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作者:虎走かける
イラスト:しずまよしのり
出版社:アスキー・メディアワークス 電撃文庫

ゼロから始める魔法の書
アクディオスの聖女(上・下)
黒竜島の魔姫
楽園の墓守
詠月の魔女(上・下)
禁書館の司書
ゼロの傭兵(上・下)
獣と魔女の村づくり

あらすじ

教会暦526年、魔女と魔術が存在する世界。「獣堕ち」と呼ばれる生まれつき半人半獣の姿をした傭兵の「俺」は、高い魔術を秘めたとされる自身の首を狙う魔女から逃げている最中、ゼロと名乗る別の魔女に窮地を助けられる。ゼロは自身が書き著し、何者かによって住処から持ち出されたゼロの書という本を探していた。その本は魔術に代わる魔法という新しい知識に関して記されており、才能のある人間がそれを読めば、超常的な現象を引き起こすことができ、世界をも滅ぼしかねない危険な魔法書だった。ゼロに気に入られた傭兵は、自分を「普通の人間の姿に戻すことができる」というゼロの提案により、それを報酬に護衛として雇われ、失われた魔法書をめぐる旅に同行することになる。

登場人物

ゼロ
ヒロイン。銀髪に青紫の瞳の魔女であり、直視するのもはばかられる自他ともに認める絶世の美女。一人称は「我輩」。内部の知を探求することを旨とする泥闇の系統を継ぐ魔女。ウェニアス王国の森で偶然出会った傭兵を助け、旅の護衛に雇う。名前は魔女にとって重要なものとされるため、傭兵と同じく本名は明かしていない。いつかは傭兵の方から名前を教えてもらえる関係になれることが密かな願い。一人称は我輩。本来ならば対価が必要な悪魔との契約を、逆に悪魔の方から乞われて対価もなく行ったという天才魔女[6]。世の中の役に立てば世間で迫害される魔女たちの立場も良くなり、自分も外の世界を見に行けるようになるだろうと、魔術に代わる魔法という技術を新たに編み出し、それを“ゼロの書”という魔法書に書き起こす。しかし何者かによって仲間を殺された上、魔法書も持ち去られ、それを探すと言って出て行った十三番も戻らず、10年ほど経ったある日、一人魔法書を探す旅に出ることを決める。傭兵との間柄は形式上は護衛契約であるが、その卓越した魔法を用いて逆に護衛であるはずの傭兵を守ることも多い。しかし長年“弓月の森”の住処(本人いわく“穴ぐら”)に引きこもって魔術や魔法の研究をしていたこともあって、キスという行為を知らなかったり、人目も気にせず着替えをしようとする等ひどく常識に疎いため、そういった面では傭兵に助けられている。人間の姿に戻すという条件で傭兵と契約しているが、獣堕ちの姿そのものをいたく気に入っており、『我輩のモフモフ』といって移動中肩に乗ったり、勝手に傭兵の懐に潜り込んで毛皮を寝具にして寝ており「ありのままの君の姿が素晴らしいぞ」と獣堕ちの姿でとどまる事を時折勧める。また傭兵のことを「初めてにして唯一の友」と語り執着心を見せる他、事ある毎に好意を伝えるも、ゼロの傍若無人で飄々とした性格もあり、当の傭兵には冗談としてあまり相手にされていない。好物は傭兵の作る芋のスープ。

