組織の牝犬 / 巻原恋11ターン目
PON柿

『全日本ホープス王者・巻原恋は千歌女学園へ』
 卓球界の小さなニュースは、その年の千女の全中制覇・恋のU-15日本代表選出で再び脚光を浴びた。
 古豪とはいえ、他の強豪と比べれば大規模ではない私立の中高一貫校。
 されど豊富な特待生制度と、巻原を獲得し確かに成長させた事実がある。
 中高での飛躍を誓う選手にとって、「千女」は無視できない選択肢になった。
 迎えた本年、千歌女学園は高校総体・全中の女子団体同時制覇を達成。
 高等部を牽引した巻原、高梨の二年生コンビと新たに加わる中等部の中心選手達。
 来年の千歌高等部は早くも歴代最強と目され、注目を集めていた。

 その中等部の中心選手二人が、下半身を剥かれて床に倒れ伏している。
 二人とも数人分の男の体液で体を汚され、泣き腫らした目が虚ろに宙を彷徨っていた。
 白濁液を零す口はもうすすり泣く力もなく、時折小さな呻きを漏らしている。
 ただ一人、巻原恋だけが二人の破瓜の血で濡れた肉棒に舌を這わせ奉仕を続けていた。
 彼女に「逃げろ」と叫ぶだけの理性が残っていれば、二人の後輩も男たちから逃げられていたかも知れない。
 しかし、恋は二人よりも早く男たちに囚われて凌辱の限りを尽くされ、抵抗する力を根こそぎ奪われていた。

「やれやれ、頼りになる先輩だねぇ。お陰でこいつらも楽に手に入ったしなぁ」

 男に足蹴にされても憔悴しきった後輩は動かない。恋がちらとそちらに目をやった。

「どれ、ちったぁ解れたか。もう一回相手をしてやるよ」
「……待って、ください。私が、頑張ります、から」

 立ち上がった男を恋が制した。抵抗する力を失くしていても、女同士庇う気持ちはある。
 後輩たちがこれ以上暴力に耐えられるとは思えなかった。
 恋の訴えを認めるのも躾の一つの手だが、男は暴力を選んだ。
 恋の額を目がけて突き出した爪先が届く寸前で、恋がひょいと身を躱した。
 抵抗ではなく反射だった。相手の動きを見切り、向かってくるものに対して横に動く。
 何度も繰り返して体に染みついた動きだった。

「てめぇ、なんだ、その目は……!?」

 男の言葉は怒りだけでなく恐れも含んでいた。
 男を見る恋の目はまるで余裕がなく、それでいて異様に凍り付いている。
 卓球の試合で格上にやられるとよくこうなった。
 恋は追い詰められると体だけで動く。
 集中力を失い、向かってくるものを強く叩くだけの壊れた機械。
 それでも指を突っ込めば食いちぎられそうな迫力に、男は動くことができなかった。

「おすわり!!」

 教室の外から別の男が声を飛ばすと、恋が突っ伏すように床に這った。硬直していた男が我に返る。
 恋を這わせた男は突き出された尻に手をかけると、秘所に一息にディルドを突きこんだ。
 悲鳴を挙げて身を捩る恋は先ほどまでとは別人のように、元の牝犬に戻っていた。

「しばらく一人でよがってな。そのうち相手をしてやるよ」

 恋は言われるがまま、一人でディルドを抜き挿して嬌声をあげていた。

「調教済みの牝だって扱いには気をつけな。安全が保証されないと思ったら牝犬だって噛みつくぜ」
「悪い悪い。流石、見事なもんだ。女を使って何人も殺させた奴の手腕は違うねえ」
「やかましい」

 ニュースで騒がれたような犯罪者でも、武装集団の中では小物の部類だ。
 結局下手を打って刑務所に送られたから今はここにいる。自慢になることは何もなかった。

「褒めてんだよ。その手腕でさっさと女どもを片付けてくれ。外に逃がしたってんじゃ上の連中も黙ってねえ」
「お前もさぼってないで何か考えろ」

 校内を動き回っていた女も次々に武装集団の手に堕ちているが、二十人前後がまだ捕らえられていない。
 挙句には一部に校外に脱出され、外の連中に交渉に依らない救出が可能と思わせた懸念もある。
 男は頭を掻きむしり、何か思いついたように手を止めた。

「いっそ何人か殺してやるか。そしたら残りがビビッて抵抗しなくなるかも知れねえ。
 外の連中も迂闊に手が出せなくなるだろうよ」

「……は?」

「は? じゃねーよ。男なんか構わずに殺してただろうが。人質は十分集まったんだ。
 無理に全員捕らえなくても俺たちが逃げられたら女なんていくらでも狩れるだろ」

 男が懐から拳銃を取り出して弄ぶ。
 足元で喘いでいた恋の声が止んだ。這いつくばったまま、凍り付いた目で男を見上げている。

「どうした、牝犬。命と言わなくてもテメェの腕の一本も潰してやろうか。
 お前を傷つけさせたくないって、進んで股を開く女だっていたんだぜ?
 こーんな小さなガキが股から血を流して、もう死んでるかも知れねぇがなぁ」

