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[SSメモ]
2012.8〜2014.10までブログで不定期連載した長編SS(完結)

全部で8章あり、章ごとに犠牲となるアイドルが数人登場します。
千早がアイドルを吸血鬼的に襲うので基本同性同士の行為がほとんど
ですが最後の方にPが登場したり、擬似的フタナリ描写もあります。
吸血鬼の話だけに血がどうこうという描写も多々有ります。



2012.08.xx 第一部・(春香、美希、雪歩)
2013.03.28 第二部(響&真) 
2013.11.09 第三部(魔王エンジェル)
2013.12.15 第四部(亜美・真美)
2014.08.28 第五部(伊織・やよい)
2014.08.28 第六部(あずさ・貴音)
2014.08.28 第七部(律子・876勢)
2014.10.13 第八部(小鳥・P)


#1 
「ねえねえ千早ちゃん、今日なんだけど収録が押しちゃってさ……」
「いいわよ春香。お泊りなんでしょ?」
「うん! ありがとう千早ちゃん!」

お礼のいいたいのはむしろ私の方。
濃厚で芳醇で新鮮な思春期女子の血を、今夜久々に堪能できるのだから。
人間をただの食料扱いする同属は多いけど、それは間違いだと私は思う。
きちんとした振る舞いで人間としての付き合いを保てば
春香のように自分から美味しい血を与えに来てくれるのだ。
目立つ事を避けるのは吸血鬼の掟だけど、芸能人を選択したのは正解だった。
私ほど贅沢している吸血鬼は他にいないはずだから。

彼女の作ってくれた夕食を食べ、お風呂に入って体を清潔にしたあとが
本当の私のディナータイム。
春香を抱き寄せてお休みのハグをする瞬間、彼女の目を覗きこんで心を縛れば
あとはもう満腹するまで春香は私の美味しい食料にしか過ぎない。
もっとも吸いすぎてしまっては元も子も無いから、セーブは必要だけど。

服を脱がして全裸にするのは彼女の衣類に血痕を残さないためだけ。
こうすれば心の赴くまま、あちこちに牙を立てることもできる。
白くすべすべした肌が赤く染まった様子には食欲がそそられるし
見ていてもとても綺麗で可愛いし。

心を縛っている間、春香の記憶は完全に閉ざされているけれど、
人間としての反応はほぼ元のまま残っている。
首筋に噛み付くと「いやぁぁっ……痛い……」か細い悲鳴をあげ
それがじきに可愛らしい喘ぎ声に変わっていくのは私の密かな楽しみ。
あるいは食事を引き立てる調味料といってもいいだろう。

最初、首の動脈から新鮮な血で喉を湿らせたあとは、お楽しみを優先して
乳房や太ももといった場所からというのが私の流儀。
痛みを快感に置き換えられた春香の体は、私の牙をつき立てられるたび体を震わせ
まるで性行為のように股間から温かい液体を溢れさせる。
これも私が見つけ出した、血の代わりにもなる結構美味なデザートのようなものだ。

そもそも吸血鬼が若い異性を狙うのに、大した根拠があるわけではない。
異性相手の方が二人きりという機会を作りやすいという実利的な理由くらい。
性別や年齢で血の味に細かい違いはあるけれど、食事にそこまでこだわることはない。
だから私のように若い年齢の同性を好んで牙にかける吸血鬼は珍しい存在だと思う。
そのおかげで血以外の珍味を知ることもできたのだからいいのだけれど。

そんなわけで、春香を味わうときにはついそのふっくらとした性器に牙を立てて、
血と粘液を混ぜて味わってみたいと思うのだけれど、やはりデリケートな場所でもあるし
それで春香がダメにになると勿体ないからまだ試したことがない。
機会があれば、春香以外の個体で試してみるべきだろう。

そんなことを考えながら血を吸っていると、つい限度を超えてしまいそうになる。
いけない、この子は大切にしなければ。
それか、あと何人か同じような子を見つけてローテーションを増やすべきか。
そう、それがいい。
一人だけでは次までの回復期間が待ちきれないけれど
人数があれば多少吸いすぎても回復させる間、別の子を味わえばいいのだから。
だとしたら同じ事務所で、春香とは違うタイプの子にしてみよう。




#2 味見
血を吸うだけなら年齢はあまり関係ないけれど、春香で覚えたあの液体も味わうなら
それなりの年齢以上の子を選ぶべきなのだろうか……?
春香に次ぐ候補として最初にあげた女の子を思い浮かべながら考えてみる。
15才、中学生という年齢だけを見れば、まだ未熟なのかもしれないけれど、
私よりも女らしいあの体つきを見れば、年齢よりも肉体的には十分だろうと思えるし
何より春香以上の美味を予感してしまうのは、彼女の内側から絶えず放射されている
キラキラと輝くオーラのせいかもしれない。
春香の場合は淡く穏やかで柔らかい光だけれど、彼女……
星井美希が発するそれは明るくて眩しい光に満ちている。
決めた、美希にしよう。
味見をしてみてから結論をだせばいいだけの話。
それにあの子は何かと私を慕ってくれているようだから都合もいい。
私は美希と確実に二人きりになれるチャンスをじっくり窺うことにした。


「美希、プロデューサーが探していたわよ」
「……いいの、ハニーなんて放っておけば」
「喧嘩でもしたの?」
いいながら、彼女の隣に腰を下ろした。
屋上にある機械室の裏側、人目につかない物影が彼女の特等席で
レッスン合間の休憩(というよりほとんど昼寝)、あるいは今みたいにプロデューサーと
喧嘩したときの逃げ込み先になっていることは彼女の行動を調べてすぐに分った。
ここなら全く人目につかないから“行為”にはうってつけだし、その最中に誰かが
屋上まで上がってきたらその足音を察知して容易に痕跡を隠蔽することができる。
人の出入りが多く、“気”が入り乱れて感知しにくい屋内だとこうはいかない。

そういうわけだから早速だけど味見、させてもらおうかしら美希?
彼女の心を縛り付けるため、目を覗きこもうとした瞬間。

「あのね千早さん……ミキ、どうしたらいいと思う?」
深みのある緑がかった瞳が逆に私の目を覗き込んでくる。
「ミキね、プロ……ううん、ハニーのこと、好きになっちゃったかも」

タイミングを外された私は、腕に押し付けられる柔らかい肉体に意識が向いてしまい
鼻をくすぐる芳香(それは美希の体臭でもあり、血の香りでもあった)に我を忘れ
気がつけば、この年下の可愛らしい女の子に覆いかぶさるよう抱きついていた。


「ち、千早さん……!?」
驚いた顔で見上げる美希をみて自分の失敗を悟った。
今までこんなことはなかったのに、なんという失態だろう……
とにかく変に疑われないよう言い繕わなければ。

「どうしたの、千早さん? これって冗談、だよね?」
「ふふっ……どうかしら。美希があまりにも可愛いものだから」
「あは、やっぱり冗談なんだね。千早さんにしては大胆すぎるの」
「そうかしら? 美希をプロデューサーに取られたくないっていえば?」
「じゃあね、ミキのこともっと強くぎゅーってして?」

美希から逆に強く抱きしめられ、頬のあたりに彼女の体温が伝わってくる。
目の前には無防備なうなじがあり、ほんの少し顔をずらすだけで頚動脈に牙が届く。
体臭、汗、そして熱く流れる血液の芳香が一段と高まって私の本能を刺激する。
心を縛っていなくても、牙を打ち込めば同じ効果は現れる、そう思った瞬間に
私は星井美希という魅力に負け、本能のまま彼女の首に噛み付いていた。



#3
「きゃっ、い、痛いの千早さ……ん……ぁぁ……」

牙を突きたて最初の一噛み、美希の声にはまだ理性が残っていたけれど
構わずにその血を吸い取って飲み干すたびに美希の体から力が抜け、
抗議の声もとろりとした喘ぎとなって消えてゆく。

「いっ……やぁ……なにこれぇ……きもち……いぃ」

さて、これでもう大丈夫。
ほんの一口程度だけのつもりが、今までに無い味わいのおかげで
味見以上の量を吸い取ってしまってから美希の首筋から牙を外した。
舌でなぞって穿孔を塞ぐと、口内に残る芳醇な味わいの理由を考えた。

常食である春香も並みの人間にはない美味だけど、それとは比べ物にならない
鮮烈な味わいだった美希の血液。
同じ年代、同じようなオーラでここまで極端に味が違う理由を考え
思い至るただ一つの相違点。

血を吸うとき、心を縛ったかそうでないか。

今は半ば正気を失い甘美な夢の世界をさまよっている美希だけど
牙を立てた瞬間、彼女の意識ははっきり残っていた。
本能に負けて噛んだことは失態だったけれど、意外な発見をしたかもしれない。
噛む瞬間の状態が味の変化に繋がるとしたら……
その検証方法を検討しているとき、私の聴覚が階段を上がってくる足音を捉えた。
男性、恐らく美希を探しに来たプロデューサーだろう。

「美希、起きなさい。そろそろレッスンに戻らないとダメよ」
「……んぅ? あれ、千早さん……ミキ、千早さんとぎゅーしてたのに寝ちゃった?」
「ふふっ、疲れていたのじゃないかしら。それより大事な人が迎えに来るわよ?」
「大事な人? あっ、ハニーだ」
「ほら、いってらっしゃい」
「うん、行ってくる。……あ、そうだ千早さん」
「なにかしら」
「あのね、また今度、さっきみたいに……ううん、なんでもないの」



お互いが忙しい身とあって、この前のように屋上で二人きりになるどころか
事務所で会って話す機会もろくにないまま、何日も過ぎていく。
空腹を覚えるたび美希の鮮烈な血の味わいを思い出し、そうなるとそれまでは
あれほど美味しいと思っていた春香の血だけでは物足りなく感じてしまう。
何度か春香で試そうかと思いながら、失敗した場合を考えて控えてきたのだけど
そろそろ欲求も限界に近づいてきているかもしれない。
美希が自宅に尋ねてきたのはまさにそんなタイミングだった。

「ごめんね、千早さん。突然押しかけてきちゃって」
「いいのよ美希、どうせ暇だったし。それより今日はどうしたの?」
「あのね……どうしても千早さんとお話がしたくて……」

変装用の眼鏡のまま、おずおずと上目遣いで私を見上げる美希。
誰に対してもマイペースな癖に、私には妙に気をつかうこの少女が愛しく思えて、
食欲とは関係無しに彼女を家にあげることにした。

「どうぞ、何もないから大しておかまいもできないけれど……」


#4
ベッドに座らせた美希の落ち着かない様子を見れば、来客用のソファーを置くべきかと
考えてしまう。 春香は床でもベッドでもおかまいなしだったけれど……。
それはともかく、わざわざ家に訪ねてくるのだから、それなりに大事な用があるはず。
前のような失態を繰り返さないよう慎重に構えていた私にぶつけられて質問。
やはり美希はどこまでもマイペースだった。

「あのね……千早さんって女の子が好きな人なの?」

確かにそういう誤解を受けることをしたけれど、ストレート過ぎる質問に苦笑が浮かぶ。
女の子が好きなのはある意味正解ではあるけれど。

「だってこの前…千早さん、ミキの首に……」
「そう、キスしたものね。美希はああいうの嫌だったかしら?」
「ううん、イヤとかじゃないけど……」
「私、女の子が好きとかではないわ。美希だからそうしたくなっただけよ?」
「ミキ、だから?」
「ええ。でも変な意味ではないから誤解しないでほしいの」

私の性癖を確かめるため、わざわざ家にまで訪ねてくるものだろうか。
それとももっと別の目的でもあるのか。
下を向いて黙り込んでしまった美希を、とりあえず見守ることにする。
口を開きかけてはためらうというのを何度か繰り返し、ようやく決心がついたのか
いつかのように真っ直ぐな目で私を見つめてきた。

「ミキね、千早さんのことが気になってしょうがないの」
「あら、それは嬉しい…っていうべきかしら?」
「でも変なの。だってミキね、今はハニーより千早さんのことが気になっちゃうの。
それだけじゃなくて、千早さんにまたチューして欲しいとも思ったりするの……」
「この前したような?」
「うん……」
「うちに遊びに来てくれたのはそのため?」
「……多分そうなの。でもなんでそうなるのかミキにもわかんないの」
「女の子同士でそういうのは変だって思う?」
「そうだけど……女の子なら誰でもじゃないよ、気になるのは千早さんだけだもん」
「それなら私の美希に対する気持ちと同じじゃない。悩むことではないと思うけど」
「だけど違うの。 あのとき凄く気持ちよくて……それがまた欲しいって思うの。
でも千早さん、ミキが変だからって嫌いにならないでほしいの……」

それは私にとって中々興味深い告白でもあった。
吸血鬼が血を吸った相手に与える影響は、せいぜい無意識に働きかける程度のこと。
例えば春香にとって私は仲の良い友人だけど、それ以外特別な感情を抱いてはいない。
行為の記憶が無い以上、行為で得られる快感を醒めているときに求めることもない。
やはり“心を縛る”ということが春香と美希の反応を分ける鍵だと考えられる。
美希を襲ったようにすることで私を意識する心理状態に導けるとしたら
食事の確保という点で大きなメリットとなるはず。
ともかくせっかくの機会であり、家なら美希の女の子も味わうことができる。

「変じゃないし嫌いになるわけないでしょ? ほら、こうすると落ち着くかしら?」
美希の前に立ち、その手を握って立たせると、この前のように抱擁してあげる。
「千早さんって柔らかいの……」
「美希のほうが柔らかいわよ……ずっとこうしていたいくらい」

腕の中で美希の緊張が解けていくのがよくわかる。
不安そうな表情が消え、あのキラキラと輝く目が私を見あげる。
深い緑の瞳に見つめられると、心を縛られるのは私の方じゃないかと思いながら
気がつけば私は美希と唇を重ねていた。

#5
驚いて見開かれた美希の目がそっと閉じられたのを見て私も瞼を閉じると
柔らかくて温かい唇の感触に集中する。

人間の恋人同士がするようなキス。
血の味と同じくらい、それは素敵な感触だった。
時間にするとほんの数秒間のくちづけ。
離れた唇をつなぐ一筋の唾液の橋がぷつんと消滅したとき
私と美希は同時に溜息をついて顔を見合わせていた。

「キス……しちゃったね」
美希が甘えた声で囁きかける。

「そうね。初めてしてみたけど、中々いいものね」
「あは、千早さんのファーストキス、ミキのものだね」
「美希はどうなの」
「もちろん、ミキも千早さんが初めてだよ。でも一回だけじゃヤ、もっといっぱいしよ?」
「いいけど……前みたいに噛んじゃうかもしれないわよ」
「うん、いいの……千早さんがしたいようにして」
「噛まれたのは痛かったのでしょ?」
「ううん、へーき。ミキのこと食べちゃって、きっと今日も美味しいから」

それならばと首筋に顔を埋めかけて、それに気付いた。
今日も美味しいから……?

「どうしたの千早さん、いいんだよ前みたいにガブって噛んでも」
「ねえ、美希はどうして“今日も美味しい”なんて思ったのかしら」
「だってこの前の千早さん、ミキのことおいしいって思ってたでしょ?」
「さ、さぁ……どうだったかしら」
「ミキにもよくわかんないけど、そういう気持ちが伝わってきたの」
「確かに美希は綺麗で可愛いけど……私、おいしいなんていうかしら」
「言葉じゃないの。気持ちが伝わってきたの」
「そう、じゃあ……美希の望みどおり美味しく食べてしまってもいいのね?」
「望むところなの! さ、どうぞミキを召し上がれ」

そういって差し出された首筋。
汗の匂いが甘い体臭とミックスされ、芳香となって私の食欲を刺激する。
もう遠慮はいらないと思い、美希の体を抱きしめると思い切り牙を突きたてた。
一瞬体が震えたあと力が抜けて尻餅をついた美希をそのままベッドに押し倒した。
前回は味見をするだけだったけど、今回は本番。
それに本人のリクエストでもあるわけで、躊躇はしなかった。

牙で穿った穴から溢れた美希の鮮血を受け止め、夢中になって飲み干していく。
まるで口の中を跳ね回るような刺激的な味は、あれから何度も思い出した通りだった。
やはり心を縛らずに吸った血は味が決定的に違うのだ。
久しぶりに血を吸うことで満腹を感じてから、ゆっくりと牙を外すと
夢心地でいる美希の頭を撫でてやりながら、私の心はもう別のところに向かっていた。

次は春香でも試してみれば私の推論がより確かになる。
何度も血を吸っている春香だから、心を縛らずに噛んでも大丈夫だろうし
タイミングがあえば美希と春香、二人を並べて血の飲み比べをすれば面白いかも。
そこまで考えて、ふと思いが美希に戻る。
春香があのとき見せる反応、美希ならどうなのか。
年齢は下でも体の発育は立派な女であるのなら、そこはきっと。
スカートをまくり、下半身を露出させると、中学生にしてはやや派手なショーツの
中心部はぐっしょりと濡れたシミが大きくひろがっていた。
顔を近づけるまでも無く、そこは立派な雌の匂いが立ち込めている。

#6
吸血鬼といっても人間とそう違うわけではない。
血を吸わなければ生命維持ができず、そのために幾つか特殊な力を持っていること、
それを除けば、普段の生活自体は人間とほとんど変わらない。
食事、休息、睡眠は必要だし、年頃になれば性欲だって生まれてくる。
ちょうど今の私のように。

春香の時には血を吸う行為の延長に過ぎなかったけれど、
この前美希を襲ったとき、その衝動こそ性欲なのだと理解した。
人間に対して抱く食欲以外の欲望と、その事に興奮している自分。
あのとき私の下着は美希に負けないくらいびしょびしょに濡れていた。
女の子のアソコに牙を突き立てたい衝動は、美希との一件以来激しく募っている。
食欲と性欲が絡んだ本能をまだ理性で抑えていられるうちになんとかしないと。
そのための実験台として選んだのが彼女、萩原雪歩だった。

臆病で男性恐怖症という欠点があり、中々ランクを上げられないけれど
彼女の血の匂いが素質と才能を秘めている事を教えてくれている。
何か問題が出たとしても低ランクならあまり目立たないはずだし、
上手くいけばあの二人に加えてやればいいだけだから。
そうと決まればあとは彼女と二人きりになる機会を作るだけだった。



「萩原さん、お疲れ様でした。こんなに汗かいたのも久しぶりです」
「振り付けって体が覚えるまでは大変だよね。千早ちゃんはどうする?」
「汗をかくのは嫌いじゃないです。あとのシャワーが気持ちいいから」
「髪までびしょびしょだし、私もシャワー浴びてから帰ろうかな」

更衣室に戻ってジャージを脱ぐ彼女。
下着が透けて見えるほど汗で濡れたTシャツを脱いだ彼女が振り返る。

「どうしたの、千早ちゃん。そんな見つめられると恥ずかしいよ……」
「あの……萩原さんの肌、色白でとても綺麗だなって」
「そ、そんなことないよぉ……私ってあまり魅力ないから」
胸元にきっちりとバスタオルを巻いた彼女に続いてシャワールームに移動する。
貧相だ貧乳だと謙遜しているけれど、均整が取れた彼女の体はとても魅力的だし
体臭も汗の匂いも、こんなにも私の欲望をそそるのだから。

シャワーを浴びてからと思っていたけれど、もう我慢できなかった。
彼女のバスタオルを引っ張り、驚いて振り返った彼女をそのまま壁に押し付けて
鼻がぶつかるくらい顔を近づけてから怯えた瞳を“強く”覗きこんだ。

「千早ちゃ……んっ……」

彼女の瞳から輝きが薄れ、とろんと半眼になったのを見て、まずは彼女の唇を奪う。
力が抜けた体を支えながら、唇の向こうに唾液を送りこんでやると素直に飲み込む彼女。
あまり落ち着けない場所だけど、夜も遅い時間だから誰かがくる恐れはほとんどない。
手早く済ませるつもりでいても、彼女の肌が放つ匂いという誘惑には勝てずに
汗ばんだ味がする首筋を舌で味わってから、そのまま頚動脈に牙を突きたてた。

そのまま一口、二口。
春香たちと遜色のない味わいに満足する。
これなら三人目の食事としても問題ない。
そこで食欲のほうを切り上げると、手を下半身に伸ばしてみる。
まだ充分ではないけれど、粘っこく熱い液体が彼女の性器を濡らし始めている。

#7
「んっ……はぁ、ちはやちゃん……きもち……いいよぉ」
「萩原さん、もっと気持ちよくしてあげるから」
「あぁ……すごいよぉ……あ、あそこ、じんじんしてる」
「じゃあ私のも……さ、触ってみて」

首に穿った牙跡を塞ぎながら、操り人形同然の彼女の手首を掴むと自分の性器に導く。
そこは彼女の唇を奪ったあたりから熱く疼いて、今ではあの液体が太ももを流れるのが
わかるくらいにたっぷりと濡れている。
自分でもあまり触れない部分に彼女の指先が音をたてながら侵入してくると、
その感触が電流のように背筋を這い上がり頭の中で白く弾けていく。

濡れたアソコを舐められたときに春香が見せた反応。
濡れたパンツごしにアソコを弄ったときの美希の蕩けた表情。
それがどういうことか、自分で体験して初めてそれを理解した。
今までは“魅了”の反応だと思っていたけれど、その正体はセックスによる快感。
だとしたら、ここに牙を立てても悪いことにはならないはず。
むしろ、舐めたり触ったりする以上の反応となる確信があった。

濡れ始めに比べると、明らかに粘度が増した女の子の液体。
そろそろ萩原さんの女の子も準備が整ったらしいから、もう始めてもいいだろう。
壁に背中を預けて息絶え絶えの彼女をそっと床のマットに横たえる。
彼女と自分のバスタオルを剥ぎ取ると、拡げさせた足の間に体をいれて
濡れてぐしょぐしょの性器に顔を寄せる。
もうすっかり慣れ親しんだ女性特有の匂い。
それを深々と吸い込んでから、開き始めている襞に口をつけた。
溢れ出す粘液を舌で掬って味わってから、ぽってりと柔らかい肉に牙を突きたてた。

「ひっ、やぁあああああっ!」
絶叫に近い声をたてて、彼女の体が大きくのけぞり跳ねあがる。
噛み付いたところから流れる血が粘液と混じりながら、とろとろと口の中を満たしていく。
それは想像以上の味で、しれ以上に凄まじいまでのエネルギーを秘めていた。
喉を通すたび、体の奥から力が湧き上がるような気までしてくる。
何口も夢中で飲み干し、ようやくこれが実験だったことを思い出してもまだ
私の牙は萩原さんの血と粘液を吸い上げることをやめようとしない。

「やっ、だめぇ……すごいの、きもちよすぎて……あっ、あぁ、おかしくなるよぉ」
ジュルジュルと液体を吸うたび、彼女のうわごとのような喘ぎ声が続き
それが連鎖するように私の体も反応させていく。
近いうちに春香か美希を呼んで、今度は私の女の子を舐めさせてみないと。
満腹してようやく私は顔をあげる。
力が抜けて横たわる萩原さんの体は時折小さく震えているけれど
特におかしな様子は見受けれらない。
実験が成功だったことに満足して、彼女の性器を舌で綺麗に拭ってあげてから
バスタオルを巻きなおして彼女の肩を抱え起こした。


「萩原さん、大丈夫? 急に倒れたりしてびっくりしたわよ」
「ごめんね千早ちゃん……立ちくらみかなぁ。急に意識がとんじゃったみたいで」
「ほら、まだふらついているから……シャワー、手伝います」
「うん、ありがとう……」

改めて裸にした彼女と抱き合うような格好で私達は一緒にシャワーを浴びた。
行為の前に魅了したから彼女はその事を覚えていないはずなのに、その手が伸びて
私の体のあちこちを愛撫するようまさぐりながら、それが当然のように唇を重ね合わせる。
そうする彼女には以前のような恥らいや躊躇いが一切なかった。

#8 
萩原雪歩に対する実験は成功だとしても、気になるのは行為直後の彼女だった。
普段の彼女からは考えられない大胆な行動をとりながら、シャワーを終えて帰る頃には
いつもの彼女に戻っていて、先ほどの行為など何も無かったように振舞っていた。
“魅了”を解いたのは間違いないのに、彼女は記憶にはない筈の行為を繰り返した。
意識は戻っているのに、まるで操り人形みたいに……。

操り人形……もしかしたら?
始祖と呼ばれる吸血鬼の先祖は、一度血を吸った人間なら魅了をしなくても
思うとおりに操ることができたというが、その能力に似ているような気もする。
この仮説を確かめるには、もう一度彼女と二人きりになる必要があるけれど
この前のような時間のレッスンは中々スケジュールが合わない。
私の家なら都合がいいけど、呼べば来るだろうかという心配は杞憂だった。
事務所から帰る間際、入れ違いで戻ってきた彼女と視線を合わせただけだったのに
その直後届いたメールの文面は、まるで私がそう命じたような内容だった。
家に来る時間を予め連絡するよう返信すると携帯をパチンと閉じた。



連絡があった時間から15分遅れてやってきた萩原雪歩は、走ってきたのか
上気させた顔に薄っすらと汗を滲ませている。
「千早ちゃん……お待たせしてごめんね」
そういって私を見上げる彼女の瞳はもう霞がかかったようになっている。
この前のことで彼女を支配できているなら、魅了しなくても私のいいなりになるはず。
早速試してみることにした。

「萩原さん、今夜なんのためにうちに来たのか言ってみて」
「それは……千早ちゃんに私を捧げるためだよぉ、この前みたいに」
「捧げる? それは具体的にどういうことかしら」
「千早ちゃんの意地悪……私はもう千早ちゃんのものなのに」
「だったらどうして欲しいかちゃんといわないと」
「ひぃーん……ち、早く千早ちゃんに噛まれて血を……いっぱい吸われたいよぉ」
「そう、いいのね萩原さん。この前と同じようにするけれど」
「はぃ……何でもいうこと聞くから……お願い」
「分かったわ。じゃあ今からはじめてあげる」

やはり仮説の通り、萩原雪歩は私の支配下にあるようだ。
魅了をかけていない状態で血を吸われたことを口にしたのがその証拠。
あとは彼女にした行為を春香でも試してみて、同じように支配できるか確かめれば
私の仮説は新たな能力として確定できるだろう。
だけど今は……魅了なしで美味しさを増している筈の萩原雪歩を味わうのが先。
逸り立った気持ちで小柄な体を玄関先の壁に押し付け桜色の可愛らしい唇を塞いだ。
そのまま瞳を覗きこみながら唾液を流し込むと、素直に飲み込みながら
催促するよう舌がおずおずと入ってくる。

