小説を書くのに使っていたワイヤレスのマウスが壊れました。けもです。
左クリックがきかなくなったので、仕方なくキーパッドでチマチマ書いていたのでストレスたまりました()
おさずんとの最終決戦、お楽しみください！
また、後半の「大企業」パートは勢いで新たに書き加えたものです。解釈違い等ありましたら申し訳ございません……
〜第5話までのあらすじ〜
増援の要請は却下された。大広間の妖精と戦えるメンバーはもはやNo.7とWhiteCULのみになっていた。それでも、ふたりは果敢に突撃し、大部分の妖精をずんだもちごと燃やすことに成功。
勢いよく妖精たちが燃え上がる大広間の中で、数の暴力に追い詰められるも、WhiteCULが長い間封印していた妖術を解放。形勢が逆転し、ふたりは完全に妖精を殲滅した…………おさずんを除いて。おさずんは、突然癇癪を起こして他の妖精を殺し始めたことで、妖精たちの洗脳を解いてしまった。そこでおさずんは心置きなく大広間を放棄し、誰よりも早くそこから姿をくらましていたのだった…………向かう先は、地下室！
第6話 「施設」
地下室。ダイゾウじいさんとトキさんとザンセツ、そしてカメラマンがそこにはいた。
無事に救助されたトキさんは、地下室にあった商売道具の杵や臼等を使い、早速餅を作り続けている。どこまでも、タフな女性だ。
ダイゾウじいさんとザンセツは、共同で作業にあたりながら、自分も上で戦いたいとこぼし続ける。上で自分たちのために戦ってくれている突入部隊のことが心配だった。
「大丈夫さ。あの娘らは強いと、じいさん自身が言っていたじゃないか」
「たしかに、そうは言ったがのぉ……」
カメラマンは、ダイゾウじいさんから渡されたスタンガンを手に、不安そうに地下室内を警戒する。爆発音や銃声、妖精の叫び声等がひっきりなしに聞こえて来るので、安心出来ない様子だ。
「カメラマンどの。妖精が火器を扱えることはない。銃声が聞こえるということは、まだ人間側が生きているということじゃ」
「そ、そうですね………でも、もし妖精がここに入ってきたら……？」
弱音を吐くカメラマンに、ザンセツがぐわあ〜ん！と鳴く。まるで、その時は私に任せろ、と励ましているかのようであった。
やがて、爆発音も止み、妖精の叫び声や銃声の聞こえる頻度が少なくなった。戦いが終わりに近づいたのだろうか。ダイゾウじいさんも自慢のライフルを用意して、突入部隊の加勢をしに行くべきか、迷っていた頃であった。
「グッ！！」
ザンセツが警告するように鋭く鳴いた。天井に、いつの間にか穴が開いており、そこからこちらを覗くイキモノ………
「ひいいいいいいっ！出たああああああ！！」
「みつけたのだ、くちょにんげんども……」
おさずんだ。仲間から見捨てられ、No.7とWhiteCULが突入したタイミングで、心置きなく大広間を放棄したのだろう。それを見たカメラマンがスタンガンを構えたが、既に腰が抜けてしまっていた………
穴から這い出たおさずんは、様子をうかがうように空中を浮遊する。憎しみのこもった表情で人間たちをにらむその目は充血して、さながら鬼のような形相であった。強烈な閃光で目をやられたはずが、もう回復しているのは妖精の驚異的な自己再生能力ゆえであろうか………
「くちょにんげんども！きくのだ！！このいえはぼくのものになったのだ！」
「何を生意気なっ………！」
「すみやかにここからでていくのだ！ぼくはやさしいから、すぐでていけばころさないのだ………だが！ぼくのいうことをきけないなら、いますぐにころすのだ！」
「………さっきから聞いていれば、あんたはどこまでも自分勝手なやつだね………なぜこのタイミングでここに降りてきた？まだ戦いは続いているんだろう？」
「う、のだ…」
「おおかた、その性格が災いして仲間たちから見限られたんじゃないかい？」
闘争心をむき出しにライフルを向けようとしたダイゾウじいさんを制止したトキさんは、上にいた時と変わらない余裕な口調で告げる。どうやら、図星だったようだ。妖精は、歯をむき出して激しく憤る。
「だまれええええええ！くちょばばあ！ あんなくちょずんども、このさいきょうのぼくのほうからすててやったのだあああああああ！」
喚きながら、おさずんは、包丁を振り上げて威嚇する。もはや仲間から「おさ」と認められなくなっても、その自尊心は健在のようであった。
「だが、今のあんたは孤独だ。それに、ワタシたちは最初からここを出ていく気はないよ」
「ううううぅ！かとーせいぶつはかとーせいぶつらしく、このさいきょうのぼくのいうことにしたがえばいいのに、どうしてそんなかんたんなこともできないのだああああああ！！」
物事が自分の思い通りにいかず、よだれを飛ばして喚き散らすおさずんは、今度こそ人間たちに襲い掛かろうとした。
………だが、怒りに燃えた妖精には、周りが見えていなかった。
ばさばさっ！ぱーんっ！！
「のだあ”っ！？」
ふいに飛び上がったザンセツが、渾身の力を込めて空中のおさずんを蹴り飛ばしたのである。
びたんっ！かりぃん！
強烈なキックを受けて、包丁を取り落としたおさずんは、無様に地に落ちた。
「流石じゃ、ザンセツ！」
すかさず、武器を持たずに突進するダイゾウじいさん。今まで、自分が何も妖精に反撃出来ずに、抑圧されていた凄まじい怒りが、彼を突き動かしていた。
「あっ！ぼくのほうちょう…」 カサカサカサ……
慌てて起き上がり、包丁に駆け寄るおさずん。武器がなければ、自分は「くちょずん」と同じだと、そう考えていた。何としてでも自分の威厳を保つために包丁を拾おうと、飛ぶことも忘れてその短い足で走り始める。だが……
「させんっ！」
先にたどり着いたダイゾウじいさんが、包丁を足で遠くへ蹴り飛ばした。
「のだっ！？いっ！いちゃいいちゃい！！」 ギュギュギュ………
あっけなくダイゾウじいさんの靴に踏みつけられるおさずん。
爆発しそうな怒りをたたえた目で、ゆっくりとダイゾウじいさんは妖精を掴み上げる。
すぐに殺すつもりはなかった。どうしても、伝えるべきことがあった。
「…キサマかっ………ワシの家をめちゃくちゃにしてくれた元凶はっ………！」
「なにいってるのだくちょじじい！ぼくがこのいえをみつけたときから、このいえはぼくのものなのだ！それはきまりなのだ………ああ”あ”！！いちゃいいちゃい！はなしぇ！」
「誰が何と言おうと、ワシが死ぬまでは、ここはワシら家族の家じゃ！そしてワシは、キサマのような奴から、この家を守る責務があるっ！」
「だ、だったら、いまからおまえをころしてうばうまでなのだ！くちょじじい！！いちゃいいちゃい！はなすのだくちょじじい！あああああああ！！」
ダイゾウじいさんは、怒りを込めて妖精を強く握る。おさずんは威厳を保ちながらも、痛みに耐えられず顔を歪める。
「キサマのような奴は、誰も幸せに出来ない。本当ならば、ばあさんやセブンどの、カルどのや、機動隊の皆さんらが受けた様々な痛みや悪徳を、そっくりキサマに返してやりたいところだが…」
