海賊と少女

初出スレ:5代目658〜

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心地よい風が吹く緑の丘からは、美しい海がよく見えた。
その上には無数の白い帆がゆったりと浮かんでいるのが分かる。
青々とした芝生を撫でる風に促されるように、海賊は顔を上げた。
穏やかな昼下がり、頭上に輝く太陽はまだ暑いというほどではない。
だが数週間立てば、太陽は燃えあがり子供たちを海水浴へと促すようになるだろう。
ぱらり、と手に持った革表紙の本のページが風にめくられる音で海賊はまた視線を下げた。
だが、本にではない。
海賊は本を持った右腕を立てた片膝に置くと、左膝の上の小さな重みに目を向ける。
そしてすうすうと寝息を立てる小さな卵形の顔を指先で撫でた。
閉じた丸い目を縁取る黒く長い睫毛、つんと誇らしげな小さな鼻。
少し近づけば、微かにそばかすの跡。
髪を梳いてみると、見目はくしゃくしゃにも関わらず、意外に指通りが良かった。
久しぶりの陸地で昨日は湯浴みをしたのか、いつもとは少し違う匂いがする気がする。
他の船乗りども同様海上ではろくな湯浴みのかなわぬ身ながらも、不思議と不快ではない
彼女独特の匂いが少し恋しい。
何度も撫でていると、少女は少し身じろぎをした。
海賊は黒い口ひげの下でくくっ、と喉の奥で笑うと、
ささくれ立った親指で微かに開いた赤い唇に触れた。
柔らかいその感触が心地よい。
少し力を入れ、軽くねじ入れてみると、小さな歯と舌に軽く触れるのが分かった。

今年でいくつになるだろうか。
素足が覗く、投げ出された7分丈の細い足に眼をやる。
ふくらはぎ辺りになだらかな曲線を確認できるようになった気もするが、
まだまだ子供のものだ。
出会ってから2年…そうだ、確か今年で13歳だった。
少しは、女らしくなったのか。
男物の服では、曲線も何も確認できたものじゃない。
海賊は少女の顎をひとなですると、手を下に滑らせた。
ぽん、とそこに手を置いてみる。
上下する胸、伝わる鼓動。
最初は見た目どおり平らかかと思ったが、微かな膨らみが確かにそこにあった。

今起きたらどうなるだろうか。
今までも多少セクハラまがいのことはしてきたが、ここまで直接的ではない。
真っ赤になって怒るだろうか。
泣くだろうか。
俺のこの愛惜の情に、気付くだろうか。

こんな未発達な子供に、と自分でも思う。
だが子供に手を出すことはこのご時勢珍しいことではなし、
彼女より幼い年齢の娼婦だって見たことがある。
まあ確かに多少変態的だし、あまりおおっぴらに出来ることではない。
なにより、一応伊達男で通っている俺らしくない。
この間などは、偶然通りかかった昔の馴染みの女にかなり冷たい目線で見られた。
まったく、まだ何もしていないというのにとんだ話だ。
そう考えると、いつも呑気な顔をして俺の隣に居るこの少女が少し憎たらしくなった。

―このままここで、犯してしまおうか。
指を、シャツの襟にかける。
このまま手を差し入れ、ささやかな乳房を包み込むのだ。
そうして眼を覚ました彼女を引き寄せ、もう片方の手で口をふさぐ。
いや、きっと驚きのあまりろくに声も出せなくなるだろうから必要ないかもしれない。
それでもまあ、その方が画的にはそそるのでそうする。
ボタンを一つずつ外す。
少しずつ露になる白い胸元。
胸の先端を弄り、無理やり立ちあがらせる。
敏感な場所を攻められて、きっと甲高い声が唇から漏れ出るだろう。
そうしたら小さな丸い耳を口に含み、尻に腰を押し付けて…

…まずい。
股間を見下ろしながら後悔する。
少しリアルに想像しすぎてしまった。
ズボンが盛り上がるほどではないが、少し硬くなっているのが分かる。
はあ、と溜息をつき、戒めるように輝く陽光を顔に受ける。
首筋を撫でていた手を引っ込み、頬杖をついた。
何が問題って、できないことはないということだ。
一応これでも海賊という名の外道だ。
無理やり犯すなど、なんとも海賊らしい行いだと思う。
だが、しない。
きっと、とても傷つけてしまうからだ。

思ってから、なんと偽善くさい言葉だと口角が上がる。
そう感じる辺り、あまり本気でそう思っていないことが自分でも分かる。
いつか自分の女にするのだ。
今純潔を奪い、完全に自分のものにしてしまったっていいじゃないか。
だが、やはりしない。
自分でも不思議だが、恐らく多少余裕があるからだろう。
だから薄っぺらい理性をどうにか保てている。
相変わらず寝息を立てている少女の顔をまた見下ろす。
赤面しがちのこの顔に、笑窪が出来る瞬間がたまらなく好きだった。
まあ、事実愛しいのだ。
ゆっくりやるさ。
海賊は、また本を開いて文面に眼を落とす。
明日には、また出航だった。




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2011年03月18日(金) 07:38:13 Modified by tknt7188




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