「んっ……欲張りね、萩原さんって」
「だってぇ、千早ちゃんにしてもらうの、凄く気持ちがいいからぁ」
「ふふっ、今夜はいっぱいしてあげるから焦らないで」

けれど私にもそうそう余裕があるわけではなかった。
性欲と食欲、その両方で涎を垂らしそうな私はシャワーは省略することにして
寝室まで彼女を引っ張っていくと服を乱暴に肌蹴させてベッドに押し倒した。
最初に首筋を味わう吸血鬼の習性はどこへやら、私は味わうべき場所に迷っている。
乳房、お腹、太もも、そして性器。
今夜、どこに最初に牙を突きたてようか迷いながら、期待と興奮でびくびくと
震える雪歩を体を舐めまわしていく。


#9
「ねえ、萩原さんはどこか噛んでほしい場所はあるかしら」
「どこでも好きなとこでいいよ……それより千早ちゃん、名前で呼んでほしいよぉ」
「名前で? じゃあ雪歩……」
「う、うん……だって私は千早ちゃんのものだから」
「そう、じゃあ雪歩の一番美味しいところから頂くことにするけど、分かるわよね?」
「ひぅっ……一番美味しいって……は、恥ずかしいよぉ」
「あら、恥ずかしいのにちゃんと分ってる。その場所を噛みやすいようにしてくれないと
血が吸えないわよ?」
「じゃあ……えっとぉ……こ、こう?」

さっきまで切なそうにこすりあわせていた太ももがゆっくりと開かれる。
清潔そうな白いショーツはおしっこを漏らしたのかと思うくらいたっぷり濡れていて
柔らかい性器の襞や陰毛がはっきり透けて見えているのが扇情的だ。
そのまま口をつけたい衝動を我慢して、雪歩の目を覗き込んでやると
私の意図を理解した彼女が、お尻を浮かして濡れたショーツに手をかける。
粘りを増した愛液が何条も糸をひいたのを見て、もう我慢できなかった。
彼女に代わって濡れたショーツを脱がせると、思い切り足を開かせて
その間に顔を埋めた。
この前覚えた刺激的な匂いと味を満喫しながら、牙を立てるのも忘れて
私は舌で雪歩の性器をなめまわし次々と沸いて止まらない愛液を啜っていく。

「やっ、いやぁ……だめ、千早ちゃん……お願い」
「……まだだめよ、もっとこれを味わってからから」
「ひっ……や、あぁ、舌凄い……中まで……あっ、もうだめだよぉ」
「雪歩のこれ、血と同じくらい美味しい……病み付きになるわね」
「お願い……早く噛んで……わたしのお、おまんこも噛んで吸って……」
「お、おまんこなんていやらしい……雪歩は変態になったのかしら」
「違うよぉ……変態じゃない、あっ、千早ちゃんの……奴隷だから」
「そう、じゃあ噛んであげてもいいけど」
「はやく……もう、これ以上だめ、気が狂っちゃう……」
「おまんこをなめられるの、そんなに気持ちがいいの?」
「いいよ……おかしくなるくらい、ううん…狂っちゃうよぉ、だからはやくぅ……」
「そんなにいいのなら……雪歩、私のも舐めなさい」
「えっ……千早ちゃんを」
「そうよ。私を気持ちよくさせてくれたら、雪歩のおまんこを噛んで血を吸ってあげるから」
「ほんとに? じゃあ……」

体を起こそうとした彼女を、私はある思いつきがあってベッドに押さえつけた。

「雪歩は……そのまま、全部脱いで」
そう命じ、私も彼女の目の前で服と下着を全部脱ぎ捨てた。
それから仰向けにした雪歩をまたぐと、その顔の上にゆっくりと腰を下ろしていく。
既に濡れきったうえに熱を帯びた私の性器に雪歩の吐息が当たる。
腰を落として顔に密着させると舐めにくいだろうと躊躇していると
雪歩の手が私の腰を引き寄せ、同時に彼女の唇が私の性器を包み込んだ。

「ふわっ……!?」

それは全く未知の感触だった。
熱くて柔らかい彼女の唇が私の性器にぴったりと重ねあわされただけでなく
その内部で彼女の舌が襞や膣を縦横無尽に這い回りはじめる。
初めて味わう刺激に頭が弾けそうになりながら、なんとか理性を保とうとするけれど
彼女が舌を尖らせて膣に差し込まれた瞬間、私は大きな喘ぎ声をだしていた。

「やぁ、すごい……だめ、そ、そんなとこ……いやぁ!」


#10 
雪歩の舌が這い回るたび、面白いくらいビクビクと痙攣する自分の体。
柔らかく拡げられ、ざらついた表面で性器全体を擦られたと思うと
今度は固く尖った舌が膣を犯し、奥から湧き出るいやらしい液を吸い取って
ぴちゃくちゃと水音をたて、おいしそうに飲み干していく。
けれど最も凄かったのは、膣から抜かれた雪歩の舌がそのまま尿道を
なぞってその上にある敏感な場所を軽く弾いたときだった。

「やん、そこ……一番いい、もっとそこ、苛めて」
「ここがいいの、千早ちゃん?」
「ち、違うそこじゃなく、さっきのとこ……そ、そこ、そこだいいの」
「分ったよぉ、ここでしょ?」
「あっああ! いい、そこ、吸って、噛んでもいいから」

一番敏感で感じる場所を、雪歩は私が命じたとおり丹念に愛撫を続ける。
そう……分ったわ。
私は今まで単純に舐めるだけだったけれど、こんな風にすれば
もっともっと気持ちよくなるのなら……
雪歩、あなたにご褒美をあげなくちゃね。
私は彼女の顔に跨ったまま、上体をゆっくりと前に倒していく。
そしてそのまま、目の前にある雪歩のあそこに顔を埋めていった。
彼女の舌が私のあそこを嬲るのと同じように
私も舌を彼女の熱く濡れた性器に這わせ、そしてあの敏感な肉の芽を嬲り
本能の命じるまま、そこに牙を突きたてた。



刺激が強すぎたせいで、雪歩の体は帰宅できる状態ではなかった。
そのため外泊の連絡をさせ、遅くなった夕食を一緒に済ませたあと
一旦お風呂に入って体を洗い清めてから、私達はもう一度行為に取り掛かった。
もう血は充分に味わい尽くしたから、二度目は性欲を満たすことに重点をおき
今度は私が下になって彼女の性器に舌を這わせる。

「あっ、やっ、千早ちゃんの舌……いやらしいよぉ……」
「あら、雪歩だっていやらいいでしょ、おまんここんなトロトロに濡らして」
「だってぇ……気持ちよすぎるから、お願い、早く犯して」
「ダメよ雪歩、焦らないで」
「やぁん……お願い、ちゃんと中に……入れてほしいから」
「こうかしら? それともこう?」
「あぁ……いいよ、中が一番気持ちいい……もっと欲しい、いっぱいほしいよ」

快楽の味を覚えた彼女は、その追及にも貪婪になっていく。
無論それは私にも言えることだけれど……
手と口をフルに使い、お互いの体を刺激しながら快感を追い求めていくなかで
私はあることに気がついた。

物足りない。
体の芯が求めている何か。
雪歩の舌も指も気持ちがいいけれど決定的に不足している何か。

「もっとして、千早ちゃん……もっと、奥……一番奥まで」

そう、今雪歩が喘ぎながら代弁してくれた。
快感を性欲に追い求めるなら、女の子同士では不足だということに。
私は吸血鬼であっても、雌であることには雪歩たち人間と変わらない。

なら、雄と交わったならもっと気持ちよくなるのかしら……

#11 
女の子を常食にしている私だけれど、こうなる前は男の血を吸うほうが多かった。
幼い私が吸血鬼として生き残るため必要な知識やスキルを教わった中に
“異性の血を吸うべし”というのも含まれていて、それを私は正体発覚のリスクを
冒さないためだと理解していたのだけど、どうやら違う理由があるのかもしれない。
生きるための“食事”以外の理由が。
それは果たして吸血鬼としての“食欲”に関係があることなのか
あるいは単に性別としての雌が求める“性欲”なのか。
いずれにせよ今の私には導いてくれる存在がいないのだから、疑問があるなら
自分で確かめるしかない。

だけど今は男のことより先にするべきことがある。
そう、美希と春香のことだ。
雪歩で確かめた成果であの二人も私のものにしなければならないが
それは単に生命維持のためだけではない。
雪歩をものにしたとき、効力が増した能力の秘密を解き明かすことができれば
これから先、他の女の子や男に手を広げることも容易になるはずだし
何より吸血鬼という異端の存在が生き残るための大きな力になるはずだから。



「千早ちゃんちに来るの、久しぶりだなぁ」
「そうだったかしら?」
「そうだよ? 最近忙しかったし、暇ができても雪歩が先客できてるとか……」
「アハ、春香が拗ねてるの」
「あれ、美希? えっと……今夜は私と千早ちゃん二人だけじゃないの?」
「春香は千早さんと二人きりで何をするつもりなの?」
「な、何って別に…変なこといわないでよ! そんなのじゃないから」
「でも春香、ミキを見て表情変わったよ? もしかしてジェラシー?」
「美希は茶化さないの。萩原さんとはデュオの仕事があったからでしょ」
「まあミキと千早さんはラブラブ関係なんだけどね」
「こ、こら美希、抱きつかないで。春香もそんな顔しないで」
「だって……せっかく遊びに来たのに私だけお邪魔虫みたいだもん」
「そんなことないから。ほら、美希はちょっと離れなさい」

そういって私は春香を引き寄せ、少々強めのハグをしてあげる。
私が春香を大事に思うのは、彼女が大切な“食料”ということもあるけれど
どうやらそれとは別の感情が働いているような気もする。
私を“親友”と呼んでくれる春香に吸血鬼であることを明かせばどんな顔をするのだろう?
正体を明かすのはタブーだけど、雪歩のようにモノにしてしまえば問題はないはず。
ふとした思い付きである“カミングアウト”を実現しようと思ったのは
やはり春香は私にとって特別な存在であるからかもしれない。

そして美希のことも。
彼女も雪歩同様、私に魅了され従属しているけれど、完全にものにしたわけではない。
だからまず美希のあそこを噛んでそれを果たすのが今夜の計画の第一。
それを春香の目の前でやってみせることで、私の正体を教えてあげるのだ。
そうした上で、春香の体の一番大切なところに牙を立てて私のものにする。
そのとき春香には魅了をかけずに噛むつもりだから、私の手に負えない場合に備え
美希の力を借りるという意味もある。
当の春香はそんな企みがあることも知らず、私に体重を預けている……

「ほら、これで満足した?」
「えへへ……もうちょっと千早ちゃん分補給したいな」
「ふふっ、いいわ。今夜はたっぷり味あわせてあげるから」

もちろんあなたも味わせてもらうわよ、そう心の中で呟く私。


#12

三人での食事とデザート、それからお茶を飲みながらのガールズトーク。
事務所に入ったばかりの頃は他の女の子と顔を合わすのも億劫だったのに
今ではそれが全く苦にならなくなったのも春香のおかげ。
だから今夜、そのお返しも込めて至上の快楽を贈ってあげなくちゃ。
そろそろ片付けとお風呂の準備をして、饗宴の用意をはじめよう。



「あー、いい湯だったよ〜」
パジャマに着替えた春香がタオルで髪を拭きながら戻ってくる。
「春香、ここに座りなさい。髪乾かしてあげるから」
「えへへ、いいの千早ちゃん?」
「いいからほら」

春香の濡れた髪を手で透きながら、さりげなく頭をなでる。
食器棚のガラスに映る気持ちよさそうな顔を見るだけで嬉しくなるのは
やはり春香は私にとって大切な存在だからだろう。

「はい、おしまい。リボンは結ばないわよね?」
「だめー、ちゃんと結んで」
「どうしてよ。寝るときはつけないのでしょ?」
「千早ちゃんの前では可愛くしていたいから。ね、結んで?」
「しょうがないわね……ほら、これでいい?」
「ありがと、千早ちゃんって、どど、どうしたの急に抱きついて?」
「いいからじっとしてて。私も春香分を補給するから」
「えへへ、今日は随分サービスがいいんだね」
「美希がお風呂に入ってる間だけよ……ほら、こっち向いて」
「うん……これでいい?」
「ええ。春香……今日はブラつけてないの?」
向き合って抱き寄せると、柔らかい乳房がパジャマを通して私の胸にあたっている。
私と違って寝るときもきちんとつけているはずだけど。
「今日はリラックスしたいから外しちゃった」
「そう。でもハグしたときはこっちのほうがいいわね」
「千早ちゃんは寝るときつけないもんね……」

しばらく無言で顔を見合わせた私達は、同時に吹き出した。
「なんだか私たち恋人同士みたいな感じじゃない?」
「あら、千早ちゃんは私の大事な彼女だけど」
「そんなこといってると今度は美希が拗ねそうね」

「ぶーっ、美希はそんなことくらいで拗ねないの!」
「あら、もう上がってたの?」
「だって春香は油断も隙もないから絶対千早さんに迫ると思ってたの!」
「迫ってないよ……ちょっとハグしてただけだから、ね?」
「本当に変なこととかしてない?」
「変なことって……するわけないでしょ!」
「そうよ美希。あなたの髪も乾かしてあげるからおいで」

ベッドの転がった美希の背後から癖のある長い髪を乾かしていく間、
私はずっと春香に視線を送っていた。
最初は少し戸惑っていた春香も、美希の目を盗んで面白そうに
ウィンクを送ってきたりする。
食欲とは別に胸がドキドキして止まりそうになかった。
もう我慢の限界。


#13
「……でね、今度歌う新曲のアクセが面白いの。ちょっと待っててね」
そういってポーチから取り出したそれをつけて振り返る美希。
「じゃーん! 美希はヴァンパイアガールなの」
「あら、可愛い牙ね。本物そっくりだわ」
「春香が悪さをしたらこれでガブって噛んじゃうの」
「わ、私は悪さなんてしないって」
「そうよ美希。春香は私の大事な人なんだから噛んじゃだめ」
「むー、それなら千早さんを犠牲にするの!」
「あっ、美希、だめ、くすぐったいからやめなさい、ちょっと……」

抱きついてきた美希とじゃれあっているうちに気がつけば押し倒されてしまい
腰の上に跨った美希が私の両手を押さえつけて牙を剥き出しにする。
「千早さん、覚悟するの」
「許して美希……」
「痛いのは最初だけなの…すぐに気持ちよくしてあげるの」
「あっ……」

声をだしたのは首にあった牙の感触のせいじゃない。
春香から見えないところで美希の手が私の乳房を掴んだせいだ。
雪歩ほど魅了の力が及んでいないとはいえ、美希に刷り込んだ行為の記憶が
なかば無意識に彼女をそうさせている。
だからこのあと、美希にも牙を立ててあげればコントロールは完全になる。
そうすればいよいよ春香の番だ。

「美希……私の血はおいしい?」
「うん、千早さんの血、すごくジューシーで美味しいの」
「ヴァンパイアに噛まれたら私もヴァンパイアになってしまうのかしら?」
「ごくっ……そうだよ、千早さんもヴァンパイアガールなの」
美希の指しだす手を握って体を起こした。
「ねえ……千早さん、いつもみたいに噛んでほしいの」
既に美希の目はとろりと蕩け、パジャマのボタンをひとつづつ外していく。
「最初はここから……いいでしょ?」
「ちょ、ちょっと美希!」
「春香はそこで大人しくみてるの……ね、千早さん?」

上を脱ぎ捨てた美希は豊かな乳房を揺らしながら今度はズボンに手をかけた。
「美希! ちょっと、どうしちゃったの?」
「春香、落ち着いて」
「千早ちゃん、だって変だよ」
「変ではないから、そこで見ていてちょうだい」
全裸になった美希を今度は私が押し倒した。
「み、見るって千早ちゃん……まさか、そんなこと」
「ふふっ、違うわよ春香。勘違いしないで」
「だ、だって……」
「エッチなことをするわけじゃないから。美希の血を吸ってあげるだけ」
「す、吸うって、千早ちゃんて…………冗談だよね?」

もうここまできたら言葉で説明するより見せてあげるほうが手っ取り早い。
私は美希の乳房に顔を埋めると、乳首をくわえながら牙を立てた。
口内に鮮烈な血の味が溢れ、頭の中が快感の予兆で痺れてくる。
何度か吸い上げた美希の血をあえて唇から垂らしたまま顔をあげると
振り返って春香に視線を合わせた。

「ほら……この牙、本物なの。私、吸血鬼だから」
「えっ!? ち、千早ちゃん吸血鬼って……まさか、そんなこと」
「信じられないのも無理はないけれど……」

#14
春香はベッドの足元で座り込んだまま身動きひとつしない。
目の前で起こっている事態を頭で処理しきれずにパニック状態に陥っているせいだろう。
騒がれるよりこの方が好都合だから、今のうちに予定を済ませることにする。

「春香、何も心配することはないから少し待っていて」
「……えっ、あの」
「さあ美希、足を開いて力を抜くのよ?」
「千早さん……」

生え揃いかけた柔らかい陰毛は既に潤った粘液で濡れており
サーモンピンクの可愛らしい襞がかすかに開きはじめている。
いつもならそこを舌と唇で丁寧になぞって味わうところだけれど
今日はゆっくりしている暇は無い。
美希には申し訳ないけれど、私はそこに顔を埋め左右の襞を無造作に牙で噛んだ。

「あぁあああっ、ち、千早さん、凄いの! あ、あぁ、いっちゃうの!!」
ひときわ高い声をあげ、美希は震えながら背中をのけぞらせる。
反応は雪歩のときと全く同じで、噛んだだけで絶頂したようだった。
滴り始めた血液を女の子の粘液と混ぜ合わせると、しばらく口の中で味わって見る。
女の子の粘液も血と同じように人によって味が全く違う。
雪歩よりも濃厚で粘りも強い美希の体液を味わっていると、絶頂をさまよっている
美希ほどではないけれど私も気分が高揚してくる。
血を吸われるとき彼女たちが味わう快感を知る事ができないのは残念だけど
そればかりは望んでも無理なこと。
私よりも強い力を持つ吸血鬼が現れたら話は別かもしれないけれど、
現存する吸血鬼の存在が少ない今、その可能性は極めて低い。
そんなことより今はこの子達を味わうこと、それだけだ。

このあとに春香が控えているから、そう大した量を飲んだわけでもないけれど
美希の体液が私の中に取り込まれた直後から、さらに力が漲っているようだ。
ここに春香の力も取り入れることができれば……
ぐったりした美希から体を離すと、まだ座り込んで固まっている春香の前に行く。

「見える、春香。これが吸血鬼の証拠の牙よ」
「…………う、うそ。これ、全部嘘だよね千早ちゃん」
「嘘じゃないわ。本当のことよ」
「も、もう……千早ちゃんまでそんな悪ノリしちゃって……」
「私は本気なの。春香の血を吸わせてほしいの」
「やだなぁ……吸うなら首からだよ。美希みたいなのって……」

春香が引きつった顔になんとか笑みを浮かべようとしているのは
今起きている事態が冗談やドッキリだと思い込みたいからだろうか。
無理も無い。
仲のよい友人二人があり得ない行為を目の前で繰り広げたわけだから。
しかもそれが女性同士のエッチな行為ではなく吸血鬼のカミングアウトなのだし。
早く春香を噛んで、ただ快楽に溺れるだけにしてあげたほうがいいだろう。

「ううん、春香の女の子を噛むの。首からなら今までに何度も吸っているのだから」
「あは、ははははっ……冗談きついなぁ、千早ちゃんは」
「そうかしら?」

手を伸ばして春香のパジャマのボタンを外してあげる。
春香は私の顔をみたまま、抵抗しようとはしない。
先ほどのハグで確かめたとおり、春香の柔らかい膨らみが目の前に現れた。
彼女の知らないところで何度も私が噛んで味わった美味しい乳房。
手のひらで包むと、温かい体温と激しい鼓動が伝わってきた。

#15
「ねぇ、どうして? 千早ちゃん……」
「どうしてって……春香が好きだからよ」
「好きだから? だからこんなことするの?」
「そうよ。欲しくてたまらないの。ずっと我慢していたのだから」
「……そうかぁ。千早ちゃん、そんな風に思っていたんだね」
「ええ、そうよ春香。でも安心して頂戴」

「そうだよ春香。千早さんに噛まれるとすっごく気持ちいいんだから」
「美希、起きたのね。手伝ってくれるかしら?」
「うん! ねっ、ミキはどうしたらいい?」
「そうね、春香を後から支えてあげて」
「わかったの!」

美希は体を起すと、座り込んだままでいる春香の後ろに回った。
そしてはだけたパジャマを脱がせると、後から手を回して春香を優しく抱きとめる。
「春香、大丈夫だからね」
「美希……美希は千早ちゃんが吸血鬼って信じるの?」
「当たり前なの。美希は二番目の下僕なんだからね」
「これ、ドッキリなんでしょ?」
「あは、春香はまだそんなこといってるの? 一番最初の下僕なのに」
「一番って、わ、私が?」
「さっき千早さんがいってたでしょ? 春香は何度も噛まれてるの」
「う、嘘……よね?」
「嘘じゃないわ、すぐ楽にしてあげるから」
「やっ、ちょっと待って、脱がさないで、やだっ、ダメだよ千早ちゃん」
「春香はじっとしてるの!」

パジャマのズボンをパンツごと脱がして足を開かせると
その間に膝を進めて春香に顔を寄せた。

「じゃあいくわね、春香」
「千早ちゃん……?」

最初に唇を重ねたのは、特に意味があるわけではなかった。
ただ目じりに涙を浮かべた春香を見て、無意識にした行為だった。
春香の唇は、雪歩よりも美希よりも柔らかく
まるで私のためにあるかのように、私の唇とぴったり重なるようだった。
唇を離すと、ゆっくりと身を屈めていく。
美希と違い、今夜の春香は濡れてもおらずぴったり閉じたままだった。

「千早ちゃん、怖い……あぁっ!!」

もう我慢できなかった私は、ふっくらとした襞にしっかりと牙を突きたてた。
途端、口の中に流れ込んだ春香の血。
それは今までにない味わいが跳ね回るようだった。

「いっ、やぁ……あっ、ああ、千早…ちゃん……あぁあああ」
悲鳴のような叫びは最初の一声だけだった。
牙を立てたまま私が血を啜り上げるたび体を震わせながらも
春香の声はだんだんと甘えるような響きに変わっていく。
試しに舌を差し込んでみると、膣の中は熱い粘液が溢れだす寸前だった。

「なに……これ、すごい、こ、こんなの、あぁん!」

快楽に目覚めた春香の悩ましい喘ぎを聞きながら
私はおなかがいっぱいになるまで春香の体液を味わっていた。


#16 第一部 エピローグ
 


三人を順番に、公平に噛んでいるつもりだけれど
やはり私自身の好みが出てしまうのは仕方がないことだろうか。
もちろんそれは春香のことだ。
三人とも同じように魅了をかけられているはずなのに
春香だけはそれまでに何度も噛んでいたからなのか
美希や雪歩とはまた違った反応を見せてくれる。
それのなんていうのか、やはり春香の血が一番落ち着く味?
お風呂上りにそのままベッドにあがって
温かい抱擁に包まれながら牙を立てると
春香は気持ちいい声を押し殺して私の頭を優しく撫でてくれる。

美希とのエロチックな絡み合いもいいものだし
何より私の体を一番上手に責めてくれるのもあの子だけれど

泣き顔を見せる雪歩を押さえつけて
無理やり虐めるようにしてあげるのも楽しいけれど

やっぱり私は春香が一番すきなのかも。
春香の順番になると、胸がときめくもの。
待ちわびた思いを、玄関先でぶつけてあげる。

「やっ、ちょっと千早ちゃん、どうしちゃったの、んむ!? まって」
もはや体の中で荒れ狂う欲望に押し流され、春香に襲い掛かる。
困った顔で、それでも私の乱暴を受け止めてくれる春香に甘えて
スカートをまくりあげ、パンツをずらすのももどかしく
私は伸ばした牙を濡れ始めた春香の性器に突きたてる。

「やだ、やめて千早ちゃん、いやぁあああ!」

歓喜の悲鳴をあげる春香の、ふっくらとしたピンク色の襞。
真っ赤に滴る鮮血を舐めすすりながら、顔をあげて春香の唇を血まみれにする。
あぁ……春香にも牙があればよかったのに。
そうしたら私も春香の牙で、吸血鬼に犯される快楽を知ることができるから。
かつて栄華を誇った太古の吸血鬼のように、血族を増やすことができたなら。

だけど。
雪歩と美希、それに春香を自分のものにしたことで
少なくとも魅了の力ははっきりと増しているのだから
このまま次々と事務所の子をものにしていけば
もっと強い力を取り戻すことができるのかもしれないのでは。
まだまだ試さなければいけないことは沢山ある。
だけど今、充分春香を味わったから
朝までゆっくり、いい夢をみなくちゃ。
次の計画を考えるのは明日からでもいい……
おやすみ、春香。
何度も絶頂した末、満足して眠り込んでいる春香にキスをすると
私は彼女の体にぴったりと体を寄せて瞼を閉じる。


第一部 完了


★第一部しめのことば

本来、連載しているブログでは10/31水曜日の更新なのですが
何かと忙しいので暇のある休日のうちに#16最終までを
ここ書庫には掲載しました。


予告の通り、第一部の最終章となります。
書き始めてから途中で休止期間を挟んだため、話の方向が微妙に変わったかも
しれません。エロくてダークな吸血鬼・千早を書く積もりでいたのに
なぜかテキストになるのは怪しい百合もどきのシーンばかり。
しかし!
このあと(いつになるかは未定ながら)の第二部では構想の通り
男性陣も登場する予定です。
そしてとんでもない長編になるかもしれないけれど、出来ることなら
765プロ全員制覇(含む音無さん)、さらには876勢もついでに
牙にかけちゃいたいよ! みたいなテンションであります。
あるいはライバルや敵対する吸血鬼などがでてくるかもしれません。
特に貴音さんをどう扱っていくか。
まあ、それは書けてからのお楽しみということで。#16は後日編集予定。