「つべこべいうななのだ！はやくかいほうするのだ！ぼくがだれだかわかってないのだ！？」
妖精は拘束から逃れようと喚いて暴れるが、無視してダイゾウじいさんは続ける。
「………ワシだって人間だ。人間には、情けというものがある。どれだけの悪人でも、ただ罰を与えて存在を消し去るのではなく、何か人のために役立つことが出来ないかをともに探していく。それが、人間の価値観なんじゃ…」
「くちょにんげんのかとーなかんがえなんかききたくないのだ！だまってぼくをかいほうするのだああああああ！！かいほうしないというなら、こうしてやるのだ！かあああああっ、ぺえええええ！」
耳を塞ぐように、わざとらしくぺたんと耳を寝かして、痰を吐きかける妖精。
「………わかってくれとは言わん。ただ、妖精と人間、大きく違うところがあるということをキサマにも伝えたかっただけなんじゃ…そして………」
ダイゾウじいさんは根気よくつぶやきながらおもむろに歩くと、先ほど自分が蹴って遠ざけた包丁をもう一方の手で拾い上げる。
「な、なにをするきなのだ………くちょじじい、せつめいするのだ！！」
「誰も幸せに出来ないキサマのような奴でも、せめて最期くらいは誰かを幸せに出来ないじゃろうか、と思ってな」
「ど、どういうことなのだ！ぼくのわかるようにしゃべるのだ！そんなことより、はやくかいほうするのだ！めいれいなのだ！このさいきょうのぼくをかいほうするのだあああああああああああああああ！！」
何かを察したか、激しくもがくおさずん。だが、かたく握られたダイゾウじいさんの手からの脱出は不可能だった。
「……ばあさん、やるぞ」
「あいよっ」 どすんっ
どこからともなくまな板を出したトキさん。ダイゾウじいさんはその上に、おさずんを叩きつけるように置き、片手で押さえつけた。
ぐぐぐぐ……
「う”っ…………な、なにを…！！」
「キサマは包丁を武器としてしか使っておらんかったようじゃな…もちろん、これは武器にも使えるが、それはとても悲しい使い方じゃ…」
汲んであった清潔な水で包丁を洗い、それを持ち直したダイゾウじいさんは、丁寧に妖精の耳、四肢、尻尾を順番にカットしていく。
とんっ、とんっ、とんっ………
「あがああああああああああああああああああああああああああああああ！いぢゃい！いぢゃい！いぢゃいよおおおおおおおおおおお！！」
「料理人は、誰かを傷つけようと思って包丁を使わん。自分の手で料理が美味しくなってほしい、自分の作った料理で誰かが喜ぶ顔が見たい、と願って包丁を使うんじゃ」
とんっ、とんっ、とんっ、とんっ………
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！いぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいいいいいいい！！ぼくの、ぼくのおみみさんがあああ！ぼくのおててさんがあ！ぼくのあんよさんがあ！！ぼくのしっぽしゃんがああああああああああああああああ！いぢゃああああああああああああああああああああああ！」
あまりの痛みに喚く妖精の体からはおびただしい体液があふれる。ダイゾウじいさんの見事な手際で、おさずんはあっという間に耳と、四肢と、尻尾を失い、ただ叫び続けるだけの醜い姿になった。
それはまるで、今まで彼が、その包丁で沢山の人々を傷つけてきた報いのようであった。
それでも、このおさずんは妖精愛護団体の庇護のもとで育った妖精である。多くの野生の妖精ならば、ここで屈辱と絶望のあまり急性ストレス障害(ころちて症候群)を発症しているところだが、自分は他の妖精たちとは違う、最強なんだ、という、どこから湧いて来るかわからない謎の自尊心が、彼をまだしぶとく生かしていた。
「のだああああああっ！くちょにんげんどもがああああ！このぼくをころしたらさいご、どうなるかわかっているのだ？“しせつ”のぼくのなかまがおまえたちをかぎつけて、おまえたちをぜったいにころすのだ！ころされたくなかったら、このさいきょうのぼくをかいほうするのだああああああ！！」
苦し紛れに“施設”の名を出した妖精。これで、今回の事件と妖精愛護団体との関連が明白になった。
「ううむ。老い先短い命、そんな脅しで屈するワシらではないぞ！」
「ああ。もしあんたの仲間とやらが来たとて、ワタシたちは最期まで戦ってやるさ！」
「ほ、ほんとうにばかなやつらなのだ、くちょにんげんども………ぼくのたいせつなものをうばって、ぼくのいいつけにそむいて、ぼくをかいほうしなかったことで、かならずこうかいすることになるのだあああああああああああああ！！」
おさずんは血反吐を吐きながらまな板の上で醜く喚く。もはや、何もかもを失ったこの状態の妖精を解放したところで、この先、生き長らえるとは到底思えないが。
「はあああああ！はあああああああ！のだ、のだあああぁ……んしょ、よいちょ……この、さいきょうのぼくが、こんな、ところで、しぬ、わけ、には、いかないちゃ……」
それでも、これから自分を待ち受ける運命から逃げるように、必死で体をくねらせてまな板から脱出しようとするおさずん。
自分の欠点や、自分にとって都合の悪い現実を頑なに認めようとせずに、あくまで「生」にすがりつくその姿は、あまりにも自然の摂理から逸脱したイキモノのそれであった。
「ばあさんや、準備はいいか」
「いつでも！」
「のだっ！？」
杵を構えたダイゾウじいさんが、まな板から降りようとしていた妖精を掴み上げ、今度は臼の中へと叩きつける。
ばちんっ！
「があ”」
呻いてなおも胎動を強める妖精は、自分がこれから何をされるのか分かっていないようだった。人間との圧倒的な力の差を見せつけられながらも、理解を拒んでいるように見えた。
ダイゾウじいさんが杵をおおきく振りかぶって、妖精めがけて振り下ろす。
どごっ！！
「こぽぉ」
………それが、おさずんの最期の言葉となった。
杵によっておさずんの体はぐちゃぐちゃにつぶれた。他の妖精と何も変わらない、あっけない最期であった………
「………最期まで恐ろしいイキモノじゃったの、ばあさん」
「ああ。自分がどうしようもない奴だと自覚しないまま死んだのは、ある意味幸運だったかもしれないね」
「あとは餅と和えるだけじゃ。いつも通りやるぞ」
「あいよっ！」
まな板の上でまだピクピクと脈うつ妖精の四肢や尻尾、耳を拾って臼に投入したダイゾウじいさん。トキさんはその上から、餅を置いて水を加える。
「カメラマンどの。ここから、撮影してくれんかの」
「えっ、わっ、わかりました」
腰を抜かして倒れこんでいたカメラマンが慌てて立ち上がり、カメラを構える。
「………いざ。はいっ！はいっ！はいっ！はいっ！はいっ！はいっ！はいっ！」
目にもとまらぬ速さで杵を動かし始めるダイゾウじいさん。トキさんも負けない速度で捏ね取りをおこなう。
まさしく、プロのなせる技であった。みるみるうちに妖精の死骸と餅とが綺麗に一体化していく。
「す、すごい………」
思わずつぶやくカメラマン。