ウェニアス王国
アルバス
魔女への迫害の終結を標榜する“ゼロの魔術師団”に所属する子供の魔女。魔女なのでアルバスは偽名である。魔術師団で魔法を学び、更なる力を求めて傭兵の首を狙って襲い掛かっていたところ、ゼロの介入によって失敗。その後ゼロが魔女であり、さらにゼロの書の作者であることを知り、魔術師団の拠点に招待する。魔術師団の拠点に王国側の魔術師として現われた十三番に捕らえられ、協力を拒否したため処刑されそうになるも、傭兵とホルデムに救われる。魔術師団を統率する“あの方”を信頼し付き従っていたが、ゼロの仲間を殺し魔法書を盗み出していたことを知り、魔術師団に戻らないことを決め、魔女と王国の対立を解決するため独自に行動を起こす。詠月の魔女ソーレナの孫娘。身の安全のために立場を偽り少年のような言葉遣いをしていたため、当初は傭兵に男と思われていた。傭兵には「坊主」、ゼロには「わっぱ」と呼ばれる。ウェニアス王国での騒動が終結した後は、ソーレナの後継たる詠月の魔女として、ウェニアス王国の国家魔術師団“ソーレナの火”の代表に収まり、広く散ってしまった魔法の管理に努める。ウェニアス王国で魔女狩りが禁止された後はウェニアス王国を巡る各国の情勢が激しく変動しており、それを巡る各国の腹の探り合いにうんざりさせられている。時同じくしてゼロたちが黒竜島の一件に巻き込まれ連絡がとれなくなったことでさらに苛立ちを強めているが、サナレが書いた偽の手紙により必要最小限の連絡しか求められていないと誤解してしまう。ゼロ達から期待されていた精神的な成長も実は全くしていなかったらしく、和解したはずの十三番からの助言を拒否し十三番からは半ば愛想を尽かされていた。更にソーレナの魂と偽ったサナレにより十三番が謀反を起こすと疑い彼に対する追討を計画し始めてしまい内政の混乱を招いてしまう。決別した教会に対抗すべく獣堕ちを人間に戻す政策を宣伝するも、十三番が欠けた状態での魔術師達だけでは力も数も足りず、人間に戻る順番を待つ獣堕ちが大量に発生し食人衝動による問題を引き起こしてしまう。苦肉の策として順番を待つ獣堕ちは城の最深部にある牢屋に監禁するという非人道的な手段に手を出してしまい、後に全てを十三番の責任として押し付ける行き当たりばったりな政治手腕をゼロから厳しく批判されてしまう。自身がウェニアス王国をまともに運営できていると誇示するため全世界の要人を集めパーティーを開くも監禁していた獣おちの暴走で失敗、ゼロからの叱責やサナレの教唆により精神的に追い詰められ、ウェニアス王国に集まった全世界の要人を人質に全世界相手に全面戦争をしかけるという暴挙に出る。本格的な行動を開始した泥沼の魔女から用済みと判断されたことで消されかけるが、十三番が命懸けでアルバスを守ったことで何とか生き延びる。十三番が自身の落命と引き換えにアルバスを救ったことでようやく自身の今までの行いを反省し改心する。その後は地道な国家運営に精を出している。

ソーレナ
人と接し人を助ける詠月の系統の代表者たる偉大な魔女であり、アルバスも「国一番の魔女」と尊敬している。病に陥った一般人のために薬を提供するなど、住民との関係は悪いものではなかったが、疫病が流行った際に、それを魔術によって治めた結果、逆に魔術で疫病を流行らせた犯人であるという汚名を着せられ、火刑に処される。これがきっかけでウェニアス王国で魔女による反乱が起きることになる。アルバスの話では胸が非常に大きかったらしく、傭兵をして「(自分が嫌っている)魔女で無ければ一度会ってみたかった」と言わしめた。

クレイオン共和国
フェーリア
聖都アクディオスの聖女と目される女性。愛称はリア。薄緋色の髪を三つ編みに垂らした巨乳の美女。超常的な力で人々の病を治療する「神の奇跡」を行い、聖女と呼ばれ祀り上げられている。ただし、教会から認定は受けていないので正確には聖女ではない。前もって忠告を受けていても小さな障害物をよけられないなど極端に鈍く、そんな自分でも誰かの役に立ちたいという願いから、「奇跡」を行い人々の治療を行っていた。しかしそれは実際には“犠牲印〈サクリシグス〉”と呼ばれる魔法で、傷や病を特定の印を体に刻んだ人間に分散させるというものだった。当人は魔法だということは知らずに善意でそれを使い続けているが、治療される側と症状を引き受ける側の人数が逆転することによって、逆に金銭と引き換えに犠牲印を刻んでしまった貧しい人々が苦しむという結果になっていた。獣堕ちの幼馴染がいるため、同じく獣堕ちの傭兵に対しても偏見を持たずに接する。またその極端な鈍さから傭兵にあれこれと世話を焼かれ、結果ゼロの嫉妬心が煽られることとなる。人を疑うことに慣れていないため、聖都を提供した親しい茶飲み友達が実は悪名高き奴隷商人であることさえ知らない。また聖都の実態がリアを称賛しなければ生きていけない恐怖政治になってしまっていることにも気づいておらず、リアが「奇跡」を行うほどリアに患者を紹介できる者だけが聖都で権力を握れるという悪循環に陥っている。リアに刻まれていたサナレによる犠牲印や守護印はゼロによって消滅したが、大怪我をしたカルを救おうとして悪魔ではなく神の力を借りて発動してしまった治癒の代償により視力を失い歩けない体となってしまっている。(ゼロの見立てでは正しい意味での代償であれば目玉や足そのものを奪われているはずなので、あくまで一時的な喪失に過ぎないという可能性も考慮している。)サナレの助言もあり聖女としてふるまうため言葉遣いは敬語が多いが、本来の性格は無邪気で非常に我儘な言動も多い。自分の治癒が奇跡ではなく魔法だと指摘された際は取り乱し、説得を試みたゼロや傭兵をひたすら非難することで心を保とうとした。視力を失い自力で歩けない体となった当初は周囲とも投げやりに接しており、かつてカルが語った孤児院時代のリアがそのまま成長した姿となっていた。アクディオスでの騒動の後は自身の「奇跡」が引き起こしていた真実を知り死を望むまでになるも、ゼロや神父からの叱咤を受け、聖女として生きてその償いをする決意を固め、ゼロより守護の章の写本を託された。正式に聖女に認定されたことで自分が課された責任もようやく自覚し、自分の一挙一動でアクディオスの命運が大きく揺れることも理解した。カルが一通りの文字も読めるため補佐に就いており、世間でも珍しい聖女と獣堕ちの補佐という組み合わせとなってる。