第二部 (響と真編)

春香、美希、雪歩を服従させたあと、他の女の子も噛んでいこうと決めたのは
下僕を増やすことで力が増していくことを知ったからだ。
その予定が滞り気味なのは最近アイドルの仕事が忙しいのが理由だけれど、
血の補給は間に合っているし、吸血の際に行われる女の子同士の交わりも
あの三人で満足しているから焦る気持ちは全然なかった。

今日のように女の子だけの居残りレッスンという絶好の機会であっても
私に噛む気が無かったのはレッスンを優先させたためだ。
仕事の成果が認められて、今度の合同ライブではソロで2曲歌うことが許され
うち1曲は同じアイドルがバックダンサーに付いてくれることになったのだから
レッスンにも身が入るというものだ。


だけどそれを喜ぶのは練習に入るまでの話だった。
菊地真、我那覇響というアイドル界屈指のダンサー達は踊る事にかけては
妥協というものを知らず、今日が振り付け合わせの初日というのにかれこれ
1時間以上ぶっ通しで踊り続けている。
ジャージを汗でずぶ濡れにした私は真っ先に根をあげて休憩に入ったのに
二人はまだ鏡の前で何か言い合いながら踊りを続けている。

「だから言ってるだろ、響は繋ぎの部分がルーズなんだって」
「ルーズじゃなくてアドリブだぞ、こっちの方が繋ぎやすいんだから」
「勝手に変えたら駄目なんだって。今回はバックダンサーなんだよ?」
「うっ……それは分ってるさ」
「いーや、響は分ってないね、歌を盛り上げるためってことが。ねえ千早?」
「えっ? そ、そうかしら……それより二人もそろそろ休憩したらどうかしら」
「自分、まだ全然平気だぞ?」
「僕だってそうだけど、千早もああいってることだし、そろそろ水分補給しようよ」

さっきまでは踊りに集中していて気付かなかった二人の体臭、それがこうして近くに
座られると汗の匂いと相まって嗅覚を刺激してくるのが誤算だった。
力が増したことで五感も鋭敏になったのはいいとして、こういう状況では私が
我慢しても嗅覚が勝手に食欲を目覚めさせてしまいそうだ。
爽やかなジャスミンのような真の匂い。
濃密なフェロモンを感じるような我那覇さんの匂い。
あの三人とはまた違う、二人の魅力的な匂いに包まれていると
吸血鬼の本能が私に我慢せずに噛んでしまえて囁きかけてくるようだ。

「ねっ、千早は僕達を見ててどう思った?」
「えっ? ど、どうって……やはり二人のダンスは凄いとしか」
「そうじゃなくて。さっきの響とのやり取りのことだよ」
「千早だってアドリブの良さは分ってくれるよね?」
「千早のステージにはアドリブなんて似合わないよね?」
「待って、二人とも。私はバックで踊ってくれるだけでもありがたいと思っているの。
とてもじゃないけどダンスのことで注文はつけられないわ」
「せっかくのソロなんだから遠慮しちゃだめだよ。僕だって千早と同じステージに
立てることはありがたいと思っているんだから」
「そうだぞ、千早がどんなステージにしたいのかイメージを伝えてもらったほうが
自分だってダンスをアレンジしやすいし」
「だからアレンジもアドリブもしなくていいんだって」
「まずは基本の振り付けをマスターして、それから考えるというのはどうかしら」
「確かに千早の言うとおりだね」
「まあ……自分もそれでいいけど」
「じゃあそろそろ再開しようか」
「あっ、先に始めてて……自分ちょっとトイレ行ってくるから」


我那覇さんが戻ってくるまでの間、二人で踊るパートの予習をすることになり
真に手をとられて鏡の前に立つ。

「そういえばステージ衣装をスカートに変更してくれたの、千早なんだってね」
「ええ。でも私とおそろいのミニだけどね」
「へへっ、嬉しかったよ。千早は僕をきちんと女の子として見てくれて」
「真はとても可愛いのだから当然よ」
「このところ女っぽいって評判の千早だから、女心もわかるようになったかな」
「やだ、誰がそんなことを言ってるのかしら」
「主にプロデューサーだけど、もちろん僕だってそう思ってるよ。この前事務所で
雪歩といちゃいちゃしてるとことか見ればね」
「もう怒るわよ、真ったら」

真の手を握ると、不意をついて引き寄せ抱きしめた。

「わっ、急に何するのさ……だめだよ、僕汗臭いだろ?」
「そんなことはないわ、真ってとてもおいし……いい匂いがするもの」

うっかり美味しそうだといいかけて慌てて言い直したのは
間近で嗅いだ真の匂いにたまらなくそそられたから。
こんなことをしていれば我慢できなくなるかもしれないというのに。

「今日の千早は積極的だね……何だか口説かれているみたいだな」
「ふふっ、じゃあ本当に口説いてみようかしら」
「千早ってオクテだと思っていたけど、意外とジゴロな感じも似合うかな」
「そんなこと言うと本気だすから」
「千早になら抱かれてもいいや……」
冗談っぽくキスを迫るフリをして真の反応をうかがってみると、真もそんな風に
あわせてくれるから私も調子に乗って、抱きしめる腕に力をいれて真のしなやかな
肢体の感触をしばし楽しんでみる。

「ところで千早、ジャージを来たままで暑くない?」
「えっ? 別にそれほど暑くはないけど」
「嘘、汗びっしょりじゃん。脱いじゃいなよそれ」
「大丈夫だから……きゃっ、ちょっと真、脱がせなくていいから、やぁっ」
「ふふーん、千早がタンクトップなんて珍しいよね。色気づいてきたせいかな?」
「またそんな事いって。もう女の子扱いするの、やめるから」
「うそうそ、似合ってるよ。それにジャージだと抱かれた時ごわごわするから……
もう一度抱きしめるところからやり直すよ」
「……しょうがないわね」

あなたを噛むのを我慢するため暑いのに着ていたのよ?
もう知らないから……ただでさえ貴女の匂いでくらくらしているところに
こんな風に肌と肌まで密着してしまえば。
すでに口の中は唾液があふれるほど溜まっていたし、歯と歯の間からは
血を吸うための牙がゆっくりと延びてきていた。

「真……本当にいいの?」
「いいって何が……千早、首にキ、うぁあっ!?」

真の首筋に顔を寄せると、唇をつけて一気に牙を撃ち込んだ。
抱きしめたままの体がびくびくと震える感触を楽しみながら
吸い取った真の熱い血を喉の奥に流し込んでいく。
もちろんそれは体臭から予想していた通りの美味だった。
真に聴こえるよう、わざと耳元でちゅるちゅる音をたてて血を啜ると
それに応えるように真の喘ぐような切ない吐息が漏れてくる。

「あっ、あぁ……ち、はや……なにこれ、すごい」
「どう、真。気持ちいい?」
「う、うん……なんか頭が真っ白になって、は、はじけそうだよ」
「そう。よかったわ、喜んでもらえて」
「ねえ、もっと……いっぱい、はぁああ、きもちよくして」
「そんなこと言うと止まらなくなるのに」

半ば無意識に手が真の体を伝って伸びていく。
その時になって我那覇さんが戻ってくる気配を感じ取ったのだけれど
スパッツの中に入れた手が下着をくぐって真のアソコに届いてしまい
自分を止めることが出来なかった。

「真ったら……こんなにぐっしょり濡らしているのね」
「あはぁ、いわないで千早……気持ちいいこと、続けてよ」
「いいの? もうすぐ我那覇さんが戻ってくるわよ」
「響? そんなのいいから……もっと吸ってよ、千早、あぁっ!!」

返事の代わりに指を真の中にそっと差し込んであげた。
今日ここでは無理だけど、きっと近いうちにあなたのここにも
私の牙を突きたてて上げるのだから……その約束よ。
でも今は我那覇さんをなんとかしなければいけないわね。


「ごめんごめん、お腹すきそうだからちょっとコンビニ……ん?」
弾むような足音につづいて勢いよくスタジオに入ってきた我那覇さんは
目の前で抱きしめあう私達を見て面食らったのだと思う。
ふにゃふにゃに蕩けた顔の真、その首筋に顔を埋めたままの私。
まさかそれが吸血行為の真っ最中などとは思わないだろう。

「あーもう……自分がいない隙に何やってんだよ二人とも」

思ったとおり、私と真がふざけているくらいにしか思ってなさそう。
こうなれば我那覇さんも噛むしかないのだし、少し遊んでみようと思って
真の耳元で囁いてみた。

「ほら、真のエッチな表情、我那覇さんに見られているわよ?」
「意地悪しないで、もっととして千早……うわぁ、それだめぇぇええっ」
少し刺激を強くした瞬間、真はいったみたい。

「ふざけるのはやめてそろそろダンス……なあ千早、なんか真、変じゃない?」
「そうかしら?」

真の首から口をはずして我那覇さんを振り返ると、伸ばしたままの牙から滴る
真の鮮血を美味しそうに舌で舐めて見せた。

「うそ……そんなの、嘘だろ!? そう、ドッキリ、ドッキリだよね?」
「さあ、どうかしら。それより次は我那覇さんの番だから、お願いね、真」
「ちょっと待ってよ! なんでそんな事するのさ!!」
「いいからじっとしてなよ、響もすぐに分るから」
「な、なんだよ真、やめろよ、もう…やめてって、離してよー!」


吸血鬼としての力が増すというのは本当に素晴らしいことだ。
“魅了”だってかけ方一つ、意思は残したまま体の力だけ奪うということも
できるようになったのだから、生の味をいつでも味わえるというわけだ。
それに意思があれば、私が本当に吸血鬼という化け物だと知った相手が
懸命に逃れようとあがく様を見ながら噛むことも楽しめる。


真に合図してフロアに横たえた我那覇さんの上に跨った。

「千早、冗談だよね? こんなの本当じゃないよね?」
「ねえ、これはドッキリなんかじゃないの。本当の牙よ?」
「や……いやだ、もうやめてよ」
「そんなに怖がらないで、痛くないから。むしろ気持ちいいくらいよ」
「そうだよ、響。千早に噛んでもらって仲間になろうよ」
「いや、ほんとにやめ、あっ、や、噛まないでぇ!」
「ほら、力を抜いて。いただきます……」
「あっ……あがぁ、いたい、よぉ……」 

悲痛な叫びも牙をたてたときまでだった。
思ったとおり濃厚な味の血をちゅるちゅると吸い上げ始めると
我那覇さんからはぐったりと力が抜け、表情もゆるんでいく。

美味しい。二人ともすごく美味しい。
変に我慢なんてする必要は無かった……どうせいつかはこうなったわけだし。
すでに気持ちよさそうに喘ぐ我那覇さんの可愛い声につられて
ついつい彼女のTシャツをまくりあげてその体を確かめてみる。

小柄だけどグラマラスで魅力的な我那覇さんの体。
とくに勢いよく張り出したバストときゅっとくびれた腰のライン。
思わず噛み付きたくなる衝動を我慢して私は我那覇さんから牙を外した。


本能に負けて噛んでしまったものは仕方がないけれど……
今日はまだまだダンスのレッスンを続けなければいけない。
もう二人は私のものになったから、春香達のようにしてあげるのは
また今度……そうね、合同ライブが終わったあとにゆっくりと。
だけど、少しだけ……愛液の味を確かめるくらいならいいわよね?

真に我那覇さんのジャージを下ろさせ、ついでとばかりそこにキスさせる。
その真とキスすれば一石二鳥というわけ。
もちろん我那覇さんには真にキスさせるのも当然のこと。
唾液と愛液を同時に味わえるのだから、今度は春香たちとするときに
同じようにやってみなければ。


結局30分ほどレッスンは脱線していたけれど、二人とも噛んだ結果として
三人の息が驚くほどぴったり合うようになったのは収穫だった。
行為のことを覚えてない二人には不思議なことだと思うけど……

この調子でいけば、きっとライブ本番では凄いステージになるはず。
それが今から楽しみでしょうがない。
もちろん、ライブの後のお楽しみも。


第二部 おしまい。


第三部 魔王エンジェル編 ここから


「プロデューサー、事務所に帰るのではなかったのですか?」
「あ、ああ……ちょっと急なアポイントが入ってな」
「それは仕事ですか、それとも……?」
「仕事に決まってるだろ」

このところ忙しく、血を吸うのも事務所の更衣室でさっと済ませるような始末だから、
春香たちとベッドを共にすることからもう何日も遠ざかっている。
だから仕事が早く終わるはずの今日、空いている誰かとゆっくりと楽しむつもりで
いた私はあてがはずれてこっそり溜息をつく。

「さ、ついたぞ千早」
「プロデューサー、ここは東豪寺プロでは」

駐車場に止めた私達の車を黒服の男たちが取り囲む様子は黒い噂の絶えない
事務所だけあって中々の迫力だけれど、奇妙なことにプロデューサーは平然と
したまま車を降りる。圧力をかけられているとか買収されたということは無いとは
思うけれどまさか同類に操られていたとは思いもしないことだった。



「ご苦労様、あなたは下がっていいわ」

部屋の主が豪勢なソファーに座ったままそういうと、プロデューサーは黒服に連れられ
黙ったまま部屋を出て行ってしまう。

「これは一体どういうことかしら、東豪寺さん」
「そんなに怖い顔をしないで。そっちとやりあう積もりじゃないから」
「プロデューサーを操って拉致するような真似をしてよくそんなことを」
「そんなにあの男が大事ならどうして噛んでないんだよ。ま、そのおかげであたしの
魅了がかけられたわけだけど……」
「話をそらさないで質問に答えたら?」
「いいから座りなよ。いっただろ、やりあうつもりはないって。むしろアンタのためになる
話をしてあげようってんだから感謝してほしいくらいだね」
「……分ったわ。だけどなるべく手短にしてほしいものね」
「夜は長いんだからさ……ま、いいや。りん、ともみ、お客様をもてなしてあげな」

現れた女の子二人は両脇から私の腕を掴むと、東豪寺麗華が座るソファーの
向かいに強引に座らされる。
その二人も魅了によって操られていることは確かめるまでもないだろう。

「逃げたり暴れたりしないのだから構わないでほしいものね」
「まあそういうなって。女の子が主食なんだったらその二人も試してみれば?
りんもともみも中々のものだからさ」
「結構よ……それよりさっさと話をはじめたら?」
「そうとんがるなよ千早さん。プロデューサーと二人で帰りたいだろ?」

吸血鬼としての力なら恐らく私の方が上のはずだけれど、プロデューサーをここから
無事に連れ出せる確証が取れるまでは脅しに屈したフリをしたほうが得策だ。
いざとなればこの二人をどうにかしてやればいいだけの話だし、わざわざ手の込んだ
手段で呼び出した理由に興味がなくもなかった。
そこまで考えると、私は体の力を抜いて不安げな表情を作って見せた。

そんな私を見て東豪寺麗華は意地悪そうな笑みを浮かべる。

「そうそう、物分りがいいアンタにはあとでご褒美をあげなきゃね。でもその前に
お話しないといけないわねえ」



今から10年以上前、芸能界を住処とし片っ端から同類を喰いまくり
化け物のような力を身につけたという吸血鬼の存在。
その噂の断片は私にも聞き覚えがあったけれど、東豪寺麗華の話によれば
一度は消息を断ったその化け物が復活を目論んでいるとのことらしい。

「その化け物の噂だけど、私とどんな関係にあるのかしら?」
「分らないの? そんな化け物にみすみす喰われたくはないでしょう?
あたしだってそうさ、だから」
「……私と手を組むということかしら」
「ま、当たらずといえど遠からず……だね」

そういって東豪寺麗華はまたしても意地悪そうな笑顔を浮かべる。
ただし今度は唇をまくりあげ、ぎらりと輝く牙を剥き出しにしてである。
それでこの女の企んでいることが概ね理解できたと思う。
試しに立ち上がろうとしたら三条ともみに羽交い絞めにされ動きを封じらる。
そのまま彼女の膝に座らされる格好になり、目の前に朝比奈りんが曖昧な
笑みを浮かべて近づいてきた。

「まずは約束のご褒美だからゆっくり楽しんでよ。その二人、中々のテクニシャンだよ」

つまり二人がかりで私を封じ、甘美な手段で抵抗を削いだところで東豪寺麗華が
牙を突きたてるということだろう。
さて、これからどうしたものかと考えようとしたところ、背後から回された手が服の上から
胸をゆるやかに撫ではじめる。
馴染みのない手つきであっても、確かにその動きは麗華のいったとおり
感じやすいところを的確に刺激する絶妙さがあった。
春香や美希たちを相手にする時は常に私が主導権を握っていたけれど
こんな風に一方的にされてみるのもそう悪いものではない。
しばらくは麗華を油断させるために身を任せよう。

「……そう、麗華様に仕えるならもっと気持ちよくしてもらえる」
「そうだよおネエさん……ってもう気持ちいい顔になってるじゃん?」
「お願い、乱暴にはしないで」
「オッケー、あたしとともみでとろっとろにしてあげるからさ、楽しんでよね」
「そう、千早さんも仲間になって楽しみましょう」

ともみの手が服の下に差し込まれ、ブラの中に潜り込んでくる。
りんの手がズボンのボタンを外しジッパーを下ろしていく。
その様子をずソファーにふんぞりかえってニヤニヤと見つめている麗華。
ブラウスがはだけられズボンが下ろされる。
下着越しの愛撫がじれったくて、つい言葉にしてしまった。

「お願い、焦らさないで」
「おぉ? おネエさんって真面目そうな顔してやらしいんだ」
「いいわ、もっと激しくしてあげる」

外されたブラが放り出され、ショーツが乱暴に脱がされる。
丸裸にされた私の足元にりんが跪くと、指で性器が開かれる。

「へへっ、おネエさんのお○んこ、どんな風になってるのかな? へぇ、もうこんなに
いっぱい濡らしちゃってるんだ」
「りん、焦らしたら可哀相」
「いいじゃん、その方が感じるって。ほらおネエさん、どうしてほしいか言ってみなよ」
「お願い、わたしのあそこ、舐めて、舐めまわしてめちゃくちゃにしてちょうだい!」

私の感じるポイントをよく知らない相手、それがテクニシャンであるのは
ある意味始末が悪かった。
半分は演技だったけれど、残りは本気で快楽を求めていたのだから
この二人も麗華と一緒に下僕に加えておくべきだろう。

「いいよ、おネエさんのおまんこ、りんが舌でたっぷり犯してやるからさ」

“犯す”という単語で体が無意識に反応してしまうのは、今までに本当の意味で
そこを犯されたことがないからだと思う。
女の子の指や舌を受け入れたことはあっても男性と行為を持ったことがない私は
まだ“処女”であり、この先も男性と交わることは考えられない。
だけどこの先もそうである可能性がゼロとは限らないし、わたしとて吸血鬼である
以前に女の子でもあるのだから、好奇心だって無いわけじゃない。

「ほら見てよ、あたしの舌、超長いから入れると気持ちいいんだよ?」
「えっ……うそ」
「ほらぁ、驚いたっしょ。でも最初はちゃんとなめなめしてからだよ」
「うぁっ、んっ…激しっ、あぁっ、んくっ!」

春香のように丁寧でもなく、美希のように感じる場所を責めるでもない。
ただ縦横無尽に性器全体をべろべろと舐めまわし、すぐに私のあそこは
愛液と唾液が入り混じってびちゃびちゃになっていく。

「うっわ、すっげぇ濡れ方……おネエさんって感じやすいんだね?」
「やぁっ…お願い、もっとやさしくして」
「何いってんだよ、めちゃくちゃにしてっていったくせに」

りんはことさら下品な音をたて舐めまわし、それでも飽き足りないと思ったのか
襞をむさぼるように唇に含んだり、膣に口をつけてじゅるじゅると愛液を吸い上げたり
やりたい放題だった。
ざらついた長い舌は強靭で疲れをしらず、あまりの快感に下半身がびくびくと痙攣を
始めてもまだ舐めるのをやめず、クリトリスまで舌先でいいように突かれていると、
気を抜けばそのまま意識ごともっていかれそうだった。

「さて、そろそろお待ちかねの“挿入”の時間だよ。おネエさんはまだ処女なのかな?
だったらりんの舌でロストバージンしちゃうかもね」

まさか女の子の舌でそんなこともないだろうと思ったのは甘すぎた。
りんは愛液まみれの顔をあげると、にやりと笑いながらぺろりと舌をだした。
それは人よりも優に2倍以上の長さのある、蛇のような舌だった。

「いやっ、待って……そんなの入れられたら」
「大事な膜が破れちゃうって? いいじゃん、処女の血おいしくいただいてやるから」
「やっ、やめ……お願い、あっ、い、いやぁ、入れないで、あぁ、あぁああああっ!」

ぬめぬめと温かくて柔らかいりんの舌。だけど指の二倍以上の太さがあるそれが
私の膣の中にずぶずぶと侵入を始めると、もう演技をすることも忘れて私はその
生々しい挿入の感触に酔いしれ始めていく。

破瓜の恐れは杞憂に終わった。
少々圧迫感はあったものの、ほんの微かな痛みすら感じる事はなく
ただ気持ちがいいばかりで、やがてその舌がゆっくりと抜き差しを始めると
それが何倍にも増幅され、頭の中に白い光が飛び始めてゆく。

そう、私はいまりんという小柄な女の子に犯されている……
無理矢理押さえつけられ、あられもない格好に足を広げられて。
もしこの場に東豪寺麗華の存在さえなければ、このままりんやともみの
好きなように体を弄ばせてもよかったのに。
何度か小さい快感の波にさらわれて意識がぼんやりしそうになったあと
達したふりをして体の力を抜くと、背後から私を抱きしめているともみが
私の耳たぶをしゃぶりはじめる。

「千早さん、今度は私の番……」

じっとりと浮かんだ汗がローションのように手のひらを滑らかに動かし
それにつれて動きもすぐに活発に、激しく揉みしだかるのが心地いい。

「私もいかせてあげる……そうしたらあとは麗華様が」
「あっ……んっ、麗華が…噛んでくれるのかしら」
「そう。麗華様の牙はわたしやりんより何倍も気持ちがいいの」
「そ、そう……だったらお願い、はやくいかせて」
「うん、じゃあ私は千早さんの口を犯して上げるから」

ともみの手がそっと私の顔を横に向ける。
うしろから覆いかぶさるようにともみの顔がちかづいてくる。
やはり彼女もりんのように舌で私を楽しませてくれるのだろうけど
相手の手の内が読めてきた以上、いつまでも遊んでいるわけにもいかない。
それは麗華を陥としたあと、いくらでもできることだ。
今が主導権を取り戻すチャンス。

唇がともみにぴったりと覆われる。
予想した通り、ぬめぬめと動く舌が唇を割ってはいってくる。
りんほど長くはないけれど、ともみの舌はよりしなやかで繊細に動くと
私の舌を誘いながら口の中を舐めまわしていく。
ほんのりと甘い香りのする唾液が満ち、それにつられて沸きだした私の唾液を
彼女はちゅるちゅると啜っては美味しそうに飲み込んでいく。

「どう、千早さん……」
「んっ、美味しい……もっと飲ませて」
「いいわ、たくさ……んっ、んぐ!?」

一瞬で伸ばした牙でともみの舌を貫いてやる。
体がびくりと震えたあと、口内に温かい刺激的な酸味が広がっていく。
驚いて目を見開いたともみの瞳を射抜くように見つめてやるだけで
麗華の呪縛が解かれ、代わりに私の魅了が彼女の心を乗っ取った。

長いくちづけの最中に起こったクーデターに麗華が気付いた様子はない。
これで充分に麗華を圧倒できるはずだけど、より確実を期すためりんも
やってしまったほうがいいだろう。

私が囁いた言葉の通り、ともみにりんを呼ばせると左右に侍らせ抱きつかせると
ともみにしたように、りんともディープキスをしながら私自身の味が残っている
あの長い舌に牙を突きたててあげた。

「そろそろいい頃かしら。それにしても清楚な顔して凄い乱れ方するのね。
りんとともみ、二人がかりでやられてはしょうがないけど」

確かにそうなのだろう。
ソファーに座った私はりんとともみに左右から挟まれ、それぞれの手で乳房を
もまれながら、奪い合うよう交互に唇を重ねては舌を絡めあっている。
そして彼女たちのもう一方の手は大きく開いた足の間にあって、乳房と同様
どちらが膣を犯すのかで揉めながら性器の中をぐちゅぐちゅとこねまわす。
侵入してきたのはともみの指だった。
そして性器をあきらめたりんの指はそのまま後にすべっていく。

「りん、そっちも開発してやんな、後々使い道もあるだろうからさ」

どんな使い道かは考えたくも無いけれど、りんのきゃしゃな指は抵抗もなく
肛門をくぐりぬけてずるりと中にはいっていく。
痛みは全く無く、違和感こそあるもののは決して悪い感触ではない。
二人の女の子に同時に前と後を指で犯される、そんな異常なシチュエーションに
興奮を感じながらも私の神経は麗華の挙動をしっかり追い続けている。

「いよいよ本命のお楽しみだよ、千早さん?」

まだ私の舌をしゃぶり続けていたともみの顔を乱暴におしのけると
すぐ目の前に顔を近づけ牙を剥き出しにした。

「ほら、痛いのはほんの一瞬さ、すぐに天国だからね」
「首ではだめよ」
「な、なに!?」
「首ではだめ、本当に力を奪いたいなら」

異変を悟った麗華が身を翻そうとしたけれど、そのときにはもう手遅れだった。
私の意志通り動いたりんとともみが麗華を左右から捕まえ私の前に立たせる。

「千早、お前……どうして?」
「安心して。私はあなたのようなことは企んだりしないから」
「な、さっきのは冗談なんだよ、私らが組んだら芸能界では敵無しになるんだし
そっちにとってもメリットは沢山あるだろ?」
「そういうのはいいからもう黙っていてもらえるかしら」
「お願いだよ、なぁ、本当に化け物にやられるのはいやなんだよ」
「それも安心すればいいわ、これからは私が守ってあげるから。
もちろんそれ相応の代償はいただくけれど」
「や、やめろ、りん! ともみ! お前ら誰のおかげでここまでこれたと思ってるんだ!」
「いいから脱がせてあげて、高そうな服が汚れたら気の毒だから」
「ちょ、離せ、やめろりん! ともみ! お前ら私の下僕だろ」
「あなたもすぐにそうなる。そうしたらまた三人一緒だから」
「いやだ、やめろ! やめさせて、ねえ、千早…千早さん……んっ!?」

