QMA1 / QMA2 / QMA3 / QMA4 / QMA5 / QMA6 / QMA7 / QMA8 / 賢者の扉 / 天の学舎 / 暁の鐘
トーキョーグリモワール / THE WORLD EVOLVE / MAXIVCORD / 軌跡の交叉
QMADS / QMADS2 / ロストファンタリウム
クイズマジックアカデミー6
QUIZ MAGIC ACADEMY VI
QUIZ MAGIC ACADEMY VI Extra
稼働日:2009年3月11日
稼働日 (Extra):2009年7月27日
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「はぁっ、はぁっ、ぜーっ、ぜーっ くっそー!やっちまったぜ!!」 誰かが息を切らして走っているようだ。 「まさか、こんな日に寝坊しちまうなんて! このレオン、一生の不覚!!」 走っているのはレオンであった。 急いでどこかを目指しているようだ。 すると突然、レオンの後ろで何かが光り、 辺りに音が響き渡った。 「な?なんだ? 雷か?」 だが、レオンは足を止めることなく走り続けた。 「んなモンに気を取られてる場合じゃねぇ! 急げ急げーっ!!」 「入学試験もギリギリだったってのに 初日から遅刻じゃ、さすがにヤバイぜ!」 「なっ?またか!? …って!?、何だありゃあっ!?」 レオンの後方が再び光った後、 そこに何か光る物体が現れ、 奇妙な動きをさせながらレオンを追ってきた。 「げげっ!?何なんだ!こいつ!? ついてくんなぁっ!」 するとその光る物体が、突然何かを言い始めた。 「『ちょっかいを出す』という 言葉の語源となったのはクマの動作である… 〇か?×か?」 何かの問題文のようだったが、 レオンは構わずそのまま走り続ける。 「何でこんな時に そんなモン答えなきゃならねえんだ!!」 そう言い放つレオンに向かって、いきなり稲妻が放たれた。 「うおっ!?あっぶねえーっ!!」 間一髪の所でかわすと、謎の物体が喋り出した。 「答えられないなら、その先に進んでも無駄だ、 あきらめて引き返せ…」 そして再び問題を読み始めるが、 レオンが答えずにいると、 その攻撃はいつまでも続いた。 「んなモン知るかーっ!! そういう事はこれから覚えるんだ!! だから邪魔するんじゃねえ!!」 レオンが反論すると 謎の物体は、バカにするような口ぶりで話し始めた。 「その程度で、よくあのアカデミーに入れたものだ。 それでもあの大賢者の息子なのか?」 そういわれたレオンは急に足を止めると 鋭い目つきになって言い返す。 「てってめぇっ…! 俺が一番嫌いな言葉を言いやがったなっ!!」 「なら俺のやり方!! 俺の必殺技を見せてやる!!」 そう言い放ったレオンは、ブツブツ言いながら 掌で何かを数えるような動きを見せたかと思うと、 ビシッと指を突き出し答えた。 「へっ…、答えは”×”だっっ!!」 「グワッハーーーーーーッ!!!!」 レオンの答えは正解であったようで、 謎の物体は叫ぶと同時に消えてしまった。 「どうだ!! これが俺の必殺”ヤマカン”だ!!」 得意げになっていたレオンだったが! ふとある事を疑問に感じた。 「…ん?そういや何であんな奴が、 俺の親父が大賢者って知ってたんだ?」 しばしの間、そんな事を考えていたが 奥にある建物の存在に気が付くと すぐに重要な事を思い出したようだ。 「おおっといけねぇ! ったくこんな時だってのに!」 そして目前に見えた建物に向かってレオンは 再び駆けだしていった。 「ふっ、レオンよ… 相変わらず”運”は良いようだな。」 「だが、それだけではあのアカデミーでは やっていけまい…。」 「お前のそのしぶとい根性でどこまでやれるのか… 正直、楽しみになってきたぞ。」 「…精進するがいい。」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「真実は、何なのか…」 何もない空間にセリオスの姿が浮かび、 頭の中に直接入ってくるような声が聞こえた。 「噂とは、恐ろしいものだ。」 「人から人へと言葉が伝わる中で、 時として事実とは異なるものに変わることがある。」 「間違ったままの情報を受け入れ、 何ら疑問を感じず鵜呑みにしてしまう事ほど 恐ろしいことは無い。」 「勘違い、誤解、偏見、嘘…。」 「間違った情報というものは、故意であっても、 故意でなくても、容易く生まれるものだ。」 「正しい情報、真実を知る為には、 そこに辿り着く為の知識と知恵が必要であり、 それは決して容易な事では無い。」 「この世の全ての真実を知りたいからこそ、 僕は賢者を目指している。」 「そうだ、噂と言えば…。」 「最近、僕の正体がアンドロイドだという 訳の分からない噂があった。」 「何故そんな噂が流れたのか…」 「あれは二月半ほど前だったか… 僕は購買部に立ち寄った。」 「この学校の購買部は、実用的な物から 用途不明…というより、何故それがあるのか 理解できぬ物まで多く取り揃えられている。」 「そして、ある物が僕の目に止まり 不思議とそれに興味が湧いた。」 「僕は興味を持った事に対して、 徹底的に調べないと気が済まない」 「ほう、新入荷の商品なのか」 セリオスは手にしたアイテムの説明を読み始める。 「どうやらこの商品は、 耳の位置に取り付けて使う物らしいな」 商品の中から試着用と書かれた物を手に取り、 説明書通りに装備してみる。 「ふむ、こんな感じか…」 そしてしばらくの間、セリオスは 備え付けられている鏡で自分の姿を見ていた。 すると、購買部前の通路までやってきた二人の生徒が セリオスの存在に気付き慌てて角に隠れた。 「おっおい!ルキア!あれって…!」 「もうレオン!何なのよ!急に人をひっぱって! …あれ?セリオスじゃない?」 二人は角から顔をのぞかせて、ひそひそと話す。 「よく見ろよ!あの耳の部分!」 「何あれ? なんであんな物付けてるんだろ…?」 すると、確信めいた口調でレオンが語り出す。 「やっぱり、あいつアンドロイドだったんだ! きっとああやって何かと通信してるんだぜ!」 「しかも見ろ!あのクールな無表情! どんな時も感情を表さない冷徹さ! どんなギャグでも笑わない非情さ!」 「アンドロイドに決まっている!」 ルキアもそれに納得してしまい、意見を述べた。 「じゃあやっぱり、どこかに秘密の工場とかが あったりするんじゃない?」 「探しに行ってみようよ!」 そして二人はその場から離れた。 一方セリオスは、 その商品を持ってレジの前に向かった。 「気に入った、購入しよう」 「今となってはもう落ち着いたようだが、 あの商品を購入した翌日から、一部の生徒から 怪しげな目で見られる事が続いた。」 「同じ物を買った者は、他にも何人かいたようだが 僕の事以外でそんな噂を聞いた覚えはない。」 「実際アンドロイドがこのアカデミーにいたのは 事実のようだったが…、それは僕ではない!」 「冷静に考え、いずれ事実を突き止めてみせる…」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 何もない空間にカイルの姿が浮かび、 頭の中に直接入ってくるような声が聞こえた。 「うー、な、何ですか、貴方は…?」 こちらに気が付いたのだろうか、 ここにはカイル以外は見あたらない。 「ククククッ…我こそは世界を手に入れる者…」 突然いつもとは違う口調でカイルが話す。 「いけませんね、 もっと野菜も食べてください」 「まだ… まだこの力を受け入れぬのかあぁっ…!?」 カイルは何故か一人で 意味の分からない会話をしていた。 「ん…?う、うーんっ、 おや、つい居眠りをしてしまいました」 どうやら今までのは寝言だったようである。 「それにしても、また変な夢を見てしまいました。」 「あれは、数年前にあった事のようだったなぁ。」 「僕はある街のはずれにある森の中で、 そこに不法投棄されていたゴミを片付けていました。」 「そしてそこで、 不思議な眼鏡を見つけたんです…」 カイルは自分の眼鏡を外して、 その眼鏡をかけてみる事にした。 「うーん、僕には合わないみたいですが 使えないことはなさそうですね」 そう言ってその眼鏡を外そうとした瞬間、 その眼鏡が突然光りを放ち始めた。 「クックック… ふははははははははははははははっっ!!」 カイルの様子が急変し、高らかに笑い声をあげた。 「ふっふっふ、よくぞ我を見つけ …そして身に付けてくれた。」 「こんな物に封じられていたが… おかげでそれを解くことも容易い事であった!!」 「しかも、この体… なかなか将来への見込みがある。」 「この触媒が持つ魔力を引き延ばし、 我の力を開放することが出来れば それは驚異的なものになるであろう!」 カイルはその眼鏡に封じられた邪悪な者に 呪われてしまったようである。 「さぁ、この体の主よ! 我を受け入れるのだ、そして世界を手に入れよ!!」 「お断りです」 「なッ!?なにぃッ!?」 「そんな事をしては 人を傷つけることになってしまいます」 「こっ!こいつッ!! 我に心を動かされぬとは!? 真の善人だとでも言うのかあぁぁぁっっ!?」 いつもの口調と、それとは異なる口調のカイルが 一人で会話をしていた。 「ふっ…ふふっ、まぁ良い…。 …今はまだいい。 我はもうお前の体に憑いたのだ!」 「いつかお前が感情を剥き出し、 自分を見失った時…」 「その時こそ、我の力は解放されるだろう…!」 強い光が放たれると、カイルはその場に倒れた。 しかしすぐに顔をあげ、 呆けた表情でつぶやいた。 「はて…、僕は今まで何を…?」 「うーん…、 そうです… やはり野菜は無農薬の物が…」 「はっ!いけません、また寝てしまいました。」 「それにしてもあの夢…、 いつも眼鏡をかけた後が思い出せない…」 「そういえば、 このアカデミーに入る前の何ヶ月かの間の事も 曖昧な記憶しかないんですよね。」 「僕の過去に何があったのかを考えると… ちょっと不安もありますが…」 「過去を詮索するより、 これからの事の方が大事です。」 「そのためにも賢者を目指して、 精進して行きましょう」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 何もない空間にラスクの姿が浮かび、 頭の中に直接入ってくるような声が聞こえた。 「僕は早く賢者になりたくって、 猛勉強してアカデミーに飛び級で入学することを 思いついたんだ。」 「猛勉強するために、 家庭教師もつけてもらったんだけど…」 「よく分からない理由で 先生に怒られちゃったことがあったんだよなぁ。」 どこからか声が聞こえる。 「それじゃあ次の問題いってみましょうか」 「は、はい…」 視界が戻ると目の前に、 ラスクと一人の女性の姿が現れた。 二人からこちらの事は見えていないのか、 特に反応は無いようだ。 女性の方はどうやら家庭教師のようで ラスクに勉強を教えている。 「そう言えばラスク君、マジックアカデミーへの入学 考えてるんだってね」 「は、はい…」 「ラスク君、勉強はできるし覚えるのも早いから きっと余裕で飛び級入学できちゃうわよ」 「は、はあ…」 家庭教師がラスクに話しかけているが ラスクはどこか上の空で生返事を繰り返している。 「もう、さっきから気のない返事ばかりね。 …ん?」 ラスクの視線が自分の胸元に向いていることに 気付いた彼女は、悪戯っぽく笑う表情で顔を近づけた。 「ちょっと!ラスク君!?どこ見てるのよっ」 「え…? わあああっ!!ご、ごめんなさいっ!!」 我に返ったラスクは慌てふためき、言い訳をする。 「その…先生の、すごいなぁって…」 そう言われた家庭教師は、少し顔を赤らめて 困ったような嬉しいような反応を見せた。 「もうっ、やだわこの子ったら! お・ま・せ・さ・んっ!」 だが、ラスクはその言葉には反応せず 真顔で問いかけた。 「先生のそれ、いくらなんですか!?」 「は!?」 家庭教師の動きが止まった。 品定めでもするようなポーズに真剣な目つきの ラスクは彼女の胸元を凝視しながら言葉を続けた。 「結構おっきいし、高いよねーきっと! で、いくら?」 家庭教師は肩をふるわせ、持っていた参考書を机に ばんっ!と叩きつけて、言い放った。 「まあ!この子ったら!? 子供のくせになんて事考えてるんでしょう!」 そう言われたラスクは少しだけ驚いて言葉を返す。 「あれ?聞いちゃまずかった?」 そう言われた家庭教師は、顔を真っ赤にして 呆れたような怒ったような反応を見せた。 「もう!そんな子はおしおきです!」 ラスクは頬をつねられた。 「いてててててっ!何すんだよ先生!」 「それにしても、 あの時なんで先生あんなに怒ったのかなあ…?」 「女の人って何考えてるか、分かんないや。」 「あっ!もしかして、あれ本当はガラス玉で 安物だったんじゃ!?」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 視界が戻ると、周囲に煙がもうもうと広がっていた。 ダダダダダッ!!! 「ぐわあああああっっ!!」 ズドオォォォォンッ!!! 「シーットォォォォ!!」 すさまじい爆音と怒号、銃声があたりに響き渡っている。 「おのれ!!これでも喰らえ!!」 ダダダダダッ!!! 傷だらけになった軍人を抱えた男が 銃を打ち鳴らしていた。 男は辺りを見回し、誰も居ないことを確認すると 抱えていた者をその場に下ろした。 「はあっ…はあっ…くそっ! 少数部隊との接触と言ってたのにッ! 俺たちを囮にさせやがったな!」 大きな傷を負った者が声を荒げる。 「言葉を慎め、ズッキーニ」 対してもう一人は冷静な口調でたしなめた。 しかしその相手の怒りはおさまらない。 「ガッデム! 俺たちはもう終わりだ! こうなったら…!」 すると傷を負った者は、 首にかけていたロケットを手に取り蓋を開けて 語り始めた。 「見てくれ、俺の娘だ。 この作戦が終わる頃に、6つになる。 帰ったら…」 「やめろ、それ以上言う必要は無い。 我々は生きて帰る」 もう一人が再び冷静な口調で言葉をさえぎる。 「しかし!ここをどう切り抜けるというんだ!?」 その問いに男は不敵な笑みを浮かべ応える。 「知れた事!あの部隊を殲滅するまで! お前はここで待つがいい」 「ま、待て! いくらなんでもそれは無謀だ!」 「ふっ、我にかかればあの程度の部隊など 恰好の標的!! なあに、すぐに終えてやろう」 そしてその男はその場から駆け出した。 「うおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」 「サンダァァーース!!!」 「そして、我が輩は敵部隊を殲滅しあの危機を 切り抜けたのだ。」 「如何なる危機からも生還を繰り返してきた 我が輩にある指令が下された。」 「それこそが、我が輩がここにいる理由なのだ!」 「軍の中には魔法というものに嫌悪感を抱き この指令内容を揶揄する者も少なくは無い…。」 「だが!我が輩が帰還した暁には このサンダースによって ”紫電一閃”の意味を体感することであろう!!」 「ぐわっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「せやから、”西”でも”ミナミ”でもいっしょや! そっから来たっちゅうとんねん!」 何もない空間にタイガの姿が浮かび、 頭の中に直接入ってくるような声が聞こえた。 「ったく…、 ホンマこの学校は噂話が好きな奴が多いわ。」 「俺がどっから来たなんてどうでもええ事やろ。」 「あ、そう言うたものの… サンちゃんはどこから来たんかは 俺も気になるわ…。」 「ただの軍人気取りなんか…、 それともマジで海軍か何かから送り込まれたんか…。 何でこの学校へ転校してきたんやろ…?」 「ま、そんなモン考えてもしゃあないわ。 人それぞれやちゅうねん。」 「俺がここに来たんは… まあ、賢者になるっちゅうのもあるんやけど…」 「その昔、ちゅうほど昔でも無いか。 前におった学校での話や。」 俺はある男に呼び出されて、 人っ子一人おらへん場所に行ったんや。 で、その場所着いたら、 いきなり何百人もの野郎どもが囲んできよった。 そんで、そん中で一番偉そうにしとった奴が 俺の前に出てきて言うたんや… 「へっへっへ、タイガさんよ… アンタ、ものごっつ強いっちゅう噂やな。」 「アンタを呼んだんは他でもあらへん。 オレらの仲間に入らへんか? そうしたらここら一帯、好きなようにできるでぇ」 そんなモンに何も興味無い俺は、 そいつに向かって屁ぇかましてやったわ。 ほしたらそいつ、 顔真っ赤にしてキレよったわ。 「てっ…てめえええぇぇぇっ!! なめとんのか!?ごるあああぁぁぁっ!!! おおお、おまぃらぁっ!!やっちめえぇぇっ!!!」 そいつが声をかけた途端、 周りにおった奴らが飛びかかって来よった。 俺も腕っぷしには自信あったんやけど、 流石に相手が多すぎてな… つい、俺はやってもうた。 俺は魔法を使って、 そいつらをまとめて片付けたった。 そんで、さっきの奴が 這いつくばりながら言いよったわ。 「ぐぐっ…な、何や今の…!? ま、まさか!?」 「”ミナミの魔術士”ちゅうのは… お前やった…んかい…っ!」 人のことをけったいなあだ名で呼びやがって そのまんまぶっ倒れよった。 んで、俺もそいつに言ったったわ。 「喧嘩っちゅうもんは よう考えてから売ってこいや」 …てな感じでキメてたのも束の間やったわ。 すぐに警察のモンがやってきよって、 俺はその場で捕まってもうた…。 魔法を使った理由はどうあれ、 あんだけの人数をあんな目にあわせたんや。 俺は退学っちゅう事になった。 せやけど、それを言い渡された俺の前に、 突然一人の爺さんがやってきたんや。 「お主、その魔力を活かしてみぬか?」 「そんな感じで俺はこのアカデミーに来たわけや。」 「なんや聞いた話やと、 賢者になったらごっつい儲かるらしいわ。」 「ほしたら…、 俺の欲しかったあの単車も車も…」 「うっひょーっ! 俺のエンジンがフルスロットルじゃいー!」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 視界が戻りはじめるとそこにうっすらと どこかの部屋が映し出されるように見えた。 