こんにちは。メンタルブレイク気味のけもです。本サイトの素晴らしい動画作品や小説には、いつも楽しませていただいております。自分ももっと執筆ペースを上げたいのですが……
今回は、妖精の生態における醜悪さをふんだんに詰め込むことが出来たかな、と思っております。ぜひお楽しみください。
※一部ｺｯｼｮﾘ場面ございます。苦手な方はご注意くださいませ。
〜第2話までのあらすじ〜
ダイゾウじいさんと再会を果たしたマガン「ザンセツ」の機転により、屋根を占拠していた妖精たちは総崩れになり、豪邸内部を占拠していた妖精たちは籠城を余儀なくされる。妖精たちは無秩序に交尾を繰り返し、子ずんを増やしていたものの、食糧は既に底をついていた。そこで、妖精愛護団体の個体と思われる「おさずん」は、人質であるトキさんを生かし、ずんだもちを作れと執拗に脅す。No.7ら偵察部隊はトキさんの言葉を受け、早期の突入を決断する。一方、大広間では、敗残兵がおさずんによって容赦なく食糧に変えられる等、食糧に関して限界の状態が続いていたのであった……
第3話 「飢餓」
次の日。No.7たち偵察部隊が手に入れたトキさんの計画の情報により、タカハシは、昼には豪邸の内部へと突入することを決定した。記録映像の撮影要員として、カメラマンも厳重な護衛の下、同行することになった。
「ほ、本当に俺もいくんですか…？」
ヘリコプターの上で妖精に散々酷い目にあわされたカメラマンは、半泣きで再び防護服を着る。突入作戦には、自分は同行しなくても良いだろうと考えていた矢先であった。
「わたしたちもいくんですからっ！がんばりましょっ！！」
「君はもう少し危機感を持ってくれ…」
彼を元気づけようとガッツポーズをとるWhiteCUL。だぼだぼの防護服のフード部分を外し、小さな顔だけを見せている姿は、少し滑稽な芸人のようだ。
かわいい。WhiteCULのその姿を見て、No.7の緊張がほぐれた。妖精愛護団体が管理する妖精が指揮官なら、（妖精愛護団体から）指名手配となっているWhiteCULが真っ先に狙われると考えていたが、防護服をすっぽりと着ることが出来れば少しは安心だろう。
いずれにしても、No.7が彼女の一番近くで守らなくてはならないが。
「おふたり、ちょっとちょっと…」
防護服を着こんだダイゾウじいさんが手招きする。ふたりは訝しげに顔を見合わせながら、ダイゾウじいさんについていった。
「ここじゃ」
地下室へと向かう「抜け道」の途中。立ち止まったダイゾウじいさんが地面を足でトントンと踏み鳴らした。
それが合図になったか、床の一部がガコン！と持ち上がり、ダイゾウじいさんの前に古びたガン・ラックが現れる。
「こっ、これは…！」
「すっごいっ！秘密基地みたいっ！！」
新兵器の登場に思わず後ずさるNo.7と、目を輝かせて一歩近づくWhiteCUL。ガン・ラックにはボルト式のライフルが2丁と、黒いケースに仕舞われた武器。そして、背嚢と繋がったホースのような武器…
「じゅ、銃刀法が…」
「心配しなさんな。国に許可はとっておる。ワシは、ここで餅屋を始める前は凄腕の狩人でなあ！かつてはこのライフルでザンセツと幾度となく戦ったモンじゃ…」
ダイゾウじいさんは、1丁のライフルを持ち上げると愛おしそうに撫でる。
「おっ…と！またまた年寄りの長話が始まるところじゃった。おふたりさんにはこの武器を持ってもらう。自分の身を守るためじゃ」
そう言ってダイゾウじいさんは、黒いケースとホース状の武器を抱える。
「火炎放射器だっ！ダイゾウさん、わたし、これがいいっ！ななさん、いいっ？」
「はっはっはっ！まだトリガーは引くんでないぞ！」
瞬時にその武器の正体を見破ったWhiteCULは、嬉々として背嚢を受け取って背負い、ホース状の放射装置を構えてポーズをとる。
「か、火炎放射器！？じゃあ、私はこっちで……これ、何ですか」
「知りたいか？見せてやる」
新しいおもちゃを自慢する子供のような笑みを浮かべたダイゾウじいさんは、黒いケースの留め金を解除する。出てきたのは、細長い銃身に木製の銃床を取り付けた銃であった。とある映画でサングラスのサイボーグがバイク上で使っていた…
「…ショットガン？！」
「いかにも！ウィンチェスター・M1887/1901の改造モデルじゃ。対妖精用の弾薬が用意されておる。間違えて人間に撃っても大丈夫との触れ込みじゃったが…まあ、向けない方が安心じゃろう」
「ひ、人には絶対向けません…怖い…」
ずっしりとしたショットガンを受け取ったNo.7がよろめきながら小さくつぶやく。予備として受け取った弾薬は、緑色をしており、妖精のシルエットが黒く刻印されていた。
「あはははっ！汚物は消毒じゃ〜〜〜っ！！」
「ダイゾウさん。こんな武器、どこから…？」
世紀末のゴロツキのようにふざけて走り回るWhiteCULをよそに、No.7が問うた。
「ああ。何でも、妖精の被害を食い止めるべく秘密裏に武器開発をおこなっている団体があるそうなんじゃ。ワシにこの火炎放射器とショットガンと対妖精用の弾薬をくれたのは、謎の天才科学者“K”とか言ったかの…」
「な、名前からして怪しすぎます！！いくらとられたんですか…」
「いや、タダじゃった。困ったときに使ってくれと………もしそれが今じゃとしたら、使わない手はない」
「んんぅ…でも、これが記録されることは非常にまずいと考えます。突入時には、カメラは回さないようにしましょう」
また一夜明けた大広間。妖精たちの食糧問題はさらに深刻なものとなっていた。
「ごはんさん、ごはんさん………ぺっ、ぺぇっ！まじゅい、まじゅい！」
空腹のあまり壁にかかったカレンダーやポスターをかじる妖精。
「はあ……はあ………な、なんでずんちゃのまえにあつまってるのだ……」
栄養失調で、周りの妖精よりもやせ細り、荒い息を吐いて横たわる個体の周りに集まる妖精たちもいる。力尽きるのを待っているのか。
「おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃー！！おかーちゃ！おかーちゃ！あいつらがぜんぶずんちゃのごはんしゃんとったのだ！おにゃかぺこぺこなのだああああああ！」
「ごめんねおちびちゃん、いまはがまんして……あとでずんだもちをいっぱいたべさせてあげるからね…」
「いまじゃなきゃだめなのだああああ！はやくずんちゃのずんだもち、よういするのだあああ！！このくちょおやああああ！！」
「おちびちゃん、ごめんね、ごめんね…」
ここでは、どうやら、昨日食事にありつけなかった子ずんの1匹が癇癪を起こしているようだ。小さい前足で、おさずんの近くにいる子ずんを指さしながら泣き叫ぶ。
「あいつらのせいなのだあああ！ずんちゃのごはんしゃんだったのに！ずんちゃのごはんしゃんだったのにいいいぃ！！」
「おちびちゃん、いまはしずかにして…よけいにおなかさんへるのだ…」
