最終更新:ID:aW5PdH8jBA 2016年12月05日(月) 18:57:53履歴
登場キャラクター:キルアゲイン リトルリトル
遠くに魔法少女らしき影を見た。らしき、というのは自分で何となく判断した。人型の影が二つ、山奥の方に飛んでいくのが見えた。
何をする気が知らないけど魔法少女のやることだ。どうせろくなことに違いない。そう思って私は二人の後を追って山に踏み入った、そこまでは良かった。
……完全に見失った。
方向は合ってるはずである。あんな空をぴょんぴょん跳ね回る魔法少女という生き物、そうそう見逃すはずはない。もう少しちゃんと探す必要があるかもしれない。そう思った時だった。
――いた。
見逃すはずはない。白ローブ、そして体に纏わりついてるフリルの装束、さっき飛んでいたやつと同じものだ。……地面に座り込んで何をしているんだあいつは。それにもう一人の方がいない。ジャージ姿だったような気もするが、正直うろ覚えだ。別行動をとっているのだろうか。
まあ、いい。相手が一人なら逆に好都合だ。徹底的にぶちのめしてやる。
隙を見て飛び掛かる。狙いを細い首に定めて、右手の掌を伸ばす。
「誰!?」
さすがに至近距離じゃ気づかれるか、だが遅い。掴まえてしまえばこっちのものだ。
痛ッ!伸ばした右手は横からの攻撃ではじかれる。そうか、あのフリルは攻撃用の――おそらくは触手だ。それに攻撃を受けたんだ。
体勢を整え相手を見据える。8本の触手を構えている白ローブの姿がある。
だが、私はその足元に転がっているモノの方に目が行ってしまった。少女らしきものの胴体が転がっていた。解体されているのか、アレは。
「お前、どういうことだこれは……」
―――――
どういうことだはこっちの台詞です。
友達との仕事がやっと終わって、チャンスだと思って殺して下処理を始めようとした時に、いきなり割り込んできて。
相手の魔法がわからない以上、とっさに触手で弾き飛ばしたのは正解だったのかもしれませんね。とりあえず触手で牽制して距離を取った方がよさそうです。
相手の魔法少女はたしか聞いたことがあります。黒のセーラー服のような衣装、紅く長い髪のポニーテール、殺人狂の危険人物と言われている「キルアゲイン」だったとか何とか。
「どういうことかって聞いてるんだ!!」
「……うるさいですね」
「私は正解だった、お前みたいなのがいるから! 私は魔法少女を殺さなきゃならないんだ!!」
真っ直ぐこっちに向かってくる。愚直に。
ならこっちはそれなりの対応をするまでです。
4本でガードした後残り4本で迎撃する、これです。確実に相手を抑え込み終わらせる、あわよくば二人目も、なんてのはちょっと欲張りでしょうか。
キルアゲインさんの両腕が触手の一本を捉えた!ここ!
ぐにゃり。
ワタシはその形容できない感覚に、捉えられた触手を切り離し後ろに跳んだ。
掴まれたままの触手は、ぐりゅぐりゅと捻れていく。もし切り離していなかったら――。
―――――
とりあえず一本は切り離した。いや、切り離させたと言うべきか。
今の攻撃でこっちの種は知れた。でも関係ない。全部引きちぎってやる。
さあ突っ込もうとした時に、足にあたるものがあった。あいつが処理していたと思われる胴体部分だった。
――使えるか。やってみる価値はあるか。
私は右手にそれを持ったまま、あいつに突っ込んだ。
そして、相手の一歩手前で急ブレーキ。右手に持ってる物を突き出し、胴体部分を激しく回転させ血飛沫を弾けさせた。
これの使い道、それはあいつの目の前で捻って血飛沫で視界を塞ぐことだ。
「なっ!何を」
やることは一番最初と同じ、不意打ちだ。首を掴まえて捻じ切る。
伸ばした掌は首に届いた、届きはした。その感触は力を入れれば折れるような柔い感触ではなかった。
―――――
目が見えない……。
目つぶし攻撃ですか、随分ダーティなことを。
そして何よりも、それに使ったのがさっきまでワタシが頑張って解体して下処理している最中だったお肉なのが許せない。
でも、これでは何もできない。かろうじて首への攻撃は見えない触手で防いだけど、今はただ無暗に振り回しているだけ。というよりこの状況、本当にまずいです。
撤退する……?流石にこの状況が長く続くと、いつ隙をつかれるかわかったものじゃない。
よし!