誰かがベッドの上で寝ている。 本を読んだまま寝てしまったのだろうか、 頭の近くにある一冊の本が ページを開いたままになっていた。 「う…ん…、や…たぁ〜ごーかくぅ…」 寝言が聞こえると同時に、 その声の主は寝返りをうった。 するとその微かな振動で 本はパラパラと音を立て始め、パタンと閉じた。 「…ん? あっ…いけない…寝ちゃってたんだぁ…」 まだ眠そうな目をこすった後、 体をうーんっと伸ばして眠気を断ち切る。 ユウは寝そべったままで、 枕の代わりになりかけていた本を手に取って開いた。 その本は、 アカデミーで使用されている教科書であった。 「あれ?ここにも絵が描いてある。 この絵は…、リエルさんだ!」 「お姉ちゃん、教科書にこんな落書きしてても 賢者になって先生にまでなっちゃうんだから やっぱりすごいなぁ。」 「あと一ヶ月くらいで、初めての授業なんだよね。 見てみたいなぁ…」 そうつぶやくと、 ユウは目を閉じてその姿を思い始めたようだ。 そして目元から涙がぽつんとこぼれたが すぐにふるふると頭を振り、目元をこする。 「だめだよ… お姉ちゃんがいなくても大丈夫だって、 一人でもやれるって約束したんだから…。」 「でも、お姉ちゃんが置いていったこの教科書見てると なんだか不思議な気分がするよ。」 「何て言うか…お姉ちゃんが横に居て 勉強を教えてくれているみたいで…。」 「でもここに載っている問題… まだ学校でも習ってない事ばかりで、 僕には分かんないよね。」 「えーと… 『太陽系の惑星のなかで自転の方向が唯一異なるのは 木星である』…〇か?×か?」 「答えは×だよね、違うのは金星だよ!」 そう言うと少し経ってから ユウは自分の口から出た言葉に気付き、 キョトンとした顔で目をぱちくりさせた。 「…あれ?なんでそんなこと知ってるんだろ?」 ページをめくって答えを確認すると 正解であったようだ。 そしてさらにページをめくり、別の問題を読み始める。 「これは…”ズッキーニ”かなぁ? 何となくそんな気がするよ。 えーと正解はー…」 「あっ!?合ってるよ!? でも、偶然だよね…。」 「じゃあ今度はもっと難しそうなのを…」 そして、数分の時間が過ぎた。 「また、合ってるよ…!? この問題も!この問題も!」 「わかる! わかるよ!! わかっちゃうよ!!」 なぜ自分に問題が解けるのか疑問に思うのも忘れ、 ユウは夢中になって教科書の問題を解いていった。 「はじめの方の問題は答えられたけど… やっぱり魔導士クラス以上のは分かんないや。」 「でも、あれだけできたらアカデミーの入試も できちゃうかなあ…。」 「そういえば、 僕より年下の子が飛び級で入学してるって、 お姉ちゃんが言ってたっけ」 そしてしばらく考え込むと、 何かを決意したような表情になってつぶやいた。 「…行ってみようかな、 マジックアカデミーに…」 「そして僕は、 マジックアカデミーの補欠入試を受けて 無事合格できたんだ。」 「入学の日に、校門までお姉ちゃんとリエルさんが 迎えに来てくれていたんだけど…」 「お姉ちゃんは怒っているような顔をしてるし、 リエルさんは怯えるような顔で、 お姉ちゃんの後ろから僕のことを見ていたんだ。」 「こっそりと入試を受けたこと、怒ってるんだ… って思ったんだけど。」 「二人ともいきなり僕に抱きつくと わんわんと声をあげて泣き始めちゃった。」 「泣くのをガマンしてあんな顔に なっちゃってたみたい。」 「それから嬉しいことに、僕もリエルさんも お姉ちゃんのクラスだってことが分かったんだ。」 「なんでリエルさんも?って思ったけど 細かいことはまた今度って言われちゃった。」 「で、その時に新米の先生に二人からあることを お願いしたんだ。」 「『特別扱いしないで』って。」 「思ったとおり、お姉ちゃんは困った顔になったけど 一人で何かブツブツと言った後 とりあえず納得した顔になって、こう言ったんだ。」 「お…、おしおきのときは… か、かくごするのよっ!」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「やれやれ、今日の授業も終わったー」 何もない空間にルキアの姿が浮かび、 頭の中に直接入ってくるような声が聞こえた。 「それにしても、次から次へといろんな問題が 増えてきちゃって覚えるのも大変よねぇ…。」 「私、なんでこんな苦労してんだろ…。 どうして賢者になろうなんて考えちゃったのかなぁ。」 「賢者…、けんじゃ…、KENJYA…」 「はっ!私ってば何考えてんの!? そうじゃなくって!」 「あれは何年前のことだったかなぁ…」 一人で近所を歩いていた時、 ふと一本の木が目に付いちゃったの。 別になんてことない普通の木だったんだけど ついその木を登り始めちゃって…。 ちょっとだけ登ってみたつもりで、 ふと下を見てみたら大変なことになってたの。 「えええええええええええええええええっ!?」 「なっ、なんでえっ!? いつのまにこんなにのぼってたのぉ!?」 いつの間にか、 私はもの凄い高さの所まで登っちゃってたの。 「うっ、うう…、どうしよう…。 おっこちちゃったら…」 降りようとしても手は汗で滑りそうだし、 下を見ちゃうとあまりの高さに目がくらみそうだし…。 「そ、そうだ! たかいとおもうからこわいんだよ!」 「えーと、わたしはいま、 とてもたかいところにいるようにみえるけど ちょっとまって!」 「あそこにみえる、やまをみてみよう!」 「あのやまとくらべてみると、たいしてたかくない。 ひくくかんじる。」 「そう! いまわたしはとてもひくいところにいるんだ!」 「おおお!なんだかそのきになってきたー!」 「えへへっ、 わたしってじつはちょうあたまいいよね!」 なんて”バカ”なこと言ってたら 突然足元の枝が折れちゃって、 両手でしがみつくだけの体勢になっちゃったの。 「ひゃわぁっっ!?」 もう私はそこで泣き叫ぶしかなかった。 「うわああああんっっ! こんなとこからじゃ、おりられないよぅ!」 そして、ついに体力の限界が来たその時… 「きゃああああああああああああああっっ!」 そっと目を開くと私は空を飛んでいた。 「あ、あれ?おっこちてない? とんでるー!わたし、とんじゃってる!」 と言っても、自分の力で飛んでいたんじゃなくて 知らない男の人に抱きかかえられていたの。 「大丈夫かい?お嬢さん」 ふと顔をあげると、 素敵な人が私に優しく微笑みかけていた。 「あの木には、早く実をつけさせるために もの凄い早さで成長させる魔法がかけられていてね。」 「君が登ってるうちに 木が大きくなってしまったんだろう」 そしてあっという間に地上まで私を運ぶと、 そっとそこへ降ろしてくれた。 「あの、たすけてくれてありがとう。 えっと、あなたは…」 「ふっ、名乗るほどでもない 新しいほうきを試して飛んでいただけの のんきな大賢者さ」 「けんじゃ…?」 「おっと、先を急ぐんだ。 これで失礼するよ」 「えっ!?あ、あの!」 「君も賢者になれば また会うことがあるかもしれないな!」 「ああっ!待ってぇ!」 「…と、まあ、そんな事があったのよね。」 「あれから、賢者を目指すようになって このアカデミーに来たんだっけ…。」 「まあ、入学試験はぎりぎりだったけど。」 「でもあの後、空を飛ぶ気持ちよさが分かって ほうきで飛ぶ魔法は真っ先に身に付けたもんね!」 「そうよ!その感じで勉強もやれば、 すぐに身に付くはずよ!」 「えーと、だからあの問題も難しいと考えると 分からなくなっちゃうから…」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「お茶が入りましたよ、シャロンお嬢様」 「あら、ありがとうリエルさん」 光が消えるとそこに、 立派そうな屋敷の部屋でくつろぐ一人の少女と、 若いメイドの姿が見えた。 二人の会話からしてこちらの姿は 見えてないようである。 メイドが丁寧な手つきで紅茶を注ぎ、 少女がそのティーカップを手に取ると まずは香りを味わう。 「良い香りのお茶ね。」 「えーと、これはあれですわね、アレ」 「はい、最高級のダージリンでございますよ」 「そ、そうそう、ダージリン。 この甘みのある香りがとても素晴らしいわ。」 「おほほほ…」 紅茶を一口こくんと飲むと、 その様子を見てメイドが言った。 「やはりお嬢様は、 これが一番お気に入りのようですね」 するとその言葉に少女が質問をする。 「あら? どうしてお分かりになったの?」 「はい、ダージリンの時は とても美味しそうに召し上がりますので…」 「そそそ、そうかしら?」 「ま、まあ、至高の物との違いが分かりますと 顔に出てしまうかもしれませんわね」 「はい、お嬢様はお好きな物を手にされている時の 表情が、とてもかわいいのですよ」 「かっかかかっ!? かわいい!?」 少女は顔を赤くして言葉をつまらせた。 「そ、それよりもっ……!」 「リエルさん、 お父様から何か聞いていらっしゃらない?」 「えっ!?何かとおっしゃいますと…?」 「先日の学力テストですわよ、 わたくし、かなり上位成績でしたのよ」 「え?