『私本　西村博之伝』目次へ
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既に述べている通り、西村は巨大掲示板運営の鍵を「サーバ運営工学」と見切っていた。どうサーバ屋さんとやりあい、いかにサーバをやりくりするかである。2000年の段階でけっこうヤバイ状態になっていたようなのだが、ここで広告とバーターで無償でサーバを提供してくれる奇特な札幌のサーバ屋・夜勤が登場。この問題は一挙に解決したかにみえた。

2001年8月･･･２ちゃんねるの肥大化はとどまることなく進み、推定ユーザー数300万人、１日1000万アクセスに達する。それに伴う膨大な転送量の負担がサーバ屋の夜勤にのしかかる。夜勤はこれに耐えた、必死に耐えようとした、

･･･だが、8月24日、その時が来た。ＳＭＡＰの稲垣吾郎が道路交通法違反等の容疑で逮捕されるという大事件が起こる。（ちなみに、当時のニュース番組等では何故か“稲垣容疑者”ではなく“稲垣メンバー”と呼ばれた）
ニュース速報板、ＳＭＡＰ板にアクセスが集中。
ここに夜勤の負担は限界に達した！

>826 名前：夜勤 ★ 投稿日：2001/08/25(土) 00:45 ID:???
>稲垣吾郎さんのせいで、破産しそうです。

２ちゃんねるの転送量は月700万円にも達しており、夜勤はgive upを宣言。
せめて転送量を1/3にしないと･･･

>24 名前： 夜勤 ★ 投稿日： 2001/08/25(土) 01:49 ID:???
>みんな　はさーん

夜勤は転送量を減らすべく板を次々と落とす。
この異常事態に「ついに閉鎖か？！」と、２ちゃんねる中がお祭り騒ぎとなる。

西村の参謀格と目されていた切込隊長も登場。

>53 名前：山本一郎＠切込隊長 ★ 投稿日：2001/08/25(土) 21:50 ID:???
>　正確かつ具体的に２ちゃんねるの運営状態がヤヴァいという
>話を西村 から聞かされたのが先々週なので、まだ状況の整理が
>ついていないのです。
>　２ちゃんねるの外側で起きる問題の対処だけを担当していた
>だけに、ちと解決に向けた行動に俺が出遅れた感あり・・・。

切込隊長は、この騒ぎの中、あちこちに出没して事態収拾に向けて奔走する。
一方、当の西村はだんまりを決め込んだか、一向に現れない。

２ちゃんねる全体がこれまでにないパニック状態になる。

（ヒッキー板住民の声）
>ここが潰れたらボクは･･･

（モー板(狼) 住民の声）
>今までは一時閉鎖とかでなんとかなったけど今回はやヴぁいね
>せめて潰れる前に石川がうんこするかどうか知りたかったけど無理っポイね

（ＳＦ板住民の声）
>小松左京復活の日のＭＭ８８球菌に犯されていく世界のようだなあ。
>んで、どこに南極はあるのだろうか。

（軍事板住民の声）
>絶対不沈の戦艦なぞ存在せん
>いずれは滅びる

（無職ダメ板住民の声）
>のほほん板につながらん…。
>お世話になったあの人やあの人、いまどうしてるんだろう…？（感傷

（ベンチャー板住民の声）
>Yahoo!に売りにいけよ、2ch。

（少年漫画板住民の声）
>2chはマジ金銭問題でもう運営がきびしいらしいね。
>今までありがとう。またどこかで。

（ＣＣさくら板住民の声）
>ぶっちゃけます。
>さくら板が出来た日に「真さくらファン」に
>粘着的に噛みついてた厨房は私です。ごめんなさい。

日本一の掲示板がその日本一が故の人の重圧によって崩壊してゆく。これほどのパラドクスがあろうか？

金の問題･･･こればかりは、名無しさんたちにもどうにもならない、諦めの雰囲気が２ちゃんねる全体を支配しようとしていた。

しかし、ここに決して諦めない人々がいた。

UNIX＠2ch掲示板
http://pc8.2ch.net/unix/


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この作品は実話を元にしたフィクションであり、実在の人物、団体、インターネットサイトとは関係ありません。
ここに書かれている内容は、実際とは異なる場合がかなり多いでしょう。
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