最終更新: saimuseiri01 2011年12月21日(水) 18:24:49履歴
A.
あります。
自己破産をして、免責を受けると債務の弁済義務を免れることになりますが、全ての債権に対して免責がおりる訳ではありません。
これらの債権は、非免責債権と呼ばれています。非免責債権とは、免責許可の決定が確定した後についても、破産者が支払いも免れることができない特別の原因をもつ次の債権です。
このことは、破産法263条但し書きに書かれています。
(1)租税等の請求権
国税(所得税、法人税等)や地方税等(固定資産税、住民税、国民健康保険税等)で、財団債権にならなかった租税債権のことです。
(2)破産者が悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権
法律用語では、悪意、善意という言葉が頻繁にでてきます。
簡単に言うと、悪意=知っていた 善意=知らなかった という意味です。
例えば、自己破産前に、すでに返済不能の状況であることを知りながら クレジットカードの申込みをしてカードを利用して借入を行った場合などが当たります。
(3)破産者が、故意や重過失で加えた人の生命や身体を害する不法行為にもとづく損害賠償請求権
交通事故や殺人などを原因とする慰謝料・損害賠償請求権などのことです。
(4)親族法上の義務に係る請求権
夫婦間の協力・扶助義務に係る請求権、婚姻費用分担義務に係る請求権、子の監護義務に係る請求権、扶養義務に係る請求権、その他これらの義務に類する義務で、契約にもとづく請求権
離婚などに伴う婚姻費用の請求権や子供の養育費などの請求権のことです。
(5)雇用契約にもとづく使用人の請求権や預り金請求権
未払給与、退職金などの労働債権の請求権などは免責になりません。
個人事業者に限られます。
(6)破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
債権者目録、債権者一覧に記載がないことにより、破産手続に参加できなかった債権者保護のための請求権です。過失で記載しなかった債務も免責にならないと解されています。
(7)罰金等の請求権
罰金、過料、科料や追徴金など
破産法条文
第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一 租税等の請求権
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七 罰金等の請求権
2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。
3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。
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