マイソフの創作と資料とチラシの置き場です。

ミリタリ関係

知られざる車両と情景


Q:最近はバキュームフォームキットやレジンキットで次々にマイナーな車種・機種が製品化されて、スクラッチビルドの苦労は昔通りなのに、なかなか仲間が驚いてくれません。まだ誰も作ったことのない車両の資料というのはないものでしょうか。

A:もうトルディもズリーニィも紹介されてしまいましたからねえ。私も時々パンツァーファイルを立ち読みして目が点になることがあります。パナール装甲車から果ては装甲列車までキット化されてますね。レジンキットだと戦時量産型の52型機関車まであります。これは日本のD51みたいな立場にあって、東欧では1970年代まで現役でした。

 ドイツの装甲列車というと、いい資料があります。

W.Sawodny
'German Armored Trains in World War II Vol.II 1939-1945'
Shiffer
ISBN 0-88740-288-7

 装甲列車は1942年以降はBP42という一種の規格ができて、標準的な列車編成に近づける努力がなされましたが、それ以前は捕獲列車などもあってまちまちな編成でした。少々間違っていても言い逃れできますからいいかもしれません。主力車両にはフランス/ポーランドの1897年式75ミリ野砲がよく使われていたそうですから、これが難物かもしれません。もっとも砲身以外は砲塔に隠れて見えないんですけど。面倒だったらPAK97/38のキットの上半分だけ使えばいいでしょう。

 それから、線路上を走れるパナール装甲車は1編成に2両の割で偵察用に配属されていましたが、装甲列車の端にある空の貨車に交換用のタイヤが載っていて、軌道を離れて使うこともできたそうです。実際、装甲列車から火力支援をしながら降車班を分遣して、パルチザンの拠点を攻撃に行くようなことは良くあったようです。

 装甲列車には初期にはソミュアなどのフランス製戦車、後には38(t)戦車が支援用に載っていて、これも列車から降ろすことができました。38(t)戦車とパナール装甲車を並べて、後ろには装甲列車があることにして・・・いやそういうご質問ではなかったですね。レジンキットだと無蓋車も貨車も出ていますから、そういうのをどんどん使っていくと・・・もういくらかかるかわからないですね。

 最初から本質的にひとつひとつ違うものを作れば重複はありえないですから、野戦架橋なんかはどうでしょうか。
H. Riebenstahl
'Deutsche Pioniere im Einsatz 1939-1945:Eine Chronik in Bildern'
Podzun-Pallas
ISBN 3-7909-0590-9

 この本はドイツ工兵の編成のことが載っているかと期待したんですが、届いてみると写真とキャプションしかない純粋な写真集で、ほとんどが渡河と架橋のシーンという「ドイツ軍渡河写真集」です。表題にクロニクルとありますがページ数のたっぷり半分は1941年に集中しています。いろいろなタイプの野戦架橋や艀を見ることができます。架橋戦車の写真もありますが数枚見たくらいで作れる代物ではないので、期待しないほうがいいです。

 この本は最近英語版が出ましたが、記憶している出版社のデータベースにないので、早くも絶版かもしれません。

 きわめつけはこの資料です。
M. Foedrowitz
'German Firefighting Vehicles in World War II'
Schiffer
ISBN 0-7643-0191-8

 そうです。消防車です。空襲後の復旧作業のジオラマなどはどうでしょう。一部の車両はオペルブリッツやダイムラーベンツなどキットのあるトラックをベースにしているので、上部構造の簡単なポンプ車ならどうにか完成させられるでしょう。空軍のナンバープレートをつけた車両の写真もありますので、飛行場に置くのも可です。

 現存する車両を写したカラーのページもあります。色は赤だったり深緑だったり様々です。当時の新聞か雑誌の広告も載っていますが、赤い車両のほかに色の暗い(深緑かもしれない)車両が見て取れます。なんとアフリカ軍団向けのサンドイエローの(防塵フィルターつき)車両というのもあって、現存しているそうです。

 ちなみにドイツでは消防隊は警察の一部で、従ってヒムラーは帝国消防長官でもあります。

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