抵抗する間もなく全裸に剥かれた麗華の体は華奢で幼くすらあった。
さっきまではそれなりにボリュームのあった乳房も装備を失ってしまえば
子供のようなささやかな膨らみでしかなかったけれど、私にしてみれば
そのいじらしさはいたく気に入るところだった。

だからこの同類の娘は私の手元で大事に可愛がってあげよう。
彼女がさっきいっていたように、二人で芸能界を支配してしまうのも
面白いかもしれない。そのためにはやはり……

血の気を失った麗華の薄い唇。
だけど柔らかく唇を重ねて擦るように刺激をあたえてあげると
少しづつ赤みがもどってきてくる。

「ねえ、あなたは別に女の子とするのが好きではないのでしょ?」
「……そうだよ、必要に応じてそうしただけだから」
「ふふっ、それは教え甲斐があっていいわね。ほら、そんな構えなくても大丈夫。
あなたのことは誰よりも大切に可愛がってあげるから」

どこからどうやって愛撫をはじめようか、久しぶりにワクワクする気持ちを
押さえつつ、抱きしめた麗華に何度も繰り返してキスを浴びせていく。


「もういいだろ……早くやれよ!」
「ふふっ、そうね。じゃあ望み通りにしてあげる」

りんとともみに目配せし、さっきまで私が座っていたソファーに麗華を座らせる。
自分から顔をのけぞらせ露になった麗華の首筋に顔を寄せると
そっと唇をつけ、舌で頚動脈の流れを辿ってゆく。

「それ、やめろよ……くすぐったいだろ、千早、やめろって、ねえ、あっ」

手のひらで小さな乳房を包み、柔らかくさすりながら何度も首筋を舐めあげる。
麗華の緊張がとけて体が弛緩するまでそれを続けると、顔を舌にずらして
小さく尖った乳首を口に含む。

「いやっ……やめて、そこ、弱いから」
「あら、私と同じなのね。だったらもっとしてあげないと」
「やぁ、やめろって、ねえ、ダメだから……そこ、そんな風にされると」
「気持ちよくなってきた? それとも女同士ではいやかしら」
「嫌に決まってるだろ……」
「その割には……もうこんなに」

足の間に差し入れた指でそっと秘部をなぞってみると、思ったとおりそこは熱くて
粘り気のある液体で満ちていて、真っ赤な顔をそむけた麗華に濡れた指をかざして
みせると、怒りに満ちた目が私を見返してくる。
その指を舐めてみせると麗華の表情が崩れ目元に涙が浮かんでくる。

「お願いだから……そういうのはやめてよ」
「そういうのって、どういうこと?」
「だから……さっさと首を噛んで始末すればいいだろ!」
「首? ふふっ……大切な同類のあなたにそんなことしないわよ」
「いやっ、やめろ! そこはだめだから、ねえ千早、何する気だよ!?」

必死で暴れる麗華だけど、りんとともみふたりがかりの拘束には
抗いようもなく、左右から足を掴んで開かされるともうどうしようもない。
その彼女の前に私は膝をつくと、目の前に開いた華奢な花弁に口をつけると
そこに満ちた甘酸っぱい麗華の蜜を夢中になって舐め啜ってゆく。

「やっ、いや、やめて…あっ、んっ、そこいやぁ、舌、い、いれないで、あ……」

叫ぶ麗華の声が徐々に艶かしい溜息に変わっていくのを聞きながら
私は舐めても舐めても湧き出してくる麗華の愛液を啜り味わう。
そろそろ我慢も限界だった。
舌で膣の中を抉りながら牙を伸ばすと、包皮から顔をのぞかせている
小さな真珠のようなクリトリスにぷっつりと突き刺した。

「……!? うあぁ、やぁあああ……!」

びくびくと跳ねる麗華を押さえながら、滲み出す血液をすすり口の中で
愛液とまぜあわせて飲み干してゆく。
久しぶりの同族の血は人間と比べ何倍も力が満ちていた。
喉を鳴らすたび全身が熱く震え、激しい興奮のせいで私のあそこも
愛液が溢れ疼いてしまってたまらなくなる。

「す……ごい……こんなのって……」
「どう? 満足してもらえたかしら?」
「ち、千早……あ、あたし、もう……」
「私達、これからは仲間なのよ……一緒に楽しみましょう」
「うん……千早、あたし……あなたのものだから」
「じゃあ、早速……ね、わかるかしら?」
「はい」

立ち上がった私の前に、ふらふらとした足取りの麗華がひざまずく。
最初の口づけは恐る恐るだったけれど、すぐに麗華は夢中になって
私の愛液をぴちゃぴちゃと音をたてて舐めとり、飲み干していく。

「そう、上手ね麗華。あなたにはご褒美をあげないと」

麗華の華奢な体を抱きしめるとやさしく唇を重ねあわせる。
舌で唇を開くと、唾液と一緒に私の血をまぜて流し込んでいく。



同族と二人の下僕を得たのは思わぬ収穫だったけれど、麗華の立場を使えるのは
それ以上の価値があるものだった。
彼女のいっていた“化け物”の存在とその動向を確かめるためにも、
そして私がさらに力を増すための獲物を増やしていくためにも。


第三部 ここまで。



第四部 双子陵辱編 ここから


「こら亜美、携帯は宿題が終わるまで駄目でしょ」
「だって真美からメールくるんだもん」
「メールって何も反応していないでしょ」
「んっふっふー、すぐに分るよ、千早お姉ちゃん」
「いいから携帯貸しなさい」

携帯を取り上げようと手首を掴んだそのとき、亜美の手の中で携帯が振動し
液晶画面にメールのアイコンと“真美”という文字が表示された。

「ね! 言ったとおりっしょ」
「今の……偶然よね?」
「違うよ、ちゃんとわかるんだかんね!」
「そう言われてもちょっと信じられない話だわ」
「信じなくてもいいけどさ、これはホントにほんとなんだからね」
「ねえ、それってメールだけなのかしら」
「電話もわかるよ。あと真美がピンチのときとかも」
「ピンチ?」
「うん。具合が悪くなりそうなときとか、怒られてるときとかも」



「それってテレパシーって奴じゃないかな……んくっ」
「テレパシー? それって超能力ではないのかしら」
「よくわかんないけどさ、あっ、んんっ……双子同士で心が通じ合うってありがちな話」
「だとしたら便利な力ね。どう、麗華。そういう力も欲しくない?」
「んっ……さきに千早さんの牙が欲しいって、お願い、指だけじゃいや」
「麗華は気付いていたんでしょ、あなたの同族探知の力で……」
「あぁ、はい……だって千早さん、凄く欲望でギラギラしていたからすぐ、わ、わかって……
あん、だから焦らさないで噛んでください、麗華のおまんこ」
「一度試してみようかしら、人間の力も奪えるかどうか。どう思う、麗華?」
「はい、何でもしますから……はやく、千早さんの、欲しい……」
「ふふっ、あなたもすっかりいい子になったわね。いいわ、してあげる。
今日はいっぱい楽しみましょう?」

指で刺激して上げただけなのに、もう麗華は餌をねだる子犬のような目つきで
私を見上げて次の愛撫を待っている。
春香や美希を抱くのもいいけれど、麗華とする場合は同族ならではの愛撫、
即ちお互いの牙を使って血を啜りあうことができる。
私は小柄な麗華を抱き上げると膝に乗せて顔を引き寄せる。
唇をぴったり重ね合わせると、お互いの舌に牙を突きたて血を啜りあう。
キスを続けながら慌しく衣服を脱ぎ捨てると、首筋、それから乳首へと
麗華の肌を味わいながら牙と鮮血の跡をひろげていく。

初めて犯したときにはまだ女同士で楽しむ趣味がなかった麗華。
もっとも中学生の処女に男との経験があるわけもないのだけれど
今ではすっかり同性同士のセックスに夢中になり、りんとともみの協力もあって
私を喜ばせてくれるテクニックも充分身に付いてきた。
麗華の功績はそれだけじゃない。
彼女がもたらしてくれた情報によって私は今以上に力を増す必要性があり
そのためには好みである同年代の女の子だけでは不十分であることを知った。
あの可愛らしい双子姉妹が持つ不思議な力を手に入れることができるなら
同族の吸血鬼と対峙する必要があったとしても優位に立つことができる。
そう考えると、亜美と真美の二人を奪う日が楽しみで仕方が無い。



結局採用したのは麗華のアイデアだった。
彼女の番組に出演させる新キャストの面接という口実で、二人を麗華の事務所に
連れて行ってしまえばあとはなんとでもなる。
以前の共演で“面識がある”私が引率役に指名され、双海姉妹と一緒に東豪寺プロの
事務所に出向いたのはそれから数日後のことだった。

「なんか楽しみだね、魔王城に乗り込むなんて」
「そうだね、勇者が千早お姉ちゃんで亜美たちが遊び人ABなんだよ」
「ライバル事務所に乗り込むのに緊張しないなんてあなた達らしいわね」
「だって楽しそうじゃん? 魔王のお姉ちゃんたちとゆっくりお話できるんだよ」
「そうそう、素でもあのキャラなのかメチャ気になるっしょ?」
「どうでもいいけれど仕事のための面接ってことは忘れないでね」
「大丈夫だよ千早お姉ちゃん、こう見えて亜美たちは大人だかんね!」
「そうだよ、もう中学生なんだし。そういえば魔王のボスも中学生だよね」
「うんうん、それにいおりんと幼馴染なんだよね? だったら余裕っしょ」
「だからといって失礼が無いようにね。 今日は芸能事務所の社長として
仕事をお願いする立場なんだから」
「大丈夫だって! 千早お姉ちゃんは心配症すぎるよ」



二人は豪華な応接室に圧倒されることもなく、りんとともみを伴って現れた
麗華にも臆することなくソツのない挨拶を交わすと面接が始まった。
この二人がやらかすであろう失言をきっかけに別室に引き離して事に及ぶ、
そういう打ち合わせをしていたのだけれど、二人は麗華の際どい質問にも
的確に答を返し続けてついに質問が尽きた。

「あなたたち、中々のものね。二人はどうかしら?」

両サイドに侍らしたりんとともみが頷くとそこで麗華は笑みを浮かべて私を見た。

「ご苦労様だったわね、書類は事務所に送っておくから。何か質問はない?」
「ねえねえ、亜美が先に質問してもいい?」
「ちょっと待ってよ、真美が先に聞きたいことがあるんだよ!」
「こら二人とも静かにしなさい、失礼でしょ」
「ふふふ、二人とも元気ね。いいわよ、なんでも聞いてちょうだい」
「ほら、魔王のお姉ちゃんもああいってることだし」
「そうそう。あのね、千早お姉ちゃんとどっちがおっきいのかな?」
「PADつけてるって本当? 亜美、一回どんなのか見たいんだよね」

呆気に取られた顔で二人の顔を見比べていた麗華だったが、そのうちすっと視線を
外すと真顔にもどって私の方を見た。
それが合図と察した私も亜美たちに気付かれないよう小さく頷きを返した。

「あなた、亜美…だったわね。その勇気に免じて教えてあげる。こっちにいらっしゃい」
「やったね! これで芸能界の謎が一つ解き明かされるのだよ真美君」
「えー、真美もみたいよ! ね、いいでしょ、魔王のお姉ちゃん?」
「真美、大人しくしなさい。これも面接のうちかもしれないから」
「マジで? でも真美だって知りたいんだけどなぁ」
「あとで亜美に聞けばいいでしょ」
「違うよ、真美もパッドがどんなのか見てみたいんだよ」
「我慢しなさい、仕事で来ているのだから」
「亜美、写メってくれるかな……あ、駄目だったら千早お姉ちゃんが付けてくれてもいいよ?」

この子達のペースに巻き込まれると目的を忘れてしまいそうだ……


麗華たちに亜美が連れて行かれると、残された真美は途端に元気を失い
心配そうな顔を浮かべて私のほうに寄り添ってくる。
まだ麗華が“正体”を現した気は感じないけれど、この姉妹は敏感にも
今から起こることを無意識に感じているのかもしれない。

「亜美、大丈夫かなぁ……」
「どうしたのよ急に。心配するようなことないわよ?」
「うん……だけどなーんか変な胸騒ぎがするんだよねー」
「ふふっ、大丈夫よ。ああ見えても麗華はちゃんとしてるんだから」
「そうだよね? パッドがばれたからといって怒ったりしないよね?」
「ええ。だけど身体的な特徴をあれこれいうのは控えたほうがいいわね」

麗華とベッドを共にするようになって間なし、押し倒して脱がせた麗華のブラから
こぼれ落ちたパッドのことを私も聞いてみた事はある。
麗華曰く、あれはコンプレックスではなく魔王エンジェルとしてのビジュアルイメージを
重視のためだそうだが、女の私から見れば意味の無いことに思えて仕方が無い。
そんな他愛もないことを考えていると、不意に真美が表情を強張らせた。

「ん? なに、亜美……どうしたの、なになに?」

まだ麗華の気は感じ取れないけれど異変が起こっているのは明らかだった。
間もなく麗華が亜美に襲いかかるはずで、その牙が突きたてられる瞬間に
真美がどう反応するかをよりリアルに感じ取るため、私は真美を引き寄せる。

「真美、大丈夫よ……」
「千早お姉ちゃん、なんか怖いよ、亜美に何か起きてるような気がする」
「恐れなくていいのよ。痛いのはほんの一瞬のことだから」
「えっ、なに? 痛いって……あ、あぁ、亜美!?」

麗華の気が私に届いた瞬間、抱きしめた真美の体が痙攣するように震えだし
ついで悲痛な泣き声で姉妹の名を叫びかけて。

「亜美、亜美! あ……み…………」

すぐにその声は途切れ、真美は私の腕の中でぐったりと力を抜いた。
私は柔らかい首筋に突きたてた牙から溢れ出す温かい鮮血で喉を鳴らしながら
意識を麗華の方に集中させていた。
今しも別室で亜美に襲い掛かり、私と同じように首筋から血を啜っている麗華。
私の仮説が正しければ双子の姉妹がテレパシーのように通じ合っていた力を
手に入れることができているはず。

(麗華、どう……? 何か感じるかしら)

(……ち、は……や? き……え…………)

(そう、聞えたのね麗華)

最初はノイズだらけのラジオのようだったけれど、麗華に意識を集中させるほど
その思考は明瞭に感じ取れるようになっていく。

(ねえ千早……この子をもっと味わっていい?)
(ええ、勿論よ。私だってそうするつもりだけれど……ここは汚しづらいわね)
(じゃあこっちで一緒にしよ? ベッドもあるしさ)
(分ったわ、どこにいけばいいの?)
(ともみを迎えにやるから早く来て)


私は真美の首筋からそっと牙を抜くと崩れ落ちそうになる体を支えた。
麗華とタイミングを合わせるのを優先したため、いつものように丁寧に噛む事が
できずその衝撃が子供の真美にとって強かったのだろう。
けれど痛かったのは一瞬のことだったはずだし、今から味わうのは普通の人間なら
決して味わうことの出来ない極上の快楽だ。
それに女になりきらないこの子達の鮮烈な味わいの血が、春香達とはまた違う
吸血の楽しみを私に教えてくれたのだから、今日はとことんまで楽しませて
あげるのが礼儀というものだろう。
迎えにきたともみに真美をまかせると、麗華の待つベッドルームに私は急いだ。



気の早いことに麗華は全裸に剥いた亜美を後から抱え込んで乳房を弄んでいる。
その亜美が焦点の定まらない視線をふらつかせながら、時折小さな声で
「いやぁ、やめてぇ……助けて」などと呟いているのは、麗華のかけた呪縛が
体の自由だけを奪っているからに違いない。
私が真美にもそうしたように。

「ほら、そっちの子も脱がせなよ」
「あぁ……真美、まみぃ……」
「心配しないで、気を失っているだけだから。ともみ、手伝ってちょうだい」

脱がせた真美をベッドにあげ、両足を投げ出す格好で亜美の向かいに座らせると
二人の体は鏡に写したように同じ体つきに見える。
その真美を後から抱えて意識を取り戻させ、まっすぐ前を見せる。

「あ、亜美……」
「真美、無事だったの……千早お姉ちゃんが守ってくれてたんだ?」
「ねえ千早さん、もっと吸っていい? この子意外と美味しいんだよ」
「いいわ麗華。その代わり優しくしてあげるのよ」
「千早お姉ちゃん、何いってるの? 真美たちをどうする気?」
「いいからよく見てなさい、そうしたら分るから」

私も麗華のしているように真美を抱きかかえそっと乳房を包み込む。
それは春香や美希の柔らかい乳房と違い、成熟前の果実のような固さがある。

「千早お姉ちゃん……お胸、くすぐったいよ」
「いいから亜美を見てなさい、ほら」

亜美の背後から顔をのぞかせた麗華がニィっと笑って吊り上げた唇から
にょっきりと伸びた鋭い針のような吸血用の牙がぎらりと光る。
麗華はそれを真美に見せつけながらゆっくり亜美の首筋に近づける。

「だめ、亜美逃げて! 噛まれちゃうから、亜美、聞えてる!?」
「無駄だってば。いただきまーす」

鋭い牙が亜美の肌をプツンと突き破り真っ赤な鮮血が溢れ出す。
それを麗華は舐め、啜り、喉を鳴らして飲み込んでいく。

「な、なにあれ……亜美の血、吸ってる」
「そうよ、だって私達吸血鬼だから」
「いや! やめてよぉ! お願いだから真美たちを殺さないで!」
「馬鹿ね、そんなことするわけないでしょ、大切なあなた達を」
「お願いだから許してよぉ! みんなには内緒にしておくから」
「次はあなたの番よ。ほら、力を抜いてじっとしてなさい」

私も亜美の目をじっと見ながら真美の首筋に牙を突きたてた。

吸血鬼の牙に蹂躙されて体中を血塗れにされながら、亜美はその幼い性器に
麗華の侵入を受け早くも女としての反応を見せ始めている。
幼いのに悩ましい喘ぎ声と愛液の湧出。
麗華が指で掬い取ったそれを挑発するように舌で舐め取るのを見て
我慢できなくなった私は真美を横たえると亜美の足元に移動する。

産毛が生え始めている膨らみをそっと撫でると、おもむろに舌を伸ばし
幼い愛液の味を確かめてみる。
小学校を終えたばかりの女の子だけあって、雌の匂いというよりはおしっこの
臭いを感じるような亜美の陰部だけれど、未熟なこの子達を立派な雌として
育てていくという楽しみがある。
上半身を麗華に任せ、開いた足を持ち上げ顔を寄せる。
つるんとした未成熟の性器に埋もれてしまっているクリトリス。
おおよその見当をつけると一気に牙を突きたてた。
その瞬間、おしっこをもらしたように大量の愛液をこぼしながら
女として初めての絶頂に達した亜美を見て真美が大きな悲鳴をあげる。
私は振り返ると横たわったままの真美にも同じように牙を立てあげた。



「ねえ、まさかこんなに上手くいくとは思わなかった」
「私もよ。半信半疑というより駄目で元々って思っていたから」
「でも役に立つよ、この力は」
「ふふっ、そうね。でもあの二人ともリンクしているのは困るわね」
「いいんじゃない? 千早さんがその気になってくれるのはありがたいし」

ベッドの上では下僕にしたばかりの姉妹がお互いの股間に顔を埋め
性器の舐めあいを続けている。
それを見て我慢できなくなったらしい麗華を引き寄せてキスしながら
次はどんなことを試してみようかと考えを馳せる。

「ねえ、千早……お願いがあるんだけどさ」
「何かしら。今回はあなたの功績が大きいからご褒美をあげないとね」
「あのね、そっちの事務所にいるでしょ、四条貴音と三浦あずさって」
「ええ」
「どっちでもいいから私にもらえないかと思って。駄目?」
「ふふっ、いいわ。好きなほうを任せてあげる」
「ありがとう千早!」

本当に嬉しかったのか、麗華は自ら跪くと私の股間に顔を埋め舌の奉仕を始める。
この子があの二人の名前を出した理由は聞かなくてもわかった。
その望みが決して叶わないものだとしても、それを願う気持ちは痛いほどに。
よし、決めた。
そのときは今回のように麗華と二人、あのお姉さん達を襲うことにしよう。

「亜美、真美。あなたたちもこっちにおいで」
「うん、千早おねえちゃん」
「真美たちも一緒にしていい?」
「ええ。二人一緒に私の胸を気持ちよくしてくれるかしら?」

性器を麗華に、そして左右の乳房を亜美と真美に委ねると
可愛らしい娘達の丁寧な奉仕に身を委ね、私はそっと目を閉じる。


第四部 おしまい




第五部 やよいおり編  

#1
「ちょ、ちょっとあんたたち……な、なに、して」
「どうしたの、伊織ちゃん、はわっ、千早さん!?」
「それよりドアを閉めてくれないかしら」

休憩室の戸口で金縛りにあったよう突っ立ったままの二人に声をかける。
私の姿を見てそうなるのは無理もないけれど、前の廊下は事務所のスタッフも通るの
だから高槻さんに軽めの魅了をかけてドアを閉め鍵もかけるよう命令した。
そうこうしていり間に水瀬さんが最初の衝撃から立ち直ったらしい。
腰に手をあて、眉をキッと逆立てると私を睨みつけながら口を開いた。

「亜美、真美。千早から離れなさい。それと千早はどういうことか説明して」
「いおりーん、駄目だよそんなブスイなこといっちゃ」
「そうだよぉ、千早お姉ちゃんと楽しんでるのがわかんないかなぁ」
「ガキンチョがうるさい、あんたたち自分が何してるかわかってるの?」
「おやおやぁ、何しているか分らないいおりんの方がガキンチョっしょ?」
「二人とも、水瀬さんはいいから続けなさい」
「千早! だからそういうの、やめなさいっていってるの」

私の命令に従って左右から乳房に吸い付いた亜美と真美を抱きかかえる。
ぷにぷにと柔らかい感触は触るだけで気持ちがいいけれど、太ももにこすり付けられる
幼い性器も熱を帯び、そろそろしっとりと潤い始めている。

「やめる? どうしてかしら。亜美と真美に乳首を吸ってもらうのは駄目なことかしら」
「あ、あのね! 事務所の休憩室でそんないやらしい格好……なんで脱いでるのよ。
ていうか女の子同士でそんなこと行き過ぎじゃない!」
「何故って気持ちいいからよ?」
「真顔で答えるな! 今すぐやめて服を着なさいよ」
「困ったわね……二人にも参加してもらおうと待っていたのに」
「参加って、な、何いってるのよ」

丁度そのとき、二人同時に乳首を甘噛みされて小さく喘いだのが水瀬さんの怒りを
煽ってしまったらしい。

「あんっ、じゃないわよ。真面目な顔してとんだ変態ね、呆れてしまうわ」
「変態? 私が?」
「いいからさっさと止めてはしたない下半身を隠しなさいよ!」
「高槻さんもはしたないって思う?」
「……ち、千早さんの……き、綺麗かなぁって」
「ちょっとやよい、あんた何言ってるのよ」
「だって伊織ちゃん、千早さんのお股が濡れてるのって気持ちいいからだよね」
「違うわよ、やよい、しっかりしなさいって!」
「胸は亜美と真美が気持ちよくしてくれるのだけれど、ここは誰がしてくれるのかしら?」
「……千早……さん」

高槻さんに魅了を掛けたとき、加減をして意識を少々残したつもりだったけれど
今の顔を見れば、ほとんど理性は残っていないようだった。
ふらふらと歩みよってくる彼女の肩を水瀬さんが慌てて引き止める。

「やめなさい、やよい! ほら、いくわよ。プロデューサーに言ってやめさせるんだから」
「でも伊織ちゃん、私達のこと待ってくれてたって」
「千早、やよいに何かした? したんでしょ! なんとかいいなさいよ!」
「んっふっふ、いおりーんもこっちの世界においでよ」
「そうだよそうだよ、亜美たちがいおりんも気持ちよくイかせてあげるからさ」
「い、いやよ! そんなのお断りだから」
「そう、私からお願いしてもだめかしら?」
「千早お姉ちゃん、いおりんも噛んであげたらいいのにさ」
「そうね、それがいいかもしれないわね……」
「あっ、ちょ、真美なの? ふぁ、あぁああっ!」

乳首から口を離した真美の髪を掴んで顔をのけぞらせると
水瀬さんと視線を合わせたまま、見せつけるよう牙を伸ばしてみせた。

「ちょっと何よ、それ……」
「んっふっふ、凄いんだよ、千早お姉ちゃんの牙に噛まれたら」
「牙って何よ、噛まれるって、や、やめな、あぁ、真美!」

#2
見せ付けるのが目的だから、少々乱暴に牙を立てたけれど
それでも真美は歓喜の声をあげながらビクビクと体を震わせ
熱いものが迸る女性器を私の太ももにこすりつけてくる。

「ねえねえ千早お姉ちゃん、亜美も噛んでよー、いっぱい乳首舐めるから」
「いいわ、亜美はどこを噛まれたい?」
「えっとね、亜美はお胸を噛んで!」

真美の鮮血にまみれた牙を今度は亜美の乳房に突きたてる。
姉と同じように身じろぎしながら、快感に打ち震える少女の体を支えながら
わざと音を立てて零れてくる血液を飲み干していく。

「いや、やだ……こんなの信じられない、嘘、嘘よ、こんなの!」
「嘘じゃないわ。私は吸血鬼なの。今その目で見たとおりにね」
「違う、こんなの……いやよ」
「信じなくても構わないわ。私の目的はあなたじゃなくて高槻さんだから」
「や、やよいをどうする気?」
「決まっているでしょ、今したのと同じことよ」
「駄目、そんなの駄目よ、やめなさい、私が許さないんだから」
「高槻さん、あなたはどうかしら?」
「千早さんの言うとおりにすればいいですか」
「駄目、やよいには手を出さないで! お願いだから」

