多人数で神話を創る試み『ゆらぎの神話』の、徹底した用語解説を主眼に置いて作成します。蒐集に於いて一番えげつないサイトです。

物語り


記述

ダメ巫女と言理の迷子16

「次。場所の因果の濫觴クィダイロ?について語ろう」
「九位様とあの餓鬼のこと?」
「そうだ」

の墓場である【竜骸の森】には数多くの竜騎士の墓が並ぶ
そして森に存在する墓の全ての管理を一手に引き受ける竜が存在する
その竜の名は、螺旋竜カラコール
また彼が化身するのは騎士ではなく、竜墓守ダイロである
シャベルを担ぐ薄汚れた少年の姿をした竜墓守ダイロは薄暗い森の中
たった独りで、同胞達の墓を守り続けているという
南東からの脅威の眷属たちはオルガンローデ開発の為、サンプル(竜の屍骸)採集を目的としてこの地を訪れた。
しかし、眷属たちは為すすべなく撤退する他は無かった。
竜骸の森へ派遣された尖兵、猩々の精霊セングス?は率いていた部隊諸共にカラコールの螺旋の牙の餌食となったのだ。
眷属たちを屠り、セングスを退かせた螺旋竜は自身も傷つき命の灯火を徐々に弱らせていく
負った傷を満足に癒す事も叶わぬダイロは、しかし死の淵で一人の少女と出会った
本来、森には死した竜と竜墓守であるダイロ以外は近づく事を禁じられているはず
それは有りえない邂逅、だが彼らは出会った
少女の名はクィ、掟を破り竜骸の森へと足を踏み入れた竜神の巫女の一人であった。

「ある寒い冬の日、竜神の巫女の一人、大機竜の巫女であったクィは長の戒めを破り、竜骸の森の中へと足を踏み入れてしまった」

ダメ巫女と言理の迷子16

(また場面が変わった……)
「う…儂は一体…」
「あ、気が付いた」
「なっ…何者だっ!」
「キミの、命の恩人」
「命の、恩人だと?」
「そそ、キミが血塗れで死に掛けてたのをあたしが助けたの、感謝しなさい」
「なるほど…しかし、お主は何故ここにいる、この森は何人たりとも足を踏み入れてはならぬという掟を知らぬわけでもあるまい?」
「む…何よ〜、キミだって森に入ってるじゃない、同罪でしょ」
「儂は墓守だ」
「はぁ? 何言ってるの、ここの墓守って竜だよ竜! しかも螺旋竜カラコールっていう紀竜! それが、キミみたいな小汚いガキな訳ないじゃん!」
「こ、小ぎ…いや、そう言われてもだな、儂が墓守というのは事実なわけで…」
「はいはいワロスワロス…で、キミの名前は? 何でこんな場所で死に掛けてたの?」
「だから…はぁ、もう良い…儂の名はダイロ、この傷は侵入した眷族から森を守るために戦った為だ」
「ふ〜ん…てことはキミも竜なんだ? あ、もしかして螺旋竜の弟子の見習い墓守とか? で、螺旋竜に留守番を任されてた時に丁度、運悪く眷属がやって来て…うわぁ、かわいそう」
「何だそれは、妄想も程々にろ小娘…」
「小娘って、失礼な! キミもそう変わらない歳のくせにさ〜」
「竜と人の寿命を同じに考えるな、儂はお主の何千倍も生きておる」
「ふ〜ん、でも見た目は子供じゃん」
「……」
「………?」
「…み、見た目が子供で何か悪いか」
「あれ、もしかして、気にしてた?」
「そ、そんな事は無いぞ」
「え〜、そうかな〜」
「うむ、そうだ、そうに決まってる」
「ん〜…やっぱ、気にしてるでしょ?」
「気にしてないっ!」
「ぷぷ〜、やっぱ、気にしてるんだ、可愛い〜」
「なっ…き、気にしとらんと言っとるだろうが!」
「は〜いはい、わかったわかったってば」
「ぐぬぬ、本当にわかっているのかお主!」
「わかってるよ〜…もぅ、しつこいなぁ……あ、飴舐める?」
「ぬぅ…まあ、わかっていれば良いのだが……む、頂こう」
「……」
「……(コロコロ)……ほれへ、ほふひは…」
「こら、口に物入れたまま喋っちゃ、めっ」
「む……」
「……」
「……(コロコロ)」
「……〜♪」
「よし舐め終わったぞ…、それで、お主は何者だ」
「…え、なに?」
「だから、お主は何者で、何故この森に立ち入ったのだと聞いておるのだ」
「あれ、言わなかったっけ?」
「聞いていない」
「え〜、そうだったっけ?」
「そうだ」
「ん〜、そっか、でもナニモノって言われてもなぁ…イキモノ?」
「馬鹿にしているのかお主…」
「いやいや、そんな事無いよ?」
「…では、この森に立ち入った理由は?」
「え〜…なんだろ、何となく?」
「馬鹿にしているのかお主…」
「だから、そんな事無いってば〜」
「…では、お主の名前は?」
「…え、あ〜…え〜っとぉ…それは…」
「どうした、まさか自分の名を知らぬわけでもあるまい?」
「え、あ〜…あは、まさか〜、自分の名前を知らないなんて…そんなこと普通ないよ、ねぇ?」
「うむ」
「そ、だよね…えと、ね…その、周りからは、九…位って呼ばれてるんだけど…」
「……何?」
「だ、だから、九…ぃ…って…、へ、変だよね?」
「ふむ、クィか…確かにこの辺りではあまり見かけん名前ではあるが、別に変ではないと思うぞ?」
「え? でも、九…位だよ? 変じゃない?」
「む? クィだろう? 別にそこまで変ではないと思うが」
「え〜、変だって! だって、九位だよ、九位!」
「へ、変か? 儂にはクィという名が特に悪いようには思えんのだが…」
「変だよ! 変、変、変っ! ダイロの感覚、絶対おかしいよ!」
「い、いや、しかしだな…儂の記憶が確かなら、ここより北東の地域ではクィという名は…」
「えぇ何それ、クィなんて名前…あれ、クィ? 九位…だよね?」
「…あ? ああ、クィ…だろう?」
「え、あれ? だって九位……クィ?」
「どうした? クィがお主の名なのだろう?」
「ん〜? え〜と…クィ? 九位?」
「む? なんだ? どうした??」
「ん、ん〜…クィじゃなくて九位…じゃなくてクィ? あれ? あれ〜??」
「????」

