夜勤

私本 西村博之伝』目次へ
前のページへ

2000年夏、2ちゃんねるは「ハッキング」から「今晩のおかず」までを手広くカバーをキャッチフレーズに約300の掲示板を傘下に収め、末端を含めた構成員(名無しさん)は実に20万人とも50万人とも言われるまでに巨大化し、その活動は広域化していた。

  制 覇

・・・の道を着実に突き進む西村だが。ここに来て壁にぶち当たっていた。

>■サーバ屋さんスポンサーの巻■
>
>どもども、ひろゆきです。
>
>最近、、、とみにサーバが重いです(;;)
>サーバ能力に自信があるサーバ屋さんで
>サーバ貸してくれるところってないですかねぇ、、、
>
>広告出し放題でどうでしょうどうでしょう、、
>お知り合いでいらしたらお願いしますです。
>連絡先は2ch@2ch.netまで、、、、
>
>んじゃ!
(2ちゃんねるメルマガThu, 11 May 2000より)

この当時の2ちゃんねるは考えなしに板をぽこぽこ開設し、その上、西鉄バスジャック事件の影響でマスコミに度々取り上げられるようになりアクセスが急増して、サーバが激重になっていたのだ。

レンタルサーバを転々として自サーバまで持ち出してやりくりしていた西村だったが、ここに来て彼の言う「サーバ運営工学」とやらも限界に達しようとしていた。もやは、2ちゃんねるはサーバ屋と怒鳴り合いの喧嘩をして、その場しのぎをすることでは済まない規模になっていた。

サーバは掲示板の生命線。こいつがポシャれば、掲示板もポシャる。しかし、無駄に転送量の多い巨大掲示板はどこのサーバ屋も受け入れを嫌がった。

無数の名無しさんのアクセスとカキコの重圧に耐え切れずサーバが落ちれば、2ちゃんねるもかつての“あめぞう”の如く瓦解するのみ。

2ちゃんねる存亡の危機。

かつてない苦境に立たされた西村。

だが、ここで、西村に協力を申し入れる男が現れた。西村の申し出どおりに広告とバーターでサーバを提供していいと申し出た。とある札幌のサーバ屋さんであった。

この奇特な札幌のサーバ屋さんの申し出により、2ちゃんねるは知られざる危機を脱した。

札幌のサーバ屋さん・・・人々はこの男を“夜勤”と呼ぶようになる。

夜勤・・・後にFOX★と名を改めるこの男は2ちゃんねるの生命線たるサーバを掌握する。そして、サーバを支えることにより2ちゃんねるの更なる巨大化の原動力となり、一部では「2ちゃんねるの黒幕」と噂されるまでになる。


次のページ

============
この作品は実話を元にしたフィクションであり、実在の人物、団体、インターネットサイトとは関係ありません。
ここに書かれている内容は、実際とは異なる場合がかなり多いでしょう。
============
2008年03月22日(土) 05:50:16 Modified by battlewatcher




スマートフォン版で見る