テレビ局には「妖精の襲撃で避難した地下室でも懸命に仕事を続ける夫婦」というタイトルで映像データを送ろう。そう考えながら、カメラマンは汗だくでカメラを回し続けた。
「………はっ！」
「気が付きましたか、タカハシ隊長」
大広間前。出血多量で死の淵を彷徨ったタカハシであったが、隊員の応急処置によって一命をとりとめ、今、目を覚ましたのである。
「皆、すまなかった………何と感謝すれば良いか…」
「あぁ、動かないで下さい！傷口が開いたら、今度こそ………」
「すまん……だが、彼女たちはどうなった！？」
「まだ確認出来ません！銃声が10分ほど前に完全に止みました………」
「くそっ………くそっ！！」
タカハシの顔が無力感で歪む。自分がもっとタフであれば………
そんなタカハシたちの嘆きもよそに、燃え盛る大広間の中では、No.7とWhiteCULが抱き合ったまま眠っていた。
もはやふたりの時間を邪魔する者はいない。妖精の焼死体や煙等に囲まれていても、ふたりは幸せであった。
………そうは書いたものの、だんだんと大広間内の酸素濃度が薄くなってくると、ふたりは立ち上がって移動せざるを得なくなった。
「立てる…？ななさんっ」
「ありがとう、雪さん………んっ」
ふたりは最後にまた口づけを交わすと、お互いの肩を支えるように歩き出す。大広間の外で待つ機動隊員の皆さんやダイゾウじいさんたちに、無事を知らせなくてはいけない………
その後、ひとりの犠牲者も出すことはなく、総勢9人の人間たちは、崩落した出口をシールドで押し広げながら地上へと脱出した。しんがりを務める手負いのタカハシは、支え合って歩く女性ふたりを、仏のような顔で見守っていたという。
地上では、大広間の区画はまだ炎が消えず、消防隊が消火作業にあたり、報道陣が詰めかけていた。
「妖精に襲われたようですね！犠牲者はいなかったんですか！」
「WhiteCULさん、あなたがインターネット上で過剰に注目されてることについてひとことお願いします！」
「どうして火事が起きてるんですか！どうして！！」
まるで口汚い妖精のように騒ぎ立てる彼らを遮るがごとくドクター・ヘリが降りてきて、9人を全員、機内に収容した。
「皆さん、お気をつけて。こちらへどうぞ」
「あ、雨晴さん！？」
「はうちゃんっ？！」
機内で出迎えてくれたのは、ボイボ寮の仲間、雨晴はうであった。
「ななさん、ゆきさん、お手柄でした。ふたりも目立ったケガはなさそうですが、念のため病院で診てもらいましょう……出してください！」
「了解」
ドゥルルルルルルル………
ドクター・ヘリは華麗に舞い上がると、燃え盛る豪邸をあとにした。
「みなさん、本当にありがとう…これはお礼のひとつとさせておくれ」
ドクター・ヘリのベッドの上で、ダイゾウじいさんとトキさんが皆に差し出したのは、綺麗な緑色をした餅だった。
「うわっ！美味しそうっ！」
「妖精から作った。妖精は珍味だと聞くから、餅に混ぜてみたんじゃ！」
皆が一斉に餅を口に入れて、ゆっくりと噛む。それは信じられないほど美味しかった。皆の顔に、笑顔が咲いた。
あのおさずんは、ダイゾウじいさんの言ったとおり、最期に大勢の「誰か」を幸せにすることが出来たのである。自分が死んで、誰かの生きるための糧となることで………
今回の火災、それによる妖精の焼死の原因………もちろん、WhiteCULが妖精を殲滅するために放った火炎放射器が原因ではあるのだが………
「…妖精が豪邸の中で暴れまわって、ガス漏れを引き起こして爆発が起きたんでしょう。つまり、妖精たちは自滅したということです。私たちは地下室に避難していたので無事でした」
後日、不憫にも、報道陣のメディア・スクラムに捕まってしまったカメラマンが、WhiteCULの命を守るため「偽の」証言をしたのである。
豪邸内に機動隊が仕掛けた小型カメラの映像はすべて削除されたし、カメラマンが撮影していたのは人間に襲い掛かる妖精の姿と、目にもとまらぬスピードで餅をつく老夫婦の映像だけであったので、証言の矛盾を指摘されることはないだろう。
ダイゾウじいさんとは違って、武器を所持・使用する許可を有していないテレビ局職員がふたりも、武器を使って妖精を殺して回っていた、なんて世間が知ったらどんなことになるか、そのリスクはカメラマンもじゅうぶんに把握していた。だから、実際に妖精の駆除作業にあたろうと「 試 み た 」のは、機動隊員であると証言した。タカハシやその場にいた隊員らも、事情を察してうまく話を合わせてくれた。
何よりも、妖精愛護団体がこの件のあと、どう出て来るかわからない以上、彼らを刺激しないため、少しでもこちら側にとって不利な事実は隠して、妖精愛護団体に出る隙を与えないでおくべきだという考えが共通認識としてあった。本来ならば、妖精を用いて悪質なテロ行為をおこなった組織として真っ先に妖精愛護団体が糾弾されるべきだが。
………妖精愛護団体が、こんな報道だけで騙されるとは到底思えないのも、テレビ局の懸念点としてあった。報復として、テロ活動の活発化や、大規模な戦争が始まったとしてもおかしくはない。
いずれにしても、しばらくはセキュリティが万全なボイボ寮から出さない方が良さそうだと判断したテレビ局は、No.7とWhiteCULに、寮からの「テレワーク」を命じたのであった。
悪を裁くよりも、まずは罪もない職員の身の安全を優先した賢明な判断、と言えば聞こえはいいが、その判断に納得のいかない職員も数多くいたのは事実である。彼らは、妖精愛護団体への何らかの制裁を望んでいた。無理もない……………………
早期退院し、病院を出発してボイボ寮へと向かう黒塗りのバンの後部座席。疲れきって眠ってしまったふたりの女性は、眠りながらも固く手を握り合っていた。
ひとりでは立ち向かえない困難や恐怖でも、ふたりなら何とかなる。
今日の日もそうだった。きっと、次の日も………
「……突出した？」
『はっ。おそらく例の男が妖精を制御出来ず……1か月前と同様、独断で動かしたとの報告も』
「あの国の妖精は建前上、ウチの管轄外や。どうなったって構わんが、事態が大きくなるのはなぁ」
『念のため、“処置”しますか』
「……いや、既に海上保安庁が出張って来とる。今回、手出しはするな」
『仰せのままに』
ぶつっ、と音を立てて通信が切れる。
ここは、とある大企業のオフィスビルの最上階。
「……はぁっ」
社長椅子に座った少女は、不機嫌そうにため息をついて、食べかけだったエビフライを口に入れる。さくっ、と衣が弾け、上品な響きをもって口の中に広がる。
「お姉ちゃん、今いい？」
少女の後ろにある扉が開き、そこから姿を見せるもうひとりの少女。
「……アオイか」
「人間側の死者はゼロ、だって報告が来たよ、“愛護団体”の圧倒的な敗北」
「…………おかわり」
その報告に気分を害するわけでもなく、エビフライの乗っていた空の皿を差し出す「お姉ちゃん」。その表情からは、何も読み取れない。
「ん…………例のリポーター、私が始末しようか」
「アオイは相変わらず好戦的やなぁ……“愛護団体”の失態をわざわざアオイが尻拭いすることもあらへん」
「お姉ちゃんって甘いんだよね、そういうとこ。……嫌いじゃないけど」
皿を受け取った「アオイ」と呼ばれた少女が冷たい目で拳銃を取り出すが、「お姉ちゃん」は苦笑してひらひらと手を振る。呆れた顔になったアオイは拳銃をしまうと、運ばれてきたワゴンに置かれていた自分の食事と、エビフライの追加の皿を取って戻ってきた。
「なあ、妖精は全滅したんやろ？ガス漏れだなんて見え透いた嘘や、誰かが殺して回ったんやろな」
「私も同じこと思った。でもあいつらは嘘を報道するのが仕事だから仕方ないね」
「“愛護団体”もいずれは粛清せな…………ウチの金をあり得んほど使いまくって出来たのが、あんなただの口だけの自尊心のカタマリだなんて呆れるわ」
「あんなんじゃ何匹いても勝てないね……食べよ、お姉ちゃん」
向かい合ったふたりはおもむろに食事を始める。やがてアオイが食べ終わる頃には、黒いフードを被った人物が静かに歩いてきて、大きなチョコミント・アイスの入ったグラスを机に置き、一礼したのちにワゴンを持って社長室を立ち去った。
「……今回の襲撃について聞いたけど、計画性もなんもない。どうしてイケる思うたんやろな」
「まあ、“愛護団体”にはいい教育になったのかもね……ねぇお姉ちゃん、私アイス全部食べていい？」
「ええよ、アオイ好きやろこれ」
「うん」
嬉々としてチョコミント・アイスを頬張るアオイを眺める「お姉ちゃん」。普段はどんなに素っ気ない態度をとっていても、大好物を前にするといつも通りのアオイが戻ってくるから、ふたりだけのこの時間はとても貴重であり、好きだった。
「美味いか、アオイ」
「おいしいよ、ありがとうお姉ちゃん……お姉ちゃんこそもっと別の頼めばいいのに」
「ウチはエビフライ食べたけえ、いらん」
「減量中なの？もし食べ過ぎたって筋トレすればいい」
「イヤや、アオイは華奢な方がちょうどええのに、ウチはこんな子に育てた覚えはないっ」
おもむろに手を伸ばし、アオイの筋肉のついたニノウデを撫でる「お姉ちゃん」。アオイが大好物のアイスを食べるのを中断し、不満げに頬を膨らませる。
「お姉ちゃん………また、子ども扱いだ」
「………アオイもボスになったんやろ？いろんな部署の……」
「お姉ちゃんこそ、社長なんだからもっとちゃんとしてくれないと」
「はあぁい……」
その言葉とは裏腹に、机にだらんと突っ伏した「お姉ちゃん」は、脱力したまま上目遣いでアオイを見やる。
「あぁ〜あ。こんなかわいいアオイも、もう専務やって………」
「お姉ちゃん、だらけすぎて私に寝首掻かれても知らないよ」
「ん〜？アオイに殺されるなら本望や…………けど昨日はウチに負けたやんな、“夜の戦い”で」
「……………………ばか」
アオイが顔を赤らめて目を逸らす。ニヤニヤしながらそれを見つめる「お姉ちゃん」。大企業の社長と専務とは思えないほどのやり取りだ。
ポーン…………
だが、ふたりだけの静かな時間は長くは続かなかった。社長室のインターホンが鳴ると、ふたりは人が変わったように冷たい目をして姿勢を整える。
「………入れ」
冷たい声で、入室許可を出す「お姉ちゃん」。黒いフードを深くかぶった女性が扉を開け、淡々と報告する。
「例の国から社長宛に電報が届いております………さらなる資金援助と、今回失った妖精の補充を求めています」
「…………へえ」
「図々しい。あれだけ勝手にいろいろしておいて、まだ甘い汁を吸わせろと言うの」
挑発的に首を傾げる「お姉ちゃん」とは対照的に、アオイは煮えたぎる怒りを抑えきれない様子であった。
それを横目で見た「お姉ちゃん」が、静かに声をかける。
「…………アオイ。出番や」
「いいのっ？お姉ちゃん………キョウマチ、場所はどこ？」
「発信元は千葉県N市……おそらくそこの “施設”に本件の関係者たちが集結している模様かと」
「いける……すぐに出る！ヘリの準備を！」
戦いの喜びにその冷たい目を爛々と輝かせ、キョウマチと呼ばれた黒フードの女性にぐいっと急接近するアオイ。キョウマチは、その剣幕に戸惑って半歩下がる。
「出る……とは………専務御自ら？」
「勿論。私がやるのは、あくまで“視察”………そう、やつらには研究成果の視察とだけ伝えて」
「………仰せのままに」
一礼したキョウマチが社長室を出ていくと、アオイは俄然興奮した様子で着替え始める。その背中に声をかける「お姉ちゃん」。
「“視察”ねえ………………消すんやろ、その“施設”」
「当たり前だよ。お姉ちゃんがやらないなら私がやるだけ…………“私、コトノハ アオイが粛清しようというのだ、お姉ちゃん”」
「ふふっ………恐ろしい娘」
「誰のせいでこうなったと思ってるの。もう戻れないよ、お姉ちゃん」
「……テロ組織のものとは言うても、特殊訓練を受けた妖精は貴重な戦力になるけえ、妖精に限ってはなるべく殺すなよ？アオイ」
「約束はしない。でも、善処する」
恥じらうことなく姉の前で服を豪快に脱ぎ捨てたアオイの肢体をぼんやりと眺め、「お姉ちゃん」…………コトノハ アカネは物思いにふける。
アオイは立派になった。もう、ウチの後をベソかいてついて回るだけの、か弱い双子の妹ではない。
だからこそ、誇らしいし、同時に物悲しくもある。
最近のアオイはオフィスを離れることが増えた。アオイの自由を束縛するつもりはないが、ウチは姉として、心配だった。
「………首謀者の例の男は漁船でN市を離れているようです、海上保安庁に拘束される方が早いかと」
「構わない。何もかもが終わっても、いつかは帰れるといいなぁ……キョウマチ、貴女も来て……操縦手が要る」
「仰せのままに」
アオイは完全に、例の男の帰る場所をなくす気のようだった。重装備に身を包み、ヘリの準備を整えて戻ってきたキョウマチを引き連れて社長室を出ていく。
今日の“夜の戦い”は望むべくもない。
帰ってきたら、アオイが本当は“誰のもの”なのかをじっくりわからせなくては。
〜終〜
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
これで本編は終了ですが、後日譚として新たにｺｯｼｮﾘメインのお話を執筆中ですので、書きあがり次第投稿いたします。
左クリックがきかなくなったので、仕方なくキーパッドでチマチマ書いていたのでストレスたまりました()
おさずんとの最終決戦、お楽しみください！
また、後半の「大企業」パートは勢いで新たに書き加えたものです。解釈違い等ありましたら申し訳ございません……
〜第5話までのあらすじ〜
増援の要請は却下された。大広間の妖精と戦えるメンバーはもはやNo.7とWhiteCULのみになっていた。それでも、ふたりは果敢に突撃し、大部分の妖精をずんだもちごと燃やすことに成功。
勢いよく妖精たちが燃え上がる大広間の中で、数の暴力に追い詰められるも、WhiteCULが長い間封印していた妖術を解放。形勢が逆転し、ふたりは完全に妖精を殲滅した…………おさずんを除いて。おさずんは、突然癇癪を起こして他の妖精を殺し始めたことで、妖精たちの洗脳を解いてしまった。そこでおさずんは心置きなく大広間を放棄し、誰よりも早くそこから姿をくらましていたのだった…………向かう先は、地下室！
第6話 「施設」
地下室。ダイゾウじいさんとトキさんとザンセツ、そしてカメラマンがそこにはいた。
無事に救助されたトキさんは、地下室にあった商売道具の杵や臼等を使い、早速餅を作り続けている。どこまでも、タフな女性だ。
ダイゾウじいさんとザンセツは、共同で作業にあたりながら、自分も上で戦いたいとこぼし続ける。上で自分たちのために戦ってくれている突入部隊のことが心配だった。
「大丈夫さ。あの娘らは強いと、じいさん自身が言っていたじゃないか」
「たしかに、そうは言ったがのぉ……」
カメラマンは、ダイゾウじいさんから渡されたスタンガンを手に、不安そうに地下室内を警戒する。爆発音や銃声、妖精の叫び声等がひっきりなしに聞こえて来るので、安心出来ない様子だ。
「カメラマンどの。妖精が火器を扱えることはない。銃声が聞こえるということは、まだ人間側が生きているということじゃ」
「そ、そうですね………でも、もし妖精がここに入ってきたら……？」
弱音を吐くカメラマンに、ザンセツがぐわあ〜ん！と鳴く。まるで、その時は私に任せろ、と励ましているかのようであった。
やがて、爆発音も止み、妖精の叫び声や銃声の聞こえる頻度が少なくなった。戦いが終わりに近づいたのだろうか。ダイゾウじいさんも自慢のライフルを用意して、突入部隊の加勢をしに行くべきか、迷っていた頃であった。
「グッ！！」
ザンセツが警告するように鋭く鳴いた。天井に、いつの間にか穴が開いており、そこからこちらを覗くイキモノ………
「ひいいいいいいっ！出たああああああ！！」
「みつけたのだ、くちょにんげんども……」
おさずんだ。仲間から見捨てられ、No.7とWhiteCULが突入したタイミングで、心置きなく大広間を放棄したのだろう。それを見たカメラマンがスタンガンを構えたが、既に腰が抜けてしまっていた………
穴から這い出たおさずんは、様子をうかがうように空中を浮遊する。憎しみのこもった表情で人間たちをにらむその目は充血して、さながら鬼のような形相であった。強烈な閃光で目をやられたはずが、もう回復しているのは妖精の驚異的な自己再生能力ゆえであろうか………
「くちょにんげんども！きくのだ！！このいえはぼくのものになったのだ！」
「何を生意気なっ………！」
「すみやかにここからでていくのだ！ぼくはやさしいから、すぐでていけばころさないのだ………だが！ぼくのいうことをきけないなら、いますぐにころすのだ！」
「………さっきから聞いていれば、あんたはどこまでも自分勝手なやつだね………なぜこのタイミングでここに降りてきた？まだ戦いは続いているんだろう？」
「う、のだ…」
「おおかた、その性格が災いして仲間たちから見限られたんじゃないかい？」
闘争心をむき出しにライフルを向けようとしたダイゾウじいさんを制止したトキさんは、上にいた時と変わらない余裕な口調で告げる。どうやら、図星だったようだ。妖精は、歯をむき出して激しく憤る。
「だまれええええええ！くちょばばあ！ あんなくちょずんども、このさいきょうのぼくのほうからすててやったのだあああああああ！」
喚きながら、おさずんは、包丁を振り上げて威嚇する。もはや仲間から「おさ」と認められなくなっても、その自尊心は健在のようであった。
「だが、今のあんたは孤独だ。それに、ワタシたちは最初からここを出ていく気はないよ」
「ううううぅ！かとーせいぶつはかとーせいぶつらしく、このさいきょうのぼくのいうことにしたがえばいいのに、どうしてそんなかんたんなこともできないのだああああああ！！」
物事が自分の思い通りにいかず、よだれを飛ばして喚き散らすおさずんは、今度こそ人間たちに襲い掛かろうとした。
………だが、怒りに燃えた妖精には、周りが見えていなかった。
ばさばさっ！ぱーんっ！！
「のだあ”っ！？」
ふいに飛び上がったザンセツが、渾身の力を込めて空中のおさずんを蹴り飛ばしたのである。
びたんっ！かりぃん！
強烈なキックを受けて、包丁を取り落としたおさずんは、無様に地に落ちた。
「流石じゃ、ザンセツ！」
すかさず、武器を持たずに突進するダイゾウじいさん。今まで、自分が何も妖精に反撃出来ずに、抑圧されていた凄まじい怒りが、彼を突き動かしていた。
「あっ！ぼくのほうちょう…」 カサカサカサ……
慌てて起き上がり、包丁に駆け寄るおさずん。武器がなければ、自分は「くちょずん」と同じだと、そう考えていた。何としてでも自分の威厳を保つために包丁を拾おうと、飛ぶことも忘れてその短い足で走り始める。だが……
「させんっ！」
先にたどり着いたダイゾウじいさんが、包丁を足で遠くへ蹴り飛ばした。
「のだっ！？いっ！いちゃいいちゃい！！」 ギュギュギュ………
あっけなくダイゾウじいさんの靴に踏みつけられるおさずん。
爆発しそうな怒りをたたえた目で、ゆっくりとダイゾウじいさんは妖精を掴み上げる。
すぐに殺すつもりはなかった。どうしても、伝えるべきことがあった。
「…キサマかっ………ワシの家をめちゃくちゃにしてくれた元凶はっ………！」
「なにいってるのだくちょじじい！ぼくがこのいえをみつけたときから、このいえはぼくのものなのだ！それはきまりなのだ………ああ”あ”！！いちゃいいちゃい！はなしぇ！」
「誰が何と言おうと、ワシが死ぬまでは、ここはワシら家族の家じゃ！そしてワシは、キサマのような奴から、この家を守る責務があるっ！」
「だ、だったら、いまからおまえをころしてうばうまでなのだ！くちょじじい！！いちゃいいちゃい！はなすのだくちょじじい！あああああああ！！」
ダイゾウじいさんは、怒りを込めて妖精を強く握る。おさずんは威厳を保ちながらも、痛みに耐えられず顔を歪める。
「キサマのような奴は、誰も幸せに出来ない。本当ならば、ばあさんやセブンどの、カルどのや、機動隊の皆さんらが受けた様々な痛みや悪徳を、そっくりキサマに返してやりたいところだが…」
「つべこべいうななのだ！はやくかいほうするのだ！ぼくがだれだかわかってないのだ！？」
妖精は拘束から逃れようと喚いて暴れるが、無視してダイゾウじいさんは続ける。
「………ワシだって人間だ。人間には、情けというものがある。どれだけの悪人でも、ただ罰を与えて存在を消し去るのではなく、何か人のために役立つことが出来ないかをともに探していく。それが、人間の価値観なんじゃ…」
「くちょにんげんのかとーなかんがえなんかききたくないのだ！だまってぼくをかいほうするのだああああああ！！かいほうしないというなら、こうしてやるのだ！かあああああっ、ぺえええええ！」
耳を塞ぐように、わざとらしくぺたんと耳を寝かして、痰を吐きかける妖精。
「………わかってくれとは言わん。ただ、妖精と人間、大きく違うところがあるということをキサマにも伝えたかっただけなんじゃ…そして………」