彼女がそういう反応をするのは計算済みだった。
むしろあえて事務所でこんな風に仕掛けたのもそれが目的だったからだけど。

「そうね……水瀬さんが私のいうことを聞いてくれるのなら考え直してもいいわ」
「本当ね、嘘じゃないわよね?」
「ええ。同じ事務所の仲間をひどい目にあわせる積もりなんてないのだし」
「あんたのこと、信じるんだから、騙したら許さないわよ」
「ふふっ、騙すなんてしないわ。それより言うこと聞いてくれるんでしょ? だったら
そんなとこに突っ立ってないでそばにきてちょうだい」
「……わかったわ。どうすればいいの?」

ソファーにもたれたまま、亜美と真美にもう一度乳首を吸わせながら足を大きく開く。
幼い姉妹の愛撫だけでは充分に満足を得られるわけではない。
特に刺激を求めて止まない性器は熱を帯びてじんじんと疼きっぱなしだから……

「そこに跪いて。そう、それでいいわ。あとはわかるでしょ?」
「やっぱり千早、あんたは変態よね」
「そうね、そうかもしれないわね。でも水瀬さん、あなたもいずれは分るときがくるから」
「知らないわ、そんなの」

上目遣いで私を睨んだまま、水瀬さんは私の性器に口をつけた。
わざとらしい固くて乱暴な唇と舌だけれど、それこそが私の求めていたもの。
あえて魅了をかけずに人間の意志と理性を残したままさせる性的な愛撫。
奥から愛液が迸るようにあふれるのを感じながら、しばらくは水瀬さんのぎこちない
愛撫に体を任せることにする。

「いおりーん、なんだかんだいってもやることやるんだね」
「そうそう、初めてなのに結構上手そうじゃん? 今度は亜美のも舐めてよ」
「じゃあ真美はいおりんの処女マンコ、ペロペロしてあげるよ」
「どう水瀬さん。初めて味わう女の子の愛液、おいしいかしら」
「ふん、生臭くて不味いわよ」
「だめだよいおりん、ちゃんと味合わないとさ」
「そうそう、なんでもするっていったんだから、ちゃんと飲まないとだめっしょ」
「そうね、約束だものね」

そういってわざとらしい視線を高槻さんに向ける。
水瀬さんが愛撫に加わったときから、少し離れたところにぺたんとお尻を下ろして
女の子同士の饗宴を呆然とした顔で眺めている。
ただし魅了がきいているから、上気した顔はとろんと蕩けたようになっているし
居心地悪そうに下半身をもぞもぞさせている理由は……いうまでもないだろう。

「わ、わかっているわよ」
「本当にいおりんは素直じゃないよね」

双子に冷やかされながら、舌で掬い取った愛液を飲み干していく水瀬さん。
その喉元が動くたび、様子が、そして表情が変わってくるのがよくわかる。
そう、吸血鬼の体液を体にいれてしまえばどうなるか、そろそろ分ってくる頃かしら。
水瀬さんには悪いけど、人間の理性を残しながら吸血鬼に狂わされるとどうなるのか
よく見せてちょうだいね、約束した通り、高槻さんにはまだ手を出したりはしないから。

#3
「あぁ……熱い、体が焼けそうなの」
「服を着ているからよ、ほら。高槻さんだって脱いでいるじゃない」
「そ、そうね……熱いから脱いでしまおうかしら」
「亜美たちが手伝ってあげるよね」

水瀬さんが私の愛液で狂い始めた頃、高槻さんに目配せして脱がせておいたのも
その姿で水瀬さんの背中を押してあげるため。
そして亜美真美に全裸に剥かれた水瀬伊織が振り返ってその姿を目にすると
よろけながら親友に近づいていく。

「ね、やよい……大丈夫だった?」
「うん。伊織ちゃんがわたしのためにがんばってくれたんだよね」
「ええ、そうよ……だけど、凄く熱いの、体中が、あそこがやけるみたいに」
「私もだよ、伊織ちゃん……おまたが熱いの、どうしてかな」
「わ、私が……見てあげる、おかしくなってないかどうか」
「見るだけなんて遠慮しなくていいのに。ほら、したいんでしょ?」

その言葉を聞いて水瀬さんが我に返って振り向いた。

「だ、だめ……やよい、お願いだから、逃げて」
「あら、せっかくの機会なのに」
「千早……何したのよ、私に、な、何……」
「それをこれから教えてあげるわ」
「い、いや! やめて、千早お願いだから、許して、いやぁあああ」

亜美や真美と同じくらい未成熟の性器はまだぴったりと閉じあわされていて
舌でなぞってみても固いくらいの弾力を感じる。
けれど隙間から舌をこじ入れてみると、思ったとおり中にはトロトロの蜜が溢れていた。

「ふふっ、おいしいのがたっぷり溢れているのね」
「いやぁ……やめ、あん、そんなとこ舐めないで、いやぁ、あぁ、あっ……」
「気持ちいいでしょ? だけどもっと気持ちよくなる方法があるの」
「そうそう、いおりんも仲間に入ろうよ?」
「痛くなんてないよ、チクっとしたらそっから天国なんだよ?」
「い、いや……いやよ」
「そう。じゃあやめてもいいかしら」
「…………待って。お願い、やめないで、おかしくなりそうなの」
「わかったわ。でも高槻さんだけのけもので可哀相でしょ?」
「やめて、手を出さないって約束でしょ」

この期に及んでまだ理性を残している水瀬さんの気力に感心したけれど
体のほうはとっくに限界を超えてしまっているようだった。
吸血鬼の体液を体に入れてしまえば無理も無いことで、強力な媚薬のような
効果が血流にのって全身のすみずみを快楽で灼き尽くそうとしているのだから。
あとほんの一押し、それで水瀬さんは堕ちる。

「ええ。だからあなたが高槻さんにしてあげればいいのよ」

亜美と真美が両側から支える高槻さんの下半身に水瀬さんが顔を寄せる。
既に先ほど私の体で経験した、女性器への口での愛撫。
躊躇いはほんの一瞬で、目を閉じてそこにキスをしたと思ったら
美味しい食べ物にありついたように、堰を切ってむしゃぶり始めた。

「あん、いおりちゃん、激しいよ! もっとゆっくり、し、して、うぅ、うあぁ
「やよい、やよい、美味しいの、やよいのここ、いっぱい舐めてあげるから」
「あぁ、あぁああ、いおりちゃん……すごいよぉ。おかしくなるよ」

この部屋に入るまで、セックスはおろかキスすら経験のなかった少女二人が
幼く舌足らずな喘ぎ声を漏らしながら、初めてしった快感にその身を委ねて
お互いの体をまさぐりあいながら絡み合っている。
しかも一方には魅了をかけず、私の体液を摂取させることで理性を残したまま
この状態にすることができた。
あとすることはただひとつ。

「水瀬さん、今度は私がしてあげる」

人形のような華奢な体を仰向けに横たえると、その顔に高槻さんをまたがらせ
亜美と真美には私にさせたように乳首を吸わせながら足を大きく割り開く。
快楽に目覚めたらしい女性器が、鮮やかなピンク色の花びらを開いて
私の牙を誘っているように見えた。

私は顔を寄せ、可愛らしい肉襞をそっと開いて小さな真珠をむき出しにすると
思い切り牙を突きたて、血液と愛液をじゅるじゅると音を立て吸い上げる。
それが彼女のリミッターを超えてしまったらしく、おしっこだか潮だかわからない
大量の液体が噴出して私の顔をびしょびしょにぬらしていく。

絶頂に達した状態でもまだ愛撫の手は緩められず、すでに喘ぎ声は意味を
なさない叫びと変わらず、全身を痙攣させながら意識を失ってしまってなお
水瀬伊織への責めは続けられた。



「ねえ、水瀬さん。誤解はとけたかしら?」

彼女が意識を取り戻したのは、饗宴が果ててから30分程あとのことだった。
といっても横たわったまま目を開いただけで、体を動かすどころか声すら出せないほど
消耗しきっているらしく、唇が微かに動いただけで言葉にはならない。
だけど彼女が肯定していることは分っていた。

「あなたも今日から私の玩具よ。でも、どうする?」

私の視線が向いた先。
そこには水瀬さんに寄り添うように横たわるもう一人の少女。
まだ噛んではおらず、そろそろ魅了もとけつつあるはずなのに
この状況を受け入れたのか、仲の良い友人と手を繋いで大人しくしている。

「どうせなら二人一緒の方がいいと思わない?」

相変わらずまだ言葉にはならないようだけど、今度ははっきり頷いた。

「そう。よかったわね高槻さん」

私は彼女の手を取って抱き起こしてあげる。
そして水瀬さんからよく見えるようにして高槻さんを抱きしめると
甘酸っぱい汗の匂いがする首筋にそっと唇を近づけていく。

第五章 おしまい。



第六章 あずたか編(おっぱい回)
#1

「ねえ、いいでしょ? お願いだよ、私じゃ力が足りないみたいでさ」
「別にいいけれど……でも本当に効果があるのかしら」
「そ、それはほら、牛乳を沢山飲めばよく発育するのと同じだって」
「それはどうなのかしらね」
「だから試してみるんだって。それに千早にもきっと役に立つから、ね?」

麗華の言い分を信じる気にはなれないけれど、期待を込めて私を見つめる顔を見れば
少々滑稽ではあっても彼女の真摯な願いを無碍に断るのは申し訳ない気がする。
私達が関係を持つきっかけはともかく、彼女が私の役に立ってきたのは事実である。

「分ったわ。具体的にはどうすればいいのかしら」
「簡単だよ、千早の魅了で相手を妊婦だと思い込ませるだけだから」
「そう。でその相手……大体の想像はつくけれど」
「……三浦あずさと四条貴音」
「二人とも忙しいわよ? 最近は事務所でも滅多に顔を合わさないくらいだから」
「ドラマと映画の撮影でしょ? それは私の方でなんとか都合をつけるから」
「そう、あまり強引なのはだめよ、分っていると思うけれど」
「うん、ありがとう千早……ね、お礼……ってわけじゃないけどさ」
「ふふっ、お礼なんていいわよ。だけど麗華とは久しぶりだから」

それだけいうと私はソファーにもたれて目を閉じた。
麗華がいそいそと私のズボンを降ろしながら太ももに唇をつけるのを感じながら
彼女の願いというのを頭の中で反芻してみる。

若い女性に妊娠している暗示を与え、初乳とよばれる新鮮な母乳を吸う事で
血液を啜るのと同じ養分を吸収すると同時に乳房の発育に有効な成分を
得ることができるのだと麗華は真顔で主張する。
彼女は自身の乳房が年の割には随分と慎ましいのを気にかけているらしく
りんやともみにも愛撫というよりマッサージのように揉ませていることもある。
私にとって乳房の価値は下僕に愛撫させてどれだけ気持ちがいいかであって
大きさなど男性の欲望を満たすだけの尺度だと思っているから麗華の涙ぐましい
努力は理解の範囲外にあるけれど、まあそれはどうでもいいことだ。
動機はともかく、今まで手付かずだったあの二人を手中に収めるいい機会だと思えば
可愛い麗華の願いを受け入れることなど大したことでもない。

「あっ……そこ、いいわ」
「ふふ、千早のここ、もう熱いの溢れてきているよ」
「そうよ、あなたの舌が気持ちいいから……ほら、いっぱい飲んでちょうだい」

ぴちゃぴちゃと激しさを増す彼女の愛撫に身を委ねながら私は考える。
せっかくの機会だし、私も麗華と一緒にあの二人の母乳というのを試してみるのも
そう悪くないことかもしれない。
乳房の発育はともかくとして、あるいは何か力にの増強に役立つかもしれないし……
股間に顔を埋めた麗華の頭をなでてやりながら、さてどちらを私がいただくものか
考えているうちにも膣の中まで舐めまわし始めた麗華のややざらついた舌の感触に
酔い始めていく……



麗華が目的を果たすため、表と裏の顔を充分に使ったのは想像に難くない。
あれから一週間ほど後のある夜、三浦あずさと四条貴音が出演したドラマにかこつけた
パーティが開かれ、麗華が所有する高級マンションがその会場となった。
夜更けすぎ、麗華の連絡を受けてお開きになった部屋に入った私はワインボトルを
抱えたままの三浦あずさとソファーでうつらうつらしている四条貴音に“魅了”をかけて
ひとまず眠らせることにした。
#2
「さてと。これからどうしたものかしら」
「噛むのは千早に任せるからさ……私はその、母乳さえ飲めればいいから」

そういいながらも麗華の目は三浦あずさの胸元から離れようとしない。
二人ともあお向けに寝かせ、そのシンボルともいうべき乳房は同じように天井を向いて
盛り上がっているけれど、あずさの開いた胸元から覗き見える膨らみのほうが
より美味しそうに見えるのがその理由に違いない。

「そう……じゃあまずは脱がせて、それからお楽しみを始めましょうか」

二人して苦労しながら三浦あずさを全裸にしてしまう。
お風呂や更衣室で何度も見たことのある裸身だけれど、こういう状況で
脱がせて見るのはまた違った趣があるし、なにより春香や美希たち同年代の
少女には見られない大人の体、その匂いが濃厚にたちこめるようだった。

「初めてみたけど凄いな、あずさって。なあ、絶対男いるんだろうな」
「どうかしらね」

彼女が専属のプロデューサーと深い関係を結んでいるのは私の事務所では
公然の秘密だけれど、そのことは外には殆ど漏れていないらしい。
二人が事務所でこっそりとキスしているところを一度みかけたことがあるし
深夜の更衣室で男女の関係を結んでいる現場を気配で察知したことだってある。
そう遠くない将来、結婚することはまず間違いがないから、麗華が母乳の相手に
選んだのは案外適任なのかもしれない。

私は自分も裸になると、穏やかな寝顔で眠っているあずさにおおいかぶさり
無造作に首筋に牙を突きたてた。

「ねえ、どう? やっぱり美味しい?」
「……そうね、濃くていい味よ」

だけど少しばかりアルコール臭くてこっちまで酔いそうになるけれど。
その事は母乳を楽しみにしている麗華には黙っておく。
そして目を覚まさせたあずさの瞳を覗きこみ、強い暗示をそそぎこんでいく。
あずさ、あなたはもうお母さんになるの。
愛するプロデューサーと結婚して、彼の子供を身篭って、もうお腹も大きくなって。
ほら、わかるでしょ? おっぱいがこんなに張っている理由。
生まれてくる赤ん坊にたくさんおっぱいを飲ませてあげないといけないから。
彼との子供を健やかに育てるために、いっぱいおっぱいを出してあげて。
さあ、あずさ……赤ん坊におっぱいをあげる時間よ。

焦点の合わない瞳をさまよわせたあずさは、ある一点で視線を止める。
私の行為をみながらいそいそと服を脱いだ麗華がそこにいる。

「あ……赤ちゃん? わたしの赤ちゃんなのね?」
「そう。この子があずさの赤ちゃん。おっぱいをのませてあげて」
「ふふっ、いい子ね。いらっしゃい、ママのおっぱいのませてあげる」

ふらふらとした足取りで近づいた麗華をあずさは本当の母親のように抱き寄せた。

「可愛いあかちゃん、ほら……おっぱいですよ」
「う、うん……飲んでいいんだな?」

自分出かけた暗示とはいえ、あずさから放たれる母性は本物にしか見えなかった。
それは麗華も同じらしく、あずさに胸に吸い付いた表情は無邪気な子供のようだった。
夢中で母乳を吸いだそうとチューチュー音をたてる麗華の顔がぱっと明るく輝いた。

#3
「でた! 千早、本当におっぱいが出たよ!」

振り向いた麗華の唇から白い液体の雫が零れ落ちる。
そしてあずさの豊かに張った乳房にもたらりと白い筋が流れて落ちている。
それを余さず丁寧に舐め取った麗華は再びあずさの乳首に吸い付いて
こくりこくりと喉を鳴らして母乳を味わっている。
その姿があまりにも普段の彼女からかけ離れているのが私の興味をくすぐった。
そんなに美味しいものだとしたら、私も味わってみなくちゃ……

「麗華、少し味見がしたいのだけれど」
「う、うん……ほら」

たっぷり吸い上げたあずさの母乳を口いっぱいにためこんだ麗華は
私と唇を重ねあうとゆっくりとその液体を流し込んでくる。
生温かいその液体は確かに母乳だった。
毎朝飲んでいる牛乳よりかは薄いけれど、ほんのりと甘みがあって
血液と同じくらい、いやそれ以上に力が満ちているような気がする。

「どう、美味しいでしょ?」
「そうね。あならの言っていたとおりだわ」
「へへっ、よかった。ねえ、おっぱい吸ってあと、噛んでもいい?」
「ええ。たっぷりと味わうといいわ、あずさはもう好きにしていいから」

そうして私は四条貴音に視線を向けた。
その頬に手を寄せると少しばかり魅了をゆるめて眠りから醒めさせる。

「起きなさい、四条さん」
「……はて、如月千早? なぜ貴女がここにいるのです、はっ!? その姿は?」

目が覚め焦点の合った瞳が私の全裸姿を認識したらしい。
その彼女を私は視線で隣に誘導する。
寝そべった大柄の女性とその上に覆いかぶさり乳房に吸い付く小柄な少女。
二人とも全裸であり、時折どちらかが快楽の喘ぎをたて愛情豊かな性行為を
繰り広げている姿は淫靡でありながら母性の美しさをかもし出している。

「み、三浦あずさ……なぜそのような」
「四条さん、私達も同じようにしてみませんか?」
「千早、あなたまで何を……一体この二人はどうして?」

四条さんが抵抗する可能性を考えつつ、魅了をかけて縛り付けなかったのは
彼女からアルコールの匂いが感じられなかったからで、どうせ吸って味わうなら
その方が美味だと知っていたからだった。
それに彼女の身持ちは固く、男性関係が皆無であることからきっと穢れの無い
処女であることは間違いないと思っていた。
勿論それには間違いがなかったけれど、大きな誤算もひとつあった。

「どうしてって……みれば分るとおりです」
「同じようにということは千早、あなたもそうなのですね?」

彼女の質問を誤解していることに気付かず、頷いた私をみて四条さんの顔が輝いた。

「わかりました。では千早、私達も……」

いそいそと脱ぎ始めた四条貴音を見て私は疑問を感じるべきだったのに
それをしなかったのは、血液と母乳という美味への渇望と、それから同世代の
少女にはない大人の女の体への好奇心からだった。

#4
あずさで上手くいったのに気をよくしていた私は、目を覚ました四条さんの反応を
完全に読み違えていた。抵抗されるなど考えもせず、さて四条さんはどこに牙を
突きたてて血を吸ってやろうかと迷っている私は強い力で突き飛ばされて絨毯に
背中をぶつけ、重く柔らかい体にのしかかられて息が詰まりそうになっていた。
吸血鬼といっても超人的な体力や腕力が備わっているわけではなく、魅了の力を
除けばまったく人間と同じにしか過ぎない。
だから華奢な私が体格に勝る四条さんを跳ね返すなど無理な相談だった。

「ふふっ、このようなことになるとは夢にも思っていませんでした」
「し、四条さん……一体何を」
「はて……あの二人と同じようにといったのは千早、あなたの方ですよ」

四条さんの視線の先には、母乳で満腹になったらしい麗華があずさの乳房に牙を立て
今度は血液をちゅるちゅると啜っている姿があったが、それだけを見れば女同士で
妖しく絡み合っているふうにしか見えない。

「さあ千早、あなたは私が導いてあげますから……」
「違うの、待って、しじょ……んむ!?」

両手首を押さえつけられた私は四条さんに唇を奪われ、その熱くぬめった感触に
我を忘れそうになる。いや、実際のところ技巧も何もない、ただ押し付けるだけの
キスなのに私の理性はほぼ蒸発しかけていて、捕食者としての立場が逆転された
ような錯覚にうっすらと倒錯的な快感すら覚えつつあった。
けれど力づくの陵辱に屈服してしまえば自分がどうなるか分らないという恐怖感を
覚えた私はキスの合間に麗華を呼び寄せようとした。

「れ、麗華……こっち、助け……んむ、むちゅ!?」
「いけませんよ、千早。あなたは私の獲物なのですから」
「いや、だから……こんなの、やっ、ちょっと麗華……んむ」

私の声に振り向いた麗華には、私達が熱烈なキスを交わしているとしか見えないらしく
ニヤリと笑うとまたあずさの乳房にかじりついた。
一方の四条さんもキスを繰り返す間にコツらしきものを掴んだらしく、押し付けるだけの
それが貪るようなものに変わっていく。息苦しくなって押し返そうとするけれど今度は
舌を絡め取られて強く吸われると気力まで一緒に吸い取られるみたいで、いよいよ危機感を
募らせた私が頭の中で麗華に呼びかけようとした瞬間、不意に四条さんの手が私の股間を
割って熱く濡れた秘所に潜り込んだ。
そのせいで私の呼びかけは途中ではしたない喘ぎに変わってしまい、四条さんの長い指に
侵入を許してしまえば私の抵抗もそれまでだった。

「千早、わたくしには殿方のようなものがありません……ですからかわりにこの指で
あなたを嬲ってあげましょう……どうです、感じますか?」

その指は春香や美希の指よりも太く感じ、さらにりんの舌よりも奥にまで達して
ついには行き止まりにあるこりこりとした部分を触られてしまう。
奥深くの器官を無遠慮に弄り回される感触の異様さも、体はすぐに快感と受け止め
私は四条さんの未知なる愛撫に体をくねらせ息を弾ませる。
今までとは感覚が違う理由、それが魅了をかけたかそうでないかだと私は理解した。
魅了をかけた相手はあくまで私の意思の延長線上にあり、当然ながらその愛撫は
気持ちは良くても自分で自分を触っているのと同じこと。
だけど今の四条さんは完全に彼女の意志で私に触れ、舐め、弄んでいる。

そうして私は力を抜くと自ら彼女に体を預け、彼女の頭を抱き寄せ舌をねぶり、
甘い香りの唾液をねだって飲ませてもらう。
そして相変わらず彼女の指は膣内を蹂躙し続けていて、そのしなやかな指を懸命に
締め付け、子宮全体を疼かせながらついに私は頂点に達して意識を手放した。

#5
深い失神から醒めてもまだ自分が四条貴音のいやらしい愛撫に捉われているのに
気付いたけれど、私はどうすることもできなかった。
今彼女は胡坐をかいた姿勢で私の下半身を持ち上げ、一心不乱に性器を嘗め回し
ながらとめどもなく溢れ続ける私の愛液を舐め取り啜っている。
そして私が目を覚ましたのを知ると、嬉しそうな笑みを浮かべて唇を求めてくる。
口の中に流し込まれたのは私の愛液と四条さんの唾液がミックスされた液体で
いやらしい酸味とトロ味で満たされながら、私の本能がさらなる欲望を告げる。

「もっと飲ませて……いっぱい、四条さんのも……飲みたい」
「いいでしょう千早。さきほど麗華がしていたように、飲ませてあげましょう」

そういって彼女は私を軽々と抱き寄せると、自らの胸元に私の顔を押し付けた。

「ですが……まだ私から母乳は出ないでしょうけど、さあ、好きなだけ吸いなさい」

ぼんやりとした意識の合間にかろうじて顔をあげて四条さんの視線を求める。
慈愛に満ちた母のような笑みを捉えると、私はありったけの力をこめてその奥に
あずさにしたような暗示を送り込むと、四条さんから表情が消え、瞳の光が鈍くなる。
魅了をかけて彼女の心を縛り付けるのには成功したけれど……
力の抜けた四条さんの豊かな乳房に手を添えてみる、ただそれだけで良かった。
四条さんのおっぱいがさらに一回り大きく膨らみ、ぷくりと隆起した乳首が
じんわり濡れたかと思うと、すぐに母乳が溢れて白い筋を作って流れていく。
私はおっぱいに顔を埋め、次々と溢れ出す四条さんのおっぱいを夢中で
飲み干していった。



「な、良かっただろ?」
「ええ……そうね。でも少々疲れたわね」
「うん。セックスでこんなにぐったりするの初めてだよ。でも凄いな、貴音って。
ガチだったのも意外だけどこんな貪欲なキャラだった?」

麗華の視線の先にはあずさに覆いかぶさる四条さんの姿があった。
さんざん麗華におもちゃにされたあと、さらに四条さんのねちっこく強引な愛撫で
息も絶え絶えになっているあずささんの体は、私達に牙を立てられた痕跡から
鮮血の赤、そして母乳と愛液の濁った白にまみれてある意味凄惨だった。
ただその表情だけは絶え間ない快感に蕩けているのだけれど。

「そうね。こういうことには無縁の人だと思っていたけれど……」
「でもさ、貴音ってなんか男みたいにするって思わなかった?」
「男の人としたことがないからわからないけれど、麗華はあるの、経験」
「い、いや、私もないけどさ、なんか『可愛いから犯してあげたい』とか口走ってたしさ。
なんか手首とか押さえつけてきてSぽい感じだったし」
「ねえ麗華。あなたは男の人も噛んで血を吸っているのよね?」
「うん、そうだけど」
「男のひとを相手にしてみようとか思ったりするのかしら」
「そんなこというところを見ると千早も男に興味がでて来たとか?」
「そ、そんなのじゃないわよ。ただ……そういうのはどうなのかなって思っただけ」
「じゃあ今度男を噛んでみればいいじゃん。あのプロデューサーとか丁度いいと思うけど」
「彼は仕事のパートナーだから……」
「そんじゃ、同年代でちょっと面白い子がいるんだけどさ、話聞いてみる?」

四条さんの強引な愛撫を受けながら、彼女になら襲われて犯されてもいいと思った
ことは黙っていた。そういうのを求めているのが私の体なのか、無意識なのかは
わからないけれど、確かにあの時私は間違いなくそんな風に思っていたのだから。

第六章 おしまい。



第七章

#1
「秋月涼さんって……確か次回のゲストじゃなかったかしら」
「そうだよ。ほら、この前話の覚えてるだろ?」
「同年代で面白い子がいるって話、それが何故秋月さんなの?」
「それは会ってからのお・た・の・し・み」

そういって麗華は悪戯っぽい笑顔をつくる。
話の流れから紹介されるのは男性と思っていたから、それが秋月さんとどう繋がるか
分らないけれど、もしかしたら従姉の律子も巻き込むような策を巡らしているかもしれず
それはそれで楽しみではあった。
ほどなく現れた秋月さんは、豪勢な応接室の調度と先輩二人に気圧されたのか
緊張した面持ちで私達に頭を下げる。