いえ?あのっ 特に何も伺っておりませんが…」 「え…?あ、あら…そう、ですの?」 「ま、まあ、お父様もお忙しいのでしょう。 仕方ないですわね、おほ、おほほほほ…」 メイドはその言葉を聞いて何かを感じ、 少女に言葉をかけた。 「お嬢さま、お優しいのですね」 「なっ…何を言ってますの! べべべべ、別に気にしてませんことよ!!」 「おーっほっほっほ!!」 笑いながら少女は、テーブルの上から スイーツを一つ取ろうとする。 「あっ!」 少女はうっかり手を滑らせ スイーツが床に向かって落ちていった。 その様子に思わず目を閉じてしまう。 床に落ち無残な姿になった物を想像しながら、 目を開けると、なぜかその床には何もなかった。 少し視線をあげると、 その落とした物が宙に浮いており ゆっくりと目の前の皿の上に置かれた。 「ふうっ、あぶない所でしたぁ」 息をついてメイドが安心した様子で言った。 いま起きた事に少女が驚き、メイドに問いかける。 「なななな、何ですの!今のは!?」 「はいー、 魔法でなんとか落ちるのを防ぎましたぁ」 「魔法?」 「はいー、私まだ魔力も低くて あの程度の物を動かすくらいの事しか できませんが…」 その言葉を聞いて、 少女は驚いた表情から笑顔になり笑い出す。 「ぷっ、ふふふっ いやだわ、リエルさんたらっ!」 「は?…はい?」 メイドはきょとんとした。 「そんな手品なんかで、 場を和ませようだなんて…!」 「貴方こそ、お優しい方ですわね…」 しかし、そう言われたメイドは 困ったような驚いたような顔で少女に返す。 「あの…手品では無くて…、 その…簡単な魔法くらいは使えますよ」 その言葉を聞いて 今度は少女がきょとんとする。 「え…?」 そしてこの後、シャロンが魔法の存在を今まで 知らなかったという事が判明し、急遽リエルから 魔法の使い方を教えてもらう事になった。 魔法の存在は知らなかったものの、 彼女は自分の中に魔力が存在していることを この時初めて知った。 「お見事です!素晴らしいです!お嬢様!」 少女は魔法でスイーツを2つ宙に浮かせていた。 「ど、ど、どうですっ!」 「わたくしにかかれば、これくらい 何てことありませんわよ!」 「おーっほっほっほっほ!」 「あれから、わたくしは魔法について こっそりと一人で学び始めましたわ。」 「そうして知ったのがこの マジックアカデミーという学校の存在…。」 「よく考えてみるとお父様の教育では、 魔法に関する事については 一切触れられていませんでしたわ。」 「あの方がいなければ、 わたくしは未だに魔法も知らない 箱入り娘のままだったかもしれませんわね。」 「そしてまさか、 この学校でまた会う事になるなんて…」 「リエルさんたら、いきなり泣き叫びながら わたくしの元へと駆け込んできて…」 「は、恥ずかしいったらありませんでしたわっ。」 「ですが、 この学校ではお互い賢者を目指す者。」 「昔の立場はもう関係ありません、 わたくしも全力で行きますわよ!」 「よろしくて?」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 「……うーん」 クララの姿が浮かび、 頭の中に直接入ってくるような声が聞こえた。 「…うーん、 もう少しクエン酸を入れるといいのかなぁ?」 何か考え込んでいるようだ。 得意のお菓子作りでもしているのだろうか。 「やったぁ正解! やっぱり水回りの汚れにはクエン酸だよね」 掃除中であった。 彼女の好きなものの一つである。 「さて、今度は中庭の方をお掃除しましょ」 「あれ?ほうきが無い? どこいっちゃったのかなぁ」 キョロキョロと周囲を見回すが見つからないようで、 そのまま辺りを探し始めた。 「ほうきを探す事になるなんて、 あの時のこと思い出すなあ…」 「マジックアカデミーでは、 ほうきで空を飛ぶ授業があるんだけど… 私はそれがとても苦手だったの。」 「でもそれを克服しなきゃって思って、 しばらく学校が終わってから 一人でこっそり特訓してた、ある日のこと…」 バッシャーーン!! 何かが水に飛び込むような音がした。 池の中から水浸しのクララが 咳き込みながらあがってきた。 「けほっけほっ…! あーんもう、びしょぬれだよぅ…」 そして何かが無いことに気が付いた。 「あれ?メガネが!?」 這うように辺りを探るが、 それはすぐに見つかったようだ。 「良かったぁ、池の中に落とさなくて…」 「でも、ここで練習してて正解だったよね。 地面だったらケガしちゃってたかも…」 自分がケガをしてなかった事にはほっとしたものの、 クララは肩を落として、しょんぼりとした。 「どうして、うまく飛べないのかな… ちゃんと呪文の詠唱もしてるし、 魔力だってそれなりにあるつもりなのに。」 「ぐすん…」 「今日はもう帰って、また明日にしよう… …って?あれ…? ……あれっ!?」 帰ろうとしたその時、この練習において重要なものが 無くなっていた事に気付いたようだ。 「ない、無いっ!無いぃっ!!」 「ほうきが…ほうきが無くなっちゃったよぅっ!」 「ふぇっ…、 ふぇっ……、 ふぇぇっっ!」 「ふえっくちゅんっっ!!!」 ずぶ濡れのままでいたせいであろうか クララは大きなくしゃみをした。 「うう… もう、踏んだり蹴ったりじゃない…」 クララは先ほど以上に凹んでしまった。 「私…、飛べないよ……」 するとその時突然、池から光が放たれ 中から何者かが現れた。 「私は、この池の精…。」 「そこな若者。 このほうきを落としたのは貴方ですか?」 クララにそう語りかけると、 ほうきを前に差し出した。 「…え? は、はいっ…多分、私のだと思いますぅ…」 確かにそれはクララの無くしたほうきだったが、 それに続いて自称”池の精”は、 なぜか魔法の杖らしき物を取り出した。 「では、落としたのはこの杖ですか?」 クララは、頭の上に?マークを並べた表情をしながら その質問に応じた。 「…い、いえ!違います! 私が落としたのはさっきの、普通のほうきです!」 「…というか、何してるんですか? マロ…」 「正直ものの貴方には、 この魔法の杖をさしあげましょー!」 クララの言葉をさえぎり、 その自称”池の精”は、魔法の杖を差し出した。 「いえっ!だから、私が落としたのは 杖じゃなくて、ほうきなんですぅっ!」 すると自称”池の精”は不満そうな顔で言った。 「あれ?いらないの? この杖で空を飛ぶと、すごくスピードが出て 気持ちいいんだぞー。」 「ただこいつを乗りこなすには、 賢者くらいの魔力が必要かもねー」 しかしその言葉に、クララは暗い表情で返す。 「私…、飛べないもん…。」 「いくら練習したって…失敗ばかりで…」 この言葉を聞いた池の精は、息を大きく吸い込むと 声を張り上げて言った。 「こらぁーっっ!! それがいけないのだっ!!!」 「ひゃうっ!?」 一喝されて、クララは小さく悲鳴をあげて驚く。 「貴方、空を飛びたいと思ってる!?」 「魔法で大事なのはイメージ! そこで起こることを強く願うことよ!」 「そんな考え方で飛べると思うの!?」 「飛べない貴方は、ただの”メガネっ娘”だ!!」 まくし立てられたクララは、 ひとまず突っ込むのはやめておき、 何かを悟ったような顔をして言った。 「そうでした…私、大事なこと忘れてました…。」 「うまく飛べなかったらどうしよう… 落ちてもいいようにしておこう… そんなこと考えてほうきに乗っていました!」 「ありがとうございます! なんだか、私、飛べそうです!」 「うん、その意気その意気! よーし、うまく飛べるようになったら、この私 ”池の賢者”からいいものをプレゼントしよう!」 「あの…”池の精”って言ってませんでした?」 「……、こ、細かいことは気にしない! さあ!イメージするのよ!」 「I can fly!」 「そしてその後… 私はついにほうきを乗りこなせるようになりました。」 「池の精…賢者さんに、お礼を言いたかったけど、 呼びかけてももう出てきてくれませんでした。」 「最初に出てきた場所に戻ると、 例の杖と、一枚の紙が置かれていたんです。」 「その紙には、こんなハンコが押されてました」 【A たいへんよくできました】 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「へーっ、じゃあアロエは賢者になったら 家の病院を手伝うんだー!」 見るからに健康そうな娘がアロエに話しかけている。 「うんっ、早くお父さんとお母さんを手伝って 困ってる患者さんたちの治療も早くできたらいいな って思ったの」 年端もいかぬ少女でありながら アロエはしっかりとした夢を語っていた。 「それで、こんなに若くして飛び級でアカデミーに 入学しちゃうなんて… やっぱアロエはすごいよねー」 しかし、今度は少し落ち込んだ感じのある声で アロエが話し始めた。 「でもアカデミーに入学できたのはいいんだけど…」 「すぐに大きくなるからって… 制服も大きいのを買ってもらったんだけど…」 「この制服、大きすぎちゃって」 そう聞いた健康そうな娘は一旦驚いてから、 妙に納得した表情になった。 