Osgood-schlatter病
【概念】
ジャンパー膝?と同様な発生機序である。大腿四頭筋の過収縮を繰り返すことにより膝蓋腱の脛骨付着部が慢性の機械的刺激を受けて発症し、脛骨粗面の運動時痛と膨隆が生じる。膝蓋腱の過度の牽引による脛骨粗面の剥離損傷と考えられる。スポーツによるover useから発症することが多く、剣道や陸上などのクラブ活動をしている成長期の男児に後発する。【症状】
脛骨粗面部の運動時痛、膨隆、圧痛を認める。安静時痛はほとんどないが、重症例では安静時痛も発生する。骨端線が閉じる頃には症状は治まるが、脛骨粗面は隆起したままになる。時に、骨端線が閉じ成長が止まった成人でも過度な運動が繰り返し起きると、疼痛が再発することがあるが一時的なものが多い。
【診断】
X線上で脛骨粗面に異常骨陰影を認める。発症初期には剥離小骨片のような陰影が認められることがある。【治療】
疼痛の重症度により、クラブ活動の活動レベルをコントロールする。軽度の症例に対しては、1〜2週間程クラブ活動を制限させる。疼痛が強い重度の症例に対しては、局所の安静とアイシングを指導し、クラブ活動のみならず体育やレクレーション活動も制限させる必要がある。大腿四頭筋の過収縮が原因ではあるが、根本の原因は膝関節の近位関節の問題が波及していることが多くみられるため、その他の部位へのアプローチも重要になる。【理学療法】
足関節の背屈制限の改善
足関節の背屈制限は下腿の前傾を制限し、重心の前方移動も困難する。そのため、重心は後方に偏位し大腿四頭筋への遠心性収縮を助長する。足関節の背屈可動域を増やすことは必至!腓腹筋とヒラメ筋の伸張性が低下しているため、膝関節伸展位・屈曲位でのストレッチが必要になる。
骨盤の前傾制限の改善
骨盤の前傾制限も、重心の前方移動を困難にする。また、骨盤の後傾は立位での腹筋群の収縮を促しにくくなるために骨盤を前傾に立て直すのは勿論のこと、体幹を保持する事が困難になる。腸腰筋の収縮不全
サッカー選手で多く見られる股関節屈曲運動に際して骨盤を後傾する代償運動。これは、腸腰筋より大腿直筋が優位に働いている事を示す。腸腰筋股関節の屈曲作用があるが、立位で股関節が固定されている場合は腰椎を前彎させる作用になる。腸腰筋の働きにより腰椎は前彎・骨盤は前傾を促せる事ができるため、腸腰筋の機能修復は重要である。腹筋群の機能再教育
腹筋群の活動が活発になり腹腔内圧が高まることで脊椎の安定性は向上する。それにより、腰椎の前彎は容易になる。腹筋群には腹横筋?・横隔膜?・骨盤底筋群?などが重要筋とされる。【私的な見解】
オスグッドシュラッター病を発症する症例の殆どは、体幹の安定性が欠如している。サッカーやバスケットボールを愛好する少年に多いが、それらのスポーツは瞬発的な左右の動きが求められるという共通点がある。瞬発的な左右の動きで切り返す際に、運動方向と逆方向に重心が流れていくが、体幹がそれを制御することが出来ず接地している下肢へとストレスがかかるのではないだろうか。2007年12月06日(木) 22:40:02 Modified by medireha_jiten