午後9時からBSプレミアムで、旅のチカラ「記憶の音が響く大地へ GOMA オーストラリア」を見る。わたしにとって非情に興味深い番組である。いろんな要素がる汲み取れる内容である。今回の旅人は1973年/昭和48年生まれで、今年39歳になるGOMAさんである。彼は世界最古の管楽器といわれている「ディジュリドゥ」の奏者である。ディジュリドゥ (Didgeridoo)という楽器はオーストラリア原住民アボリジニに昔から伝わる楽器である。ディジュリドゥはシロアリに食べられて筒状になったユーカリの木から作られる。長さは80センチから2メートルといろんな長さがある。楽器の表面は彩色されている。音を出すためには管の一端に口を当てて唇の振動を利用する。大阪府出身のGOMAさんは現在は結婚して娘が一人いる身だが、15年前に一人でオーストラリアに渡った。そこでアボリジニと出会い彼らが吹くディジュリドゥの音を体感することになった。ディジュリドゥをアボリジニから学び、人前で吹けるほどに上達したのだった。それが3年前(2009年/平成21年)に交通事故に遭い、頭部に大きな損傷を負った。当初は高次脳機能障害の症状が強かったが、その症状は徐々に軽減する形で変化していき、MTBI(軽度外傷性脳損傷)と診­断されるようになった。当然ディジュリドゥの演奏活動は休止となった。それから家族の協力も受けて懸命にリハビリを続けた。再起不能と言われた事故から奇跡的に復活してライブ活動を再開出来るまでになった。しかし事故の後遺症が彼を苦しめる。過去の記憶を失った上に、事故後の生活でも記憶がなかなか定着せず、いろんな場面で困難な状況を生じさせることになってしまった。そういうなかでGOMAさんはNHKの企画番組ではあるのだが、オーストラリアへ旅立った。最初にオーストラリア北部にある都市ダーウィンを訪れる。オーストラリア人の仲間と再会し懐かしいと感じながら記憶の断片をつなぎ合わせていく。それからディジュリドゥを教えてもらったアボリジニの家族を訪ねる。記憶が甦ったのか感情が高まったのか、アボリジニの夫人の前で号泣するGOMAさんの姿を写していた。GOMAさんは事故後に点描技法による光あふれる画を、突然に描き出した。一気に書き上げた作品は400点にもなるそうだ。GOMAさんはアボリジニの画を見るために、オーストラリア中央の砂漠地帯で生活するアボリジニの女性画家を訪ねる。二人は交流を深めるように静かにゆっくりとした会話を行う。それは自然に溶け込んで永遠の中での語らいのように感じられた。(2013/平成25年年2月8日金曜日:記)

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