逃げましょう。
―――――
4本目あたりを捻じ切ったあたりから、状況が少し変わった。
守りを重点に置いた立ち回り、
あいつもしかして逃げようとしてないか……?
「させるかよッ!!」
傍にあった木を捻じ切り、これで薙ぎ払う!致命傷にはならなくとも退路は塞げるはずだ!
当たった瞬間、ぐちゅりという音を聞いた。見ると触手は全て再生していた。
無駄だったってことかクソッ!
6本の触手にぐっと力を入れ、その勢いのまま跳び去った。
逃がした。
みすみす逃げるチャンスを作った挙句……手傷すら負わせることもできなかった。
「クソッ……」
あの白ローブの触手女……次こそは必ず。
―――――
長期戦になれば、勝てたかもしれません。しかし、相手の力量が分からなかった以上、こうして引くしかないわけで。
前情報があったことも退却する判断の一因だったのかも。魔法少女大量殺戮者「キルアゲイン」という存在、そして魔法は不明。
しかし、今回わかった。あの人は接近戦に持ち込まれなければそんなに怖くはない。次会った時には多分、倒せる。きっと。
いやいやいや。
そもそも戦う気なんてないんだった。ワタシはおいしいお肉を食べられればいいだけなんだ。相手に合わせてあげる必要なんてない。
今回の失策は……やっぱり見られてたことでしょうか。
前もそうだったけど、油断するパターンが最近多いような気がする。
気をつけなくては。
遠くに魔法少女らしき影を見た。らしき、というのは自分で何となく判断した。人型の影が二つ、山奥の方に飛んでいくのが見えた。
何をする気が知らないけど魔法少女のやることだ。どうせろくなことに違いない。そう思って私は二人の後を追って山に踏み入った、そこまでは良かった。
……完全に見失った。
方向は合ってるはずである。あんな空をぴょんぴょん跳ね回る魔法少女という生き物、そうそう見逃すはずはない。もう少しちゃんと探す必要があるかもしれない。そう思った時だった。
――いた。
見逃すはずはない。白ローブ、そして体に纏わりついてるフリルの装束、さっき飛んでいたやつと同じものだ。……地面に座り込んで何をしているんだあいつは。それにもう一人の方がいない。ジャージ姿だったような気もするが、正直うろ覚えだ。別行動をとっているのだろうか。
まあ、いい。相手が一人なら逆に好都合だ。徹底的にぶちのめしてやる。
隙を見て飛び掛かる。狙いを細い首に定めて、右手の掌を伸ばす。
「誰!?」
さすがに至近距離じゃ気づかれるか、だが遅い。掴まえてしまえばこっちのものだ。
痛ッ!伸ばした右手は横からの攻撃ではじかれる。そうか、あのフリルは攻撃用の――おそらくは触手だ。それに攻撃を受けたんだ。
体勢を整え相手を見据える。8本の触手を構えている白ローブの姿がある。
だが、私はその足元に転がっているモノの方に目が行ってしまった。少女らしきものの胴体が転がっていた。解体されているのか、アレは。
「お前、どういうことだこれは……」
―――――
どういうことだはこっちの台詞です。
友達との仕事がやっと終わって、チャンスだと思って殺して下処理を始めようとした時に、いきなり割り込んできて。
相手の魔法がわからない以上、とっさに触手で弾き飛ばしたのは正解だったのかもしれませんね。とりあえず触手で牽制して距離を取った方がよさそうです。
相手の魔法少女はたしか聞いたことがあります。黒のセーラー服のような衣装、紅く長い髪のポニーテール、殺人狂の危険人物と言われている「キルアゲイン」だったとか何とか。
「どういうことかって聞いてるんだ!!」
「……うるさいですね」
「私は正解だった、お前みたいなのがいるから! 私は魔法少女を殺さなきゃならないんだ!!」
真っ直ぐこっちに向かってくる。愚直に。
ならこっちはそれなりの対応をするまでです。
4本でガードした後残り4本で迎撃する、これです。確実に相手を抑え込み終わらせる、あわよくば二人目も、なんてのはちょっと欲張りでしょうか。
キルアゲインさんの両腕が触手の一本を捉えた!ここ!