「ああー!?そうだったんだ!私てっきり、 そういうワンピースの制服もあると思ってた!!」 アロエは苦笑いの表情で、両手を挙げて言った。 「ちがうよう〜。 だから袖だってこんなふうに 折り曲げてるんだよー」 「あっはっはっは! なるほどねー!そういう事なんだー」 アロエはその屈託なく笑う少女を しばらくの間、じーっと見続けて問いかけた。 「あのね…、どうやったら大きくなるのかなぁ…」 「え?うーん…そうだなあ、 やっぱり牛乳かなあ…」 「え?牛乳…、ミルク?」 「うん!よく言われてるじゃん! 私は元々好きでよく飲んでたけどね」 「そうだね! ミルクはあたしも大好きだよっ!」 そこへ気品のある雰囲気をまとった、 いかにもお嬢様な娘が話に交わってきた。 「あら?何の話をなさってるの?」 「牛乳最高!ってこと! やっぱビン入りが一番よねえ!」 健康娘はそう言うと、どこから出したのか 瓶入り牛乳を手に取り、フタを開けると腰に手をあて ゴクゴクと飲み始めた。 「ぷはぁっ!やっぱコレよね! 紙パックのストローじゃ、こうはいかないもん!」 お嬢様な娘は、 その様子に呆れたような顔をしていたが 気を取り直すようにして言った。 「ま…まあ、確かに色々な使い方ができて 良い飲み物ですわね」 そしてアロエを励ますように健康娘が言う。 「育ち盛りなんだもん、 まだまだこれからだよ!」 「私だって、 アロエくらいの時はそんなもんだったんだから これからだよ!おっきくなるのは!」 それを聞いたアロエは驚いた声を上げる。 「えっ!?そうなの!?」 そう言われた健康娘は、苦笑した感じで言い返す。 「え?やだなー、 そんなにびっくりすることじゃ無いでしょー?」 二人の会話から、話の流れを理解したようにして お嬢様な娘が言った。 「あら、そういう話をしていらしたの。 ま、そうですわね」 そして上品な仕草で自分の髪をかき上げながら アロエに向かって言った。 「わたくしもアロエさんくらいの時は ”そんなもの”でしたわね」 「えっ!?」 『わたくしもアロエさんくらいの時は そんなものでしたわ』 アロエの中で今の言葉がリフレインする。 『わたくしもアロエさんくらいの時は そんなものでしたわ』 『わたくしもアロエさんくらいの時は そんなものでしたわ』 『おーっほっほっほっほっほ!』 アロエはお嬢様な娘に質問をした。 「そうだ!えと…、 ミルクはあまり飲んでなかったんだよね…?」 その質問に対してきょとんとした顔になり、 お嬢様な娘は答えた。 「いいえ? 流石に目の前の方のような気品に欠けた飲み方は してませんが…」 「ミルクティーやホットミルクといった感じで 幼い頃から、よくいただいておりましたわ」 「そ、そうなんだ…」 「……ガーン」 「あら?どうかなさいまして?アロエさん?」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 マラリヤの姿が浮かび、 頭の中に直接入ってくるような声が聞こえた。 「私は”賢くなる薬”を作りたいので 賢者をめざしています。」 「何が目的でそんな薬を作りたいのかと 言いますと…」 「賢者が賢くなる薬を飲むとどうなるかが 気になったのです。」 「早く賢者になりたい…」 「声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。」 「目を開くと元の場所にいる。」 「今までの光景は夢か幻か?」 「手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた…」 ………。 「何か見えた?」 突然マラリヤに声をかけられた。 「騙されなかったわね…残念。」 「映画はスタッフロールまで ちゃんと見るタイプかしら。」 「それはさておき…」 「さっきのは私の目的を誤魔化すために考えた 偽りの意識…」 「と、考えていた時があったかもね。」 「うふふ。」 「うふふふふ。」 「うふふのふ。」 「………。」 「なかなか、右上のやつを押さないわね。」 「やれやれ、負けたわ。」 「ああ、今度こそ私のことを知られてしまうー…」 ある日、 私は学校の調理場で実験をしていました。 ”利口になる薬”を作る実験です。 しかし、塩加減を間違えてしまい とんでもない事になったのです。 「あれまぁ、水浸し。 私もびしょぬれだわ。」 「着替えましょう」 代わりに着る物がこれしかありませんでした。 でもこれなら また水浸しになっても安心。 あとこの実験は 油がはねるのでその対策も必要なのです。 決してサービスとかそんなんじゃないのよ。 閑話休題。 ”利口になる薬”を作るのは 失敗に終わりました。 そこで今度は、 ”賢くなる薬”を作ることにしました。 問題はその材料の1つ、 ”賢さ”の要素となるモノ。 先ほどの実験では、 メガネ教師の髪の毛を拝借して使ったけど… 引っこ抜いて以来、警戒されるようになったわ。 でも、せっかくだから この学校で一番賢そうな人のを使いたいわ。 そうなると… あの爺さんね。 お髭ももっさり生えてて、いいわ。 でも引っこ抜くのがばれたら、 どうなってしまうのでしょうか。 ……ゾクゾクしてしまう。 あ…、”賢くなる薬”を 賢い人が飲むとどうなるのかしら? ……、 自分が賢者になるのが一番早そうね。 「早く賢者に…」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 (本物) 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「いいぞー!そこだー!」 周りに大勢の人がいる場所のようだ。 そこにいる人たちは、皆ある一点の方向を見ている。 「おおー!今のパンチは効いたぞー! 一気に決めろー!」 その方向に、金網に囲まれたリングの上で、 二人の女性格闘家が戦う姿が見えた。 それまで優勢であった者が 相手に技を仕掛けようとすると、 その相手はニヤリと笑った。 「ああっ!何でそこでそんなのを!?」 観客の何人かがそんな声を上げたその瞬間… 青い髪の少女が宙に浮き、 リング上にその体が叩きつけられた。 「ゲェーッ!言わんこっちゃない! もろ顔面に喰らった!」 そしてレフェリーのカウントが始まり、 観客のため息と同時にゴングが打ち鳴らされた。 「あーあ、またあの子負けたよー」 「結構かわいいし結構いいモン持ってるから 応援してきたけど、やっぱ見た目だけかー」 「このアホー!お前なんかもうやめちまえ!!」 会場は負けた方を応援していた者が多かったようだが、 試合が終わると様子は一転していた。 「ぐすっ!うっ…!ううっ!」 そして試合に負けた少女、 ユリが嗚咽しながら体をゆっくりと起こした。 「ま…また負けるなんて…! あ、あんなに特訓したのにっ!!」 「何でなのよ! なんでなんでなんでっ!!」 すると試合に勝った者が ユリの方へ歩み寄り、声をかけた。 「ハン! あの程度ではこの私に勝てないわね!」 そう言われたユリは、 キッとした表情で相手をにらんで言い返した。 「なによ! あんただって最初は私の攻撃喰らって カエルみたいにひっくり返ってたじゃない!」 だが相手は、チチチッと人差し指を振って 半笑いの表情で語り始めた。 「ノンノン!あれはフェイク、ひっかけよ! アナタ、体力とパワーはベリーベリーエクセレントね!」 「バット!だけどネ! イカンセン、頭の方はバッドね!バッド!」 「次の攻撃は見え見えだワ、 あの程度のフェイクに簡単に引っかかるワで まるで何も考えてないっしょアンタ!」 「ようするに”バカ”なのよね!!」 そう言われたユリは、 顔を真っ赤にしてわなわなと体を震わせた。 「なっ、なっ!なっ…!? ばっ!?バカあぁぁぁぁっっ!!??」 「ちょっと!あんた!知らないのっ!? 人のこと”バカ”って言う方がバカなのよ!!」 すると相手は冷めた表情で言葉を返した。 「私は賢者の称号を持っているわよ」 「そう!だから賢者の称号なんて持っていて それは誰よりも頭がいいって事で…!?…???? はいーーーーーーーっ!?」 少しの時間、二人は沈黙した。 「…え?えと… つまりっ…! …っ、だからっ…!!」 「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」 言葉を失ったユリは、号泣し始めた。 「ばか!バカ!馬鹿!! 私のバカっ!!」 「勉強は苦手だったし、面白くない、役に立たない なんてことばかり言って 体を動かすことしか考えてなかった。」 「そうやって頭を使うことを否定していた結果が 負け試合を繰り返す、カッコ悪い私だった。」 「私は体を動かし、鍛えることしか頭になく、 力で押すだけの戦い方をしていた事に気付いたわ。」 「あの試合は、私が生きてきた中でも 一番恥ずかしい思いをさせられたけど…」 「一番大事な事に気付かされた試合でもあったわ。」 「それで、私の目指すべき姿 目標の”道”がはっきりと見えてきたわ!」 「それが私の突き進む道よ!!」