『闇鍋』未完

270 『闇鍋』未完 sage 2009/01/20(火) 16:01:40 ID:zrWE0QgA
惜しい。逆なら考えてたんだけど
夜雀好きの人に差し上げます。…こぶ付きしり切れですが。


その昔、鎌倉幕府に敗北した氏族に版額御前という弓の名手の女丈夫がおり、
捕えられた彼女の美貌に、女好きと言われた時の将軍も食指を動かしたものの、囚人には手を出しかねるうち、
御家人の一人が「かの女性を娶り強き子を生し、今後より一層幕府にお仕えしたく存じます」とかなんとか言いだし、
まんまと御前を手に入れたんだとか。

ダカラナンダトイウワケデハナイガ


『闇鍋』


目覚めれば、もはや見慣れた暗闇にため息が出た。
この部屋に寝起きするようになってずいぶん経つ。部屋の中であれば自由にしていいとは言われているし、なんら身体は拘束されていない。
自由といっても、正直一日中何をしているわけでもない。
日に3度の食事のほか、身の周りに必要なものは定期的に差し入れられている。
部屋は暖かく快適に保たれ、寝具も纏う衣類も上質のもの、部屋の隅には衝立のついたトイレがある。
虜の身としては不自然なまでの待遇だ。
あれから何日経ったのかわからない。玉章や他の四国の者たちがどうなったのかも知らされない。
ただ、己がこのような待遇を受ける理由らしきものはわかっている。
そっと、己の胎に手をあてた。
徐々に膨らみつつあるこの胎が、唯一時間の経過を知らせていた。
恐らく、そう遠くないうちに己は母となるのだ。その事実に暗澹たる思いしか湧かないが。

そっと、溜息を吐いた。

何もせず一日中過ごしていれば、詮ないことと知っても考えずにはいられない。

思い出すたび暗鬱な、あの時の事を思い返す。
あの時、奴良組の者と全面対決となり、膠着した戦況を打開せんと上空に上がった。奇襲をかけるつもりであったのだ。
だが読まれていたらしく、待ち構えていた三羽の烏天狗に迎撃され、撃ち落とされた。
…その後のことは思い出したくない。


果たして、この胎の子は誰の子か。

百鬼を率いて迎え撃った 奴良組の若頭か
その傍にいて糸を操り命ごと絡め奪っていた首のない男か
もしくは黒い法衣の暗器使いの僧か
手洗い鬼と互角の剛力を見せた巨躯の男か
父が仇と叫んで切り込んできた長身痩躯の若者か
水を繰る少年か 己を撃ち落とした烏天狗どもか
あるいは殿を務めた壮年の剣客か
その傍にいた、密偵として潜り込んできた童子どもか

…わからぬ。この子が生まれて後、己がどうなるかさえ。
暗い部屋の隅で、今も一人静かに慄き続けていた―――









目覚めたとき、視界は一切の闇だった。
数多いモノの気配に覚醒したものの、なぜかまるで夜目が利かず輪郭すら掴めない。
身じろぎしようにも、腕は頭の上にひとまとめに、足は片足ずつ折り曲げた形で拘束され、見動きはできなかった。
気配を探る。知った者の気配はない。どうやらあのまま捕えられたようだ。
ではここは敵の手の内か、そう息をのんだ瞬間。

  (起きた?)

不意に、声がした。まだ若い、少年の声だ。
声の主が何者か考え、またこれからどのような心づもりか聞くために神経を集中した。

  (起きたんだね。良かった。これで君にも説明できる。
   もうわかっただろうと思うけど、ここは奴良組。これからゲームをするからね)

何だ、何をするつもりだ?

  (ルールは簡単。君がこれから食べたものを当てたら君の勝ち。ゲームは終了する。
   わかるまで食べてもらうけど、君は名前がわからないと思うから、どんな時に見たか当ててくれるだけでいいよ)

寛容を装った、裡に酷薄さを滲ませた声。玉章もよく、こんな物言いをしていたものだ。

  (あれ、何か失礼なこと考えなかった?
   まあいいや、行くよ。はい一回目)

ガシイ、と腕が何者かに掴まれた。さきの少年のものとは明らかに違う、成人した男の手だ。
知らぬ手が上衣にかかり、びりびりと引き裂く。…これは、まさか!

  (そうそう。下のお口でね。よーく味わってね)

「っ!?」

しゃべるなと言われているのか、荒い息遣い以外何も聞こえない。
だれか当てろと言われても、見当などつかない。誰だ。
冷静になろうと努めても、未知のことに体が震える。今までだれかと閨を共にしたことはないのだ。

ひたり 足の間に熱を持った塊を感じて戦慄した。…嫌だ、待ってくれ!!

ズグリ、と音がして熱塊が侵略を開始した。
あまりの激痛に声にならない声を上げて首を激しく振ったが、動きは止まらず、
腰を掴まれ一気に引きずり込まれた。

「………っぁぁっ!!!!」

かふっ、と声がかすれた。
メリメリ、と生木を裂くような振動が脳裏に直接伝わってくる。激痛に体はこわばり、息を吐くのも絶え絶えだ。

力づくで押し込まれた箇所が熱い。激痛とともにぬめる感触と濃い血の臭いがしてくる。
押し込まれた直後は動かなかった塊が、ぬめりを得てか急激に動き出した。
「!…ぁ、く、はっ、ぅぁ、ぁあ、んんっ…あ!」
痛い。ああ。頭が割れる。痛い。背骨が折れる。痛い。いたい。イタイィ!
ずっびぎっずちゃ、ずんっ、ぐちゃ、ズブッズブッズブッ、ぐちゃっじゅぶっ!
がくがくと揺さぶられる感覚に、早く終わってくれ、とそればかりを考える。
ズンッ!!
「―っあ――っ!!」
今までで最も深く抉り込まれて顎を仰け反らせる。急に動きを止めた塊から
実は年明け前からコレ書いてましたが、どーしてもココまでしか書けませんでした。続きは皆さんの脳内でよろ。スマソ



2009年02月21日(土) 03:42:45 Modified by ID:GxVBfDnx8g




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