『月籠り』

337 『月籠り』 sage 2009/02/14(土) 00:41:03 ID:muCppuL9
【触手…触手か】の職人さんありがとうございました。牛鬼組三人の姿を思い浮かべてニヤニヤしてしまいました。
こちらは『月』シリーズ2作目。我ながら実にマニアックなところを突いた気がするSSです。とりあえず本番はナシのSSですが、前作よりはハードです。カナちゃんが。

『月籠り』

蒸し暑い夏場、朝から校長先生のアリガタイオハナシはいい加減拷問に思える。
月曜日の全校集会はそんな訳で、しょっちゅう貧血で倒れる生徒が後を絶たなかったりする。

だから朝見た時に顔色の決して良くはなかった彼女が、途中で血の気が失せて倒れ込んだ時もすぐに近寄って支えた。
やっぱり、こんなことになるんじゃないかと思った。
そのまま、人混みからそっと彼女の身体を支えて離れた。

彼女の頭を支える肩の辺りに浅い息が忙しなくかかる。息を吐くたびにかすかに動いていた肩が、不意に大きく動いた。
「…リ、クオ、くん…?…」
「あ、気付いた?カナちゃん大丈夫?」
「わたし、…たおれ、た、の…?」
「うん。このまま保健室行こう。しばらく休んだ方がいいよ」
「う、ん…。ゴメン、ね。ありが…」
そのまま目を閉じた。ぐったりと体重をかけてくる彼女には、今身体を支える力はまるでないみたいだ。
意識のない人の体は起きている時よりずっと重く感じられるというけれど、彼女の身体を抱えるくらいは今の僕でも何とかできると思う。
肩に彼女の頭を預けて、背中を僕の胸にもたせかけて、力なく垂らされたままの腕はせめて僕の肩に回した。少しでも安定して抱えられるように。
彼女の腰と足の下に両腕を差し入れて、そっと立ち上がった。
正直、護衛として付いてくれている皆の力を借りれば良かったのかも知れない。少なくとも青田坊ならボクよりよっぽど腕力もあるし、軽々担げるはずなのに。
けど彼女はボクの幼馴染でクラスメートで、大事な友達。…せめて彼女を保健室に連れていくくらい、ボクだけの力でしたかった。

慎重に、揺らさないようゆっくり歩く。そもそもあまり身長差のない彼女の身体は、思った以上に僕の腕には余ってしまう。
腕に力を込め、彼女の身体をぎゅっと強く抱き寄せる。
『あの時』はあんなに、軽々と抱き上げることができていたのに。こんなところでも今の自分との違いを感じてしまう。
ふぁさ、と彼女の髪がボクの頬に掛かる。いけない、こんな時に何を考えているんだ。
明るい色の髪。くたりともたれかかる、猫のように柔らかい身体。
女の子の体に触ることが今までなかった訳じゃない。
むしろ屋敷では毎日つららや毛倡妓と接しているし、学校でも何かの拍子に女の子に触れる機会なんていくらでもある。
まして彼女とは幼馴染で、なのに今はなんでか、体の温もりや髪から漂う家とは違うシャンプーらしい香りに気を取られてしまう。

ガクッ

廊下の中程に差しかかった辺りで、足が何かに躓いてバランスを崩しそうになった。マズイ!!
咄嗟に壁に寄り掛かる。ダン、という音を立てて壁に背中を押し付け、足を踏ん張って何とか体勢を立て直した。ああ、良かった。

ふと、気付いた。
饐えた匂いがする。鉄錆のような、生臭い匂いが辺りに強く漂っている。
どこからするのかと思って何気なく下に目を落とす、と。
「か、カナちゃん!?血…!?どうしたの、どこか怪我でもした!?」
慌てて彼女の耳元で大きな声を出してしまった。あ、と思った時には彼女ものろりと顔を巡らし、首を傾げている。
「え…?別に、怪我なんてどこも…?」
「だって、足…!」
制服のスカートから、足を伝って幾筋かの血が流れてきている。こんなに血が出てるなんて、まさか、さっきふらついた時にどこかぶつけていた!?
どうしよう、ごめん!!
「あ、し…?…、ぁ…!」
バッ、と手が慌ててスカートを引っ張る。
さっきまで虚ろだった目がみるみるうちに光を取り戻し、耳まで真っ赤に染まった顔は俯けられたままこちらを見ようともしない。
「ど、どうしたの!?痛い?ごめん、やっぱりさっきぶつけてた!?」
「だ、大丈夫、大丈夫だからっ!!いい、リクオ君は気にしないで、ここまででいいよ!あとは自分でするから!」
「ええ!?そんなこといったって!血が出てるじゃないか…!」
「いいから…!だ、誰か女の先生呼んできて、はやくっ」
「は?女の…?」
何のことかわからず困惑していると、彼女は観念したかのように下を向いたまま「これ、怪我じゃないの…」と言った。
怪我、じゃない…?