「そんな畏まらなくて大丈夫だからさ」
「そうよ秋月さん。知らない仲ではないのだから」
「は、はい……でも」
「いいからおいでよ。ほら、ここに座って」

私達の間に強引に座らせた秋月さんに、麗華が顔を寄せていく。
それを避けようとした彼女の体が押し付けられ、柔らかいのにどこか芯を感せる何かが
私に微かな違和感をもたらす。

「あ、あの……ちょっと待ってください」
「いいからいいから、力抜いて。“女の子”同士だからいいだろ?」
「でも、あっ、そんな、駄目です」
「ふーん、あたしじゃダメなんだ。じゃあ千早にしてもらおうかな」
「困りますって……今日は番組の打ち合わせをしないと」
「だからこうしてコミュニケーションをとるんだって、なあ千早」
「そうね……いいの、私からで」
「もちろん、いっちゃいなよ」

困惑して固くなっている秋月さんの前であからさまな目配せをよこす麗華。
もちろん私もそのつもりでいたから、麗華のいる気安さからあえて魅了はかけず
秋月さんに覆いかぶさると首筋に唇を寄せた。
爽やかなコロンの香りに混じった汗の匂いに俄然食欲をかき立てられた私は
伸ばした牙を頚動脈に突きたてる直前、その匂いに気付いた。
彼女独特の体臭? いや、違う。この匂いは嗅いだ記憶がある。
それが何か分ったところでようやく私は麗華の企みに気がついた。

秋月涼は女の子ではない。
念のため彼女の胸元に手を当ててみると、案の定膨らみに不自然さがあったから
ブラジャーの下を探ってみれば、そこにあるのは平たく引き締まった胸板だった。
下半身に視線を向けると、ワンピースの一部が不恰好に盛り上がっている。

「あー、やっぱばれちゃったか。 ねぇ、なんでこいつが男だって分ったんだ?」
「匂い、それにこれよ」
「それでもこいつ、可愛いだろ? たまには男の味も試せばいいのに」
「私は遠慮しておくわ。でも趣向としては面白かったわね」
「そうか、じゃああたしがいただくけど……そうだ、せっかくだから男で遊ぶやり方
見物すればいいよ、もっと面白いもの見せてあげるからさ」
「そう。それより麗華、男の血っておいしいって思う?」
「さあ……男も女も違いなんてそんなにないと思うけど」

麗華が彼女、いや彼のワンピースを捲り上げると、ご丁寧に下着まで女物で
小さなショーツからはみ出した男性器が臍をたたくように脈打っている。

「可愛い顔して立派なモノもってるじゃん。ほら、天国みせてやるからな」
「あっ、いや……やめてください」

体格も体力も勝っているはずなのに彼の抵抗は弱々しい言葉だけで、
すがりつく麗華にされるがまま、牙と手による蹂躙に身を任せている。
そして私は下半身にグロテスクな男性器を勃起させた可愛い女の子が
犯されている異様な光景に目が離せずにいた。
麗華の華奢な手にしごかれて気持ちがいいのか、ペニスの先端からは
間断なくヌルヌルした液体がにじみ出て、ニチャニチャと淫靡な水音が響く。

「さて、そろそろいかせてやるか」

麗華は体を起すと、真っ赤に染まった口元を彼の下半身に近づける。
ソーセージにかぶりつくように麗華の牙がペニスを横咥えにした瞬間
私の脳裏にある光景がフラッシュバックする。
こみ上げる嘔吐感に、とっさに手で口元を覆い隠した私の目の前で
秋月涼はペニスから大量の白濁液を噴き上げがっくりと首を垂れた。

「すげー大量に出したよな。溜まってたのか?」

顔中に精液が飛び散ったのも構わず、麗華はペニスをしごき続けそして中に残った
液体を搾り出してしまうと、頬に垂れてきた精液を舌で舐め取りニヤリと笑う。

「んっ、なかなか美味いな……ほら、千早もどう? 味見くらいしてみれば」

無言で首を振るのを麗華は拒否と受け取ったらしい。
秋月涼自身の体に飛び散った精液を丹念になめ取っていく。
私はその様子を見つめながら、記憶の奥底に封印した過去の出来事を
思い返していた。
そう、私はあの味も匂いも、全て知っていた。

#2 (優の回想)
吸血鬼の本能が目覚めるのは思春期頃が普通らしいが、私に牙が生えてきたのは
小学校低学年の頃だった。両親が生粋の吸血鬼だったせいか、あるいは別の理由に
よるかは知らないけれど、その力は幼い子供が持つには危険すぎた。

疼きを伴う細い牙に空腹とは違う奇妙な飢餓感。
突然変調した私を心配そうに見上げるあどけない瞳。
大丈夫、そういおうとした私の口から零れたのは一筋の涎だった。
幼い弟に食欲を掻き立てられた私はいつものように弟を抱きしめると、
本能のまま、目の前にある華奢な首筋に牙を突きたてていた。

か細い悲鳴は一瞬で途絶えた。
腕の中で震えているのが吸血の代償である快感のせいとは知らず、
ただ私は初めて口にした血の味に酔い痴れていた。
幼い姉弟が行為で得られる快楽に抗えるはずもなく、血の欲求が持ち上がるたび
抱きしめようとする私を弟が拒む事はなかった。

吸血鬼として目覚めた者が最初に血縁者を噛む事はそう珍しいことではない。
本来親に導かれるはずの目覚めが自発的に生じただけで、幼い私の吸血行為は
さほど問題になることではなかった。
大切な弟、そして家族を失うことになった原因は私の好奇心にあった。



「優、お風呂入るわよ」
「うん、お姉ちゃん!」

吸血がいけないことだと思い込んでいた私は、ばれないよう親の留守を狙って行為を
持っていたけれど、タイミングが悪くて留守を待つ余裕がない時は二人きりの密室に
なる浴室で急場を凌ぐこともあった。
優と入るのが日課だから怪しまれることもないし、親が覗きにくることもない。
裸になるのは開放的だし衣類を血で汚す心配もない。それに肌と肌をぴったり
くっつけあえばお互いの体温や鼓動をより密接に感じることができるから
ベッドでするときのように余韻にひたれないだけだった。

最初は本能のまま首筋を噛むだけだったのが、それ以外の場所に目をむける
ようになったのもお風呂に入っているときだった。
腕、腋、胸、それからお腹、脇腹。
噛みやすい場所、柔らかい場所、優がくすぐったがる場所。
ふざけながら、そして優の反応を見ながらあちこち牙をたててみた私が
辿りついたのが優の下半身だった。

まだ性に目覚めていない私達にとって、性器は男女の違いを示すだけの存在に過ぎず
優の体を洗う時にもおちんちんに特別な感情を抱いた事はなかった。
その小さくて可愛らしいおちんちんが、子供なりに精一杯勃起した状態。
それが吸血中に起こったことを知り、私の好奇心は俄然かきたてられた。

「ねえ優、どうしておちんちんって固くなるの?」
「そんなのわからないよ、お姉ちゃん……」
「血を吸われるとき気持ちいいからそうなるの?」
「うん……そうなのかな。噛まれるとなんかむずむずするんだよ」
「じゃあ試してみてもいい?」
「うん……あっ、やっぱり変だよ」
「変? 気持ちいいってこと?」
「分らない……けどそうかも」
「ふーん……じゃあさ、優のおちんちん、噛んでみたらどうなるのかな」
「えー、お姉ちゃん、大丈夫かなぁ」
「うん。きっと優だってもっと気持ちよくなるはずよ」
「痛くしないでね」

そこから先はよく覚えていない、というか記憶を無理矢理抹消したというべきか。

弟の可愛いペニスをすっぽりと口にくわえ込み、痛くしない様できるだけそっと
牙で噛んだ瞬間、先ほど秋月涼が麗華によってそうされたように
幼い弟は初めての精液を私の口一杯に放出した。
吸血鬼の牙が無理矢理それをもたらしたとは知らず、血液とはまた違う刺激的な
味わいと体の隅々にまで力が満ちてくるような感覚。

それが錯覚でも何でもなかったことは、その後風呂場での行為が親にばれ
家庭が崩壊していく途中に知った事実だった。
私は己の欲望のまま弟に牙を立て、そうとは知らずに彼の吸血鬼としての
エネルギーを吸い尽くしていたのである。


月日が流れ記憶の古傷は疼く程度になっているはずだった。
私もあれから随分と変わったのだし、より強大な力も身につけようとしている。
そろそろ苦い過去と決別する機会かもしれない、などと思ってみても
弟の面影を思い出すのはやはり辛くてどうしようもなかった。

もう一度でいいから優に会いたい。
それは私の切実な願いだった。
彼が生きているのか死んでいるのかも分らない、今だって……


#3
「ママ、涼さんから連絡きたよ。やっぱり間違いなかったって」
「そう……狙い通りだったわね」
「それとね、ほかにも一人いたって。かなり強そうな感じだったって」
「もう一人? 強そうなのが東豪寺麗華じゃなくて?」
「詳しい事は聞いてないけど、違う事務所の人みたい」
「それはどこなの?」
「あのね、涼さんの従姉がいる事務所の人なんだって」
「あの子の従姉……ああ、表でつるんでいたのはそういうことなのね」
「ねえママ、どうする? あたしが行ってみていい?」
「待ちなさい、相手の力も分らないうちに軽率なことはダメよ」
「うーん……ばれなきゃ大丈夫だと思うけどな」
「今度は失敗するわけにいかないの。だからあなたも慎重にならないとだめ。
ともかく涼を呼びなさい。直接あの子から詳しいことを確かめるから」
「またあれするんでしょ? あたしも涼さんとしてみたいな」
「もう少し辛抱しなさい。計画がうまくいけば誰とでも好きなだけさせてあげるから」
「うん、分った。約束だよ、ママ?」

やがて一人の少年が母子の家を訪れると、窓にレースのカーテンが引かれ
白昼のリビングで裸体となった三人のシルエットを隠した。
フロアに寝かされた少年の、天井に向って起立した若い肉棒はすぐに
母親の熟れきった媚肉に食い尽くされるようにその姿を隠す。
女の子と見紛う端正な顔に浮かんだ愉悦の表情も、今度はその上に跨る
あどけない少女の、そこだけは雌の体液を滴らせる花びらで覆い隠された。
絶頂するたび吹き上がる白濁は潤沢で尽きることを知らず、母親の膣内と
娘の口内を溢れさせたのち、二人の全身を真っ白に染め上げていく。
獣のような交歓は陽が落ちるまで続き、少年が放出した夥しい精液と引き換えに
その体には次なる犠牲者を堕とすための手段が刻み込まれた。

魔性の母子が小さな芸能事務所を足がかりに伸ばし始めた歪んだ欲望に
まだ誰も気付いてはいない。



「律子姉ちゃん、忙しいのにごめんね」
「相談くらいで遠慮しないでいいわよ。それよりその格好、仕事だったの?」
「えっと、まあそんなとこかな」
「遅くまでお疲れさん。ようやく吹っ切れて真剣に取り組むようになったのかしら」
「からかわないでよ。それより今日は律子姉ちゃん一人で残業?」
「ええ、でも大したことないわ。もう少しで片付きそうだから」
「じゃあ僕、コーヒーでも入れてくるね」
「そう? 悪いわね。じゃあちゃっちゃと片付けてしまおうかしら」

少女の姿をした少年は給湯室の明りをつけてカップを並べる。
そして従姉がパソコンに向っているのを確かめると、バッグからだした怪しげな
小瓶の中身を飲み物に垂らしよくかき混ぜる。

「ちょっと甘めにしておいたよ」
「ありがと。うん、疲れた頭に染み渡るわね……相変わらず淹れるの上手よね」
「うん、だっていっぱい挿入れ練習してきたからね。だから楽しみにしててね」
「ん、楽しみ……? あ、うん、まあそうね。それより千早が褒めてたわよ、
この前共演した番組、中々よかったって」
「千早さんが? それは嬉しいな……もっと仲良くなりたいと思っていたから」
「今度会ったらいっといてあげる。それより涼、相談ってなに?」
「うん。あのさ、律子姉ちゃんってもう処女じゃないよね?」
「は……はぁ?」
「だから、もうセックスの経験はあるんだよね?」
「な、何馬鹿なこといってんのよ! 涼、ふざけてんの?」
「やっぱり相手はプロデューサーさんかな。アイドル時代から仲良かったし」
「ちょっと涼。いい加減にしないと怒るわよ? ていうか今の段階で充分
洒落になってないんだけど」
「え? 僕は真面目だよ。どうしてセックスのこと聞いただけでそんな怒るの?」
「あのねぇ……今すぐ謝るか、それとも今すぐ出て行くか決めて頂戴」
「相談には乗ってくれないの?」
「馬鹿げたセクハラの相手なんてしてられないの。なんならそっちの社長か
マネージャーに今すぐ電話してもいいんだけど」
「別にいいけどさ、そろそろ効いて来る頃だし」
「な、何よ。何がおかしいの……、ちょっと涼……あんた、まさか」
「ほら、効いてきたでしょ」
「さっきのコーヒーにお酒でも入れた? まさか変な薬とかじゃ、な、なひっ
……やっ、ちょ、らめ、あし……たってらんな、あっ……」
「おっと危ない……ほら、支えてあげるね」
「や、やめ……そんなとこさわんないで……やら、涼、やめなさ、ひっ!」
「あぁ、律子姉ちゃんのおっぱい、おっきくて凄く弾力的だね」
「いや、涼、離しなさい……いまやめたら怒らないから」
「平気だよ、もうちょっとしたら律子姉ちゃん、やめたくなくなるって」
「あんたまさか……ダメよ、何考えてるのよ、私達いとこ同士なのよ」
「大丈夫、気持ちよくしてあげるだけだからね」
「いやぁ……涼、お願い、そこは、そこだけはやめて……」

酔ったように体の自由が利かない従姉を少年は軽々と抱え上げ事務机に座らせた。
はだけられたブラウスから黒のブラジャーに包まれた乳房が零れでており、少年は
無造作にカップをまくり直接乳房を揉み始める。
そして抵抗がないのをいいことに、もう片方の手をタイトスカートの中に侵入させると
内股をこすられただけで律子の背筋をぞわぞわと快楽の予兆が這い登っていく
僅かに残った理性が足を閉じようと試みるが、少年の指先がタイツとショーツ越しに
温かい膨らみ触れた瞬間、彼女の抵抗は完全に蒸発してしまった。
第七章 #4
秋月律子の心身を狂わせているのはいうまでもなく吸血鬼の体液だった。
体内に吸収させることで”魅了“をもたらす体液だが、涼が彼女に飲ませたのは
性欲を亢進させる効果を含んだ、女性器から分泌される濃厚な粘液である。
既に恋人でもある先輩プロデューサーによって男を知っていた彼女のこと、
魔性の媚薬を飲まされた時点で運命は決まっていた。

「すごいでしょ、この薬。処女の子でもいきなりチンポで感じるようになるんだって。
でもこの様子だと律子姉ちゃん、処女じゃなさそうだね」
「お、お願い涼、そんなこといわないで、ねえ……わかってるでしょ?」

少年は年上の従姉にそう説明しながら、丹念に乳房を揉み続けているが
下腹部に伸ばした手はまだショーツの上からさわさわと撫でるだけだった。
指が粘液にまみれるくらい、愛液を吸ってぐっしょり濡れた美しい従姉の下着。
それほど体は愛撫を待ち望んでいるのに、わずかな理性が少年を拒もうとする、
美しい従姉の葛藤を楽しげに見守りながら。

「ちゃんと言葉で言ってくれないとわからないって」
「お願い、指だけでいいから……ね、ちゃんと相談にものるから」
「ふーん。本当に指だけでいいの?」
「い、いいわけないでしょ……今だけだから、ダーリンにも内緒にするから」
「じゃあさ、コレ見てどうするか決めてよ。僕だって律子姉ちゃんを無理矢理犯す
なんて乱暴なことしたくないし」

少年はそういうと愛撫を止めた手でワンピースの裾をまくりあげる。
隠されていた少年の下半身が曝された瞬間、律子は悲鳴にも似た溜息を漏らした。
可愛らしいパステルカラーのショーツは張り裂けんばかりに盛り上がり、小さな布地から
完全にはみ出している少年の怒張。
それは律子が唯一知っている、愛するパートナーの男性器とは桁違いの大きさと
様相を示していた。
赤紫にてらてら濡れ光る雁の開いた亀頭だけでも凶悪な形相なのに
どす黒く変色した長大な肉茎には何箇所も瘤のように盛り上がり、話にだけは
聞いたことのあるその筋の男が施す肉体改造を思い起こさせる。
こんなのが入ってきたら、一体どんな感覚がもたらされるのか……
一瞬、そんな想像をしかけた律子は頭を振ってそれを打ち消そうとする。

「どう? ここだけはちゃんと男らしいでしょ」
「そ、そうね……随分と成長したものね」
「良かったら僕の成長を体で教えてあげてもいいけど……指だけでいいんだよね」
「ええ。して……ちょうだい」

掠れた声を絞り出すと、目を閉じて体の力を抜いた。
それを了承の合図ととった少年は、従姉の下着を慣れた手つきで足から抜き去ると
従姉の手を自分の体に抱きつかせてから、その下腹部に手を伸ばした。

「……ぁっ!」

秘部に触れてきた少年の指は思ったよりも繊細で
媚薬で増幅されている神経はいきなり快感を脳髄に送り込む。
目を固く閉じ、頭をのけぞらせて絶え間なく与えられる快楽をこらえようとするものの
すでに性の悦楽を知り始めている雌の体は欲望だけに忠実だった。
仕事場である事務所には似つかわしくない淫靡な水音とはしたない嬌声が
自らのものであると思い知らされた律子は徐々に理性を磨耗させていく。

少年の指は肉襞をなぞり膣口を軽く抉りながらも、律子が密かに熱望している
快楽のボタンだけは巧みに避けていた。
そして律子が無意識にその腰をずり寄せようとするのを察した少年は、指の愛撫を
続けながら隆々と勃起したままの怒張を従姉の性器に近づける。

「涼、お願い、焦らさないで……わかってるくせに」
「さあ、律子姉ちゃんはどこを触って欲しいの?」
「ねえ涼……本当にお願い、このままじゃおかしくなりそうなの」
「じゃあさ、してほしいとこ自分で触ってみてよ」
「んっ……あっ、やっ、熱いよ」

その箇所を示そうとした律子の指が、たちはだかる涼の勃起に触れるのは必然だった。
そしてそれは驚くほど熱く、激しく脈打っていた。

「凄いのね、涼。 こ、ここよ……」
「うん、分った」
「え? ちょ、ちょっと待って……指だけだって」
「大丈夫だよ、無理矢理入れたりなんてしないから」

少年は怒張に指を添えると、律子が自ら示した小さな突起にその先端を宛がう。
触れた瞬間、神経に伝わったのは熱い体温と脈動だけではなかった。
性器と性器が触れ合っている、その事実が律子の雌をより強く刺激し
下半身が本能のままもぞもぞと動くのをとめられない。

「欲しくなったらいってね、律子姉ちゃん」
「ば、バカね……そんなわけないでしょ。それに……」
「それに何?」
「こ、こんなに大きいの、入るわけないじゃない」
「そうかな? あの子はそんなことなかったけど。むしろ大きいのが気持ちいいって」
「だ、誰よあの子って」
「ああ、愛ちゃんだよ。しってるでしょ? 876の新人アイドル」


#5
「愛って日高愛? あの子、まだ中学生でしょ」
「そうだよ。僕のこれが初めてだって」
「嘘よ、そんなの……」
「それなら試してみればいいのに。ほら、律子姉ちゃんがうんっていうだけでいいよ」

秘部にあてがわれた怒張が動かされるたび響くにちゃにちゃという水音につられ
従姉の腰はそれに喰らいつくよう怪しく動く。

「あっ、そんな動かさないで……お願いだからもう終わりにして」
「律子姉ちゃん、本当にそれでいいの?」
「いっ、いいの……気持ちいい、涼のが擦れて、固くて熱い涼のおちんちんが」
「ほら、やっぱりいいんでしょ? それにほら、律子姉ちゃんが腰を前に動かすから
ちょっと入っちゃいそうなんだけど」
「あっ、違うの……」
「僕たちいとこ同士なんだし、あの人には内緒にしておいてあげるから」
「……絶対にいっちゃだめよ、誰にも」
「もちろんだよ。ちょっと試してみるだけだもん、エッチするわけじゃないから」
「そ、そう……涼の成長を確かめるだけなの」
「じゃあ入れるね」

同意が得られてしまうと少年のはもう容赦しなかった。
従姉の上体を事務机の上に押し倒し、タイトスカートに包まれた太ももをしっかり
抱え込むと同時に異形の陰茎を律子の中にずぶずぶと沈めていく。

「あっ、だめよ涼、もっとゆっくり、中裂けちゃう」
「大丈夫だって。こんなにトロトロに蕩けているから」
「やだ、何これ……こんな凄いの、あっ、あぁ、初めてぇ、あぁあああ!」
「ほら、痛くないでしょ?」
「え、ええ…平気よ涼、でも中があなたのでいっぱい」
「まだこれで半分だから、残りもいくよ?」
「え? ちょっと待って、もう無理、奥まで当たってるの」

本能的な恐怖感から腰を引こうとした律子を涼は許さなかった。
抱え込んだ太ももを引きずり戻すと、従姉の体をしっかりと押さえつけて
残りの挿入を果たしていく。

「いやっ、止めて、もう無理、それ以上はいらないから!」
「ほら、子宮に当たってるでしょ? なんならその中まで入れちゃおうか」
「だめよ涼、私の中壊れちゃうから」
「そんなことしないって。ほら、分るかな?」
「え? なに……なんか熱い、中に何か出てる……?」

長大な陰茎のほぼ全てをようやく没入させてしまうと、少年はゆっくりと腰を前後させ
従姉の膣に馴染ませるよう動かし始める。
それの動きが徐々に激しいものになるにつれ、陰茎のあちこちに浮かぶ瘤のような
膨らみが口をあけ、乳白色のどろどろとした膿のような粘液が滲み出していく。
それは吸血鬼の娘がその牙で涼の陰茎に仕込んでおいたさらなる媚薬だった。
犯された女の膣内から吸収させることで間接的に“魅了”をかける特異な能力で
日高愛は涼を通じて876プロダクションの女性全員を虜にしていた。

「熱いの涼、中が……凄くて、あっ、もっと突いて、奥までいっぱいにして!」
「いいよ律子姉ちゃん、いっぱい気持ちよくしてあげるからね」
「あぁ、いいよ涼、あなたのおちんちん、凄くおっきいのが中で暴れて」

激しく犯されながら、頭を持ち上げた律子が従弟と繋がっている下腹部を見れば
心なしか下腹部が陰茎の形に盛り上がっている。
可愛がっていた従弟に蹂躙されながら、吸血鬼の媚薬で溶かされた律子の心は
もう欲望のみで満たされ、その両足が男を放すまいとしっかり絡みつく。

「あっ、凄い、涼、いいの、もっと! あっ、あん、突いて、奥あたって、あぁ!」
「僕も気持ちいいよ、律子姉ちゃんのオマンコ、すごく熱くてとろとろで!」
「そう、いいわ、涼の、涼のおちんちん、もっとちょうだい」
「分った、いいもの、いっぱい上げるからね、全部受け止めてね」
「あぁ、いきそうなの? 涼、あたしの中で、いっちゃうのね?」
「そうだよ……全部律子姉ちゃんの子宮に入れるから」

そろそろ危ない日だったはず、そんな思いが律子の脳裏をよぎったが
吸血鬼によって淫靡な性器に作り変えられてしまった彼女にとって
雄の精液を受け止めることに喜びしか感じられなくなっていた。

「いく、いくよ、出すからね! 律子姉ちゃん、孕ましてあげるよ!」
「あっ、来て、涼、あなたの精液、全部中にちょうだい、わたしの子宮に飲ませて!」
「あ、あ、あぁ、いく、いくよ!」

少年はそう叫びながら、従弟の体をしっかり引き寄せると最後の一突きで
陰茎を奥の奥まで突きたて射精を始めた。
ごぶごぶと音をたて注ぎ込まれる白濁した奔流が子宮口をたたくと
律子の子宮はそれを飲み干すように亀頭に絡みつくと、きつく閉ざされた
口を開き、少年の雄汁が子宮内部に吸い込まれていく。
長々と続いた射精が終わっても、まだ少年の腰は動きをとめず
律子の膣全体に精液を塗りこめていく……


#6

「凄いのね、涼……まだあなたのが入っているみたい」
「良かった、気に入ってもらえて」
「ええ……もう気が狂うかと思ったわよ」
「あの人たちにしてもらうとこれよりもっと気持ちよくしてもらえるよ」
「これ以上があるの? ねえ、それ本当?」
「そうだよ。律子姉ちゃんもこれで僕たちの仲間になったから、今度一緒にしてもらおうよ」
「え、ええ……でもその前に、あなたのこれ、綺麗にしてあげる」

よろめく体を机から下ろすと、律子は椅子に座った涼の前に跪いた。
そして目の前に聳える、まだ勃起したままの陰茎に愛おしそうに指を絡めると
おずおずと口を寄せて先端を含んだ。
少年は満足そうに微笑むと、秘部から精液が垂れ落ちるのも構わず夢中になって
しゃぶりはじめた従姉の頭をいつくしむように撫でてやる。

「ちゃんと撮れてる?」
「うん、ばっちり」

背後からかけられた声をいぶかしんで陰茎を咥えたまま見上げる律子に
涼は笑いながら声の主を紹介する。

「876プロの水谷絵理ちゃん。僕たちの仲間だよ」
「……秋月さんって実は淫乱?」
「な、何よいきなり」
「私も同じ、淫乱だから……ね?」

ビデオカメラ片手に現れた少女は、恥ずかしそうにつぶやくと
もう片方の手でスカートをたくしあげる。
清楚な外見とは裏腹に履いているショーツは扇情的なデザインで、その股間は生地の
上からでも性器の形がわかるくらいぐっしょりと濡れそぼっている。

「あはは、見ていたら欲しくなったんでしょ」
「分ってるくせに……涼さん、エッチの時は意外とドS?」
「うん、そうだね。じゃあ絵理ちゃんは律子姉ちゃんを綺麗にしてあげて」
「ちょ、ちょっと涼……どうする気?」
「いいからほら、こっちおいでよ」

少年は従姉を奥にある応接セットに連れて行くと、腰を下ろした上に従姉を抱えて
その両足を大きく開かせる。

「いや、やめさせてよ。恥ずかしいじゃない」
「秋月さんの中、涼さんの精液でいっぱい……」
「絵理ちゃん、撮影はもういいからさ。律子姉ちゃんのしてあげてよ」
「わかった……言うとおりにしたら、私にも頂戴?」

少女は自分の方をむくようにカメラをテーブルにおくと
二人の前に跪くと徐に律子の股間に口をつけ、じゅるじゅると音をたてて
精液と愛液がミックスされた液体を吸い上げて喉を鳴らす。

「おいしい……涼さんの、それに秋月さんのも」
「いや、そんな舐めないで……あっ、舌はいってくる、んっ、やぁ、またきそう」
「どう、絵理ちゃんの舌も気持ちいいでしょ?」
「あっ、あぁん、これちょっとダメ、また欲しくなる、あぁ、涼!」
「独り占めはよくない……?」

律子の膣内から溢れた精液を飲み干し、性器周辺にこびりついた粘液も
綺麗になめとってしまうと、水谷絵理は立ち上がってショーツを脱ぎ捨てる。
その動きをみた少年は抱き上げた従姉をソファーに下ろして座らせると
絵理を向かい合わせに抱きつかせてその腰を後から掴んだ。
涼の意図を察した絵理は、律子に抱きつきながらぴったりと唇を合わせ
口内に残った精液を唾液と混ぜて送り込む。
その背後に立った涼は、絵理の華奢な下半身を大きく割り広げると
愛液の垂れる性器につき立て無造作にその全部を突き入れた。

「ひっ、ひぅ!? いきなり深すぎ……」

だが最初の衝撃から立ち直った絵理は、外れた唇をもう一度重ねあわせ
今度は舌を入れて律子に同調を促す。
もはや律子に成すすべはなく、絵理によって口内と乳房を嬲られながら
再び疼き始めた性器に手を伸ばし、指で中をかきまぜはじめる。
そして涼が絵理の中にたっぷり精液をぶちまけると、誰にいわれるまでもなく
少女の幼い秘裂に口をつけて従弟の放った白濁を味わい飲み干していく。

「律子姉ちゃん、これからは僕たちのいうことをちゃんと聞くんだよ」
「う、うぅ……わかってるわよ、だからお願いよ、涼……」
「約束して、765プロのアイドルの子達を僕たちの仲間にするのに協力するって」
「する、なんでもするからお願い涼、あなたのチンポ、早くいれて!」
「うん。いれてあげるね、律子姉ちゃん」
「あっ、あぁああ、来た、太いのがいっぱいに、涼、あなたのチンポで
あたしを滅茶苦茶にして!!」

性欲に塗れた三人の男女は夜が更けるまで獣のように交わりを続け
ようやく行為が終わりを迎えた頃、律子の体は涼の精液と吸血鬼の媚薬によって
完全に犯され果て、日高母子の忠実な下僕として生まれ変わっていた。

第七部 おしまい。



第八章


#1

「いってらっしゃい、千早ちゃん。プロデューサーさんも気をつけてくださいね」
「大丈夫ですよ、そんなに遠い場所ではないですから」
「いえいえ、二人きりのお泊りだから心配してるんですよ?」
「音無さん、千早の前でそういう冗談はやめて下さい」
「ふふ、千早ちゃんは身持ちが固いから大丈夫でしょうけどね」

それがそうでもないんです、そう心の中で呟いたのは音無さんの心配があながち
冗談でもなかったからだ。
予定が変わって前泊になったのは仕方ないとして、それがプロデューサーと二人きり
というのは想定外だった。誰か女の子と一緒なら旅行気分でゆっくり楽しむ気分にも
なっただろうけど、プロデューサーとならどうしてもこの前のあれを思い出してしまう。

麗華のサプライズで会うことになった秋月涼がそもそもの発端だ。
彼女、いや彼が麗華の牙を突きたてられたペニスから精液を迸らせた光景は
かつて私が幼い弟にしでかしたおぞましい記憶を鮮明に思い出させてくれた。
罪悪感から男性を忌避するようになり、女の子と同性の悦楽に耽るようになったけれど
もう一度男性と交渉を持つことで何か変化があるかもしれない。

だけど今さらそんなことをしても優は戻ってこないのだし、所詮私は人成らざるもの。
つまらないことで悩んでも仕方が無い。事務所を掌握するため、いずれは音無さんや
プロデューサーにも手にかけなければならないのならこれは好機と考えるべき。
今夜彼の部屋を尋ねてみて、チャンスがあれば彼の血を試してみよう。
そう結論を出すと、私は窓の外を流れる夜景に心を移した。



「気をつけてね、千早ちゃん。気を抜いちゃだめよ?」

そう呟きながら走る去る車に手を振ってから、小鳥はがらんとした事務所を見回す。
夜も更けてきたこの時間、戻ってくるアイドルはいないはずなのに彼女の視線は
入り口のドアで止まったまま動かない。

「さてと。こっちもそろそろかしらね……」

小鳥の呟きに呼応するかのようにヒールの足音が階段を上ってくる。

「あらあら、みんなまとめて来てくれたみたいね」

嬉しそうに呟いた唇からのぞく白い歯に蛍光灯の明りがきらりと反射する。
だがドアが開いて明るい室内に姿を現したのは、眼鏡をかけた女性一人だった。
彼女、秋月律子は訝しげな表情で室内を見回してから事務員に声をかける。

「お疲れ様です……あれ、小鳥さんお一人ですか?」
「ええ、そうだけど。誰かお探しですか?」
「あ、えっと……千早とプロデューサーがまだいるはずだと思って」
「あら残念。予定が変わってさっき出たところよ。惜しかったわね」
「いえ、別に用事があるわけじゃ……」
「そうね、用事があるのは律子さんじゃなくてそっちのお客さんだものね」

小鳥の視線は目の前の秋月律子を通りぬけて玄関の方を見透かしている。

「あはは、なんでわかっちゃったんですか?」

そう応えたのは、ドアの影からぞろぞろと姿を現した少女達の中で
一番小柄で幼い女の子だった。

「千早さんに大事な用事があったんですけど、いないんですか?」
「千早ちゃんなら今頃プロデューサーさんと二人っきりで……ふふっ、うふふふ」
「いないんならしょうがないですね、代わりにこのお姉さんをやっちゃいましょう!」
「あら、何かされるのかしら」
「大丈夫、怖くないから。むしろ気持ちいい?」
「そうですよ、普通の人では味わえない快楽を教えてあげます」
「まあ……もしかして律子さんもグルなのかしら?」

だが彼女は小鳥の問いには応えず、二人の少女と示し合わせると
彼女を取り囲むと包囲の輪を縮めてゆく。



#2

宿泊先のホテルについたのは日付が変わる少し前だった。
疲れも眠気もたいした事はないけれど、明日の事を考えれば今から彼の部屋を
訪ねて事を行うには時間が遅すぎた。
今夜はおとなしく眠ろうとエレベータに乗ったところで彼が口を開いた。

「千早、寝る前に少しだけ時間いいかな? 明日は早くからバタバタするとおもうから
今夜のうちに段取りの確認だけでもしておきたいんだ」
「私は別に構いませんが……」
「じゃ、荷物置いて着替えたら俺の部屋に来てくれ」

こんな時間から部屋に呼ばれるのが意外だったけれど、声にも表情にも変わった
ところは感じられず、私はそれを彼らしい仕事熱心さだと受け止めた。
私がアイドルを生業としていられるのは彼のおかげと言っても過言ではない。
若く経験が浅いとはいえ、プロデュースの才能は中々のものらしく私だけでなく
春香や美希、他の子たちもどんどんランクアップを果たしている。
今夜はそんな彼に敬意を表し、真面目な如月千早を演じよう。
せっかくのチャンスだけど焦る必要はない、そう判断するとシャワーはあとにして
パジャマ代わりの部屋着に着替えただけで彼の部屋に向った。


開いたドアの向こうが妙に暗い……そう思ったときには手首を掴まれ
部屋の奥まで引きずり込まれると乱暴にベッドに投げ出された。
跳ね起きようとしたところに彼がのしかり、呼吸と視界を塞がれている間に
両手を押さえつけられ、開かされた足の間に下半身が割り込んでくる。
懸命にもがいてなんとか息を整えた時には完全に組み敷かれていた。
暗くて表情は伺えないけれど、無言で荒い息の彼から感じられるのは
肌に感じるほど生々しい剥きだしの情欲だった。

真面目な彼が突然こんなレイプまがいの行為に及んだ不審さを考えるべきだったのに
その時の私はろくに抵抗もせず、今から自分がされることを考えていた。
いや、正確にはそれを期待していたというべきだろうか。
一瞬の隙さえあれば簡単に逆転できる自信があったからこその余裕だけれど
以前、四条貴音に攻められたときのことを思い出し、主導権を奪われた状況で
嬲られることで得られる快感を無意識に望んでいたのかもしれない。

「プロデューサー……やめてください」

弱々しい声に怯えを混ぜて目の前にある彼の耳にそっと吹き込むと
一旦弱まりかけた拘束の力が強くなり、下半身がぎこちなくうねり始める。
衣服が無ければ男と女が交わっている姿勢そのままに、性器が性器に刺激される。
いきなり暴挙にでた割にはどこかぎこちなくて遠慮があるような彼の動きだけれど
男性との経験が無い私は、初めて異性から受ける愛撫に好奇心を刺激され、
最後の一線を越えない限り、彼に委ねようという気になっていた。

男らしいごつごつとした手や指で触れられるとどんな感触なのだろう?
男の唇と舌に愛撫を受けるのは女とどう違うのだろう?
そして……大人の男性器はどんな姿形をしているのだろう?
私は体の力を抜いて無抵抗の意思を表してみせる。

「プロデューサー……乱暴なのはやめてください」

否定とも肯定とも受け取れる言葉に、彼は私の望む方で受け取ったらしい。
私の体は今までの行為に反応して潤み始めているけれど、痛いだけでは興ざめする。
どうせなら乱暴な快楽を追求させてほしい、そんな思いを果たすかのように
痣ができるほど強く握られた手首を万歳する格好にさせられ、無防備になった腋に
顔を突っ込まれ汗ばんだそこを彼の舌が這い始める。

「ひぃあっ、そ、そこ、やめ、あっ、あぁ……」

思わず声をだしてしまったほど、舐められる舌の感触が生々しい。
彼は私が反応したことに気をよくしたのか、さきほどよりも執拗に腋を舐め続ける。
熱くざらざらした舌が這い回るたび、我慢しきれない喘ぎが徐々に大きくなる。
乱暴な拘束とあいまって、無理矢理与えられる快感で私の体は心より先に
欲情に濡れ、汗と体液で下着がぐっしょりと濡れていく。

「プロデューサー、許してください……そこ、そんな舐めないで」

雄に犯される非力な雌を演じる台詞を、半分は本気で口走りながら
そんな自分に酔ったように快感は高まっていき、冷静な意識が侵食されていく。

私の中で目覚めた雌が本気で雄を求めようとしている。


#3

「本当はゆっくり遊んであげたかったけど、このあと大事な予定があるからごめんなさいね」

音無小鳥は足元に倒れ伏した少女達を一瞥すると、憤怒の表情を浮かべて立ち尽くす
小柄な少女に視線を移した。

「絵理さんや涼さんに何をしたの?」
「うふふ、無鉄砲なのはお母さん譲りかしら、日高愛ちゃん」
「ど、どうして!?  どうしてあんたなんかがこんなこと……」
「あら、どうしてかしらね」
「あんたも如月千早の手先だったのね!」
「うふふ……面白い発想ね。この程度の力で千早ちゃんをどうにかしようだなんて」
「う、うるさい、だまれ!」

挑発を真に受けた少女はいきなり突進し音無小鳥に飛び掛っていく。
その少女を空中で捕まえると、首根っこを掴んで床に押さえつける。

「はいはい、大人しくしてね」
「やめろー! はなせ!」
「こんなに可愛い顔して、涼ちゃんをたらしこんだなんて悪い子ね」
「は、離せ! あんたも如月千早もまとめて下僕にしてやる!!」
「男の子を操って下僕を増やしていく能力……流石、親子だけあるのね」
「どうしてそれを!?」
「こんな悪だくみ、もしかしてお母さんの指図かしら」
「う、うるさい! あんたには関係ないでしょ!」
「そうかなぁ……親子二代、揃って私の餌になるのだから関係あると思うけど」
「お、お前……お前だったのか!」
「せっかくだからあなたの力もお姉さんが頂いちゃうわね」
「わ、やめろ、噛むな! ダメだから、いやぁ、やめて!」
「心配しないで、ちょっと吸うだけだから……」

音無小鳥は少女の体をまるで人形でも扱うように軽々と持ち上げると
慈しむよう胸に抱きしめ、少女の華奢な首筋にぷつりと牙を突きたてる。

「いやだ! 助けて、ママ!! いやっ、あぁ、あ……んあぁ……」

ちゅる、じゅるりと血を啜り上げる音が薄暗い事務所に響く。
弱々しく抵抗する少女だが、音無小鳥の唇から鮮血の雫が零れ落ちる頃には
ぐったりと力が抜け、時折痙攣するように小さな体が震えていた。

「あぁ……やっぱり若い子の血はいいわ。 でも……千早ちゃんのために
とっておかないとね……」

満足げな溜息をつくと、頚動脈に穿った傷跡を丁寧に舐めて塞ぐ。

音無小鳥は気を失った日高愛をソファーに横たえると、床に崩れ落ちたままの
三人に目を向ける。

「まだ時間は大丈夫ね。せっかくだから愛ちゃんで物足りない分頂いちゃおっと」

気を失ったままの絵理の上体を抱え上げると、血の気を失った青白い頬を
軽く叩いて目を覚まさせる。

「……わ、私どうしてここに? あなた……誰?」
「ふふ、あなたも可愛い。いただきまーす」

水谷絵理は日高愛の魅了から解放された直後、その混乱が醒めないまま
新たな吸血鬼の牙で深々と貫かれると、遠慮のない吸血の衝撃によって
二度目の失神に落ち込んでいく。

「さて、お次は涼ちゃん……こんな若い精にありつけるのだから
愛ちゃんには感謝しないとね」

先ほどまでの落ち着きをかなぐり捨て、音無小鳥は女装の少年を担ぎ上げると
衣裳部屋に敷かれた畳に横たえ着衣を剥ぎ取っていく。
少年の裸体には似つかわしくないパステルカラーの下着、その小さなショーツから
はみ出した男根は音無小鳥が思わず舌なめずりしたほどアンバランスで異様だった。

「あぁ、こんなに逞しいだなんて……お姉さん、嬉しいわ」

彼女は事務服を脱ぎ捨て全裸になると気絶から冷めやらない少年に覆いかぶさり
男が女にするよう愛撫を始める。
手始めに唇を奪うと、顎から首筋にそって舌を這わせ、自身をじらすかのように
小粒な乳首を丹念にねぶり尽くす。
その間にも少年の男根にこすり付けている股間から、バターを溶かしたようなトロトロの
液体が溢れ、その刺激によってか徐々に男根に血が通い始めていく。

「うふふ…この大きさ、社長のといい勝負ね。お味の方はと……」

真っ赤な唇を大きく開くと、興奮のあまり伸びてきた牙をきらめかせながら
喉奥につきあたるまで少年の勃起を飲み込んでいく。
そしてじゅぽじゅぽと卑猥な水音を立てる口淫が果てると、鋭い牙はそこだけは
少年の姿を残したて陰嚢に深々と突き立てられた。

「これでオッケーね。じゃ、朝まで頑張ってね」

音無小鳥は少年に跨ると高々と聳える少年の巨根をその湿った肉壷の中に
やすやすと咥え込んでいく。



#4

薄暗い部屋に満ちていくせわしない呼吸の音と汗ばんだ体臭。
プロデューサーは私の腋を散々舐めまわしてから、ようやくそれに気付いたように
シャツをまくりあげて胸をあらわにする。
身もだえして見せたのは抵抗ではなく、焦らされるのを嫌がった催促。
それに応えるよう、彼は相変わらず無言で私の胸に吸い付いてくる。
それは女の子にされるよりも強く、興奮で固く尖った乳首は彼の舌で転がされ
時折強めに甘噛みされるのが痺れるほど気持ちがいい。

胸全体が唾液まみれになるまで愛撫は続き、彼の体重で押さえられている
股間の疼きはもはやどうしようもないくらい昂ぶっている。
下着はとっくにぐしょぐしょに濡れ、悶えるたびに彼の性器と布地越しに擦れあって
ニチャニチャまとわりつくのが鬱陶しい。
いっそのこと脱がされ、思う存分弄られたい、そして舐めまわしてほしい。
りんにされたように舌で中までしゃぶりつくしてほしい。
私の本能がそんな風に求める一方で、頭の片隅では理性が囁いている。
いまここで欲望のまま、彼を受け入れてしまってはいけないと。

そうこうしているうち、乳房に飽いたのか彼の指がお腹を伝いズボンにかかる。
ゆったりしたハーフパンツは侵入をあっさりと許し、下着の上からいきなり性器に
触れられて私の背中がぴくりと跳ねる。
太くて逞しい指を男性器と誤認した私の性器が熱と潤みを加速させていく。

このまま流されてはいけないと思いながら、体がいう事を聞かない。

「プロデューサー、それ以上はだめです」

残った理性でなんとか言葉を繋いでみたけれど、プロデューサーは相変わらず無言、
というより私の声が聞えていないかのように愛撫は続く。

「責任とってくれるのですか?」

あえて冷めた声を作ってみても、彼の指は構わず布地をめくり中に触れる。
強引なくせに焦らすようなタッチで丁寧に性器をなぞっていく動きがもどかしく
やはり体は勝手に彼を、彼のものを求めようとしている。
彼がハーフパンツごと下着を脱がせようとしたとき、自然と腰が浮いてしまう。
足がひろげられるとぐしょぐしょになったその部分はもう隠しようがなく
近づいてくる彼の頭をただ見守るしかない。

太く分厚い男性の舌が私の性器全体を刷く、それだけで私は悲鳴のような喘ぎをあげ、
顔をのけぞらせていた。
このまま彼に食べられる、貪られてしまう。
そんな恐れも私の体を焚き付け徐々に私の心は傾いていく。

開いた足の向こうで彼が体を起こし、下半身を解放しようとしているのが見える。
彼のを見てしまえば心も奪われてしまうかもしれない、そう思って目を閉じた私に
彼の体が重くのしかかってくる。
あぁ、やはり……ここで彼に奪われてしまうことになるのか。
できることなら私の体は……私の初めては優にあげたかった。
だけど叶わぬ夢ならば、捨ててしまえば諦めがつくかもしれない。
痛みと衝撃にそなえ、息を整え体の力を抜いてその時を待つ。

だけど何も起こらなかった。
彼の腰は前後に動いているものの、ただ私にこすり付けているだけだった。
触れているものの違和感に気付いて手を伸ばしてみると、彼のものはだらりと
したまま……つまり勃起していないということ?

その時になってようやく私は違和感の正体に突き当たった。
この部屋に来てからの事を振り返ってみると、思い当たるところは幾つもあった。
違和感の正体、それはプロデューサーの行動全てがそうだったこと。

「千早、すまない……体が勝手に動いて止まらないんだ」

押し殺した、というより無理矢理搾り出したような囁きが耳を打つ。
その悲痛な響きにようやく事態を悟り、彼を跳ね除けると部屋の明りをつけた。



#5

「あら、いいところで呪縛が解けてきちゃったか。さすがにこれだけ離れて
コントロールするのは難しいみたいね」

音無小鳥は秋月涼に跨ったままペロリと舌を出した。
もう何度も少年の精を吸い上げているらしく、結合部分から流れ出した液体が
混ざり合って畳に大きなシミができている。

「さて、千早ちゃんはこの状況をどうするのかな?」

そういって気だるげに腰を持ち上げると、いまだ天井を向いたままの勃起を咥え
陰茎にまとわりついた精液を丹念に舌でこそげ落としては美味そうに喉を鳴らす。

「ま、プロデューサーさんがダメでも涼ちゃんと……ううん、やっぱりそれはダメね」

小鳥の口内で無理矢理勃起を強いられ、再び天を向く少年の怒張。
それを跨ぐと腰をひねって濡れた秘裂で亀頭を探り当てる。

「せっかくあそこまで育ったんだから最後は私じゃないと」

無造作に腰を落として少年を根元まで咥え込むと、他のことは忘れたかのように
激しく腰を上下させて狂った快楽に没入していく。




「冗談でないのなら説明して下さい、どういうことか」
「すまん、説明しようにも……気がついたらこうなっていたとしか」

彼が“魅了”によって操られているのは疑いようがない。
あえて質問したのはそれをいつ、誰にされたかを探るためだった。
事務所を出てここに着くまでの間、怪しいことはなかったしそもそも距離も時間も
遠すぎてとても“魅了”の及ぶ範囲ではない。
だとしたらホテルで待ち伏せしていたと考えるのが自然……
慌てて部屋のドアにチェーンロックをかけ、神経を集中させて気配を探ってみたけれど
同族の気配はまるで感じられなかった。
少なくともこのホテルを中心とした数キロ程度の範囲だけれど。

未知の同族、恐らくは敵が何を目的に彼を操り私を襲わせたのか。
分らない事は他にもあるけれど、自然に“魅了”が解ける程度の力なら
そう恐れることもない。

考え事に一区切りをつけると、仰向けのまままだ身動きできない彼を振り返る。
いずれにせよかけられている“魅了”はなんとかしなければならない。
それに気持ちは冷めてしまっていても、中途半端に刺激された体の火照りは
残ったままで、解消できなかった欲求不満がじくじくと疼いてやまない。

「プロデューサーは私に何をしたか……覚えていますか?」
「あ、ああ。……途中からだけど」
「よかったですね、私を傷物にしなくて済んで」
「本当に申し訳ない……必ず償いはする。だから千早、お願いだ。
俺の意思であんな事をしたんじゃないと信じて欲しい」
「そんな言い訳が通じるとでも思うのですか?」
「本当にすまない……あっ、千早?」

私はベッドから立ち上がると羽織っていたバスタオルを落として裸に戻った。

「償いはなんでもすると……でしたら私を満足させてください。それが条件です」
「待て千早……頼むからそういうのはやめてくれ」
「何を今さら。力づくで私を辱めておいて」
「違う、違うんだ……」
「それとも失望しましたか、真面目な如月千早が実は淫らな女だったと」
「そ、そんなことは思わない」
「これは私の秘密を知った罰です。本気でしてくれいとどうなるか、分ってますね?」

明りはそのままに、身動きのままならない彼の顔を跨ぐとゆっくり腰を下ろす。

「さっきの続き、してください。プロデューサーの口で……口だけで私を」
「や、やめろ千早……頼む、もうやめてくれ」
「プロデューサーのここはそう思っていないようですね」

力を失いだらりとしていた彼の股間が徐々に立ち上がりつつある。
もはやそれ以上会話するのも面倒になり、顔に股間を落として黙ってもらう。

程なくして彼の舌がゆっくりと私をなぞり始める。
やはり意思のある方がいいのは当然で、さっきよりも快感ははるかに大きい。
それに猛々しく聳えるペニスを見ていやがうえにも気分が高められた私は
ゆっくり体を前に倒すとそれを両手で包みこんだ。
性器周辺を舐めまわす彼の舌がおずおずと膣に侵入し始めたのと同時に
私も彼の熱く固いペニスにそっと唇をつけ、ゆっくり飲み込み始めた。

禁忌を犯す行為のさなか、彼は何度も私の名前を呼びながら
懸命に舌と唇で私の性器に快楽を送り続ける。
そして一番敏感な部分を集中的に責められ絶頂に登りつめた瞬間、
彼もまた限界を迎えたのか、私の口に精液がたっぷり注ぎ込まれる。
刺激的な味わいを感じながら、欲望を満たされた私はまだ射精の続く
ペニスに優しく牙を突きたて、溢れてくる鮮血と一緒に精液を飲み干していく。



「あらあら……千早ちゃん、魅了をかけずに大胆ね♪ 責められるときも可愛かったけど
責めるのも意外といけるなんていいわぁ」

音無小鳥がぐったりした少年から立ち上がると、数え切れないほど発射された
若い雄の精液が幾筋もの流れをつくって太ももを滑り落ちていく。

「さて、あとは千早ちゃんを美味しくいただくだけね。でもその前にここを片付けないと」


#6
行為を終えても自分の部屋に戻らなかったのは、彼にかけられていた“魅了”を
私が上書きできたのか確かめるためだった。
彼を“魅了”した相手が格下なら、私が噛んだ時点で影響は断ち切れたはず。
それを自分の目で確かめるため、彼にかけた暗示は軽いものだった。
私と同衾しているのを不審に思わない程度に、
だけどベッドでの出来事は忘れない程度に。

そのような理由があったとしても、今は穏やかな彼の寝顔を見ていると
春香や美希に対するのと同じような感情が私の中に生まれてきている。
それに男の腕に抱かれて眠るのは思ったよりも心地がよかった。

気がつけばもう朝だった。
先に目覚めた彼の、私を見つめる眼差しで自分の判断に確信を持った。
だけど念には念を入れて。時計を見てもまだ余裕はあるみたいだし。

「おはよう千早。よく眠れたようだね」
「プロデューサーのおかげです……こうしていると安心できるみたいで」
「それはよかった。そろそろ起き……」
「……もう少し、このままで」

彼の背中に回していた手をシーツの中で移動させ、そっと触れてみる。
それが生理現象のせいだとは知っているけれど、熱さも固さも充分すぎる。

「プロデューサー、昨夜のこと覚えていますか?」
「……あ、ああ」
「ここにも……触れてみてください」

胸に誘った彼の手が、私の乳房を包み込む。
そして彼の目を見ながら、握り締めたその分身をゆっくりと刺激する。
私の意を悟った彼はも同じように手を動かし始める。
だけど胸への刺激だけではすぐ物足りなくなってくる。
性器が疼いてじんじんとした熱さがさらなる刺激を求め始める。

シーツを跳ね除けベッドからおりると、窓際にある椅子に腰を下ろす。
そしてその部分を見せつけるよう足を大きく開いて見せた。

「プロデューサー……昨日みたいにしてください」

彼は躊躇うことなくベッドを降りると、私の足元に膝をついた。
そして恭しくそこにキスを一つすると、昨夜以上の熱心さで性器全体を舐め始めた。
これなら大丈夫、彼はもう私の下僕とみて間違いない。
膣を抉られ、敏感な肉の芽を啄ばまれていると、私の欲望は久々に口にした
精液の苦くて甘い味わいを貪欲に求め始めている。



「お帰りなさい。お仕事はうまくいきました?」
「ええ、たいした問題もなく順調でした」

遅い時間、事務所に戻った私達を迎えたのは音無さんの明るい笑顔だった。

「千早、衣装だけ片付けたらもう帰っていいぞ」
「プロデューサーはまだ仕事ですか?」
「まだやることが残ってるからな。今日はゆっくりやすむんだぞ」

それを感じたのは、衣装室のドアを開けたほんの一瞬だった。
違和感というには小さい、ごくささいな感覚のズレのようなもの。
車に揺られながら居眠りしていたせいかと思いながら、バッグから出した
衣装をハンガーにかけ、クリーニング行きのタグをつけておく。
アクセサリーを片付け部屋を出ようとしたとき、今度ははっきりそれを感じた。
残り香のように部屋に残っていたのは、同族が発する信号の残滓らしかった。

この事務所に出入りしている人間の誰かが同族……?

