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[SSメモ] xx 201x/mm

千早贔屓が思いつきで書いた春香SS。オリキャラあり。


SS本編


「ねえ。どうしていつもリボン外しちゃうの?」
「……別に意味はないよ」
「嘘。だって外してる時の目がマジだもん」
彼はそれには答えず、私の首筋に顔を埋める。

あ、今日は体育あったから汗臭いのに……
そんな考えも、彼の舌を感じてしまうと、もうだめ。
余計なことを考えないよう、目をつぶってただ彼の舌だけ追いかける。

「あっ、やだぁ……そこ、んっ、キモチいいよ」
「春香、声だすなって」
「んんっ…だって、キモチいいんだもん、ふぁぁっ、そういうのが、やっ…やばいのよぉ」
「ここ? じゃあもうちょっと下も舐めていい?」
「あっ、ああっ、ダメだよぉ……エッチなんだから」
「春香の声の方がエッチだろ? 最近妙に色っぽくなってないか?」
「んんっ、そうかな。そんなことないっ、あん、やぁ、駄目だって、そこは」
「ちょっとだけだからいいだろ? 凄くいい匂いで我慢できないよ」
「もうっ……ほんとにちょっとだけだよ。お昼休み、そろそろ終わるんだし」
「分かってるって。あれ、ボタン取れない」

不器用な彼の代わりにボタンを二つ、外してあげると、胸元を広げてみせる。
やっぱ、ちょっと汗臭いよ……うぇぇ、抵抗あるなぁこういうの。
そんな私にはお構いなく、彼はなんとかブラをずらしておっぱいを出そうと四苦八苦している。
キスだけだっていったくせに、しょうがないなぁ、もう。
後が面倒だけど、背中に手をまわして、ホックはずしてあげた。
ゆるんだ瞬間、彼がカップをしたにずらして、すぐおっぱいに吸い付いてきた。
子供みたいですよ、先輩。
でも、こういうときだけは可愛いんですよね。
ちゅうちゅうと音を立てながら乳首を吸っている彼の頭をそっと抱き締めてみた。
やがて遠くの方から予鈴が響いてくるのが聞こえてくる。

戸口で外を見張っている先輩の背中を見ながら、私は下着をとって着なおしている真っ最中。
彼がいっぱい吸って舐めていたおっぱいを確かめてみると、やっぱりあった。
おっぱいの下の方、目立たないけどキスマーク。
ブラ外さないと見えない場所だからいいけど、夏だったら水着とかあるから困るとこだ。
それから急いでブラウスを着て、リボンを直すとまだ背中を向けたままの先輩に忍び寄る。
首筋。先輩もちょっと汗臭いけど、うん、これってやっぱ先輩の匂いって悪くない。
少し背伸びすると、襟をめくって隠れる場所を吸ってやった。
「あ、こら春香」
「おっぱいの仕返しですよー。じゃ、いきますね」
「あ、ああ。頑張れよ」
私は振り返らず、手だけを振ってこたえる。
彼と出会ったのは学校の図書館。アイドルとしてデビューしたばかりの頃の話だ。
新人だから仕事は、まだ少ないけど、営業にレッスン、その他色々あってそれなりに忙しく
家が遠い私にとって、勉強時間(と睡眠時間)の確保は切実な問題だった。
その日も事務所に出勤する前、わずかな時間を惜しんで図書館で宿題に取り組んでいた。
いや、正確には苦手な数学の問題に頭を抱えていただけなんだけど。
その時、私の横を通り過ぎかけて私を2度見したのが先輩だった。

「あの、よかったら見てあげようか?」
顔を上げた私を、その時はまだ銀縁メガネの彼が心配そうな顔で見下ろしていた。
「君、天海さんだよね?」
上の学年の人に名前を覚えられるほど有名人じゃないはず。生徒的な意味でも、アイドル的にも。
「この前○×モールで偶然見たんだ。まさかうちの学校に現役アイドルがいるとは驚いたけど」
「あ、ありがとうございます」

