阿蘇・蛇地獄

837 :阿蘇・蛇地獄(その1):2012/03/15(木) 00:45:05.37 ID:RtEdSnlW
血まみれになった土蜘蛛の巨体が、ゆっくりと傾いていく。
ずうんと地響きを立てて地面に倒れた。阿蘇の大地にその響きがこだました。
ゆらは信じられないものを見た思いだった。
(う、うそやろ…京妖怪最強の土蜘蛛がこないに簡単に倒されるなんて…)
それもやったのは、目の前にいる、自分とさして年の頃も違わぬ少年だった。
これが御門院家・歴代当主の力なのか…。

その少年―御門院家9代目当主・御門院水蛭子は、ゆらのほうに向き直った。
「で、何だてめえは?花開院の陰陽師じゃねえのか。何で妖怪とつるんでやがる」
ゆらもすかさず言い返す。
「む、無理やり連れて来られただけや!あんたらこそ何やの、安倍晴明と組んで
この世をメチャクチャにしようとしてるくせに!」
「ケッ、てめえみてえなガキに、俺たちの壮大な志なんか理解できねえだろ」
「壮大が聞いて呆れるわ。うちにはわかる、あんたらは妖怪よりよっぽど邪悪や!」
言いながらも、秘かにゆらは式神を構えていた。油断ならない強敵であることは間違いない。
相手が術を出す前に一瞬で決めねば…。

だが水蛭子の方が早かった。
「そうかい、だったら体でわからせてやるぜ!」
叫ぶや否や、従えていた巨大な大蛇が数千数万匹の小さな蛇に分裂した。
蛇の大群は、洪水のようにゆらに襲い掛かった。たちまちゆらは蛇の海に飲まれる。
「うあああっ!!」
手にした式神はどこかへ吹っ飛び、衣服があっというまにズタズタにされた。
小柄な裸身に、次々と蛇が噛み付く。
「いっ、ぐっ、う、いやあああ!」
乳首に、脇の下に、陰核に、女体の敏感な部分に蛇たちは牙を立てる。
「があっ!はああっっ!!」
さしものゆらも悲鳴を上げた。今まで味わったことのない苦痛だった。

838 :阿蘇・蛇地獄(その2):2012/03/15(木) 00:47:35.72 ID:RtEdSnlW
さらに数十匹が絡み合って触手のような形を作る。一本、二本、三本、四本。
四本の触手は、ゆらの四肢を絡め取り、ぐいっと引っ張った。
ゆらは蛇の海の中で、大の字の磔にされた形になる。
大きく広げられた股間で、まだ未熟で翳りもない秘部がぱっくりと口を開ける。
そしてまた数十匹の蛇が絡み合って、新たな触手を作った。
今度のそれは、先端部分が鎌首のようになっている。男根そのものだった。

その擬似男根は、彼女の股間めがけて接近してきた。ゆらの顔が真っ青になる。
「いっ、いやっ!いややっ!そんなの、だめっ!やめてえっ!!」
どんな妖怪相手にも気丈な態度を取っていたゆらが、初めて恐怖と羞恥で泣き叫ぶ。
だが、無慈悲にもその男根は彼女の幼い秘裂を、ぐいっと貫いた。
「ぐ、はああああ!!」

火箸を突き立てられたような痛みとはこのことだ。
しかも未経験で狭いゆらの膣口には、その男根はあまりにも大きすぎた。
「うあっ!ぐうああっ!痛い、痛い、裂けるぅっ!」
裂傷を負い、血の滴る秘部に、巨大な男根が容赦なく抽挿される。
恥も外聞もなく絶叫を上げるゆらの姿を、水蛭子はおかしそうに眺めていた。
「どうだ、陰陽師のくせに妖怪に味方しやがるから、こんな目に遭うんだぜ」
「ううっ、ぎ、いいっ!や、やめ、やめ……が、ひいいっ!」

