飛行船通信MLの主催者(few01)が気になった事を記録するWIKI

このwikiは最近全く更新していなかった。久しぶりに見てみて、広告がずいぶん表立って入って、見辛くなったなぁ。無料のWikiを運営するのは大変なのだろうが、あまりに鬱陶しいと使われなくなるよね。難しいものだ。

さて飛行船通信の方は、
http://www.airshipnewsjapan.org/
にホームページを作った。

まぁ、のんびりとやっている。

昨日、MLに配信した記事をここに載せておこう。


『伊勢神宮』井上章一

来週17日から、伊勢、熊野、新宮、白浜など紀伊半島を旅行する計画を立てている。最初は軽い思いつきだったのだが、いろいろ調べている内に面白くなってきた。中でも、伊勢神宮は、4年後に立て替えということもあって、ちょっとしたブームのようだ。

伊勢神宮は三重県伊勢市にある神社である。外宮(げくう)と内宮(ないくう)という二つの神社からなる。伊勢市駅の近くにあるのが外宮、そこからバスでしばらく行った所にあるのが内宮だ。外宮は豊受大御神、内宮は天照大御神をまつっている。

江戸時代に、お伊勢参りとして盛んに旅の目的地になった場所だ。1日に23万人も参詣したというから、どれほどの大ブームだったかわかる。

この伊勢神宮は20年に一度、新築される。昔は出雲大社でもやっていたららしいが、今では、伊勢神宮だけだ。上等な木材をふんだんに使って、一流の職人が集まって作る、ずいぶん贅沢な決まりごとである。4年後の新築費用は、およそ500億円。すべて寄付でまかなわれている。

紹介する本『伊勢神宮』は、この伊勢神宮の本殿にまつわる「建築史学的」探求を扱っている。

そもそも建築史ってのは何なのか。最近だと、藤森照信なんかが有名かな。建物の歴史を研究する学問だ。ほんと何の役に立つのかわからないんだが、学問ってのは、まぁそういうもんだね。

この分厚いハードカバーを要約すれば、伊勢神宮は一種の魔力、人間の心に影響する、曇らせる強い力を持っている、ということになる。井上氏自身も囚われてしまっていないか、自分で不安になると書いている。

本殿の屋根の脇には、X字型に突き出た木材がついている。これを千木(ちぎ)という。神宮では単なる飾りなのだが、この千木ってのは何なのか?それだけで江戸時代の学者たちから、現代まで様々な学者達が、さまざまなことを言いあって来た。ご苦労なことだ。

また屋根の上には丸太が何本か横に並べられている。これを勝男木(かつおぎ)という。さて、これは何か? さらに真ん中に床に届いていない柱、心御柱(しんのみはしら)があるのだが、これはまた何なのか? そして、20年に一度、そっくりコピーするので、7世紀ごろの姿をとどめている、と言われるが、それって本当? など、とにかく謎だらけの建物だ。

ブルーノ・タウトが神宮を褒めちぎったことは良く知られている。実は、その50年前に西洋の建築家がこぞって神宮をみすぼらしいと言い落としていたのだが、なぜ、そう変わったのか? モダンデザインやポストモダンの潮流と、神宮の毀誉褒貶の深い関係、考古学と建築史学、建築学、それぞれの立場、相互の影響など。


先日、ゴーギャンを見た後、上野に行って、国立博物館の「伊勢神宮と神々の美術」展を見てきた。

日本最古の古事記写本など、多数の古文書、古い宝物の類も面白かったのだが、中でも目を引いたのが、前回の新築時に作られた宝物類だ。現代工芸の粋を集めた、極めて上等・上品な箱や刀剣などで、実は妙な違和感を感じた。その違和感の幾分かが、この本を読んで解消した。なるほど、これは一種のマジックなのだろう。人間はマジックを求めている。

さて来週はじめて実物を見るのだが、そのお手並みや如何に。

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