あなたの肉の味

「さて…どんな妖にしようかな」
鏡斎は、鞭で手繰り寄せた鳥居の顔を眺めながら呟いた。
「ちきしょう、放しやがれっ!」
巻は鏡斎に飛びかかろうとするが、妖怪の群れが彼女を押し倒す。
「うああっ!」
「やめて!巻には手出ししないって言ったじゃない!」
お互いを気遣う少女二人の顔を見比べ、鏡斎は口元を歪めて笑う。
「その通り。オレは手出ししない……出すのは君だ」
そう言うや鏡斎は、手にした筆で鳥居の顔を横薙ぎにする。
「ああっ!?」
鞭で後ろ手に縛られていては、避けようもなかった。
瞳を墨で塗りつぶされた鳥居は、顔を左右に振って悲鳴を上げる。
「と、鳥居っ!……えっ?」
妖怪達に下敷きにされた巻は叫びかけて、息を呑んだ。
鳥居の悲鳴は止まっていた。暴れる素振りも見えない。
そしてその瞳は、まるで猫の目のような細く無気味な形に変わっていたのだ。

鏡斎は鞭をほどき、鳥居を拘束から解放したが、彼女は無反応であった。
「ちょっと、どうしちゃったのよ!?鳥居っ!」
巻の必死の呼びかけにも答えない。人形のように突っ立ったままだ。
鏡斎は鳥居に命じた。
「服を脱いで」
無言のまま、鳥居はその命令に従った。セーターとセーラー服を脱ぎ捨てる。
スカートが地面に落ちて、下着だけの姿になるが、何のためらいも見られない。
ブラジャーを外した。パンツも下まで下ろし、放り捨てる。

「何やってんの!鳥居、鳥居っ!!」
巻の叫びにも全く聞こえないように、鳥居は一糸纏わぬ姿になった。
巻に背を向け、身体を隠そうともせず鏡斎の前に立つ。猫のような瞳は虚ろだ。
「うん、いいねぇ」
少女と大人、未熟と完成の間の裸身。乳房はほどよい大きさだが、
これからもっと実っていくだろう。下腹部の茂みも若草のようだ。
鏡斎は舌なめずりすると、しゃがみこんで筆を取る。
鳥居の下腹部に何かを描き始めた。

「てめえ、ふざけんなっ!やめろ!このド変態野郎!」」
巻は口汚く罵るが、鏡斎は作業に没頭したまま、振り向きもせずに言った。
「君の出番はもうすぐだ。準備しててくれ……おい、服を剥げ」
その鏡斎の命令で、妖怪達は巻を担ぎ上げた。
そして胸元に手をやった妖怪が、セーラー服を左右に引き裂く。
セーラー服はおろか、ブラも引き千切れ、中学生離れした
豊かな乳房がたゆんと揺れた。
「やっ、やだあ!やめろぉ!」
一転して自分の身に訪れた危機に、巻は真っ赤になりながら抵抗した。
しかし所詮は多勢に無勢、妖怪と人間である。
ものの10秒とかからずに、巻は丸裸にされてしまう。

「いやああ!やめろ、やめてぇ!」
悲鳴を上げて暴れる巻を他所に、鏡斎はまだ筆を動かし続けていた。
「乱暴にするなよ、その娘はこっちのお嬢さんに相手してもらうんだからな」
その言葉が聞こえたのか聞こえないのか、妖怪達は巻を放り投げる。
「ぐふっ!」
巻は床に叩きつけられ、呻く。さらに何者かが巻の四肢を捕らえた。
「はっ、放せっ!」
掴んだのは床から生えた骸骨の手だった。これも鏡斎の生んだ妖怪なのだろう。
たちまち巻は、大の字で床に磔にされる形になった。
大きく両脚が広げられ、秘部が丸見えになる。陰毛は濃いが、秘肉は初々しい色だ。
「放せ、放せったら!」
真っ赤に顔を染めながら巻は暴れるが、骸骨の手はがっちりと両手両足を固定している。

「……よし、できた」
ようやく作業を終えた鏡斎は立ち上がる。
巻はぞくりとした。鳥居の裸身から、何やら黒い妖気のようなものがゆらめいている。
「さあ、お友達に見せてごらん」
鏡斎の言葉で鳥居は巻の方へ向き直った。巻の顔が青ざめる。
「と、鳥居…あんた……!」
露天風呂に入ったこともあるし、着替えもいつも一緒だから、鳥居の裸は見慣れていた。
まだ発展途上の乳房も、もう少し細くなりたいとぼやく腰周りも、ふっくらとした尻も……
猫のように変化した瞳を除けば、見覚えのある鳥居の身体であった。