「まだ余力があるようだな、もう一本くらいいけるんじゃねえのか」
水蛭子が言うと、さらに新たな触手が出現する。
今度のそれは、ゆらの菊門を貫いた。背後からの衝撃に、ゆらは大きくのけぞる。
「ぐほおおっ!?」
こちらも抽挿を開始した。前も後ろも犯されたゆらは悶絶し、全身が痙攣した。
菊門も傷つけられ、ここからも血が流れてきた。
小ぶりな乳房に巻きついた蛇が締め付けて、小さな丘を作ると、
そこにまた数匹が噛み付いた。乳首からも陰核からも血が流れる。
この想像を絶する苦痛と辱めで、ゆらの心はもはや崩壊寸前だった。
「いやや、もういややぁ!!助けて!助けて、お兄ちゃあん!!」

839 :阿蘇・蛇地獄(その3):2012/03/15(木) 00:48:43.90 ID:RtEdSnlW
その哀れな姿は水蛭子の加虐心を十分満足させた。
「よしよし、いい声で鳴くじゃねえか。もっと叫べ、声が出なくなったら殺すぜ。
 はっはっはっ……」
だが彼のセリフは途中で遮られた。つむじ風のような突風が一瞬起こる。
そしてサッカーボールくらいの物体が、遠くへ飛んでいった。
数十メートル先まで飛んでいったそれは、地上に落下するとゴロゴロ転がってゆく。
赤い液体を撒き散らしながら転がったそれは、ようやく止まった。

水蛭子の生首だった。

そしてゆらから少し離れたところに立っていた水蛭子の体からは、首が消失していた。
鮮血を噴出させながら、その胴体はバッタリと倒れる。
それと同時に、術者を失った蛇の大群の動きが止まった。あっという間に塵に変わって消える。
朦朧とするゆらの目に、異形の巨体が映った。土蜘蛛だ。死んではいなかったのだ。
その豪腕の一振りで彼は、水蛭子を葬ったのだった。
「おお、悪い悪い。後ろから襲うなんざオレの趣味じゃねえんだがなあ。
ついカッとなってやっちまった。まあ、勘弁してくれや……つっても、もう聞こえねえか。」


ゆらは半死半生で横たわっていたが、ようやく半身を起こした。全身血だらけでボロボロだ。
しかし土蜘蛛もそれ以上に重傷だったはず。現にまだ顔面や腕から血が流れ続けている。
だが彼はそんなものかすり傷だとでも言わんばかりに、懐から煙管を出して一服する。
「おい、陰陽師娘。大丈夫か?」
「だ、大丈夫なわけあらへんやろ……いたたた……」
「これだから人間は駄目なんだ、弱っちいんだよ。話にならねえ」
「あ、あんたみたいなバケモンと一緒にせんといて…」
そうして会話している間にも、土蜘蛛の血は自然と止まりつつある。恐るべきタフネスぶりだ。

「まあ、いい。道案内の礼くらいはしねえとな。温泉に招待してやらあ。」
「お、温泉?」
「ああ、人間だろうが妖怪だろうが、この程度の傷すぐ治っちまうぜ。さあ乗れ」
土蜘蛛はゆらをひょいとつまむと頭の上に乗せた。
「ちょ、ちょっと、服くらい着させてえな!」
「服?そんな細くて貧弱な体に着たってしょうがねえだろう」
「誰が貧乳…いや貧弱な体やねん!乙女心くらい理解せえや!」
「そういやさっき、『お兄ちゃん』とか言ってたが、それが乙女心ってやつか?」
「ちちちちち、違う違う違う!そないなこと言ってへん!!」
「あーうるせえ、それ以上ピーピーわめくと置いてくぞ」
「おーろーしーてー!!」
騒がしく言い争う二人の声が、阿蘇の闇の中へ消えていった。

(了)
2012年03月26日(月) 21:01:28 Modified by ID:P3EJOw3Z0Q




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