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[SSメモ] 25-26 2011/05-06

とりあえずレス流れでイラマの話が出たので、響のネタとあわせ単発で終わらせるつもり
で書き始めた話。ただし1レス分でまとめた段階で勿体無くなって続編構想を考え制作。
若干展開がぶっとんでます。

注意:暴力描写があります。


  • 以下本編-

大切な喉の奥深くまで汚れた欲望で犯されてなお、少女は懸命に笑顔を作ってみせる。
どす黒く膨らんだ男根は可憐な口唇を容赦なく蹂躙し、そのたびに飛び散った
涎と先走りが唇や頬にべとべと塗り重ねられていく。
少女は気づいているだろうか、自分の目にたまっている涙の理由に。
その涙すら涎や粘液と混じって顎先から滴り、胸元を包む清楚な下着のシミになるだけだ。
やがて口内にぶちまけられる筈の粘っこく苦い精液も、少女にとって大切な頂き物同然に、
ただ望まれた、それだけの理由で一滴残さず、嬉々として飲み干されるのであろう。

少女の名前は如月千早。
アイドルデビューのわずか1年後、弱冠16才にして幼き歌姫と呼ばれるようになった
万人を魅了する奇跡の歌声の持ち主である。



俺が千早に目をかけたのは、彼女の境遇に同情したばどという安っぽい理由などではない。
彼女の素質や才能を見越した、あくまで仕事のための打算である。
最高のパフォーマンスを発揮させる為、千早の望みは何でも聞き、叶えてやろうとした。
歌、歌う機会、歌う場所。歌を聴く者。歌を伝える物。歌うための準備。
それは仕事として当たり前の範疇だが、妥協をしないためにはそんなものでは到底足りない。
歌のための生活。歌のための憩い。
ついには高級マンションに住まいが用意され、最高の音響機器や豪勢な家具が揃えられた部屋に
案内された少女は、一通り部屋を見回ってから、困惑した顔で俺を見上げた。

「どうした千早。何か足りないものでも?」
「……はい。ひとつだけ。大切なものが」
「遠慮はいらんぞ。歌の…いや、千早のためなら何でも用意する」
「本当、ですか?」
「ああ。俺に用意できるものなら何でもな」
ようやく千早がほっとした顔を見せた。物欲に乏しく、無茶や我侭を言う娘ではない。
犬のぬいぐるみとかレアなCD、その程度の可愛い理由だと高を括っていた。

「あの…それでは言いますから、目を閉じていてください」

苦笑いをして目を閉じた直後、柔らかいものがぶつかってきた。
千早は俺の背中にしっかり手をまわすと、胸に顔をおしつけたまま呟いた。
「これが、ここが私が一番ほしかった居場所です。だから……」
「ま、待て千早……欲しい物って」
「駄目……ですか? やはり駄目ですよね、こんなわがまま」
千早の抱擁が解かれる直前、俺は華奢な肩を引き戻して抱きしめた。
「駄目じゃないが……あとで要らないっていうなよ」



千早の望みを叶えるため、申し訳ないが離婚調停で両親が揉めていたのを利用させてもらった。
親権と養育の押し付け合いを突いて、事務所で千早を預かってもいいと持ちかけ同意を得ると、
事務所には保護者として両親公認であると主張し、同居を認めさせることに成功した。

それでも俺が千早を女として見るつもりがなかったのは、アイドルである彼女の商品価値が
何より優先すべきだと考えていたからである。
同居を承諾した手前、仕事場ではプロデューサーでも、家では家族と思って甘えて欲しい、
そんな思わせぶりな発言も、千早を仕事に最適な状態にセッティングしておくためだった。
要するに、千早の感情を俺の都合に合わせ、意図的にコントロールしようとしたのである。
慕ってくれるのは問題ないが、恋愛感情など邪魔になるだけなのだ。



本日の報告を書き上げパソコンを閉じると、ベッドに入り灯りを消す。
そのタイミングを見計らっていたかのように、静かにドアが開いた。
ほぼ真っ暗な中、摺り足と衣擦れの音が近づいて止まる。
「……千早?」
「……………はい」
「寝つけないか?」

こういう事態を予期した上で、同居前にいくつかの注意を申し渡していたのだが。
初日からアグレッシブなのは勘弁してくれ、そう願いながら明かりをつけると
パジャマ姿の千早が、神妙な顔でもじもじと突っ立っていた。

「眠れるような子守唄、歌ってやろうか?」
「プロデューサーの歌では眠れません」
「じゃあ……添い寝しながらってのはどうだ?」
「こ、子供扱いしないでください」
「ふむ。なら大人っぽく腕枕だな。今日は同居初日だから特別だぞ」
「そ……それならって、あの…いいのですか?」
「固いこというな。特別サービスだ」
「固いルールを決めたのプロデューサーです。寝る部屋は絶対別とか、着替えの注意とか」
「まあまあ、いいからおいで」
渋って見せたのはポーズだったらしく、引っ張ってやるとすんなりベッドに横たわる。
「どう?」
「どうって言われても……少し緊張しているかもしれません」
「そうか、ならこういうのは?」

二人の上に布団をかぶせ、その中で千早を抱き寄せると、あやすように背中を撫でてやる。
「あの、余計緊張して…でも………」
「はいはいリラックスして。寝ちゃってもいいから」
「プロデューサーとお話しようと思っていたのに……」
そう答える千早の声はすでにとろりと眠気に浸っている。
「ほ……ほんとうに寝てしまい…ます……よ」
「おやすみ千早」
抱き寄せた千早のつむじあたりに軽く唇をつけてから、明かりを消した。

千早と添い寝をしたのは今のところその夜だけの話である。
決めたルールに従っているのか、初日のあれで満足できたのか。
あるいは懲りたのかもしらないが。



同居のメリットをあげるとしたら、千早が落ち着いて安定したということだろうか。
毎日一緒にいる俺ですら感じられる変化だから、事務所の音無さん、あるいはこの前取材で
会った善永記者が言うところの劇的変化、といっても大袈裟ではないのかもしれない。

その一方、デメリットはというと、幸いなことに思い当たる節はない。
内心危惧していた俺への傾斜や依存も、その傾向すら感じられず、
真面目な千早らしい、節度ある日々の暮らしが同居以来続いている。
強いて言えば家事を頑張りすぎることだが、喜んでやってくれる以上、仕事と学業に
差し支えない限り口をださないことにしている。

俺の世話をすることで、千早の姉性?本能がいたく刺激されるとでもいうのなら
千早の感情をコントロールしようとするより、擬似的なこの家庭で俺が役割を演じる方が
千早の安定のためになるのではないだろうか。
俺はそう信じて、ずぼらで頼りない兄貴を演じることに務めた。
といっても元がずぼらな俺である。1ヶ月もたてばそれが自然な振る舞いになった。


「ふふっ、ほんとにプロデューサーは私がいないと駄目なんですから」
俺がソファーに脱ぎ散らかしたYシャツを拾い上げて、千早が笑う。

「好き嫌いしてはだめです。栄養が偏ってしまいます」
そういいながらも、俺の嫌いなものは少なめに盛ってくれている千早の気配り。

「明日は早いのですから、夜更かしはほどほどにしてくださいね」
軽いハグをしたあと、お休みのキスをおでこにした俺に千早が囁く。
「じゃあ夜更かししないから一緒に寝てくれる?」
そんな冗談に千早は取り合ってくれず、軽く俺の手を抓る。
「だ・め・で・す」
呆れた顔を見せながら、千早が俺にハグしてくれる。
「自分で決めたルールなのですから、きちんと守ってください」
離れようとする千早をもう一度引き寄せ、こっそりと髪に顔をうずめてみる。
爽やかなシャンプーの香りに混じった、風呂上りの艶かしい肌の匂い、それを
胸いっぱい吸い込んでいるうち反応が始まりかけ、慌てて抱擁を解いた。