冷や汗がどっと出た。この前営業に出かけて特設ステージで2曲歌ったのがその場所。
学校から離れているのに、まさか同じ学校の人に見られていたなんて。
「ふーん、これはこうして、こうすれば」
気がつけば、私は先輩の隣で難儀していた数学の問題を教わっていた。
30分はあっという間だった。
「あの、そろそろ仕事があるんで。ありがとうございました」
「そ。頑張ってね」
「あ、それと……あの……」
「ああ、心配しなくても誰にも言わないよ。その代わり」
先輩は人の悪そうな笑顔を作ってからいった。
「春香って子のCD買ったんだ。それにサインしてくれるのなら、内緒にしとくよ?」

次の週、少し時間に余裕があって図書館を覗いてみると、やはり先輩はいた。
参考書を広げ、難しそうな問題に取り組んでいる。
声かけにくい雰囲気だけど、近づいていくと、すぐ気づいた先輩が嬉しそうな顔でCDを出してきた。
「ほんとにCD買ってくれたんですね!」
「そういっただろ。あ、名前も入れてね」
先輩の名前をちゃんと入れて、丁寧にサインして。それから両手でしっかりと握手。
「あ、これは事務所には内緒ですよ。この前勉強教えてもらったお礼ですから」
「そか。また教えてあげる、って俺、何押し売りしてんだか」

それからは、時々図書館で先輩と会うようになった。
外見はとっつき悪そうな感じだけど、仲良くなってみると、楽しくていい人。
うーん、そうだなぁ。お兄さんって感じなのかな。ちょっと子供っぽいとこもあるけど。
週に1、2度しか会えないけど、会えたときは勉強を教わるだけじゃなく、芸能界の裏話をしたり。
学期が終わるころには、ようやくアイドルランクがひとつあがり、仕事も少し増えたけど
私の図書館通いはまだ続いていた。
特に何か意識する、なんてことは全くないままに……




「先輩、そんなにかしこまらず、もっと楽にしてください」
そういっても、先輩は居心地悪そうな顔のまま、正座を崩さない。
「だいたい女の子の部屋なんて初めてだからな。それに春香は有名人なんだし」
「せっかくのオフなんだから、有名人とか言われたくはないですよぉ……」
拗ねたフリをして立ち上がり、先輩に背中を向けてベッドに腰を下ろす。
今日は勉強を教えてくれるお礼といって、先輩を無理やりうちに招待して。
自慢の手作りお菓子を振舞うつもりだったのに、私ってば何してるんだろ……

「ごめん、春香。そういうつもりじゃなくて」
「じゃあ……どういうつもりですか?」
「どういうって……」
「私、先輩の前では普通の高校生でいたいんです。アイドルとか関係ない、一人の後輩として」
「それは……その、やっぱりそういうのは無理があるだろ」
「どうしてですか。どうしてただの後輩じゃ駄目なんですか!」
先輩が私の前に立ち、見上げる私の顔を真剣に見つめている。
それだけで、私にはもう分かってしまったのに、ただ黙っていたのは
先輩から言って欲しかったから。
好きだってことを。

でも、先輩は、私が聞きたかったこと、言ってはくれなかった。

「学校ではいつだって俺の後輩だろ、春香は」
そういって、私の肩をぽんと軽く叩いて私から離れていく。
「アイドルとしての春香も応援するよ。受験が終わったらライブにも行きたいし」

違う、違う。
そんなんじゃない。
我慢できず、先輩の背中に抱きついてしまった。
「アイドルと受験生が恋愛しちゃ、駄目ですか?」
「…………それは」
「答えてください、先輩」
先輩は私の手をほどいて、振り返る。今まで見たことのない、怖い顔。
先輩の手が私の肩を掴んで。
そのままベッドに押し倒されていた。
「駄目に決まってるだろ、春香。でないとこんな風にしたくなるんだから」
先輩は、自分に言い聞かせるように言った。

顔と顔がこんなに近づいたのは初めて。
もし、先輩がその気になれば、キスまでの距離はほんの10センチ。
これ以上見詰め合っていると、心臓が破裂してしまう。だから私は目を閉じた。
先輩がその気になってくれるように。
恐る恐る。本の一瞬触れるか触れないか。
それが私と先輩のファーストキス。
でも、そんな遠慮はすぐになくなって、唇、ほっぺ、おでこ、指。それからまた唇。
お互い夢中で、ベッドの上でぎゅっと抱き合ったまま、何度も何度もキスをしていた。
もう私は夢中で、なんだかワケわかんなくなりかけていて
先輩の手が私の手首をつかんだ時、早すぎますって思いながらも半分は覚悟きめて。
でも先輩は私を引っ張り起すと、真面目な顔で約束しようといった。
<キス以上のことはしない>
<人目につく場所で怪しまれることはしない>
<会うのは学校の中だけ>
<証拠になるようなものは何も残さない>
先輩の気遣いが嬉しい反面、ほんの少し淋しさを感じなかったわけじゃない。