…あ…。
やっと保健体育の授業で習ったことを思い出して、答えにたどり着いた。
で、でも、やっぱり保健室には行った方がいいだろうし、でも、どうしたらいいのかなんて全然分かんないし、うええ!?
「ぼ、ボク、そーゆーのどうしたらいいか知らな…「 あったりまえでしょ!バカーー!!」」
バカといわれた…。
ちょーっと意識を飛ばして心に汗をかいている間に、ボクの服にもジワリジワリと染みていく生暖かい感触。…そっかー、これがそうなんだ…。

血の匂いに、何とも言えない饐えた匂い。汗をたくさんかいた時のように、決していい匂いとは言えない、人の体臭。
なのになんでだろう、ずっと嗅いでいるとなんだか、気分がくらくらする。
慣れてきたのか、別に嗅いでいても鼻をつまみたくなるというより、もっと嗅いでいたくなる。
熟れて腐りかけた果実のような、人の意識を誘う匂い。
ああ、そうか、だってこの匂いは。
「オンナの、匂い」
オトナになった女の人であれば、誰もが持っている匂い。…オトコを誘い、受け入れられるようになったことを示す匂い。
そっか、カナちゃんはもう、こんな匂いを纏わせる『女』になったんだ。誕生日なんてほんのこの間のはずだったのに、でも。

「あの、さ、だからホントに、ね。大丈夫だから、降ろしてくれる?」
おずおずと、言いにくそうに言われて、ボクもそうしようかと思ってしまった。だってこればっかりは、男のボクの手には負えない。
「でも、カナちゃん大丈夫?気分治ったの?」
でもやっぱり、先生を呼ぶまでカナちゃんを一人にしておくのは気が引ける。
「うん、いいから、だいじょうぶっ、だいじょうぶよ!!」
…長年の経験上、カナちゃんがこーゆー強引な物言いをする時って、大抵大丈夫じゃない時だったりするんだよね。
「やっぱりダメ。せめて保健室までは連れていくから、そこで保健の先生に頼もう?」

「ダメぇっ、〜〜〜〜だ、だから、………トイレ、行きたいのよ/////」

……………はい……?

さっきより更に赤くなった耳と首筋。…っていうか、今何て言ったの!?てことはちょっと、まって、それじゃ…
「え、と。着替えるため、じゃ、ないんだよね?」
一応確認。…ど、どうしよう。
えーと、一応すぐ近くに女子トイレはある。でも僕の知る限りじゃ、この学校のトイレに「便座付き」は無い。
もちろん女子トイレの中なんて確認したことはないけど。今の状態で、一人でなんてできるの?
周りに人気はまっったくない。……せめて女の子でも通りかかってくれれば…!
やっぱりつららに付いてきてもらってれば良かったなあと、さっき来なくていいと言ってしまった事を後悔していた。
「あの、人呼ぶまで我慢できる?」
俯いたまま、ぎゅっとこぶしを握り締めて肩を震わせているのが答え。…仕方ない、こうなったら。
「じゃ、悪いけどボクが中まで付いていくよ」
「―――――――――!!!!?」
ガバッと起き上がった顔はやっぱりゆで蛸のように真っ赤に染まっていて、目にも涙が滲んでいる。
何か言おうとして、またぐったりと力を失って崩れた。
「ほらやっぱり。一人じゃ無理だよ」
こんな状態で一人でなんてできる訳がない。このまま付いていることにした。
すっごく恥ずかしいだろうけど、それはお互いさまなんだし、ねえ。

初めて女子トイレなるところに入ってみたけど、案の定、座るタイプのトイレはない。
とりあえず最寄りの個室に入る。そしてかがんだ彼女の腰と胸に後ろから腕を回して身体が崩れ落ちないように支えた。
…考えない。これが傍から見たらどんな凄い構図かなんて。更に足で水を流して音が聞こえないようにした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
数瞬の沈黙ののち、覚悟を決めたようにそっとスカートに手をかける彼女の姿を見ないよう目も瞑った。
まあ、窓のないトイレの個室って思った以上に暗いんだけど。
ジャーーー…と流しっぱなしの水音だけが耳に届く。でもこの音の中に…いや考えない、考えるなっ!!




