〜オッサンVS幼女〜

初出スレ:6代目55

属性:男(34歳)×少女(9歳)





「お休み、おじさん。」

俺の腕に絡みつきながら寝入る幼女。
可愛らしいもんだが、鬱陶しさが全く無いわけでもない。

まぁなるべく手短に言うと、こいつと一緒に過ごすようになったのは色々偶然が重なった結果だ。
こいつの保護者がどっか行っちまって、手近な所にいた俺が面倒見る羽目になった。
とりあえずはそんな所である。詳しいことはそのうち説明していくんじゃね?



「おはよう、おじさん。」

朝を迎える。
で、俺より若干早くに目を覚ましては、こいつは毎度―――

「ん…。」

俺の頬に口づけする。
それで俺も目を覚ます。

「…おう。」

「ん。」

俺が上体を起こす様をニコニコしながら見つめるこいつの頭に、軽く手のひらを乗せる。
そのまま撫でてやると一層喜ぶのである。

まぁ考えようによっては嬉しい、毎朝の定例イベントではある。
が、生憎と25も年の離れた小娘に欲情できる程俺は餓えちゃいないし、そんな趣味に目覚める気もない。



「いただきます。」

炊事、と言うか家事全般はもっぱら俺の仕事である。
こいつには、本人が手伝いたがった場合にできそうなことを少量頼む程度だ。干し終わった洗濯物の取り込みとか。

実質、ほぼ俺の一人暮らしも同然の状況に、ちょっと手間のかかるペットが一匹いる程度の感覚である。
ペット扱いしたら流石に本人も怒るだろうが。

オッサンの手料理が嬉々とした表情で平らげられていく。


「歯ぁ磨くぞ。」

「はぁい。」

別に歯磨きぐらいこいつも一人で普通にできるはずなのだが、俺がいる時はこんな些細なことまで俺の手でやらせたがる。
おじさんにやってもらう方が気持ちいい、らしい。
とんだ手間である。

で、磨き終わって「口が綺麗になった」ら、することと言えば。

「おじさん。」

両手を頭上に向けて広げながら、俺の顔を見上げてくる。

「はいはい。」

膝を折ってしゃがみこんで、俺の頭をこいつの顔が届く高さに持ってくる。

「ん。」

俺の頬にキス。既にお約束の領域にある。
よく飽きないものだ。

「おじさん、大好き。」

甘ったるい言葉を吐き散らしては、俺の首に両手を回して抱きついてくる。
…面倒くさい、とかガキ引き取るなんてやめときゃ良かった、とかいう思考が殆ど浮かんでこなくなったのはいつ頃からだろうな。

「…。」

平時のこいつは主に読書で時間を潰す。
とにかく本を読む。アホほど読む。
絵本か漫画でも読んどきゃいいものを、無駄に賢いもんだから文字しか書いてない本をさも当然のように読む。

…ソファの上の俺にぴったりくっつきながら。

本人的には「膝の上」が一番らしいが、流石に邪魔過ぎるので「真横」で妥協してもらっている。


で、俺の方は読書するこいつの隣で何をしているのかと言うと…
まぁ「仕事」探しである。

断っておくが今無職なわけではない。
「今の職業」で「やる仕事」をチラシ見て探しているのである。そのうち説明する。

「ん、終わった。」

本を読み終えたようだ。
そこそこ分厚いやつを与えておいたのだが、相変わらずアホほど読むのが早い。
多分俺の読書よりよっぽど早い。
そういうのが得意な頭でもしてるんだろう。