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「うう〜、今日もやと授業おわたアル」 何もない空間にヤンヤンの姿が浮かび、 頭の中に直接入ってくるような声が聞こえた。 「しかし何でワタシはここでこんなに勉強して 賢者なんか目指してるアルか?」 「…そもそも、ワタシがここに来てしまたことが 一番の原因アルな」 私は麻雀大会に参加するつもりで 故郷の村をあとにしたネ。 目当ては、大会の優勝賞金ネ。 優勝したら、満漢全席でうまいものをたらふく食って、 家を建て直しでっかい工場にして大量の受注をこなして さらに一儲け…なんて考えてたアル。 『トラのタヌキは変わらんよう』というやつアルな。 (不正解) 何ネ?今の不愉快な音は? まあそんなこと考えて歩いてる途中、 ふと草むらの中で何か光るモノを見つけたアル。 何やら高く売れそうな気がしたので そいつはカバンにしまっておいたアル。 あー、話がそれたアルな。 だけどこの時、ワタシも道をそれていたアル。 早い話が道に迷ったアル…。 「地図だとここはでっかい湖があるはずアルが… ここは森というか”ジャングルジム”みたいアル」 そしてその時、あの恐ろしい事件が起こったアル…。 地図の位置を確認していたワタシの肩を 何者かが呼ぶように叩いてきたアル。 「ちょと待つアル。いま忙しいアル!」 すると今度は、そいつは足元をつつき始めたアル。 「うるさいアル、黙れアル! 早く大会会場に行かないと賞金も台無しアル!」 そう叫んで振り返るとそこには、 うにょうにょとした得体の知れないモノがいたアル! 「ひえぇっ!! お、お前っ!?ナニアルかーっ!?」 そいつは足に絡みつくと そのままワタシをひっぱり上げやがたアル。 「う゛にゃあああああああああああああっっ!?」 そしてワタシは逆さづりになてしまたアルよ。 「ギニャー!! お前、なにするアルか!?離すアル!」 そこから逃げようとして暴れたら そいつはグイグイとワタシを締め付けたアル。 「ぐええええええええええええええええっっ!! こら!やめるネ!」 「さもないとお前が危ないことになるアル! ワタシのクンフーにかなうと思うアルかー!?」 とは言たものの、 この格好のままでは手も足も出せないアル。 そしてこの後、ワタシは命の危機を感じるほどの 大パンチになたアル。 …ちがた、大ピンチね。 「ひっ!? や、やめっ…!!」 なんと奴は、 ついにワタシの服の中をまさぐり始めたアルね! 「あっ!」 「ひっ…!」 「うひゃっ…!」 「うひゃはははははは!!」 「にゃはははははははははははははははは!!」 「やめれ!くすぐったい! こちゃばゆあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」 「ぎゃーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは……」 「まさにくすぐり地獄だたネ。 笑い死ぬかと思たアルよ。」 「で、どうやってあいつから逃れたかと言うと…。」 「よく覚えてないアル。」 「奴は突然光って消えてしまったアル。」 「それから丸1日歩き回り、 ようやく建物を見つけて中に入たのが この学校だたアルよ。」 「そして色々あって入学するハメになたが、 賢者になれば大会の賞金より儲かると聞いたから ここに残ることにしたアル。」 「そうネ…、 そうだたアル!」 「賢者になれば儲かるアルよ! そのためにワタシはここにいるアル!」 「賢者になってたっぷり稼いだら、 まずうまいものをたらふく食って…」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「あれええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 光が薄れ視界が戻ると不思議な空間が現れ、 そしてそこにはリエルの姿があった。 「な、何がどうなっちゃったりしたりされてしていて するんですかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 リエルは現在の状況が分からず パニック状態になっている。 だがそんな彼女に、意外な人物が声をかけてきた。 「あら?リエルさん!?」 「あれぇ〜?え、えり、り……エリーザ先生っ!? どうしてここにぃぃっ!? って、一体ここはどこなんですかぁぁっ!?」 「貴方こそどうしてここに!?」 「はいぃぃっ!私! 購買部の掃除を済ませて、 焼却炉へゴミを運んでいただけなんですけど〜!」 「途中で何か呪文を唱えているユウ君の声が聞こえて、 気になってちょっと近くに来てみたら 突然何かにすいこまれちゃったんですうぅぅっ!!」 それを聞いたエリーザは、何か考えながらつぶやいた。 「これは、想定してなかった事態ね…。 もしかすると、何か想定できなかった事が…・」 「はわわわわわわ! 何がどうなっちゃっているんですかぁぁぁっ!?」 「わっ、わたっ、わたたわし!わたたしっ!」 混乱しているリエルをエリーザが一喝する。 「落ち着きなさい!」 「はっ!はいっ!…はうぅぅ……」 エリーザの気迫に押され、リエルは少し落ち着いたが 不安と恐怖で涙をぽろぽろこぼす。 するとエリーザは、 優しい笑みを浮かべてこう伝える。 「安心なさい、大丈夫。 少し若返るだけだから。」 リエルは「!?」と言う表情になって言い返した。 「何を仰ってるかよく分かりませぇぇぇんっっ!!」 「そして気が付くと、 私は学校の裏庭に倒れていたのですが…」 「そこにはエリーザ先生と寝ているユウ君、そして… そのユウ君を抱きかかえているお姉さん、 サツキちゃんの姿が!!」 「数年前に行方不明になっていた 私の同級生で、大事な親友が…!」 「次々と色々な事が目の前で起こり、 私は思わず気を失ってしまいました。」 「次に気がついた時は保健室のベッドでした。」 「そして目を覚ました私に、 エリーザ先生が話してくれたんです。」 「サツキちゃんとユウ君を巻き込んだ事故のこと… その後の二人にあったこと…」 「私たちは時空を飛び越えて 過去に戻ってきたということ…。」 「この魔法を使ったユウ君は、 その代償として賢者としての力と ここ数年の記憶を無くしてしまったそうです。」 「そのまま彼はアカデミーに来る前の生活に戻り、 サツキちゃんはこの学校の教師に着任しました。」 「あれ?そういえば… どうしてエリーザ先生も一緒に来たのかなぁ? 引率の先生…?」 「それはさておき、私です。」 「元の時間では、もう少しで商業科を卒業! …のはずだったんですけど。」 「すでにこの学校で何年も授業を受けてきた私ですが、 なぜか魔力が下がってしまっていたのです。」 「さらに今の時間では私の他に 購買部を任せられる人がいないということで、 本来この時間にいる私にあわせる事となりました。」 「その変わり授業は商業科ではなく、 サツキちゃ…いえ、 サツキ先生のクラスで受ける事になったのです。」 「私としては、 むしろ嬉しい結果となったのですよ。」 「それからさらにびっくり! なんとユウ君が飛び級でアカデミーに 入学してきたんです。」 「これには私とサツキちゃんだけでなく、 エリーザ先生も驚いていました。」 「エリーザ先生は想定外の結果を引き起こしたのは 想定外である何かの存在って言ってたけど…」 「それって、つまり…」 「どういうこと??」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「私がアカデミーで賢者として認められ、 卒業を迎えようとしていたあの春… あの悲しい事故が起こった…」 何もない空間にサツキの姿が浮かび、 そして頭の中に直接入ってくるような声が聞こえた。 「事故で命を落とした弟、ユウを生き返らせるために 私は禁術である事を知りながら蘇生魔法を使った…」 「その結果、ユウは息を吹き返し命を取り戻したわ。」 「でもその代償に私の体は霊体化して、 もう人間として生きられなくなってしまった。」 「そんな私たちの事を知った一人の賢者… エリーザ先生は元に戻るためのチャンスを 私たちに与えてくれた。」 「それを行うために与えられた条件は、 私がユウを賢者にまで導くという 容易ではないものだったけど…」 「あの子、ユウは私の事を助けようと 本当に必死になってくれて… ついに賢者として認めてもらえたわ。」 「そして私を…私たちが元に戻るための魔法を 賢者の力を得たユウが使った…」 光が薄れ視界が戻ると不思議な空間が現れ、 そしてそこに二人の姿があった。 「お姉ちゃん!これで元に戻れるんだよね! もう幽霊みたいな恰好じゃなくなるんだね!」 「うん…ありがとう、ユウ。 あなたは本当に凄いよ、本当に強くなったよ…」 「でも僕が賢者にまでなれたのは お姉ちゃんのおかげだもん。」 「お姉ちゃんいつもそばに居てくれたから… 僕の夢が叶えられたんだよ!」 「え?ユウの夢って…?」 「えへへ、 お姉ちゃんに追いつくことだったんだ、 賢者のお姉ちゃんに!」 「ふふ…そうだね、 私たち、 姉弟で賢者になれたんだよね」 この不思議な空間の中を泳ぐように進みながら 二人は会話をしている。 