互いに無言。
視界に何も入れず、聴覚にも極力意識を向けないようにしようと思ったら、必然的に全身で感じる彼女の身体の感触が意識に上ってくる。
ふたたび、あの何ともいえない匂いも強く感じるようになった。そりゃ、そうだよね…。
全身で感じる彼女の確かな温もり、その熱に燻られたように立ち上ってくる匂い。
腕にかかる彼女の重み、服越しにどくどくと伝わる早い脈動。…その脈動に合わせるように、ボクの脈動も熱く激しくなっていく。
服に染みた彼女の血が、ボクの肌をも染めていく。…なんて濃い、血の匂い。
(刃を交えずとも、女は毎月血を流すのか…)


不意に、泡沫のようにボクの中から湧きあがってくる思い。

あ、と思った瞬間。全ての感覚が遠ざかった。なんで、だってまだ…!?
くらいクライ暗い空ろの中、すれ違う人影に問いかけた。
(血に呼ばれたかな…)
嘯(うそぶ)く影を最後に、くるりと全てが入れ替わった。

時間にしては一瞬。彼女も背後の変化にはまだ気付いていない様子。
「あ、…リクオ、くん。…終わったよ…?」
そう振り向こうとした彼女の目にさっと自分の手を当て、見えないようにした。「…リクオくん?」当然困惑した声を上げる彼女。

ガチャ
「だからさー、そういうときってあるよねー」
「うん、あるあるー。あれ、先に人が入ってるや」
「ほんとだー」

「っ!?」
小さく声を上げて体を硬くする彼女。どうやら休み時間になったらしく、他の生徒が入ってきた。
この状態が知れたら、流石にありとあらゆる意味で大変な話題になりかねない。彼女も必死で息を殺し、生徒達が去るのを待つ様子だ。

「ま、いいか。でさー」

とりあえずこちらにさしたる関心を寄せる様子はない。が、話を続けながらなかなか出ていく気配もない。
カクカクと足にまで震えを走らせる彼女に、もしかして立っているのも辛くなったのかと思い、後ろの自分にもたせかけるように引き寄せた。
「!?」
軽いなあ。すっぽりと腕の中に収まる彼女の身体を見降ろしてつくづく思う。さっきまで抱えることさえ相当の力が要ったのに比べて、
腕にかかる負担などまるで感じない。
身体を固くし、ぎゅっと足を閉じると臀部がオレの前にしっかりはまり込む体勢になる。当然この状況、健全な若い男であれば…
途端臀部に感じた硬い感触に驚いたか、大きく身じろぎし、離れようとした。この体勢では隙間など微々たるものでしかないが。
…気づいたか。まあ、これで隠し通せるとは思わなかった。しかしこちらの姿には気づいてないのは流石に迂闊すぎるだろうに。
身体に走る震えも、先ほどとは違う意味を持っているのだろう。殺していたはずの息が少しずつ荒くなっていき、身体の熱が一段と高くなってきた。
ぽたり、ぽたり、と水音がする。彼女からだ。
水を流さなくなった便器の水に赤い色が滲んでいくのが見て取れた。おや?下着をあげていなかったのか?

不意に、悪戯心が湧いた。
近くにあったトイレットペーパーを取る。適当な大きさに紙を取ると、そろりと彼女のスカートの中に差し入れた。
「!!!」
足をまたギュッと閉じて手の侵入を防ごうとするが、そんな抵抗などさして邪魔にならない。
秘所にたどり着いた。そっと前から後へなぞるように紙を動かす。
「……っ」
押し殺した息が漏れる。片手をこれ以上声を出さないためか口に当て、もう片手はオレの手を押えた。そんな力じゃ止められないよ。
紙はすぐに血に濡れてよれよれになってしまった。指に、手のひらに直に血が垂れて濡らしていく。
「っ、……ぅふ…っ!」
紙を捨て、秘部に直接触れてみた。すべ、とした皮膚の感触に、じっとりとした濡れた感触。カサリとした感触は、毛?でもそんなにないな。