不完全なる数字〈セストゥム〉
サナレ
リアの侍女。元はゼロの魔術師団で書写として働き、ゼロの書の写本を作成していた。そのためゼロの書の内容に精通しており、リアに犠牲印の魔法を教え、アクディオスでの事件の黒幕となる。孤児院の出身で、そこで「無能」「役立たず」と蔑まれた経験から誰かの役に立つような人間になりたいと考えるようになり、さらに役に立たない人間は犠牲にしても構わないという過激な思想を持つに至る。“あの方”という人物に心酔しており、ゼロが危険として封印しながらもその人物がゼロの書の理論から新たに生み出したという死霊の章の魔法を習得する。アクディオスでゼロ達と対峙した後、「不完全なる数字〈セストゥム〉の崇高なる意思の元に」という言葉を残して姿を消した。孤児院に入る前は親と貧しい生活をしていたらしく、親が病気で倒れた際に貧しいという理由で医者に相手にされず必死に治療を頼んだサナレ自身も厄介な子供として追い払われた末に両親を失ってしまう。この経験から医者という存在をひどく憎んでおり、自分が育った孤児院で自身の傀儡にできるリアを見つけ引き取った。アクディオスにおけるリアを通じた数々の施策によって多くの医者たちの生計を破綻させ、自身の復讐成功を心から喜んでいた。その後、黒竜島にて人形の姿を借りアムニルの前に現れる。アルゲントゥムを亡くし動揺するアムニルの心につけ込み、その体を奪ってラウルと共に再び姿を消す。ウェニアス王国では十三番へのわだかまりを捨てられないアルバスの強情さを利用しソーレナの魂であると偽って接触、アルバスへ十三番への不信感を抱かせ両者の関係を決裂させることに成功する。ゼロや傭兵の前にも度々現れては挑発し去っていくが、実はゼロの中では早い段階でサナレを捕まえる方法を見つけていたため実際には泳がされていたに過ぎなかった。更に十三番もある程度のサナレの暗躍を見抜いた上で泳がされていたため、実際には十三番が確実にサナレを捕えるタイミングを見計らっていたことに気付き激怒する。その段階で泥沼の魔女が十三番と対峙したことで、実は自分は泥沼の魔女にさえ見捨てられており、ゼロや十三番に泳がされることを前提に使われていただけに過ぎないと理解する。泥沼の魔女から見捨てられたことで逃走を考えるが、完全に屈服させたと思っていたアムニルとラウルは確実にサナレを追い払うタイミングを探るため雌伏していただけであり、ゼロたちと共同作戦でアムニルの体をアムニル自身に取り戻されてしまう。アムニルの体に戻れなくなったことでゼロが作った泥人形に強制的に封印され、動くだけで体が崩れ消滅してしまう状態になってしまう。更に誰も開けないであろう物置に泥人形のままで放置され物理的な脱出も不可能となる。魔力を使って魂を脱出させるという精神的な脱出を図るも、すでにそれを見越していたゼロによって脱出も封じられる。精神的に脱出するための条件としてサナレに用意された見張り番はこれまでサナレが陰謀で命を奪ってきたティーオをはじめとする犠牲者達の魂であり、彼ら全員の許しを得ないと永遠に脱出することができないと教えられ愕然とする。ティーオの魂にも許しを乞うが相手にされず、自身のやってきたことを初めて嘆く。ゼロによればサナレの封印は百年から二百年単位のものであり、それまでに許しを得ねば泥人形自体が消滅してしまうらしい。更にその時間にサナレの魂が摩耗しないという保証はないため実質的に最期まで閉じ込められるに等しい刑となっている。サナレが生き残るにはティーオ達の魂に許してもらえるよう反省し謝罪し続けるしかないため、ゼロとしてはサナレが心から反省し謝罪することを願っている。

