええかって? OKに決まっとるわ! |
タイガ | よし、これで俺も風に……ん? |
タイガ | こっちやと免許がいるんかいな!? 今から取ると……一ヶ月後やとぉ!? |
タイガ | んなアホなぁー!? |
ガルーダ | わざわざ連絡を寄越した理由…… それが俺の誕生日を祝うためとはな! |
---|---|
ガルーダ | 真面目で結構! 嬉しいことをしてくれる |
ガルーダ | だが、武道の心得も忘れぬようにな |
ガルーダ | そちらにも数々の道場が あるのだろう? |
ガルーダ | せっかくだ、そこで一つ何かを 学び取るのも良いかもしれん! |
ガルーダ | その時は、戻ってきた時に 話を聞かせてくれよ? |
カイル | ああ、ありがとうございます。 僕の誕生日を祝いに来てくれるなんて |
---|---|
カイル | とても嬉しく思います。 これは……プレゼント? |
カイル | おお、野菜の種ですか! ちょうど家庭菜園を試作したところなんです |
カイル | さっそく埋めて、大事に育てます |
カイル | 美味しく育てますから、 是非一緒にいただきましょう! |
レオン | おっ、今日は賑やかだな。 なんかあるのか? |
---|---|
レオン | ……え、俺の誕生日? ああっ、そうだった。 すっかり忘れてたぜ! |
レオン | これ…… もしかして、祝ってくれんのか!? |
レオン | うわ、マジかよ! ありがとな、めっちゃくちゃ嬉しいぜ! |
レオン | よっし! 食いもんも山ほどあるし、 パーッとやるか |
レオン | お前も遠慮せずに 一緒に盛り上がろうぜ! |
フランシス | 君から連絡が来るころだと 思っていたよ |
---|---|
フランシス | 何も不思議なことじゃあない。 私の誕生日だからね。 それくらいの予想はついていたよ |
フランシス | 準備はできているんだ。 私の誕生日なのだから盛大に |
フランシス | ケーキは私が用意したものでね。 君にご馳走できないのがとても残念だ |
フランシス | あぁ、自分の誕生日は 自分でセッティングしているよ。 寂しい? 何をバカな |
フランシス | 特別な日だからこそ、 私に相応しい会にしなければいけない |
フランシス | しばらく付き合ってくれるかな。 通信越しでも誰かと祝うということは 嬉しいことだからね |
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アメリア | なになに、急に連絡してくるなんて。 なにか問題でもあったの? |
---|---|
アメリア | 誕生日おめでとう!? まさか、それを言うためにわざわざ! |
アメリア | うぅ、そちらだって大変なのに…… |
アメリア | ……えっ、通信だから プレゼントを渡せなくてごめん? |
アメリア | いいの、そんなのいらないわよ! おめでとうって、言ってくれただけで もう十分だから! |
アメリア | ありがとう! 今日のことは絶対に忘れないから |
ルキア | ねぇ、今日が何の日か知ってる? もちろん知ってるよね |
---|---|
ルキア | そう! わたしの誕生日でーす! 渡すものとかない? きっとあるよね! |
ルキア | やったー! プレゼントゲットー! ありがとう、大切にするよ! |
ルキア | 貰ったからには倍返し! あなたの誕生日には とっておきのものを贈っちゃうから |
ルキア | 楽しみに待っててね。 あなたに似合うものを選んであげるよ! |
リック | なんだ、渡したいものって。 受け取りはするが、どうしたんだ急に |
---|---|
リック | ああ、俺の誕生日か。 そうか、気にしてなかった |
リック | ……な、なんだろう。 改めて言われると照れくさいな |
リック | い、いや、受け取るぞ。 受け取らせてくれ! |
リック | おお、これはバンテージか。 ちょうど使っていたものがくたびれて いたところなんだ |
リック | これで更なる修行に励める。 次の機会に俺の力を見せてやるからな! |
ミランダ | どうしたの、 こんな遅い時間に連絡してくるなんて。 あら、私の誕生日? |
---|---|
ミランダ | 一番におめでとうを言いたかったって 嬉しいことしてくれるじゃない |
ミランダ | ふふ、ありがとう。 もちろん、あなたが一番最初よ |
ミランダ | じゃあ、一等賞のあなたに なにかご褒美をあげないとね |
ミランダ | うーん……そうだ! 新しいレジャー施設ができたから そこへ行きましょうか? |
ミランダ | プールなんかもあるから 色々いいものが見られるかも。 わたしの水着姿とか、ね |
ミランダ | こっちに戻ってきたら 一緒に行きましょう、約束ね |
シャロン | あら……どうしましたの? わたくしに何か? |
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シャロン | あら、わたくしの誕生日を 覚えてらしたのね |
シャロン | お祝いですか…… そうですわね。 せっかくですから、 ひとつお願いごとを |
シャロン | トーキョーには美味しい紅茶とケーキを いただける場所がたくさんありますわよね |
シャロン | あなたのオススメの場所で、 ご馳走していただけませんこと? |
シャロン | 値段や格式めいたものは気にしませんわ。 あなたが一番だと思うものでお願いします |
シャロン | ふふっ…… では、エスコートをお願いしますわね |
ユリ | お、ちょうどいいところに! |
---|---|
ユリ | 最近ちょっとなまりがちでさ、 特訓つきあってくれない? |
ユリ | そんなことでいいのか……って、 なんのこと? |
ユリ | あ……あー! そうだった! 今日わたし誕生日だった!? |
ユリ | んー、でもやっぱり特訓したい気分! ……それ以外? あとは…… |
ユリ | そうだ! 終わったあと、ご飯奢って! よしよし、特訓のあとが楽しみだね! |
ヴァネッサ | あ、ふ……。 ねむ…… |
---|---|
ヴァネッサ | す、すみません。 ど、どうも、こんにちわ |
ヴァネッサ | えと、トーキョーでの出来事を 色々まとめてたら、 つい夜更かしを…… |
ヴァネッサ | え……これ、もらっていいんですか? あ、栄養ドリンク! いわゆるポーションですね |
ヴァネッサ | 誕生日プレゼント……わたしの? え! 何で知ってるんですか? |
ヴァネッサ | あ、いや、もちろんありがたいんですけど! ちょっと、ビックリしちゃって…… |
ヴァネッサ | なかなかの取材力ですね……。 わたしも負けないように 頑張らなくちゃ……! |
ヤンヤン | おー、いたアルいたアル。 ちょうど探してたアルよ〜 |
---|---|
ヤンヤン | 面子が足りなかったんで困ってたヨ。 何って、麻雀に決まってるアル |
ヤンヤン | あ、そうそう。 今日はワタシの誕生日アルが…… |
ヤンヤン | ご祝儀とか、そんなつもりで 打つ必要はないアルよ。 いつでも真剣勝負、頼むアル |
ヤンヤン | ……もう一度言っておくネ。 今日は、ワタシの誕生日アル |
ヤンヤン | 分かったら、ささ、行くアルよ〜 |
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アロエ | あけましておめでとう! あれ……どうしたの? 誰か待ってるとか? |
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アロエ | あ、あたしを待ってたの!? ごめんね…… |
アロエ | 誕生日プレゼントくれるの!? わぁ、ありがとうっ! |
アロエ | これ、あけちゃっていい? |
アロエ | わぁ、黒猫のブローチ…… とっても可愛い! |
アロエ | えへへ、ありがとう。 今日はもっともっと いいことがありそう! |
ハルト | 貴様、今日がどんな日であるか 理解しているか? |
---|---|
ハルト | ふはは、ふはははは! 知らぬなら教えてやろうっ! |
ハルト | 今日は俺がこの世に生を受けた、 運命の日! さぁ、祝うがいい! |
ハルト | なに? 俺に献上する物があるだと? ふっ、いい心がけだな |
ハルト | こ、これは!? 最近発売されたばかりのボードゲーム! 馬鹿な、入手困難だったはず!? |
ハルト | な、なかなかの物だ、礼を言おう! |
ハルト | ……よ、よし! 帰ってすぐにでも開封し、 テストプレイを………… ムッ? |
ハルト | そうだな……貴様も付き合え! この俺の降臨を祝う宴だ。 当然だろう? |
エリーザ | 今年も私の誕生日を祝ってくれるのね。 どうもありがとう |
---|---|
エリーザ | そちらも大変でしょうに。 その間を縫って連絡をくれるなんて、 嬉しいことだわ |
エリーザ | あなたたちは、まだ若いのに 本当にいろいろな体験をしてると思う |
エリーザ | まだ実感できないかもしれないけれど、 それは財産よ。間違いなくね |
エリーザ | 思い出はいつか必ずあなたを助ける。 それを覚えておいて |
セリオス | なんだ、落ち着かない様子だな。 何かあったのか? |
---|---|
セリオス | プレゼント? これを……僕に? |
セリオス | なるほど、今日は僕の誕生日だったな。 わざわざ用意してくれたのか。 すまないな、ありがとう |
セリオス | これは、十字架のアクセサリー? 僕はあまりこういうものは…… |
セリオス | いや、また吸血鬼まがいのものに 襲われないとは限らないからな。 ありがたく使わせてもらおう |
セリオス | 貰ってばかりでは悪い気がするな…… 君のときにも何か用意するのを約束しよう |
おいーッス…… ……声が小さい? おいーッス! | |
マロン | あぁ、直った。 ごめんね、 なんか通信装置の調子が悪くて。 で、なんだったかな? |
---|---|
マロン | おー、わたしの誕生日を 祝ってくれるんだ! そりゃ、ありがとー! |
マロン | いやぁ、私も教師の端くれだからね。 かわいい生徒からの祝福は 嬉しいもんなんだよ! |
マロン | うん、うん、 本当の愛はここにあ(イエー |
…………………………………… |
ユウ | もしかしてこれ、誕生日プレゼント!? ありがとう、嬉しいよ |
---|---|
ユウ | 何かの入れ物かな? ……わぁ、星のキャンディがたくさん! |
ユウ | まるで星の海みたいだね…… |
ユウ | 綺麗すぎて、思わず見入っちゃったよ。 こんな素敵なプレゼントをくれてありがとう |
ユウ | え? こういうキャンディが たくさん売ってるお店があるの!? |
ユウ | せっかくだからそっちも教えてよ。 時間ができたら、一緒に行こうね |
リエル | あっちをやったら、次はこっちを…… 今日はやることがたくさんあり過ぎます〜 |
---|---|
リエル | え? 手伝ってくれるんですか? あ、ありがとうございます! |
リエル | 誕生日くらいはゆっくりしてほしい……? あわわ! すみません、お気を遣わせて! |
リエル | でも、そうですね……。 二人でお仕事するのも、 案外楽しいかもしれません |
リエル | このあと……? はい、大丈夫ですけど…… パーティーのお誘い……ですか? |
リエル | えぇっ、プレゼントまで!? いたれりつくせりですね……。 不思議な感じです |
リエル | えっと、その……普段はおもてなしする側で、 される側というのは、なんだか新鮮で…… |
リエル | でも、とっても嬉しいです! 楽しみにしています! |
リエル | ぶんぶん、まだ喜ぶのは早いです! まずはお仕事を終わらせてからですね! ふふふ♪ |
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