「Il mio augurio」(性教育その三)

初出スレ:第四章11〜

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「ではDVDを再生致します」
少々ノリがあれではございますが…と、ぼそりと呟き、氷雨は再生ボタンを押した。
大型スクリーンに、ベッドに腰掛ける男女が映し出された。



「きゃー、緊張しちゃうー」
「どこがだよ」
「いやん、だってひーちゃんがビデオ回してるもん」
「……ノリノリだろーが」
緊張とは程遠い興奮を塗した女の声に、男が呆れたように呟く。
そこに、氷雨の声がする。
「はいはい、さっさとしてくださいね」
「じゃ、ちゅーして」
女が男の膝に乗り、首に腕を回して甘くねだる。
「ちゅーして」
「もぉう」
キスをねだった自分と同じ口調でねだってきた男に怒ったふりをした女が、男の頬に手を添えて唇を重ねた。
ちゅ、ちゅ、と軽く唇を合わせるだけのキスを何度も交わす。
お互いの唇を甘噛みし、舌を絡める。
ちゅ、ちゅく、と卑猥な水音を立てて舌を絡めたまま、お互いの服を肌蹴させていく。
「んーっと…先に私がやった方がいいのよね?」
「だろ?テーマは勃起と挿入だし?ついでにフェラチオ付いてもいいだろ」
「ひーちゃん、それでオッケー?」
「ええ」
わかった、とでもいうようにカメラに向かってにっこりと笑い、女は男にもう一度キスをすると耳へと舌を滑らせた。
耳の形を辿るようにゆっくりと舌を這わせ、ぱくり、と耳朶を甘噛みする。
そしてそのまま首筋へと舌を這わせていく。
舌を這わせながら肌蹴た服に手をかけてゆっくりとボタンを外し、シャツを滑り落とす。
そうして現れた均整の取れた身体に舌を這わせ、更に下に向かう。
女が男の乳首をぺろりと舐め、舌で押しつぶすようにしながら愛撫を重ねていく。
そのまま手で腹を撫でるようにして下ろし、ズボンの上から撫で擦る。
女が脱がし始めると、男は心得たように脱がしやすいようにしてやる。
「はーい、お嬢様。これが男です、雄です、ペニスです。今までのでちょーっと大きくなりかけてたりするけど」
「しかたねぇだろ」
「うん、いいよ。お嬢様、これ、おっきくしますねー」
ベッドに座る男の脇に座ると男の太腿を擦り、女は立ち上がりかけた雄を両手で包み込む。
「えっと、一応流れだけね。感じ方に個人差があるから。これはこの人のやり方だから、お嬢様のお相手とは違ってくると思うしね。
わからなければ、どうしたら気持ちいいか聞く、ってのも手だよ」
言いながらも手は休みなくペニスをしごく。
ツボを心得た女からの的確な刺激を受けて、すぐに大きく硬くなっていく。
「ん。お嬢様、このくらいになったら咥えて、口と舌と手でで愛してあげるのね。フェラチオが嫌いな男って、まずいないから。
上手にできなくても、一生懸命すれば嬉しいらしいし」
「してるときに上目遣いでちら、っとか見られるとイイな。あ、歯は立てんなよ?触れるくらいならかえっていいけどな」
「だってさ?……なんかもう、入れたくなっちゃったから、ちょっと急ぐね」
しばらく舌で亀頭や陰茎を舐め、ぱく、と亀頭を咥えつつ手でゆっくりとしごき出す。
舌を広げてを包み込むようにして上下にピストンしつつ、時折裏筋を刺激していく。
そうしながら、もう待てない、とばかりに女は着ている服を脱ぎ出す。
更に大きく硬くなったところで、女は口を離した。



「んぁ、もうだめ。今すぐ入れたい」
「ちょい待てって」
そう言いながら男は女を抱え上げ、自分に寄りかからせるようにして膝の間に座らせた。
そして大きく脚を割り開き、秘裂に指を這わせる。
そこはすでにしとどに濡れ、もはや慣らす必要もないほどになっていた。
しかし中に指を滑り込ませ、そのことをわからせるようにぐちゅぐちゅと大きな水音をさせて掻き回す。
しばらくそれを続ければ、もうたまらない、とでもいうように女が声を上げた。
「あ、あぁ…ね、はやく、はやくぅ」
「おう、俺も堪んねぇ……お嬢さん、しっかり見てろよ?」
そう言うなり、怒張した雄を秘裂に宛がうと、上にいる女の腰をゆっくりと下ろさせ沈めさせていった。
そう、入っていく過程を見せ付けるように。
「はぁ、ん…あ、きもち、い…」
男で満たされるとと、女は歓喜の声を上げた。
男は女の項に口付けると、律動を開始した。
突き上げたり、腰を回すようにしたり、と単調になってしまわないように複雑に。
それに合わせるように女は腰を動かす。
「あ、ぁん…も、もっとぉ」
女の喘ぎに促されるように、男は花芯に触れた。
びくんと一瞬強張るが、男が花芯を捏ね回すと身を震わせて甘く啼く。
その手を休めずに更に激しくしていく。
「あ、あぁぁぁぁぁ――!」
ぎゅ、と締まり、弛緩する。
「あ…わり、氷雨。これだとしばらく起きね。他のは今度でな」
「……仕方ありませんね。それで、今回の報酬は?」
「えーと…あ、そだ。友割で『シャイン』のベリータルトをホールで、とか言ってたっけな」
「わかりました」