用語

魔術
魔法陣と呪文、生贄によって悪魔を召喚し、契約をすることによって奇跡的な現象を生じさせる学問。大きな力を持つ悪魔を召喚する際にはそれだけ命の危険が増し、また場合によっては儀式に時間や手間も必要とする上、儀式中は無防備になるため、簡単に行えるような汎用性の高いものではない。大きな力を持つ魔女たちが過去の戦争において敗れたのも、この魔術の扱いにくさのためとされている。なお、魔術における悪魔という語は単に人ならざるものを総称しているため、一般に妖精や神と呼ばれる存在も、魔術としては悪魔の一種とされる。魔術師は研究分野や行動指針の違いから、泥闇、詠月、星瞰等、幾つかの系統に分かれている。また魔術は教会では異端とされているため、教会の影響下にある地域においては魔女や魔術師たちは迫害にさらされ、身を潜めて生活している。なお悪魔は美しいものを好むことから、優秀な魔術師には整った容貌の人間が多いとされる。

魔法
“悪魔の契約法則”の略語。魔術を行使する際に、悪魔を呼び出すことなく力を借りることが出来ると気付いたゼロが、新たに編み出した技術。魔術と比べて、悪魔を呼び出すための煩雑な手順や、呼び出した悪魔から襲われるリスクとそのために必要となる身を守る結界などが無くなるため、才能さえあれば5年ほどで誰でも扱えるようになる。熟達すれば呪文の詠唱を省略することも可能。また魔術の場合は、悪魔は強制的に呼び出される上に、術者が諦めるか契約を結びそれを果たす、または術者を殺すことでしか地獄に戻る手段が無かったところを、術の度に無理矢理呼び出されずに済むようになるため、悪魔の側にとっても有益な技術となっている。

ゼロの書
ゼロが魔法の基礎理論と複数の悪魔の名前、能力、呪文、必要な対価を書き記した魔法の書。狩猟、捕縛、収穫、守護の4つの章から構成されている。10年前にゼロの住処である穴ぐらから持ち出され、その内容が世界に広まりつつある。ゼロ本人は世の中の役に立つことを願ってこの本を執筆したが、知識が広まるに連れて悪用する輩も現われており、その問題を解決することがゼロの旅の目的となっている。使い方によっては危険な内容となるため、魔法の威力を軽減するようわざと呪文に誤記があったり、ゼロ本人が却下すれば記述されている魔法が行使できなくなるなど、幾つかの安全策が施されている。なお上記の4つの章の他に、死をつかさどる悪魔に働きかける魔法を扱う死霊の章が存在するが、ゼロはこれを禁章として封じ、魔法書には記していない。

獣堕ち
獣の特徴を備えた半人半獣の人間たちの総称。その姿は狼や鷹など様々。教会では汚れた存在と見られており、また前世の罪の結果から悪魔が宿り、獣の姿をした人間として生まれると信じられているため、世間から忌み嫌われている。また婚姻の際に獣堕ちの姿を目にすると、生まれてくる子供も獣堕ちになるという迷信がある。さらに殆どの獣堕ちが傭兵や盗賊といった荒事を生業としているため、それも毛嫌いされる一因となっている。しかし その実態は前世の罪とは関係なく、過去に魔女が人間に獣の力を降ろす獣降ろしという魔術を行なったことによるもの。獣の力を宿した人間が死んだ時点で魔術を行使した魔女も死んでいた場合、宿っていた獣の魂が行き場を失い、魔女に最も近い存在に戻ってしまうという呪術返りが起こる。その結果、獣の魂が魔女の子孫の女性の腹に宿り、獣堕ちとして生まてくるとされる。多くの魔女ははぐれ者かつ極めて長命であり、大抵血縁者に存在が忘れられた頃にこうしたことが生じるため、この事実は一般には知られていない。また獣堕ちの首や血は魔術的な価値が高いとされるため、獣降ろしを行使するほどの力が無い魔女や、暇潰しに魔術に手を出した人間などから付け狙われている。

雑記



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