img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:リトルリトル

 最初は下処理が巧く行かなかった。
だからそのせいだと思った。

 初めて魚を捌いた時だって上手くは行かなかった。
何度も何度もやってやっと上手くなったのだ。
 お肉の処理も同じだ。
私の力なら技術以前にこんな力仕事とてもじゃないが出来ない。
でもワタシの力なら何の苦労もないし腕の数だって私の6倍だ、超便利。
なので必要なのは経験だけだった。
 自分でお肉作りから始めるようになって5個目過ぎた辺りでやっと上手く行けたという確信が持てた。

 そうして上手く行ったお肉で作った料理も劇的に美味しいわけじゃない。
何故だろう?

 私がお肉を食べたいと思った切っ掛けはほんの戯れからだった。
親友の櫻子が紙で指先を切った。
思ったよりしっかりと切れていてぷっくりと血の球が浮かんで来た。
切れ味が尖すぎたせいか櫻子はそれほど痛がってはいない。
 ちょっとした悪ふざけでその指先を咥えて舐めてみたのだ。
 驚いた。
びっくりする程甘かった。
今までの価値観を全て叩き壊すほどの衝撃だった。

 あの時から私は人をお肉としても見るようになってしまった。

 経験を積んで下処理の腕も上がった。
お肉の処理に関しては日本で10位以内には入るという自負がある。
そもそもお肉作りをする人が日本に十人もいるかは知らない。
 その腕前を持って作り出した食材。
 料理の腕だって自信はある、お店で出すのと遜色ないとまでは言わないが結構な腕前だ。
そんな二本の腕をもってしても一度だけ舐めた親友の血の味にまったく及ばない。
どうしよう、このままじゃ櫻子を食べたくなってしまう。
それは嫌だ。まだ勿体無い。

 考えよう。
 何が美味しいんだろうか?

 食材の差は真っ先に思いついた。
櫻子と似た体格のお肉も試してみたし、いらないと言われてるもっと小さいお肉を探すのは大変だったけども探し出して試してみた。
柔らかくて美味しかったけどあの時の衝撃には到底及ばなかった。

 じゃあ何の差なんだろう?
 考えながらお肉作りは一先ずやめて他の魔法少女と一緒に活動してみたりもした。
仲良くなった魔法少女、彼女が負った頬のかすり傷。
こらえきれずに一舐めしてみた。

 甘かった。

 櫻子ほどではない。でも甘い、美味しい。
 驚いたような彼女の顔。ワタシは笑う、あまりの美味しさに。
お肉もびっくりした顔の後に笑う、ワタシのイタズラを。

 ああ、そういうことかと私は気づいた。
空腹は最高のスパイスと言うけど私の場合のスパイスはそういう事なんだろう。

 だからワタシは皆と仲良くすることにした。

 たくさん友達を作ろう。
 いっぱい仲良くなろう。

 料理には下処理が大切なのだから。

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