「だまるのだこのくちょおやあああ！はやくあいつらをころしゅのだ！かわいいずんちゃのごはんしゃんをうばったむくいをうけさせるのだあああ！！」
「おちびちゃん！おねがいだからしずかにするのだ………ひっ……？！」
自分では出来もしないことを喚きたてる子ずん。母ずんは慌てて落ち着かせようとする。おさずんの機嫌を損ねたら、自分が殺されてしまうからだ。
案の定、子ずんの泣き声を聞いていたおさずんがゆっくりと飛んでくる。母ずんは顔を真っ青にして震えだした。
子ずんの言葉で機嫌を悪くしたか、おさずんが冷たく命令する。
「………だまらせるのだ」
「は、はいっ！！お、おちびちゃん！しずかにするのだ！！」
「うるしゃいのだ！！だれかがずんちゃのごはんしゃんをよういするまでしずかにしないのだああああ！おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃー！！おぎゃあああああああああああ！！」
だが、慌てる母ずんの願いもむなしく、子ずんはさらに激しく泣き始める。
「…ぼくはけいこくしたのだ。ぼくのいうことにしたがわないものはどうするか…」
包丁をきらめかせるおさずん。それを見た母ずんは半狂乱になって、子ずんの口を両前足でふさいだ。
「おちびちゃあああああん！おねがいだからしずかにするのだああああ！！」
「おぎゃああああああぁむぐっ！？むぐぐぐがごごごごごごおぉ…」
口を塞がれ、苦しそうに手足をバタバタさせる子ずん。しかし、冷静な判断力を失った母ずんは、ますます強く我が子の口を押さえ続けた。
「んんんんむ、む、むぐ、く、くちょ、おやああぁぁぁぁぁぁ…………」
「ふうぅうううっ！ふうううううっ！」
ぱたり、と、酸素の供給を断たれた子ずんの腕が地面に落ちる。それでも、荒い息を吐きながら母ずんはなおも子ずんの口を押さえ続けていた。
「よしよし。もういいのだ」
「はっ！？はぁ、はあ………お、おちびちゃん…？！」
満足そうに離れていくおさずん。
「あのざこじゅん、ちんだのだ！」
「ちんでとーぜんちゃ！ずんちゃたちになまいきいったかとーせいぶつなにょだ！」
「よわむしなにょだ！！にょーだにょだ！にょーだにょだ！！」
おさずんの周りにいた子ずんたちが嘲笑う。母ずんは、ここで初めて事の重大さに気づいたらしい。
「お、おちびちゃん？め、めをさますのだ…も、もういいのだ！しゃべってもいいのだ！」
目を覚ますも何も、子ずんは目をかっと見開いた苦悶の表情で冷たくなっていく。その口が二度と言葉を発することは、ない。
「おちびちゃん！すねてるのだ？さっきはらんぼうしてごめんねおちびちゃん、もういいからおきるのだ！」
母ずんは我が子の死を認められず、子ずんを激しく揺さぶり始める。既に力を失った子ずんの首が、がくがくと揺れる。
しかし、時間が経ち、子ずんが完全に冷たくなると、だんだんと母ずんにも状況がわかってきた。
自分が、殺した。
子ずんを、殺した。
「お、おちび、ちゃん………の、のだ………の、のーだのだのだ！のーだのだのだ！！」
自分の手で我が子を窒息死させたショックで、母ずんはただ涙を流しながら狂ったように大声で笑うことしか出来なかった。そして、その悲しみの感情は、だんだんと、自らの食欲へとシフトしていく。
「はあ、はあ、はあ………ご、はん、さん…」
そして、よろよろと今まで自分が揺さぶっていた子ずんの死骸に口をつける。
「はぐ、ぐちゃ、むちょ、ちょっくちょ、おちびちゃん、おいち、おいち………」
自らの欲望が満たされた喜びで、母ずんの表情が緩む。それはもはや、我が子を思う母親の表情ではない。子ずんの死骸は、母ずんに容赦なく噛み砕かれた。
「おいち、おいち、ごめんね、おちびちゃんおいち、おいち、おいち………」
これがきっかけになり、大広間内の妖精は、死にそうな個体を見つけると、その気はなしという雰囲気を出しながら近づき始めるようになった。
もちろんおさずんも、この状況を黙ってみているわけではない。落ち着きなく大広間と台所を行き来し、特大のずんだもちが完成するのは今か今かとトキさんをなじる。
「おちびちゃんたち！またさんずんほどだいどころまでいって、あのくちょばばあをかんしするのだ！くちょばばあがちんたらしていたらすぐにぼくにしらせるのだ！」
「はーいのだ！はーいのだ！！おとーちゃ、ずんちゃがいちばんさいしょにずんだもち、たべるのだ？」
「のだ！だれよりもかわいいぼくのおちびちゃんたちがいちばんにしあわせになるのはとうぜんのことなのだ！」
「やっちゃーのだ！いってくるのだ！のだのだのだのだ…」
「これもおちびちゃんたち、ひいてはなかまのためなのだ！このさいきょうのぼくがいないとなにもできないくちょずんどもばかりなのだ、ここにいるやつらは…」
「仲間のため」を思うならトキさんのずんだもちづくりに協力しても良いものを、自分で何もしようとしないのは、指揮官としてのプライドの高さ故だろうか………
現在時刻は11:30。突入まで、あと30分を切った。トキさんが、正午には計画通りずんだもちを大広間へ運び込むことになっていた。もしそれが遅れても、No.7たち突入部隊が強行してトキさんを救出、その後妖精たちを殲滅する作戦だ。
安全な場所で、No.7とWhiteCULは、ダイゾウじいさんに武器の扱い方をレクチャーしてもらっていた。
「カルどの。これは除草用の火炎放射器を魔改造したもののようじゃ。このタンクの大きさだとすぐに燃料がなくなってしまうぞ」
「そんなぁっ……」
「だから、妖精を一か所に集めて一気に放射するのがベストじゃ。使用するときには必ず防護服を着るんじゃぞ」
「はいっ！気を付けて大事に使いますねっ」
「次はセブンどの。さっき教えたレバーの操作、もう一度やってみてくれるかの？」
「は…はいっ」
No.7の抱えるショットガンは、古いタイプのショットガンだ。つまり、持ち手部分をガチャンとスライドさせて排莢する「ポンプ・アクション」ではなく、トリガーガードにあるレバーをスライドさせる「レバー・アクション」だ。これによって、連射が可能になる。
No.7は深呼吸をすると、素早くレバーを動かした。
がちっ！！がちっ！！
凶暴な音が響く。ショット・シェルはまだ装填されていないが、これを実際に撃つときは、強烈な衝撃音がするのだろうなとNo.7は感じた。
「上出来じゃ。ショットガンはライフルとは違って散弾を飛ばす。つまり、一点を丁寧に狙わなくても、“面”での制圧が出来る」
「と言うと」
「こちらも、束になってかかってきた妖精を一網打尽に出来るんじゃ！火炎放射器の燃料は出来るだけ最後まで取っておいて、セブンどのはショットガンでカルさんを守ってあげてほしい」
「わかりました」
いよいよ、ダイゾウじいさんから受け取った緑色のショット・シェルを装填するNo.7。ショットガン本体には5発、防護服の上から肩にかけたベルトには26発。これで、妖精が次々に襲ってきてもしばらくは戦えそうだ。
大広間内では、今までで一番異質な雰囲気が漂っていた。