反応といっても性欲が嵩じた結果であって、千早に欲情したわけではない。
処理するなら千早が不在の時がいいのだが、今夜一晩悶々とするのも考え物だし
たまにはエロい想像でもしながら気持ちよくぶっ放したい。
寝室に押しかけてくる心配はないから、さっさと済ませてすっきりして寝よう。
その安易な判断がそもそもの間違いだったわけだが……


嗅覚は視覚や聴覚と違い、脳の本能を司る部分と直結しているらしいが、まさにその通りだった。
秘蔵の無修正DVDなどに頼らなくても、先ほど嗅いだ千早の肌の匂いを思い浮かべただけで、
立ち上がった股間がさらに猛々しく硬化する。
パジャマをずりおろし、むき出しにしたそれを握り締めると、千早のパジャマ姿を思い浮かべる。

肌の匂い、髪の匂い。先ほど嗅いだばかりの匂いを反芻しながら、ゆっくりこすり始める。

肌に浮いた汗の球。顎先から滴り落ちる汗の雫。汗ばんだ肌の酸っぱい匂い。
ジャージを脱がせるとタンクトップはすでに汗でびしょ濡れなっている。

パジャマに染みついた千早の体臭は風呂上りの匂い。石鹸の匂い。
一番正確に千早の匂いを写し取っているのはパジャマだろうか、それとも下着か?
気になるなら、何故あのとき確かめてみなかった?
洗濯籠から間違えて掴みあげた千早の青い下着。汗ばんでいたのか、それとも別の理由か、
お気に入りらしいお揃いのブラとショーツは少しばかり湿っていた。

あの時俺は無意識にショーツを鼻に近づけていた。理由なんかわからない。
千早自身の匂いが知りたかったのか。それともただの気の迷いか。
いや、そんな変態じみた真似をしなくても、あの華奢な体を押さえつけズボンとショーツを
まとめて引きずりおろしてやればいい。足を大きく開かせその真ん中に顔を突っ込めばいい。

どうだ、千早のそこは。どんな匂いがする? 
まだ処女だろうが、そろそろ千早だって雌の匂いになっているのじゃないか?
なんなら味も確かめるといい。ほら、そろそろ濡れ始めてきているだろう。
ほら舌をだせ。丁寧に、優しく舐め取ってやるんだ。

最初はパジャマ姿の千早を抱きしめているだけの妄想が、行為に励んでいるうち
ベッドに押さえつけた千早を裸に剥き、下半身に顔を埋めしきりに舌を使っている、
そんな過激な想像に変化している。
そろそろ、か……目を閉じ、いくときのシーンを考えはじめたその瞬間。


不意に寝室のドアが開いた。
背後からの明かりを受けて、千早の輪郭が黒く浮かび上がる。

夢だと思いたかった。
分身を握り締めたままフリーズした俺に構わず、千早はするすると歩み寄ると
ふわりと足元に座り込んだ。

「お手伝いしますから」
そういって千早は俺の右手をそっと離し、代わりにその手で俺のものを包みこむと
ゆるやかに上下させはじめた。
柔らかくしなやかなその指は楽器を奏でるように優雅に動いた。
果てる直前にあった俺は、ただそれだけで一気に追い詰められる。

直前、なんとか砲身を下に反らせるのが精一杯だった。
激しく迸った白濁は千早の首筋を汚しながら胸に垂れて流れ、青いブラに染み込んでいく。
確かあれは千早お気に入りのセットだったはず………
意識はあったはずなのに、何故か途切れ途切れの記憶に残っているのは
青い下着だけ身に着けた千早の姿。
そして胸を汚す精液を指先で拭い取り、嬉しそうに見つめる千早の顔だけだった。



夢であってほしい。
目覚めたときには既に陽は高く、時計は千早の登校時間の直前を示している。
とりあえずベッドから出てみたが、昨夜の痕跡らしきものはどこにも見当たらない。

「おはようございます、よく眠れました?」
既に高校の制服姿の千早が屈託のない笑顔を俺に向ける。
食卓にはトーストとサラダと湯気をたてるコーヒー。
やはりあれは夢だったのか?
ぼんやり考える俺には構わず、千早はエプロンを外し、纏めていた髪をさっとほどいた。

「済みませんが洗濯機の中のもの、干しておいてもらえますか」
「あ、ああ。やっとく」
「お願いします。では行ってきます」

のろのろと朝食を終えると、洗濯機の中から洗ったものをカゴに移していく。
俺の靴下。シャツにパンツ。
千早のレッスン用ジャージ上下。千早のTシャツ。靴下。ハンカチ。
バスタオルが2枚。ハンドタオルも2枚。
そして洗濯ネットに包まれた、鮮やかなブルーのお揃いの下着。



明らかに現実の出来事と知りながら、俺の意識が夢と誤認したがる理由は
千早が昨夜見せた、有り得ない行動そのものである。
男の自慰行為を目にしながら顔色一つ変えずることなく、初めてであるはずの男性器を
ためらいなく手で包み込み、そのまま最後まで導き果てさせたこと。
俺が果てた結果を満足そうに見つめる不思議な表情。

洗濯物を干し終えたあと、ふと千早の部屋に入ってみようとして思い直した。

昨夜千早が見せた、俺の全く知らない知らない姿。
言い換えれば、俺には全く理解できない、不可解そのものの姿だ。
千早の部屋に疑問の答えがあるかもしれないが、それすら不可解なものだったとしたら。
そう考えると、恐怖心が好奇心に遥かに勝るのも当然だろう。

夢であるなら本当によかったのに。


洗濯物にあったブルーの下着に僅かに残っていた白い粉のような付着物。
それと同じものが俺のパンツにも残っていたことから、昨夜俺が射精したのは間違いない。
勃起した俺のものを見ても顔色ひとつ変えず、しなやかな指を巻きつけしごき始めた千早。
どのような理由、あるいは動機で行為に及んだかは分からないが、少なくとも千早には
男の性について相応の知識があったことも疑いようのない事実なのである。

俺の知る千早には、あのような行為全てが有り得ないことなのに
昨夜の千早は、躊躇いも無く当たり前の手つきでしごき始めた。
千早が俺の一人遊びの習慣を「知って」いて、
男のモノの有り様を「知って」いて
かつ昂ぶったモノの扱いを「知って」いればこそ話である。
おまけに胸に暴発させた精液も不快がるどころか、むしろ嬉しそうですらあった。

つまり千早は知っている。
知識を持っている。
その知識は学ばなければ得られない。自然発生なぞしないのだ。
では、千早はそれを何時、何処で、何故、どうやって…………誰に?
歌でもダンスでもない、表現力でも演技でも台本の台詞でもない、
男のオナニーを、一物の扱い方を、男の喜ばせ方を。

誰 に 教 わ っ た ?  誰 が 千 早 に 教 え た ?


そこに思考が移った瞬間。
先ほど浮かんだ恐怖心を忘れた俺は千早の部屋に飛び込んでいた。
机の上。引出しの中。本棚。CDラック。ドレッサー。ベッドの下。
カーペットの裏。クローゼットの中。ぬいぐるみの籠。
整理箪笥を順番に開け、底まで探ってみるが何も出てこない。
自分でも何を探しているのかわからなかったが、とにかく探した。
あるのか? 千早が男に関する性知識を学んだ証拠なんてものが。

最後にあけた引出しには、下着が小さく畳んで収められていた。
白いショーツを引き抜き、何の気なしにその内側を点検してみる。
かすかな黄ばみがあるだけだ。
黄色のにも。別の白も。ピンクも。綺麗だったり染みがあったりしても、ただそれだけだ。
いやいや、そうだろう? 脱いでからするなら下着にはそうそう跡は残らないだろう。
つまり千早が教わったのは、手でするやり方だけではない……男はそんなもので満足などしない。
触り、揉み、脱がし、舐め……挿れて、射精して、それでようやく満足するはずだ。
この子供っぽい綿のショーツも男の手で千早の下半身から引き摺り下ろされ、
露にされた大切な部分を、その手で、舌で、男根で散々嬲られたのではないか?
千早に知識を与える代償として。


鳴り続ける電話が俺を現実に引き戻すまで、千早のベッドの中で陶然としていた。
甘い体臭の残り香で満たされた中、べっとり汚した千早のショーツを一物に巻きつけたまま、
俺は終えたばかりの行為に満足していた。

知らない誰かが千早の肢体を無遠慮に蹂躙する妄想。その影はすぐ俺自身と重なっている。
服を剥ぎ取り裸体をさらけ出すと、泣きながら抵抗する千早の手を、口を思うがままに使ってやった。
千早の両足を肩に担ぎ、蕾のような青い性器を開かせた中にたっぷり唾液を垂らして
そのまま強引に貫いて、その最奥に達した瞬間果てていた。

それが凶暴な破壊衝動とは気づかないまま、俺はベッドから起き上がった。
千早の部屋から俺の荒らした痕跡を慎重に消し去り、汚した下着の始末をしてから
俺はシャワーを浴びて身支度を始めた。



「プロデューサー、ご気分でも悪いのですか? さっきの打ち合わせ、少し上の空のようで、
まるで夢でも見ているような顔でした」
心配してくれる千早の気遣いを、フィルターのかかった俺は踏みにじる。

「夢? ああ、今からどんどん悪い夢になるあれのことか」
「あのプロデューサー、一体何をいっているのですか?」
「なあ千早。俺には分かってしまったんだよ。だから隠す必要はもうないのさ」
「分かったとか隠すとか、全然意味がわかりませんが……」
「とぼける必要もないぞ」
「いい加減にしてください! ふざけているのですか?」
「何をそんなに怒ってるんだ? 落ち着けよ」

無言で俺を見つめた後、千早は携帯で誰かと真剣なやり取りをしてから向き直った。
「事務所に直帰すると伝えました。このまま家に戻ってください」
「家? どうして。何のために?」
「話し合いをするためです」



部屋着に着替えてから、並んでソファーに座ったのは千早の提案だった。
「車の中でプロデューサーがおっしゃっていたこと、私にはほとんど理解できません。
悪い夢がどうとか、プロデューサーが分かったこと、隠す必要って何か」
「なら、俺のただ一つの質問に答えてくれたらいい、それではっきりするはずだ」
「は、はぁ……どうぞ」
「千早は一体誰にあんなこと教えてもらったんだ?」
「……はい?」
「だから、千早にあれのやり方教えた男だよ。実は彼氏とか? 学校?それとも業界関係?」

表情から戸惑いをすっと消した千早は、噛み締めた歯の間から押し出すようにいった。
「念のため確認します。今のは冗談、戯言、そういったことではありませんか」
「これは真面目な話し合いなんだから、真面目な話に決まっているだろ」
「で、では……済みませんが今の質問、もう一度繰り返してもらっていいですか」
「何度でもいってやるさ。千早に男の喜ばせ方を教えたのは一体どこの誰だ?
それは千早の彼氏なのか? 相手は高校の同級生か、それとも業界のおじさんかい?」

ゆらりと立ち上がった千早に、激しく頬を張られた勢いで俺の顔は90度横を向き、
続くバックハンドの衝撃でまたもとの位置に戻った。
振りかぶる瞬間まではっきり見えていたのに、俺の心が何の反応もしなかった。
憤怒の表情で3発目を振りかぶった千早は、無抵抗のままの俺に怯んだ素振りをみせたが
歯を食いしばってその手を振り下ろした。

