世界のビール、日本のビールとビールの旨い店の紹介。

ベルギーのビール

ビールで有名な国といえばドイツ、イギリス辺りを思い浮かべる人が多いと思うけれども、ベルギーはビールの多様さでは世界有数のビールの生産国。
エールとランビックの多様さが特徴なので、日本でベルギービールとよぶ場合はこの2種類を指して言われる場合が多い。色、味、香りからアルコール度数など非常にバラエティに富んでいて、2つと同じ味わいのビールは無いと言われている。しかしベルギー国内でも全消費量の内7割前後はを下面発酵のピルスナーが占めていて主に飲まれているビールもピルスナーが主流。
銘柄ごとに独自の形をした専用グラスが多い事も特徴の一つで、ベルギービールを味わうためには専用グラスが重要であり、グラスの違いで味わいに差がでるとも言われている。
ワインと同様に長期熟成行ったり、瓶詰めの際に少量の酵母と糖を入れて瓶内発酵を促すボトルコンディションを行うものも多い。
中世に修道院の修道士によって作られはじめたアベイ(修道院)ビールもベルギー特有のもの。特に現在も修道院内で醸造を行い法律で保護され修道士協会に認められた7銘柄{オルヴァル(Orval)、シメイ(Chimay)、ロシュフォール、(Rochefort)、ウェストマール(Westmalle)、ウェストフレテレン(Westvleteren)、アヘル(Achel)、ラ・トラッペ(La Trappe):オランダで醸造 }をトラピストビールと呼んでいる。
最近はベルギービールの中でもフルーティーさとライトな飲みやすさからホワイトビールの人気が高い。
ヨーロピアンピルスナーステラ・アルトワ
ホワイト       ヒューガルデン・ホワイトセリス・ホワイトヴェデット・エキストラ・ホワイトセント・ベルナルデュス・ホワイトグリセット・ブランシェブロンシュ・ド・ブリュッセル
ベルジャンエール   ヒューガルデン・禁断の果実パウエル・クワックブルッグス・ゾット・ブロンドサンフーヤン・ブロンド
ゴールデンエール   デリリウム・トレメンス
デュッベル(ダブル) デリリウム・ノクトルム
ボック        ルート・ボック
セゾン        セゾン・デュポン
アベイ        レフ・ブロンドレフ・ブラウンセント・ベルナルデュス・アブト
トラピスト      オルヴァルシメイ・ブルーロッシュフォール10
レッドビール     ドゥシャス・ド・ブルゴーニュ
クリーク       ベルビュー・クリーク、フローリス・クリーク

イギリスのビール

エールビールの本場として知られている。エールビールはもともとは常温で飲まれていたが、冷蔵技術の発達した現在では冷やした物が主流。しかしパブなどでは常温を注文すれば普通に出てくる店も多い。常温のエールはブランデーの水割りのようなスロードリンクに感じが近いので、日本風の冷やしたラガータイプのビールに馴れた人にはかなり違和感を覚えるかもしれない。
イギリスでは伝統的なビールはパブで飲む為に樽詰めで流通していることが多い。ビールの製造所で主発酵された後、樽詰めされ一週間ほど二次発酵が行われる。パブではそれぞれのマスターが飲み頃を見計らってお客に出す。
樽詰めのエールはビターと呼ばれ、瓶詰めのものはペールと呼ばれる。樽詰めのビターエールは酵母が浮遊するため濁っており、酵母の香りとホップの香りが豊かで、濾過せずに常温で飲むのがイギリス流らしい。
エールの本場イギリスでも外国産ビールに押され気味だった為に、熱心なエールファンによる真正エール復活運動が起こったりしたが、現在でも若者層を主流に多く飲まれているビールは冷やして供される外国産ブランドのラガー、もしくは自国産のラガーであり、これらのビールは上記の真正エールなどをはるかに超えるシェアを持っている。
ペールエール バス・ペールエールフラーズ・ロンドン・プライド
アメリカン コブラ

アイルランドのビール

アイルランドのビールと言えば真先に思い浮ぶのがスタウト。国民一人当たりのビール消費量が世界第二位のアイルランドにおいて市場の半分以上がスタウトが占めている。スタウトは1770年代にイギリスのポーターエールをアイルランドのギネス社がアルコール度数を高めてスタウト(強い)ポーターとして売り出したのが始まり。その後イギリスなどにも逆輸入され世界中で流行しアイルランドを代表するビールとなった。
レッドエール キルケニー
スタウト ギネス