「う、うまれりゅ…うまれりゅ………」
部屋の端で産気づき、激しく腰を振り出す1匹の妖精。やがて、2匹の子ずんが産み落とされた。
「おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃー！！」
すぐさま甲高く産声をあげる子ずんたち。本来なら、母ずんは、我が子が生まれてきたら、喜びですぐにでも我が子を抱きしめるものだが………
「はあ…はああ………のだ、のだ………」
栄養失調気味で子ずんを出産したこの母ずんは、急激な体力の消費に意識が朦朧としている。やがて母ずんは、自分のすぐ後ろで泣き喚くイキモノが発する「音」を耳で捉えた。
「おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃー！！おぎゃあああああああああああ！おぎゃあああああああああああ！！」
なかなか母親が自分を抱きしめてくれない。不安と恐怖に駆られた子ずんたちは、母親を呼ぶように、泣き声のボリュームを大きくした。
しかし、今の母ずんにとって、それは逆効果だった………
大きくなった「音」に反応し、振り向く母ずん。自分のお尻のすぐ後ろには、無防備な姿で泣き喚くふたつの塊があった。
「………ごはんさん、ごはんさん！！」
ついに自分だけが食事にありつける喜び。今の母ずんには、そのふたつの塊が何であるかを判別するだけの理性は残っていなかった。
はぐちゃっ！！
「おぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ！！」
「ごはんさん、おいち、おいち！」
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああ！」
「おいち、おいち、ぐちゃむちゃちっ、ばづゅぐちょちゃっちゃっちゃ………」
頭を食い破られ、痛みに絶叫する子ずん。母ずんには、その悲鳴が、自分に食べられることで「ごはんさん」が喜んでいる音として聞こえていた。そして、この幸せを他の妖精に邪魔されないよう、母ずんは一心不乱に2匹の子ずんを貪り続けた。
「あ、は、あぅ………おぎゃ、おぎゃ……」
体の殆どを食べられた子ずんのうちの1匹は、まだ生きている。もう1匹は、頭から食べられたため、既に絶命していた。
それでも生きている子ずんは、母親を呼ぼうと弱々しく泣き声を発し続ける。自分が、他ならぬ、その母親に食べられているとも知らずに………
「おいち、おいち！」
「おぎゃ、おぎゃ………おぎぃいっ！！」
母ずんは、まだ泣き続ける子ずんの頭を無慈悲にも噛み砕いた。脳漿をあふれさせた子ずんは、あっけなく静かになった。
「げぇっぷ！のだ、のだ！………おなかさんがかるくなってるのだ！おちびちゃんはまだうまれてこないみたいなのだ！！………ずーん、ずーん………」
やがて、自分のお腹（肛門）から産み落とした子ずんを再び自分のお腹の中（食道）へと戻したカタチになった母ずんは、満足そうにゲップをすると、眠り始めた。最後まで、今自分が食べたものこそが、自分の子供であるとは知らずに………
あまりにも衝撃的な光景だが、このような現象はこの母ずんに限ったことではなかった。
ついに力尽きた妖精は、前もって近づいていた妖精たちにあっという間に貪り食われ、少しでもケガをしている妖精は、容赦なく襲われて食べられた。妖精たちは、極限状態の中、どんどん数を減らしていった。
小型カメラにはっきりと映っていたのは、妊娠したメスの妖精を他の妖精が追いかけまわしている光景だった。発情したオスが、メスのお尻を追いかけているのではない。オスもメスも、老いも若きも関係ない。彼らは、メスのお尻からこれから出て来る子ずんを狙っていた。
「つ、ついてくるななのだ！！おちびちゃんたちはわたさないのだ！！」
弱々しく叫ぶメス妖精。だが、お腹が重い妖精が逃げきれるわけもなく、欲に目がくらんだ妖精たちは、彼女を執拗に追い回し続け、ついに大広間の端へと追い詰めた。
「どくのだ！はなれるのだ！くちょずん！！………う、うまれりゅ、うまれりゅ……」
短い前足を振り回して必死に追い払おうとするメス妖精だったが、やがて産気づき、腰を大きく振り始める。
「はあ、はあ、はあっはあっはあっはあっ！！」
「ごはんさん！ごはんさん！ごはんさん！ごはんさん！！」
「おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃあああああああっ！！」
「ひゃーん！ひゃーん！ひやあああああああああっ！！」
「にょだー！にょだー！にょだあああああああっ！！」
「おぎゃーのだ！おぎゃーのだ…おぎゃあああああ”あ”あ”あ”………」
メスずん、もとい、母ずんとなった妖精のお尻から4匹の子ずんが生まれ落ちると同時に、産声もまともにあげられないまま、子ずんたちは捕食された。無防備に震える母ずんのお尻の周りに妖精たちが顔を突っ込み、今まさに“出来上がった”食事にがっついている光景は、とてもこの世のものとは思えない。
「おいち、おいち、ぐちゃっぐちゃっ…」
「はああ、はああ…く、くちょずんども、ゆ、ゆるせないちゃ…よくもかわいいおちびちゃんたちを！！」
振り返った母ずんは、もはや自分の産んだ子の顔をおがむことも出来ない。子ずんたちは妖精たちによってあっという間に肉塊に変えられてしまった。
「ぶっころす、ぶっころしてやるのだ…い、いちゃいいいい！！」
腕を振り上げてかかっていこうとする母ずん。だが、子ずんの肉を食べるのに夢中な1匹の妖精が、肉と間違えたか、ぶちっという音とともに、母ずんの左前足を噛みちぎってしまう。
「のだぁ？まだごはんさんあったのだ！！」
「ずるいのだ！ぼくもたべるのだ！！」
「ごはんしゃん、ごはんしゃん！！」
溢れ出る体液。この大広間の中では、体が一部分でも欠損した個体は「ごはんさん」とみなされる。
「おごあああああああああああああああああっ！くちょずんどもおおおおおおおお！！ころす！ころしゅ！しね、しね！しねええええええええええあああああああ………」
大切なおちびちゃんたちを無惨にも食べられ、今度は自分が食べられる。母ずんはむなしすぎる抵抗を続けていたが、数の暴力に押さえこまれ、ついにその声も聞こえなくなった。妖精たちが次の「ごはんさん」を探しにその場を離れた時には、既に母ずんは綺麗に食べ尽くされていた。
「う”っ………」
その映像をずっと見守っていたカメラマンがうずくまり、激しく嘔吐する。無理もなかった。妖精が人間の言葉を話すぶん、余計に「共食い」の現実がリアルな響きをもってもたらされるからだ。
「す、すみません…俺、次の同行は入り口まででいいですか…ホントに生きて帰れない気がして………」
「大丈夫です。ゆっくり休んでください」
「あとはわたしたちに任せてくださいっ！！」
「すみません、すみません………」
