裁判負けまくり

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さて、2ちゃんねると言えば誹謗中傷の巣窟という世間一般のイメージがある。そいう一面もないワケでもないのだが、2ちゃんねるはIPを取らない建前(2002年当時)なので全国名無しさんン百万人は好き勝手に表現の自由を謳歌できるわけだ。しかし、世の中には名誉毀損だとかプライバシー侵害だとかいう表現の自由を制限する法的概念が存在する。もしも、2ちゃんねるでのカキコが名誉毀損だと司法に訴えられたときに誰が訴えられるのか?

誰だかサッパリ分からない名無しさんは訴えられないので、管理人の西村博之しか訴えようがない。これに対して、西村は住所、氏名、電話番号を公開して文句があったらドンと告訴せいと構えていた(2008年現在は未公開)。この西村の男らしい態度が2ちゃんねるの強みと関係各方面から賞賛されていたものである。なかなかできることではない。良い子は真似しちゃダメだよ。

99年の開設以来1年以上は内容証明は山ほど来ても告訴には至らなんだが、2001年3月に日本生命から本当に告訴されてしまう。この裁判はこの年の8月の閉鎖騒動の真っ最中に書き込み削除の仮処分命令が下りる。要するに敗訴してしまったのだ。

ゴミみたいなカキコの削除なんぞは実のところ腹も痛まないだろうが、同年9月に今度はT動物病院からカキコの削除の上、名誉毀損で500万円の損害賠償を請求され告訴されてしまった。

そして、2002年6月5日、西村は化粧品会社のD*Cから6億円もの損害賠償の裁判をおこされてしまった。6億円とはなんとも実感の沸かない金額である。

これに対して、西村が購読者数10万人の2ちゃんねるメルマガで

「D*Cは食品に(放送禁止 ピー!!)を入れたりと、なかなかチャレンジャーな会社でしたが、」

てな余計なこと書いたら、更に1億円追加されてしまったとさ。

さて、そんなことをしているうちに6月26日にはT動物病院の500万円裁判も判決が下った。

H14. 6.26 東京地方裁判所 平成13年(ワ)第15125号 損害賠償等請求事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/2075F93E3210745...

これを読むと、わたしの理解する限り、裁判はだいたいこんな様子だったようだ。

=2ちゃんねるにて=

(T動物病院)「2ちゃんねるで叩かれた!くやしぃ〜!削除しる!!」
(ひろゆき)「削除の依頼は削除依頼板へお願いしますです」
(T動物病院)「うぇ〜ん。削除依頼板でバカにされたよ〜」
(ひろゆき)「削除依頼のフォームを守ってくださいですです」
(T動物病院)「そんなんワケワカメだよ。煽られた上に削除してもらえなかった。くやしぃ〜よ!損害賠償500万円払え!」
(ひろゆき)「やなこったい」

=裁判所にて=

(裁判官の人)「さあ話を聞こうか」
(T動物病院)「みんなこのタラコ唇が悪いんです。小川がモー娘のメンバーに加入したのも、伊藤つかさが今更ヘアヌードになったのも、あと月並みだけどポストが赤いのも、みんな、みんな、このタラコ唇の責任です。」
(裁判官の人)「そりゃひどいな。被告人、罪を認めますか?」
(ひろゆき)「おっさん おっさん」(>_<;)☆\(^^;コラコラ
(裁判官の人)「被告人、言い訳を言いたまえ」
(ひろゆき)「おいらは悪くないですよ。2ちゃんねるに書かれたモノが本当かウソか分らないです。本当に相手が権利を侵害されたか分らないのに勝手に削除することはできないですよん。」
(裁判官の人)「ギャラクティカ・マグナム!!」 (゚O゚(の=(v_v; )バキッ
(ひろゆき)「な、殴ったね。」
(裁判官の人)「殴って何故悪い。貴様はいい、そうして喚いていれば気分も晴れるんだからな」
(ひろゆき)「ボ、ボクがそんなに安っぽい人間ですか!」
(裁判官の人)「ギャラクティカ・ファントム!!」 (゚O゚(の=(v_v; )バキッバキッ
(ひろゆき)「に、二度もぶった。オヤジにもぶたれたことないのに〜っ」
(裁判官の人)「それが甘ったれなんだ。殴られもせずに一人前になったヤツがどこにいるものか!」
(ひろゆき)「もうやらないからな!誰が二度とガンダムなんか乗ってやるものか!」
(裁判官の人)「アムロ。今のままだったら貴様は虫けらだ。それだけの才能があれば貴様はシャアを越えられるヤツだと思っていた。残念だよ。」
(ひろゆき)「シャア…」
(T動物病院)「フッフフ…さらに出来るようになったな白いモビルスーツ。だがな、モビルスーツの性能が全てではないことを教えてやる。」
(裁判官の人)「ガンダムごっこは、もういい…」 (゚O゚(の=(v_v; )バキッ
(ひろゆき)「よく殴る裁判官だな…裁判所ってこーゆーところなんですか?ところでなんでおいらの言い分はダメなんです?」
(裁判官の人)「ダーメ。全然ダメだね。世の中ではそーゆーのを屁理屈と言うんだ。」
(ひろゆき)「何でですか?『当該情報の公共性,公益目的,真実性の有無が不明な段階では,他人の権利を侵害する違法な情報であるか否かも不明であり,このような場合には,被告において削除義務を負うとはいえない』のですです。」
(裁判官の人)「だー!自分でも分かってないくせに難しい言葉を使うな。このスレッドを見ろ。よく見ろ。その細い目をかっぽじいてよく見ろ。そら見ろ。」「これの何処に『公共性,公益目的』がある!!縦から見ても横から見ても世の中ではこれを誹謗中傷って言うんだ。」
(ひろゆき)「だけど、だけど、匿名の発言でも表現の自由はあるですよ。法的に勝手に削除はできないです。」
(裁判官の人)「匿名の発言でも表現の自由はあるよ。表現の自由はあるけど、匿名でも顕名でも誹謗中傷は違法だよ。」
(ひろゆき)「このスレッドの書き込みだって公共性,公益目的があるかもしれないじゃないですか。まだ分らないです。その段階では消さなくても違法性はないです。」
(裁判官の人)「そんなん聞く耳持てないね。その公共性,公益目的とやらを証明するのは書き込んだ人間が分らない以上は削除したくないと主張するオマエだ。証明してないね。なら、消せ。いま消せ、すぐ消せ、そら消せ。」「他に言い訳は?」
(ひろゆき)「プロバ…」
(裁判官の人)「ダーメ」
(ひろゆき)「まだ言ってないじゃないですか…」
(裁判官の人)「ダメだね。そんなんダメ、ダメですよ。まぁいいや、一応最後まで言ってみそ。」
(ひろゆき)「プロバイダ責任法では、はっきりと違法性があると分った場合に削除するとありますよん。今回はオイラには違法性があると判断できなかったから削除しなくても削除義務違反にはならないはずですです。」
(裁判官の人)「あーあ、やっぱりダメじゃんそんなん。今度はプロバイダ責任法を自分の都合のいいように解釈してきたよ。オマエを取り締まるためにできた法律だぜソレ。そんなモンがオマエを有利にするわけねぇじゃんか。」「さっき言ったろ。こんなもん見りゃ分るって。これを違法性があると判断できないオマエが悪い。」
(ひろゆき)「ぶぶー、結局おいらの主張は全部ダメじゃんか…」
(裁判官の人)「お。不満か?崇高な司法の判断に不平を鳴らすんか?なら打つよ。打つよ。打つよ。い、いい?次はローリングサンダーだからね。わ、悪いけどこれ喰らったら、し、死ぬよ。いい?いい?」
(ひろゆき)「きゃー、や、やめて、せめて影道(シャドー)冥王拳にして〜(><@)」
(裁判官の人)「よーし、そろそろ結審と行こうかい。」「オマエの負けだ。オマエはもう死んでいる。削除しる。さあ消せ。」
(ひろゆき)「ぶっ、ぶーのぶー。不平不満の不満。」
(裁判官の人)「いいか。オマエさんの掲示板はデカイ。1日80万件もの書き込みがある。だから全てを常時監視はできない。そいつは認めてやる。だけど、最低限、内容証明が来たときに自分で判断して削除しろ。こんなん見りゃ分るだろう、名誉毀損だって。それをせずに放置したオマエが悪い。削除義務違反ってやつだ。」