ドイツのビール

下面発酵ビール(ラガービール)の原産国。もともとはバイエルン地方の地ビール的な存在だったラガーは低温で醸造する必要があり、その昔は冬季にしか製造されていなかった。が冷却機などの設備が発明された19世紀以降に世界中に普及し、瞬く間にビールの主流となっていった。ドイツビールと言うとラガータイプのビールをイメージするが、アルト、ケルシュ、ヴァイツェンなどのエールタイプのビールも数多く造られている。
ドイツでは1516年に制定されたビール純粋令という法律によってビールを名乗る飲料には原材料の規制(水・麦芽・ホップのみを原料とする飲料物のみをビールとしてとりあつかう)がかつて存在した。しかし諸外国から関税障壁であると非難され、現在は輸入ビールについてはこの法律は適用されなくなっている。ドイツのビールメーカーは、日本酒の地酒のように各地にあり、全国ブランドのビールメーカーは少ない。ドイツ国内のビール銘柄は5000以上あり、醸造所(ブリュワリー)は1300ヵ所以上もある。この数は全世界の醸造所の40%を占める。ビールの価格も安く地ビールの缶ビール価格は、現地の缶コーラ価格より安かったりする。
ドイツのビールは大きく分けて大麦を原料とするピルツェンと小麦を原料とするヴァイツェン(ヴァイスビア)がある。小麦を原料とするビールでもミュンヘン近辺では白っぽいヴァイスビールが有名。ドイツ南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州近郊ではヴァイツェン・ビールでも透明なクリシュタール・ヴァイツェン、半透明なヘーヘ・ヴァイツェン、濁ったドゥンケル・ヴァイツェンがある。
ヴァイツェンフランツィスカーナー・ヘーフェ・ヴァイスビール
へレスシュパーテン・ミュンヘナー・ヘル
ボックシュパーテン・プレミアム・ボック
ドゥンケルフレンスブルガー・ドゥンケル


チェコのビール

ドイツのバイエルン地方のローカルビールだったラガーを世界的に広めたのは、この国で生まれたピルスナーのおかげと言われる。(日本で最も飲まれる黄金色のビールは、このピルスナー・タイプ)。ピルスナーは、ピルゼンで醸造されたビールの総称が由来。
ボヘミアンピルスナーピルスナー・ウルケル

オランダのビール

隣国ベルギーの影響もあってビール作りが盛んな国。国内での銘柄は500種類以上といわれている。有名なものはハイネケンやグロールシュが代表的なピルスナー。苦味が少ないライトテイストで特徴的な翡翠色の瓶に詰められ世界中で飲まれている。特にライトな飲み口が受けて東南アジアや南ヨーロッパなどの暑い地方の人気が高い。
エールタイプのビールも多く作られており特にオランダ国内で唯一トラピストビール名乗れるラ・トラッペ(La Trappe)は有名。
ちなみに日本でbearのことをビールと呼ぶのは江戸末期に長崎の出島でオランダと交易していた際のオランダ語のビールのbierにカナをあてたものが由来らしい。
ヨーロピアンピルスナーハイネケン、グロールシュ
トラピストラ・トラッペ

フランスのビール

フランスではワインやシャンパンが有名なのでビールの印象は薄いが、ビール生産量ではヨーロッパ第5位とのこと。隣国のドイツ・ベルギーの影響を受けていて、ドイツ国境に近いアルザス・ロレーヌ地方で生産されている物はラガータイプのものが多く、ベルギーに近いノール地方ではベルジャン・エールタイプのビールが多く生産されている。フランスで代表的なビールは下記の3つの銘柄だが、実際は全てクルーネンブルグ社が製造しているらしい。
ヨーロピアンピルスナークローネンブルグ・1664(クロナンブール)、セーズ・ソワサンカトル 、カンテールブロー

イタリアのビール

イタリアもワインの生産が有名なのでビールの印象は薄いが、近年は若年層を中心にビールの消費量が増加しているらしい。飲み易いライトな飲み口の淡色ピルスナーの生産が中心となっている。
ヨーロピアンピルスナーモレッティメッシーナ

スペインのビール

スペインもイタリアと同様、若年層を中心にビールの消費量が増加している。飲み易い淡色ピルスナーの生産が中心。
ヨーロピアンピルスナーアルハンブラ・エスペシャル

デンマークのビール

デンマークを代表するビールといえばカールスバーグ。近代ビールの父と呼ばれているJ.C.ヤコブセンという人物が1847年にコペンハーゲン近郊に醸造所を設立。その地で本格的な淡色ピルスナーの生産に成功しそのビールをカールスバーグと名づけた。その後ヤコブセンは更なるビールの研究の為、1875年にカールスバーグ研究所を設立し研究所のハンセン博士によってビール酵母の純粋培養に成功した。この技術によってビールの醸造に適した酵母だけを培養し、雑味の無いラガービールを安定的に製造できるようになった。このビール酵母の純粋培養は「ビールの三大発明」に数えられているらしい。(あとの2つはリンデの「冷却機」とパスツールの「低温加熱殺菌法」)ちなみにドイツにもカールスバーグという名前のビールがあるが両者に関係は無いらしい。
ピルスナーカールスバーグ(デンマーク)

その他ヨーロッパのビール

ピルスナーヴィル(エストニア)

アメリカのビール

アメリカンタイプと呼ばれるバドワイザー、ミラーをはじめとした軽い飲み口のビールが中心。しかし西海岸を中心にクラフトビール、マイクロブリューワリーという小醸造所によるビールが多種あり、生産されるビールの種類は世界でも有数と言われている。いろいろな民族や文化が集まる場所なので、ビールの種類も多い。
アメリカン  バドワイザー、ミラー
アメリカン・プレミアムラガーサミュエル・アダムス・ボストン・ラガー
ウィンナー  ブルックリン・ラガー
スチーム   アンカー・スチーム
ペール・エールコナ・ファイヤーロック・ペールエール

メキシコのビール

メキシコは新大陸でもっとも早くビール醸造が始められた国で、醸造技術は主にドイツからの移民によって広められたと言われている。メキシコを代表するビールと言えばコロナ・エキストラだが、有名になったきっかけは、アメリカの西海岸の若者たちの間でライトテイストなコロナビールにライムを絞り込んでビンのまま飲むスタイルが流行り、このスタイルが世界に広まった為。コロナ・エキストラは国外や観光客に人気のビールであって現地の人にとって一番人気のビールではないらしい。
メキシコ国民に1番人気のあるビールはテカテ
メキシコではビールにライムを絞ったり、グラスやビンの縁に塩を付けてソルティードックのようにして飲む飲み方が好まれている。
アメリカンコロナ・エキストラ
アメリカンテカテ
アメリカンボヘミア?
アメリカンドス・エキス?

カナダのビール

カナダでもアメリカ同様、アメリカンタイプのビールが主流で、1人あたりのビール消費も多くモルソン、ラバットという二大全国ブランドがある。イギリスからの伝統も影響し、比較的小規模にエールタイプのビールを生産する地ビール醸造所も多い。
ピルスナーウィスラー・エクスポート

南米のビール

アメリカンタイプ、またはピルスナーなどのライトテイストなビールが多く飲まれている。
変ったところでは南米特有のチチャと呼ばれるとうもろこしを原材料としたビール(ビールと呼べるかどうかは疑問)。とうもろこしを発芽させ、乾燥し粉にして煮る。それをろ過・瓶詰めし、自然発酵させたものを飲む。フルーティーで乳酸飲料に似た味が特徴。

日本のビール(地ビール含む)

日本でのビールの醸造は、1812年に長崎の出島でオランダ商館長のヘンドリック・ドゥーフによって醸造されたのが最初とされている。開国後の1869年には、横浜の外国人居留地でウィーガントらによって、ジャパン・ブルワリーが設立、翌年にはアメリカ人のコープランドがスプリング・ヴァレー・ブルワリーを設立。これらの醸造所で作られたビールは主に居留地の外国人や上流階級の日本人向けに販売されていた。日本人によるビールの醸造は、1853年に川本幸民が、江戸で醸造実験を行ったのが最初とされれている。産業としての醸造は、1869年(明治2年)に、品川県知事であった古賀一平が現在の大井町あたりにビール工場を建造し製造を開始したのが最初とされている。
その後、1885年(明治18年)にはグラバーや岩崎弥之助らによって、キリンビールの前身であるジャパン・ブルワリー・リミテッドが設立。またサッポロビールの前身札幌麦酒会社と日本麦酒株式会社が設立。アサヒビールの前身大阪麦酒株式会社が設立された。この三大企業に1963年、サントリーが加わり以降4大メーカーによる寡占状態が続いている。
長らく日本では4大メーカーのビールが多く飲まれていたが、1994年(平成6年)に酒税法が改正されて最低製造数量基準が緩和されると全国各地で地ビールが醸造され始め、地ビールブームが起こった。しかし、日本ではピルスナータイプのビールが主流で、地ビールに多いエールタイプのビールが余り一般的でなかったこともあり、上位4社が占めるシェアは依然として大きい。
ピルスナー  キリン・ハートランド
ドルトムンターエビス

中国のビール

中国でのビール生産は20世紀の初頭に山東省青島をドイツが租借地とし、ドイツ人技術者によって1897年に醸造所が設立され、産業振興策の為のビール生産を行った事から始まっている。その為現在でも最も有名で生産量も最大なメーカーは、チンタオビール (青島ビール) 。チンタオビールは創業地の青島以外でも、中国各地の工場を買収して傘下に収めている。その他の大手グループとして北京の燕京ビール、広州の珠江ビール、香港資本の華潤ビールなどがある。海外のビールメーカーも中国国内での工場を設立し進出している。こうした大手グループの働きやそもそもの人口が多いこともありビールの生産量は2001年から世界1位。
流通と冷蔵技術が整備されていないので、各地方都市に小規模なビール工場が多数あるが小規模工場の中には品質の悪いものを作っているところもあり中国製品の精度の向上が望まれる。
ピルスナーチンタオ(青島ビール)

インドネシアのビール

オランダの植民地だった為、ビール会社もオランダ系の企業が中心となっている。料理に合わせやすいコクのあるピルスナータイプのビールが主流。
ピルスナービンタン
アメリカンバリハイ

タイのビール

南国のタイでは冷たく冷やした飲み味のすっきりとしたラガーが好まれることが多いらしい。タイではビールに氷を入れる事があるが、これは冷蔵設備が行き渡っていなかった時代の名残。タイのビールは氷を入れる事を前提して多少濃い目に作られている為、冷蔵設備が発達した今でも味を薄める目的で氷を入れる場合も多い。
ピルスナーシンハーチャーンプーケット

ベトナムのビール

他の東南アジア諸国と同様に冷やした飲み味のすっきりとしたラガーが好まれることが多い。ビールに氷を入れて飲まれることもある。
ピルスナーサイゴン、ハノイ

カンボジアのビール

他の東南アジア諸国と同様に冷やした飲み味のすっきりとしたラガーが好まれることが多い。ビールに氷を入れて飲まれることもある。
国民的な人気を誇るアンコール・ビールが有名。
ピルスナーアンコール

インドのビール

インドはその昔イギリス領だったこともあり、イギリスの影響を強く受けている。エールタイプのビールの流通は他のアジアの国々と比べて多いが、主流は他のアジア国々と同じくラガータイプのビール。香辛料を多く使ったインド料理に負けない、しっかりとしたコクを持ったビールが多い。
イギリス統治の大航海時代は本国から輸入するビールの劣化対策として、防腐剤のホップ4倍入れ、アルコール度数を9度まで高めたインデアン・ペールエール(IPA)が生まれた。冷蔵技術が進歩した現在では若干苦味やアルコール度数を抑え飲みやすくしたものがIPAの主流となっている。
ピルスナーマハラジャ
アメリカンキングフィッシャー
        

その他アジアのビール

ピルスナーOBビール(韓国)

オーストラリアのビール

イギリス系移民が中心の国なのでビールの消費は盛んな国。国民1人当りの年間のビール消費量は世界5位。イギリスと同じくパブの文化が発展していて、夜になるとパブは陽気なオーストラリア人で一杯になる。ちなみにオーストラリアでは昔、ホテル以外では深夜にアルコールを提供してはいけないという法律があった為、パブはPUBと言う表記でなくHOTELという表記のところが多いらしい。
流通しているビールは、以前はイギリス植民地の影響を受けエール・タイプのビールが主流だったが、現在は日本と同じくラガー・タイプのビールが主流。しかし昔ながらの製法で作られるエールやスタウトなどの根強いファンも多いため、日本などに比べると比較的多く作られている。トロピカル・スタイル・ライト・ラガーと呼ばれるオセアニアならではの明るい色目のライト・ラガーも多く、軽い口当たりだがアルコール度は5%前後と高めで全般的にやや糖分が高め。

ポリネシア地域のビール

ピルスナーヒナノ(タヒチ)
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