「ん…っ、ぃ…」
片手で力を込めてもオレの手を外せないと悟ったか、両手でオレの手を掴んで引き離そうとする。残念、それくらいでも外せない。
彼女自身の手を巻き添えに更に奥まで手を進めた。ふっくりと肉の盛り上がった恥骨部分に手のひらを当てて包み込む。
手のひらの真ん中あたりに一際じとりと濡れた個所があり、そこからトロリとした液が漏れてくる。そうか、ここか。
嫌々、というように彼女が激しく首を振った。けれど人指し指の第一関節辺りまで差し入れ、ねっとりとした感触を感じながら後ろにゆっくり動かすと、
びくんっ、と全身を跳ねさせた後に硬直した。そのまま浅い息をついて動こうとしない。オレの手を掴んでいた両手も離した。
「…ぁ、っ…!」
自分からギュッと目を強くつぶって、唇を噛み、さらに両手を今度は口に当てて必死に声を殺している。

「あ、そのマスカラいーじゃん?」
「でしょー?今のお気に入りー」

個室の外にはまださっきの生徒達がいる。化粧直しでもしてるのか。これが気になって声を出したくないらしい。
悪いが好都合、とさらに彼女の秘所をかき混ぜる。ジェルというにはさらりとした、シロップよりもねばついた体液が手をしとどに濡らしていく。
指を動かしていくと、ふくらんだ二つの肉丘の間から柔らかい餅の切れ端のようなものが生えているのがわかった。それを指で摘まんで弄ってみた。
「っ…!ぁ、ゃ…」


むに、むに、と弄ると、さっきより更に体液が滲んで秘所が潤んでいくのがわかる。
更に指で肉丘の間を弄ると、ぷっくりとした丸いものを見つけた。なんだこれ。
ちょっと指で強く押してみる。
「―――――っ!!!」
途端身体を固くしていた彼女がまたびくっ!と跳ねた。なるほど、感じやすいところなのかここは。
ぐにぐにとその部分を押し、擦り、摘まんでみた。そのたびに小さな声を上げて身体を悶えさせる彼女。
…だんだん、外のことも意識から飛んできたのかもしれない。

「あー、もうすぐ次の授業じゃん」
「もどろっか。でも個室の人、全然出てこなかったねー」

やっと生徒達が出て行った。ほっと、わずかに息をついて力を抜いた彼女の様子を見計らって、更に指を奥に押し込んでみた。

「つっ!!!?やっ、め、ぁ…っ!!」

やっぱり他の生徒に知られたくなくて我慢してたらしい。さっきより大きな声で抗議し、力を込めて振りほどこうと暴れだした。
さらに強く彼女の頭をこちらの胸に押しつける。腕が長くなっている分、目を覆ったままでも腕を彼女の胸までもまわし、それだけで上半身の動きは封じられた。
あとはそう、差し込んだままの指を折り曲げ、さっき触った丸い部分も同時に刺激してみた。
「―――――――ぁあっ!!」
指を飲み込んだ箇所は狭くて痛いほど締め付けてくるけれど、奥がどこまで続いているかはわからない。じゃあ、ここが膣ってところか。
セックスで、オトコを受け入れる部分。

暴れるのも止めて、はっ、はっ、と喘ぐ彼女。のろり、と手が秘所に入れたオレの手の甲に伸びる。
ぎりいっ、と音がしそうなほど強くつねり上げてきた。痛っ、相当本気で怒っているなこれは。わかった、悪かった。
ずるり、と指を抜いた。正直名残惜しいが、これ以上彼女の機嫌を損ねるのも憚られた。
彼女に頭から嫌われ軽蔑されても平気とは、流石に言えないから。
「ふ、ぅん…」
抜かれる時に艶めかしい喘ぎ声を上げる彼女。その声を耳にして、下半身にえもいえぬ熱が集まっていく。
というか、さっきから彼女の痴態にすでにオレ自身は十二分に煽られていたのだが、どうしたものか。
もじもじ、と腰を不自然に揺らす彼女。オレのモノが触れるたび、びくりとして止まるものの、不自然な動きは続いている。
…もしかしなくても、コレが気になってるんだな。
「気になる?」
「…べ、別に…/////」
ふぅん?素直じゃないなあ、興味津々な癖に。
着物の前あわせを割り、わざと自分のモノを出してみた。さあ、彼女はどうするのかな?
足に当たる熱い肉を感じたのだろう。そろ、とゆっくりした動作で小さい手が触れてくるのがわかった。
触れたとたん、びく、と手を止めたものの、またこわごわと触れてくる。
ふ、どうする?
こんなところを他者に無防備に触れさせるなど今まで考えられなかったが、彼女の秘所を弄り倒しておいて自分は何もなしというのもフェアじゃない気が
するし、正直、何をしてくるかオレ自身も興味があった。