………なんつうお友達ガいるんデスカ……つかこれハ一体なんの拷問なんデスカ、氷雨サン…
動揺のあまり可笑しなイントネーションになってはいるが、暁良は内心で氷雨にツッコむ。
連日の教本朗読―エロ小説朗読、と言って良い―を聞かされるせいでただでさえ欲求不満なのに、無修正のDVD観賞。
これは本当に暁香への教育なのか、はっきり言って疑問である。

ちらり、と暁良が暁香に視線を移す。
するととんでもないものが暁良の目に飛び込んできた。
暁香がディルドを、ぱくり、と咥えたのだ。
っぎゃーーーーーーー!!!
叫べるものなら叫びたかったが、声は出ず、絶叫は心の中で発せられた。
硬直している暁良の前でそれから口を離した暁香が困ったように言う。
「よく、わからないわ…」
「暁香お嬢様、御手をお貸し頂けませんでしょうか?」
にこりとしつつ問いかける氷雨に疑問顔をしたまま、暁香が両手を差し出す。
左手を取って暁香の前に跪くと、氷雨はその指先に唇を近づけた。
ちゅ、と軽くその指先に口付け、唾液を乗せて指をねっとりと舐めあげる。
ぴくん、と、頬をかすかに染めて暁香が震える。
「暁香お嬢様。私が致します通りになさってみてくださいませ」
「わかったわ」
氷雨がしたようにディルドの先端に口付け、唾液を乗せて舐めてみる。
「もっとたっぷり唾液を乗せたほうがやりやすいかと存じます。試されてみては如何でございましょう」
言われた通りにたっぷりと唾液を乗せ、氷雨の舌の動きを真似るようにして舐めしゃぶる。
唾液が潤滑となり、だんだんとやり易くなってくる。
「ん、ぁん…べたべた…んちゅ…なっちゃ、んぅ」
「それでようございますよ。そのようになっておりますほうが受け手も気持ち良いというものでございます」
一生懸命、DVDで女がしていたようにしつつディルドを舐めしゃぶる。
「実物をして慣れていけばようございますから、まずは手順を覚えてくださいませ」
つかナニ言ってんの、氷雨サン!
もーどこにツッコむべきかわかんないよ…つーか、色々イッパイイッパイなんですけど!!
お願いもーやめてー!!!
内心で行われる暁良の切実な主張は当然受け入れられない。
というよりも、氷雨によって綺麗さっぱりスルーされる。
早くこのとんでもない講義が終わるように、と念じつつ、暁良はただただ、ひたすらに耐える。

ひそり、と氷雨が暁香に囁きかけると、暁香は暁良の方を向いた。
苦しさゆえか瞳を潤ませて頬を紅潮させながらも、唾液に濡れ、てらてらとしたディルドを咥えたまま。
好きな女が、擬似とはいえ雄を咥えて自分を見ている。
その、視覚的暴力に、ついに暁良は屈服した。
「っ!!し、失礼致しますっ!!」
ぎゃー!もう無理もう限界!!うわぁん、いじめだー!!!
などと内心絶叫しつつ暁良は部屋を飛び出した。
ばん、ばたばたばたばた…
「んちゅ……暁良、どうしちゃったの?」
暁良が出て行ったことで、ようやくディルドを口から離した暁香が氷雨に問いかける。
それにくすりとしつつ、氷雨は答えた。
「男にはいろいろあるのでございますよ」
「んー…氷雨は平気なの?」
「それなりに経験を積んでおりますから、この程度ではどうということもございません」
「ふぅん?」
よくわからないが、涼しい顔をした氷雨が言うからにはそうなのだろう、と暁香は納得した

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2007年07月02日(月) 21:50:09 Modified by ID:+2qn2ghouQ




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