曹洞禅・仏教に関するwikiです。人名・書名・寺院名・思想・行持等々について管理人が研究した結果を簡潔に示しています。曹洞禅・仏教に関する情報をお求めの方は、まず当wikiからどうぞ。

【定義】

日本曹洞宗太祖である瑩山紹瑾禅師坐禅について示された著作。現在、テキストは『曹洞宗全書』「宗源(下)」、『大正蔵』巻82、『常済大師全集』、『瑩山禅』第9巻などで見られる。

【内容】

瑩山禅師が道元禅師の『普勧坐禅儀』や『正法眼蔵』「坐禅儀」巻の影響を受けて書かれた著作で、古来から道元禅師の坐禅に関する著作が、坐禅の抽象的な方面を説いているとされ、本書はその具体的な方面を説くとされている。内容は、坐処の選択、事項の注意、調息調心の方法として坐相・食べ物・衣服・呼吸、その他の生理的な事項や坐法の儀則などが事細かに書かれている。

「洞谷沙門」と明記されていることから、永光寺にいたときに書かれたものであるが、詳細な撰述時期は不明である。撰述の動機なども不明である。また、部分的に如如居士顔丙『初学坐禅法』の影響が見える。同著は、日本達磨宗への影響も検討されており、『坐禅用心記』の位置付けについても今後また新たに検討される必要があるといえる。

本書は久しく大乗寺永光寺總持寺などの古刹に収蔵されていたとされるが、江戸時代に卍山道白和尚大乗寺住持していた延宝8年に自ら序文を選して、『瑩山清規』に付属する形で開版した。延宝9年(1681)のことである。卍山の付した序は以下の通りである。

 龍樹円月の相、本来欠缺無し。しかも一念の雲興って性天を遮り、方寸霧涌いて心地を昧ます。則ち陰々晦々として長夜にも殊ならず。これ皆、坐禅用心の失うところに係る。
 この故に、我が曩祖瑩山大師、三昧の源を決し、言辞の海を翻して、この記一篇を撰述し、波乱を後昆に揚げ、もって用心の術を示すことかくの如し。もし人、柯をここに伐れば厥の則を失うこと無し。それ性天の雲、心地の霧、蟾輝を舒べ、兔光を発し、朗々然として、縄牀角に掛かり、耀々として、蒲団上を照らす。いわゆる仏性の相、諸仏の体、提婆の饒舌を待たずに顕現するなり。
 予、たまたまこの記を得て、曩蔵するに忍びず。禅余に校勘して、乃ちこれを梓行す。蓋し、朗々耀々たるは、遍く十方を及尽し、十方を取尽し、もって縄牀角蒲団上をなさしめんと欲す。これ、流通の心なり。
  延宝庚申仏成道の日
   加州椙樹林大乗護国禅寺白卍山和南して題す

【註釈書等】

・『坐禅用心記不能語』
江戸時代の宗乗家、指月慧印による註釈書。
・『坐禅用心記落草談』
修証義』を編集した畦上楳仙禅師による提唱録。
・『坐禅用心記提耳録』
明治時代の宗乗家、總持寺貫首を勤めた西有穆山禅師による提唱録。
・『坐禅の極意: 本当に活る力』(香風閣・1937年)
教育者としても名高い、中根環堂老師による坐禅の解説書。『普勧坐禅儀』『坐禅用心記』両方についての解説を付す。
・『禅と精神医学』(講談社学術文庫・1990年)
脳波学研究の第一人者である平井富雄氏による『坐禅用心記』の解説書。
・『『坐禅用心記』に親しむ』(曹洞宗宗務庁?・2002年)
安藤嘉則先生による解説を掲載した小冊子。姉妹本に『『普勧坐禅儀』に親しむ』がある。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます