マイソフの創作と資料とチラシの置き場です。

ミリタリ関係

※なにもかもみな懐かしい。サイト草創期、私にも多少の血気があったころの文章。


 このサイトは、洋書資料を中心とする資料紹介のページです。

 このサイトの読者がサイトの趣旨を誤解したことによる、生産的とは言いがたいやり取りが過去にいくつか、メールや掲示板で起こっています。

 よくあるのは、「欧州戦記資料」は資料紹介サイトであるにもかかわらず、研究サイトと誤解されるケースです。この区別は多くの場合重要ではありませんが、加筆修正のポリシーには大きく影響します。要するに、私は他人の書いた二次文献をおうむ返しにしているだけであって、「こうではないか」と修正提案があったときに、どちらが正しいかを判断する根拠を持たないのです。また、私の持っていない書籍に基づく指摘であった場合、私自身がその記述を確かめることができません。ゆえにそうした突っ込みに基づく修正は、ほとんど行っておりません。そうした指摘を受けた場合、発信者自身がサイトを立て、自身の責任で正しいと信ずる情報を発信されるようお勧めしています。私は喜んで、そうしたサイトにリンクを張る用意があります。

 およそ歴史研究で最も大切なことは、史料批判です。記録に基づいて物を言うだけでは単なる受け売りです。その記録と称するものがどの程度信用できるか、どういった偏りや省略や歪みに気をつけて読むべきか、理由のある判断が出来なければなりません。例えば終戦直後に出版された回想には、戦争責任を逃れるための弁明があるかもしれません。どんな記録であれ、都合の悪いことは書き落としているかもしれません。そして、非常に多いのですが、不正確な理解や記憶違いがあるかもしれません。だから最終的な判断を読者が下す助けになるよう、記述の典拠を明かすことが大切なのです。これは典拠を書かない孫引き文献の氾濫する中にあって「欧州戦記資料」を立ち上げた根本的な目的です。Webページであれ印刷物であれ、自分で確認できないものを私は典拠とはしません。「誰かが言っている」「誰かがそう思っている」というだけでは、その人物が自分の実体験を語っている場合を除き、典拠とはしません。第三者が私と他の誰かの主張の正しさについて判断するためにも、原則として公開されたソースのみを典拠とします。ただし、公刊はされていないが公文書として参照できる可能性のあるもので、たまたま私が原文と信ずるに足る物を手に入れた場合は、それを典拠とする場合があります。

 もうひとつのよくある誤解は、「欧州戦記資料」や「Organizations of Imperial Japanese Army & Navy」が体系的に自己完結すべきものであり、私がそれを目指しているに違いないというものです。

 私は、日本における戦史出版は産業ではない、と考えています。専業の研究者が資料代を含む費用をカバーし、かつ生計を立てることは、市場規模の小ささからほとんど不可能なのが現状です。プロもいないのにプロのクオリティなど求めては締め切りが遅れるだけですから、私はいわゆる突っ込みテロを行わないことにしています。しかしその中で、せいいっぱい戦史出版に努力している人々には、敬意を抱いています。またその中には、私の個人的な友人が多く含まれます。私はそれゆえに、「業界」が飯の種としている部分、すなわち戦車部隊の編成、主要師団の戦歴と言った領域に踏み込むことを慎重に避けています。同様の理由で、私は「Organizations of Imperial Japanese Army & Navy」の日本語化を希望する声があるにもかかわらず、そうしていないし、将来そうするつもりもありません。表現(データの配列・編集方法等を含む)には著作権がありますが、データ自体には著作権はありませんから、私が合法的にいくつかの出版社の職域を荒らすことは十分に可能ですが、そうするつもりはありません。

 また、公開されていても自分で確認する気にならないときは、その資料を典拠としませんし、それを取り上げもしません。このサイトは私が私的にスポンサーを務めているものであり、そのスポンサーの気持ちが離れてしまえば、サイトはおしまいです。私が何を目指すかは私が決めます。私は予告なく考えを変えることがあります。

 自分でサイトや連載を持っておられる方は、この種の機微が総じてわかっておいでです。サイトを開き、仮名であれ自分の名前で発信を始めた瞬間、一方的な狩りの季節は終わり、自分も狩られる側に回ります。そのうえでこのサイトを上回るサイトをお立てになることを、私は心から歓迎します。

 過去に寄せられた質問のうちいくつかは、私に対する説得の形をとっていても、私であれ誰であれ、他者の関心を自分の関心事にひきつけようとするものだと感じました。 

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