ダメ巫女と言理の迷子18


「これがクィとダイロの濫觴だ。
傷を負い死に瀕した竜墓守ダイロを助けたのが
まさに、諸悪の根源であった南東からの脅威の眷属の庇護者でもある
大機竜の巫女であったのは、真に皮肉であると言わざるを得ない」

「ほむー…しらんかった。あの薄汚れた餓鬼が紀竜の化身だとは」
「完全な人型をとる紀竜もいるのだ。人間形態の字が『竜騎士』と成っていない竜にそういうのが多い」
「でも九位様が禁を侵して竜骸の森に行くなんて結構まっずい事知っちゃったかも」
「まだまだ序の口だ。次、いくぞ。お前の興味のありそうな情報から抽出する」
「うい」
「次、一位と閃樹

一位とは界竜の巫女の事だ
九頭竜の巫女のリーダー格。祭儀や対外向けの活動の際に面に出て活動する。冷静沈着で自他共に厳しく、常に敬語。
その発言の一つ一つが巫女のイメージそのものを左右しうることを自覚している為、滅多に己の意思を見せず、竜神信教の教義に乗っ取った杓子定規な意見しか述べない。
そのことから、信教の狗だの鉄面皮の人形だのと揶揄される事が多い。また極めて優秀な武人でもあり、界竜より賜った特殊な異能を保有する。

「此処までが一般的な定義だ」

「そんなこと知ってるわよ」
「彼女は【竜覚?】に目覚めていない」
「嘘でしょ!?」
「吸い上げた情報をそのまま伝えているだけだ」

これが証拠だ。
竜と竜と白の巫女
《物語スレッド》http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/7039/11...
[139-143][157][173-174][223] 竜と竜と白の巫女

「ファーゾナーから授かったとされる『鉄塊ノ武』も単なる異能だ」
「じ、自分の首が納豆糸でじわじわと絞まっていくのを感じる……」
「俺様の前ではどんな秘密も進軍できず存在できない」
「こんな事を喋った日には間違いなく消されるわね」
「彼女一位は「双頭竜業黒?」を殺害した剣客伐辰一刀斎を殺害した」
「ええっ」

詳しくは此処を見ることだ。
《つなぎの神話》http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/7039/11...
[15-19]立会い


「竜を害する物を殺すのが彼女のもう一つの仕事でも有る。
ちなみに「双頭竜業黒」は
青洋に棲む二つ首の竜にて海の秩序を守る守護者とされ、
膨大な水圧を吐息として吐き出し、海を荒らす邪悪な海魔たちを切り裂くとされる」
「ほむ。どーでも良い知識だね」
「閃樹の説明に移ろう。彼は剣客伐辰一刀斎の一番弟子だ」
「ほむ」
「最初は師の敵を討とうと来たのだが……」

ダメ巫女と言理の迷子19

竜殺しの一人として名高い、七天八刀"第五位"の伐辰一刀斎は、竜神信教"第一位"である界竜の巫女の手により殺害された。
伐辰一刀斎の持つ銘刀は観栄明の作である【五重剋】。一位の巫女は伐辰一刀斎を殺害しその刀を奪った。
その時点で、七天八刀の第五位は界竜の巫女のものとなった。
七天八刀の称号は、その称号を持つ者を倒した者に受け継がれるのだ。
竜神信教"第一位"は九人の巫女の中でただ一人のみ武力を持つ。
その強大な力は、竜に仇なす者を断罪する為に界竜ファーゾナーから与えられたものである。
まあ実際は単なる異能だがな。
伐辰一刀斎の強さを支えていたのはその強健なる脚だった。
その健脚は一足で一里を踏破し、一度跳躍すれば雲の高さにも達するという。
しかし一位の巫女は彼の神速の踏み込みを真正面から受けてたった。
彼女の「武力」は相手の圧倒的な「速力」を凌駕したのだ。
伐辰一刀斎には閃樹という名の弟子が居た。
閃樹は仇討ちの為、一の巫女に立会いを申し込んだ。

閃樹「師の仇、尋常に勝負!」
一位「…私は竜に仇なす者以外と戦う気はありません」
閃樹「くっ、だったら今から竜を殺してきてやる、その次は貴様だ、首を洗って待っていろ!」
一位「……」
数週間後
閃樹「竜を殺してきたぞ此れが証拠の竜の首だ、さあ勝負しろ!」
一位「……これ、亜竜の首ですね」
閃樹「な、なに? でも、これも竜だろ?」
一位「いえ、私達が奉する紀竜とはまったくの別物です」
閃樹「えっと……じゃあ、勝負は…」
一位「できません」
閃樹「……」
一位「……」
閃樹「く、くそぅ、絶対勝負させてやる、覚えてろよバカやろぉぉ…」(走り去り)
一位「やれやれ…(溜息)」

言理の妖精のささやきが聞こえる…)
わざわざ竜を狩りにいく閃樹がwww
何だかんだで一生、勝負できなさそうwww
最初は敵同士(片方は全くやる気なし)。でもなんだか最近アイツのことが・・・。
命の盗り合いするのになんだかほのぼのしてるなw
一位が激しくツボな件。
そんな彼女の宿敵は同じく一の位を持つ女、キュトスの姉妹ヘリステラ
忘れ去られた事実だが、実はヘリステラ、糸竜グレイシス紀竜グレイシスとなったところを撃破した紀竜殺しであったのだ。
(せ、閃樹ってそうとうなアホと言うかホームラン級の馬鹿ね……)
?は深々とため息をついた。

ダメ巫女と言理の迷子20

「続きいくぞー」
「あいあい」

閃樹「我が仇討ちの為にその命、頂戴するぞ…」
紀竜(兄)「くっ…まさか、人間に…」
紀竜(弟)「に、にいちゃん!」
紀竜(兄)「く、来るな、俺に構わずお前は逃げるんだ…」
紀竜(弟)「でも、でも!」
紀竜(兄)「に、人間よ、私の事は良い、だが弟だけは…」
紀竜(弟)「そんなの駄目だよ! ねえ、お願いだよ、僕はどうなっても良いから兄ちゃんを助けて!」
閃樹「え……あ〜、え〜っと……」
一位「で、結局、殺せなかったと…」
閃樹「………」
一位「まぁ…何ですか、お茶でも淹れましょうか…」
閃樹「………頼む…」
(なんと言うほのぼの………)
「2週間後だ」
閃樹「たのも〜!」
一位「また来たのですか…」
閃樹「当然だ、師匠の仇をとるまで俺は諦めん!」
一位「そ…」(ガラッ)
九位「ねえ、一位居る〜って、わぁっ!」
閃樹「な、何だ?」
一位「九位…?」
九位「わ、わ、わ! この人だれ! 一位の彼氏っ?」
一位「あなたは…また馬鹿なことを…」
閃樹「おいおい、お嬢ちゃん、それは例え世界が引っくり返ろうとありえんないって」
九位「え〜、そうなの?」
閃樹「そうそう、それに、こんな無表情な上に化物じみた怪力女を好きになる奴、この世に居るのかどうか…」
一位「………」
九位「……エット、ソレハ、イイスギジャナイカナ?」
閃樹「いやいや、こんなもの序の口ですよ? 大体この女は…」
一位「…閃樹殿」
閃樹「ん、どうした…」
一位「気が変わりました、今から勝負して差し上げましょう」
閃樹「本当か! では早速、しょう… 一位「死ね(ボソ)」…ぶエェアァァッ!?」
九位(うわ…容赦な…、そんなにショックだったのかな?)
一位「………何か?」
九位「イ、イエ、ナンデモナイッスヨ〜」
(ノ∀`)アチャー
つか、何気に九位がいいキャラしてるな
閃樹「く、良く覚えてないが後一歩という所で負けてしまった様だな、だが俺は諦めん!」
九位「あ、生きてたんだ」

(……なんというか背筋がこそばゆくなる展開ね)
「そして閃樹は間違いなくギアーグカールだな」
「うむー一位様も自分の気持ちに気付かない辺り鈍感と言うかなんと言うか」

ダメ巫女と言理の迷子21


さらに時は過ぎる。

閃樹「やはり武器だな、あいつは魔刀『五重剋』を持っている、この差は大きい」
九位(素手でボコボコにされてた気がするけど…)
閃樹「実力はそう変わらんはずだしな、俺も何か良い刀を見つけなければ…」
ダイロ「で、何でコイツは此処に居るんだ?」
九位「いや、何かついてきちゃって…」
閃樹「という訳で少年、君は螺旋竜の弟子らしいな少し頼みがあるのだが」
ダイロ「だから、違うというのに……何だ頼み?」
閃樹「そう、どうせ何か螺旋竜の秘蔵の名剣とかあるだろ、ちょっとパクってきて俺に譲ってくれ」
ダイロ「お前、もう帰れ」