「ねぇ、おじさん。この本さ…。」

俺に読み終わった本の内容を語りたくて仕方が無いらしい。
お前用に買ってきただけの本だから俺は読んでないんだが、それ。

「主役の男の人が煮え切らない。」

お前は何を言っているんだ。

「むしろ全体が煮え切らない。
 三角関係きて盛り上がったと思ったら、なんかいまいち決着つかないまま、片方があっさり引き下がっちゃって…。」

知るか。

こいつは無駄に豊富な読書経験のおかげで、露骨に批評が厳しい。
二桁にもちょっと届かない程度の年齢のくせに、語彙まで無駄に沢山身につけている。

「ねぇ、聞いてる?」

「きーてるきーてる。」

俺は生返事しか返さない。基本的にどうでもいいから。

「途中で結構ドキドキしてたのに…こんなんじゃ収まんない。」

幼女が男女の三角関係を語る時代か。世も末かもしれん。

「だからおじさん…。」

何故俺に結び付ける。

「わたしと…んぐ。」

手で口を塞いでやる。

「なによぅ。」

俺の手をどけつつ、こちらの行為に反抗的な態度を示す。
ただ、口からどけた後でも一旦握った俺の手は離そうとしない。

「俺にしょうもないこと頼む気だろ、どうせ。」

「しょうもなくないよ。」

知らんわ。

「この火照った体を鎮めてもら――あいたっ。」

言いきる前に、もう片方の手で軽くチョップを入れる。

「その生々しい表現をやめろ。」

「えー、何かいけないの?」

さっき言った通りこいつは無駄に語彙が豊富だ。
「無駄に」な。
知識ばっかり頭に貯め込んで、それらの正しい活用法ってやつをきちんと学習していないのである。
そういう中途半端な所がガキくさくて面倒臭い。

「…おじさん、わたしのこと嫌い?」

で、ちょっと困るとすぐこれである。

「はいはい好きですよ、っと。」

頭に乗せておいた手刀の角度を変えて、今度は手のひらで優しく髪を撫でてやる。

「ん。」

今にも泣きそうだった表情が笑顔に戻る。
…俺も甘いのが悪いのかね。

「…抱っこ。」

「そう言え。」

結局こいつは何がしたいのかと言えば、とりあえず俺に寄りつきたいだけなのである。
…「だけ」にとどまる保障はないが。

「ん。」

ソファに尻を下ろしたままの俺に対して、ソファに膝立ちして顔の高さを合わせてくる。
で、こちらの首に両手を回して体を寄せ付け…いつものパターンである。

こちらも片手を相手の背中に回して、優しくポンポンたたいてやる。

「ん。」

すると喜ぶ。
こいつは人に触るのが大好きであり、人に触られるのが大好きなのである。

ただあんまりこうやって調子に乗せると…

「…。」

俺の頬じゃなくて唇を狙ってくるので、余った片手で奴の口を押さえ、阻止する。

「むぅ。」

頬へのキスは許しても唇へのキスは許さない、という区別にどの程度の意味があるのやら俺にもわからんが、
俺が何となくやりたくないんだから仕方が無い。
こいつがやる気満々でも、だ。

「いいじゃん。」

「俺が良くねぇ。」

こいつが大切だからこそ一線を越えたくない。
…みたいなもっともらしい理由づけもできないわけじゃないが、果たして俺はそこまでこいつを大切に思っているのだろうか。
正直今でもこいつと一緒にいるのは、「ただの成り行きであり、それ以上の理由は無い」という思考が頭から抜けきらない。

「ぅー。」

あんまり納得していないのが表情からも読み取れるが、俺に抱きつく腕には一層力が入る。
小さい身体も更に俺にめり込んでくる。

…うん、まぁ髪からすげぇいい匂いするよ。ぶっちゃけ。
むしろ俺みたいなオッサンの加齢臭が向こうは気にならんのかが心配だ。
きっちり毎日風呂には入ってるし、なるべく体も綺麗に洗っているつもりではあるが。
…そっちも想像ついてるであろう通り、風呂入る時も勿論一緒だ。

「…。」

片膝を軽く上げて、俺の両脚の間に滑り込ませてくる。
丁度俺の股間に膝頭が当たって…って。

「やめんか。」

股間を擦ってくる膝をどける。
幼女のふとももを引っ掴むなど、そこだけ見ればセクハラしているのは俺の方だが
実際は向こうが先に仕掛けてきたんだから俺は悪くない。無罪だ。