だが決定的に違うことが、もう一つあった。
鳥居の股間には、男根が隆々とそびえ立っていたのだった。

「ほら見てぇ、巻……私のおちんちん、おっきいでしょう……」
黒光りする男根を愛しげにさすりながら、妖しい笑みを浮かべる鳥居が近づいてくる。
「や、やだ…来ないで、来ないでよぉ!」
鳥居は、大の字で床に固定された巻の顔の前にしゃがみ込んだ。
「ほらぁ、もっとよく見てよお」
男根でぴたぴたと、巻の頬を軽く叩いた。
「ひ、ひいいっ!」
初めて見るグロテスクな肉棒に、巻は顔を背けた。蛇に顔を舐められたような気がする。

「うふっ、巻ったら可愛い。んー、ちゅーしちゃうぞ」
可憐な鳥居の唇と、異形の瞳が巻の顔に接近してくる。
「や、やだ!」
巻は唇をぎゅっと固く結び、顔を左右に振ってその口づけを拒絶する意思を示した。
「んもぅ、冷たいなあ」
鳥居はクスクス笑いながら、その巻の顔をそっと押さえ唇に軽く口づけした。
そして舌を伸ばし、顎から首筋を舌でなぞってゆく。
官能ともおぞましさともつかぬぞくぞくした震えが、巻の全身を走った。
「やっ…んっ……んあっ…!」
舌は首筋から、腕の方へ這って行った。脇の下をぺろりと舐められ、巻は悲鳴をあげた。
「ひゃうっ!」
「うふふ、巻って肌きれいだよねえ」
鳥居の舌は、脇の下から乳房に方向を変えた。豊かな膨らみの頂上に達すると、
その乳首を甘噛みした。巻はびくんと身体を震わせる。

「おっぱいも大きいし…私、ずっとうらやましかったんだぁ」
おもちゃを与えられた子供のように、鳥居は巻の大きな乳房を寄せて持ち上げ、
ふるふる揺さぶったり、乳首を摘んだり吸ったりして弄んだ。
「や、やめ…て……ん!……くっ……んふぅっ…!」
嫌がる巻だが、身体の芯が次第に熱くなり始めるのを止められない。
それを見透かしたかのように、鳥居は巻の股間に顔を寄せていく。
「なーんだ、巻ったらちゃんと感じてるんじゃない」
鳥居は、愛液がじわりとにじみ始めている巻の秘肉を左右に広げた。
内部はもうトロトロになっている。鳥居は舌を差し入れて、蜜を味わう。
「ひっ、ああっ!」
四肢を拘束された巻の胴体がびくんと大きく震え、反り返る。

鏡斎は、その絡み合う二人の裸身を、薄笑いを浮かべつつも真剣に眺めていた。
「うん、来るねぇ」
そして和紙を床に広げ、その姿を絵に描き始める。
鳥居は鏡斎に見せつけるように、ぴちゃぴちゃと音を立てて巻の秘部を舐め回す。

「やだ、やだ、やめて、鳥居っ!……うう…んんっ!」
頬を染め、瞳を潤ませて懇願する巻だったが、次第に息が荒くなってきた。
「はっ……はっ……ううっ……くくっ……!」
心では拒絶していても、身体は明らかに反応していた。
そんな巻の表情の変化を見て、鳥居はまた妖しく微笑んだ。
「もう、巻ったら。自分だけ気持ちよくなっちゃってずるぅい。
 私も気持ちよくしてよぉ…」
巻の股間を舐めながら、鳥居は巻の上にまたがった。
鳥居の男根が、巻の視界に飛び込んできた。ビクンビクンと脈打つ巨大な肉塊が。

巻の顔が一転してひきつった。男根がみるみる近づいてくる。
「やめてっ!いやっ!近づけないでぇ!」
顔を左右に振り、悲鳴を上げる巻の頬を鳥居の手が掴んだ。
両頬を強力な力で押されると、口が自然と開いてしまう。
「だぁめ、ちゃんとくわえてね」
そのまま、太い男根が巻の唇にねじ込まれた。喉の奥まで到達する。
「むぐぅ!!」
巻は呻く。息が詰まり、顎が外れそうだ。
「うふ、巻のお口、気持ちいいねぇ」
鳥居は苦悶する巻の表情を楽しみながら、自ら腰を上下に動かし始めた。