吐瀉物と涙と汗で顔をぐちゃぐちゃにしたカメラマンが頭を下げ続ける。
「安心しなさい。この娘たちは強い。カメラマンどのは、スタンガンを持って地下室の警備にあたってくれればよい」
ダイゾウじいさんが彼にてぬぐいとスタンガンを渡しながら言った。
「あ、ありがとうございます。ありがとうございます！俺は地下室を守りますっ！」
…これから、私たちは妖精を殺しに行く。妖精愛護団体をこれ以上刺激しないためには、カメラマンが豪邸の内部へと殺戮の様子の撮影のために入ってこない方が、彼には本当に失礼なことだが、こちらには都合が良い。
「私も行こう。ダイゾウ氏と、救出したトキ氏をお守りする人員は多い方が良い」
偵察部隊、もとい、突入部隊を見守っていたタカハシが、ヘルメットのバイザーを上げて立候補する。
「おお、心強い！！」
「いざとなったら、私がおとりになって皆は逃げられる」
これで、突入部隊は機動隊員3人とタカハシ、No.7、WhiteCUL、ダイゾウじいさんの7人になった。
突入部隊は、綺麗な列になって「抜け道」を進む。突入まで、あと5分。
No.7は、怖かった。だが、大切なWhiteCULが誰かの手で傷つけられるのはもっと怖い。だからこそ、スタジオを飛び出してまでWhiteCULについてきたのだ。彼女を一番近くで守ると決めた。
私の何倍も怖いのは、WhiteCULのはずだ。ここで、私がおびえるわけにはいかない。このショットガンで、少しでも多くの危険を排除しなくては。
…そうは思ってみたものの、目的地へと近づくほどに、No.7の足はすくんだ。新人のWhiteCULの前でこんな姿は見せたくなかったが…やはり体は正直だった。
武器をもって戦いに赴くというこの状況がそうさせている部分もあっただろうが、No.7は、今までに経験したことがないほどおびえていた。
思わず後ろによろめいて、後ろを歩いていたWhiteCULにぶつかってしまう。
「ん…ななさんっ、大丈夫っ！？」
「…すみません、雪さん」
「今ならまだ戻れますよっ！無理しないで…」
「無理、してませんから…」
咄嗟にウソをついてしまった。激しい罪悪感に襲われ、思わず目を逸らしてしまう。
「ほんと…？」
雪さんが防護服のフードを外して、心配そうな顔でこちらを覗き込む。
なんて純粋な瞳だろう！こんなかわいい娘が、恐ろしい妖精と勇敢に戦おうとしているんだ。それなのに、私ときたら。
私にはリポーターとしての経験は殆どない。だから、雪さんみたいに、強くない。いつもアナウンサーとして安全なスタジオ内で落ち着いているだけで、大変な現場に出ていないから、こうなる。
ああ、まただ。
本当は雪さんが一番怖いはずなのに！
仕事内容のせいにして、自分と他人を比較して………私は、自分自身がまたひとつ嫌いになった。
雪さんが私の顔色をよく見ようと、私の防護服のフードに手をかける。私は、自己嫌悪で歪んだ自分の今の口元を見られたくなかった。
だから、フードを下に引っ張って抗った。
「…見ないで」
「怖くたっていいんだよ、ななさん」
「…怖くなんて、ない」
私は、またウソをついた。雪さんを心配させたくなかった。でも、もう手遅れだろう。
「………うそつきっ」
瞬時に私のウソを見破った雪さんが、少し力を込めて私のフードを引き上げる。びっくりして、すぐ顔を隠そうとする私だったが、
「んっ………！？」
ふいに、唇に感じる温度。柔らかい感触………
…えっ、今、私、ちゅーされてる？雪さんに？
「ぷぁっ」
突然のことに目を白黒させる私から唇を話すと、頬を赤らめた顔でにっこりと笑う雪さん。
「うそつきにはちゅーしちゃうもんっ」
かわいい。顔が一気に火照るのを感じる。私と雪さんは身長が同じはずだが、ちゅーされてから、雪さんが私より何センチも、何倍も大きな姿に見えた。
「ななさんも怖いでしょ？おそろいっ！わたしも怖いからっ！！」
「え」
「だから、ななさんをわたしが守るんだっ！！」
フードを被りなおすと、遅れてしまった列へと小走りで戻る雪さん。
…雪さんが、私に初めて「弱さ」を見せてくれた。いや、それどころじゃなくて。
雪さんは決して弱さを見せない人だから。
本当は誰よりも、怖がっている………そんな人だから。
「だから、だからっ………だから私が雪さんを守るんですよ！」
真っ赤になった顔を隠すようにフードを被りなおした私は、ショットガンを構えなおして、雪さんを追った。
「………！！」
列の最後尾を歩いていたタカハシは、前を歩いていた女性ふたりが何やらくっつきだしたので、まるで敵襲があったかのように慌てて岩陰に身を潜めて、今に至る。
音声だけが、ヘルメット越しにタカハシの耳へと届いていた。機動隊の訓練なら、「そこ、列を乱すな！」なんて激しく叱責されるだろう。だが、そんな「規律」なんかのためだけに、ふたりだけの甘い空間を引き裂くわけにはいかなかった。
ありえないことだが、
もしこれがインターネット上で配信されていたならば。
もしここに携帯端末があったならば。
タカハシはオフの自分がよくやるように、『あら＾〜』とチャットに書き込みたかたかたたった！
タカハシは、ただ書き込みたかったからただ書き込みたかったのです！！
「ハァ…ハァッ…！！」
機動隊の辛い訓練で心臓が破裂しそうになった時よりも、激しい鼓動が鳴り止まない。
百合っ……！圧倒的百合っ………！
タカハシは、圧倒的な尊さに、思わずヘルメットを脱いで、サイレント映画の絶叫シーンのように、無声で叫んだ。
百合はいいぞ。もっとやれ。そして、あの空間に僕が入り込む隙などあってはならない。
百合に挟まる男は死すべきだ。だから、意図的でなくても、もし僕がそのようになってしまったら、僕は自分のことを何回も何回も殺さなければならない！
タカハシが岩陰に隠れて気配を消したのは、そのためだった。
『…タカハシ隊長！？応答してください！』
2分くらいずっと隠れていただろうか。僕が着いてきていないことに気づいた機動隊員が無線で慌てた声で呼びかける。
「…すまん、後方を警戒していた。すぐ追いつく」
ヘルメットを被りなおした僕は…………いや、私は、キリっとした顔に戻って、何事もなかったかのように立ち上がる。
……嘘ではないはずだ。もし後方から「百合の間に挟まる男」が接近していたならば、何としても私はそれを止めないといけないだろうから。
〜つづく〜
今回は、妖精の生態における醜悪さをふんだんに詰め込むことが出来たかな、と思っております。ぜひお楽しみください。
※一部ｺｯｼｮﾘ場面ございます。苦手な方はご注意くださいませ。
〜第2話までのあらすじ〜
ダイゾウじいさんと再会を果たしたマガン「ザンセツ」の機転により、屋根を占拠していた妖精たちは総崩れになり、豪邸内部を占拠していた妖精たちは籠城を余儀なくされる。妖精たちは無秩序に交尾を繰り返し、子ずんを増やしていたものの、食糧は既に底をついていた。そこで、妖精愛護団体の個体と思われる「おさずん」は、人質であるトキさんを生かし、ずんだもちを作れと執拗に脅す。No.7ら偵察部隊はトキさんの言葉を受け、早期の突入を決断する。一方、大広間では、敗残兵がおさずんによって容赦なく食糧に変えられる等、食糧に関して限界の状態が続いていたのであった……