「先輩としてひとこと言っておくんだけど、約束の通り学校での行動にはもっと気を配ること!」
そういって私の頭をこつんと小突いた。
「イテッ……ゴメンナサイ」
久しぶりの図書館デートが嬉しくて、死角になる奥の書架でキスを誘ったら怒られた。
反省するまで説教だといって、ちょっと怒った顔で私をこの美術準備室に連れてきて。
「反省……しました」
神妙に頭を下げると、先輩はそれで説教はおしまいとばかり、私の顎を持ち上げキスしてくる。
先輩だって、したかったくせに。そう思ってと意地悪してみようかと思ったけど、
先輩の舌が入ってくるともう考える余裕なんてなくなってしまう。
だから先輩に抱きついて、しばらくはされるがまま。
結局先輩だって、夢中になっているんですから私と同じですよ。
ううん、それだけじゃなくて。
最初の頃は、私の肩を抱いているだけだった先輩の手。
最近、背中から腰に降りてきて、ほら……さりげなくお尻とか触ってるじゃないですか……
他にも先輩が触りたい場所、あるの知ってます。
でも……約束があって、それを絶対に曲げないのも知ってます。

でも……キスなら、いいんですよね?
先輩と舌を絡め合わせたまま、私はそっと手をブラウスに伸ばして。
ボタンをひとつ、ふたつはずしてしまう。
ほんとは結構自慢なんですよ、私の胸。だから、先輩にだけ特別に。
恥ずかしいからブラは取れないけど、ほら谷間だって。
ようやく気付いた先輩の目が丸くなって。
最初はくすぐったかったけど、胸を舐められていると……じゃない、キスされていると
今までとは違う、変な気持ちって言うか。変な感覚って言うか。
よくわからないけど、何かが目覚めたかもしれない。
仕事はどんどんと増え、放課後の時間だけでなく授業の時間にも仕事が割り込んでいく。
学校で先輩に会える機会どころか、すれ違うことすら叶わない。
会いたい。せめて顔だけでも見たい。
だから。
仕方が無いから。
休み時間、お昼休み。なんとか時間を工夫して先輩に会おうとした。
授業中、保健室にいくと偽って教室を抜け出したことだってある。

初めての頃は会えるだけで嬉しくて、照れた笑顔を見合わせながらキスするのが楽しかったのに。
今は変ってしまった。
会うのが切なく、それでも会わないともっと悲しくて
二人きりになると、無言でお互いの体を忙しくまさぐりながらぶつけあうようキスをして
胸をさらけだして、先輩の顔を強引に導いておっぱいを吸ってもらって。
もうそれだけが目的みたいになってしまっても、それでもまだ
私たちはそうすることが、お互いが繋がっていられる手段だと信じていたかったのだと思う。



久々に取れた土日のオフ。それが嬉しくて先輩をうちに誘った、というのは口実で
本当はずっと先輩とキスできなかった不満解消のため。
両親は法事で遅くまで帰ってこないらしいから、絶好の機会だと思ったのに
先輩が受験生だってことを忘れていた。

「……その日も予備校だな」
「そ、そうですよね。ごめんなさい」
「遅くなっていいなら、予備校終わったあとに顔だけ見に言っていいかな」

そういってくれたのは先輩の優しさで、私はそれに甘えきっていたと思う。
家だってそう近いわけじゃないし、何よりもう試験が目前だから。
でも、8時になり9時をまわっても先輩がくるどころか、メールすら来ない。
そのたび、作っておいたスープを温めなおしたり、テレビを眺めてみたり。
10時少し前、電話の音に飛び上がったけど、お母さんからだった。
話している間、ようやく携帯に先輩からのメールが来た。