「んぐ…んっ、あ……ぐふっ!」
巻の唾液に濡れ、鳥居の男根はますます黒く艶々と光る。
口を犯される巻は、言葉にならぬ呻き声を上げるだけだ。苦しさのあまり涙がにじんでくる。
(やめて!やめてよ、鳥居!正気に戻ってよ!)
声を限りに叫びたい。ビンタの一つもかまして、肩を揺さぶって呼びかけたい。
「ううっ、んく…ん、んんぅっ!」
しかし、両手両脚を骸骨の手につかまれ、男根を咥えさせられた巻には
何一つ思い通りにならなかった。全ての自由を奪われ、惨めに辱められるだけだった。

ようやく鳥居は、巻の口から男根を引き抜いた。唾液が糸を引く。
「ぷはぁっ!…はぁっ!はぁっ!」
窒息しそうなイラマチオから解放され、巻は荒い息をついた。
鳥居はそんな巻を、目を細めて愛おしそうに見つめた。
「巻ったら、可愛い……」

二人の姿を描き写していた鏡斎が、筆を休めずに命じる。
「おい、足は放しておやり」
すると、巻の両脚を掴んでいた骸骨が手を放した。地中へ消えてゆく。
「はっ!?」
慌てて巻は自由になった脚を閉じようとする。これ以上恥ずかしい部分を晒したくない。
だが、鳥居がその両足首を掴んだ。さっきの顎をつかまれた時といい、
日頃の華奢な鳥居からは信じられない力だった。
たちまち巻の太腿は、今まで以上に大きく広げられた。
隠すどころか花弁がぱっくりと口を開けられ、中のピンク色の肉まで丸見えになる。
鳥居にさんざん舐められたおかげで、ぐっしょり濡れていた。
その巻の膣口に、鉄塔のようにそびえ立つ男根が、ぴたりと添えられる。
「ひっ!」
青ざめる巻の耳元に顔を寄せ、鳥居は妖しく微笑みながら囁いた。

「私、ますます知りたくなっちゃった……あなたの・肉の・味が」

「やだあっ!やだやだやだ!やめて!やめてぇ、鳥居っ!」
「うふふ、いくよぉ」
声を限りに叫ぶ巻の秘部に、無情にも鳥居の男根が突き刺さっていく。
「い、たっ!痛い!…っ……うぐ……くぅっ!」
ついにこらえきれず、巻の瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちた。

「あ、はぁぁっ……入っちゃったよぉ、巻ぃっ……巻のバージン、私がもらっちゃったぁ……」
鳥居はうっとりとしながら、腰を動かし始める。
「うぐっ、やっ、ああっ!……くふ……あああ……っ!」
出入りする度に激痛が走る。処女の巻にとっては、鳥居の男根は大き過ぎた。
だが、肉体の痛みよりも心の痛みの方が、はるかに巻を責め苛んでいた。

処女を失ったことよりも、足を大きく広げられた惨めな格好で犯されていることよりも、
その自分を凌辱しているのが、半ば人間ではなくなった鳥居であるという事実が、
巻の心をズタズタに切り裂いていた。
「うっ…うっ……あああっ…うっ、うええっ……うあ、ああっ、あああっ……!」
いつしか巻は泣きじゃくっていた。
痛い、苦しい、辛い、恥ずかしい、そして何より悲しい…。
(鳥居、鳥居っ……お願いよぉ、元に戻ってよぉ……)

鳥居が腰を動かすのをやめた。怪訝そうな顔で巻の顔を覗き込む。
「どうしたの、巻。気持ちよくないのぉ?」
「うっ、うっ…気持ち…よくなんか……うあ、あ……お願い、やめてよ鳥居…!」
気丈な巻は、鳥居の前でこんな弱々しい泣き顔を見せたことはなかったのだ。
鳥居の表情が曇る。人間の記憶が、半分妖怪と化した心を揺さぶる。

鳥居は巻の両足首を放し、巻の上にのしかかった。
挿入したままなので、男根が一段と深く突き入れられ、巻が「うっ…!」と呻く。
涙で濡れ、しゃくり上げる巻の顔に、再び鳥居の顔が接近してきた。
口からは、異様に甘ったるい香りがする。頭に霞がかかってくるようだ。
「ごめんね、ごめんね、痛かった?気持ちよくなかった?
 あたし、巻が喜んでくれると思って……ごめん、ごめんね」

論点が噛み合っていない。巻は鳥居が妖怪化したことを悲しんでいるのに、
鳥居は、巻を気持ちよくさせられないことを謝っているのだから。

しかし……
さっきまでの、からかい翻弄するいたずらっ子のような表情が消え失せ、
泣きそうな顔で必死に謝る鳥居を見て、巻の心に変化が生まれていた。

(そうよ……見かけがちょっと変わったって、鳥居は鳥居じゃないの…
 ひどいことされたけど、私のことを思ってやったことだもの。
 それに鳥居の泣き顔なんて見たくない。私がこの子を守らなくちゃ。
 私が笑顔にしてあげなくちゃ……)