「な、何故よけないのですか。何故止めなかったのですか」
「千早はどうして俺の質問に答えなかった? これが答えなのか」
「……説明したのは覚えてないのですか。何にせよあのような質問に答える言葉などありませんが」
振り絞るような4発目は俺が許さなかった。
その手首を捕まえたついでに、さらに攻撃しようとするもう片方も押さえつけた。

「ただ質問しただけなのに、暴力で答えるなんてひどいよな、ちーちゃんは」
「ふざけないでください。自分からぶち壊しておいて」
「それなら話し合いはもう決裂ってことでいいのかな……ちーちゃんの質問に答えてないけど」
「離してください。プロデューサー、変です。頭冷やしてください」
「暴力的なちーちゃんにふさわしい答があったよ。ああ大丈夫。顔や体に傷つけたりしないから」
「い、いやぁ、やめて、離して……プロデューサー、目を覚ましてください」
「だめだよ暴れたり大声出したりしたら。ほら、お座りして」

千早が従ったのは、素直なんかではなく俺の錯乱に恐れを抱いたためとは気づくわけがない。
おとなしくなった千早に気をよくした俺は、今から始める事を説明してあげることにした。

「昨日の夜、ちーちゃんが俺のオナニーを手伝ってくれただろ? 
あれはあれで気持ちよかったんだけど、俺はもっと気持ちよくなりたいんだ。
だから手のほかに口でもしてほしいんだ。教えてもらったか? 知らないなら今から教えてやる。
大きくお口あけて、歯を立てないように気をつけてしゃぶればいい。簡単だろ?
噛み付いたりして痛くしたら、ちーちゃんのこと許せなくなるから気をつけてね。
ちゃんと昨日みたいに、俺が気持ちよくなるようしてくれたらいいだけだから。
わかった? うん、じゃあ服は脱いでしまってね。汚しちゃいけないから。
ああ、下着はつけたままでもいいよ。だってちーちゃん、恥かしいだろ?」

小刻みに震えながら、ブラウスを脱ぎ、スカートを下ろした千早をもう一度座らせる。
「しらばくじっとしててね。髪、まとめるだけだから」
艶やかな髪をしばらく愛撫してから、千早の部屋にあったシュシュでポニーテールにまとめた。
レッスン前、甘える千早に請われるまま何度も整えてやって、すっかり手際もよくなったものだ。

「さて。じゃそろそろやるからね」
前が突っ張って邪魔になるズボンとトランクスを脱ぎ捨てると、すでに先走りを浮かべている
怒張を千早の目の前に突きつけた。
「ほら、昨日の千早を思い出しただけでこんなになってしまったんだ」

「いいんだよ、ちーちゃんに男がいったって。お年頃なんだもんな。
でもな、俺にはちーちゃんが、ちー…ちはや、千早、千早だけなんだ。
俺には千早しかないんだ。千早のために俺は生きてるんだ。千早が喜んでくれるなら
俺はなんでもする。わかるかな、いやいい、千早はそんなこと考えなくて。
千早のことが好きで俺が勝手にやってるだけのことだから。いいんだよ千早。
千早は俺だけのものなんだから」

目じりに涙を浮かべ俺を見上げる千早の髪を掴んで、顔をあげさせた。
もう片手で怒張を掴み、千早の口許に押し付けるとそのまま強引にねじ込む。
「んぐっ……んんんっ」
「ほら、お口大きくあけて」
「んっ!……んむんっ!!」

ぺたんと女の子座りになった千早は、強引な挿入にも抵抗の素振りはみせなかったが
口腔にねじこまれるそれを無意識に拒絶するためか、もどかしさにいらだった俺は
千早の顎に手を添え、無理やり開かせたその喉奥めがけ一気に腰を突き出した。
熱さすら感じる千早の口内でたっぷり満ちた唾液と柔らかい粘膜に包まれると
それだけで犯した男根が溶けてしまいそうなくらい、心地がよかった。
両手で掴んだままの千早の顔を見下ろすと、同じように見上げる千早と目が逢った。
拒絶? 嫌悪? 諦念? 千早の浮かべた表情はそのどれにも当てはまらない。
閉じた瞼が開き、もう一度俺を見た表情はもしかしたら微笑みだったのかもしれない。
千早の舌が口内を侵した俺のものにそっと触れた。


涙と涎で顔中をぐしゃぐしゃにしながら、千早は懸命に口を開いて
無慈悲に打ちつけてくる俺の怒張を受けとめる。
だが体を支えるだけが精一杯らしく、ぐらぐらと揺れる頭を支えるよう
束ねた髪を掴んだまま、俺は抽送を繰り返す。
時折もらす千早の苦しそうで切ない鼻声。
何度も溢れては零れ落ちる涙。
そのたびに俺は昂ぶり、押し上げられ、ついに頂点に達してしまう。


溢れる直前戻ってこれた理由は不明だが、俺にとっては幸いだった。
駆け上る奔流を感じ、咄嗟に腰を引いて抜き出した男根を下に向けた瞬間。
弾けた初撃が千早の顎先を叩いたものの、なんとか口は汚さずに済んだらしい。
首筋を流れた白い筋が胸元に溜まるのを見て、俺はようやく全てを思い出していた。
ぐったりもたれかかる千早を抱えあげソファーに横たえると、
千早を汚した己の白濁を脱ぎすてたシャツで丁寧に拭い取っていく。

千早の手で果てたという有り得ない筈の真実。
羞恥心と罪悪感で乱れた心の均衡を保つため封印した記憶。
それを今思い出した。
横たわる千早の頬を撫でながら、その記憶をより鮮明に保存し直すための再生を試みる。



暴発同然に発射した精液が首筋から胸元に流れ、やがて青いブラに染み込んでいく。
ようやく呪縛がとけた俺は、ティッシュで拭い取ってやりながら千早に問いかける。

「どうしてこんなことを……」
「気持ち、良かったですか?」
「質問に質問で返しちゃだめだって」
「……今のが答えの一部です、というのは駄目ですか」
「俺にわかるよう説明してくれ。でないと頭がおかしくなりそうだ」
「プロデューサーは私の願いを何でも叶えてくれると仰いました」
「ああ、そうだ」
「これだって私の願いです。いえ、一番叶えたい大切なお願いです。
プロデューサーに気持ちよくなってもらいたい、満足してもらいたいんです。
本当は、そ、その……手ではなく体で……と思うのですが、まだ自信も決心もつかないので。
だから、できることから始めてみようと思って」
「……それで千早は手伝ってくれたということか」
「はい。あの、初めてで下手だったとは思うのですが、プロデューサーは最後まで
その、で、でたのですから、少しはお役に立てたのかなと……」

無茶なことを、出かけた言葉を寸前で飲み込んだ。
思い込んだら一直線、そんな千早らしい決心の結果を、俺は無碍にしたくなかった。
それに、ぎこちなくても千早の手による快感が、自分の手とは比べ物にならない程
気持ちよかったことへの感謝も含めて。

「死ぬかと思った」
「……ふぇっ?」
「千早の手が気持ちよすぎて」
「………!」
「ひとつ言っておく。手伝って欲しいときはお願いするから、その時だけにしてくれ、いいな?」

どれだけその行為が愛情に基づいたものであったとしても
汚れた劣情が千早の純粋な思いをいつ食いつくしてしまうか分からない以上
あのようなことを二度とするわけにはいかない。
忘れよう、この出来事はひとかけらも残さずに記憶から抹消してしまおう。



切なくなるほどいじらしい千早の思い、それを俺は理不尽にも踏みにじってしまった。
千早に愛想を尽かされても仕方が無い。俺にできることはもう……
その時、千早の瞼がゆっくり開かれた。

