神の気まぐれでゲームに巻き込まれた探索者たち。
無事に正解を選択し、日常を取り戻すことができたのでした。
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ここから余談
あの夢からしばらく経って、水銀さんの病院に一通の手紙が届けられます。
手紙の差出人はマリア・トーマン。
手紙の中には流麗なフランス語が綴られていました。
「ミナガネさんへ。今、お医者様にこの手紙を書いてもらっています。
目が覚めてからすぐに思ったことは、あなたたちに会いたいということでした。
自分でもおかしなことだと思うけど、お医者様にあの日見た夢のお話をして、ミナガネさんに教えてもらった病院を探しました。
中々見つからないと思ったら、日本だったのね。びっくりしたわ。本当に見つかったことにはもっとびっくりしたけれど。
センリさんともう一人のお医者様にもお会いしたかったのだけれど、住所を聞きそびれてしまったわね。それが心残りです。
センリさんの絵のお話を聞きたかったわ。彼女の絵ならきっと優しいのでしょうね。」
その下にはフランスの有名な観光地や、自分の今いる病院のこと、日本に行ったら食べてみたいものなど、他愛のない話が続いています。
手紙の最後には、少し行を空けて、筆跡の異なる文が添えられていました。
「この手紙を読んでくださっている方へ。
これを日本に送ろうとした少し前に、母は息を引き取りました。
亡くなる数日前から、母は塞ぎ込んでいたのが嘘のように、嬉しそうに日本にいるのだという知人の話を語っていました。
これを書いているのも、お医者様に無理を言って、どうにか日本に行く手続きを済ませたところでした。
眠っている母の顔は、まるで父がいた頃のように安らかでした。
セレナ・トーマンより、感謝を込めて」
手紙とともに封筒の中には一枚の写真が入っていました。
そこに映っていたのは、たくさんのチューブを繋がれてベッドに横になった老婆と、あの少女の面影を残す女性の姿でした。
女性は顔を老婆に寄せカメラに笑顔を向けて、老婆は女性の手を握り、焦点の合わない視線で、それでも笑っていました。
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