いつの間にか、巻の心の中でも論理がすり替わっていた。
『鳥居を自分が守る』
『鳥居を泣かせてはいけない』
『鳥居を笑顔にするのが自分の義務だ』
という、彼女が長年心の中に抱いていた強い意志は、
『例え犯されようと、鳥居が喜ぶことなら受け入れるべき』
という歪んだ答えに到達していたのだ。

鳥居の吐く甘い息の効果で惑乱していたためか。
それとも彼女の心から、もはや正気が失われていたためなのか。
いずれにせよ、巻はこの状況を受け入れることを選択した。

「うん、わかった」
「え?」
「続けていいよ。つまんない男にあげるくらいなら、鳥居に処女あげたほうがいいもん」
「本当? 巻……」
「本当さ。大好きだよ、鳥居」
「うれしい…!私も巻のこと大好き!」

鳥居は巻の首に手を回し、ぎゅっと抱き締めた。それを見た鏡斎がニヤリと笑う。
「もういいだろう、手も放しておやり」
巻の両手を掴んでいた骸骨も彼女の手を放し、地中へ姿を消した。
巻の四肢は完全に自由になったわけだが、もはや拒む気も逃げる気も巻にはなかった。
鳥居に応えるように、抱き締め返す。両脚を鳥居の腰に絡めると、男根が子宮にまで到達する。
「は、ううっ……鳥居、続けて…もっと犯して…!」
「うんっ、うんっ!いくよ、巻」
無邪気な笑顔を取り戻した鳥居は、再び腰を動かし始めた。

二人の乳房が重なり、乳首同士がこすれあい、次第に双方とも硬く勃起してゆく。
結合部に男根が出入りする度に、ぐちゅぐちゅと淫らな水音を奏でる。
桃色に染まり、汗ばんだ肌から、花のような香りが漂っていた。
「ああっ、んっ、鳥居っ!気持ちいいよおっ!」
「私も、私もっ!巻ぃ、大好きっ!」
犯す者と犯される者。半ば正気を失った二人の少女は、一心不乱にお互いの体を貪り続ける。

「いいよ、君達。実に素晴らしい。来るねぇ……!」
鏡斎の筆を繰る手に熱がこもる。和紙の上に、見る見る妖怪の絵が描かれてゆく。
その邪な視線を全く意に介せず、二人は絶頂に達しようとしていた。
「ま、巻っ!私…もうっ……イキそうっ!」
「うんっ!いいよ、いいよ、鳥居!中に…思いっきり出してぇ!」
「ふぁぁ、ああっ!」
「ああーーっ!!」
二人の声が交差する。鳥居は巻の中に、熱い液体を吐き出した。
ドクン、ドクン、ドクン。
一瞬の沈黙と余韻。そして、鳥居は巻の上に崩れ落ちる。
巻はその鳥居を愛おしそうに抱き締めた。

「よし、できた」
鏡斎が会心の笑みを漏らし、和紙から離れると、紙の中から妖怪が飛び出した。
鳥居と巻に似た顔を持つ、二匹の蛇の妖怪だ。
胴体同士が絡み合い、片方の男根がもう一匹の女陰に埋まっている。
二人の交合をそのまま具現化したような妖怪は、渋谷の夜空へ飛んでゆく。
それを見送りつつ、鏡斎は新しい和紙を広げた。

巻と鳥居はまだ抱き合ったまま、離れようとしない。
男根が刺さったままの巻の秘部の隙間から、溢れかえった白濁液が流れ落ちている。
「ああ、鳥居のおちんちん……また私の中で……大きくなってるぅ……!」
「だって大好きな巻と一つになれたんだもん…ねえ巻、もう一回していい?」
「うんっ、いいよ……何度でもして……何度でも精液注ぎ込んでぇ……」
二人は唇を重ね、舌を絡めた。淫靡にお互いの体をまさぐり始める。

鏡斎はその淫らな痴態を眺めながら、筆を走らせる。面白いように筆が進む。
今夜は素晴らしい夜になりそうだ。傑作が描けるに違いない。
「さあ、もっと浅ましく淫らな姿を見せておくれ…さらなる阿鼻叫喚地獄を生み出すために…」

(了)
2012年10月14日(日) 13:51:48 Modified by ID:99wFBwRdlQ




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