 男が拳銃の引き金に指をかけた。
 恋が身じろぎした瞬間、隣に立つ男が銃を持つ男の額に拳を叩きこんだ。
 手にはいつの間にかメリケンサックが握りこまれている。額を割られた男はあっけなく昏倒した。

「馬鹿野郎。俺たちが逃げおおせたら似たようなクズがいくらでも寄ってくるんだよ。
 学校丸ごと人質にするなんてそう何度も出来てたまるか。テメェより人質の方がよっぽど貴重だぜ」

 犯罪者にも頭を使うのとそうでないのがいる。前者だと自認する者には武装集団は頭が痛いことが多い。
 腹立たしげに首を振る男の足元で恋が怯えた目で見上げていた。暴力に強いのか弱いのかわからない。

「……お前。こんな奴らに友達を傷つけられたくはないよな。お前は今、何をすればいいと思う?」

 男の言葉に、恋は慌てて男の足元に跪くとズボンから肉棒を取り出した。
 手慣れた、というよりこの数日で必死に覚えたのだろう愛撫で男の竿はすぐに反り返った。
 男が腹立たしげに額に手を当てた。

「……そういうことじゃねえんだよ、この牝犬がっ!」

 男が恋を突き倒し、濡れそぼった秘所からディルドを引き抜く。
 小さく声を上げた恋を押さえつけ、男が後ろから貫いた。
 甲高い悲鳴を上げながら、恋は男が犯しやすいように腰を動かした。
 男たちに執拗に凌辱されても、恋の秘所は弛むことなく男の肉棒を締め付けていた。
 体の出来も、鍛え方も違う。回復も適応の早さも安い女とはわけが違う。
 日本代表と言えば皆幼い頃から天才少女で鳴らしている。滅多に手の届かない世界の女だ。
 湧き上がる羨望や妬みさえも情欲の熱になって、男に乱暴に腰を使わせた。


 男が果てて、解放された時には恋は失神寸前に追い込まれていた。
 行為を受け入れられるくらいに体は育っていたし、体を動かすことならすぐに覚えられる。
 欲望を受け止めることを覚えた恋に、性の暴力は性的な刺激となって襲い掛かる。
 絶え間なく続く凌辱に、恋は心も体も残らず男の性に征服されていた。

「ふん。男も悪くないと思ってきたんじゃないか、お前」

 恋は答えない。判断するだけの思考力が残っていなかった。
 男もそう思って示唆から指示に切り替える。

「……お前が他の女たちを『説得』出来たなら、必要以上に傷つけたりしない。
 そりゃま、俺たちの相手はしてもらうが、お前くらいには丁重に扱ってやるよ」
「あ……」
「お前はまだ体が動くみたいだからな、他の奴の代わりに行ってやったらどうだ」

 恋は降伏勧告には適役だ。
 彼女は凌辱を受けた後も男に引きずられながらも自分の足で立って歩いている。
 凌辱を受け入れればまだ無事でいられる、という無茶な理屈の証明になる女だ。
 逃げ回っている女も心身が疲弊しているはずだから、恋の言葉で折れる可能性もある。

「……やり、ます」

 恋にとっては救いだった。目の前で仲間が犯されることにも慣れるほど心が擦り切れていても。
 仲間のために「何もできなかった」という負い目は心の片隅にへばりついている。
 出来ることがあるなら。凌辱は避けられなくても、命だけでも助けられるなら。
 男の言う通りにするべきだと思った。

「決まりだ。……おっと、その格好で行くなよ。そいつらから服を借りてきな」
「あ、はい」

 恋が倒れている後輩たちに歩み寄る。

「れん、さ……」
「……大丈夫。後は、私に任せて。……みんな、一緒だから」

 そう言って、するすると乱れた上着を脱がす。
 下着は壊れていたし、下手をすれば恋よりサイズが大きいが、上着はすっぽり収まった。
 恋は男に一礼すると、フラフラと教室を後にした。

 どこへ向かうつもりかはわからない。
 もしも逃げている女たちの元に戻ったならそれでも構わない。
 女たちは見捨てはしないだろうが、既に使い物にもならない。足手まといになれば上等だ。
 男は恋を見送ると、中学生の二人に向き直った。
 二人とも目を開けて体を起こしている。恋が声をかけたことで少しは力が戻ったかも知れない。

「その体を自分から差し出せば、これ以上乱暴にはしない。どうする?」

 二人はまず顔を見合わせ、俯いて、小さく首を縦に振った。
 男は二人を仰向けに押し倒すと、一人を貫きながらもう一人の秘所に指を挿し入れる。
 処女地を踏み荒らされる痛みには慣れつつある。
 何人もの女性を毒牙にかけた男は、二人の体の感触を確かめるように犯している。
 苦し気な吐息に甘い響きが混ざるのも時間の問題だった。


(了)

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