第3話 「飢餓」
次の日。No.7たち偵察部隊が手に入れたトキさんの計画の情報により、タカハシは、昼には豪邸の内部へと突入することを決定した。記録映像の撮影要員として、カメラマンも厳重な護衛の下、同行することになった。
「ほ、本当に俺もいくんですか…？」
ヘリコプターの上で妖精に散々酷い目にあわされたカメラマンは、半泣きで再び防護服を着る。突入作戦には、自分は同行しなくても良いだろうと考えていた矢先であった。
「わたしたちもいくんですからっ！がんばりましょっ！！」
「君はもう少し危機感を持ってくれ…」
彼を元気づけようとガッツポーズをとるWhiteCUL。だぼだぼの防護服のフード部分を外し、小さな顔だけを見せている姿は、少し滑稽な芸人のようだ。
かわいい。WhiteCULのその姿を見て、No.7の緊張がほぐれた。妖精愛護団体が管理する妖精が指揮官なら、（妖精愛護団体から）指名手配となっているWhiteCULが真っ先に狙われると考えていたが、防護服をすっぽりと着ることが出来れば少しは安心だろう。
いずれにしても、No.7が彼女の一番近くで守らなくてはならないが。
「おふたり、ちょっとちょっと…」
防護服を着こんだダイゾウじいさんが手招きする。ふたりは訝しげに顔を見合わせながら、ダイゾウじいさんについていった。
「ここじゃ」
地下室へと向かう「抜け道」の途中。立ち止まったダイゾウじいさんが地面を足でトントンと踏み鳴らした。
それが合図になったか、床の一部がガコン！と持ち上がり、ダイゾウじいさんの前に古びたガン・ラックが現れる。
「こっ、これは…！」
「すっごいっ！秘密基地みたいっ！！」
新兵器の登場に思わず後ずさるNo.7と、目を輝かせて一歩近づくWhiteCUL。ガン・ラックにはボルト式のライフルが2丁と、黒いケースに仕舞われた武器。そして、背嚢と繋がったホースのような武器…
「じゅ、銃刀法が…」
「心配しなさんな。国に許可はとっておる。ワシは、ここで餅屋を始める前は凄腕の狩人でなあ！かつてはこのライフルでザンセツと幾度となく戦ったモンじゃ…」
ダイゾウじいさんは、1丁のライフルを持ち上げると愛おしそうに撫でる。
「おっ…と！またまた年寄りの長話が始まるところじゃった。おふたりさんにはこの武器を持ってもらう。自分の身を守るためじゃ」
そう言ってダイゾウじいさんは、黒いケースとホース状の武器を抱える。
「火炎放射器だっ！ダイゾウさん、わたし、これがいいっ！ななさん、いいっ？」
「はっはっはっ！まだトリガーは引くんでないぞ！」
瞬時にその武器の正体を見破ったWhiteCULは、嬉々として背嚢を受け取って背負い、ホース状の放射装置を構えてポーズをとる。
「か、火炎放射器！？じゃあ、私はこっちで……これ、何ですか」
「知りたいか？見せてやる」
新しいおもちゃを自慢する子供のような笑みを浮かべたダイゾウじいさんは、黒いケースの留め金を解除する。出てきたのは、細長い銃身に木製の銃床を取り付けた銃であった。とある映画でサングラスのサイボーグがバイク上で使っていた…
「…ショットガン？！」
「いかにも！ウィンチェスター・M1887/1901の改造モデルじゃ。対妖精用の弾薬が用意されておる。間違えて人間に撃っても大丈夫との触れ込みじゃったが…まあ、向けない方が安心じゃろう」
「ひ、人には絶対向けません…怖い…」
ずっしりとしたショットガンを受け取ったNo.7がよろめきながら小さくつぶやく。予備として受け取った弾薬は、緑色をしており、妖精のシルエットが黒く刻印されていた。
「あはははっ！汚物は消毒じゃ〜〜〜っ！！」
「ダイゾウさん。こんな武器、どこから…？」
世紀末のゴロツキのようにふざけて走り回るWhiteCULをよそに、No.7が問うた。
「ああ。何でも、妖精の被害を食い止めるべく秘密裏に武器開発をおこなっている団体があるそうなんじゃ。ワシにこの火炎放射器とショットガンと対妖精用の弾薬をくれたのは、謎の天才科学者“K”とか言ったかの…」
「な、名前からして怪しすぎます！！いくらとられたんですか…」
「いや、タダじゃった。困ったときに使ってくれと………もしそれが今じゃとしたら、使わない手はない」
「んんぅ…でも、これが記録されることは非常にまずいと考えます。突入時には、カメラは回さないようにしましょう」
また一夜明けた大広間。妖精たちの食糧問題はさらに深刻なものとなっていた。
「ごはんさん、ごはんさん………ぺっ、ぺぇっ！まじゅい、まじゅい！」
空腹のあまり壁にかかったカレンダーやポスターをかじる妖精。
「はあ……はあ………な、なんでずんちゃのまえにあつまってるのだ……」
栄養失調で、周りの妖精よりもやせ細り、荒い息を吐いて横たわる個体の周りに集まる妖精たちもいる。力尽きるのを待っているのか。
「おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃー！！おかーちゃ！おかーちゃ！あいつらがぜんぶずんちゃのごはんしゃんとったのだ！おにゃかぺこぺこなのだああああああ！」
「ごめんねおちびちゃん、いまはがまんして……あとでずんだもちをいっぱいたべさせてあげるからね…」
「いまじゃなきゃだめなのだああああ！はやくずんちゃのずんだもち、よういするのだあああ！！このくちょおやああああ！！」
「おちびちゃん、ごめんね、ごめんね…」
ここでは、どうやら、昨日食事にありつけなかった子ずんの1匹が癇癪を起こしているようだ。小さい前足で、おさずんの近くにいる子ずんを指さしながら泣き叫ぶ。
「あいつらのせいなのだあああ！ずんちゃのごはんしゃんだったのに！ずんちゃのごはんしゃんだったのにいいいぃ！！」
「おちびちゃん、いまはしずかにして…よけいにおなかさんへるのだ…」
「だまるのだこのくちょおやあああ！はやくあいつらをころしゅのだ！かわいいずんちゃのごはんしゃんをうばったむくいをうけさせるのだあああ！！」
「おちびちゃん！おねがいだからしずかにするのだ………ひっ……？！」
自分では出来もしないことを喚きたてる子ずん。母ずんは慌てて落ち着かせようとする。おさずんの機嫌を損ねたら、自分が殺されてしまうからだ。
案の定、子ずんの泣き声を聞いていたおさずんがゆっくりと飛んでくる。母ずんは顔を真っ青にして震えだした。
子ずんの言葉で機嫌を悪くしたか、おさずんが冷たく命令する。
「………だまらせるのだ」
「は、はいっ！！お、おちびちゃん！しずかにするのだ！！」
「うるしゃいのだ！！だれかがずんちゃのごはんしゃんをよういするまでしずかにしないのだああああ！おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃー！！おぎゃあああああああああああ！！」
