img街の魔法少女の素質ある「」を集めてるポン

登場キャラクター:四色八代子 りりか 流刃

16/11/24(木)03:47:42 No.392649967
No392643199

静まり返った夜の街を一人の少女が歩いていた
やや逆巻いた短めの赤毛に胸元を開けた銀色のライダースーツ、グローブとブーツは黒という出で立ちの少女は無言でただ時折辺りに視線を飛ばしながら進んでいく
ふと前方を見ると、道の真ん中に幼い少女が立っていた。赤と白を基調としたフリルやリボンで飾られた可愛らしいドレスに身を包んだ少女は腕組みをして眉根を寄せた表情でライダースーツの少女━流刃を睨んでいた。……多分本人は"仁王立ち"をしているつもりなのだろう。
その横を、特にその子に注視するでもなく流刃はすたすたと通りすぎた。そのまま後ろに歩き去って…
「…ってこら〜〜〜〜〜!!!」
突然大声を上げた少女に流刃は驚いて振り向いた。こちらに向き直った少女は大声を上げた反動か肩で息をしながらなお流刃を睨み付けていた。(1/2)

16/11/24(木)03:48:18 No.392650009
「ムシするなぁ!!」
「…自分に用だったのか」「用が無かったらこんな寒い日に外で立ってなんかいないよ!」「そうか、では君が風邪を引かないよう早めに用件を済ませようか」「子供扱いするなー!!」
少女はじたばたと地団駄を踏んで怒っている。流刃はいつ自分はこんな幼い子の不興を買う真似をしたのだろうかと訝しんだ。
(2/2)
「私はりりか!覚えてるよね!!」「…………」
「…え、覚えてないの…?」「…すまない。見覚えはある気はするのだが…」「あ〜〜〜〜〜!!もう!この間八代子おねーちゃんに会ってた時一緒にいたでしょお!!」
ああ、と流刃は心の中で膝を叩いた。八代子が依頼内容を口にしようとしたあの時現れた子だ。しかし自分に何の用だろう…この隠そうともしない敵意の正体を流刃は図りかねていた
(例によって続くかも)

16/11/25(金)03:55:11 No.392834905
No392830299
続き
流刃の前に立ちはだかった(?)少女はりりかと名乗った。流刃は彼女が先日の依頼者八代子と行動を共にしていた少女だったことをようやく思い出した。
「…自分に何の用かな」「あなたは八代子おねーちゃんのなんなの?」「…クライアントと雇用者の関係だが」「…………」
どうやら単語が難しかったらしい。りりかは腕を組んでしかめっ面で考え込み始めてしまった。
「あー…つまり自分は八代子お姉ちゃんに頼み事をされて手伝いをすることになってるんだ。」
判りやすい言葉に直されてりりかはおお!と納得した顔になった。しかしそれも一瞬で再び眉根を寄せた表情になるとりりかは流刃を睨み付けた。
(1/2)

16/11/25(金)03:56:16 No.392834957
(2/2)
「何を頼まれたの」「…………」
実はまだ依頼内容を八代子の口から聞いていない。そもそも聞きそびれた原因を作ったのはりりか当人なのだがそこを指摘しても無駄だろう。
「…答えられないの?」「いやそういう訳では…」「信用できない!」りりかは流刃の言葉をその場しのぎの言い訳と判断して遮った。
「…おねーちゃんの手伝いをするって言うのなら」彼女から魔力が放たれ始めたのを流刃は肌で感じた。
「私が試してあげる」りりかはそう言ってゆっくりと身構えた
(例によって続く)

16/11/26(土)02:12:46 No.393001895
No392999011
続き
流刃は身構える目の前の少女…りりかと対峙していた。魔法少女はその容姿外見から能力を測りづらい。見た目が幼くても変身前は老獪な大人、酷い時には女性ですらない時もあるのだ。ただ彼女の場合はその言動からして見た目相応の年齢と見ていいだろう。だが能力に関しては何の手掛かりにもならない。こちらも応戦の構えを取るべきか…?
流刃がそこまで考えた時、こちらを睨み付けている少女の瞳にうっすらと涙が浮かんでいるのに気がついた。それを見た途端、流刃は彼女が起こした一連の行動の理由に思い当たった。
小さな子供が仲の良い友達が他の子と親しくしているのが許せなくなる感情、子供特有の理不尽な独占欲だ。この子は大好きなお姉ちゃんが取られると思ったのだろう。
無論自分は彼女…八代子と事務的な言葉を交わしたに過ぎない。しかしりりかにとってはりりか自身以外と親しげにしているようにみえたのだろう。流刃は思いがけず口許がほころんでいるのを感じた。
「いっくよぉ〜〜!」流刃が物思いに耽っている間にりりかは臨戦態勢を整えたらしく勇ましく叫びながら流刃めがけて突進…できなかった

16/11/27(日)02:11:35 No.393204357
No393200077
ツキ来た!流刃復活!

「何をしているの貴女は!」
りりかを後ろから抱き止めたのは和装の少女…八代子だった。彼女に抱き抱えられる形になったりりかの足は地を離れぷらりと浮いた。
「離しておねーちゃん!あいつやっつけるんだから!」「あの方は私達に助力してくださる方だと説明したでしょう!?」「でもおねーちゃんとケンカしてたもん!」「それは誤解です!私達は依頼の話を」「もーいい!わたしがおねーちゃんのカタキうってあげるから」「りりか!!!」
強く叱責されてそれまでじたばたと暴れていたりりかはぴたっと動きを止めた。八代子はりりかを下ろすと流刃に深々と頭を下げた。「申し訳ありません…」「ああ、気にしなくていい、その子は悪くないよ」流刃はなおも頭を下げたままの八代子に自分も屈んで近づくと耳許で囁いた。
「寂しがっていたみたいだから優しく接してあげてくれ」
(1/2)

16/11/27(日)02:12:27 No.393204486
(2/2)
はっとして顔を挙げる八代子を尻目に流刃は歩き去った。ふと傍らのビルの窓ガラスに目をやると、また深々と頭を下げる八代子とその横で自分で口の端を引っ張り「イーッ」をしているりりかが映っていた
苦笑しながら流刃は歩く。あんなやきもちの感情をかつて自分も抱いていた。ほんの10年程度の昔の話にすぎないのにまるで老人が幼い頃を思い出すかのような感覚だった。
さりげなく視線だけで側面を見やる。先程まで建物の上にいた鉤爪と奇妙な機械をいじりながらニヤニヤと笑っていた少女がいた場所を
「…忙しくなりそうだな」流刃は独り呟いた

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます