GURPSよろず - 技能なし値
●技能なし値:Defaults
 その技能を習得していない(CPを消費していない)キャラクターが、その技能に関連する行動を行なおうとしたときの、目標値の基準です。技能内容項目の「技能なし値」に複数書かれているときには最も有利なものを使ってください。「なし」とあれば技能なし値はありません――そうした技能は知らない場合は使えないのです。


第4版第『ベーシックセット』の「技能」B168P参照。

技能なし値――修得していない技能を使う(SKILL DEFAULTS: USING SKILLS YOU DON’T KNOW ) B168P

 技能のほとんどには、“技能なし値”が指定されています。これは、その技能を習得していないキャラクターが、技能に関連した行動をとろうとした時の判定の基準値となります。ある行動をとろうとした時に「関連する技能を学んだことがなくても、多少なりとも成功する確率がある」とすれば、その技能には技能なし値が存在します。
 技能なし値は、「易」の技能では基準となる能力値-4、「並」なら-5、「難」なら-6がもっとも一般的です。例外はありますが、それほど多くはありません。

例:<ブロードソード>技能敏捷力/並)の技能なし値敏捷力-5です。もしあなたの敏捷力が11で、訓練を受けないままブロードソードを振り回さなければならないことになったら、あなたの<ブロードソード>の技能なし値は11-5=6です。あなたは敵に見注させるためには6以下の目を出さなければなりません。

 技能なし値が存在しない技能もあります。<錬金術><催眠術><空手>などの複雑な技能は、専門の訓練を受けていない限りは手が届きません。
 技能なし値がどれほど高くても、あなたは技能なし値でその技能を使う場合、その技能がもつ特別の利点――特に、ダメージ増加、特殊な防御、逆腕で使用してもペナルティを受けない、などの戦闘上の利点――の恩恵を受けません。こうした恩恵を受けるためには、技能に少なくとも1CP費やさなければなりません。


“20”の法則(The Rule of 20) B168P

[[“20”の法則>技能なし値#The_Rule_of_20]]
 ある技能が特定の能力値を基準としている場合には、能力値が20を越えていても、20とみなして技能なし値を計算します。超人的な能力値を持っていても、あらゆる行動を超人的にできるわけではないのです。


技能なし値を使えるのは?(Who Gets a Default?) B168P

[[技能なし値を使えるのは?>技能なし値#Who_Gets_a_Default]]
 その技能が一般的に知られている社会出身のキャラクターでなければ、技能なし値で判定を試みることはできません。例えば<装備潜水>の技能なし値というのは、少なくとも潜水道具の使い方を(テレビでみた程度でも)知っている人を想定した物なのです。中世の騎士が21世紀にタイムトラベルしてきたとしても、この騎士は生まれて初めて見た潜水道具を<装備潜水>の技能なし値で使用することはできません。


技能レベルを基準とする技能なし値(Defaulting to Other Skills) B168P

[[技能レベルを基準とする技能なし値>技能なし値#Defaulting_to_Other_Skills]]
 技能の中には、能力値ではなく他の技能(の技能レベル)を基準として技能なし値を計算するものもあります。

例:<ブロードソード>の技能なし値は、敏捷力-5ないし<ショートソード>-2です。長剣と短剣の扱いには共通したところがあるからです。あなたの<ショートソード>が13レベルだったとすると、<ブロードソード>の技能なし値は11レベルです。


「技能なし値」をもとにした「技能なし値」(Double Defaults) B168P

[[「技能なし値」をもとにした「技能なし値」>技能なし値#Double_Defaults]]
 ある技能の「技能なし値」を、別技能の「技能なし値」の基準に使うことはできません。
 <A技能>の技能なし値は<B技能>-5だったとします。その時<B技能>の技能なし値知力-5だったとすると、<A技能>の技能なし値知力-10になる……わけではありません。


技能なし値をもつ技能の成長(Improving Skills from Default) B168P

[[技能なし値をもつ技能の成長>技能なし値#Improving_Skills_from_Defau]]
 ある技能技能なし値が“本来であればCPを支払わなければならない”ほど充分に高い場合、その技能自体を技能なしのレベルから成長させようと思ったら、“技能なし値のレベル”と“成長させたいレベル”の差額のCPを支払うだけですみます。

例:あなたが敏捷力12、<ショートソードLv13>だとします。<ブロードソード>の技能なし値は<ショートソード>-2なので、あなたの<ブロードソード>の技能なし値は11です。あなたにとって11レベルは「敏捷力-1」です。直接習得しようと思ったら、これは本来1CP支払わなければなりません。次のレベル「敏捷力」は2CPで、差額は1CPです。そのためあなたが<ブロードソード>の技能なし値の11から12レベルに上昇させようと思った時には、あなたは1CP支払うだけでいいのです。敏捷力から直接習得して上昇させる時のように、2CP支払う必要はありません。

 技能なし値の基準となる技能を上昇させたら、その技能技能なし値も同じだけ上がります。しかし、すでに技能なし値を基準にして該当技能の習得を始めていた――CPを支払った――場合は、基準の技能を上昇させただけで技能レベルが自動的に上昇するわけではありません。以下に先の例の続きを挙げます。

例:あなたは1CPを費やして<ブロードソードLv12>(敏捷力レベル)まで上昇させました。ここでさらに<ショートソード>に4CP費やして。技能レベルを13から14レベルに上昇させました(敏捷力+1から敏捷力+2に)。あなたの<ブロードソード>技能は自動的に上昇するでしょうか? しません。<ショートソード>技能を用いた<ブロードソード>の技能なし値は12です(<ショートソードLv14>-2)。しかし<ブロードソード>を12レベルから13レベルに上昇させるには(敏捷力から敏捷力+1)2CP必要です。あなたは<ブロードソード>に1CPしか支払っていません。このCPは記録しておいてください。あなたがさらに1CP<ブロードソード>に費やした時、レベルは上昇します。

 2つの技能が互いの技能なし値になっていて、両方のレベルを上昇させた場合、あなたは技能なし値の“方向”を切り替えてもかまいません。もし必要なら、互いの技能に割り振ったCPを再配分してください。しかしこの方法で、どちらかの技能レベルを減少させてはいけません。現在のレベルを維持するために充分なCPは常に費やさなければなりません。

例:<ショートソード>技能が14レベルのまま、あなたは<ブロードソード>に22CP費やしまた。これによりあなたの技能レベルは12(敏捷力)から18(敏捷力+6)になりました。あなたは<ショートソード>を<ブロードソード>技能から使用した方が効率がよくなりました。<ショートソード>に費やした8CPと<ブロードソード>に費やした22CPを加えて、30CPを2つの技能に再配分することにします。まず<ブロードソード>技能に24CP費やして18レベル(敏捷力+6)にします。そうすると<ショートソード>の技能なし値が16(<ブロードソード>-2)になります。最後に余った6CP(の内4CP分)を<ショートソード>に費やして17レベルに上昇させます(あと2CP費やせば18レベルになります)。
 これは抽象的な数字入れ替えのように見えますが、実際には現実的な処理です。<ブロードソード>技能を先に習得していたことが、特に有利に働くわけではなく、<ショートソード>を先に学んでいたことが不利に働くわけでもありません。

関連