「男の人はそこいじると気持ちいい、ってお姉ちゃんが…。」

「忘れとけそんなこと。」



お姉ちゃんとは以前のこいつの保護者である。実姉ではなく、血縁は全く無い。
当然俺もこいつ、及びこいつの関係者達と血の繋がりは無い。

あんまり細かい事情まではいちいち聞いてないが、こいつは元を辿れば「お姉ちゃん」の拾い子だったらしい。
で、そのお姉ちゃんが相当な曲者であり、早い話がバイだった。
こいつ拾ってしばらくした後、十代そこそこの男も拾って、こいつの「お兄ちゃん」とした。
それでまぁ三人仲良く…中々にただれた生活を送っていたようである。

ただ途中で何かあったらしく、お兄ちゃんが逃げ出して、お姉ちゃんが追いかけていってしまったのである。
こいつを放ったらかしにして。
それで手近にいた…お姉ちゃん達と多少なり関わりのあった俺に所に回ってきたのである。

この幼女の年齢に不釣り合いなビッチぶりは、お姉ちゃんの「英才教育」の賜物というわけだ。
酷いお姉ちゃんもいたもんである。
お姉ちゃんは毎晩自分を抱いて眠ってくれた。
お姉ちゃんはよくキスをしてくれた。
お兄ちゃんもお姉ちゃんとよくキスしたり「抱き合ったり」してた。

という具合に何かと過去の保護者の自慢話を繰り広げては、俺にまで同レベルの行為を求めてくる。
よくもまぁ、自分を捨てたも同然の奴にそこまで肩入れできるものである。

と言うか俺が新しい保護者になってから俺に心を開くまでの間の無さときたら。
こいつの甘えん坊ぶりは異常。
ツンなど皆無である。こいつはデレ100%でできている。
どんだけ餓えてんだ。俺30過ぎのオッサンだぞ。

どうもお姉ちゃんにもアホみたいに甘えていたようだが、こいつをここまでにしたお姉ちゃんどんだけ、って話だ。
…お兄ちゃん、年下と年上揃ったダブルビッチの板挟みに耐えかねて逃げたんじゃねえの?
根拠は無いが、きっと大体合ってる自信があるぞ。

「お腹空いた。」

「まぁそうだな。」

飯の時間か。



一日二食で夕方寝たら半日寝っぱなし。
いかにもデブりそうな生活形態だが、俺の自主トレに付き合って運動する時もあるのでそんなに太らない。
今日は読書に費やしていたが。
まぁ成長期ってのもあるし、こいつは縦には伸びるが横にはそんなに伸びない。

さて、こいつを寝かしつけてからが俺の「仕事の時間」だ。
こいつは大変な我がままであり、片時たりとも「一人だけ」で居たがらない。
目を開けている間は、常に俺が傍にいないといけないのである。
おかげで空が黒くもならないうちにさっさと寝かしつけでもしないと、俺が仕事に出られない。

で、実際俺が何を収入源としているのかと言えば。






「何者だァッ!?」

「僕は森岳、フリーの傭兵さッ!!」

賞金稼ぎとかそんなんである。

飲食店でバイトとかができないわけではない。そこまで不器用じゃない。
だがたまたま流れ着いたこの絶妙に治安の悪い街は、おあつらえ向きに「金づる」がいっぱいいる。
そいつらをブチのめして留置所に持って行って、たんまり稼がせていただく。

自分で言うのも何だが、俺は「この収入源でそこそこ稼げる」程度に実力がある。
俗に言うファミリーとかマフィアとか結構潰してきた。
ヤクザ狩りを生業とする俺も、ある種のヤクザなのかもしれん。
別に正義の味方を気取るつもりもさして無いしな。金が稼げりゃそれでいい。

そして稼ぐついでに、「強い奴」と当たれたら尚いい。

ハッキリ言ってしまえば好きなのである。
「命のやり取り」が。
…更にハッキリ言ってしまうと、女のお相手をするよりも、だ。

さぁ今日も元気良く、夜空の下で…

「っしゃオラァァァァァァアアアッ!!」

「づッはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!?」

ヤーさん共を叩きのめそうか。



〜とりあえずここまで〜





関連ページ/〜オッサンVS幼女 その2〜 /


2012年03月09日(金) 17:14:54 Modified by ID:2C3t9ldb9A




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