クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki

「お姉ちゃんに会いたい」

その願いは、彼女がずっと抱えていたものだった。
家庭の中で唯一、愛情と安らぎを楪に与えてくれた存在。
２年前に突如姿を消して以来、一日たりとも彼女が姉のことを思わなかった日は無かった。
故に、楪がその願いを口にしたのも、口にしてしまったのも、必然であっただろう。


薄暗い、妙に気温の低い部屋の中で、それは横たわっていた。
人だということはわかるが、シーツが掛けられていてよく見えない。
楪はいぶかしみながらも、『ソレ』に近づく。
そして、黒服がシーツを剥ぐ。

「・・・・・お姉ちゃん・・・久しぶりだね」

長い沈黙の後、楪は呟いた。
ゆっくりと手を伸ばし、その「穴の空いた」頬をそっと撫でる。
冷たく、硬い感触が指を通して楪に伝わる。
「ソレ」の状態は、悲惨なものであった。
頭の半分が吹き飛び、顔からは（殆ど残っていないが）苦悶の表情が見て取れる。
死の直後に流れ出たであろう血と脳漿が上半身を染めつくし、赤から黒に変化し終えた今でさえ、その惨たらしい姿は変わらない。
それでも、楪は姉と会えたことが、嬉しくて仕方が無かった。
或いは、もう狂っているのかもしれない。

「・・・ねえ、あのゲームに勝ったら、何でも願いを叶えてくれるんだよね？」

頬を撫でたまま、楪が聞く。
指に、黒に変わった血がこびり付く。
そばに控えていた黒服の男が答える。

「待っててね、お姉ちゃん。　もうすぐ、起こしてあげるからね」

楪が死体から離れ、指を舐める。
鉄特有の苦味が口腔を走り、その味に眩みさえ覚える彼女の姿は、妖艶でしかし狂気に満ちていた。

　了

どうも、放置で生き残ってしまった糞PL、ヒカゲです。
最終日だというのに参加出来ず大変失礼しました。

Q.何あの後日談
A.前回の禁じられた遊び１にて使用した菅野桐（死亡）です。
　今回の菅野楪は彼女の妹という設定（脳内）でした。

では、１０日間お疲れ様でした。
願わくば、またこういう機会がありますように。

死亡につきなし。
条件は、クリアしたPCのPDAを３つ所持すること。変化後は４つになりますた。

なんか他の方が書き始めたのでこのへんで私も。
卓で言いそびれたことも多かったので。
まず、この卓についてですが、題材はすごくいいものに目をつけたなと感じました。
私自身、好きな作品でしたし、KP様もこの作品が好きなんだという想いは伝わって来ました。
ですが、少々原作再現が過ぎたかと思います。人数や条件、口上なんかですね。
条件があそこまで一致しているとやはり原作を知っている人はどうしてもメタ的に有利になってしまいますし。
あとは、この手のシナリオでリピーターの方がいるというのもやや不平感を感じざるを得ませんでした。
あと、これは卓でも言いましたが、もう少し卓前情報を明かすべきです。技能によって難易度に極端に差が出てしまいます。
また、人数も片手で収まる程度にしておいたほうがいいかと思います。あとNPCも欲しかった。対人腐っちゃうし。
一PL風情が余り内容に口出ししてしまうのもアレなのでこのへんにしときますが、いい作品ですので、これからも更に磨いていって欲しいと感じました。
KP陣の方々、大人数のキーパリング、大変だったかと思います。本当にお疲れ様でした。
これも卓で言ったかもしれませんが、誰か一人、全体の行動、位置、フラグ管理のみに徹する方がいたらもう少しスムーズで、落ちもなかったかと思います。
どうしてもそれぞれ別管理で、後で突き合わせる形だと、行動の裁量にも差が出ますし。

こんなとこでしょうか。
素人の分際で厳しいことを書いたかもしれませんが、これもこの作品を愛する故であることをわかってほしいです。
ともあれ、卓、楽しかったです。また是非、挑戦していただきたいと思います。
その時を楽しみにしています。ではこれにて。