(言理の妖精のささやきが聞こえる)
お前本気で仇討ちする気あんのかwwww
閃樹、アホ過ぎて良いww
愛すべき馬鹿野郎って、こういう奴の事を言うんだろうなwww
閃樹って、なんかイクタチと相性良さそうな馬鹿だよな

(なんというあほ…………)
最初は情報が脳内に強制的に刷り込まれる不快感に身もだえしたが
瞑もすっかりなれたもので今ではお茶を啜っている。

閃樹「一位、一位は居るか!」
九位「あ、一位なら今、禊の最中で…あ」
一位「………っ!?」
閃樹「さあ、尋常に勝負しろ…って、おや?」
一位「……閃樹殿……何か言い残す事はありますか?」(フルフル)
閃樹「え〜と…お、お前もまだ若いし、まだ望みはあ…
一位「死ね」
閃樹「…るぶギャウッ!?」
九位「う、うわ…泉の水が真っ赤に…」

ブフッー!
瞑は盛大に茶を吹いた。

閃樹「う〜む、今日一日の記憶が思いだせん何故だ?」
ダイロ「儂が知るか」
(お茶返せっwww)
(ツボに入ったな、瞑)
ウィアド?ぐっジョブ!例え竜神信仰の作法や儀礼覚えてなくてもこのネタだけで一位様はぐらかせそう!)

ダメ巫女と言理の迷子22

「次いくぞ」
「あいあい」
一脚閃覇の流派は一撃必殺を信条とする流派である。
その鍛錬は剣術よりもむしろ脚力を鍛えるためのものであり、【踏み込み】という一点を突き詰めた流派なのである。
その流派を極めたものは一里を一瞬で渡り険しい山脈を一足で踏破し水面を走り抜けるという。
彼らにとっては速度こそが第一であり、剣の太刀筋や技の組み立てなどは二の次なのである。

「閃樹、起きろ」
「痛っ、あ〜…また負けたのか」
「おうよ、見事なまでのワンツーフィニッシュだったぞ」
「やっぱ、武器の差か?」
「相手は素手だぞ…」
「じゃあアレだ、イクタチ、お前が手を抜いてるだろ」
「そんな訳あるか、純粋に相手がお前よりも圧倒的に強いだけだ馬鹿者」
「まぁ、そうだろうなぁ、師匠も適わなかった相手だし」
「どうする期限はとうに過ぎているのだろう、お前の兄弟子達も既に動き出している頃だ」
「分かってるよ、まぁ勝てなくても…殺す事は簡単そうなんだけどな…」
「ほう…?」
「例えば、人質を取る」
「ふん…あの九位の巫女か?」
「いや、あの娘は無理だな近くに上位の紀竜が居る、あんな化物を相手にはできん、
 人質に取るなら一般の信者たちだ、少なくとも兄者達はそう考えている」
「なるほどな、それで殺るのか?」
「どうするかな…」
「師の仇を取るのがお前の望みなのだろう、その為に俺を手に取った筈だ」
「粗大ゴミ置き場でな」
「茶化すな」
「……すまん」
「………」
「これは、裏切り…になるのかな?」
「さあな、そんな事を俺に聞くな」
「悪い……少し、考える…」
「時間はもう無いぞ…」
「分かってるさ、ちゃんと分かってる…」

(おおっ、人鉄の魔剣イクタチとなにやらシリアスなふいんき)

ダメ巫女と言理の迷子23



場面が変わる。
閃樹は数人の剣客に取り囲まれている。
(これは……一脚閃覇の兄弟子と閃樹の戦いね)

「がっ…き、きざま…ぐはっ……」
「くっ、私を裏切る気か、閃樹…」
「すみません、兄者…」
「師匠に一番懐いていたお前だからこそと思い、仇討ちの機会を与えたのだがな…」
「……もう、止めることは出来ないのですか?」
「無理だな、我らが振り上げたこの刃は界竜の巫女を切り裂くことでしか止められん」
「なら、俺はその刃を叩き折ってでも止めてみせる」
「ふん…餓鬼が吼える、いいだろう今から貴様は我らの敵だ…死ね!」
一脚閃覇一刀流?、閃樹…いざ押して参る!」

閃く閃光、凌ぎを削る死闘が始まった。
(おおっ手に汗握るバトル!)

 一方その頃

「最近の一位元気ないわね、男にでも振られたのかしら?」
「そ…んな訳、無いでしょう、それよりも九位が見当たらないのですが知りませんか?」
「あぁ…、そういえば何でも今日は、男の所に泊まりに行くとか行ってたわね」
「男って…また、あの娘は……」
「はあぁっ!八位?その話は本当なの!?」
「ええ本当だけど、何を怒っているの二位?、別に良いじゃない好きな男の家に泊まるくらい」
「いい訳あるか!あの娘はまだ13歳なのよっ!!」
「あんな小さな娘にも彼氏はいるのにボクは未だに独り……欝だ死のう…」
「ちょっ、七位?っ!ロープなんか持って何処に…って、こら待ちなさぁい!?」
「………」
五重剋の手入れをしながら界竜の巫女は一人、溜息をつく…
一位(最近、閃樹殿が来ない…もしかして飽きr…いえ、諦めたのでしょうか…)
九位「って訳で、ここのところ一位ってば元気が無くてさ〜」(ごろごろ)
ダイロ「さよか…まあ、それはさておき、そろそろ体を離してくれんか? 暑苦しくて適わん…」