プロデューサーにかけられた“魅了”と何か関係するのだとしたら?

私の回りで何か予想もつかないことが起ころうとしているのかもしれない。
何度か大きく深呼吸をして強張った表情を直してから部屋に戻ると
打ち合わせを始めた二人に挨拶をして事務所をあとにした。



#7

平穏な数日間のあと、その日は唐突にやってきた。
過密なスケジュールのせいでしばらく血と性から遠ざけられていた私は
このところの飽食のおかげで、募る飢えと乾きを持て余し気味だった。

誰かを呼ぶにも時間は遅すぎるのに悶々として寝付けそうに無い。
街に出て手頃な獲物を物色しようかとさえ思いかけた時、携帯電話の振動が
着信を伝えた。

「ごめん千早、こんな時間に……まだ起きてたわよね?」
「どうしたの律子、何かあったの?」
「今から事務所に来れないかな……ちょっと困ったことになって」
「構わないけれど……仕事のトラブル?」
「え、ええまあ……タクシー代は持つから頼むわね」

よほど困ったことなのだろう、慌てた感じで通話が途切れた。
いつもの落ち着きがない、上ずった声と乱れた呼吸。
違和感があったにせよ、状況によっては律子で欲望を満たせるかもしれない。
そう考えた私は手早く着替えを済ませると、通りに出てタクシーを捜す。



同族を察知する力がそれほど高くない私でも感じ取れたくらい、事務所から漏れ出した
空気には肌に粘りつくような濃厚さがあった。
中で同族による行為が律子相手に行われているのは間違いなかった。
相手がこの前プロデューサーに仕掛けてきたのと同じかどうかは不明だけれど
律子を使って呼び出してきたことを考えれば、友好的な相手とは考えにくい。

ドアの前まで来ると、気配はよりはっきりとわかった。
中にいるのは律子のほかに三人。うち一人が秋月涼だと分ったところで
静かにドアロックを開けると事務所の中に滑り込んだ。
明りが消えて静まりかえった事務所、その奥にある衣装室が気配の源だった。
時折聞える喘ぎは明らかに律子のものだけれど、その異様な響きを聞くだけで
中で何が行われているのかがわかる。
他の二人も女の子で、うち一人が同族だけどさほど強い力は感じられない。
用心しながら開いた扉の向こう、侘しい蛍光灯の明りの下で三人の男女が
裸で絡み合っていた。

「あぁ、涼、凄いの、あなたのおちんちん、奥まで届いて」
「涼さんの舌、膣を抉っていやらしい?」
「律子さん、いっぱい感じちゃってくださいね」

二人の女性に跨られ顔は見えないけれど、畳の上に仰向けになっているのは
髪型から見て秋月涼で間違いなさそうだった。
彼の顔に跨って性器を押し付けているのは同じ876プロ所属の水谷絵理で
彼女は性器を貪るのに夢中の律子に手を伸ばしては乳房を揉みしだいたり
唇を貪ったりと忙しい。
複数での交歓は何度も経験しているけれど、いざ客観的な立場でみれば
思ったより以上の生々しさがある。
このところプロデューサーの精液に味をしめた私にすれば、秋月涼のペニスを
もう一度試してみたい気もするけれど、その前に片付けることが一つある。

「日高……愛さん、だったわね。どういうことか説明してくれるかしら」
「見て分りませんかー? 千早さんにも参加してもらうためですよ」
「そう……あなたは見ているだけなの?」
「まさか。もちろん私も参加しますよ」

日高愛はそう言い放つとあっさり服を脱ぎ、幼い体のラインを私の前にさらした。
まだ成長途上でも、健康的な中学生の裸体には本能的な食欲をそそられる。
彼女を牙にかければ私の力はさらに強くなるはずだから、食欲と性欲の二つを
満たす女の子を手に入れることができる。

そのためには彼女の素性や目的など知る必要がいくつもある。
まずは彼女の挑発に乗った振りをして、その手段を探り出すことにして
彼女に挑む視線をぶつけながら、パーカーを脱ぎ捨てた。
普段ならもう少し冷静な対応をしたのだろうけど、欲求が溜まった状態で
いやらしい乱交を見せつけられた体が火照り始めている。

「じゃあ律子さん、絵理さん、代わりましょうか」


#8
のろのろと腰をあげた律子の体内から現れた男性器は、この前麗華と見た時よりも
さらに大きくグロテスクに変化していた。
律子の体液に濡れて赤黒い光沢を放ちながら、女性器を貪り足りないかのように
びくびくと蠢動を続けるそれを日高愛は小さな手のひらで捕まえゆっくり跨っていく。
小柄な少女には到底無理に思えたサイズなのに、彼女は苦も無く巨大なペニスを
性器にあてがうと、無造作に体重をかけてその全てを胎内に飲み込んだ。

「あーっ、涼さんのやっぱすごいです!」
「あ、愛ちゃん……なか、凄く熱いよ」
「ほら、千早さんも一緒にしましょうよ、ねっ、こっち来て!」

幼く愛くるしい少女がグロテスクなペニスを貪る姿は異様の一言に尽きた。
それなのに私は、男性経験が皆無なのに体の芯から突き上げる疼きは
まるでペニスを求めるよう股間を熱く濡らしてゆく。
衝動に耐え切れずズボンを下ろすと、濡れたショーツも脱ぎ捨てた。

決して日高愛の“魅了”にやられているはずはないと思いながら、彼女の視線からは
逃れることができず、誘われるまま二人に歩み寄ると秋月涼の顔をまたいだ。
プロデューサーによって男性からの愛撫に慣れたせいか、以前のような不快感はない。
腰を下ろして女性器が秋月涼の顔に接した瞬間、彼の舌が濡れた性器全体をべろりと
舐め上げ、予想以上の快感に跳ね上がった体を日高愛の手が押さえ、そのまま私は
彼女に抱きよせさら唇を重ねあう。
ふっくらと瑞々しい感触と甘い香りの唾液を味わいながら、下半身の唇は秋月涼の
舌の蹂躙を許すどころか、膣内をも這い回るざらついた感触に酔い痴れ始める。

「……ね、気持ちいいでしょ?」
「そうね。中々楽しめそうだわ」
「涼さんのコレ入れるともっと気持ちいいんです。後で代わって上げますね」
「……考えておくわ」

そうはいったものの、先ほどから続く刺激で私の理性も限界に近かった。
秋月涼に嬲られている女性器は彼自身を求めるよう熱く疼き、絶え間なく流れる
愛液が彼の顔をびしょびしょに濡らしている。

流されかけているのは明らかだった。
このままでは日高愛に誘われるまでもなく、秋月涼のグロテスクなペニスを
自ら求めてしまいかねない。
私のからだを捧げる相手を間違えてはいけない。
わずかに残った理性の命じるまま、私は目の前で無防備に腰を振り続ける
日高愛を抱き寄せると、その首筋に唇を這わせた。

「んっ……はぁ、千早さん……気持ちいい……です」
「そ、良かったわね」
「それなら私達の仲間になってもらえますよね」

彼女が何を考え、何をしようかはもうどうでもよかった。
私は吸血鬼の本能に従い、目の前の首に牙を突きたてると満たしきれない
性欲の分もあわせ、彼女が意識を失うまでたっぷり血を啜り上げた。

ぐったりと力の抜けた日高愛の体を持ち上げ、秋月涼の隣にそっと寝かせる。
ペニスを求める気は失せていたけれど、彼らを放っておくわけにもいかない。
気を失いながらもまだ聳えたままのそれを苦労して口に入れると
伸ばした牙を硬い肉径につき立て、溢れてきた血液と精液を混ぜて味わう。
それだけでもう充分すぎるほど欲望は満たしたけれど、久々に同族の血を
思う存分味わったせいで高揚していた私は、横たわったままの水谷絵理と
律子も同じように牙を立て、粘液と血液をたっぷりと味わう。
それからもう一度日高愛を抱き上げると、可愛らしい顔に似合わず発達した
真っ赤な肉襞に口をつけると、膨れ上がった肉の芽に牙を突きたてた。



饗宴が果てたあと、日高愛に語らせた話で一つの事実が明らかになった。
十数年前、芸能界に存在したという極悪非道な吸血鬼。
それが彼女の母親であり、かつては伝説のアイドルであった日高舞であると。
確かに彼女の残した伝説の数々は人間離れしているともいえる。
大筋では東豪寺麗華の掴んだ情報と一致していることもあるけれど
同時にいくつかの疑問も浮かんでくる。

それだけ力を持った彼女がなぜあっさりと芸能界を引退したのか。
目の前にいる娘、日高愛を身篭ったのがその理由なのか?
そしてこれほど長い間沈黙を守っていたのは何故か。
吸血鬼としてはまだ非力な娘を使い何かを企んでいるのか。

あるいはそうせざるを得ない事情があるのだとしたら?


だが今は考えても分るわけがない。
今夜のことで、いずれ何らかのリアクションが起こるはずだから
そうなれば疑問も解消できるかもしれない。
いずれにせよ今夜はもう遅すぎる。
東豪寺麗華に話を伝えるのは明日以降にして、この場を片付けなければ。


#9
「千早ちゃん、このあと何か予定ある?」
「いえ、特には。あの、何か仕事の話でしょうか」
「ううん、たまには一緒にご飯でもどうかなって」

仕事を終えた報告と明日の打ち合わせのため事務所に戻ってきたのだけれど
プロデューサーは出先から直帰、アイドルも誰一人残っておらず当てが外れて
帰ろうとしたところに声をかけられた。
敬遠するわけではないけれど、二人で食事をするほど親しいわけでもなくて
このところ食傷気味で欲求もわかない私は彼女の血を吸う機会よりも一人で
ゆっくり寛ぐことを選択し、それとなく断る口実を考える。

「あの、食事は外で済ませてきたので……」
「そっか。じゃあ飲むだけでもいいから付き合って、ね?」
「飲むって……私、未成年です。それに学校の課題もあるので」
「そうなんだ。でも少しくらいは話に付き合ってくれるかな、弟さんのことなんだけど」

彼女に背中を向けていたから強張った表情には気付かれなかったはず。
家族のことは事務所には伏せていたけれど、家族構成くらい調べればすぐ分ること。
いまは音無さんが弟のことを持ち出してきた理由がわかるまではぐらかすしかない。

「確かに弟はいましたけど、それはプライベートなことなので……失礼します」
「やだ、帰っちゃうの? 弟さんとは会いたくないのかな」
「音無さん、からかうのはやめてください」
「日高愛ちゃん、美味しかったでしょ?」

聞いた瞬間振り返り、全力の“魅了”を音無さんにぶつけていた。
微笑を浮かべたまま棒立ちになった彼女をどこで始末するかを考えながら
ついぞ私は彼女が同族であることに気付くことはなかった。



音無さんが私を案内したのはセレブ御用達の有名な高層マンションだった。
何かの間違いかと思いながら、先導する彼女は自信たっぷりに歩を進め
上層階の一室に私を招き入れた。
どこか私の部屋と似ている簡素なインテリア。
豪華な夜景を見下ろす窓際に椅子を置き、彼女と差し向かいになる。
いくら羽振りのいい事務所でも一介の事務員が住めるような家賃ではないはず。
だけど今追求しなければならないのはそこではない。

「では音無さん、話してもらえますか……弟のこと、それと日高愛について」
「弟さん……如月優君……」
「そう、優のこと。生きているのなら、今どこでどうしているのか」
「千早ちゃんが会いたいのなら会わせてあげてもいいのよ」
「質問に答えてください。本当にあの子のこと、知っているのなら」
「会わせてあげる、どうして弟さんと会いたいのかを話してくれたら」

“魅了”をかけた相手にあしらわれている不自然さにも気付けず
私はつい言葉に詰まってしまう。

「ふふっ……いいわ、会わせてあげる。そのために呼んだのだから」

閉ざされた部屋の方に向いた彼女の視線。
つられた私の目に映ったのは、ゆっくり開いた扉から現れた人影だった。

「……優? あなた、優なの?」
「ほら、千早ちゃん。遠慮しないでいってあげなさい」

薄暗い照明に浮かぶほっそりとした男の子のシルエット。
別れてから8年もの間会っていなかったのに、わたしにはそれが最愛の弟、
優であることを疑わなかった。

「ふふ、千早ちゃん嬉しそう……いい夢みれるといいわね、ふふふふ」

その言葉はもう私には届いていなかった。
弟に駆け寄ると、無我夢中でその体を抱きしめていた。
細くて華奢だけど男の子らしいしっかりとした体つきと熱い体温、
それになつかしい体臭が幻でない証拠だった。


「それじゃ、そろそろ始めるわね、千早ちゃん最後の晩餐♪」


(以下のテキストを#9後半に追加)

以下はネタバレ上等の展開説明。
#9冒頭、事務所で対峙した千早と小鳥。
この時点では小鳥さんが同族であることに気付いていない千早。
(強大な力を持ち、吸血鬼であることを隠蔽する力のおかげで)

その小鳥さんの発言からとっさに”魅了”を発動した千早。
だけど小鳥さんに通用するわけもなく、反対に小鳥さんの”魅了”にやられたことにも
気付かないまま、彼女の自宅に操られていく。(自分では操っているつもりで)
そして高級マンション(某6○木ヒルズをイメージ)の一室で
弟・優と再開するけれど、もちろんそれは小鳥さんの”魅了”が見せている幻。


#10

さ、服は脱いじゃおっか。いろんな液で汚れちゃうからね。
うわぁ、十代の肌って張りがあって綺麗だなぁ。本当に美味しそう……
長いこと我慢した甲斐があるわね。ん? なあに、もう欲しくなってきたのね。
プロデューサーさん、いい仕事してくれたわね。
弟君のトラウマで男の子が苦手だったのに、こんな顔で欲しがるようになって。
素質、それとも経験の賜物かしらね。
さて。愛する弟君と再会できたのだからあんまり焦らすと可哀相だよね。
ここ、こんなにトロトロにしちゃって、可愛い! ちょっと味見しちゃおっかな。
んー、おいしい! 期待しちゃうなぁ。
よしよし、もうちょっとだからね。千早ちゃんにはお姉さんのとびっきりの秘密を
教えてあげるから思う存分味わってね。
もちろんお姉さんも千早ちゃんをたっぷり味わわせてもらうからね。
さ、ベッドいこっか。今夜はたっぷり楽しむんだから。

でも運命っておかしなものね。
如月家に生まれたのが女の子って聞いたときは落胆したものよ。
だけど次に男の子が生まれてから期待しちゃったのよね。
まさかあんなことになるとは思いもしなかったけど。
でもね、そのあとあの化け物……日高舞に出会えたのがよかったのよね。
やっつけるのには苦労したけど、見返りは大きかったわね。
奪った力、最初はどう役に立てるか悩んだものだけど今はっきりわかるの。
これは千早ちゃんを奪うために授けられた力なんだって。
ほら、触ってみて。そ、ここ……わかる?
大きくなってきたでしょ。
うふ、ふふふ……男の子みたいでしょ。
そりゃまあそうよね、こういう風にしないと女の子を犯せないのだから。
でもね……あ、これはあとのお楽しみにしたほうがいいかな。
おちんちんよりはるかに凄いこと、できちゃうんだかr。
千早ちゃんにも肉体を変化させる力があったらもっと楽しく遊べたのにね。
事務所のみんなが千早ちゃんにヴァージン奪われちゃうか想像するだけで滾るけど
そうなったら手強くなったかもしれないんだよね。

さて、そろそろいきますか。



優……会えてよかった、本当に。
ねえ、ちゃんと元気にして……あまり顔色がよくないみたいね。
ちゃんと血を飲めて……ないのね。
ごめんなさい、お姉ちゃんのせいだったよね。
優が牙を失ったのは。
だからどうしてもあなたに会いたかったの。
お姉ちゃんが奪ってしまった優の力を返すために。
そのためにどうすればいいかもちゃんと分っているから。
あれからお姉ちゃんも色々調べたし、優のために力もつけたの。
お姉ちゃんの力、全部優にあげてもいいから心配しないで。

ふふっ、そんなに緊張しないでいいのよ。
あら、女の子と付き合ったりはしてなかったの?
そうよね。優はまだ中学生だったわね。
いいの、お姉ちゃんが全部教えてあげる。

最初は……そうね、キスかしら。
手始めにお姉ちゃんと唾液の交換して
んっ……んくっ、ファーストキスじゃないのは覚えてるかしら?
あのときはただ唇をくっつけるだけだったけど
ほら、こんな風に。
んむ、あっ、あむ、むちゅ……優も舌、だして。
あっ、んんっ……そう、もっと……飲ませて。
お姉ちゃんのも。

じゃあ……そろそろ。
うん、脱いじゃおっか。
お風呂は……いいわ、だってもうお姉ちゃん、ほらここ触ってみて。
うん、熱くてトロトロになってるの。
優が好きだから……優のが欲しいからなの。
舐めてみるの? どう、かな。お姉ちゃんの。美味しい?
そう。良かった……でも、もっといっぱいお姉ちゃんを味わっていいの。
だって……お姉ちゃんのこと、全部優にあげてもいいの。
優にあげるため、処女も大事に守ってきたの。
わかるでしょ、優。どうするか。
そうよ、ここ……熱い……それに固くなってきてる。
どうしたい? それともどうされたい?
焦らなくていいの、夜は長いのだし。
したいこと、なんでもしていいから。
して欲しいこと、なんでもしてあげるから。

じゃあ……いこっか、ベッドに。


#11 (千早主観による優とのエッチ)

春香や美希たちと交わしたのも吸血を兼ねた性行為に違いがないけれど
こうして弟と結ばれると思うと、私の胸はこれまでにないくらい高まっていく。
ただ唇を触れ合わせるだけでもぞくぞくするほど気持ちがよかったのに
敏感な部分に指が、そして唇が訪れるたび私の体は快感に震え、
女性器が早く優の雄を迎え入れようと熱く粘っこい愛液を盛んに分泌し、
私の意志に反して何度もびくびくと痙攣して催促している。
だけど私は優の愛撫を急かしたりはしない。

抱き合って何度もキスを交わし、それからゆっくりベッドに寝かされると
覆いかぶさってくる優の華奢な体を柔らかく受け止める。
さっきよりも深いキス。舌を絡めお互いの唾液をぺちゃぺちゃと啜りあう。
口の回りや顎に垂れた唾液を優の舌は追いかけながら、そのまま首筋に流れ
頚動脈を舌の先でなぞられる。
今の優にはできない吸血鬼の口付けを体が求めても今は我慢。
彼が力を取り戻せばすぐに実現するのだからと、その時を想像しかけたとき
優の唇はなだらかな乳房を這い上がりその頂上に到達している。

幼い頃、母乳を思い出して甘える優に何度も与えたことのある乳房。
無心に吸うだけだったあの頃と違い、今度は乳首を啄ばまれ舌で転がされ
あげくに歯と歯茎に苛まれ、堪えていた声をついにあげてしまう。
姉の立場で教えてあげるといいながら、幼いはずの弟の技巧に追い立てられ
喘ぎ声を啜り泣きでごまかす私はもはや性の快感に取り付かれた雌に堕し
弟の雄茎に犯し貫かれる瞬間だけを待ちわびている。
覚えたばかりのフェラチオという行為を弟に与える余裕など無くて
大きく拡げた足の中心に弟の下半身を誘うと、熱く固い先端が融けそうなくらい
濡れて熟した私の性器をこすり、なぞっていく。


「お願い優……来て、お姉ちゃんの中……」

円を描くように性器の形をなぞっていたそれがゆっくりと中心に向ってくる。
やがて動きが止まると、いよいよ待ち望んでいた入り口にするりと潜り込んで。

「あぁ、優……早く、お姉ちゃんを……優ので、優のおちんちんで奪って!」

華奢な背中を力いっぱい抱きしめ、それでもまだ足りなくなって
両足を優の腰にしっかりと巻きつけたそのとき。
膣に潜り込んだ優の先端が蛇のように鎌首を持ち上げると
充血して乳首のように膨らんでいた私のクリトリスに喰らいついた。

とっくに理性が蒸発し沸騰しそうな頭でもはっきりその感触は理解できた。
優のペニスで擦られたとかではない。
私のクリトリスはその根元まで“何か”にくわえ込まれていて
赤ん坊が乳首を吸うように、強い力でじゅるじゅると吸い上げられている。
それまで誰とのセックスでも感じたことのない強烈な快感が駆け上がって弾ける直前
肉の芽を貫いたのが“牙”であることを吸血鬼の本能が悟っていた。

甘美な苦痛が沈みかけた意識をもう一度揺り起こす。
クリトリスが解放され、優のペニスは今度こそ私の膣に狙いを定める。
蕩けきった私の性器は膨らんだ先端を簡単に迎え入れる。
ゆっくりと膣の中に潜り込んでくるその感触が中ほどで動きを止める。
緩んだ感覚神経が微かに痛覚を訴えているけれど、先ほどクリトリスを噛まれて以来
痛みすら快感を覚えるようになった私は来るべき瞬間を待った。
優のペニスが少し戻り、反動をつけるように勢いを増して。
私の処女膜を引き裂くと一気に奥まで侵入を果たした。

#12 (小鳥主観から)

「こういう趣味は無かったけど、やってみれば中々楽しいし美味しいわね。
それにうふふ、千早ちゃんたらこんなに悶えちゃって。そんなに気持ちよかった?」

クリちゃんを変形したおちんちんで犯してあげるだけじゃ芸が無いと思って蛇みたいに
口と牙を作ってみたけど、さすがにクリちゃんを噛むのは刺激が強すぎたみたい。
清楚な千早ちゃんの可愛いイキ顔、ホントにいいわね……
でも、ほら……こんな快感でもまだ足りないんだよね?
いいよ、してあげる。
はい、千早ちゃん……わかる? 優君のおちんちんだよ。
お姉ちゃんの中に入っていくからね。
あ……この感じ、やっぱ処女膜だよね。
そんなに太くしてないけど、痛いかな……ってもう関係ないみたいね。
じゃあいくね、千早ちゃん。
愛する弟の優君とセックスして処女喪失…………

あぁ……けっこうきつかったけど、これ私も気持ちいいわね
癖になっちゃったらどうしようかな。
千早ちゃんみたいにアイドルの子達、みんな食べちゃったりとかね。
なーんて、あ、奥までいったみたいね。
このコリコリしたのが千早ちゃんの子宮かぁ。
処女にはまだポルチオ性感は早いか。
いいよね、こういうのは最初で最後になるのだし。
さようなら、吸血鬼の千早ちゃん。
あなたの力、全部お姉さんが吸い取ってあげるからね。
大丈夫、痛くもなんともないから。
優君の夢を見ながら、ただ気持ちよくなってちょうだい。



引き裂かれるような痛みにすら気持ちよさを感じながら、優のおちんちんが私の中を、
奥まで埋め尽くしていく感触にただうっとりとするばかりだった。
ゆっくりと往復しながら行き止まりまで届いてしまうと、今度はその先にある子宮を
ぐりぐりと撫で回すように動き回っているのがわかる。
そう、優……もっと中にはいりたいのね……
いいわ、来て。お姉ちゃんもその中に優のが欲しいの。
お姉ちゃんの中を優ので埋め尽くして。
そんな願いを優はすぐにかなえてくれた。
鈍い痛みは狭く閉ざされた入り口をこじあけるものなのか、
そのあとすぐ、私の中が優の熱いペニスで満たされていくのがわかる。
ようやく願いが叶った嬉しさで止まらない涙を
優はやさしいキスで舐め取ってくれる。
優の動きがはげしくなって、いよいよその瞬間がくるのだと
私は彼の背中をぎゅっと抱きしめその時に備える。



千早ちゃんを奥まで犯した、ペニスを模してつくった私の肉の茎。
硬度を解くと先端の膨らみも小さな錐のように変形させると
触手のように千早ちゃんの入り口をゆっくりと探っていく。
あった、ここ……ほとんど隙間のない、女の子の大切な部屋への入り口。
そこに細く尖らせたのをゆっくり中に送り込んでいく。
充分中まで入ったところでもう一度さっきのように牙を形成すると
子宮の内壁にしっかりと打ち込んで。

「千早ちゃんが女の子相手に力を吸い取るやり方、いい線いってたのよね。
でも女の子同士だと、こんな風にはできないでしょ?」

血液と一緒に吸血鬼を構成する力の源をじゅるじゅると吸い上げていく。

「優君の事は本当に残念だったわね。今夜の思い出も残してあげられないのよ。
その代わりと言ってはなんだけど、少しだけ……残してあげるね」

最早吸血鬼としての力も記憶も残していない、一人の女の子に戻った千早ちゃん。
だけどこれからもアイドルとして、大好きな歌と一緒に生きていけるように
ほんの少しだけ、魅了の力を残してあげる。
そう、千早ちゃんの歌を聞いた人が幸せな気持ちになるように。

さ、このままゆっくり眠りなさいな。
明日の朝、目が覚めたらそこが新しい人生の始まりだから。
プロデューサーさんと、アイドルの仲間達と一緒に頑張って
アイドルとして生きてちょうだいね。
お姉さん、いつまでも応援しているから。




おしまい。

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