だが、慌てる母ずんの願いもむなしく、子ずんはさらに激しく泣き始める。
「…ぼくはけいこくしたのだ。ぼくのいうことにしたがわないものはどうするか…」
包丁をきらめかせるおさずん。それを見た母ずんは半狂乱になって、子ずんの口を両前足でふさいだ。
「おちびちゃあああああん！おねがいだからしずかにするのだああああ！！」
「おぎゃああああああぁむぐっ！？むぐぐぐがごごごごごごおぉ…」
口を塞がれ、苦しそうに手足をバタバタさせる子ずん。しかし、冷静な判断力を失った母ずんは、ますます強く我が子の口を押さえ続けた。
「んんんんむ、む、むぐ、く、くちょ、おやああぁぁぁぁぁぁ…………」
「ふうぅうううっ！ふうううううっ！」
ぱたり、と、酸素の供給を断たれた子ずんの腕が地面に落ちる。それでも、荒い息を吐きながら母ずんはなおも子ずんの口を押さえ続けていた。
「よしよし。もういいのだ」
「はっ！？はぁ、はあ………お、おちびちゃん…？！」
満足そうに離れていくおさずん。
「あのざこじゅん、ちんだのだ！」
「ちんでとーぜんちゃ！ずんちゃたちになまいきいったかとーせいぶつなにょだ！」
「よわむしなにょだ！！にょーだにょだ！にょーだにょだ！！」
おさずんの周りにいた子ずんたちが嘲笑う。母ずんは、ここで初めて事の重大さに気づいたらしい。
「お、おちびちゃん？め、めをさますのだ…も、もういいのだ！しゃべってもいいのだ！」
目を覚ますも何も、子ずんは目をかっと見開いた苦悶の表情で冷たくなっていく。その口が二度と言葉を発することは、ない。
「おちびちゃん！すねてるのだ？さっきはらんぼうしてごめんねおちびちゃん、もういいからおきるのだ！」
母ずんは我が子の死を認められず、子ずんを激しく揺さぶり始める。既に力を失った子ずんの首が、がくがくと揺れる。
しかし、時間が経ち、子ずんが完全に冷たくなると、だんだんと母ずんにも状況がわかってきた。
自分が、殺した。
子ずんを、殺した。
「お、おちび、ちゃん………の、のだ………の、のーだのだのだ！のーだのだのだ！！」
自分の手で我が子を窒息死させたショックで、母ずんはただ涙を流しながら狂ったように大声で笑うことしか出来なかった。そして、その悲しみの感情は、だんだんと、自らの食欲へとシフトしていく。
「はあ、はあ、はあ………ご、はん、さん…」
そして、よろよろと今まで自分が揺さぶっていた子ずんの死骸に口をつける。
「はぐ、ぐちゃ、むちょ、ちょっくちょ、おちびちゃん、おいち、おいち………」
自らの欲望が満たされた喜びで、母ずんの表情が緩む。それはもはや、我が子を思う母親の表情ではない。子ずんの死骸は、母ずんに容赦なく噛み砕かれた。
「おいち、おいち、ごめんね、おちびちゃんおいち、おいち、おいち………」
これがきっかけになり、大広間内の妖精は、死にそうな個体を見つけると、その気はなしという雰囲気を出しながら近づき始めるようになった。
もちろんおさずんも、この状況を黙ってみているわけではない。落ち着きなく大広間と台所を行き来し、特大のずんだもちが完成するのは今か今かとトキさんをなじる。
「おちびちゃんたち！またさんずんほどだいどころまでいって、あのくちょばばあをかんしするのだ！くちょばばあがちんたらしていたらすぐにぼくにしらせるのだ！」
「はーいのだ！はーいのだ！！おとーちゃ、ずんちゃがいちばんさいしょにずんだもち、たべるのだ？」
「のだ！だれよりもかわいいぼくのおちびちゃんたちがいちばんにしあわせになるのはとうぜんのことなのだ！」
「やっちゃーのだ！いってくるのだ！のだのだのだのだ…」
「これもおちびちゃんたち、ひいてはなかまのためなのだ！このさいきょうのぼくがいないとなにもできないくちょずんどもばかりなのだ、ここにいるやつらは…」
「仲間のため」を思うならトキさんのずんだもちづくりに協力しても良いものを、自分で何もしようとしないのは、指揮官としてのプライドの高さ故だろうか………
現在時刻は11:30。突入まで、あと30分を切った。トキさんが、正午には計画通りずんだもちを大広間へ運び込むことになっていた。もしそれが遅れても、No.7たち突入部隊が強行してトキさんを救出、その後妖精たちを殲滅する作戦だ。
安全な場所で、No.7とWhiteCULは、ダイゾウじいさんに武器の扱い方をレクチャーしてもらっていた。
「カルどの。これは除草用の火炎放射器を魔改造したもののようじゃ。このタンクの大きさだとすぐに燃料がなくなってしまうぞ」
「そんなぁっ……」
「だから、妖精を一か所に集めて一気に放射するのがベストじゃ。使用するときには必ず防護服を着るんじゃぞ」
「はいっ！気を付けて大事に使いますねっ」
「次はセブンどの。さっき教えたレバーの操作、もう一度やってみてくれるかの？」
「は…はいっ」
No.7の抱えるショットガンは、古いタイプのショットガンだ。つまり、持ち手部分をガチャンとスライドさせて排莢する「ポンプ・アクション」ではなく、トリガーガードにあるレバーをスライドさせる「レバー・アクション」だ。これによって、連射が可能になる。
No.7は深呼吸をすると、素早くレバーを動かした。
がちっ！！がちっ！！
凶暴な音が響く。ショット・シェルはまだ装填されていないが、これを実際に撃つときは、強烈な衝撃音がするのだろうなとNo.7は感じた。
「上出来じゃ。ショットガンはライフルとは違って散弾を飛ばす。つまり、一点を丁寧に狙わなくても、“面”での制圧が出来る」
「と言うと」
「こちらも、束になってかかってきた妖精を一網打尽に出来るんじゃ！火炎放射器の燃料は出来るだけ最後まで取っておいて、セブンどのはショットガンでカルさんを守ってあげてほしい」
「わかりました」
いよいよ、ダイゾウじいさんから受け取った緑色のショット・シェルを装填するNo.7。ショットガン本体には5発、防護服の上から肩にかけたベルトには26発。これで、妖精が次々に襲ってきてもしばらくは戦えそうだ。
大広間内では、今までで一番異質な雰囲気が漂っていた。
「う、うまれりゅ…うまれりゅ………」
部屋の端で産気づき、激しく腰を振り出す1匹の妖精。やがて、2匹の子ずんが産み落とされた。
「おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃー！！」
すぐさま甲高く産声をあげる子ずんたち。本来なら、母ずんは、我が子が生まれてきたら、喜びですぐにでも我が子を抱きしめるものだが………
「はあ…はああ………のだ、のだ………」
栄養失調気味で子ずんを出産したこの母ずんは、急激な体力の消費に意識が朦朧としている。やがて母ずんは、自分のすぐ後ろで泣き喚くイキモノが発する「音」を耳で捉えた。
「おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃー！！おぎゃあああああああああああ！おぎゃあああああああああああ！！」
なかなか母親が自分を抱きしめてくれない。不安と恐怖に駆られた子ずんたちは、母親を呼ぶように、泣き声のボリュームを大きくした。
しかし、今の母ずんにとって、それは逆効果だった………
大きくなった「音」に反応し、振り向く母ずん。自分のお尻のすぐ後ろには、無防備な姿で泣き喚くふたつの塊があった。
「………ごはんさん、ごはんさん！！」
ついに自分だけが食事にありつける喜び。今の母ずんには、そのふたつの塊が何であるかを判別するだけの理性は残っていなかった。
はぐちゃっ！！
「おぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ！！」
「ごはんさん、おいち、おいち！」
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああ！」
「おいち、おいち、ぐちゃむちゃちっ、ばづゅぐちょちゃっちゃっちゃ………」
頭を食い破られ、痛みに絶叫する子ずん。母ずんには、その悲鳴が、自分に食べられることで「ごはんさん」が喜んでいる音として聞こえていた。そして、この幸せを他の妖精に邪魔されないよう、母ずんは一心不乱に2匹の子ずんを貪り続けた。
「あ、は、あぅ………おぎゃ、おぎゃ……」
体の殆どを食べられた子ずんのうちの1匹は、まだ生きている。もう1匹は、頭から食べられたため、既に絶命していた。
それでも生きている子ずんは、母親を呼ぼうと弱々しく泣き声を発し続ける。自分が、他ならぬ、その母親に食べられているとも知らずに………
「おいち、おいち！」
「おぎゃ、おぎゃ………おぎぃいっ！！」
母ずんは、まだ泣き続ける子ずんの頭を無慈悲にも噛み砕いた。脳漿をあふれさせた子ずんは、あっけなく静かになった。
「げぇっぷ！のだ、のだ！………おなかさんがかるくなってるのだ！おちびちゃんはまだうまれてこないみたいなのだ！！………ずーん、ずーん………」
やがて、自分のお腹（肛門）から産み落とした子ずんを再び自分のお腹の中（食道）へと戻したカタチになった母ずんは、満足そうにゲップをすると、眠り始めた。最後まで、今自分が食べたものこそが、自分の子供であるとは知らずに………
あまりにも衝撃的な光景だが、このような現象はこの母ずんに限ったことではなかった。
ついに力尽きた妖精は、前もって近づいていた妖精たちにあっという間に貪り食われ、少しでもケガをしている妖精は、容赦なく襲われて食べられた。妖精たちは、極限状態の中、どんどん数を減らしていった。
小型カメラにはっきりと映っていたのは、妊娠したメスの妖精を他の妖精が追いかけまわしている光景だった。発情したオスが、メスのお尻を追いかけているのではない。オスもメスも、老いも若きも関係ない。彼らは、メスのお尻からこれから出て来る子ずんを狙っていた。
「つ、ついてくるななのだ！！おちびちゃんたちはわたさないのだ！！」
弱々しく叫ぶメス妖精。だが、お腹が重い妖精が逃げきれるわけもなく、欲に目がくらんだ妖精たちは、彼女を執拗に追い回し続け、ついに大広間の端へと追い詰めた。
「どくのだ！はなれるのだ！くちょずん！！………う、うまれりゅ、うまれりゅ……」
短い前足を振り回して必死に追い払おうとするメス妖精だったが、やがて産気づき、腰を大きく振り始める。
「はあ、はあ、はあっはあっはあっはあっ！！」
「ごはんさん！ごはんさん！ごはんさん！ごはんさん！！」
「おぎゃーおぎゃー！おぎゃーおぎゃあああああああっ！！」
「ひゃーん！ひゃーん！ひやあああああああああっ！！」
「にょだー！にょだー！にょだあああああああっ！！」
「おぎゃーのだ！おぎゃーのだ…おぎゃあああああ”あ”あ”あ”………」
メスずん、もとい、母ずんとなった妖精のお尻から4匹の子ずんが生まれ落ちると同時に、産声もまともにあげられないまま、子ずんたちは捕食された。無防備に震える母ずんのお尻の周りに妖精たちが顔を突っ込み、今まさに“出来上がった”食事にがっついている光景は、とてもこの世のものとは思えない。
「おいち、おいち、ぐちゃっぐちゃっ…」
「はああ、はああ…く、くちょずんども、ゆ、ゆるせないちゃ…よくもかわいいおちびちゃんたちを！！」
振り返った母ずんは、もはや自分の産んだ子の顔をおがむことも出来ない。子ずんたちは妖精たちによってあっという間に肉塊に変えられてしまった。
「ぶっころす、ぶっころしてやるのだ…い、いちゃいいいい！！」
腕を振り上げてかかっていこうとする母ずん。だが、子ずんの肉を食べるのに夢中な1匹の妖精が、肉と間違えたか、ぶちっという音とともに、母ずんの左前足を噛みちぎってしまう。
「のだぁ？まだごはんさんあったのだ！！」
「ずるいのだ！ぼくもたべるのだ！！」
「ごはんしゃん、ごはんしゃん！！」
溢れ出る体液。この大広間の中では、体が一部分でも欠損した個体は「ごはんさん」とみなされる。
「おごあああああああああああああああああっ！くちょずんどもおおおおおおおお！！ころす！ころしゅ！しね、しね！しねええええええええええあああああああ………」
大切なおちびちゃんたちを無惨にも食べられ、今度は自分が食べられる。母ずんはむなしすぎる抵抗を続けていたが、数の暴力に押さえこまれ、ついにその声も聞こえなくなった。妖精たちが次の「ごはんさん」を探しにその場を離れた時には、既に母ずんは綺麗に食べ尽くされていた。
「う”っ………」
その映像をずっと見守っていたカメラマンがうずくまり、激しく嘔吐する。無理もなかった。妖精が人間の言葉を話すぶん、余計に「共食い」の現実がリアルな響きをもってもたらされるからだ。
「す、すみません…俺、次の同行は入り口まででいいですか…ホントに生きて帰れない気がして………」
「大丈夫です。ゆっくり休んでください」
「あとはわたしたちに任せてくださいっ！！」
「すみません、すみません………」
吐瀉物と涙と汗で顔をぐちゃぐちゃにしたカメラマンが頭を下げ続ける。
「安心しなさい。この娘たちは強い。カメラマンどのは、スタンガンを持って地下室の警備にあたってくれればよい」
ダイゾウじいさんが彼にてぬぐいとスタンガンを渡しながら言った。
「あ、ありがとうございます。ありがとうございます！俺は地下室を守りますっ！」
…これから、私たちは妖精を殺しに行く。妖精愛護団体をこれ以上刺激しないためには、カメラマンが豪邸の内部へと殺戮の様子の撮影のために入ってこない方が、彼には本当に失礼なことだが、こちらには都合が良い。
「私も行こう。ダイゾウ氏と、救出したトキ氏をお守りする人員は多い方が良い」
偵察部隊、もとい、突入部隊を見守っていたタカハシが、ヘルメットのバイザーを上げて立候補する。
「おお、心強い！！」
「いざとなったら、私がおとりになって皆は逃げられる」