ダメ巫女と言理の迷子24

(良い感じに混沌とした人間関係ねー)
「面白かったか?」
(とっても。こんな身近にこんな面白い事が有るなんて。)
「ちなみに竜導師長であると九頭竜の巫女の第六位?は生別れの姉弟である。
だが、その事実を当人達は知らされていない」
(へえー。人が知らない事を知るってのは……
やばいことしっちゃったと恐怖を覚える反面、変な優越感が有るわね)
「マンネリ気味だったこの関係も有るキャラの登場で変わる。と」
吸血竜ケルクツェック=竜騎士ノスフィ・ラトエ?】の説明だ。
螺旋竜カラコールの従妹、趣味は逆セクハラとダイロ弄り、たまたま知り合った閃樹に案内されて竜神信教本山に現れる
閃樹曰く「けしからん程に大きかった、一位も少しは見習ってうわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp」
不死の属性を持つノスフィ。
彼女は竜騎士形態の時、ニンゲンに近い形態になる。
他の竜騎士たちが戦闘に特化した『鱗鎧』を身に纏っているのに対し、彼女は竜形態・竜騎士形態共に鱗を持たない。
純白の滑らかな肌は両形態共通であり、彼女はその純白の肌から特殊な波長の光を放ち、周囲の視線を逃れる事ができる。
その能力を使い、男女問わず色々な秘密を収拾している。
吸血竜ケルクツェック
好物はいい男の血液。
可愛い娘の血液も好き。
可愛い動物の血液も好き。
可愛げが無くても血液は好き。
つまり血液ならなんでもいい。
「鱗を持っていない竜ってのもいるのね」
「竜騎士と冠名が付いていない竜に人間に近い形態をとるものが多い…」
「ふーん」
「具体的には戦闘のための竜頭竜鱗の竜騎士形態より
人間形態の方が都合のいい場合にそういう特例が生まれるということだな……竜墓守ダイロ、竜籠守ムーラン?餓竜姫アルマリデル
ノスフィ・ラトエは恐らく諜報のためだろうなあ」



ノスフィ「やあ久しぶりだねダイロ、元気にしていたかい?」
ダイロ 「ちょ、久しぶりなのは良いが、あいさつしながら体を撫で回さんでくれ…」
一位  「ね〜…閃樹さん? あの巨乳女は誰なのかな〜?」(ピキピキ)
閃樹  「い、いや…先日、街でナンパ中に知りあってな、何でもダイロ君の従妹だと言うので連れて来たんだが…」(ビクビク)
一位  「ほぅ、ナンパですか…閃樹殿、確かここ数日は修行の旅に出ていたと聞いていましたが…その辺、少し詳しく話をしましょうか…」(ピキピキ)

(一位様意外と嫉妬深い…けど堅物な性格が邪魔してるわねー)

ダメ巫女と言理の迷子25

(………)

閃樹  「なあなあ、この部屋に九位ちゃん泊めたってマジなん?」
ダイロ 「ぶっ、何故お前がその事を知っている!?」
アルセス「あ、それ僕が教えた」
ダイロ 「ちょ、それこそ何でアンタが知っている…」
アルセス「いやぁ、ほら僕って一応、偉い神様だし?」
閃樹  「何いってんの?ただのストーカーだろ」
アルセス「酷いなぁ、純愛に生きる恋の狩人と言っておくれよ」
閃樹  「はいはい、アルセスおつ、で、どうだったよ?」
ダイロ 「いや、特に何も…ただ飯食って寝ただけ、あ、別のベットでな?」
閃樹  「ちょ、マジで?それは無いわぁ…」
ダイロ 「煩い黙れ、お前こそ界竜の巫女と何も進展が無いくせに」
閃樹  「ばっ、別に俺と一位はそう言うんじゃっ…」
アルセス「とか言いながら、今週末は彼女と一緒にデートなんでしょ」
閃樹  「ぶはっ、何でアンタがその事を!?いや、それは別にただの買出しに付き合うだけでデートでは…」
アルセス「ふふっ、僕の情報網を甘く見てはいけない、君、新作映画の当日券を二枚購入したでしょ?」
ダイロ 「ほほぅ? それは詳しく聞かせてもらおうか?」
閃樹  「いや、だからそれは…」

(言理の妖精のささやきが聞こえる……)
いつの間にか結構親密になってる男三人とか…って、あれ何でアルセスが居るのん?
閃樹とダイロは違和感に気付いていない、アルセスは人がイチャイチャするのが妬ましくて人の恋路を邪魔する気なんだね。
と言うか閃樹、お前仇討ちはどうした
もう復讐なんてどうでもよくなってきたんじゃ。