(ひろゆき)「でも、2ちゃんねるにはちゃんと削除のガイドラインがあるです。それを守ってくれないと他の人たちとの公平が保てないです」
(裁判官の人)「そんなん世の中では通りません。通しません。オマエんところのガイドラインとやらを読んだけどさ。なによこれ?個人の性質の定義は不明確。削除の基準も不明確。表現が全体として極めてあいまい、不明確であり、はっきり言ってこれじゃ誹謗中傷発言がいかなる場合に削除されるのかを全然予測できねぇよ。しかも削除人はボランティアで、しっかりと仕事をするかどうかも分らない。オマエさんのところのシステムでは違法性のある発言を削除依頼しても、削除されるかどうか分らないんだよ。」「要するにこうだ。オマエさんとこの運営は機能してないね。話になってないね。全くダメだね。ダメ。ダメ。ダメ。ダメ。」
(ひろゆき)「ひどいじゃないですか。オイラは馬鹿かもしれないけど、一生懸命考えてつくったガイドラインなんですよ。削除人の人たちだって頑張って仕事をしてくれているのに…それをそんな言い方ないです。シクシク…」
(裁判官の人)「泣いたって、ダメなもんはダーメよん。こんなモンが裁判対策のポーズにでもなると思ってたの?ゲラゲラゲラゲラゲラ」
(ひろゆき)「ひっでー」
(裁判官の人)「おや、ご不満?ではもう一度まとめてやろう。」「まず、オマエさんところのガイドラインと削除人システムは話になってないね。故にガイドラインに当てはまらないだの、削除人が判断しただのの詭弁は通らないよ。だって、ガイドラインはあいまいかつ不明確、削除人は働くかどうか分らないんだモン。これでは違法性のあるモノも削除されないと考えるべきである。そうなると匿名で書き込んだ人間が分らない以上は、管理人であるオマエさんに最終的な責任がかかってくるのだよ。そうしないと、『被害者が被害の回復を図る方途が著しく狭められ,公平を失する結果となる』ってやつだ。分りやすく言うとケツの持っていきようがねぇモン。」
「違法性のあると思われる発言の存在を知りえた時点で、オマエさんは判断して削除しなければならないのだ。今回は内容証明がオマエさんに送られてきたな。なら、最低限度その時点でオマエさんは発言の違法性を判断して削除をしなければならないのだよ。なぜならば、オマエさんの掲示板は書き込んだ個人を特定しうるIPを取得しないことを謳い文句にしており、書き込み者が分らない以上は違法性のある書き込みであると判断し削除するのは物理的に削除が可能なオマエの責任なのだ。それをしなかったオマエが作為義務違反だ。オマエが悪い。悪い。悪い。悪い〜っ。」
「それじゃ、問題のスレッドが名誉毀損に当たるか否かだ。オレの判断はだな…うひゃひゃひゃひゃ、これが表現の自由だとよ。おととい来いや。これは名誉毀損てんだよ。名誉毀損は表現の自由の範疇外だ。勉強になったな?覚えておけ。あん?『公共性,公益目的,真実性の有無』だ〜?その証明を誰がすると思ってるの?オレじゃねぇよ。もちろん原告でもないな。書き込んだ人間だよ。そうか匿名だから誰が書き込んだか分からないんだったな。そいつは知らんふりしてトンズラこいたと。なら削除したくないとのたまうオマエが証明するんだ。証明してないね。じゃあダーメ。」
(ひろゆき)「もう好きにしろよ。このクソおやじ。」
(裁判官の人)「オマエ生意気だから。損害賠償400万円な。」
(ひろゆき)「ひっでー。なんじゃそりゃ!?」
(T動物病院)「フフフ、ガルマ。聞こえていたら君の生まれの不幸を呪うがいい。君はいい友人であったが、君の父上がいけないのだよ。ハッハハハハ」
(裁判官の人、ひろゆき)「まだ、やってたんか!」

         ∧_∧
        ( ´∀`)おちけつ〜
        /,   つ
       (_(_, )
         しし'


負けである。完敗である。400万円払えとさ。
実は2ちゃんねるは先の日本生命も含めて裁判では負けまくりである。2ちゃんねるは裁判でどれくらい弱いかと言うと千葉パイレーツぐらいに弱かったのだ。
哀しいかな2ちゃんねるの論理は日本の裁判の場ではてんで相手にされないことが明らかになった。その後、2ちゃんねる(=西村)は続々と民事訴訟を起こされ、そして、負けまくることに。

弱い。弱すぎる。2ちゃんねるでは裁判に勝てない。
このまま2ちゃんねるは山のような巨額の損害賠償を負って潰されるのか。

・・・だが、西村はまだ秘策があった。

西村が最初につくったHPは「交通違反のもみ消し方」だった。

これこそが、この男の人生哲学なのだ。


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この作品は実話を元にしたフィクションであり、実在の人物、団体、インターネットサイトとは関係ありません。
ここに書かれている内容は、実際とは異なる場合がかなり多いでしょう。
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2008年03月22日(土) 05:54:19 Modified by battlewatcher




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