最初、指先だけで触れてきたが、こちらが動かないと見てとるや、徐々に手のひら全てを使って包み込んでくる。
なでなで、としか表現できない実にもどかしい触れ方だが、こちらに快楽を与えるためというより、初めて触る未知のモノに対する興味から
撫でまわしているだけなのだろう。
先端を手のひらに包み、ゆっくりと握り込む。痛みはない。丁寧な触り方だ。
片手で先端を包んだまま、もう一方の手で付け根まで辿る。そこで柔らかい袋があることに気付いたのだろう、こちらも手のひら全体を使って包み込んできた。
たぷたぷ、という触り方は、何というか実に微笑ましいがもどかしい。もう少し力を入れて扱いてくれてもいいのに、それともやり方なんて知らないか。
そっと彼女の手に自分の手を重ねる。びくりと身体を硬直させたが、気にせず彼女の手の上から自身を握り込んで下から上へ擦り上げた。
しゅっ、しゅっと音がするほど強めに擦りあげると、彼女は最初いいのか?という風に手を合わせていたが、やがてオレ自身が反応を返すようになると
自分から手に力を入れて動かすようになった。要領がつかめてきたのかもしれない。
びくびく、と熱が集積し脈動が感じられるようになると、先端から液が滲むようになる。これも未知のことだったのだろう、驚いて先端を包む手を放そうとした。
今度はその手に自分の手を合わせた。先端の尿道口を親指の腹で擦り、人差し指で亀頭の部分を擦る。
教えてやるとこれも自分から手を動かすようになる。彼女の手つきはいかにも拙いが、自分でする時よりもずっと興奮してしまう。
「すごい…」
思わずと言った風に漏らした声に苦笑が浮かぶ。自分が手を動かすとオレが反応を返すので面白いのかもしれない。
「あの、…これからどうしたらいい…?」
…忘れてるのだろうか、これが本来、何のために使うものか。いささか呑気すぎる声にどうしようかと思う。


ふぅっ、と耳に熱い息を吹き込んでやった。ぎょっとしたように動きを止めた手を添え、ふたたび彼女の秘所に手を伸ばす。
今度はオレ自身のモノも秘所に直に触れている。ここでやっとこれからどうなるのかわかったようだ。
「や、やめて、それだけは…!お願い!」
涙をこぼして、オレの腕にすがりついて訴える彼女に少しだけ頭が冷える。
でも体に籠った熱は今もオレを駆り立てていて、吐き出さないことには止まれそうにない。
それならばと、先端を例の丸い箇所に当てて押しつける。びく、と震えた彼女の耳に、そっと吐息とともに吹き込んだ。
「大丈夫、入れないから」
「ぅえ…?」
意味がわからないのだろう。あやふやな声を上げる彼女の、最も敏感に感じた個所を先端でそっとつついた。
「や、あ…っ」
ぎゅっ、と両足を力いっぱい閉じてきた。オレがこれ以上先に入り込まないよう防ごうとしてるのだろうが、これからすることに対してはむしろお誂え向き。
ずるり、と挟まれたモノを抜き出し、また抜き切らぬうちにふたたび彼女の秘所に向けて進める。膣(ナカ)には入れない。さっきも言ったとおり。
擬似的な方法だが、これでも彼女にとっては十分に衝撃的なことだったらしい。
「あぁっ!あ、ゃ、んぁっ、はぁっ!!」
結構大きな嬌声が上がっている。がくがくと笑う膝は、オレが支えていなければすぐにでも床に崩れてしまいそうだ。
敏感な秘所の一点を突かれるたびにビクンビクンと跳ねる身体。身体を支えようとしてか、それとも感じる身体を持て余してか、
オレの腕に両手でしがみついてくる。
足だけはぎゅっと硬直したように閉じられたまま、おかげでモノに感じる締め付けも結構なものだ。
これでここまで感じるなら、挿入れるのはやめにして正解だったかもしれない。彼女を壊したくなどないのだから。
「はう!!」
ガクン、ととうとう彼女の全身の力が抜けた。もう体力も限界なのだろう。自分も限界が近い。
ペーパーをまた取ると、自分の先端に当てた。腕につかまっていた彼女の片手を導き、また握り込ませた。
なぜこうしたのかは、何となくだ。挿入れられなかった分、彼女に自分の出す瞬間を感じ取って欲しかったのかもしれない。