「ち、違うぞ、あの、これは断じて色事に現を抜かしているわけでは・・・・・・
そう!憎しみは新たな憎しみを産む、この不毛な連鎖は誰かが断ち切らなくてはならないのだ、
我が師、一刀斎老を草葉の陰でそう思っているに違いないのだ!」

(おじいちゃん可哀想……)
「人間も神も竜も所詮欲望の塊だな」
しししっ、と歯の間から空気を押し出すような音を立てて
ウィアドは嘲笑った。
「まあ、皆欲望の塊ってのは認めるわ。アルセス恋の欲望に踊らされて今でも沢山の悲劇を作ってるし。
ラヴァエヤナグレンデルヒティアテラの知識欲や探求欲、[[セラティス]も強くなりたいとう向上欲。ぺルケテンヌル?は悪意。
レナリア?の物欲、メクセトハルバンテフ?の支配欲。マグドールの金欲。そして私は怠惰欲。
ウィアド…あなたもそうよ。貴方の欲望は愉快な言理そのものに対する欲望。
「これは痛いところを突かれたな」
「というか今適当に口を付いて出た名前の人、半分もわかんないというか知らないのに自然に出てきた」

ダメ巫女と言理の迷子26

「さ、続きにいくか」


一位「貴方がナンパ等という不埒な行為をするのは別に私には関係ありませんが、
えぇ、まったくと言って良いくらいに関係ありませんが、
その事を嘘を吐いてまで隠すのは悪質ではないですか、
いえ私に隠し事をしていた事に怒っているのではなく貴方が嘘を吐いた事に怒っているのです、
嘘を吐くのは盗人の始まりとも言いますし、私は閃樹殿にその様な犯罪者にはなって欲しくないのです、
ですから嘘を吐いた罰として今週末に行う街への買出しの荷物持ちとしてついて来る様に、
あ、そう言えば丁度今週末に新作の映画が公開されるのを知っていますか、
そうあの騎士と魔女の悲恋物語の、いえ、別に催促している訳では無いのですよ、
別にただの世間話で、ただ少し興味があるだけで巷でも話題の恋愛巨編だそうじゃないですか、
いえこれはまぁ九位からの受け売りなんですけど、そういえば閃樹殿はここ最近、云々…」

(一位様って意外と可愛らしいわねー。
映画の内容はソルダ?コルセスカの物語は私も見に行きたいなあ……)
(言理の妖精のささやきが聞こえる)
見える見えるぞ俺には、一見何でもないような振りをしながらも内心は週末デートの事で一杯でソワソワしまくりングな一位の姿が見える。
あれ一位ってツンデレ?
映画の内容がソルダとコルセスカの話な件
実は映画、ノンフィクションだから。アルセスが破局させましたから。
その映画の総監督はアルセス、大好評な新作映画のお陰で印税ガッポガッポ
人の恋路を邪魔した上にそれを食い物にするアルセス映画監督はテラ鬼畜。
(……アルセスは主神だけど死ねば良いと思うよ。
でも無駄にズル賢く主神の座にいるうえに紀元槍まで持って手が出せないってのは腹立たしいというのはわかる)

ダメ巫女と言理の迷子27

「さて、そろそろ情報も終盤に差し掛かってきたぞ」
「ういうい」
「纏めていくか」
ダレモ?      古き竜騎士。物忘れが激しい。先代の竜墓守。
ノスフィ・ラトエ ダイロにセクハラするのが趣味。性格はエロおやぢ。
ウトナ?      ラトエ?のライバル、飄々としているけど内心ダイロ狙ってる。
(ウトナって誰??きょぬーの猫耳少女?)

九位「えっ、ダイロとなら昨日も会って…(思い出して真っ赤に)…や、べ、別に…ふ、普通だよぅ?」

(なにをやってるんだ九位)

ノスフィが来てからというものクィの様子が変でな、何かに焦ってるような感じで
前にも増して引っ付いてくるというか、今までとは違う感じで甘えてくると言うか
最近は一日のうち身体を離してる時間の方が少ない気がするし、
抱き合ってる時とか何かを訴えるような表情で顔を摺り寄せてきたりして、
もうね、そろそろ儂の理性もマジでヤバスなんだが…なぁ、どうすれば良いと思う?
などと、久しぶりに出会った友竜カラコールに相談なのか惚気なのかよく分からんことを語られて
ついつい、奴の顔面に全力の衝撃波を叩き込んでしまった俺を一体だれが責められようか? by廻転竜ヴィントミューレ

(あんたは英雄だ)

螺旋竜は紀竜の墓場である竜骸の森を守り
廻転竜は紀竜の揺籠である竜卵の谷を守る

『廻転竜ヴィントミューレ』
輪っか。
ヴィントミューレは四枚の羽を持ち、それを風車のように回転させる事により周囲の大気を操る事が出来る。
ヴィントミューレの化身する姿は竜籠守ムーラン、
ノスフィ・ラトエに淡い恋心を持っていたり持っていなかったり
ダイロとムーランは仲が良いんだか悪いんだか微妙な関係。
かつて螺旋竜カラコールが棲む竜骸の森に猩々のセングスが侵略してきたように、
ヴィントミューレの守護する竜卵の谷にも南東からの脅威の眷属の魔手が伸びた。
竜卵の谷におけるオロガンローデサンプリング採取作戦
指揮官:大海星「浅瀬に引きずり込む」ラバム?
副官:海栗の双子ジザザ?ズザザ?
以下二百体
竜卵の谷を襲撃の際、副官であった筈の海栗の双子の突然の裏切りによってラバムは敗走する事となる
…(ウィアドの力によりスィーリアとの記録が再現された)
練習・チラシの裏・書き殴りスレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/7039/11...
[851-852]

後は……
ツカバネ
民間信仰の女神(山の神)だったが、ゼオート神群系宗教に信徒を奪われ零落した。
ズーズヤサ?(山婆)と化し、自分たちに叛き新しい神々についた人間
たちを祟っていたが、竜神信教の巫女によって鎮められたと伝えられる。
竜神信教の総本山には彼女を祀った祠がある。
使い魔として確保されたのだ。その地の領主との取引により、
『巫女』として伝えられる人物あるいは集団は、ツカバネを捕獲し、
総本山に設置した『祠』に封じた。祠が空になっているときは、
誰かが彼女を使役しているということだ。

ダメ巫女と言理の迷子28

「最後の重要な言理について語ろう、【千呪と閃樹】だ」
「閃樹はギャグキャラだよね」
「千呪は違う。異世界より呼び出された剣妖そのもの」
「おなじ「せんじゅ」でもえらい違いね」
「しししっ、そうともいえぬ。【千呪と閃樹】は違う分岐をたどった並行時空同一存在だからだ」

――【千呪】
それは、異なる世界線より呼び出された存在
憎しみに狂った、ある魔男が現界へと召喚した悪鬼
自らを妖刀に呑まれ、自らも妖刀を呑み込んだ剣魔
猫神魔竜を尽く斬り殺し喰らい死滅させる人ならぬ非徒
彼の名は千呪、千の呪いを身に纏い閃の訓えを棄てた修羅
その死呼ぶ刃が向かう先には一人の

「こんな歌が有る」
「ほむ」
「とある平行世界を支配していた神々…
【純神族】【猫神族】【竜神族】【魔神族】【人神族】
それぞれの種族を取り込み、その種族の支配に特化した神々。
5種の神々は皆、『千呪』という存在によって滅ぼされた。
千呪は文字通り、千の呪いが形をなしたものだったと聞く。
まさか「たかが」呪いによって滅びる羽目になるとは、
神々も思ってなかった。その平行世界にはその神々しかいなかったから。
この世界と違って、実在する神はその一群しかいなかった。
自分達に匹敵する相手なんて他にいなかった。
だからこそ能天気に同じ神々の御世が続いたわけだが。
生まれるはずだった男児が一人まるごと世界から抜け落ちた。
そのあとには『男児|少年|青年|壮年|中年|老年』の形をした
時空上の空洞が残った。そこに千の呪いが流入すると、
空洞は鋳型となって呪いに形を与えた。
こうして、生まれるはずだった男児と同じ姿形をした『千呪』が産声をあげた。

「………」

ダメ巫女と言理の迷子29

「千呪は閃樹なの?」
「そうだ。此処と良く似た違う世界の……
異なる世界では閃樹が抜け落ちた空洞に千呪が入った。
あるいは……向うの世界の閃樹は一位を殺してしまったのだ
そして妖刀【五重剋】を手にし、その妖気に中てられて、
千呪に変貌、猫神魔竜を殺しつくし人をも滅す悪鬼と化した……
「何だか理屈が通らないし………どちらにしても救いがないわ」
「千呪は世界を蝕む致命的バグという言理も存在する。
並行世界から閃樹が抜け落ちてこちらにやってきた事が全ての始まりだったのかもしれないな。
そして千呪の存在を知ったある男の手により、
我々の知る閃樹が居る世界へと召喚された……
千呪が七天八刀三位に数えられた
そして【五重剋】の真銘こそが【五重剋塵芥屑切】
(歌が聞こえる………)
「剣鬼を継ぐ者に異界の肉を授けん……剣鬼よ、剣魔となれ。
その骨は凶意を支える柱。その血は他者より流れ込む慟哭の支流。
剣と合一し、剣の意志のまま、剣を牙とし生類を喰い尽くせ」
「……千呪を呼ぶ歌ねこれ」
「こんな予言も有る。千呪は同じ名を持つ者に倒されるだろうとな」


五重剋は五つ重ねることを剋つ。
それは世界を蝕む致命的なバグが具現化した姿。
五重剋は五重剋自身でしか破壊する事が出来ず、世界に唯一の存在である為、破壊は不可能…
その為、ある別平行軸上の世界においては万物の存在が五重剋を持つ一人の剣鬼に斬り捨てられる事になった。
しかし、何の因果であろうか、今この世界には二つの五重剋とその振るい手が存在するのである。