ダイゾウじいさんは根気よくつぶやきながらおもむろに歩くと、先ほど自分が蹴って遠ざけた包丁をもう一方の手で拾い上げる。
「な、なにをするきなのだ………くちょじじい、せつめいするのだ！！」
「誰も幸せに出来ないキサマのような奴でも、せめて最期くらいは誰かを幸せに出来ないじゃろうか、と思ってな」
「ど、どういうことなのだ！ぼくのわかるようにしゃべるのだ！そんなことより、はやくかいほうするのだ！めいれいなのだ！このさいきょうのぼくをかいほうするのだあああああああああああああああ！！」
何かを察したか、激しくもがくおさずん。だが、かたく握られたダイゾウじいさんの手からの脱出は不可能だった。
「……ばあさん、やるぞ」
「あいよっ」 どすんっ
どこからともなくまな板を出したトキさん。ダイゾウじいさんはその上に、おさずんを叩きつけるように置き、片手で押さえつけた。
ぐぐぐぐ……
「う”っ…………な、なにを…！！」
「キサマは包丁を武器としてしか使っておらんかったようじゃな…もちろん、これは武器にも使えるが、それはとても悲しい使い方じゃ…」
汲んであった清潔な水で包丁を洗い、それを持ち直したダイゾウじいさんは、丁寧に妖精の耳、四肢、尻尾を順番にカットしていく。
とんっ、とんっ、とんっ………
「あがああああああああああああああああああああああああああああああ！いぢゃい！いぢゃい！いぢゃいよおおおおおおおおおおお！！」
「料理人は、誰かを傷つけようと思って包丁を使わん。自分の手で料理が美味しくなってほしい、自分の作った料理で誰かが喜ぶ顔が見たい、と願って包丁を使うんじゃ」
とんっ、とんっ、とんっ、とんっ………
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！いぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいいいいいいい！！ぼくの、ぼくのおみみさんがあああ！ぼくのおててさんがあ！ぼくのあんよさんがあ！！ぼくのしっぽしゃんがああああああああああああああああ！いぢゃああああああああああああああああああああああ！」
あまりの痛みに喚く妖精の体からはおびただしい体液があふれる。ダイゾウじいさんの見事な手際で、おさずんはあっという間に耳と、四肢と、尻尾を失い、ただ叫び続けるだけの醜い姿になった。
それはまるで、今まで彼が、その包丁で沢山の人々を傷つけてきた報いのようであった。
それでも、このおさずんは妖精愛護団体の庇護のもとで育った妖精である。多くの野生の妖精ならば、ここで屈辱と絶望のあまり急性ストレス障害(ころちて症候群)を発症しているところだが、自分は他の妖精たちとは違う、最強なんだ、という、どこから湧いて来るかわからない謎の自尊心が、彼をまだしぶとく生かしていた。
「のだああああああっ！くちょにんげんどもがああああ！このぼくをころしたらさいご、どうなるかわかっているのだ？“しせつ”のぼくのなかまがおまえたちをかぎつけて、おまえたちをぜったいにころすのだ！ころされたくなかったら、このさいきょうのぼくをかいほうするのだああああああ！！」
苦し紛れに“施設”の名を出した妖精。これで、今回の事件と妖精愛護団体との関連が明白になった。
「ううむ。老い先短い命、そんな脅しで屈するワシらではないぞ！」
「ああ。もしあんたの仲間とやらが来たとて、ワタシたちは最期まで戦ってやるさ！」
「ほ、ほんとうにばかなやつらなのだ、くちょにんげんども………ぼくのたいせつなものをうばって、ぼくのいいつけにそむいて、ぼくをかいほうしなかったことで、かならずこうかいすることになるのだあああああああああああああ！！」
おさずんは血反吐を吐きながらまな板の上で醜く喚く。もはや、何もかもを失ったこの状態の妖精を解放したところで、この先、生き長らえるとは到底思えないが。
「はあああああ！はあああああああ！のだ、のだあああぁ……んしょ、よいちょ……この、さいきょうのぼくが、こんな、ところで、しぬ、わけ、には、いかないちゃ……」
それでも、これから自分を待ち受ける運命から逃げるように、必死で体をくねらせてまな板から脱出しようとするおさずん。
自分の欠点や、自分にとって都合の悪い現実を頑なに認めようとせずに、あくまで「生」にすがりつくその姿は、あまりにも自然の摂理から逸脱したイキモノのそれであった。
「ばあさんや、準備はいいか」
「いつでも！」
「のだっ！？」
杵を構えたダイゾウじいさんが、まな板から降りようとしていた妖精を掴み上げ、今度は臼の中へと叩きつける。
ばちんっ！
「があ”」
呻いてなおも胎動を強める妖精は、自分がこれから何をされるのか分かっていないようだった。人間との圧倒的な力の差を見せつけられながらも、理解を拒んでいるように見えた。
ダイゾウじいさんが杵をおおきく振りかぶって、妖精めがけて振り下ろす。
どごっ！！
「こぽぉ」
………それが、おさずんの最期の言葉となった。
杵によっておさずんの体はぐちゃぐちゃにつぶれた。他の妖精と何も変わらない、あっけない最期であった………
「………最期まで恐ろしいイキモノじゃったの、ばあさん」
「ああ。自分がどうしようもない奴だと自覚しないまま死んだのは、ある意味幸運だったかもしれないね」
「あとは餅と和えるだけじゃ。いつも通りやるぞ」
「あいよっ！」
まな板の上でまだピクピクと脈うつ妖精の四肢や尻尾、耳を拾って臼に投入したダイゾウじいさん。トキさんはその上から、餅を置いて水を加える。
「カメラマンどの。ここから、撮影してくれんかの」
「えっ、わっ、わかりました」
腰を抜かして倒れこんでいたカメラマンが慌てて立ち上がり、カメラを構える。
「………いざ。はいっ！はいっ！はいっ！はいっ！はいっ！はいっ！はいっ！」
目にもとまらぬ速さで杵を動かし始めるダイゾウじいさん。トキさんも負けない速度で捏ね取りをおこなう。
まさしく、プロのなせる技であった。みるみるうちに妖精の死骸と餅とが綺麗に一体化していく。
「す、すごい………」
思わずつぶやくカメラマン。
テレビ局には「妖精の襲撃で避難した地下室でも懸命に仕事を続ける夫婦」というタイトルで映像データを送ろう。そう考えながら、カメラマンは汗だくでカメラを回し続けた。
「………はっ！」
「気が付きましたか、タカハシ隊長」
大広間前。出血多量で死の淵を彷徨ったタカハシであったが、隊員の応急処置によって一命をとりとめ、今、目を覚ましたのである。
「皆、すまなかった………何と感謝すれば良いか…」
「あぁ、動かないで下さい！傷口が開いたら、今度こそ………」
「すまん……だが、彼女たちはどうなった！？」
「まだ確認出来ません！銃声が10分ほど前に完全に止みました………」
「くそっ………くそっ！！」
タカハシの顔が無力感で歪む。自分がもっとタフであれば………
そんなタカハシたちの嘆きもよそに、燃え盛る大広間の中では、No.7とWhiteCULが抱き合ったまま眠っていた。
