とおりゃんせ後日談

276 :【とおりゃんせ後日談】 :sage :2012/01/13(金) 06:05:41.23 ID:T7pNG9g3
投下します。
なんかレアなカプ。
猩影×年上女性(マナ先生)



【とおりゃんせ後日談】



「三代目。事後報告で申し訳ないんですが」

関東大猿会の二代目組長・猩影が奴良組本家を訪れ、
畳に両手の拳をついて、深く深くリクオに頭を下げた。

「オレの女にガキができたんで」

「………へぇ」

もし応対したのが、夜のリクオだったら華麗に流し、あるいは冷やかし
粋に祝いの言葉の一つも口にできただろう。
だが、今のところ。リクオは昼の姿のヒルオだった。

「うん…それは…おめでとう…」

片頬をひきつらせつつ、無理矢理笑みを作った。
身長こそ2mをゆうに超える長身だが、猩影の年はリクオとそう変わらない。
精々、鴆と同じくらいか少し下だったはずだ。
さらに昼のリクオは鈍感に奥手の朴念仁だった。

「で、相手は誰なの?」
「三代目の…」

猩影は少し言いよどんだ。躊躇いがちに視線を逸らす。

「……ボクの?」

リクオの脳内で、猩影が孕ませうる女性陣の顔が証明写真の如くダ――――ッと、流れた。
母親の若菜。側近氷麗。クラスメイトのカナ。同じくクラスメイトの巻。鳥居。
なかなか猩影に相応しい女妖怪――最近妊娠したらしい――が、脳内の証明写真に現れてくれなずに焦る。

277 :【とおりゃんせ後日談】 :sage :2012/01/13(金) 06:08:18.82 ID:T7pNG9g3
思い浮かばない。まったく。
思い浮かばないということはマサカ。

「ボクの――ナ、ナニ…カナ?」

声が上擦る。
背中に冷や汗をかきながら、おそるおそる訊いてみる。

「三代目の……学校の女教師でさ」

「…………………え?」

「横谷マナって名で。三代目とご一緒した、切り裂きとおりゃんせ一件で一緒だった。あの――」

「――あ!」

その年上の女理科教師と猩影を結び付けたきっかけは、リクオ自身だったのだ。

「――あれの地元らしく、あれから、うちのシマで偶然、何度かあって」

猩影が懐かしそうに目を細める。

「飯を食って………ついでに成り行きで」

「先生も…食ったってこと…?」

「ご明察いたみいりまさ」

猩影はもう一度、頭を下げた。

大猿の妖怪・狒々は元々、女を生贄に要求したり、攫う事もある妖怪だ。
さらった女を孕ませ、妖怪の子を産ませる事もあるという。
リクオはそれを思い出して、遠い目をした。

「……うん。おめでとう。猩影くん…」



 ◇◇ ◇◇ 畏 ◇◇ ◇◇



278 :【とおりゃんせ後日談】 :sage :2012/01/13(金) 06:09:01.17 ID:T7pNG9g3
シマの見回り中に、彼女に出会った。

「――あ」

交差点の下。
雨の中、黒髪の女が立っていた。
自分たちを妖怪だと知ってなお、感謝してくれた数少ない人間だった。

「――濡れるわよ?」

彼女が、傘を差しかける。

彼女は何も心配することはないかのように、物怖じせず笑っていた。

「――あんた…」
「奴良くんの親戚、だったよね? 猩影くん」


元々彼女はオレのシマの住人だったから、それから何度も顔をあわせた。
何度目かに昼時に出逢い、一緒に飯を食って――家族の話題に――…家族を皆亡くしたのだと零した。
センセはセンセらしく同情したのか、悲しい顔でオレの頭を撫でた。

「――できることがあったら力になるからね」

たったそれだけで、ダチみたいに親しくなった。
一人暮らしの彼女の部屋に、弟のような顔で上がり込むのも簡単だった。

あとは――多分、淋しい者同士。
当前の成り行きだったんだろう。


それまで好きになった人間の女がいなかった訳じゃない。
経験がなかった訳でもない。
オレの外見につられて言い寄ってきた女は何人もいたし、モデルのようにキレイな女と寝た事もある。
ヤクザな秘密主義では、長く続かなかったが。


とりあえず、それから彼女と出逢う度にヤッた。
ガキができたのは――まあ、当然の結果だ。



279 :【とおりゃんせ後日談】 :sage :2012/01/13(金) 06:09:56.09 ID:T7pNG9g3
「オレたちは元々人間の女とやって子供を作る妖怪だ。
人間と交わっても子は半妖にならず、同族が産まれてくる。
――産んでもらうぜ。センセ? 家族みんなを失ったオレの、最初の身内だ」

ベッドに腰掛けたオレの前で、彼女は床に座り込んでいた。
“マナ先生”は幸せそうな顔で頷いて、オレのモノを探り出して
露出させた胸で挟み、柔らかな乳房で熱心に扱きあげる。
ピンク色をした亀頭に嬉しそうにしゃぶりついて、夢中で啜りあげ、抜いた。
ビュクビュクと噴出する黄色味を帯びた白濁液を、顔にかけられつつ舌で受け止め、
嚥下に苦労しながらも、センセは出会った頃と変わらず微笑む。

「――猩影くんの子供なら、きっとイケメンね。とても愉しみ」


まったく、物好きな変わったセンセだ。


『終』
2012年03月25日(日) 01:30:54 Modified by ID:vqJ/huhBhQ




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