ぐにゃり。
ワタシはその形容できない感覚に、捉えられた触手を切り離し後ろに跳んだ。
掴まれたままの触手は、ぐりゅぐりゅと捻れていく。もし切り離していなかったら――。
―――――
とりあえず一本は切り離した。いや、切り離させたと言うべきか。
今の攻撃でこっちの種は知れた。でも関係ない。全部引きちぎってやる。
さあ突っ込もうとした時に、足にあたるものがあった。あいつが処理していたと思われる胴体部分だった。
――使えるか。やってみる価値はあるか。
私は右手にそれを持ったまま、あいつに突っ込んだ。
そして、相手の一歩手前で急ブレーキ。右手に持ってる物を突き出し、胴体部分を激しく回転させ血飛沫を弾けさせた。
これの使い道、それはあいつの目の前で捻って血飛沫で視界を塞ぐことだ。
「なっ!何を」
やることは一番最初と同じ、不意打ちだ。首を掴まえて捻じ切る。
伸ばした掌は首に届いた、届きはした。その感触は力を入れれば折れるような柔い感触ではなかった。
―――――
目が見えない……。
目つぶし攻撃ですか、随分ダーティなことを。
そして何よりも、それに使ったのがさっきまでワタシが頑張って解体して下処理している最中だったお肉なのが許せない。
でも、これでは何もできない。かろうじて首への攻撃は見えない触手で防いだけど、今はただ無暗に振り回しているだけ。というよりこの状況、本当にまずいです。
撤退する……?流石にこの状況が長く続くと、いつ隙をつかれるかわかったものじゃない。
よし!
逃げましょう。
―――――
4本目あたりを捻じ切ったあたりから、状況が少し変わった。
守りを重点に置いた立ち回り、
あいつもしかして逃げようとしてないか……?
「させるかよッ!!」
傍にあった木を捻じ切り、これで薙ぎ払う!致命傷にはならなくとも退路は塞げるはずだ!
当たった瞬間、ぐちゅりという音を聞いた。見ると触手は全て再生していた。
無駄だったってことかクソッ!
6本の触手にぐっと力を入れ、その勢いのまま跳び去った。
逃がした。
みすみす逃げるチャンスを作った挙句……手傷すら負わせることもできなかった。
「クソッ……」
あの白ローブの触手女……次こそは必ず。
―――――
長期戦になれば、勝てたかもしれません。しかし、相手の力量が分からなかった以上、こうして引くしかないわけで。
前情報があったことも退却する判断の一因だったのかも。魔法少女大量殺戮者「キルアゲイン」という存在、そして魔法は不明。
しかし、今回わかった。あの人は接近戦に持ち込まれなければそんなに怖くはない。次会った時には多分、倒せる。きっと。
いやいやいや。
そもそも戦う気なんてないんだった。ワタシはおいしいお肉を食べられればいいだけなんだ。相手に合わせてあげる必要なんてない。
今回の失策は……やっぱり見られてたことでしょうか。
前もそうだったけど、油断するパターンが最近多いような気がする。
気をつけなくては。
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