魔男はその為に千呪を召喚したのかもな」

五重剋を造った鍛冶師はこの刀にある呪いを課した。
「  」を五つ積み重ねる事。
それによって五十剋は完成し、真の力を発揮する。
千呪は五つ積み重ね、一刀斎は一つ積み重ねた。
この世界の五重剋は、未完成なのである。
一刀斎は竜、千呪は猫と竜と神と魔と人。
千呪はこの世界に移った後も妖刀を振るい目に映る全てを斬り続けた
ある時は街を斬り滅ぼし、またある時は国を斬り滅ぼした
そんな中で、ふらりと立ち寄った小さな村があった
そこは既にある山賊達の手によって蹂躙されていた
千呪は山賊たちをいつもの様に皆殺しにした
その後に残ったものは死に絶えた山賊と村人の骸
黒煙を上げる村と荒らされた田畑
そして、奇跡的に生き延びていた一つの命
血みどろの剣鬼の姿に、ただ震えるしかできない矮小な存在に
何故か、千呪はその凶刃を振り下ろす事はなかった
その後、ただ一人生き残った幼子を拾い上げ育てたのが一刀斎であった。
彼の刀「五重剋」を目にしたとき、幼子は奇妙な顔をしてこう言った。
「似てるけど違う」と。

ダメ巫女と言理の迷子30(おわり)

「千呪を召喚したのはアルセスだという説も有る」
「ろくなことをしないわね」
「何かゆえあってかもな」

千呪は目に映る全てを斬り続け、その内東亜大陸で優れた剣客に送られる称号七天八刀の第三位を襲名することになった。
もっとも、千呪はそんなのことを知らないし、どうでもよいくらい些事なことだった。
だって、奴は見た奴を殺す声を掛けた奴を殺す近づいた奴を殺す挑んだ奴を殺す逃げる奴を殺す追いかけてくる奴を殺す
命乞いをする奴を殺す立ち向かう奴を殺す。とにかく殺し続ける。
双満月の夜、決まって彼は山の麓の泉へと訪れる、彼はそこで何をするでもなく、月明かりの下、掲げた大太刀の刀身を眺め続ける、
その瞳はただ刃だけを見つめ続け、例え声をかけようとも反応はない、事実その耳には私の声は届いて居ないのだろう、
ただ一途に妖光へ魅入る彼の姿は何故か悲愴に見えて、いつしか双満月の夜を待ち焦がれている自分に気付き、そして私は今日も泉へ向かう。
七天八刀の頂点ともいえる無双朧月と鏖殺戦鬼、エイプリル?は「リハーサル」の能力で彼等の虚像を作り出そうとした。
まず始めに生み出したのは無双朧月の虚像、だが自らが作り出した虚像と目が合った瞬間、気が付けばエイプリルは倒れていた、
圧倒的な力の差に何が起きたのかすら分からなかった。
次に生み出そうとしたのは鏖殺戦鬼、だが何故か彼の虚像は作り出すことが出来なかった。
それから数年、偶然にも鏖殺戦鬼の噂を聞いた、何でも近くの小村を襲っていた盗賊団を村人ごと皆殺しにしたらしい、珍しくたった一人の幼子だけを残して。
その話を聞いたエイプリルは鏖殺戦鬼を探す事にした、何故そのような行動に出たのかは彼女自身も分からなかった。
そして、ある双満月の晩、遂に彼女は見つける事となる、澄んだ泉の辺で月光の元に佇む彼の姿を。
千呪は何故か双満月の夜の間だけ無防備になる、その時を狙って現れる【社会】(やしろかい)の刺客をエイプリルは影ながらに葬り続けていた。
【社会】(やしろかい)とは東方地域を拠点とする秘密結社の一つである。
その活動内容は人々に災いをもたらす者の排除、その中には千呪の抹殺指令も含まれている。
六位の巫女の従者が巫女に仕える以前の頃、【社会】から脱会した際に序でにルインオブパンテオン?を盗んだ。
従者が裏切り盗み出すまでの間、社会はルイン・オブ・パンテオンを使用し様々な悪魔や神々、そしてキュトスの姉妹達を滅した。

瞑は目を閉じ、開く。
「随分色んな事が分かったわ」
「そうか」
「中でも重要なのは最後の千呪の話」
「どうしてだ」
「やることわかったのよ。何としても一位と閃樹にはくっ付いてもらって、千呪を閃樹が倒すの」
「………」
「何となくだけど、五重剋をこれ以上血で染めてはいけないような気がする……」
「しししっ!なかなか面白い事を考える」
「だって、この世界の一位様と閃樹には悲劇が起こって欲しくないじゃない……
悲劇なんて一回見れば十分よ!」
そして丁度一位の巫女が最果社にやってきた。
「瞑!貴方また仕事をサボってないでしょうね?
貴方も巫女の端くれ。今から竜神様に仕える巫女としての礼法作法や教義について……」
一位の話が終らぬまに瞑は一位に近付くと、こう囁いた。
「一位様はもっと自分の好きって気持ちに素直になれば良いよ!それできっと全部上手くいくんだから!」
「なっ!」
心を見透かされた事に驚愕し、真っ赤になって固まる一位の虚を突き、すり抜けて瞑は走る。
「いろいろあったけど、つまらなかった此処も面白くなりそうね!」
瞑は晴れやかな笑顔で、嬉しくて跳ねるように石段を駆け下りていった。
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