「プロデューサー……?」
「ああ。ここにいる」
「プロデューサーなんですか? ほんとにプロデューサーなんですか?」
「ああ、そうだ。いつもの俺だ。さっきの狂った俺じゃない」
「……そう、ですか。よかった。戻ってきてくれて」
「なあ千早。今さらこんなことをいってもしょうがないが……」
「待ってください。その前に答えて欲しいことがあります」

千早はふらつく体をゆっくり起こすと、正面から俺の目を覗き込んだ。
「正直に答えてください。先ほどのあれはプロデューサーの本心、なのですか?」

「そうだ、千早」

意外なことに、それを聞いて千早はふぅっと息をついて表情を和らげた。
「あ、あの千早。責めないのか?」
「責めてほしいのですか?」
「いや、それは、つまり……お詫びというか、責任を取るべきというか」
「お詫びすれば責任が取れる行為だったのでしょうか……」
「わ、分かってる。分かっているけどごめん、この通り」体を伏せ、額をフロアに擦り付ける。

その俺の耳元に千早が冷たい声で囁きかける。
「私、男の人とキスしたことがありません。その私の最初のキスが、お、おち……ん、なんですよ?」
「ごめん! そ、それは……」
「その前もやりたい放題でしたね。脱げとかどうとか」
「すみませんすみません」
「その上無理にあんな事されて喉はいたいし、息はできなくて苦しかったし」
「ひぃ…どうか、ご勘弁を」
「私に男が出来ただろ、だなんて。いくら錯乱していたとはいえ、あれは酷く傷つきました」
「あわわわ、ごめんなさい千早様。なんでもします、なんでも言うことを聞きます。
ですから、なにとぞ、なにとぞお許しください、この通り、あやまります」

固いフローリングに打ち付けた頭を、千早の手が掴んで止めた。

「そんなことしても誠意は伝わりませんよ、プロデューサー」
「で、ですが千早様」
「そういうのもやめてください。こちらが惨めになります」
「すみません」
「責めるばかりでは何も解決しません。私から提案がありますが、聞いてもらえますか?」
「はい、なんなりと」
「プロデューサーからひとつだけ、あるものを貰います。それで全てチャラにしましょう」
「はい、異存はありません」
「いいのですか、条件も確認せずに同意して」
「もちろんです。何でも差し上げます」
「ふふっ、よかった。ではプロデューサーの命は私のモノということで」
「え゛?」
「ですからプロデューサーのお命、頂戴いたしました」
「ち、千早は俺に氏ね……と?」
「何を馬鹿なことを。そんなことをしたら元も子もありません。いいですか、今日から
プロデューサーは命を懸け、命の限り私と一緒に生きていくということです」
「あ゛?」
「狂ったフリも無駄です。まずは私が高校卒業してからの話ですが、生活は今まで通り。
乱暴にしないと約束するのでしたらお手伝いは継続させていただきます。あとは、えーと……
初めてのは私の決心がつくまで待ってもらうとして……でも私は16才なので入籍できますが、
それはやはり事務所とも相談が必要でしょうし……って
あのプロデューサー? ちゃんと聞いてますか。プロデューサー?」

◇ ◇

署名捺印した書類を役所に出した帰り道。
「プロデュ…じゃなくて、あなた。そういえばファーストキスの話、覚えています?」
「あ、あれはもうやめて……お願いだから」
「あれ、嘘でした。ふふっ、ごめんなさい」
「はっ?」
「同居した最初の夜、あなたが一緒に寝ようっていってくれたの覚えています?」
「あ、ああ。覚えてる」
「あの翌朝、寝ている隙につい出来心でしちゃいました。ふふっ、許してくれますよね?」


おしまい


あとがき。

 , '´⌒´ヽ 
 ! 〈ル'ハ〉) 
 ! (l゚ ー゚ノ!  計画通りっ

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