しばらくして、 まぶたを閉じかけながらユウが言った。 「なんだか、ちょっと眠くなってきちゃった… こんな凄い魔法使ったからかなぁ…」 サツキはユウの体を抱きかかえて 優しく言葉をかけた。 「いいよ、このまま寝ちゃって」 しかしユウは意識を薄れさせながらも、 まだサツキに話しかける。 「帰ったら…お姉ちゃんがいつもくれた… あの飴…食べたいな……」 「すぅ………」 そのままユウは寝息を立て始めた。 「…ユウ…、 ありがとう…」 「うっ…ううっ…」 突然、サツキは嗚咽をこぼした。 その声は、悲しみに暮れていた。 「ごめんね… ごめんね… ごめんなさい…ううっ!」 サツキはユウの体を強く抱きしめながら 大粒の涙を流し、 つぶやいた。 「あなたの夢… かなえられない…!」 「この時に使われた魔法は時空を操って、 以前の体に魂を移動させるというものだった。」 「私たちは時間をさかのぼり、 事故が起こる前の体に戻る事ができた。」 「でも、それほどの事を起こす魔法は 相当な魔力を必要としていた。」 「賢者としての魔力と、 数年間の記憶を失ってしまうほどの…。」 「あの子は、 賢者としての魔力もアカデミーで学んだことも… 思い出も失くしてしまったわ。」 「結果としては何もかも元に戻ったけれど、 私の心には、やりきれない気持ちが残っていた。」 「…だけど」 「このアカデミーに教師として着任したその日に、 目を通したある一枚の紙が 私の中から、わだかまりを消し去った。」 「それは私が受け持つことになったクラスの 生徒名簿。」 「なぜもう入学できるのかという疑問もあったけど…」 「その時、私の心は それはどういう意味なのかと考えていたの。」 「その名前が記されていたことで 私の心は、すっと軽くなったわ。」 「私は体だけでなく、心もあの子に救われた。」 「あの子は、あの夢まで無くしていなかった…」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 『ついに発覚! マロン先生の年齢は17歳と一、十、百、千、万… ヶ月!?』 「もーっ!! またこんな記事書いてー!!」 そこに何か新聞紙らしきものを床に叩きつけて 興奮しているマロンの姿が現れた。 「あの#$@%ども!どうしてくれようかしら!!」 「ま、もっとも私が年齢を秘密にしてるのが そもそもの原因なんだけどね。」 「秘密にしている理由?」 「実は、私の正体に関わる事…」 「本名、国籍、住所、そして年齢…」 「これらが第三者に知られてしまうと…」 「私は、強制的に元の国に帰らされてしまうの。」 「そして持っている魔法の力を全て奪われ、 過去の記憶はすべて消去されてしまって…」 「2つの命を1つもらって、帽子の中を公開して、 動物に変身させられてしまって… あとどんな設定があったかな…。」 「…って、私は誰に説明してるのよ!?」 「とにかく魔法少女たるもの、 やっぱりこの手の秘め事があった方がいいでしょ?」 「…はあ〜っ」 「マロン17歳でーす!!」 「くあーっ!! やっぱり色々と中途半端だーーっ!!」 「せめて足とか伸ばして、もう少し年齢相応の…」 「あのー、マロン先生?」 「わひゃあっ!誰よっ!?」 「通りすがりの生徒です。」 「さっきマロン先生の免許証をひろったんですけど…」 「えっ!?わっ!ホントだ! いやー、ありがとありがと!」 「うーん、私もなかなかのドジっ子だよねー。」 「ん? ちょっと、貴方!」 「ここに書いてあること…見た…!?」 「驚きました!マロン先生って本当に17さ…」 「ミラクルマジカル! ぐるぐるぐるぐるどーーーーーーーんっ!!」 「ふうっ…安心して、 ここ最新の記憶が消えるだけの魔法だから!」 行け!マロン先生!戦え!マロン先生! 今日もアカデミーの平和と、個人情報を守り抜くのだ! 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「ぶるるるるあああああああああっっっ!!!!!!」 なんと突然目の前に ガルーダと一人の男が激しく戦っている光景が現れた。 唸るようにガルーダが声をあげる。 「ぐむううう…!この俺様をここまでにさせるとは、 貴様!只者ではないな…!」 男はニヤリとした表情で返す。 「お前こそな! うちのバカ息子以上のしつこさだぜ!」 「むううううっっ!!!!」 その男が気をためる動きを見せると ガルーダもオーラを放ち、掌に気を込める。 「んぬうううううううっっっっ!!!」 両者の目が同時にカッと見開くと凄まじい雷鳴と共に 辺り一帯に稲妻が走る! 「んぶるるらあああああああああっっっ!!!!!!」 お互いの魔法を受けながらも 両者は再び立ち上がろうとする。 顔にかかる血と汗を拭いながら男が言う。 「はあっ…はぁっっ…、へへっ、なんて奴だ…。 俺の魔法を喰らってまだ立てるとは。 ただの鳥では無いな!」 ボロボロな状態でありながら ガルーダが言い返す。 「ふん!俺は人間ではないが鳥でもない…。 俺の技をあれだけ受けてまだ向かってくるとは… お前こそ本当に人間か?」 「おう、ちょっとばかし諦めが悪いだけの ただの人間だ」 そして両者はまたしても雄叫びを上げ 気合いを放つ! 「ぬんどるるらああああああああっっっ!!!!!」 「あれは10年ほど前…、 俺が出場した魔法格闘大会での事だったか。」 「1回戦から俺たちが少しばかり派手にやってしまい 会場は壊滅し、大会は中止…」 「そして、俺と奴には強力な魔力を押さえ込むための ”腕輪”を装着する事が命じられた。」 「今日びあれほどにまで勝つことに執着する奴も 珍しいものだ。」 「まあそんな珍しい感じの奴が、 このアカデミーにもいる気がするがな…」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「…ふむう」 ここはアカデミーの書庫だろうか。 誰かが何冊もの本を次々と手に取り、 何か調べ物をしているようだ。 「ほほう、こんな記録まで残っていたとは…」 「この私が全ての教科を教えていたなんて すでに遠い昔の事のようだ。」 「”きょうか”なのに昔の事…」 「むう…、苦しい上に伝わりにくい。 却下だ。」 「まあ、アカデミーの教師たるもの 全ての教科に長けていて当然のこと。」 「とは言え、その実績がある教師も私以外には そう居ないだろう。」 「そう居ないことに相違ない。」 「くっくっく…これはいい!!」 「早速この手帳に記録しておこう」 調べ物をしていたのは、フランシスであった。 「はっ! そんな事を言っている場合ではない!」 「この文献によると、いくつもある魔法学校の中でも このアカデミーはかなり重要な拠点であるらしい。」 「そしてロマノフ氏にとっても重要な場所であり、 彼の求めるものがここにあると…。」 「つまり重要な需要がある…」 「これはダメだな、美しくない。」 「いずれにせよ、このアカデミーの校長は ヴァル・ヴァ・ヴァルアドス氏であり、 その座が明け渡される可能性は無いに等しい。」 「うーむ…、 このままでは校長の座につくのは 至難の業と言える。」 「何か名案はないものか…」 「それこそが我が野望の明暗を分けるというのに…」 と、1冊の本がフランシスの目にとまる。 「む?マジックアカデミーが増えすぎた生徒数の対策 として分校を計画だと?」 「なるほど!今のアカデミーでは無く、 新たにアカデミーが開校するのであれば!」 「これは良い情報を入手したものだ!」 「良いニュースを入手した… ふははは!今は何もかもが美しい…!」 フランシスが目にとめた本… それはマロンが個人で発行した漫画同人誌であった。 しかし、いつかその願いは叶うかもしれない。 願い続ければ夢はきっと叶う…。 (マロン) 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 人々の歓声が聞こえる。 ここは、ある記録を塗り替えた少女を 表彰する会場であった。 会場に姿を見せたその少女を見た人々がどよめく。 「え?本当にあの子が賢者に!?」 「見た感じ、12歳くらいだけど…」 「あれ?今まで賢者達成の最年少記録も それくらいの子じゃなかったっけ?」 「あの子、いくつなの!?」 観衆がひそひそと話す中、 少女はマイクを向けられるとこう言った。 「名前はリディア、4歳です!」 さらに会場はどよめくが 舞台に立つ男がマイクを持ち、 それをさえぎる。 「あー、皆様ご静粛に。」 「よくご覧になれば分かると思いますが、 彼女は我々人間とは異なる種族、 エルフ族の方であります。」 「彼女たちの事をご存じない方に説明しておきますと エルフの方々は、 我々人間の3倍の速さで成長されるのです。」 「しかも、6、7歳ごろからその成長は次第に収まり 100年ほど見た目も変わらないという何とも都合 よい…ゲフンゲフン…、羨ましい体質なのです。」 「それはさておき、彼女の素晴らしいのはその成長の 早さをも凌ぐ知力と魔力です。」 「賢者が多いエルフの中でも彼女、 リディアさんの学習能力は特に優れておられ…」 「すでに大人顔負けの 知識と気品を持っていらっしゃいます!」 「この可愛らしい賢者に、今一度盛大な拍手を!」 惜しみない賞賛をあび、 少し照れくさそうなリディアに男が問いかける。 「さて、賢者としてこれから行いたい事は 何かございますか?」 そしてリディアは、にこやかに答えた。 「そうですね… あのアカデミーの教師に就きたいと思います。」 「それで、おバカさんたちに 色々な事を教えてあげたいですね」 …………… 会場が一瞬静まりかえった。 しかし、リディアは満面の笑みを浮かべ満足そうだ。 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか何か音が聞こえる。 「グオオオォォォン!」 猛獣のような鳴き声をした何かが 近くを通り過ぎた。 「はっ!」 その直後、 誰かのかけ声がすると共に それを追うものが現れた。 瞬時に二つの距離が縮まると 先に姿を見せていた方がくるりと向きを変えて 迫ってきた者に飛びかかる。 「グガアアアァァァッ!!」 だが飛びついたその先にはすでに誰もおらず その影は相手を見失う動きを見せた。 するとその背後に魔法で打ち出されたと思われる 光の弾が落下した。 激しい閃光が辺りを照らし爆音と衝撃が走る。 その光によって浮かび上がった 追われていたものの正体は猛獣ではなく 魔物と言うべき姿をしていた。 魔法の衝撃にひるみながらもその魔物は 高く跳ね上がりその距離を拡げようとする。 「やぁっ!!」 しかし、それを追う者はさらに高く飛び上がると 腰の物を引き抜き頭上に高く掲げる。 「はあぁぁぁっ!!」 威勢のいいかけ声と共に、 剣が魔物めがけて勢いよく振り下ろされた。 そこには鎧を身にまとったエリーザの姿があった。 魔物は真っ二つになると同時に大爆発をおこし 姿を消したようだ。 「ふう…、 この辺りもかなりの被害が出てしまったようね」 エリーザは体を起こし辺りを見回す。 「魔物たちがこれほどまでに凶暴化しているなんて、 やはり不自然すぎるわ」 魔物によって荒らされたのであろうか、 周囲は巨大な嵐でも通り過ぎたかのようだった。 「人為的に魔物たちが凶暴化させられている、 というよりも…」 「”凶暴な魔物が作られている”と 言った方が正解のようね。」 「これはもう、ウィーズの部隊が 本拠地を特定する事に期待するしかないわ…」 エリーザは空をしばらく見つめてつぶやく。 「あの魔物たちを生み出したのは魔法、 その魔法を使ったのは人間…。」 「あのアカデミーで起こってしまった 悲しい事故を繰り返さないためにも…」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか何か音が聞こえる。 「きゃーっ!?」 そこへ突然、何もない空間にアメリアの姿が現れた。 「もう、今日は嫌な天気ね…。」 「はあ〜あ、自分でも魔法で使うのに やっぱり雷はどうにも苦手なのよね〜」 「そう、あれは私がこのアカデミーで まだ生徒だった時の事…」 「愚か者!お主には精進が足りぬ!」 「きゃああああああああああっ!!!」 どこからか、 アメリアとロマノフらしき声が聞こえる。 「アメリア君!さあ、立つのじゃ! お主は自分が考えているような弱い人間ではない!」 「うぅっ…もう無理ですっ…先生! 私なんて、賢者になれるわけが無かったんです!」 「私なんかが、 このアカデミーに来ちゃいけなかったんです!」 「どうせ、どうせ私なんか…!」 「どうやら質の悪い瘴気に憑かれてしまったようじゃの。 ならば!」 「覇ああああああああああああっっ!!」 「あぴゃわきゃあああああああああああっっ!!!!」 ロマノフは魔法で アメリアに強烈な稲妻を打ち落とした。 ……… しばらくして、アメリアは意識を取り戻し、 それまで自分がどのような状態でいたかを ロマノフから聞いた。 「どうじゃ? まだ賢者への道は諦めておらぬか?」 アメリアは、涙ながらに答える。 「ロマノフ先生…、私… そんな弱気になっていたなんて!」 「やっぱり私、まだまだ未熟者です!」 「お願いです! もっと…もっと私を鍛えてくださいっ!!」 そしてロマノフは大きく頷いて言った。 「うむ!よくぞ言った。 それでこそ、アメリア君だ!!」 「お主が潜在的に持つ魔力は計り知れないものがある。 だが、それを引き出せるかどうかは、 お主次第じゃ!」 アメリアは目を輝かせ、その言葉に答える。 「はいっ!日々精進します!」 ロマノフも右手を大きく掲げ、それに応じる。 「では、行くぞぉっ!!」 ……… 「不合格!おしおきじゃ!」 「あいひゃあああああああああああっっ!!!!」 「そんなわけで、ロマノフ先生に徹底的にしごかれて こうしてアカデミー教師にまでなれたんだけど…」 「あの時に受けた 強烈な一撃が今も忘れられなくって…」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 どこからか人の声が聞こえる。 「ぬううううんっっっ!!!!!」 「どりゃあああっっっ!!!!!」 激しく何かがぶつかり合う音と、野太い声が轟く。 「はああああっっ!!千手雷神拳っっ!!!!!」 「むんっっ!!」 なんと突然目の前に 屈強な二人の男が闘っている光景が現れた。 「ぐわっはっはっはっはっは!!ロマノフよ!! その程度の攻撃、この儂には効かぬ!効かぬのだ!」 「ぐぬうぅぅぅ…!!!」 その場に現れたロマノフは、 普段見慣れた姿よりも若く見える。 そして、もう一人の男が体を構えながら そのロマノフに向かって語り出す。 「だが貴様の魔力、 相当なものである事には違いあるまい。 なにゆえ!その力を活かさぬ!?」 「ふっ!愚かな者どもの為に使う魔力など 持ち合わせておらぬ!」 不満げな表情で吐き捨てるようにロマノフが答えると その男は何かを打ち出すような体勢になり 言い放った。 「まだそれが貴様ら一族の答えか!! ならば仕方あるまい!」 「覇ああああああああああああっっ!!」 「ぐあああああああああああああああ!!!」 ロマノフは強烈な一撃を喰らい、 その場に倒れ込んだ。 「ぐふ…っ 私の負けだ、魔力でも何でも持って行け…」 瀕死のロマノフに対して、もう一人の男が語り出す。 「お主の魔力、確かに奪い取るほどの価値はある。 だが儂が求めているのはそれではない…。」 「来てもらおう、 このヴァル・ヴァ・ヴァルアドスのアカデミーに!」 「そこに、お主も求めているものがある…」 「あれから、どれくらいの月日が流れたのか…。」 「儂の求めるもの… それは確かにこの浮遊する島に存在していたが…」 「むしろ、本当に求めていたものは このアカデミーによって分かったのかもしれぬの…」 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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メダルを手に取ると周囲がまばゆい光でつつまれた。 視界が戻り始めるとそこにぼんやりと どこかの部屋が映し出されるように見えた。 ここは、寝室だろうか。 誰かがベットの上でシーツにくるまって寝ている。 (ガシャン!) その部屋に金属がぶつかる音が響いた。 「ん…んん〜」 その音に気付いたのか そこで寝ていた者が体を起こして言った。 「そう、やっぱり行ってしまうのね…」 外の空が深い青色から紫がかった色に変わりはじめ、 部屋の中がうっすらと次第に明るくなっていく。 黄金の鎧に身を包んだ男が、外を見ながら話す。 「例の事件…、 ロマノフ氏によるとあの魔物は悪しき者によって 作られたとの見解だ。」 「あの魔物たちが作られている疑いのある場所も いくつか特定された。」 「すでにエリーザは単身で調査に出たようだ…。」 「私の部隊もすぐに出なければならない」 美しい容姿の情勢はその話を聞くと しばらく口をつぐむ。 だが顔を上げると笑顔で言葉をかけた。 「…分かったわ、 この学校のためにもお願いね。」 「それから、帰ってきたら… しましょうね」 鎧の男は顔の色を隠すように仮面を頭にかぶり、 返事をする。 「君も、本当に好きだな」 「ふふっ。 だから私はアカデミーでもそれを任されているのよ」 和むような空気に包まれていたが、 外からかかった声にそれはかき消される。 「ウィーズ隊長!出発準備が整いました!」 そして鎧の男は、部屋の扉に手をかけて言った。 「すぐに戻る… とは言えないが、待っていてくれ」 「貴方の妻ですもの、信じてるわ」 その背に向かって言うと扉が閉ざされ、 金属のぶつかる音が次第に小さくなっていった。 音が聞こえなくなると彼女は横たわり、 シーツの中に顔を埋めた。 そして真っ白な布が、 次第に点々と色を変えていった。 声が途切れると、再び周囲が光につつまれた。 目を開くと元の場所にいる。 今までの光景は夢か幻か? 手に入れたメダルを気にしながら、 その場を離れた。
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