―本当にこんな時間にお邪魔して大丈夫?
―両親は用事で遅くなるから、大丈夫です。帰ってくるの真夜中らしいので
―そういうのは帰って悪い気がする
―先輩、それって変なこと考えてるからでは?
―こら、そんなわけあるか。約束は約束だぞ
―えへへ、冗談ですって。待ってますから気をつけてきてくださいね
―了解。急いでいくよ
  •  -

「私が暖めてあげますから……」
ドアが閉まるのも待ちきれない。先輩の冷え切った頬を両手で挟んで三週間ぶりのキス。
「春香の顔みたら帰るつもりだったんだけど……」
「嘘ばっかり……」
だってほら、先輩。私の服の裾摘んでどうするつもりなんですか。
寒い中、自転車を飛ばしてきた先輩の手は飛び上がるくらい冷たくて。
「春香って暖かいな」
「えへへ。ずっと炬燵の中で暖めておきましたから」
「それもあるけど、一緒にいるとほっとする」
「じゃあ体の中も暖めてあげます」

「春香はお菓子作りも料理も上手だな。春香をお嫁さんにできる奴が羨ましい」
先輩はスープを2回おかわりしてくれて、ご馳走様のあとにそう付け加えた。
多分そういうことだと、薄々気付いてはいた。
優しい先輩に甘えて、とっくに分かっていたことを引き伸ばしてきたけど
もう潮時かな。だから、今日きちんとしないと。
わたしから、きちんとしないと。


この部屋に先輩が来たのは何回目になるのだろう。
最初は笑えるくらい緊張していたのに、いまではすっかりリラックスして。
その先輩はベッドに座り、穏やかな目でじっと私を見つめている。

この前は、ベッドで抱き合ってかなり際どいキスもしちゃったのに。
布団の中だけど、殆ど私、生まれたままの姿になっていたのに。
あと一枚、たったそれだけだった。
私も先輩も。
先輩の手が、その最後の一枚にかかった時、
私は決心しきれていなかった。
先輩になら、ってそれまで思っていたのに、急に怖くなった。


でも今は違う。
最後の一枚も自分の意思で脱ぎ去ったし、裸を隠す布団も無い。
生まれたままの姿の私。
服を脱ぐときは死ぬほど恥ずかしかったけど、脱いでしまえばもう関係なかった。
胸を隠した左手を下ろして。
それから、前を隠した右手も下ろした。
電気、もうちょっと暗くしておけばよかったかな。
そんなことを考えながら、ゆっくりと先輩の前に歩いていく。

卒業式の日は仕事が重なってしまっていけずじまい。
春休みだからと、これでもかっていうくらい仕事をねじ込んだプロデューサーのおかげで。
先輩は見事志望校に合格し、大学のある遠い遠い街に引っ越していったらしい。
だから私は、全国ツアーができるようなアイドルになって先輩のいる町に必ずいきます。
だから先輩も見に来てください。
あの夜約束したように。
きっとですよ。





「どうした、春香。新聞読むなんてめずらしい。何読んでるんだ?」
「ひどいなぁ。私だって新聞くらいよみますよ」
「へぇ、で何だい、春香の気になったゴシップは。ん、司法試験?」
「えへへ、これって難しいんですよね」
「いやいや、春香にはさすがに無理だろ」
「違いますよぉ。知ってる人がいないかなって」
「いるといいな。医者と弁護士は体売ってでも知り合い作っとけってばあちゃんがいってたぞ」
「あははは、私はしがないプロデューサー一人で間に合ってますよぉ」
「しがないは余計だ。それより、いよいよツアー開始まであと3日。しまっていくぞ?」
「おーっ!!」


合格発表の日に新聞に掲載された懐かしい名前、こっそり切り抜いてしまっておいた。
とても大切な、高校時代の思い出。
お互い、もう大人になってしまってあの時にはもどれないけど
あの人よりも好きになった人が出来たけど
半年足らずの、甘くて切ない恋愛をずっと覚えていようと思う。
とても大切な、私の宝物として。


おしまい。

このページへのコメント

これも妊婦Pさんが書いてたのか

0
Posted by ikuy 2012年03月18日(日) 23:47:19 返信

いいっすね〜

0
Posted by チック 2011年11月27日(日) 06:47:37 返信

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