もはやふたりの時間を邪魔する者はいない。妖精の焼死体や煙等に囲まれていても、ふたりは幸せであった。
………そうは書いたものの、だんだんと大広間内の酸素濃度が薄くなってくると、ふたりは立ち上がって移動せざるを得なくなった。
「立てる…？ななさんっ」
「ありがとう、雪さん………んっ」
ふたりは最後にまた口づけを交わすと、お互いの肩を支えるように歩き出す。大広間の外で待つ機動隊員の皆さんやダイゾウじいさんたちに、無事を知らせなくてはいけない………
その後、ひとりの犠牲者も出すことはなく、総勢9人の人間たちは、崩落した出口をシールドで押し広げながら地上へと脱出した。しんがりを務める手負いのタカハシは、支え合って歩く女性ふたりを、仏のような顔で見守っていたという。
地上では、大広間の区画はまだ炎が消えず、消防隊が消火作業にあたり、報道陣が詰めかけていた。
「妖精に襲われたようですね！犠牲者はいなかったんですか！」
「WhiteCULさん、あなたがインターネット上で過剰に注目されてることについてひとことお願いします！」
「どうして火事が起きてるんですか！どうして！！」
まるで口汚い妖精のように騒ぎ立てる彼らを遮るがごとくドクター・ヘリが降りてきて、9人を全員、機内に収容した。
「皆さん、お気をつけて。こちらへどうぞ」
「あ、雨晴さん！？」
「はうちゃんっ？！」
機内で出迎えてくれたのは、ボイボ寮の仲間、雨晴はうであった。
「ななさん、ゆきさん、お手柄でした。ふたりも目立ったケガはなさそうですが、念のため病院で診てもらいましょう……出してください！」
「了解」
ドゥルルルルルルル………
ドクター・ヘリは華麗に舞い上がると、燃え盛る豪邸をあとにした。
「みなさん、本当にありがとう…これはお礼のひとつとさせておくれ」
ドクター・ヘリのベッドの上で、ダイゾウじいさんとトキさんが皆に差し出したのは、綺麗な緑色をした餅だった。
「うわっ！美味しそうっ！」
「妖精から作った。妖精は珍味だと聞くから、餅に混ぜてみたんじゃ！」
皆が一斉に餅を口に入れて、ゆっくりと噛む。それは信じられないほど美味しかった。皆の顔に、笑顔が咲いた。
あのおさずんは、ダイゾウじいさんの言ったとおり、最期に大勢の「誰か」を幸せにすることが出来たのである。自分が死んで、誰かの生きるための糧となることで………
今回の火災、それによる妖精の焼死の原因………もちろん、WhiteCULが妖精を殲滅するために放った火炎放射器が原因ではあるのだが………
「…妖精が豪邸の中で暴れまわって、ガス漏れを引き起こして爆発が起きたんでしょう。つまり、妖精たちは自滅したということです。私たちは地下室に避難していたので無事でした」
後日、不憫にも、報道陣のメディア・スクラムに捕まってしまったカメラマンが、WhiteCULの命を守るため「偽の」証言をしたのである。
豪邸内に機動隊が仕掛けた小型カメラの映像はすべて削除されたし、カメラマンが撮影していたのは人間に襲い掛かる妖精の姿と、目にもとまらぬスピードで餅をつく老夫婦の映像だけであったので、証言の矛盾を指摘されることはないだろう。
ダイゾウじいさんとは違って、武器を所持・使用する許可を有していないテレビ局職員がふたりも、武器を使って妖精を殺して回っていた、なんて世間が知ったらどんなことになるか、そのリスクはカメラマンもじゅうぶんに把握していた。だから、実際に妖精の駆除作業にあたろうと「 試 み た 」のは、機動隊員であると証言した。タカハシやその場にいた隊員らも、事情を察してうまく話を合わせてくれた。
何よりも、妖精愛護団体がこの件のあと、どう出て来るかわからない以上、彼らを刺激しないため、少しでもこちら側にとって不利な事実は隠して、妖精愛護団体に出る隙を与えないでおくべきだという考えが共通認識としてあった。本来ならば、妖精を用いて悪質なテロ行為をおこなった組織として真っ先に妖精愛護団体が糾弾されるべきだが。
………妖精愛護団体が、こんな報道だけで騙されるとは到底思えないのも、テレビ局の懸念点としてあった。報復として、テロ活動の活発化や、大規模な戦争が始まったとしてもおかしくはない。
いずれにしても、しばらくはセキュリティが万全なボイボ寮から出さない方が良さそうだと判断したテレビ局は、No.7とWhiteCULに、寮からの「テレワーク」を命じたのであった。
悪を裁くよりも、まずは罪もない職員の身の安全を優先した賢明な判断、と言えば聞こえはいいが、その判断に納得のいかない職員も数多くいたのは事実である。彼らは、妖精愛護団体への何らかの制裁を望んでいた。無理もない……………………
早期退院し、病院を出発してボイボ寮へと向かう黒塗りのバンの後部座席。疲れきって眠ってしまったふたりの女性は、眠りながらも固く手を握り合っていた。
ひとりでは立ち向かえない困難や恐怖でも、ふたりなら何とかなる。
今日の日もそうだった。きっと、次の日も………
「……突出した？」
『はっ。おそらく例の男が妖精を制御出来ず……1か月前と同様、独断で動かしたとの報告も』
「あの国の妖精は建前上、ウチの管轄外や。どうなったって構わんが、事態が大きくなるのはなぁ」
『念のため、“処置”しますか』
「……いや、既に海上保安庁が出張って来とる。今回、手出しはするな」
『仰せのままに』
ぶつっ、と音を立てて通信が切れる。
ここは、とある大企業のオフィスビルの最上階。
「……はぁっ」
社長椅子に座った少女は、不機嫌そうにため息をついて、食べかけだったエビフライを口に入れる。さくっ、と衣が弾け、上品な響きをもって口の中に広がる。
「お姉ちゃん、今いい？」
少女の後ろにある扉が開き、そこから姿を見せるもうひとりの少女。
「……アオイか」
「人間側の死者はゼロ、だって報告が来たよ、“愛護団体”の圧倒的な敗北」
「…………おかわり」
その報告に気分を害するわけでもなく、エビフライの乗っていた空の皿を差し出す「お姉ちゃん」。その表情からは、何も読み取れない。
「ん…………例のリポーター、私が始末しようか」
「アオイは相変わらず好戦的やなぁ……“愛護団体”の失態をわざわざアオイが尻拭いすることもあらへん」
「お姉ちゃんって甘いんだよね、そういうとこ。……嫌いじゃないけど」
皿を受け取った「アオイ」と呼ばれた少女が冷たい目で拳銃を取り出すが、「お姉ちゃん」は苦笑してひらひらと手を振る。呆れた顔になったアオイは拳銃をしまうと、運ばれてきたワゴンに置かれていた自分の食事と、エビフライの追加の皿を取って戻ってきた。
「なあ、妖精は全滅したんやろ？ガス漏れだなんて見え透いた嘘や、誰かが殺して回ったんやろな」
「私も同じこと思った。でもあいつらは嘘を報道するのが仕事だから仕方ないね」
「“愛護団体”もいずれは粛清せな…………ウチの金をあり得んほど使いまくって出来たのが、あんなただの口だけの自尊心のカタマリだなんて呆れるわ」
「あんなんじゃ何匹いても勝てないね……食べよ、お姉ちゃん」