これで、突入部隊は機動隊員3人とタカハシ、No.7、WhiteCUL、ダイゾウじいさんの7人になった。
突入部隊は、綺麗な列になって「抜け道」を進む。突入まで、あと5分。
No.7は、怖かった。だが、大切なWhiteCULが誰かの手で傷つけられるのはもっと怖い。だからこそ、スタジオを飛び出してまでWhiteCULについてきたのだ。彼女を一番近くで守ると決めた。
私の何倍も怖いのは、WhiteCULのはずだ。ここで、私がおびえるわけにはいかない。このショットガンで、少しでも多くの危険を排除しなくては。
…そうは思ってみたものの、目的地へと近づくほどに、No.7の足はすくんだ。新人のWhiteCULの前でこんな姿は見せたくなかったが…やはり体は正直だった。
武器をもって戦いに赴くというこの状況がそうさせている部分もあっただろうが、No.7は、今までに経験したことがないほどおびえていた。
思わず後ろによろめいて、後ろを歩いていたWhiteCULにぶつかってしまう。
「ん…ななさんっ、大丈夫っ！？」
「…すみません、雪さん」
「今ならまだ戻れますよっ！無理しないで…」
「無理、してませんから…」
咄嗟にウソをついてしまった。激しい罪悪感に襲われ、思わず目を逸らしてしまう。
「ほんと…？」
雪さんが防護服のフードを外して、心配そうな顔でこちらを覗き込む。
なんて純粋な瞳だろう！こんなかわいい娘が、恐ろしい妖精と勇敢に戦おうとしているんだ。それなのに、私ときたら。
私にはリポーターとしての経験は殆どない。だから、雪さんみたいに、強くない。いつもアナウンサーとして安全なスタジオ内で落ち着いているだけで、大変な現場に出ていないから、こうなる。
ああ、まただ。
本当は雪さんが一番怖いはずなのに！
仕事内容のせいにして、自分と他人を比較して………私は、自分自身がまたひとつ嫌いになった。
雪さんが私の顔色をよく見ようと、私の防護服のフードに手をかける。私は、自己嫌悪で歪んだ自分の今の口元を見られたくなかった。
だから、フードを下に引っ張って抗った。
「…見ないで」
「怖くたっていいんだよ、ななさん」
「…怖くなんて、ない」
私は、またウソをついた。雪さんを心配させたくなかった。でも、もう手遅れだろう。
「………うそつきっ」
瞬時に私のウソを見破った雪さんが、少し力を込めて私のフードを引き上げる。びっくりして、すぐ顔を隠そうとする私だったが、
「んっ………！？」
ふいに、唇に感じる温度。柔らかい感触………
…えっ、今、私、ちゅーされてる？雪さんに？
「ぷぁっ」
突然のことに目を白黒させる私から唇を話すと、頬を赤らめた顔でにっこりと笑う雪さん。
「うそつきにはちゅーしちゃうもんっ」
かわいい。顔が一気に火照るのを感じる。私と雪さんは身長が同じはずだが、ちゅーされてから、雪さんが私より何センチも、何倍も大きな姿に見えた。
「ななさんも怖いでしょ？おそろいっ！わたしも怖いからっ！！」
「え」
「だから、ななさんをわたしが守るんだっ！！」
フードを被りなおすと、遅れてしまった列へと小走りで戻る雪さん。
…雪さんが、私に初めて「弱さ」を見せてくれた。いや、それどころじゃなくて。
雪さんは決して弱さを見せない人だから。
本当は誰よりも、怖がっている………そんな人だから。
「だから、だからっ………だから私が雪さんを守るんですよ！」
真っ赤になった顔を隠すようにフードを被りなおした私は、ショットガンを構えなおして、雪さんを追った。
「………！！」
列の最後尾を歩いていたタカハシは、前を歩いていた女性ふたりが何やらくっつきだしたので、まるで敵襲があったかのように慌てて岩陰に身を潜めて、今に至る。
音声だけが、ヘルメット越しにタカハシの耳へと届いていた。機動隊の訓練なら、「そこ、列を乱すな！」なんて激しく叱責されるだろう。だが、そんな「規律」なんかのためだけに、ふたりだけの甘い空間を引き裂くわけにはいかなかった。
ありえないことだが、
もしこれがインターネット上で配信されていたならば。
もしここに携帯端末があったならば。
タカハシはオフの自分がよくやるように、『あら＾〜』とチャットに書き込みたかたかたたった！
タカハシは、ただ書き込みたかったからただ書き込みたかったのです！！
「ハァ…ハァッ…！！」
機動隊の辛い訓練で心臓が破裂しそうになった時よりも、激しい鼓動が鳴り止まない。
百合っ……！圧倒的百合っ………！
タカハシは、圧倒的な尊さに、思わずヘルメットを脱いで、サイレント映画の絶叫シーンのように、無声で叫んだ。
百合はいいぞ。もっとやれ。そして、あの空間に僕が入り込む隙などあってはならない。
百合に挟まる男は死すべきだ。だから、意図的でなくても、もし僕がそのようになってしまったら、僕は自分のことを何回も何回も殺さなければならない！
タカハシが岩陰に隠れて気配を消したのは、そのためだった。
『…タカハシ隊長！？応答してください！』
2分くらいずっと隠れていただろうか。僕が着いてきていないことに気づいた機動隊員が無線で慌てた声で呼びかける。
「…すまん、後方を警戒していた。すぐ追いつく」
ヘルメットを被りなおした僕は…………いや、私は、キリっとした顔に戻って、何事もなかったかのように立ち上がる。
……嘘ではないはずだ。もし後方から「百合の間に挟まる男」が接近していたならば、何としても私はそれを止めないといけないだろうから。
〜つづく〜
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このページへのコメント
タカハシの自制心に乾杯!
共食い自体は野生動物ならいくらでも有り得る(特に死産喰いや幼体喰い、畸形喰いは餌が不足しなくてもやる動物が多い)行為で、むしろ起きない方が不思議ではないくらいだと思うんだが
やっぱり日本語でしゃべくる連中のを生映像で見せられると耐えれない人もおるやろなあ
それにしても天才科学者K…K?
ボイロ/ボイボ関係なのかと思ったけどKから始まる名前が多すぎて結局わからず
あれ、日本語おかしいヨ
> むしろ起きない方が不思議ではないくらいだと思うんだが
むしろ起きない方が不思議なくらいだと思うんだが が正しい
カロリーが足りてなかった、ちょっと共食いしてきます
コメントありがとうございます。共食いに関しては妖精に限ったことではないですが、人語でそれが繰り広げられると人間に投影してしまう部分もあるのでしょうね……私利私欲のために動く妖精への嫌悪感と言うか、そういうのも含めて。
「謎の天才科学者“K”」は最終話にまた登場しますので、ご期待ください！
飢餓からの共食い
これで数が減れば人間サイドに有利に（ｒｙ
あら＾〜
百合に挟まらなかったタカハシはよくやった
コメントありがとうございます。妖精たちは早期に決着がつくと思って、食糧をじゅうぶんに用意していなかったみたいですね……
あら^〜ありがとうございます！タカハシも苦労が絶えませんね……