びゅくびゅく、と熱く激しい勢いで噴出される体液に、彼女の手がぶるぶる震えた。
それが終わって、緊張の糸が切れたのだろう。彼女の身体がゆっくり弛緩していく。
意識を失う寸前、うわ言のように呟く声が聞こえた。
「ね、り、くお、くん…。リクオくん、だよねぇ…」
「ああ、そうだよ」
そう、オレ(ボク)がリクオだ。ただ、君が知らなかっただけで。




人気がなくなった頃を見計らってトイレから出ると変化も解けた。そこでようやく彼女の目を塞いでいた手をどけた。
気を失った彼女は手をどけられても目を開けない。涙の痕の残る憔悴した顔に罪悪感が湧いたけど、軽く涙をぬぐってそのまま保健室に向かった。
保健の先生に(一部割愛して)事情を話すと後を引き受けてくれた。
先生に「そこの蛇口お湯も出るから」と言われ、すっかり体液が染みて生臭くなった制服を洗うことにした。
ジャー…とぬるま湯で制服を洗う。水流に赤い筋が混じって流れていく。この匂いの中に血とは違う体液の匂いがあるとは、誰も気付かなかっただろうけど。
汚れた衣類はビニール袋に入れ、貸してもらったジャージに着替えた。その後教室に行って自分と彼女の荷物を取ってきておく。
そのまま彼女が起きるまで付き添った。
保健室のベッドで眠る彼女の表情は安らか。…無理をさせたせいか、起きる気配はない。
気付かれた、だろうか。あれだけ接触してわからない方が変かも知れないけど、彼女にはできるなら、最後まで知って欲しくはなかった。
同じくらい強く、知って欲しいという気持ちもある。
「…ごめんね」
届くことはないと知った上で、卑怯な謝罪を繰り返した。

一度休んで気分は回復したものの、体調が相変わらず思わしくない彼女は起きると早退した。ボクも心配なので、一緒に帰ることにした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
いつもとは違う時間の帰り道。互いの顔を見るのさえなぜかひどく躊躇われて、目を合わせずに並んで歩いた。
彼女の家まで送る。「じゃ、体に気をつけて。ゆっくり休んでね」気の利いたことも言えず、踵を返した。
グイッ、と服の裾を引かれて立ち止まる。
「…あの、さ…。今日は、その………ありがと…」
「……………うん……」
彼女が言い終わるまでの数秒がこんなにも長く感じられたことはないけれど、彼女は結局、御礼の言葉だけを口にした。
そして自分もまた、何事もなかったように家に向かった。







「うわぁああああぁぁもうーーーー!!最近何てことやってんのーーっっ!!?
ヘンタイだよね、これって絶対ヘンタイだよねぇっ!!?」

同時刻、帰宅するなり自室にて、頭から布団を被って謎の問言(奇声)とともにジタバタ暴れる中学生の姿があった。
そして、それを見守る家人の姿も。

「…何かあったのかな?」
「さあねえ。思春期のお悩み事、かしら?」



【後書き】
                        
今度は流石に「変態」のカテゴリーに入るものと自負。…してどうすんだよ阿呆。

題は昔、「月の忌み」「月の籠り」など月経時の女性は「忌み籠り」といって部屋に籠って人との接触を絶っていたことから。
特に男性との関わりは禁じられていたそうですが…まあいいやリクオだし。
なんか「変態行為を強要」というより「夜若様によるカナちゃん性教育実習」のようだ。やっぱりあんま変態っぽくなってはない気がする。



2009年02月21日(土) 03:50:06 Modified by ID:GxVBfDnx8g




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