向かい合ったふたりはおもむろに食事を始める。やがてアオイが食べ終わる頃には、黒いフードを被った人物が静かに歩いてきて、大きなチョコミント・アイスの入ったグラスを机に置き、一礼したのちにワゴンを持って社長室を立ち去った。
「……今回の襲撃について聞いたけど、計画性もなんもない。どうしてイケる思うたんやろな」
「まあ、“愛護団体”にはいい教育になったのかもね……ねぇお姉ちゃん、私アイス全部食べていい？」
「ええよ、アオイ好きやろこれ」
「うん」
嬉々としてチョコミント・アイスを頬張るアオイを眺める「お姉ちゃん」。普段はどんなに素っ気ない態度をとっていても、大好物を前にするといつも通りのアオイが戻ってくるから、ふたりだけのこの時間はとても貴重であり、好きだった。
「美味いか、アオイ」
「おいしいよ、ありがとうお姉ちゃん……お姉ちゃんこそもっと別の頼めばいいのに」
「ウチはエビフライ食べたけえ、いらん」
「減量中なの？もし食べ過ぎたって筋トレすればいい」
「イヤや、アオイは華奢な方がちょうどええのに、ウチはこんな子に育てた覚えはないっ」
おもむろに手を伸ばし、アオイの筋肉のついたニノウデを撫でる「お姉ちゃん」。アオイが大好物のアイスを食べるのを中断し、不満げに頬を膨らませる。
「お姉ちゃん………また、子ども扱いだ」
「………アオイもボスになったんやろ？いろんな部署の……」
「お姉ちゃんこそ、社長なんだからもっとちゃんとしてくれないと」
「はあぁい……」
その言葉とは裏腹に、机にだらんと突っ伏した「お姉ちゃん」は、脱力したまま上目遣いでアオイを見やる。
「あぁ〜あ。こんなかわいいアオイも、もう専務やって………」
「お姉ちゃん、だらけすぎて私に寝首掻かれても知らないよ」
「ん〜？アオイに殺されるなら本望や…………けど昨日はウチに負けたやんな、“夜の戦い”で」
「……………………ばか」
アオイが顔を赤らめて目を逸らす。ニヤニヤしながらそれを見つめる「お姉ちゃん」。大企業の社長と専務とは思えないほどのやり取りだ。
ポーン…………
だが、ふたりだけの静かな時間は長くは続かなかった。社長室のインターホンが鳴ると、ふたりは人が変わったように冷たい目をして姿勢を整える。
「………入れ」
冷たい声で、入室許可を出す「お姉ちゃん」。黒いフードを深くかぶった女性が扉を開け、淡々と報告する。
「例の国から社長宛に電報が届いております………さらなる資金援助と、今回失った妖精の補充を求めています」
「…………へえ」
「図々しい。あれだけ勝手にいろいろしておいて、まだ甘い汁を吸わせろと言うの」
挑発的に首を傾げる「お姉ちゃん」とは対照的に、アオイは煮えたぎる怒りを抑えきれない様子であった。
それを横目で見た「お姉ちゃん」が、静かに声をかける。
「…………アオイ。出番や」
「いいのっ？お姉ちゃん………キョウマチ、場所はどこ？」
「発信元は千葉県N市……おそらくそこの “施設”に本件の関係者たちが集結している模様かと」
「いける……すぐに出る！ヘリの準備を！」
戦いの喜びにその冷たい目を爛々と輝かせ、キョウマチと呼ばれた黒フードの女性にぐいっと急接近するアオイ。キョウマチは、その剣幕に戸惑って半歩下がる。
「出る……とは………専務御自ら？」
「勿論。私がやるのは、あくまで“視察”………そう、やつらには研究成果の視察とだけ伝えて」
「………仰せのままに」
一礼したキョウマチが社長室を出ていくと、アオイは俄然興奮した様子で着替え始める。その背中に声をかける「お姉ちゃん」。
「“視察”ねえ………………消すんやろ、その“施設”」
「当たり前だよ。お姉ちゃんがやらないなら私がやるだけ…………“私、コトノハ アオイが粛清しようというのだ、お姉ちゃん”」
「ふふっ………恐ろしい娘」
「誰のせいでこうなったと思ってるの。もう戻れないよ、お姉ちゃん」
「……テロ組織のものとは言うても、特殊訓練を受けた妖精は貴重な戦力になるけえ、妖精に限ってはなるべく殺すなよ？アオイ」
「約束はしない。でも、善処する」
恥じらうことなく姉の前で服を豪快に脱ぎ捨てたアオイの肢体をぼんやりと眺め、「お姉ちゃん」…………コトノハ アカネは物思いにふける。
アオイは立派になった。もう、ウチの後をベソかいてついて回るだけの、か弱い双子の妹ではない。
だからこそ、誇らしいし、同時に物悲しくもある。
最近のアオイはオフィスを離れることが増えた。アオイの自由を束縛するつもりはないが、ウチは姉として、心配だった。
「………首謀者の例の男は漁船でN市を離れているようです、海上保安庁に拘束される方が早いかと」
「構わない。何もかもが終わっても、いつかは帰れるといいなぁ……キョウマチ、貴女も来て……操縦手が要る」
「仰せのままに」
アオイは完全に、例の男の帰る場所をなくす気のようだった。重装備に身を包み、ヘリの準備を整えて戻ってきたキョウマチを引き連れて社長室を出ていく。
今日の“夜の戦い”は望むべくもない。
帰ってきたら、アオイが本当は“誰のもの”なのかをじっくりわからせなくては。
〜終〜
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
これで本編は終了ですが、後日譚として新たにｺｯｼｮﾘメインのお話を執筆中ですので、書きあがり次第投稿いたします。
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このページへのコメント
妖精絡みの悪事、たいていｱｶﾈﾁｬﾝのせい
アイゴー団体は下部組織かー
コメントありがとうございます。某大企業にまつわる小説を書いてくださっている作家様たちの設定が大好きでして………設定等いろいろお借りして、こうなりました！
このお話の段階ではアカネちゃんの方が落ち着いているように描写しましたが、あるイベントを機に性格がガラッと変わる予定です。
今後も、小説の中で（長編になってしまうかもしれません）大企業の描写を加えていきたいです！！
おさずん（）の行き先は地下室ですか
老夫婦とザンセツがマジでカッコイイ
おさずん（）が施設との関係を自白した決定的なシーンが明白な証拠としての残らなかったのが残念ですが、百合を守るためには致し方なし・・・ですかね？
最後、続編に向けて情報が出てきましたね
愛誤団体は上から切り捨てが確定、と
某企業は例の双子姉妹ですか
この口ぶりだと、この企業からの要請で外患誘致や国家転覆の兵力として妖精を養成してたのが愛誤団体、ですかね
こりゃ人が安心して眠るためにはこっちも消さなきゃいけませんね
コメントありがとうございます。地下室に自ら入ったということは、自分から本地下牢へと料理虐されに来た可能性（暴論）
此方の世界で全面戦争は避けたかったのです（大企業は戦力を温存中という設定です）
愛護団体は大企業こそが「救世主」だとして多額の技術供与、援助を得ていますが、某大企業にとっては体のいい“すてごま”なのでした…………